JP2003213153A - 着色組成物、インクジェット用インク、インクジェット記録方法及びオゾンガス褪色耐性の改良方法 - Google Patents

着色組成物、インクジェット用インク、インクジェット記録方法及びオゾンガス褪色耐性の改良方法

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JP2003213153A JP2002012869A JP2002012869A JP2003213153A JP 2003213153 A JP2003213153 A JP 2003213153A JP 2002012869 A JP2002012869 A JP 2002012869A JP 2002012869 A JP2002012869 A JP 2002012869A JP 2003213153 A JP2003213153 A JP 2003213153A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】色再現性に優れた吸収特性を有し、かつ光,
熱,湿度および環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性
を有する画像を形成することができる着色組成物、イン
クジェット用インク及びインクジェット記録方法を提供
し、さらには画像記録物のオゾンガス褪色耐性を改良す
る方法を提供する。 【解決手段】特定構造のフタロシアニン化合物を用いた
着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェ
ット記録方法及び形成画像保存性改良方法が提供され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フタロシアニン化
合物を含むインク組成物、特にシアン色インクジェット
記録用水溶性インクと、そのインク保存安定性の改良方
法、フタロシアニン化合物の析出防止方法および、イン
クジェット記録方法並びにインクジェット記録の利用に
よる画像記録物のオゾンガス褪色耐性の改良方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、画像記録材料としては、特にカラ
ー画像を形成するための材料が主流であり、具体的に
は、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記
録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀
感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されて
いる。また、撮影機器ではCCDなどの撮像素子におい
て、ディスプレーではLCDやPDPにおいて、カラー
画像を記録・再現するためにカラーフィルターが使用さ
れている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィル
ターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するため
に、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素
(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域
を実現出来る吸収特性を有し、且つさまざまな使用条
件、環境条件に耐えうる堅牢な色素がないのが実状であ
り、改善が強く望まれている。
【0003】インクジェット記録方法は、材料費が安価
であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少
ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速
に普及し、更に発展しつつある。インクジェット記録方
法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方
式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマン
ド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力
を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気
泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた
方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式
がある。また、インクジェット用インクとしては、水性
インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが
用いられる。
【0004】このようなインクジェット用インクに用い
られる色素に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分
散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相
が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NO
x、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅
牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れているこ
と、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、イ
ンクとしての保存性に優れていること、毒性がないこ
と、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが
要求されている。
【0005】特に、良好なシアン色相を有し、光、湿
度、熱に対して堅牢な色素であること、中でも多孔質の
白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像
材料上に印字する際には環境中のオゾンなどの酸化性ガ
スに対して堅牢であることが強く望まれている。
【0006】これまでシアン色素としては、殆どの場
合、色相と光堅牢性に優れたフタロシアニン化合物が使
用されているが、酸化性ガス、特にオゾンに対しては充
分な堅牢性を有していないので改良が望まれている。
【0007】最も広範囲に報告され、利用されている代
表的なフタロシアニン化合物としては、以下の〜で
分類されるフタロシアニン誘導体が挙げられる。
【0008】Direct Blue 86又はDi
rect Blue 199のような銅フタロシアニン化
合物[例えば、Cu-Pc-(SO3Na)m:m=1〜4の
混合物](以下,Pcはフタロシアニン骨格を意味す
る)。 特開昭62−190273号、特開昭63−2869
0号、特開昭63−306075号、特開昭63−30
6076号、特開平2−131983号、特開平3−1
22171号、特開平3−200883号、特開平7−
138511号等に記載のフタロシアニン色素[例え
ば、Cu−Pc−(SO3Na)m(SO2NH2)n:
m+n=1〜4の混合物]
【0009】特開昭63−210175号、特開昭6
3−37176号、特開昭63−304071号、特開
平5−171085号、特開平10−36741号等に
記載のフタロシアニン色素〔例えば、Cu−Pc−(C
2H)m(CONR12)n:m+n=0〜4の混合
物〕 特開昭59−30874号、特開平1−126381
号、特開平1−190770号、特開平6−16982
号、特開平7−82499号、特開平8−34942
号、特開平8−60053号、特開平8−113745
号、特開平8−310116号、特開平10−1400
63号、特開平10−298463号、特開平11−2
9729号、特開平11−320921号、EP173
476A2号、EP468649A1号、EP5593
09A2号、EP596383A1号、DE34114
76号、US6086955号、WO 99/1300
9号、GB2341868A号等に記載のフタロシアニ
ン色素[例えば、Cu−Pc−(SO3H)m(SO2
12)n:m+n=0〜4の混合物、且つ、m=0]
【0010】特開昭60−208365号、特開昭6
1−2772号、特開平6−57653号、特開平8−
60052号、特開平8−295819号、特開平10
−130517号、特開平11−72614号、特表平
11−515047号、特表平11−515048号、
EP196901A2号、WO 95/29208号、
WO 98/49239号、WO 98/49240
号、WO 99/50363号、WO 99/6733
4号等に記載のフタロシアニン色素〔例えば、Cu−P
c−(SO3H)l(SO2NH2m(SO2NR
12n:l+m+n=0〜4の混合物〕
【0011】特開昭59−22967号、特開昭61
−185576号、特開平1−95093号、特開平3
−195783号、EP649881A1号、WO 0
0/08101号、WO 00/08103号等に記載
のフタロシアニン色素〔例えば、Cu−Pc−(SO2
NR12)n:n=1〜5の混合物〕
【0012】ところで、現在一般に広く用いられている
Direct Blue 87またはDirect Bl
ue 199に代表されるフタロシアニン色素について
は、一般に知られているマゼンタ色素やイエロー色素、
トリフェニルメタン系シアン色素に比べ耐光性に優れる
という特徴がある。しかしながら、フタロシアニン色素
は酸性条件下ではグリーン味の色相であり、シアンイン
クには不適当である。そのためこれらの色素をシアンイ
ンクとして用いる場合は中性からアルカリ性の条件下で
使用するのが最も適している。しかしながら、インクが
中性からアルカリ性でも、用いる被記録材料が酸性紙で
ある場合印刷物の色相が大きく変化する可能性がある。
さらに、昨今環境問題として取りあげられることの多い
酸化窒素ガスやオゾン等の酸化性ガスによってもグリー
ン味に変色及び消色し、同時に印字濃度も低下してしま
う。今後、使用分野が拡大して、広告等の展示物に広く
使用されると、光や環境中の活性ガスに曝される場合が
多くなるため、特に良好な色相を有し、光堅牢性および
環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他
SOxなど)堅牢性に優れた色素及びインク組成物がま
すます強く望まれるようになる。
【0013】一方、インクジェット記録方式のインク
(以下、後者をインクジェット記録用インクともいう)
としては水系のインクが主に用いられている。水系イン
クは、基本的に色素、水及び有機溶剤から構成されてお
り、臭気、人体及び周辺環境への安全性の配慮から、水
を主溶媒とする。また、色素としては、一般的には酸性
染料、塩基性染料、反応性染料及び直接染料等の水溶性
染料が使用されている。
【0014】このようなインクジェット記録用インク
(及び色素)に関しては、以下に示す様々な要求特性が
挙げられる。すなわち、(1)インクの粘度、表面張
力、比電導度、密度、pH等の物性値が適当であるこ
と、(2)インクの長期保存安定性が良好であること、
(3)溶解成分の溶解安定性が高く、ノズルを目詰まり
させないこと、(4)被記録材での速乾性が良好である
こと、(5)記録画像が鮮明であり、耐光性、耐水性が
良好であること、などであるが、従来のインクはこれら
全ての特性を満足するには至っていない。
【0015】通常使用されている水系インクの場合、水
溶性染料を使用している。このため、特に記録画像に水
が掛かった場合は染料が溶出し、記録画像が滲んだり、
消失してしまうなど耐水性に大きな問題があり、現在、
耐水性の向上を主眼とした様々の検討がなされている。
【0016】例えば、顔料あるいは油溶性染料を色素と
して用いたインクや、水溶性染料を用いた水性インクに
有機溶剤や樹脂等を添加する方法などが検討されてい
る。しかしながら、顔料を用いたインクは分散安定性が
悪く保存安定性が劣ったり、ノズルの目詰まりを引き起
こす等の問題がある。また、油溶性染料を用いたインク
では有機溶剤が使用されているため、臭気など環境衛生
等に問題があったり、インクの滲みが大きく画像品位の
低下を招くなどの問題があった。また、添加剤を加えた
インクの場合でも、保存安定性が劣っていたり、ノズル
の目詰まり、あるいはインクが高粘度化しインクの飛翔
が悪い等の問題点もあった。
【0017】最近では、特開平6−340835号公
報、特開平12−239584号公報、WO00/08
102号公報等に、染料または顔料によって着色された
ポリエステル樹脂を分散質とする水系分散体を用いたイ
ンクが記載されている。しかしながら、顔料については
前記課題が未だ充分に解決されておらず、他方、染料に
ついても、画像濃度の低下、耐水性の低下、保存安定
性、ノズルの目詰まり等に直接関与する樹脂と相溶性や
着色樹脂微粒子の平均粒径の制御が課題とあると記され
ている。
【0018】従来、使用されているインクジェット用の
水性シアン色インクには、銅フタロシアニン化合物をス
ルホン化したスルホ基やスルホ基の塩を置換基とする銅
フタロシアニン化合物等の水溶性染料が用いられてい
る。このような色素を用いたインクは、前記のようにイ
ンクの滲みや耐水性が不充分である。また特開2000
−303014号、特開2000−313837号等が
開示されているフタロシアニン色素は、いずれも色相と
光及び酸化性ガス堅牢性を両立させるには至っていな
い。耐光性を改良したWO 00/08102号に開示
のフタロシアニン色素では水溶性インクとしての保存安
定性が懸念されるなど、シアンインクとして、まだ市場
の要求を充分に満足する製品を提供するには至っていな
い。
【0019】また、油溶性染料としては、スルホ基及び
/またはスルホ基とアミン化合物とのイオン対を含むス
ルホン酸のアンモニウム塩を有するフタロシアニン化合
物が知られている。このフタロシアニン化合物は、金属
フタロシアニン化合物をクロルスルホン酸でクロロスル
ホン化した後、取り出して得られたフタロシアニン化合
物のクロロスルホン化体とアミン化合物とを反応させて
製造される(例えば、細田豊著「理論製造染料化学」昭
和43年7月15日5版発行、(株)技報堂発行、79
8〜799頁)。この製造法ではフタロシアニン化合物
のクロルスルホン体とアミン化合物との反応において、
スルホン酸アミド基が形成される他に、クロロスルホニ
ル基が一部加水分解して、スルホ基として残存したり、
スルホ基とアミン化合物との対イオンを形成したスルホ
ン酸のアンモニウム塩を含むフタロシアニン化合物が得
られる。
【0020】このようにして得られたフタロシアニン化
合物をインクジェット記録用色素として用いた場合、イ
ンクの溶媒に対する溶解性が低くインクの調製ができな
かったり、必要な濃度のインクが作製できないなどの問
題点がある。また、残存スルホ基の影響で、普通紙に印
字した時に滲みが生じたり、記録画像の耐水性が悪くな
ったり、その他の諸特性に好ましくない影響を与えるこ
とがあった。
【0021】このようにインク、特にインクジェット記
録方式に用いられるインクの諸特性は、色素固有の特性
に依存するところが大きく、前記の諸条件を満たす色素
を選択することが極めて重要である。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明の目的は、(1)色再現性に優れ
た吸収特性を有し、且つ光,熱,湿度および環境中の活
性ガスに対して十分な堅牢性を有する新規な着色組成物
