JP4854250B2 - フタロシアニン化合物およびその類縁体の製造方法 - Google Patents

フタロシアニン化合物およびその類縁体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は多様な置換基を有するフタロシアニン化合物およびその類縁体の製造法に関する。
フタロシアニン化合物およびその類縁体は堅牢性の高い染料または顔料としてだけでなく、機能性色素としても幅広く用いられている。近年、更なる高機能化を図るためフタロシアニン化合物へ多様な置換基を導入することに対する要望が高いが、現在知られている合成法では必ずしもそれらの要望に応えることができない。例えば高沸点アルコール(n−ブタノール等)溶媒でDBU等の強塩基共存下に反応を行う方法(例えば特許文献1参照。)、もしくは金属アルコキシドを用いる方法(例えば特許文献2参照。)が良く知られているが、反応系が強塩基性になるため塩基性条件下で分解しやすい置換基を有する基質は用いることが出来ない。また反応基質や溶媒中に含まれる水分によって反応基質が分解し、収率が大幅に低下することもある。また、脱水剤の存在下に反応を行う方法(引用文献3参照。)や、金属酸化物と併用してpKa7.0以下の酸の共存下で反応させる方法(引用文献4参照。)も知られているが、これらの使用で収率は向上するものの満足できるレベルに至っていないのが実情である。
特開平11−269399号公報 特開平11−209380号公報 特開平11−116835号公報 特開平11−263919号公報
本発明は、上記のような問題点を解消するため、種々の置換基を有するフタロニトリル化合物を原料とし、効率良く、高収率でフタロシアニン化合物を製造する製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、多様な置換基を有するフタロシアニン化合物を、効率良く、かつ収率良く製造する方法について鋭意検討した結果、本発明の課題は下記手段により達成された。すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)または(2)で表される化合物から下記一般式(3)または(4)で表されるフタロシアニン化合物もしくはフタロシアニン類縁体を製造する方法であって、脱水剤と下記アンモニウム塩化合物の共存下に反応を行うことを特徴とする、下記一般式(3)または(4)で表されるフタロシアニン化合物もしくはフタロシアニン類縁体の製造方法。
Figure 0004854250
(一般式(1)および(2)中、ZはZの結合した2つの炭素原子とともに6員環の芳香族構造を形成する有機基を表す。)
Figure 0004854250
(一般式(3)および(4)中、Zは一般式(1)および(2)において定義したものと同義である。MおよびMは各々独立に周期表第1族の原子を表し、Mは周期表第1族以外の金属原子又はその酸化物、水酸化物、もしくはハロゲン化物を表す。)
(アンモニウム塩化合物は、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、炭酸、硫酸、塩酸、リン酸、又はモリブデン酸と、アンモニアとの塩である)
(2)前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物である(1)に記載の製造方法。
Figure 0004854250
(一般式(5)において、Rは水素原子または置換基を表す。nは1〜4の整数を表す。nが2〜4のとき、複数のRは互いに同一でも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。)
(3)前記アンモニウム塩化合物が、カルボン酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記脱水剤が、アセタール化合物、オルトエステル化合物、アルケニルエーテル化合物、アルケニルエステル化合物、エポキシド化合物、オキセタン化合物から選択されることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
(5)前記脱水剤が、アルコール化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、ヘテロ環化合物、ハロゲン化アルキル化合物、ニトロ化合物、又は二トリル化合物であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
(6)さらに、酸の共存下に反応を行うことを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物およびフタロシアニン類縁体の製造方法。
(7)前記酸が、カルボン酸であることを特徴とする、(6)に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、様々な置換基を有するフタロシアニン化合物を、効率良く、高収率に合成できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず一般式(1)または(2)で表される化合物について説明する。
Figure 0004854250
一般式(1)および(2)中、ZはZの結合した2つの炭素原子とともに6員環の芳香族構造を形成する有機基を表す。この芳香族構造は単環であっても、さらに環が融着して縮環構造をとっていてもよい。Zによって形成される6員環の芳香族構造は、ベンゼン環やナフタレン環のような脂環式の構造であっても、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、フタラジン環などの含窒素芳香族へテロ環構造であっても良い。一般式(2)で表されるピロール−2、5−ジイリデンジアミン化合物については、一般式(2)の形態であってもよいし、この互変異性体の形態で用いられていても良い。Zによって形成される6員環の芳香族環としてはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリダジン環が好ましく、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環またはピリジン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。またこれらの芳香族構造は置換基を有していても良い。置換基としては後述の一般式(5)で表される化合物が取り得る置換基の中から選ばれる基を挙げることができる。
一般式(1)または(2)で表される化合物のうち、一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)で表される化合物の好ましい化合物は下記一般式(5)として表すことができる。
以下に一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物について説明する。
Figure 0004854250