を提供すること、(2)とりわけ、上記(1)に記載の
特性を有し,かつ、インクジェット記録などの印刷用の
インクなどに用いられる各種着色組成物を提供するこ
と、(3)特に、該フタロシアニン化合物誘導体の使用
により良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特
にオゾンガスに対して堅牢性が高く、耐水性に優れた画
像を形成することができ、且つ、インクの長期保存安定
性に優れた、インクジェット記録用インクおよびインク
ジェット記録方法および形成画像の保存安定性の改良方
法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、良好な色
相と光、ガス(特にオゾンガス)に対し高堅牢でインク
の長期保存安定性の高いフタロシアニン化合物を詳細に
検討したところ、従来知られていない(1)特定の吸収
特性、(2)特定の酸化電位、(3)特定の色素構造、
(4)インク中での結晶析出がなく高い水溶性を有する
下記一般式(I)、特に一般式(III)で表されるフタロ
シアニン化合物を含有する着色組成物により、上記目的
が達成されることを見出し、この新規な知見をもとに、
本発明を完成するに至った。
【0024】すなわち、本発明は、下記の着色組成物、
インクジェット用インク、インクジェット記録方法、お
よびオゾンガス褪色耐性の改良方法によって達せられ
る。 1.下記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物
を含有することを特徴とする着色組成物。
【0025】
【化3】
【0026】一般式(I)中:Mは、水素原子、金属元
素、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化
物を表す。R1、R4、R5、R8、R9、R12、R13及び
16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂
肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルバモイル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバ
モイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボ
ニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ア
ミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイル
アミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオ
キシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスル
ホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、
ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、アルキルお
よびアリールスルホニル基、アルキルおよびアリールス
ルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、ヘテロ環
チオ基、アゾ基、イミド基またはホスホリル基を表す。
各々の基はさらに置換基を有していてもよい。R2
3、R6、R7、R10、R11、R14及びR15は、それぞ
れ独立に、水素原子あるいは下記一般式(II)で示され
る基を表す。但し、R2とR3、R6とR7、R10とR11
及びR14とR15の各々につき、少なくともいずれかが一
般式(II)で示される基を表し、且つ4個以上存在する
一般式(II)で示される基のうち少なくとも1つは、イ
オン性親水性基を置換基として有する。
【0027】
【化4】
【0028】Xは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有す
る窒素原子を表す。Wは、置換可能な基を表し、その基
はさらに置換基またはイオン性親水性基をもつ置換基を
有していてもよい。 2.フタロシアニン化合物の水溶液の分光吸収曲線にお
ける660nmから680nmに至る吸収帯内の最大吸
光度bと、600nmから640nmに至る吸収帯内の
最大吸光度aとの吸光度比b/aが1未満であることを
特徴とする上記1に記載の着色組成物。 3.一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の酸
化電位が、1.0V(vsSCE)よりも貴であるフタ
ロシアニン化合物である上記1または2に記載の着色組
成物。 4.一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物が、
下記一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物で
ある上記1〜3のいずれかに記載の着色組成物。
【0029】
【化5】
【0030】一般式(III)中:Mは、一般式(I)の
場合と同義である。X1、X2、X3、およびX4は、それ
ぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子あるいは置換基を有す
る窒素原子を表す。Y1、Y2、Y3、及びY4は、それぞ
れ独立に、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウ
レイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、
アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スル
ホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ア
ルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、ア
シルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ
基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカル
ボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリ
ル基、またはアシル基を表す。これら各々の基は、さら
に置換基を有していてもよく、且つY1、Y2、Y 3、及
びY4の少なくとも1つは、イオン性親水性基を置換基
として有する。l、m、n、pは、それぞれ独立に、0
から2までの整数を表す(ただし、l+m+n+pは、1
以上8以下の整数である)。
【0031】5.上記1〜4のいずれかに記載の着色組
成物を含有することを特徴とする用インク。 6.支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受像
層を有する受像材料上に、上記5に記載のインクジェッ
ト用インクを用いて画像形成することを特徴とするイン
クジェット記録方法。 7.上記6に記載のインクジェット記録方法を用いて画
像を形成することを特徴とする画像記録物のオゾンガス
褪色耐性の改良方法。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明における着色組成物は、染料や顔料
などの色材を含有する組成物を意味し特に画像形成に好
適に使用できる。
【0033】[フタロシアニン化合物]本発明に用いるフ
タロシアニン化合物は、上記一般式(I)で表される水
溶性フタロシアニン化合物である。そして該フタロシア
ニン化合物は、水溶液の分光吸収曲線における660n
mから680nmに至る吸収帯内の最大吸光度bと、6
00nmから640nmに至る吸収帯内の最大吸光度a
との吸光度比b/aが1未満であることが好ましい。本
明細書においては、吸光度比は下記の条件のもとで得ら
れる吸光度比を指している。すなわち、JIS Z81
20−86の定義に準拠する分光光度計によって、測定
温度を15〜30℃の範囲から選択し、測定セル長10
mmとし、本発明のフタロシアニン化合物を2.5mg
〜3.5mgの範囲でメスフラスコに秤量した後に、蒸
留水を加え溶解させながら100mlになるまで蒸留水
を添加して得られた溶液で分光吸収曲線を求め、求めた
分光吸収曲線の660nmから680nmに至る吸収帯
内の最大吸光度bと、600nm〜640nmに至る吸
収帯内の最大吸光度aとの比b/aをもって吸光度比と
する。
【0034】なお、水溶液の調製や希釈に用いる上記の
蒸留水としては、pHが5〜8内にある蒸留水を用いる
ものとする。
【0035】この吸光度比b/aの値が1未満の水溶性
フタロシアニン化合物であると、着色剤としての形成画
像の堅牢性(特に、光堅牢性及びオゾンガス堅牢性)が
より良好な特性を有する。吸光度比b/aの値が0.8
未満であることがより好ましく、0.6以下であること
が特に好ましい。
【0036】また、本発明で用いられる一般式(I)で
表されるフタロシアニン化合物は、酸化電位が1.0V
(vs SCE)よりも貴である水溶性フタロシアニン
化合物であることが好ましい。酸化電位は貴であるほど
好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも貴であ
るものがより好ましく、1.2V(vs SCE)より貴であ
るものが最も好ましい。
【0037】発明者らは、オゾンガスによる色素の褪色
に関し調査を行ったところ、色素のオゾンによる酸化反
応によって褪色が進行し、また着色画像に用いる化合物
の酸化電位とオゾンガス堅牢性との間に相関があること
が分かった。このことから、色素のオゾンガス堅牢性を
改良するには、酸化電位の値を上げることが望ましく、
色素同様にフタロシアニン化合物についてもオゾン堅牢
性を改良できることが期待でき、酸化電位の値としては
飽和カロメル電極(SCE)に対して1.0Vよりも貴
であるフタロシアニン化合物を用いることにより、オゾ
ンガス堅牢性が改良されることが予想できる。
【0038】上記酸化反応の褪色機構は、色素とオゾン
ガスのHOMO(最高被占軌道)およびLUMO(最低空軌道)
の関係によって説明できる。すなわち酸化は色素のHOMO
とオゾンガスのLUMOとの反応であり、オゾンガス堅牢性
を向上させるには、色素のHOMOを下げてオゾンガスとの
反応性を低下させればよい。
【0039】酸化電位の値は、試料から電極への電子の
移りやすさを表し、その値が大きい(酸化電位が貴であ
る)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換え
れば、酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関
連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位は
より貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化
電位はより卑となる。
【0040】酸化電位の測定方法は以下に詳述するが、
酸化電位は、化合物がボルタンメトリーにおける陽極
で、系内に存在する化合物の半分から電子が引き抜かれ
たときの電位を意味し、その化合物の基底状態における
HOMOのエネルギーレベルと近似的に一致すると考え
られている。
【0041】酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測
定することができる。この方法に関しては、例えばP. D
elahay著“New Instrumental Methods in Electrochemi
stry”(1954年 Interscience Publishers)やA. J. B
ard他著“Electrochemical Methods”(1980年 John W
iley & Sons)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984
年 技報堂出版社)に記載されている。
【0042】酸化電位の測定について具体的に説明す
る。酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラ
プロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチ
ルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被
験試料を1×10-4〜1×10 -6mol・dm-3の濃度
に溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポー
ラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に
対する値として測定する。また、用いる支持電解質や溶
媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを
選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶
媒については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年
技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
【0043】酸化電位の値は、液間電位差や試料溶液の
液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位するこ
とがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を用い
て校正することにより、測定された電位の値の再現性を
保証することができる。
【0044】本発明における酸化電位は、0.1mol
・dm-3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持
電解質として含むN,N−ジメチルホルムアミド中(化
合物の濃度は1×10-3mol・dm-3)で、参照電極
としてSCE(飽和カロメル電極)、作用極としてグラ
ファイト電極、対極として白金電極を使用し、直流ポー
ラログラフィーにより測定した値を使用する。
【0045】また、化合物の構造によっても酸化電位は
異なるため、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げる
ためには、元々酸化電位が貴である色素構造を選択した
ほうが、オゾンガス堅牢性の観点だけでなく、その他の
堅牢性、色相、物性などを調節するために電子求引性基
または電子供与性基を任意に導入することができるた
め、分子設計の観点からもより好ましいと言える。
【0046】例えば、求電子剤であるオゾンとの反応性
を下げるために、着色化合物の発色団近傍に電子求引性
基を導入し、好ましくは着色化合物の発色団に直接導入
して酸化電位をより貴とすることが好ましい。従って、
置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメット
の置換基定数σp値を用いれば、σp値が大きい置換基
を導入することにより酸化電位をより貴とすることがで
きる。
【0047】ハメットの置換基定数σp値について説明
する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に
及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.
P. Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今
日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められ
た置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は
多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、
J. A. Dean編“Lange's Handbook of Chemistry”第12
版(1979年 McGraw-Hill)や「化学の領域」増刊、122
号、96〜103頁(1979年 南光堂)に詳しい。
【0048】つぎに本発明の着色組成物に用いられる下
記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物につい
て詳細に説明する。本発明の着色組成物は、着色剤とし
て下記一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を
含有する。
【0049】
【化6】
【0050】上記一般式(I)において、R1、R4、R
5、R8、R9、R12、R13、及びR1 6は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複
素環基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボ
ニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒド
ロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオ
キシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテ
ロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリー
ルオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ
基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシ
カルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ
基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、アリ
ールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルお
よびアリールチオ基、アルキルおよびアリールスルホニ
ル基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、スルフ
ァモイル基、スルホ基、、ヘテロ環チオ基、アゾ基、イ
ミド基またはホスホリル基を表す。各々の基は、さらに
置換基を有していてもよい。
【0051】なかでも、水素原子、ハロゲン原子、脂肪
族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ
基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバ
モイル基、スルファモイル基およびアルコキシカルボニ
ル基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0052】R2、R3、R6、R7、R10、R11、R14
びR15は、それぞれ独立に、水素原子あるいは一般式
(II)で示される基を表す。但し、R2とR3、R6
7、R10とR11、及びR14とR15の各々につき、少な
くともいずれか一方が、下記一般式(II)で示される基
を表す。そしてこれら4個以上存在する一般式(II)で
示される基の少なくとも1つは、イオン性親水性基を置
換基として有する。
【0053】
【化7】
【0054】一般式(II)中、Xは酸素原子、硫黄原
子、置換基を有する窒素原子を表し、好ましくは酸素原
子、硫黄原子を表し、特に好ましいのは、酸素原子であ
る。Wは、置換可能な基を示し、その基はさらに置換基
またはイオン性親水性基をもつ置換基を有してもよい。
好ましくは脂肪族基、芳香族基、複素環基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウ
レイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、
アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スル
ホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ア
ルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、ア
シルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ
基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカル
ボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリ
ル基、またはアシル基を表す。これらの基はさらに置換
基またはイオン性親水性基を持つ置換基を有してもよ
い。特に好ましくは、置換もしくは無置換の脂肪族基、
置換もしくは無置換の芳香族基、置換もしくは無置換の
複素環基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換も
しくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換
のアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置
換もしくは無置換のアリールチオ基である。
【0055】置換基としてのイオン性親水性基には、ス
ルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基(−CO
2 -+)、および4級アンモニウム基(-N+RR'R''X
-)、アシルスルファモイル基(−SO2-+CO
R)、スルホニルカルバモイル基(−CON-+SO2
−R)、スルホニルスルファモイル基(−SO2-+
SO2−R)等が含まれる。好ましくは、スルホ基、カ
ルボキシル基および4級アンモニウム基であり、特にス
ルホ基が好ましい。スルホ基、カルボキシル基、アシル
スルファモイル基、スルホニルカルバモイル基およびス
ルホニルスルファモイル基は塩の状態であってもよく、
塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン
(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイ
オン)、有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウム
イオン)、有機およびまたは無機アニオン(例、ハロゲ
ンイオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン
酸イオン)が含まれる。なお、上記カッコ内のXは、水
素原子または対イオン、R、R'、R''は置換基を表
す。
【0056】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7
8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、及び
16が、更に有することが可能な置換基としては、下記
の置換基を挙げることができる。
【0057】ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原
子);炭素数1〜12の直鎖状または分岐鎖状アルキル
基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数2〜12の
アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アル
キニル基、炭素数3〜12の側鎖を有していてもよいシ
クロアルキル基、炭素数3〜12の側鎖を有していても
よいシクロアルケニル基(例えばメチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニ
ルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチ
ル、シクロペンチル);アリール基(例えば、フェニ
ル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミル
フェニル);ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラ
ゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2
−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル);アルキルオ
キシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエ
トキシ、2−メタンスルホニルエトキシ);アリールオ
キシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、
4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3
−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ);アシル
アミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタン
アミド);アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、
ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミ
ノ);アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロ
ロアニリノ);ウレイド基(例えば、フェニルウレイ
ド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド);ス
ルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルス
ルファモイルアミノ);アルキルチオ基(例えば、メチ
ルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ);
アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ
−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェ
ニルチオ);アルキルオキシカルボニルアミノ基(例え
ば、メトキシカルボニルアミノ);スルホンアミド基
(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンア
ミド、p−トルエンスルホンアミド);カルバモイル基
(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチル
カルバモイル);スルファモイル基(例えば、N−エチ
ルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイ
ル、N,N−ジエチルスルファモイル);スルホニル基
(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベ
ンゼンスルホニル、トルエンスルホニル);アルキルオ
キシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチ
ルオキシカルボニル);ヘテロ環オキシ基(例えば、1
−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒド
ロピラニルオキシ);アゾ基(例えば、フェニルアゾ、
4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェ
ニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニル
アゾ);アシルオキシ基(例えば、アセトキシ);カル
バモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオ
キシ、N−フェニルカルバモイルオキシ);シリルオキ
シ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチ
ルシリルオキシ);アリールオキシカルボニルアミノ基
(例えば、フェノキシカルボニルアミノ);イミド基
(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド);
ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、
2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−
6−チオ、2−ピリジルチオ);スルフィニル基(例え
ば、3−フェノキシプロピルスルフィニル);ホスホリ
ル基(例えば、フェノキシホスホリル、オクチルオキシ
ホスホリル、フェニルホスホリル);アリールオキシカ
ルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル);アシル
基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベ
ンゾイル);イオン性親水性基(例えば、カルボキシル
基、スルホ基、および4級アンモニウム基);その他シ
アノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げ
られる。
【0058】以下、R1、R4、R5、R8、R9、R12
13、R16で表される置換基について詳しく説明する。
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アル
キル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル
基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラル
キル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していても良
く、また環を形成していても良い。脂肪族基の炭素原子
数は、1〜20であることが好ましく、1〜16である
ことが更に好ましい。アラルキル基および置換アラルキ
ル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであるこ
とが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例
には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブ
チル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチ
ル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−ス
ルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェ
ネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることがで
きる。
【0059】本明細書において、芳香族基は、置換基を
有する芳香族基および無置換の芳香族基を意味する。芳
香族基は、フェニルまたはナフチルであることが好まし
く、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は
6〜20であることが好ましく、6〜16が更に好まし
い。芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メ
トキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−
スルホプロピルアミノ)フェニル、2,6−ジエチルフ
ェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジ
メチル−4−スルホフェニル基、2,4−ジスルホフェ
ニルが含まれる。R4,R5,R6,R7の導入位の窒素原
子の置換基が水素原子である場合、その窒素原子に導入
する芳香族基の例には、アニリンのオルト位に置換基を
有するものが好ましい。例えば、 o−クロロフェニル
およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル、o
−シアノフェニル、2,6−ジエチルフェニル、2,
4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメチル−4−
スルホフェニル基、2,4−ジスルホフェニルが含まれ
る。
【0060】複素環基には、置換基を有する複素環基お
よび無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、
芳香族環または他の複素環が縮合していても良い。複素
環基としては、5員または6員環の複素環基が好まし
い。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキ
ルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミ
ノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親
水性基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジ
ル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾ
チアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フ
リル基が含まれる。 R4,R5,R6,R7の導入位の窒
素原子の置換基が水素原子である場合、その窒素原子に
導入する複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエ
ニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、
2−ベンゾオキサゾリル基、2−イミダゾリル基、2−
インドレニル基、2−トリアジニル基、2−オキサゾリ
ル基、2−キノリニル基、2−キノキサニル基、3−イ
ンダゾリル基等が含まれる。
【0061】カルバモイル基には、置換基を有するカル
バモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。
置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイル
基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカル
バモイル基が含まれる。
【0062】アルコキシカルボニル基には、置換基を有
するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシ
カルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基とし
ては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基
が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含ま
れる。
【0063】アリールオキシカルボニル基には、置換基
を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のア
リールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシ
カルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリー
ルオキシカルボニル基が好ましい。置換基には、イオン
性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の
例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0064】アシル基には、置換基を有するアシル基お
よび無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、
炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の
例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例に
は、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0065】アルコキシ基には、置換基を有するアルコ
キシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコ
キシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基
が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキ
シル基、およびイオン性親水性基が含まれる。アルコキ
シ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキ
シ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基およ
び3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0066】アリールオキシ基には、置換基を有するア
リールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含ま
れる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜1
2のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、ア
ルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。アリ
ールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフ
ェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれ
る。
【0067】アシルオキシ基には、置換基を有するアシ
ルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。
アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシル
オキシ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性
基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基
およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0068】カルバモイルオキシ基には、置換基を有す
るカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオ
キシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含ま
れる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカル
バモイルオキシ基が含まれる。
【0069】アミノ基は、アルキル基または芳香族基ま
たは複素環基で置換されていてもよく、その置換基は、
さらに置換基を有していても良い。アルキルアミノ基と
しては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好まし
い。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。ア
ルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチ
ルアミノ基が含まれる。アリールアミノ基には、置換基
を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミ
ノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子
数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の
例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、およびイ
オン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例とし
ては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれ
る。
【0070】アシルアミノ基には、置換基を有するアシ
ルアミノ基が含まれる。アシルアミノ基としては、炭素
原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。置換基
の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ
基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ
基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ
および3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれ
る。
【0071】ウレイド基には、置換基を有するウレイド
基および無置換のウレイド基が含まれる。ウレイド基と
しては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好まし
い。置換基の例には、アルキル基および芳香族基が含ま
れる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、
3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイ
ド基が含まれる。
【0072】スルファモイルアミノ基には、置換基を有
するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモ
イルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基
が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N,N
−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0073】アルコキシカルボニルアミノ基には、置換
基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換
のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキ
シカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12
のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の
例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカル
ボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基
が含まれる。
【0074】アリールオキシカルボニルアミノ基には、
置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基およ
び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれ
る。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素
原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基
が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含ま
れる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例に
は、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0075】アルキルおよびアリールスルホニルアミノ
基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルホ
ニルアミノ基、および無置換のアルキルおよびアリール
スルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基と
しては炭素原子数が1〜12のスルホニルアミノ基が好
ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれ
る。スルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルア
ミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベン
ゼンスルホニルアミノ基、および3−カルボキシベンゼ
ンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0076】アルキル、アリールおよび複素環チオ基に
は、置換基を有するアルキル、アリールおよび複素環チ
オ基と無置換のアルキル、アリールおよび複素環チオ基
が含まれる。アルキル、アリールおよび複素環チオ基と
しては、炭素原子数が1〜12のものが好ましい。置換
基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル、
アリールおよび複素環チオ基の例には、メチルチオ基、
2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0077】アルキルおよびアリールスルフィニル基の
例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニ
ルスルフィニル基を挙げることができる。アルキルおよ
びアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタ
ンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げ
ることができる。
【0078】スルファモイル基には、置換基を有するス
ルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含ま
れる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルフ
ァモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基および
ジー(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含ま
れる。
【0079】ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素
原子および臭素原子が挙げられる。
【0080】アゾ基には、置換基を有するアゾ基および
無置換のアゾ基が含まれる。アゾ基の例には、p−ニト
ロフェニルアゾ基が含まれる。
【0081】シリルオキシ基には、置換基を有するシリ
ルオキシ基および無置換のシリルオキシ基が含まれる。
置換基の例には、アルキル基が含まれる。シリルオキシ
基の例には、トリメチルシリルオキシ基が含まれる。
【0082】イミド基には、置換基を有するイミド基お
よび無置換のイミド基が含まれる。イミド基の例には、
N−フタルイミド基およびN−スクシンイミド基が含ま
れる。
【0083】ホスホリル基には、置換基を有するホスホ
リル基および無置換のホスホリル基が含まれる。ホスホ
リル基の例には、フェノキシホスホリル基およびフェニ
ルホスホリル基が含まれる。
【0084】スルホニル基には、置換基を有するスルホ
ニル基および無置換のスルホニル基が含まれる。置換基
の例には、アルキル基、アリ−ル基が含まれる。スルホ
ニル基の例には、メタンスルホニル基およびフェニルス
ルホニル基が含まれる。
【0085】スルフィニル基には、置換基を有するスル
フィニル基および無置換のスルフィニル基が含まれる。
置換基の例には、アルキル基、アリ−ル基が含まれる。
スルフィニル基の例には、フェニルスルフィニル基が含
まれる。
【0086】Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、
金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。Mとし
て好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、
Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、M
n、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、A
u、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi
等が挙げられる。酸化物としては、VO、GeO等が好まし
く挙げられる。 また、水酸化物としては、Si(OH)2、Cr
(OH)2、Sn(OH)2等が好ましく挙げられる。さらに、ハロ
ゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、Fe
Cl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。なかでも特に、Cu、
Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0087】また、一般式(I)で表されるフタロシア
ニン化合物は、L(2価の連結基)を介してPc(フタ
ロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L-M−
Pc)または3量体を形成してもよく、そのとき複数個
存在するMは、それぞれ同一であっても異なるものであ
ってもよい。
【0088】Lで表される2価の連結基は、オキシ基−
O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニ
ル基−SO2−、イミノ基−NH−、メチレン基−CH2
−、及びこれらを組み合わせて形成される基が好まし
い。
【0089】一般式(I)で表されるフタロシアニン化
合物の分子量は、680〜3500の範囲であるものが
好ましい。中でも900〜3000の範囲の分子量のも
のがより好ましく、その中でも900〜2500の範囲
の分子量のものが特に好ましい。
【0090】前記一般式(I)で表されるフタロシアニ
ン化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の通り
である。
【0091】(イ)R1、R4、R5、R8、R9、R12
13、及びR16に関しては、これらが、それぞれ独立
に、水素原子またはハロゲン原子、シアノ基であり、特
に水素原子またはハロゲン原子であり、その中でも水素
原子であるのが最も好ましい。 (ロ)R2、R3、R6、R7、R10、R11、R14及びR15
に関しては、これらが、それぞれ独立に、水素原子また
は一般式(II)で示される基であることが好ましく、特
に、R2及びR3、R6及びはR7、R10及びR11、R14
びR15の各組み合わせにおいて、少なくともいずれか一
方が一般式(II)で示される基であることが好ましく、
その中でも、一般式(II)で示される基の置換基にイオ
ン性親水性基含むものが最も好ましい。 (ハ)一般式(II)中のWとしてより好ましいのは、脂
肪族基、芳香族基、複素環基、アルコキシ基、アリール
オキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、ス
ルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド
基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカ
ルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ
基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリール
オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ
基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、または
アシル基である。これらの基はさらに置換基またはイオ
ン性親水性基を持つ置換基を有してもよい。特に好まし
くは、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無
置換の芳香族基、置換もしくは無置換の複素環基、置換
もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の
アリールオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、置
換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置
換のアリールチオ基である。 (ニ)Mは、Cu、Ni、ZnまたはAlであることが
好ましく、なかでもCuであることが最も好ましい。 (ホ)一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物一
分子中、イオン性親水性基を少なくとも1個以上有する
ことが好ましく、特に、イオン性親水性基がスルホ基お
よび4級アンモニウムであるのが好ましい、その中でも
スルホ基を少なくとも1個以上有することが最も好まし
い。 (へ)一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物の
分子量は、680〜3500の範囲であるものが好まし
い。中でも900〜3000の範囲の分子量のものが好
ましく、その中でも、900〜2500の範囲の分子量
のものが特に好ましい。
【0092】一般式(I)で表されるフタロシアニン化
合物の中でも、上記一般式(III)で表される構造のフ
タロシアニン化合物がさらに好ましい。以下に、本発明
の一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物につ
いて詳しく述べる。
【0093】
【化8】
【0094】一般式(III)中、X1、X2、X3、および
4は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子あるいは
置換基を有するアミノ基を表し、好ましくは、それぞれ
独立に、酸素原子あるいは硫黄原子を表す。X1、X2
3、およびX4の全てが酸素原子である場合がさらに好
ましい。
【0095】Y1、Y2、Y3、及びY4は、それぞれ独立
に、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アルコキシ基、ア
リールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド
基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンア
ミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキ
シカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオ
キシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリ
ールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルア
ミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、ま
たはアシル基を表し、各々はさらに置換基を有していて
もよく、且つ、Y1、Y2、Y3、及びY4の少なくとも1
つは、イオン性親水性基を置換基として有する。中で
も、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置
換の芳香族基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換
もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の
アリールオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基が好
ましく、その中でも、置換もしくは無置換のアルキル
基、または置換もしくは無置換のアリール基、置換もし
くは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリ
ールオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基が特に好
ましい。
【0096】Y1、Y2、Y3、及びY4が表す基は上記で
示したR1、R4、R5、R8、R9、R12、R13、R16
場合と同じで、好ましい具体例も同じである。
【0097】l、m、n、pは、それぞれ独立に好まし
くは0<l+m+n+p≦8を満たす0〜2の整数で、
より好ましくは4≦l+m+n+p≦6を満たす1また
は2の整数であり最も好ましくは各々が1(l=m=n
=p=1)である。
【0098】一般式(III)においてMは、上記一般式
(I)中のMと各々同義であり、好ましい例も同様であ
る。一般式(III)で説明した各基は更に置換基を有し
ていても良い。これらの各基が更に置換基を有する場
合、該置換基としては、一般式(I)で説明した置換
基、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16で例示した
基やイオン性親水性基が挙げられる。
【0099】一般式(III)で表されるフタロシアニン
化合物として特に好ましい化合物は、下記(イ)〜
(ホ)の組み合わせを有する化合物である。 (イ)X1、X2、X3、X4は、それぞれ独立に酸素原
子、硫黄原子あるいは置換基を有するアミノ基であり、
特に好ましいのは酸素原子あるいは硫黄原子であり、そ
の中でも特に好ましいのが酸素原子である。 (ロ)Y1、Y2、Y3、Y4は、それぞれ独立に、置換も
しくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換の芳香族
基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換もしくは無
置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオ
キシ基、置換もしくは無置換のアミノ基が好ましく、そ
の中でも、置換もしくは無置換のアルキル基、または置
換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の
アルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ
基、置換もしくは無置換のアミノ基が特に好ましい。し
かもY1、Y2、Y3、及びY4の少なくとも1つは、イオ
ン性親水性基を置換基として有する。該イオン性親水性
基には、スルホ基(−SO3 -+)、カルボキシル基
(−CO2 -+)、および4級アンモニウム基(-N+
R’R’’X-)、アシルスルファモイル基(−SO2
-+COR)、スルホニルカルバモイル基(−CON-
+SO2−R)、スルホニルスルファモイル基(−SO
2-+SO2−R)等が含まれる。好ましくは、スルホ
基、カルボキシル基および4級アンモニウム基であり、
特にスルホ基が好ましい。スルホ基、カルボキシル基、
アシルスルファモイル基、スルホニルカルバモイル基お
よびスルホニルスルファモイル基は塩の状態であっても
よく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イ
オン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウ
ムイオン)、有機カチオン(例、テトラメチルグアニジ
ウムイオン)、有機およびまたは無機アニオン(例、ハ
ロゲンイオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスル
ホン酸イオン)が含まれる。なお、上記カッコ内のX
は、水素原子または対イオン、R、R’、R’’は置換
基を表す。 (ハ) l、m、n、pは、それぞれ独立に、好ましく
は0<l+m+n+p≦8を、より好ましくは4≦l+
m+n+p≦6を満たす1または2の整数であり、各々
が1(l=m=n=p=1)であることが最も好まし
い。 (ニ)Mは、Cu、Ni、ZnまたはAlであることが
好ましく、中でもCuであることが最も好ましい。
【0100】尚、前記一般式(III)で表される化合物
の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換
基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が
好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基で
ある化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好まし
い基である化合物が最も好ましい。
【0101】上記一般式(III)で表されるフタロシア
ニン化合物の分子量は680〜3500の範囲が好まし
く、更に900〜3000の範囲の分子量が好ましく、
その中でも900〜2500の範囲の分子量が好まし
く、特に900〜2000の範囲の分子量が最も好まし
い。
【0102】上記一般式(III)で表されるフタロシア
ニン化合物一分子中、イオン性親水性基を少なくとも1
個以上有するものが好ましく、特に、イオン性親水性基
がスルホ基であるのが好ましい、その中でもスルホ基を
少なくとも2個以上有するものが最も好ましい。
【0103】一般式(III)で表されるフタロシアニン
化合物は、分子内に少なくとも2つのイオン性親水性基
を有していると、水性媒体中に対する溶解性または分散
性が良好となる。
【0104】なお、一般式(III)で表される化合物の
好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基
の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好
ましく、より多くの種々の置換基が前記の好ましい基で
ある化合物がより好ましく、全ての置換基が前記の好ま
しい基である化合物が最も好ましい。
【0105】一般に、インクジェット記録用インク組成
物として種々のフタロシアニン誘導体を使用することが
知られている。下記一般式(IV)で表されるフタロシア
ニン誘導体は、その合成時において不可避的に置換基R
n(n=1〜16)の置換位置(R1:1位〜R16:1
6位とここで定義する)異性体を含む場合があるが、こ
れら置換位置異性体は互いに区別することなく同一誘導
体として見なしている場合が多い。また、Rの置換基に
異性体が含まれる場合も、これらを区別することなく、
同一のフタロシアニン誘導体として見なしている場合が
多い。
【0106】
【化9】
【0107】本明細書中で定義するフタロシアニン化合
物において構造が異なる場合とは、一般式(8)で説明
すると、置換基Rn(n=1〜16)の構成原子種が異
なる場合、置換基Rnの数が異なる場合または置換基R
nの位置が異なる場合の何れかである。
【0108】本発明において、上記一般式(III)で表
されるフタロシアニン化合物の構造が異なる(特に、置
換位置)誘導体を以下の三種類に分類して定義する。
【0109】(1)β−位置換型:(2及びまたは3
位、6及びまたは7位、10及びまたは11位、14及
びまたは15位に特定の置換基を有するフタロシアニン
化合物) (2)α−位置換型:(1及びまたは4位、5及びまた
は8位、9及びまたは12位、13及びまたは16位に
特定の置換基を有するフタロシアニン化合物) (3)α,β−位混合置換型:(1〜16位に規則性な
く、特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)
【0110】本明細書中において、構造が異なる(特
に、置換位置)フタロシアニン化合物の誘導体を説明す
る場合、上記(1)β−位置換型、(2)α−位置換
型、(3)α,β−位混合置換型を使用する。
【0111】本発明に用いられるフタロシアニン誘導体
は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行
「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、
C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共
著、VCH発行‘Phthalocyanines−P
roperties and Application
s’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに
類似の方法を組み合わせて合成することができる。
【0112】本発明の一般式(III)で表されるフタロ
シアニン化合物は、例えば下記一般式(V)で表される
フタロニトリル誘導体及び/または下記一般式(VI)で
表される無水フタル酸誘導体と下記一般式(VII)で表
される金属誘導体を反応させることにより合成される。
なお、一般式(V)式及び/または一般式(VI)中、t
は一般式(III)中のl、m、n、pと同義である。
【0113】
【化10】
【0114】一般式(VII):M−(Y)d 一般式(VII)中、Mは上記一般式(I)、(III)のM
と同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセ
チルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を
示し、dは1〜4の整数である。一般式(VII)で示さ
れる金属誘導体としては、Al、Si、Ti、V、M
n,Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、R
h、Pd、In、Sn、Pt、Pbのハロゲン化物、カ
ルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、
酸化物、錯体等が挙げられる。具体例としては、塩化
銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢
酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバル
ト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜
鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パ
ラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マ
ンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩
化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チ
タン、塩化スズ等が挙げられる。
【0115】金属誘導体と一般式(V)で示されるフタ
ロニトリル化合物の使用量は、モル比で1:3〜1:6
が好ましい。また、金属誘導体と一般式(VI)で示され
る無水フタル酸誘導体の使用量は、モル比で1:3〜
1:6が好ましい。
【0116】反応は、通常、溶媒の存在下に行われる。
溶媒としては、沸点80℃以上、好ましくは130℃以
上の有機溶媒が用いられる。例えばn−アミルアルコー
ル、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチ
ル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタ
ノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、
ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、エトキ
シエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノ
ール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタ
ノール、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、スル
フォラン、ニトロベンゼン、キノリン、尿素等がある。
溶媒の使用量はフタロニトリル化合物の1〜100質量
倍、好ましくは5〜20質量倍である。
【0117】反応において、触媒として1,8−ジアザ
ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)或
いはモリブデン酸アンモニウムを添加しても良い。添加
量はフタロニトリル化合物及び/又はジイミノイソイン
ドリン誘導体1モルに対して、0.01〜10倍モル、
好ましくは0.01〜2倍モルである。
【0118】反応温度は、80〜300℃、好ましくは
100〜250℃の反応温度の範囲にて行なうのが好ま
しく、130〜230℃の反応温度の範囲にて行なうの
が特に好ましい。80℃未満では反応速度が極端に遅
い。300℃を越えるとフタロシアニン化合物の分解が
起こる可能性がある。
【0119】反応時間は2〜20時間、好ましくは5〜
15時間の反応時間の範囲にて行なうのが好ましく、5
〜10時間の反応時間の範囲にて行なうのが特に好まし
い。2時間未満では未反応原料が多く存在し、20時間
を越えるとフタロシアニン化合物の分解が起こる可能性
がある。
【0120】これらの反応によって得られる生成物は通
常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精
製してあるいは精製せずに製品として用いられる。即
ち、例えば、反応系から遊離したものを精製せずに、あ
るいは再結晶やカラムクロマトグラフィー(例えば、ゲ
ルパーメーションクロマトグラフィ(SEPHADEX
TMLH−20:Pharmacia製)等にて精製する
操作を単独、あるいは組み合わせて行ない、製品として
提供することができる。また、反応終了後、反応溶媒を
留去して、あるいは留去せずに水、または氷に投入し、
中和してあるいは中和せずに遊離したものを精製せず
に、あるいは再結晶、カラムクロマトグラフィー等にて
精製する操作を単独に、あるいは組み合わせて行なった
後、製品として提供することができる。また、反応終了
後、反応溶媒を留去して、あるいは留去せずに水、また
は氷に投入し、中和してあるいは中和せずに、有機溶媒
/水溶液にて抽出したものを精製せずに、あるいは晶
析、カラムクロマトグラフィーにて精製する操作を単独
あるいは組み合わせて行なった後、製品として提供する
ことができる。
【0121】かくして得られる、前記一般式(III)で
表されるフタロシアニン化合物(例えば:l=m=n=
p=1の場合)は、通常、R1(C(=X1)−Y1)、
2(C(=X2)−Y2)、R3(C(=X3)−Y3)、
4(C(=X4)−Y4)、の各置換基の導入位置(導
入位置はβ位であることは共通)における異性体である
下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の
混合物となっている。
【0122】
【化11】
【0123】すなわち、上記一般式(a)−1〜(a)
−4で表される化合物は、β-位置換型(2及びまたは
3位、6及びまたは7位、10及びまたは11位、14
及びまたは15位に特定の置換基を有するフタロシアニ
ン化合物)であり、α位置換型及びα,β−位混合置換
型とは全く構造の異なる(特定の置換基の導入位置が異
なる)化合物であり、本発明の目的を達成する手段とし
て極めて重要な構造上の特徴である。
【0124】以下に、本発明のフタロシアニン化合物の
構造と性能の相関について、(1)画像形成用着色組成
物に用いられる色素に対する要求特性、と(2)画像形
成用着色組成物(インク)に対する要求特性、とに分け
て説明する。
【0125】(1)画像形成用着色組成物に用いられる
色素(本発明のフタロシアニン化合物)に対する要求特
性:
【0126】<1>本発明では、例えば一般式(I)中
のR2、R3、R6、R7、R10、R11、R14及びR15で表
される、特定の置換基が堅牢性の向上に非常に非常に重
要である。
【0127】酸化電位(Eox)の値は試料から電極への
電子の移りやすさを表し、その値が大きい(酸化電位が
貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言
い換えれば、酸化されにくいことを表す。
【0128】フタロシアニン化合物の構造との関連で
は、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより
貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位
はより卑となる。
【0129】本発明では、例えば求電子剤であるオゾン
との反応性を下げるために、フタロシアニン骨格に電子
求引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望ま
しい。
【0130】従って、電子求引性としての上記特定の置
換基R2、R3、R6、R7、R10、R 11、R14及びR
15を、特定の位置(β−位置換型)に特定の数{例え
ば、一般式(V)で表されるフタロシアニン母核で説明
すると、(2位及びまたは3位)、(6位及びまたは7
位)、(10位及びまたは11位)、(14位及びまた
は15位)の各組に少なくとも上記の特定の置換基を1
個以上含有する}、フタロシアニン母核に選択的に導入
した化合物が、対応するフタロシアニン化合物の酸化電
位をより貴とすることができると言える。
【0131】すなわち、本発明の目的の一つである形成
画像の保存性改良(耐光性・耐オゾンガス性等)を達成
する手段として極めて重要な構造上の特徴(フタロシア
ニン化合物の酸化電位を支配する)である。
【0132】<2>本発明の一般式(I)および一般式
(III)で表されるフタロシアニン化合物は、上記β−
位置換型(2及びまたは3位、6及びまたは7位、10
及びまたは11位、14及びまたは15位に特定の置換
基を有するフタロシアニン化合物)にあたる。本発明
は、上記β-位置換型(2及びまたは3位、6及びまた
は7位、10及びまたは11位、14及びまたは15位
に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)に由来
する、水溶性フタロシアニン化合物の会合体を有効利用
している。フタロシアニン化合物の会合体とは、2分子
以上のフタロシアニン分子が会合体を形成したものをい
う。
【0133】本発明者は、上記フタロシアニン化合物の
会合体を利用することにより、単分子分分散状態におけ
るよりも光や熱及び酸化性ガス(特にオゾンガス)に対
する安定性が著しく向上することを見いだした。
【0134】<3>更に、会合体を形成することで形成
画像のスペクトル特性(シアン色相:画像形成材料用シ
アン染料として優れた吸収特性)が著しく良化し、且
つ、各種被記録材差(例えば、普通紙、インクジェット
用専用紙等)に起因する紙依存性が極めて小さい{色相
(色再現性)良好・耐水性向上;例えば、強固な会合体
により、存在状態または媒染状態の差が小さいことに起
因する}ことも見いだした。
【0135】尚、染料が会合しているか否かは、例えば
Wright,J.D.著(江口太郎訳)「分子結晶」(化学同
人) で説明されているように、吸収スペクトルにおけ
る吸収極大(λmax)のシフトから容易に判断すること
ができ、一般的には、長波側にシフトするJ会合体、短
波側にシフトするH会合体の2つに分類される。本発明
においては、水溶性フタロシアニン会合体は吸収極大が
短波側にシフトすることで会合体を形成し、この会合体
を利用している。
【0136】故に、本発明の水溶性フタロシアニン化合
物の構造上の特徴、すなわち、特定の置換基を特定の位
置(β-位置換型)に特定の数、フタロシアニン母核に
導入した化合物が、会合状態を促進して形成画像の堅牢
性と色相において最も好ましい構造であることを見出す
に至った。
【0137】すなわち、上述のフタロシアニン化合物の
構造上の特徴は、フタロシアニン化合物の会合性促進を
支配し、本発明の目的の一つである(1)形成画像の保
存性改良を達成する手段、および、もう一つの目的であ
る(2)形成画像の極めて良好なスペクトル特性(シア
ン色相:画像形成材料用シアン染料として優れた吸収特
性)を有し、且つ、(3)各種被記録材(例えば、普通
紙、インクジェット用専用紙等)差に起因する紙依存性
が小さいことを達成するための極めて重要な構造上の特
徴である。
【0138】本明細書において、オゾンガス耐性と称し
ているのは、オゾンガスに対する耐性を代表させて称し
ているのであって、オゾンガス以外の酸化性雰囲気に対
する耐性をも含んでいる。すなわち、上記の本発明に係
る一般式(I)で示されるフタロシアニン化合物は、自
動車の排気ガスに多い窒素酸化物、火力発電所や工場の
排気に多い硫黄酸化物、これらが太陽光によって光化学
的にラジカル連鎖反応して生じたオゾンガスや酸素−窒
素や酸素−水素ラジカルに富む光化学スモッグ、美容院
などの特殊な薬液を使用する場所から発生する過酸化水
素ラジカルなど、一般環境中に存在する酸化性ガスに対
する耐性が強いことが特長である。したがって、屋外広
告や、鉄道施設内の案内など画像の酸化劣化が画像寿命
を制約している場合には、本発明に係るフタロシアニン
化合物を画像形成材料として用いることによって、酸化
性雰囲気耐性、すなわち、いわゆるオゾンガス耐性を向
上させることができる。
【0139】以上纏めると、本発明ではいずれの置換型
においても、例えば一般式(I)中のR2、R3、R6
7、R10、R11、R14及びR15で表される、特定の置
換基が堅牢性の向上(高酸化電位)に非常に重要である
ことが見出され、更に、特定の置換基を特定の位置(例
えば、α-位置換型および/またはα,β-位混合置換型
よりは圧倒的にβ-位置換型の方がより好ましい)に特
定の数{例えば、フタロシアニン化合物1分子あたり4
個以上8個以下でかつ一般式(III)で表されるフタロ
シアニン母核で説明すると、(2位及びまたは3位)、
(6位及びまたは7位)、(10位及びまたは11
位)、(14位及びまたは15位)の各組に少なくとも
特定の置換基を1個以上含有する}、フタロシアニン母
核に選択的に導入した誘導体(会合性促進)が、本発明
の目的を達成する手段として極めて重要な構造上の特徴
を有するフタロシアニン化合物であることを確認した。
【0140】すなわち、本発明の目的を達成した原因は
詳細には不明ではあるが、良好な分光吸収特性(フタ
ロシアニン化合物の会合状態の促進);高い画像堅牢
性(高酸化電位と強固な会合状態の促進により、例え
ば、フタロシアニン化合物と親電子試薬であるオゾンガ
スとの酸化反応による褪色を抑制する)を有する本発明
のフタロシアニン化合物の、特定の置換基を特定の置換
位置に特定の数だけ選択的に導入による、高酸化電位で
且つ完全β-位置換型フタロシアニン化合物会合体によ
るものと考えられる。
【0141】(2)画像形成用着色組成物(本発明のフ
タロシアニン化合物を含有するインクジェット用イン
ク)に対する要求特性 上述したように、画像形成用着色組成物(例えば、イン
クジェット用インク)に対する要求特性は、(1)イン
クの粘度、表面張力、比電導度、密度、pH等の物性値
が適当であること;(2)インクの長期保存安定性が良
好であること;(3)溶解成分の溶解安定性が高く、ノ
ズルを目詰まりさせないこと;(4)被記録材での速乾
性が良好であること;(5)記録画像が鮮明であり、耐
光性、耐水性が良好であることなどである。
【0142】更に、水系インクの場合、水溶性染料を使
用しているため、特に記録画像に水が掛かった場合は染
料が溶出し、記録画像が滲んだり、消失してしまうなど
耐水性に大きな問題がある。
【0143】現在まで、上述(1)〜(5)および
(6)耐水性の向上;を主眼とした様々の検討がなされ
ているが、従来のインクはこれら全ての特性を満足する
には至っていなかった。
【0144】<1>本発明のフタロシアニン化合物を用
いた着色組成物(以下、インクジェット記録用インクと
もいう)は、上記要求特性(1)〜(6)を満足させる
狙いで、本発明のフタロシアニン化合物の好ましい分子
量の範囲を規定した。
【0145】すなわち、フタロシアニン化合物の母核に
画像形成用着色組成物としての最適な機能性基を導入す
るため、フタロシアニン化合物の分子量は必然的に増加
する。
【0146】一方、シアン色素(シアン画像形成用着色
組成物に用いる色素)としてのフタロシアニン化合物の
発色団(特定のフタロシアニン色素母核)に起因するモ
ル吸光係数(ε)は、分子量増加と共に減少する。
【0147】例えば、インクジェット記録用インクとし
て上記フタロシアニン化合物を用いる場合、シアン画像
は鮮明で発色濃度が高く且つマゼンタ、イエローおよび
ブラック染料とともに用いた場合の広い可視領域の色調
を色出しすることができる(色再現域が広い)ことが必
要である。
【0148】故に、ある領域以上の分子量を有する上記
フタロシアニン化合物を用いる場合、例えば水性インク
ジェット記録用インクを調整時、水を媒体として調整す
るが、上記フタロシアニン化合物を該水性インクジェッ
ト記録用インク中に含有する最適な質量%の範囲を超え
て使用しなければならない。
【0149】そこで、本発明のフタロシアニン化合物
(フタロシアニン化合物の母核に画像形成用着色組成物
としての最適な機能性基を導入した誘導体)の最適な分
子量の範囲は、シアン画像形成用着色組成物に用いる色
素の使用量から算出して、インクの要求特性を満足させ
るべく検討した結果、本発明のフタロシアニン化合物を
前記記載の分子量の範囲に規定することにより上記要求
特性(1)〜(6)を満足させるに至った。
【0150】<2>本発明のフタロシアニン化合物を用
いた着色組成物(以下、インクジェット記録用インクと
もいう)は、上記要求特性(1)〜(6)を満足させる
狙いで、本発明のフタロシアニン化合物の好ましいフタ
ロシアニン母核に導入する特定の置換基(位置選択的に
導入する機能性基)の種類を規定した。
【0151】ここで、上述の画像形成用着色組成物に用
いられる色素に対する要求特性との両立の関係から、例
えば、上記一般式(I)中の特定の置換基R2、R3、R
6、R7、R10、R11、R14及びR15に注目した。
【0152】更に詳しくは、上記一般式(III)中の特
定の置換基{-C(=X)-Y}の-Y部に着目して、鋭意検討し
た結果、前述の好ましい置換基例で挙げた特定の置換基
種を用いることにより、上記要求特性(1)〜(6)を
満足させるに至った。
【0153】以上、本発明のフタロシアニン化合物の構
造と性能の相関について、(1)画像形成用着色組成物
に用いられる色素に対する要求特性と、(2)画像形成
用着色組成物(インク)に対する要求特性とを、分けて
説明したが、これらの特定の置換基による構造上の特徴
によってもたらされる色相・光堅牢性・オゾンガス耐性
等の向上効果並びに画像形成用着色組成物(インク)に
対する要求特性の付与は、前記先行技術から全く予想す
ることができないものである。
【0154】本発明のフタロシアニン化合物の具体例
を、下記表1〜表9(例示化合物101〜191)に示
すが、本発明に用いられるフタロシアニン化合物は、下
記の例に限定されるものではない。
【0155】下記表1〜表7中、一般式(VIII)は(m
+n)価のフタロシアニン基(置換基Rの導入位置は、
本発明で定義したβ位置換型である)を表す。Rは、各
々独立にR1および/またはR2を表し、tは、各々独立
に1〜2の数を表す。mは0〜8の数を表し、nは0〜
8の数を表す。但し、mおよびnはそれぞれ独立に、0
<m+n≦8を満たす数を表す。
【0156】
【化12】
【0157】
【表1】
【0158】
【表2】
【0159】
【表3】
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
【表6】
【0163】
【表7】
【0164】
【表8】
【0165】
【表9】
【0166】上記フタロシアニン化合物は、着色組成
物、好ましくは画像形成用着色組成物として用いること
ができる。
【0167】上記フタロシアニン化合物の用途として
は、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材