一般式(5)において、Rは水素原子または置換基を表し、置換基の具体例としてはハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル)、アラルキル基(好ましくは炭素7〜30の置換もしくは無置換のアラルキル基で、例えばベンジル、フェネチル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基で、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、アルキニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキニル基で、好ましくは炭素数2〜30であり、例えば、エチニル、プロパギル、トリメチルシリルエチニル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基〔好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、さらには4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)が好ましい〕、
アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のスルホニルカルバモイル基、例えば、メタンスルホニルカルバモイル、オクタンスルホニルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、
アシルカルバモイル基(好ましくは炭素数2〜30のアシルカルバモイル基で、例えば、ホルミルカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、スルファモイルカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30のスルファモイルカルバモイル基で、例えば、メチルスルファモイルカルバモイル、フェニルスルファモイルカルバモイル)、カルバゾイル基(好ましくは炭素数1〜30のカルバゾイル基で、例えば、カルバゾイル、3−エチルカルバゾイル、3,3−ジメチルカルバゾイル、2−エチル−3−フェニルカルバゾイル)、オキサリル基(好ましくは炭素数2〜30のオキサリル基で、例えば、メチルオキサリル、フェニルオキサリル、エトキシオキサリル、フェノキシオキサリル)、オキサモイル基(好ましくは炭素数2〜30のオキサモイル基で、例えば、オキサモイル、N−エチルオキサモイル、N−フェニルオキサモイル、N,N−ジエチルオキサモイル)、シアノ基、チオカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30のチオカルバモイル基で、例えば、チオカルバモイル、N−エチルチオカルバモイル、N−フェニルチオカルバモイル)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含み、好ましくは炭素数1〜30のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ、ヘキサデシルオキシ)、
アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30の置換若しくは未置換のアリールオキシ基で、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(前述のヘテロ環基のヘテロ環オキシ基が好ましく、例えば、ピリジルオキシ、イミダオイルオキシ、ピペリジルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30のアシルオキシ基で、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30のアルコキシカルボニルオキシもしくは炭素数6〜30のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、メトキシカルボニルオキシ、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30のカルバモイルオキシ基で、カルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、フェニルカルバモイルオキシ)、スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30のスルホニルオキシ基で、例えば、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ)、
アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基〔(好ましくは炭素数1〜30のアルキル,炭素数6〜30のアリール、前述のヘテロ環基におけるヘテロ環)アミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ、ジエチルアミノ、フェニルアミノ、ピリジルアミノ〕、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30のアシルアミノ基で、例えばホルミルアミノ、アセチルアミノ、べンゾイルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜30のスルホンアミド基で、例えばエタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30のウレイド基で、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド)、チオウレイド基(好ましくは炭素数1〜30のチオウレイド基で、例えば、メチルチオウレイド、フェニルチオウレイド)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、
(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のアルコキシカルボニルアミノもしくは炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30のスルファモイルアミノ基で、例えば、メタンスルファモイルアミノ、ベンゼンスルファモイルアミノ)、セミカルバジド基(好ましくは炭素数1〜30のセミカルバジド基で、例えば、セミカルバジド、N−エチルセミカルバジド、N−フェニルセミカルバジド)、チオセミカルバジド基(好ましくは炭素数1〜30のチオセミカルバジド基で、例えば、チオセミカルバジド、N−ブチルチオセミカルバジド、N−フェニルチオセミカルバジド)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数1〜30のヒドラジノ基で、例えば、ヒドラジノ、エチルヒドラジノ、フェニルヒドラジノ)、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のオキサモイルアミノ基で、例えば、オキサモイル、エチルオキサモイル、フェニルオキサモイル)、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基(好ましくは炭素数2〜30のアルキルスルホニルウレイドもしくは炭素数7〜30のアリールスルホニルウレイド基で、例えば、メタンスルホニルウレイド、ベンゼンスルホニルウレイド)、アシルウレイド基(好ましくは炭素数2〜30のアシルウレイド基で、例えばホルミルウレイド、アセチルウレイド、ベンゾイルウレイド)、アシルスルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30のアシルスルファモイルアミノ基で、例えば、アセチルスルファモイルアミノ、ベンゾイルスルファモイルアミノ)、ニトロ基、メルカプト基、