料が挙げられ、具体的には、以下に詳述するインクジェ
ット方式記録材料を始めとして、感熱転写型画像記録材
料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転
写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等で
あり、好ましくはインクジェット方式記録材料、感熱転
写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であ
り、更に好ましくはインクジェット方式記録材料であ
る。また、米国特許4808501号明細書、特開平6
−35182号公報などに記載されているLCDやCC
Dなどの固体撮像素子で用いられているカラーフィルタ
ー、各種繊維の染色のための染色液にも適用できる。上
記フタロシアニン化合物は、その用途に適した溶解性、
熱移動性などの物性を、置換基により調整して使用す
る。また、用いられる系に応じて均一な溶解状態、乳化
分散のような分散された溶解状態、固体分散状態で使用
する事が出来る。
【0168】[インクジェット記録用インク]次に本発
明のインクジェット記録用インクについて説明する。イ
ンクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中
に前記フタロシアニン化合物を溶解及び/又は分散させ
ることによって作製することができる。好ましくは、水
性媒体を用いたインクである。必要に応じてその他の添
加剤が、本発明の効果を害しない範囲内において含有さ
れる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤
(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫
外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調
整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆
剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これら
の各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直
接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合に
は、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的で
あるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
【0169】乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用
いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用
インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で
好適に使用される。
【0170】該乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低
い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコー
ル、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパ
ンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチ
レングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリ
コールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレン
グリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエ
チレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等
の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロ
リドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチ
ル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の
複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−ス
ルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジ
エタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げ
られる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコー
ル等の多価アルコールがより好ましい。また、上記の乾
燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良
い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%
含有することが好ましい。
【0171】浸透促進剤は、インクジェット用インクを
紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透
促進剤としては、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエー
テル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラ
ウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオ
ン性界面活性剤等を用いることができる。これらはイン
ク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があ
り、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさな
い添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0172】紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させ
る目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58
−185677号公報、同61−190537号公報、
特開平2−782号公報、同5−197075号公報、
同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾ
ール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5
−194483号公報、米国特許第3214463号明
細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭4
8−30492号公報、同56−21141号公報、特
開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化
合物、特開平4−298503号公報、同8−5342
7号公報、同8−239368号公報、同10−182
621号公報、特表平8−501291号公報等に記載
されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャ
ーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン
系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を
吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用
いることができる。
【0173】褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる
目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系
及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。
有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキ
シフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノー
ル類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン
類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金
属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。よ
り具体的にはリサーチディスクロージャーNo.176
43の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同
No.18716の650頁左欄、同No.36544
の527頁、同No.307105の872頁、同N
o.15162に引用された特許に記載された化合物や
特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁
に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含ま
れる化合物を使用することができる。
【0174】防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウ
ム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−
1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステ
ル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびそ
の塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜
1.00質量%使用するのが好ましい。
【0175】pH調整剤としては前記中和剤(有機塩
基、無機アルカリ)を用いることができる。前記pH調
整剤はインクジェット記録用インクの保存安定性を向上
させる目的で、該インクジェット記録用インクがpH6
〜10と夏用に添加するのが好ましく、pH7〜10と
なるように添加するのがより好ましい。
【0176】表面張力調整剤としてはノニオン、カチオ
ンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。界面活性
剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、
アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンス
ルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリ
ン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合
物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のア
ニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂
肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロッ
クコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。ま
た、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性
剤であるSURFYNOLS(AirProducts
&Chemicals社)も好ましく用いられる。ま
た、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドの
ようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好まし
い。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(3
8)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.30811
9(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使
うことができる。
【0177】消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系
化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応
じて使用することができる。
【0178】本発明のフタロシアニン化合物を水性媒体
に分散させる場合は、特開平11-286637号、特願平2000-
78491号、同2000-80259号、同2000-62370号等の各公報
に記載されるように、色素と油溶性ポリマーとを含有す
る着色微粒子を水性媒体に分散したり、特願平2000-784
54号、同2000-78491号、同2000-203856号,同2000-2038
57号の各明細書のように高沸点有機溶媒に溶解した本発
明の化合物を水性媒体中に分散することが好ましい。本
発明の化合物を水性媒体に分散させる場合の具体的な方
法,使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤
及びそれらの使用量は、上記特許公報等に記載されたも
のを好ましく使用することができる。あるいは、前記フ
タロシアニン化合物を固体のまま微粒子状態に分散して
もよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用するこ
とができる。分散装置としては、簡単なスターラーやイ
ンペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例
えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトラ
イター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方
式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な
市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフ
ルイダイザー、DeBEE2000等)を使用すること
ができる。上記のインクジェット記録用インクの調製方
法については、先述の特許以外にも特開平5−1484
36号、同5−295312号、同7−97541号、
同7−82515号、同7−118584号、特開平1
1−286637号、特願2000−87539号の各
公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット
記録用インクの調製にも利用できる。
【0179】水性媒体は、水を主成分とし、所望によ
り、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることが
できる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール
(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec
−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサ
ノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、
多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリ
コール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセ
リン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリ
コール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングル
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジ
アセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例え
ば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エ
チルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモル
ホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメ
チルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例え
ば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾ
リドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ア
セトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和
性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0180】本発明のインクジェット記録用インク10
0質量部中は、前記フタロシアニン化合物を0.2質量
部以上10質量部以下含有するのが好ましい。また、本
発明のインクジェット用インクには、前記フタロシアニ
ン化合物とともに、他の色素を併用してもよい。2種類
以上の色素を併用する場合は、色素の含有量の合計が前
記範囲となっているのが好ましい。
【0181】本発明のインクジェット記録用インクは、
粘度が40cp以下であるのが好ましい。また、その表
面張力は20mN/m以上70mN/m以下であるのが
好ましい。粘度及び表面張力は、種々の添加剤、例え
ば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜
調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防黴
剤、防錆剤、分散剤及び界面活性剤を添加することによ
って、調整できる。
【0182】本発明のインクジェット記録用インクは、
単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用
いることができる。フルカラー画像を形成するために、
マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー
色調インクを用いることができ、また、色調を整えるた
めに、更にブラック色調インクを用いてもよい。
【0183】適用できるイエロー染料としては、任意の
ものを使用することが出来る。例えばカップリング成分
(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフ
トール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のよう
なヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有
するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラ
ー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有する
アゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチン
オキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフト
キノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染
料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン
染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリ
ジノン染料等を挙げることができる。
【0184】適用できるマゼンタ染料としては、任意の
ものを使用することが出来る。例えばカプラー成分とし
てフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有す
るアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー
成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類など
を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、ス
チリル染料、メロシアニン染料、シアニン染料、オキソ
ノール染料などのようなメチン染料;ジフェニルメタン
染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などの
ようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アント
ラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン染料、
例えばジオキサジン染料等のような縮合多環染料等を挙
げることができる。
【0185】適用できるシアン染料としては、任意のも
のを使用する事が出来る。例えばカプラー成分としてフ
ェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するア
リールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分
としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾー
ルのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シ
アニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料など
のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリ
フェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカル
ボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染
料;インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げることがで
きる。