(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基〔(好ましくは炭素数1〜30のアルキル,炭素数6〜30のアリール、前述のヘテロ環基におけるヘテロ環)チオ基で、例えば、メチルチオ、フェニルチオ、ピリジルチオ〕、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)スルホニル基〔(好ましくは炭素数1〜30のアルキル,炭素数6〜30のアリール、前述のヘテロ環基におけるヘテロ環)スルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル、ピリジルスルホニル〕、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)スルフィニル基〔(好ましくは炭素数1〜30のアルキル,炭素数6〜30のアリール、前述のヘテロ環基におけるヘテロ環)スルフィニル基で、例えば、メチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、ピリジルスルフィニル〕、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、エタンスルファモイル、ベンゼンスルファモイル)、アシルスルファモイル基(好ましくは炭素数1〜30のアシルスルファモイル基で、例えば、ホルミルスルファモイル、アセチルスルファモイル、ベンゾイルスルファモイル)、スルホニルスルファモイル基またはその塩(好ましくは炭素数0〜30で、例えばメタンスルホニルスルファモイル、ベンゼンスルホニルスルファモイル)、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基(好ましくは炭素数0〜30で、例えばリン酸アミド、メチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド、エトキシリン酸アミド、フェノキシリン酸アミド)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、シリル基(好ましくは炭素数1〜30のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)等が挙げられる。
Rが置換基の場合、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、スルホニルオキシ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)スルホニル基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基が用いられる。より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)スルホニル基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基が用いられる。更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、カルバモイル基、オキサモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)スルホニル基、スルファモイル基が用いられる。
Rとして特に好ましくはハロゲン原子、アシル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)スルホニル基が用いられる。
Rで表される置換基はさらに置換されていてもよい。このような置換された置換基としては、どのような置換基で置換された置換基をも包含するが、好ましくは親水性基で置換された置換基が好ましい。具体的には、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造などの親水性基で置換されている場合も好ましい。親水性基としてカルボキシル基、スルホ基、リン酸基を有している場合は、これらの基は必要に応じて対カチオンを有していてもよく、対カチオンとしては金属イオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が用いられる。
親水性基として窒素の4級塩構造を有する基またはリンの4級塩構造を有している場合は、必要に応じて対アニオンを有していてもよく、対アニオンとしては例えばハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、シュウ酸イオン、アルカンスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、アルカンカルボン酸イオン、アリールカルボン酸イオン等をとることができる。
親水性基として好ましくはカルボキシル基、スルホ基、リン酸基であり、より好ましくはカルボキシル基、スルホ基である。この場合、対カチオンとして、Li、Na、K、Mg、Caの陽イオンが好ましく用いられ、より好ましくはLi、Na、Kの陽イオンが用いられ、特に好ましくはLi、Naの陽イオンが用いられる。
Rが炭素原子を有する基である場合には、その総炭素数は1〜100が好ましく、より好ましくは1〜80であり、さらに好ましくは1〜50であり、特に好ましくは1〜20である。
nは1〜4の整数を表す。好ましくは、nは1〜3であり、より好ましくは1または2である。nが2〜4の場合には、複数のRが存在することになるが、この場合には複数あるRは同一のものであっても異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成していてもよい。好ましくはこれらの基が互いに結合しない場合である。
フタロニトリル化合物からフタロシアニン化合物を合成する場合には、1分子のフタロシアニン化合物を合成するのに4分子のフタロニトリル化合物が必要である。ここで一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物は必要な4分子全て同じものである必要はなく、異なるRを有するフタロニトリルの複数種類を任意の割合で用いてもよい。本発明においては4分子が全て同じものが好ましい。
一般式(5)のフタロニトリル化合物におけるRの置換位置は置換可能な位置であれば何れの位置でも良いが、好ましくはシアノ基のオルト位である3位または6位に置換している、あるいは4位または5位に置換していることが好ましい。
以下に本発明において用いられる一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物の例を以下に示す。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004854250
Figure 0004854250
Figure 0004854250
Figure 0004854250
表1において、Etはエチル、Buはブチル、Hexはヘキシル、Phはフェニル、Prはプロピル、Pyはピリジルを表す。
次に一般式(3)または(4)で表される化合物について説明する。
次に、本発明の一般式(3)または(4)で表されるフタロシアニン化合物もしくはフタロシアニン類縁体について説明する。
Figure 0004854250
一般式(3)および(4)中、Zは前記一般式(1)および(2)において定義したものと同義である。MおよびMは各々独立に周期表第1族の原子を表し、Mは周期表第1族以外の金属原子もしくは金属化合物を表す。
Zは一般式(1)および(2)におけるZと好ましい範囲は同じである。
ここで、4つのZで形成される芳香環は互いに同じでも異なってもよく、また同じ芳香環骨格であっても各々の芳香環が同じ置換基を有していても異なった置換基を有していても構わない。また、同じ置換基であっても置換位置が各々の芳香環で異なっていても構わない。
さらには、上述の化合物の混合物であってもよく、構造異性体の混合物であっても構わない。
およびMは好ましくはH、Li、Na、Kである。Mは好ましくは周期表第2族から15族の第3周期から第6周期の範囲にある金属原子およびランタニド系列の金属原子である。
は例えば、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。これらのうち、好ましくはMg、Ca、Co、Zn、Pd、Cuであり、より好ましくはCo、Pd、Zn、CuCuであり、特に好ましくはCuである。また金属原子が金属化合物であっても構わない。例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物が挙げられ、これらがフタロシアニン化合物と錯体を形成していても良い。酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。本発明においては、金属原子が好ましい。
一般式(3)または(4)で表される化合物の好ましい化合物は、下記一般式(3A)または(4A)として表すことができる。
Figure 0004854250
一般式(3A)および(4A)において、M〜Mは一般式(3)、(4)におけるものと同義であり、好ましい範囲も同じである。
〜R20は各々独立に水素または置換基を表す。該置換基は一般式(5)のRと同じ範囲から選ばれる基であり、好ましい範囲も同じである。
またR〜R20が置換基としてカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造などの親水性基で置換されている場合には、その対カチオンは前駆体である一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物における対応する対カチオンと同一であっても異なっていても良い。また置換基として窒素やリンの4級塩構造を有する場合には、その対アニオンは前駆体である一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物における対応する対アニオンと同一であっても異なっていても良い。いずれの場合においても一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物における対イオンと異なる場合には、フタロシアニン化合物合成反応時あるいは後処理時に適切なイオン交換法を取り入れることにより、所望の対イオンを有するフタロシアニン化合物を合成することができる。
またR〜R20が置換基としてカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造などの親水性基で置換されている場合には、その対カチオンは前駆体である一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物における対応する対カチオンと同一であっても異なっていても良い。また置換基として窒素やリンの4級塩構造を有する場合には、その対アニオンは前駆体である一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物における対応する対アニオンと同一であっても異なっていても良い。いずれの場合においても一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物における対イオンと異なる場合には、フタロシアニン化合物合成反応時あるいは後処理時に適切なイオン交換法を取り入れることにより、所望の対イオンを有するフタロシアニン化合物を合成することができる。
前述の通り、本発明で製造されるフタロシアニン化合物は、フタロシアニン中の4つのベンゼン環のRの置換位置が異なる化合物の混合物(含構造異性体の混合物)をも包含する。
以下に本発明によって合成することができるフタロシアニン誘導体の例を示す。ただし本発明は以下の例に限定されるものではない。また以下の化合物例では位置異性体混合物を一つの化合物として表記している。
Figure 0004854250
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次に脱水剤について説明する。
脱水剤としては、水分子を吸着するもの(Molecular sieves、Drierite(登録商標)、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム等)、大気圧下または減圧下において水との混合物を蒸留した際に、水を含んだ留出物が得られる有機化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、エタノール、メタノール、アセトニトリル等)、水と化学反応を起こすもの〔有機金属化合物(Grignard反応剤、有機リチウム反応剤、有機亜鉛反応剤等)、酸無水物(カルボン酸無水物、スルホン酸無水物、混合酸無水物を含む)、酸ハライド、ポリリン酸、5酸化2リン、オキシ塩化リン、5塩化リン、3塩化リン、オルトエステル化合物、アセタール化合物、アルケニルエーテル化合物、アルケニルエステル化合物、オキシラン化合物、オキセタン化合物等〕が挙げられる。
脱水剤としては水と化学反応を起こすものが好ましく用いられる。より好ましくは、アセタール化合物、オルトエステル化合物、アルケニルエーテル化合物、アルケニルエステル化合物、エポキシド化合物、オキセタン化合物が用いられる。更に好ましくはアセタール化合物、オルトエステル化合物、アルケニルエーテル化合物が用いられる。ここで用いられる脱水剤が炭素原子を含む物質である場合には、総炭素数は1〜50であり、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20である。
以下に水と化学反応を起こす脱水剤として特に好ましいものを示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004854250
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水と化学反応を起こす脱水剤は反応混合物中の水をフタロシアニン生成反応において影響ない程度にまで除くことができる量を添加する必要があり、その必要量は反応混合物中の水分量と用いる脱水剤の脱水効率によって決まる。そのため、脱水剤の必要量はケースバイケースであり一律に規定することは出来ないが、フタロニトリルに対し0.1〜500モル%が好ましい。脱水剤は反応の何れの段階で添加しても良いが、反応仕込み時に添加することが好ましい。また脱水剤の脱水効率を上げる補助的な操作として、加熱、減圧、あるいは不活性ガス気流下で反応を行うなどの操作が必要な場合は、これらの適当な操作を行っても良い。
本発明においては大気圧下または減圧下において水との混合物を蒸留した際に、水を含んだ留出物が得られる有機化合物も脱水剤として好ましく用いることができる。