【0186】前記の各染料は、クロモフォアの一部が解
離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈す
るものであってもよく、その場合のカウンターカチオン
はアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオ
ンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム
塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそ
れらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよ
い。適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスア
ゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体
を挙げることができる。
【0187】[インクジェット記録方法]本発明のイン
クジェット記録方法は、前記インクジェット記録用イン
クにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通
紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公
報、同8−27693号公報、同2−276670号公
報、同7−276789号公報、同9−323475号
公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−
153989号公報、同10−217473号公報、同
10−235995号公報、同10−337947号公
報、同10−217597号公報、同10−33794
7号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フ
イルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器
等に画像を形成する。
【0188】画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与
えたり耐候性を改善する目的からポリマー微粒子分散物
(ポリマーラテックスともいう)を併用してもよい。ポ
リマーラテックスを受像材料に付与する時期について
は、着色剤を付与する前であっても,後であっても、ま
た同時であってもよく、したがって添加する場所も受像
紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポ
リマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。
具体的には、特願2000−363090号、同200
0−315231号、同2000−354380号、同
2000−343944号、同2000−268952
号、同2000−299465号、同2000−297
365号等の各明細書に記載された方法を好ましく用い
ることが出きる。
【0189】以下に、本発明のインクを用いてインクジ
ェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フ
ィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにお
ける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、G
P、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CG
P等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、
必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、
定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、
長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの
等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プ
ラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支
持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g
/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層
及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリ
ビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層
を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けて
もよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレ
ンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平
坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体として、両
面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそ
れらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチッ
クフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン
中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は
色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネ
オジウム)を添加することが好ましい。
【0190】支持体上に設けられるインク受容層には、
顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白
色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウ
ム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シ
リカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カル
シウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼ
オライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタ
ン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系
ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミ
ン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含
有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好まし
く、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適で
ある。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られ
る無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸の
いずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用するこ
とが望ましい。
【0191】インク受容層に含有される水性バインダー
としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリ
ビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カ
ゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ
アルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導
体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、
アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられ
る。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用し
て用いることができる。本発明においては、これらの中
でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビ
ニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の
耐剥離性の点で好適である。インク受容層は、顔料及び
水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界
面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
【0192】インク受容層中に添加する媒染剤は、不動
化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー
媒染剤が好ましく用いられる。ポリマー媒染剤について
は、特開昭48−28325号、同54−74430
号、同54−124726号、同55−22766号、
同55−142339号、同60−23850号、同6
0−23851号、同60−23852号、同60−2
3853号、同60−57836号、同60−6064
3号、同60−118834号、同60−122940
号、同60−122941号、同60−122942
号、同60−235134号、特開平1−161236
号の各公報、米国特許2484430号、同25485
64号、同3148061号、同3309690号、同
4115124号、同4124386号、同41938
00号、同4273853号、同4282305号、同
4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−
161236号公報の212〜215頁に記載のポリマ
ー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記
載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得
られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0193】耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、
これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望まし
い。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリ
アミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリ
アミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロラ
イド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダル
シリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特に
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適であ
る。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の
全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜
10質量%であることが好ましい。
【0194】耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜
鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系
やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられ
る。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0195】界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、
スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界
面活性剤については、特開昭62−173463号、同
62−183457号の各公報に記載がある。界面活性
剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機
フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機
フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル
状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ
素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含ま
れる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9
053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994
号、同62−135826号の各公報に記載がある。そ
の他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料
分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、
pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。なお、
インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0196】記録紙及び記録フィルムには、バックコー
ト層を設けることもでき、この層に添加可能な成分とし
ては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げ
られる。バックコート層に含有される白色顔料として
は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サ
チンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カ
ルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロ
イダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水
酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、
加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシ
ウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメ
ント、アクリル系プラスチックピグメント,ポリエチレ
ン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有
機顔料等が挙げられる。
【0197】バックコート層に含有される水性バインダ
ーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレ
ン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シ
ラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオ
ン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテ
ックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が
挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分
としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐
剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0198】インクジェット記録紙及び記録フィルムの
構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテッ
クスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安
定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のよう
な膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックス
については、特開昭62−245258号、同62−1
316648号、同62−110066号の各公報に記
載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリ
マーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひ
び割れやカールを防止することができる。また、ガラス
転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に
添加しても、カールを防止することができる。
【0199】本発明のインクは、インクジェットの記録
方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利
用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の
振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パ
ルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射
して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インク
ジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生
じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用
いられる。インクジェット記録方式には、フォトインク
と称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する
方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを
用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる
方式が含まれる。
【0200】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいて具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定される
ものではない。
【0201】(合成例)以下、実施例に本発明のフタロシ
アニン色素誘導体の合成法を詳しく説明するが、出発物
質、色素中間体及び合成ル−トについて限定されるもの
でない。
【0202】本発明で用いられる代表的なフタロシアニ
ン化合物は、例えば下記合成ル−トから誘導することが
できる。以下の実施例において、λmaxは吸収極大波長
であり、εmaxは吸収極大波長におけるモル吸光係数を
意味する。
【0203】
【化13】
【0204】合成例1: 化合物A の合成 トリメリティックアンヒドリド クロリド(東京化成)
20.0 g、2−ヒドロキシプロピルアミン 7.
13 gを100 mlの塩化メチレンに溶解させ、氷
浴で4℃に保った。続いて、ピリジン7.51 mlを
ゆっくり滴下した。4℃で30分攪拌後、室温でさらに
30分攪拌した。続いて、減圧下において溶媒を留去し
シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル
/ヘキサン=1/1)で精製した。収量 11.8 g
(50 %)、質量分析法で同定したFAB-MS(N
EGA 248)。 化合物B の合成 トリメリティックアンヒドリド クロリド(東京化成)
20.0 g、アミノプロパンスルホン酸ナトリウム
塩 15.31 gを100 mlのアセトニトリルに
懸濁させ、超音波で分散し、氷浴で4℃に保った。続い
て、ピリジン7.51 mlをゆっくり滴下した。4℃
で30分攪拌後、室温でさらに30分攪拌した。続い
て、減圧下において溶媒を留去した。残渣にエタノール
を加え、析出した固体を濾取した。収量 10.19
g (32 %)、質量分析法で同定したFAB-MS
(NEGA 334)。
【0205】合成例2:具体的化合物例184 の合成 窒素気流下、化合物A 2.50 g 、化合物B 1
0.06g、尿素 23.60 g 、塩化銅 3.2
3 g、モリブデン酸アンモニウム四水和物0.98
gをニトロベンゼンに懸濁させた。攪拌しながら、内温
180℃まで加温し、そのまま5時間、温度を保ち攪拌
した。室温まで冷却後、不溶物を濾別し、濾液にメタノ
ールを添加し、目的物を沈殿させた。固体を濾取し、メ
タノールでたき洗いした。続いて、その固体を50ml
の2.5N水酸化リチウムに溶解し80℃に加熱後、エ
タノールを加え目的物を沈殿させた。固体を濾取し過熱
したエタノールでかけ洗いした。収量 5.95 g
収率 50 %。同定は以下の方法で行った。質量分析
法:FAB−MS(NEGA 1187)、元素分析
(実測値C, 46.18; H, 3.86; N,
13.33;計算値C4841CuLi312143
3H2OとしてC, 46.32; H,3.81;
N, 13.51)。
【0206】[比較化合物の合成例] a)比較化合物1の合成 窒素気流下、トリメリト酸無水物 5.00 g、尿素
15.63 g、塩化銅 2.10 g、モリブデン
酸アンモニウム四水和物 0.64 g、をニトロベン
ゼン 75 mLに懸濁させた。攪拌しながら、内温1
80℃まで加温し、そのまま5時間、温度を保ち攪拌し
た。室温まで冷却後、不溶物を濾別後、濾液に酢酸ナト
リウム 10 gのメタノール溶液を添加し、目的物を
沈殿させた。固体を濾取し、メタノールでたき洗いする
ことで精製した。収量 8.5g 収率 15 %。同
定は以下の方法で行った。質量分析法:FAB−MS
(NEGA 835)、元素分析(実測値C, 49.