このような化合物を反応混合物に添加し、適切な圧力および温度条件下において蒸留操作を行い水とともに留出させることにより、反応混合物より脱水を行う。このような有機化合物としては、アルコール化合物(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、メトキシエタノールなど)、ケトン化合物(アセトン、メチルエチルケトンなど)、芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、アニソール、クロロベンゼン、フェノールなど)、ヘテロ環化合物(フルフリルアルコール、2−メチルピリジン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ハロゲン化アルキル化合物(クロロホルム、四塩化炭素など)、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタンなど)、ニトリル化合物(アセトニトリル、プロピオ二トリルなど)を用いることができる。蒸留した際に水とともに留出し脱水効果を示す有機化合物としては、エタノールやトルエンなどのように水とともに共沸混合物を形成するもの(共沸混合物の定義は、東京化学同人発行,「化学辞典」(1994年),pp.349に記載されている。また共沸混合物の具体的事例としてはアメリカ化学会発行,「Azeotropic Data−III」(1973年),pp.13〜45の記載を参考にすることができる。)であっても、メタノールのように共沸混合物を形成しないものであっても良い。
蒸留した際に水とともに留出し脱水効果を示す有機化合物としては好ましくは、アルコール化合物、芳香族化合物が用いられる。より好ましくは該有機化合物単独の大気圧下の沸点が50〜200℃のものが用いられ、さらに好ましくは60〜150℃のものが用いられる。特に好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、2−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンが用いられる。
蒸留した際に水とともに留出し脱水効果を示す有機化合物としては上記の化合物の1種類を用いても良いが、複数種類を組み合わせて用いても良い。脱水操作は何回実施しても良いが、複数回実施する場合には用いる脱水剤は同一のものでも良いし異なるものを用いても良い。好ましくは1回〜3回脱水操作を行い、その際に複数個の脱水剤を適宜用いる。この種の脱水剤は反応混合物中の水をフタロシアニン生成反応において収率を改善させることができる程度に除去できる量を使用する必要があり、その必要量は反応混合物中の水分量と用いる脱水剤の脱水効率によって決まる。そのため、必要量はケースバイケースであり一律に規定することは出来ないが、脱水剤を除く反応混合物の体積に対して1%〜200%の体積の量を用いることが好ましく、より好ましくは10%〜100%の量を用いる。
脱水剤の留去による脱水操作は合成操作の何れの段階で実施しても良いが、フタロニトリル誘導体と反応溶媒および脱水剤(必要に応じてカルボン酸を加える)の混合物を調整し脱水操作を行い、その後アンモニウム塩を添加するという順序で操作を行うことが好ましい。また脱水剤の脱水効率を上げる補助的な操作として、加熱、減圧、あるいは不活性ガス気流下での操作が必要な場合は、これらの適当な操作を行っても良い。脱水操作を行う温度としては、50〜200℃の範囲で実施することが好ましく、60〜150℃の範囲で実施することがより好ましく、60〜130℃の範囲で実施することが特に好ましい。
次に本発明で使用するアンモニウム塩化合物について説明する。
アンモニウム塩とはアミン化合物(アンモニアを含む)と酸の塩、および酸の4級アンモニウム塩を表す。アミノ酸のように酸の分子内にアミン構造が存在する場合には、アミン部分は分子内のものであっても良いし、分子内にないアミン化合物でも良い。
まず酸について説明する。
酸としては(脂肪族、芳香族、またはヘテロ環)カルボン酸、(脂肪族、芳香族、またはヘテロ環)スルホン酸、(脂肪族、芳香族、またはヘテロ環)スルフィン酸、炭酸、硫酸、塩酸、リン酸、リンモリブデン酸を用いる。酸部位としては(脂肪族、芳香族、またはヘテロ環)カルボン酸が好ましく、これらの塩におけるカルボン酸はモノカルボン酸であってもジカルボン酸以上の多価カルボン酸であってもよいが、好ましくはモノカルボン酸である。
脂肪族カルボン酸としては、好ましくは炭素数1〜30(より好ましくは1〜10)の飽和もしくは不飽和で、直鎖、分岐もしくは環状の置換もしくは無置換の脂肪族カルボン酸で、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、酪酸、アクリル酸、シクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換の芳香族カルボン酸で、例えば、安息香酸、トルイル酸、フタル酸が挙げられる。ヘテロ環カルボン酸としては、好ましくは炭素数1〜30(より好ましくは3〜10)の飽和または不飽和で、置換もしくは無置換のヘテロ環カルボン酸で、例えば、ニコチン酸、イソニコチン酸、1−ピロールカルボン酸が挙げられる。
これらのカルボン酸のうち、より好ましくは脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸であり、さらに好ましくは、炭素数1〜6の飽和脂肪族カルボン酸、炭素数7〜10の芳香族カルボン酸であり、特に好ましくは酢酸または安息香酸である。
次にアミン化合物について説明する。
アミン化合物としてはアンモニアが用いられる。
酸の4級アンモニウム塩に関しては、酸については上述のものと同じ酸が好ましく用いられる。4級アンモニウム部位については、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルモノアリールアンモウム、ジアルキルジアリールアンモニウム、モノアルキルトリアリールアンモニムなどが用いられる。4級化された窒素原子を有するヘテロ環もここでは用いることができる。好ましくはテトラアルキルアンモニウムまたはトリアルキルモノアリールアンモウムであり、より好ましくはテトラアルキルアンモニウムであり、さらに好ましくは総炭素数4〜50のテトラアルキルアンモニウムが用いられる。特に好ましくはテトラブチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニム、テトラエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムが用いられる。
本発明で用いられるアンモニウム塩のうち、好ましくは脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩、芳香族カルボン酸アンモニウム塩または炭酸アンモニウムであり、より好ましくは、炭素数1〜6の飽和脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩、炭素数7〜10の芳香族カルボン酸のアンモニウム塩、炭酸アンモニウムであり、さらに好ましくは酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウムまたは炭酸アンモニウムであり、特に好ましくは酢酸アンモニウムまたは安息香酸アンモニウムである。
本発明において使用するアンモニウム塩の作用により、温和な条件下で反応が進行し、かつ反応の収率が向上する。しかも、従来から知られているような塩基(例えば、金属アルコキシド、DBU、DBN等)を使用する方法に比べ、塩基性条件において不安定な官能基を有するフタロニトリル化合物等の前駆体を基質として用いることも可能である。
本発明で使用するアンモニウム塩の使用量は、フタロニトリル化合物に対して0.01〜2000mol%の範囲である。好ましくは1〜1000mol%の範囲であり、より好ましくは20〜500mol%の範囲であり、更に好ましくは50〜400mol%の範囲である。
本発明においては、上記のアンモニウム塩に加えて、酸の存在下で反応を行うことが好ましい。ここで用いられる酸とは(脂肪族、芳香族、またはヘテロ環)カルボン酸、(脂肪族、芳香族、またはヘテロ環)スルホン酸、(脂肪族、芳香族、またはヘテロ環)、リン酸を表す。酸として好ましくは(脂肪族、芳香族、またはヘテロ環)カルボン酸が用いられる。
以下に、本発明で好ましく使用されるカルボン酸を説明する。
カルボン酸は、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、ヘテロ環カルボン酸から選ばれるものであるが、これらのカルボン酸はモノカルボン酸であってもジカルボン酸以上の多カルボン酸であってもかまわないが、好ましくはモノカルボン酸である。
脂肪族カルボン酸としては、好ましくは炭素数1〜30(より好ましくは1〜10)の飽和もしくは不飽和で、直鎖、分岐もしくは環状の置換もしくは無置換の脂肪族カルボン酸で、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、酪酸、アクリル酸、シクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換の芳香族カルボン酸で、例えば、安息香酸、トルイル酸、フタル酸が挙げられる。ヘテロ環カルボン酸としては、好ましくは炭素数1〜30(より好ましくは3〜10)の飽和または不飽和で、置換もしくは無置換のヘテロ環カルボン酸のアンモニウム塩で、例えば、ニコチン酸、イソニコチン酸、1−ピロールカルボン酸が挙げられる。
これらのカルボン酸のうち、好ましくは脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸であり、より好ましくは、炭素数1〜6の飽和脂肪族カルボン酸、炭素数7〜10の芳香族カルボン酸であり、さらに好ましくは炭素数1〜6の飽和脂肪族カルボン酸であり、特に好ましくは酢酸である。
前記カルボン酸の使用量は、フタロニトリル化合物に対して0.001〜1000mol%の範囲である。好ましくは0.01〜100mol%の範囲であり、より好ましくは0.01〜50mol%の範囲である。
本発明の合成方法を実施する際には必要であれば溶媒を用いることができる。ここで用いる溶媒としては、例えばアルコール化合物、芳香族化合物(例えばトリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼン)、スルフォラン、尿素化合物(例えば尿素)等を用いることができる。また溶媒は任意の量を用いることができるが、フタロニトリル化合物の1〜100質量倍であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量倍である。溶媒として好ましくはアルコール化合物が用いられ、より好ましくは沸点が80℃以上のものが用いられる。更に好ましくは、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、2−メトキシ−1−プロパノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が200〜2000のもの)、グリセリン、1,2−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール(平均分子量が200〜2000のもの)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが用いられ、特に好ましくはブタノール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが用いられる。
本発明において金属フタロシアニン誘導体を合成する場合は、反応に用いる金属塩はハロゲン化物、酸化物、水酸化物、アルコキシド、カルボン酸塩、スルホン酸塩、有機金属化合物などを状態のものを用いることができる。ここで好ましくはハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド、カルボン酸塩、スルホン酸塩、有機金属化合物であり、より好ましくはハロゲン化物、酸化物、カルボン酸塩、スルホン酸塩であり、さらに好ましくはハロゲン化物またはカルボン酸塩であり、特に好ましくは塩化物または酢酸塩である。最も好ましくは塩化物が用いられる。
反応に用いる金属塩は、必要であればいかなる量を用いてもよいが、一般式(3)で表される化合物を製造する場合、好ましくは一般式(1)または(2)で表される化合物に対して、M、Mに対応する金属塩を20〜300mol%とすることが好ましく、30〜100mol%とすることがより好ましい。一方、一般式(4)で表される化合物を製造する場合は、好ましくは一般式(1)または(2)で表される化合物に対して、Mに対応する金属塩を10〜200mol%とすることが好ましく、15〜100mol%とすることがより好ましい。
フタロシアニン合成反応は、70〜300℃の反応温度の範囲にて行なわれることが好ましく、より好ましくは80〜200℃の反応温度の範囲、さらに好ましくは80〜150℃の反応温度の範囲である。また、反応時間は1〜40時間の範囲が好ましく、より好ましくは2〜15時間の範囲である。
また反応系のpH調整が必要な場合は、それに必要な酸、または塩基を適宜添加することも出来る。酸としては、前述のカルボン酸であっても、これ以外の有機または無機の酸であってもよく、例えば、塩酸、硫酸、有機スルホン酸(メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸)などが好ましく用いられる。塩基としては、アンモニア、トリエチルアミン、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどが好ましく用いられる。
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
(フタロシアニン化合物11の合成)
下記スキームに従って合成した。
Figure 0004854250
参考例1
フタロニトリル化合物5の合成
3−ニトロフタロニトリル(25g、0.144mol)、DMSO(200ml)、3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム塩(32g、0.18mol)の混合物に炭酸ナトリウム(16.5g、0.156mol)を加えて、60℃に加熱し3時間撹拌した。反応混合物を10%食塩水(300g)に注ぎ、析出した固体をろ取し、イソプロパノール/水(3/1)混合液で洗浄した。ここで得られた個体に水(200ml)、酢酸(3ml)、Na2WO4(2g)を加え、31%過酸化水素水(50ml)を添加した後、60℃で加熱、撹拌した。4時間撹拌した後、イソプロパノール(500ml)に反応混合物を注ぎ析出した固体をろ取後、イソプロパノール/水(3/1)混合液で洗浄した。ここで得られた個体を乾燥し、フタロニトリル化合物5(24g、3−ニトロフタロニトリルからの収率49%)を得た。
実施例1
フタロニトリル化合物5(10.7g、29.4mmol、含水率6%)、ジエチレングリコール(40ml)、オルト酢酸トリエチル(14.2g、87.6mmol)、酢酸(0.21g、3.5mmol)を混合し、100℃に加熱した。反応混合物にCuCl2(1g、7.43mmol)、安息香酸アンモニウム(8.27g、59.5mmol)を添加し、100℃で10時間撹拌した。反応混合物をイソプロパノール(100ml)に添加し、析出した粗結晶をろ取した。ここで得られた粗結晶をイソプロパノール/水(3/1)で洗浄することにより、対応するフタロシアニン化合物11を9.4g、収率90%で得た。得られたフタロシアニン化合物のIRスペクトルを図1に示した。