55; H, 1.93; N, 12.95;計算値
3612CuN8Na48・2H2OとしてC,49.3
6; H, 1.84; N, 12.79)。 b)比較化合物2の合成 窒素気流下、比較化合物 20 gをトルエン250
mlに懸濁させた。塩化チオニル60 mlとピリジン
0.05 ml加え、6時間還流した。室温まで冷却
後、析出物を濾別し、トルエンで洗浄した。固体を乾燥
後、ピリジン15 mlに懸濁させ、そこにポリエチレ
ングリコールメチルエーテル35 g、THF 100m
lを加え、24時間還流させた。室温まで冷却後、THF
200ml添加し、続いて不溶物を濾別した。残渣にヘ
キサンを加え、析出した固体を濾取し、ヘキサンで洗浄
した。収量 8.5 g 収率 15 %。同定は以下
の方法で行った。元素分析(実測値C, 54.42;
H, 6.60; N, 5.72;計算値C88
120CuN832・4H2OとしてC, 54.55;
H, 6.66; N, 5.78)。
【0207】
【化14】
【0208】[実施例1]下記の成分に脱イオン水を加
え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1
時時間撹拌した。その後KOH 10mol/Lにてp
H=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィル
ターで減圧濾過しシアン用インク液Aを調製した。
【0209】 インク液Aの組成: 着色剤:フタロシアニン化合物(例示化合物102) 20.0g ジエチレングリコール 20g グリセリン 120g ジエチレングリコールモノブチルエーテル 230g 2−ピロリドン 80g トリエタノールアミン 17.9g ベンゾトリアゾール 0.06g サーフィノールTG 8.5g PROXEL XL2 1.8g
【0210】着色剤を、下記表10に示すように変更し
た以外は、インク液Aの調製と同様にしてインク液B〜
E、比較インク液101および102を調製した。
【0211】着色剤を変更する場合は、添加量がインク
液Aに用いた着色剤に対して等モルとなるように使用し
た。着色剤を2種以上併用する場合は等モルずつ使用し
た。
【0212】(画像記録及び評価)以上の本発明のイン
ク液A〜E及び比較用のインク液101、102(いず
れもインクジェット用インク)について、下記評価を行
った。その結果を表10に示した。なお、表10におい
て、「色調」、「紙依存性」、「耐水性」及び「耐光
性」は、各インクジェット用インクを、インクジェット
プリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)
でフォト光沢紙(EPSON社製PM写真紙<光沢>(K
A420PSK、EPSON)に画像を記録した後で評
価したものである。
【0213】<水に対する溶解性>水5mlに対して、
着色剤を混合させ、マグネティックスターラーで30分
間攪拌した。攪拌後、着色剤が水に完溶したかどうかを
確認した。評価は、以下に示されるように定義し、3段
階で行った ○:着色剤1gが水5mlに完溶する △:着色剤1gは完溶しないが、着色剤0.2gは水5
mlに完溶する ×:着色剤0.2gが水5mlに完溶しない
【0214】<色調>フォト光沢紙に形成した画像の3
90〜730nm領域のインターバル10nmによる反
射スペクトルを測定し、これをCIE L*a*b*色
空間系に基づいて、a*、b*を算出した。JNCのJ
APAN Color の標準シアンのカラーサンプル
と比較してシアンとして好ましい色調を下記のように定
義し、3段階評価を行った。 好ましいa*:−35.9以上0以下、 好ましいb*:−50.4以上0以下 ○:a*、b*ともに好ましい領域 △:a*、b*の一方のみ好ましい領域 ×:a*、b*のいずれも好ましい領域外
【0215】<紙依存性>フォト光沢紙に形成した画像
と、別途にプロフェショナルフォトペーパーPR101
(CANON社製;QBJPRA4)に形成した画像と
の色調を比較し、両画像間の差が小さい場合をA(良
好)、両画像間の差が大きい場合をB(不良)として、
二段階で評価した。
【0216】<耐水性>画像を形成したフォト光沢紙
を、1時間室温乾燥した後、10秒間脱イオン水に浸漬
し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが無
いものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多い
ものをCとして、三段階で評価した。
【0217】<耐光性>前記画像を形成したフォト光沢
紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用い
て、キセノン光(85000lx)を14日間照射し、
キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite3
10TR)を用いて測定し、色素残存率として評価し
た。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3
点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が70%以上
の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度
で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0218】<暗熱保存性>前記画像を形成したフォト
光沢紙を、80℃−15%RHの条件下で7日間試料を
保存し、保存前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite3
10TR)を用いて測定し、色素残存率として評価し
た。色素残存率について反射濃度が1,1.5,2の3
点にて評価し、いずれの濃度でも色素残存率が90%以
上の場合をA、2点が90%未満の場合をB、全ての濃
度で90%未満の場合をCとした。
【0219】<耐オゾンガス性>シーメンス型オゾナイ
ザーの二重ガラス管内に乾燥空気を通しながら、5kV
交流電圧を印加し、これを用いてオゾンガス濃度が0.
5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内
に、前記画像を形成したフォト光沢紙を14日間放置
し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X
-Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として
評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.
0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、
APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG
−EM−01)を用いて設定した。何れの濃度でも色素
残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未
満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三
段階で評価した。
【0220】<インクの保存安定性>インクを40℃で
30日間保存後、上記プリンターで長時間連続記録し
て、目詰まりの有り無しを評価した。評価基準は、A
(異常なし)、B(異常あり)として、二段階で評価し
た。
【0221】<分光吸収性>用いた着色剤を2.5mg
〜3.5mgの範囲でメスフラスコに秤量した後に、蒸
留水を加え溶解させながら100mlになるまで蒸留水
を添加した後下記の測定条件で分光光度計により分析を
実施した。 (測定条件) 使用装置:島津自記分光光度計UV−260 セル:石英セル、光路長10mm; 測定温度:20℃; 希釈液 :蒸留水(pH=7.0)
【0222】用いた着色剤の分光吸収曲線から求めた吸
光度比b/aを評価するため、以下のように定義した。 A:b/a<1 B:b/a≧1
【0223】<酸化電位>酸化電位の値は、用いた着色
剤を25mg〜35mgの範囲で秤量して、0.1mo
ldm-3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電
解質として含むN,N−ジメチルホルムアミド中で直流
ポーラログラフィーにより測定した。ポーラログラフィ
装置には、作用極として炭素(GC)電極を、対極とし
て回転白金電極を用いて、酸化側(貴側)に掃引して得
た酸化波を直線近似してそのピーク値との交点と残余電
流値との交点の中点を酸化電位の値(vs SCE)とし
た。
【0224】
【表10】
【0225】表10から明らかなように、本発明のイン
クジェット用インクは色調に優れ、紙依存性が小さく、
耐水性および耐光性並びに耐オゾン性、インク保存安定
性等、特に耐光性、耐オゾン性等の画像保存性に優れ
る。
【0226】[実施例2]実施例1で作製した同じイン
クを用いて、実施例1の同機にて画像を富士写真フイル
ム製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXにプリン
トし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1
と同様な結果が得られた。
【0227】[実施例3]実施例1で作製した同じイン
クを、インクジェットプリンターBJ−F850(CA
NON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフ
ォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例1
と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が
得られた。
【0228】[実施例4]実施例1の耐オゾン性の試験
方法を、下記の環境試験方法に変更して試験を行なっ
た。すなわち、自動車の排気ガスなどの酸化性ガスと太
陽光の照射を受ける屋外環境をシミュレートした酸化性
ガス耐性試験方法として、H.Iwano, et al;Journal of
Imaging Science and Technology ,38巻、140-142(194
4)に記載の相対湿度80%、過酸化水素濃度120pp
m、蛍光灯照射チャンバーを用いた酸化耐性試験方法を
用いて試験した。試験の結果は、実施例1の耐オゾン性
試験の結果と同様の結果であった。
【0229】
【発明の効果】本発明によれば、(1)色剤として特定
構造のフタロシアニン化合物を使用することにより、色
再現性に優れた吸収特性を有し、かつ光、熱、湿度およ
び環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有し、イン
クジェット記録などの印刷用のインクなどに用いられる
着色組成物が提供され、(2)上記の着色組成物は、イ
ンクの長期保存安定性が良好で、溶解成分の溶解安定性
が高く、ノズルを目詰まりさせることなく、被記録材で
の速乾性に優れ、また(3)上記着色組成物の使用によ
り良好な色相を有し、光および環境中の活性ガス、特に
オゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することが
できるインクジェット用インクおよびインクジェット記
録方法が提供され、さらに(4)上記のインクジェット
記録方法を利用することによって、画像記録物のオゾン
ガス褪色耐性を改良する方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09B 47/073 C09B 47/24 47/24 C09D 11/00 C09D 11/00 B41J 3/04 101Y Fターム(参考) 2C056 EA13 FC01 2H086 BA01 BA15 BA33 BA54 BA56 4J039 BC60 BC64 BE01 BE02 CA06 EA10 EA35 EA37 EA38 EA40 EA41 EA44 EA48 GA24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるフタロシア
    ニン化合物を含有することを特徴とする着色組成物。 【化1】 一般式(I)中:Mは、水素原子、金属元素、金属酸化
    物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。R
    1、R4、R5、R8、R9、R12、R13及びR16は、それ
    ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香
    族基、複素環基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキ
    シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル
    基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
    シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ
    基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ
    基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ア
    シルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、
    アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボ
    ニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミ
    ノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、
    アルキルおよびアリールチオ基、アルキルおよびアリー
    ルスルホニル基、アルキルおよびアリールスルフィニル
    基、スルファモイル基、スルホ基、ヘテロ環チオ基、ア
    ゾ基、イミド基またはホスホリル基を表す。各々の基は
    さらに置換基を有していてもよい。R2、R3、R6
    7、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ独立に、
    水素原子あるいは下記一般式(II)で示される基を表
    す。但し、R2とR3、R6とR7、R10とR11、及びR14
    とR15の各々につき、少なくともいずれかが一般式(I
    I)で示される基を表し、且つ4個以上存在する一般式
    (II)で示される基のうち少なくとも1つは、イオン性
    親水性基を置換基として有する。 【化2】 Xは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有する窒素原子を
    表す。Wは、置換可能な基を表し、その基はイオン性親
    水性基を有する。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の着色組成物を含有する
    ことを特徴とするインク。
  3. 【請求項3】 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する
    インク受像層を有する受像材料上に、請求項2に記載の
    インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジ
    ェット記録方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のインクジェット記録方
    法を用いて画像を形成することを特徴とする画像記録物
    のオゾンガス褪色耐性の改良方法。
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