実施例2
安息香酸アンモニウムの代わりに、安息香酸テトラメチルアンモニウム(11.6g、59.5mmol)を用いる以外は実施例1と同じ操作を行い、対応するフタロシアニン化合物11を8.3g、収率80%で得た。
実施例3
安息香酸アンモニウムの代わりに、炭酸アンモニウム(5.7g、59.5mmol)を用いる以外は実施例1と同じ操作を行い、対応するフタロシアニン化合物11を6.2g、収率60%で得た。
実施例4
フタロニトリル化合物5(10.7g、29.4mmol、含水率6%)、ジエチレングリコール(40ml)、トルエン(10ml)、酢酸(0.21g、3.5mmol)を混合し、95kPaまで減圧し外温110℃で加熱した。内温が100℃に到達するまで加熱をつづけトルエンを留去した。反応混合物にCuCl2(1g、7.43mmol)、安息香酸アンモニウム(8.27g、59.5mmol)を添加し、100℃で10時間撹拌した。反応混合物をイソプロパノール(100ml)に添加し、析出した粗結晶をろ取した。ここで得られた粗結晶をイソプロパノール/水(3/1)で洗浄することにより、対応するフタロシアニン化合物11を6.2g、収率60%で得た。
実施例5
フタロニトリル化合物5(10.7g、29.4mmol、含水率6%)、ジエチレングリコール(40ml)、1−プロパノール(10ml)、酢酸(0.21g、3.5mmol)を混合し、大気圧下で95kPaまで減圧し外温110℃で加熱した。内温が100℃に到達するまで加熱をつづけ1−プロパノールを留去した。反応混合物にCuCl2(1g、7.43mmol)、安息香酸アンモニウム(8.27g、59.5mmol)を添加し、100℃で10時間撹拌した。反応混合物をイソプロパノール(100ml)に添加し、析出した粗結晶をろ取した。ここで得られた粗結晶をイソプロパノール/水(3/1)で洗浄することにより、対応するフタロシアニン化合物11を6.6g、収率65%で得た。
比較例1
安息香酸アンモニウムの代わりに安息香酸ナトリウム(8.36g、59.5mmol)を用いること以外は実施例1と同じ操作を行った。この場合、対応するフタロシアニン化合物11を2.9g、収率28%で得た。
比較例2
安息香酸アンモニウムの代わりにDBU(9.06g、59.5mmol)を用いること以外は実施例1と同じ操作を行った。この場合、対応するフタロシアニン化合物11を0.5g、収率5%で得た。
比較例3
オルトギ酸トリエチルを添加しないこと以外は、実施例1と同じ操作を行った。この場合、対応するフタロシアニン化合物11を1.0g、収率10%で得た。
比較例1、2、3と実施例1〜5の比較から、脱水剤の使用に加えアンモニウム塩を使用することにより、反応収率が大幅に向上することがわかった。
(フタロシアニン化合物77の合成)
下記スキームに従って合成した。
Figure 0004854250
参考例2
参考例1における3−ニトロフタロニトリルの代わりに4−ニトロフタロニトリルを用い、ナトリウム塩をリチウム塩に塩交換する操作を付与すること以外は、参考例1と同様の作業により、フタロニトリル化合物23を合成した。
実施例6
フタロニトリル化合物23(9.9g、29.4mmol、含水率5%)、ジエチレングリコール(40ml)、オルト酢酸トリエチル(14.2g、87.6mmol)、酢酸(0.21g、3.5mmol)を混合し、100℃に加熱した。反応混合物にCuCl2(1g、7.43mmol)、安息香酸アンモニウム(8.27g、59.5mmol)を添加し、100℃で10時間撹拌した。反応混合物をイソプロパノール(100ml)に添加し、析出した粗結晶をろ取した。ここで得られた粗結晶をイソプロパノール/水(3/1)で洗浄することにより、対応するフタロシアニン化合物77を9.9g、収率100%で得た。得られたフタロシアニン化合物のIRスペクトルを図2に示した。
実施例7
フタロニトリル化合物23(9.9g、29.4mmol、含水率5%)、ジエチレングリコール(40ml)、トルエン(10ml)、酢酸(0.21g、3.5mmol)を混合し、95kPaまで減圧し外温110℃で加熱した。内温が100℃に到達するまで加熱をつづけトルエンを留去した。反応混合物にCuCl2(1g、7.43mmol)、安息香酸アンモニウム(8.27g、59.5mmol)を添加し、100℃で10時間撹拌した。反応混合物をイソプロパノール(100ml)に添加し、析出した粗結晶をろ取した。ここで得られた粗結晶をイソプロパノール/水(3/1)で洗浄することにより、対応するフタロシアニン化合物77を8.9g、収率90%で得た。
実施例8
フタロニトリル化合物23(9.9g、29.4mmol、含水率5%)、ジエチレングリコール(40ml)、1−プロパノール(10ml)、酢酸(0.21g、3.5mmol)を混合し、大気圧下に外温110℃で加熱した。内温が100℃に到達するまで加熱をつづけ、1−プロパノールを留去した。反応混合物にCuCl2(1g、7.43mmol)、安息香酸アンモニウム(8.27g、59.5mmol)を添加し、100℃で10時間撹拌した。反応混合物をイソプロパノール(100ml)に添加し、析出した粗結晶をろ取した。ここで得られた粗結晶をイソプロパノール/水(3/1)で洗浄することにより、対応するフタロシアニン化合物77を9.1g、収率92%で得た。
比較例4
フタロニトリル化合物23(9.9g、29.4mmol、含水率5%)、ジエチレングリコール(40ml)、オルト酢酸トリエチル(14.2g、87.6mmol)、酢酸(0.21g、3.5mmol)を混合し、100℃に加熱した。反応混合物にCuCl2(1g、7.43mmol) 、安息香酸リチウム(7.6g、59.5mmol)を添加し、100℃で10時間撹拌した。反応混合物をイソプロパノール(100ml)に添加し、析出した粗結晶をろ取した。ここで得られた粗結晶をイソプロパノール/水(3/1)で洗浄することにより、対応するフタロシアニン化合物77を7.9g、収率80%で得た。
比較例5
オルトギ酸トリエチルを添加しないこと以外は、実施例6と同じ操作を行った。この場合、対応するフタロシアニン化合物77を7.7g、収率78%で得た。
比較例4および5と実施例6、7および8の比較から、脱水剤の使用に加えカルボン酸アンモニウム塩を使用することにより、反応収率が大幅に向上することがわかる。
(フタロシアニン化合物140の合成)
下記のスキームに従って合成した。
Figure 0004854250
参考例3:Bの合成
化合物A(25.0g、0.162モル)をメタノール100ml、トリエチルアミン23mlに溶かし、5℃〜25℃で冷却攪拌下に30%過酸化水素水9mlを、10分間で滴下した。反応液を25℃で更に30分間攪拌し、再び5℃〜25℃で冷却攪拌下に、濃塩酸15mlを滴下し、更に水200mlを添加し、25℃で1時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、水で充分洗浄し、得られた結晶を乾燥し、白色結晶B24.7gを得た。収率99.5%
参考例4:C、D、フタロニトリル化合物40の合成
化合物B(17.5g、0.114モル)にトルエン100ml、ジメチルアセトアミド0.25mを加え、還流下に塩化チオニル25mlを10分間で滴下した。更に1時間加熱環流した後、減圧下濃縮し、粘調液体を得た。一方、ジエトキシエチルアミン(38.0g、0.235モル)にジメチルアセトアミド10ml、アセトニトリル100mlを添加し10℃〜15℃で攪拌下に、前記粘調液体を15分間で滴下した。更に30分間攪拌した後、水100ml、酢酸エチル100mlに注ぎ、酢酸エチル層を分液し、水100mlで2回洗浄した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去し、淡黄色粘調液体Cを得た。この淡黄色粘調液体Cに水50ml、エタノール200ml、亜鉛粉末12gを添加し、加熱還流下に硫酸10mlを水40mlに希釈した溶液を20分間で滴下した。更に30分間加熱攪拌した後、冷却し、不溶物を濾別した。得られた溶液に、飽和食塩水50ml、酢酸エチル100mlを添加し、酢酸エチル層を分液し、水100mlで2回洗浄した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去し、淡黄色粘調液体Dを得た。一方、3−ニトロフタロニトリル(19.7g、0.113モル)、ジメチルアセトアミド70ml、炭酸カリウム(15g、0.108モル)を窒素気流下、20℃〜25℃で攪拌下に、前記淡黄色粘調液体Dを10分間で添加した。更に30分間攪拌した後、水300ml攪拌下に注ぎ、析出した結晶を濾過し、充分水洗した。得られた結晶をメタノール70mlで再結晶し、析出した結晶を濾過、冷メタノール30mlで洗浄、乾燥し、白色結晶フタロニトリル化合物40を35.0g得た。収率72.6%
実施例9
フタロニトリル化合物40(34.4g、0.081モル)に2−メトキシ−1−プロパノール75ml、ジエチレングリコール75mlを添加し、窒素気流下、内温120℃、30分間で15mlを留去した。その後、溶液に安息香酸アンモニウム(11.3g、0.081モル)、塩化銅(2.7g、0.02モル)を添加し、加熱攪拌を5時間した。反応液を酢エチ150ml、水150mlに注ぎ、酢酸エチル層を分液し、食塩水200mlで2回洗浄した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトで精製し、本発明のフタロシアニン化合物140の粉末34.2gを得た。収率93%
物性データ:λmax 652nm(酢酸エチル溶液(1%クロロホルム含有))
比較例6
フタロニトリル化合物40(34.4g、0.081モル)に2−メトキシ−1−プロパノール75ml、ジエチレングリコール75mlを添加し、窒素気流下、内温120℃に加熱した。その後、溶液に安息香酸アンモニウム(11.3g、0.081モル)、塩化銅(2.7g、0.02モル)を添加し、加熱攪拌を5時間した。反応液を酢エチ150ml、水150mlに注ぎ、酢酸エチル層を分液し、食塩水200mlで2回洗浄した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトで精製し、本発明のフタロシアニン化合物140の粉末23.2gを得た。収率63%
実施例9と比較例6の比較から、脱水剤留去に伴う脱水操作を行うことにより収率の向上が見られることがわかった。
(フタロシアニン化合物96の合成)
実施例10
フタロニトリル化合物39(30g、120mmol)、オルト酢酸トリエチル1.2ml(6.5mmol)、酢酸0.6ml(10mmol),安息香酸アンモニウム35.1g(252mmol)およびCuCl24.0g(30mmol)をジエチレングリコール120mlに懸濁させた後、100℃の加熱下で5時間攪拌した。室温に冷却した後、濃塩酸35ml、水60ml、メタノール90mlを加え1時間攪拌した。青色の沈殿物を濾過により収集し、フタロシアニン化合物96(22.72g、収率71%)を得た。
物性データ:λmax 676nm(クロロホルム溶液)
比較例7
オルト酢酸トリエチルを加えないこと以外は実施例10と同じ操作を行い、フタロシアニン化合物96(17.6g、収率55%)を得た。
比較例8
安息香酸アンモニウムの代わりにDBU(38.4g、59.5mmol)を用いること以外は実施例10と同じ操作を行い、フタロシアニン化合物96(15.4g、収率48%)を得た。
実施例10と比較例7および8との比較により、脱水剤とカルボン酸アンモニウムを併用することにより収率の向上が見られることがわかった。
図1は、実施例1で得られたフタロシアニン化合物11のIRスペクトルである。 図2は、実施例6で得られたフタロシアニン化合物77のIRスペクトルである。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)または(2)で表される化合物から下記一般式(3)または(4)で表されるフタロシアニン化合物もしくはフタロシアニン類縁体を製造する方法であって、脱水剤と下記アンモニウム塩化合物の共存下に反応を行うことを特徴とする、下記一般式(3)または(4)で表されるフタロシアニン化合物もしくはフタロシアニン類縁体の製造方法。
    Figure 0004854250
    (一般式(1)および(2)中、ZはZの結合した2つの炭素原子とともに6員環の芳香族構造を形成する有機基を表す。)
    Figure 0004854250
    (一般式(3)および(4)中、Zは一般式(1)および(2)において定義したものと同義である。MおよびMは各々独立に周期表第1族の原子を表し、Mは周期表第1族以外の金属原子又はその酸化物、水酸化物、もしくはハロゲン化物を表す。)
    (アンモニウム塩化合物は、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、炭酸、硫酸、塩酸、リン酸、又はモリブデン酸と、アンモニアとの塩である)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(5)で表されるフタロニトリル化合物である請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0004854250
    (一般式(5)において、Rは水素原子または置換基を表す。nは1〜4の整数を表す。nが2〜4のとき、複数のRは互いに同一でも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。)
  3. 前記アンモニウム塩化合物が、カルボン酸アンモニウム又は炭酸アンモニウムであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記脱水剤が、アセタール化合物、オルトエステル化合物、アルケニルエーテル化合物、アルケニルエステル化合物、エポキシド化合物、オキセタン化合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記脱水剤が、アルコール化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、ヘテロ環化合物、ハロゲン化アルキル化合物、ニトロ化合物、又は二トリル化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. さらに、酸の共存下に反応を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物およびフタロシアニン類縁体の製造方法。
  7. 前記酸が、カルボン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
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