JP4516742B2 - 金属フタロシアニン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属フタロシアニン化合物の新規な製造方法に関するものである。特に、金属フタロシアニン化合物を温和な条件で安定に収率良く製造する方法に関するものである。
金属フタロシアニン化合物は、塗料、印刷インキ、着色剤、電子写真感光体、光ディスク用材料として有用な化合物であり、これまで非常に多くの化合物が合成・製造されてきている。金属フタロシアニン化合物の工業的生産は、「フタロシアニン−化学と機能−」、白井汪芳・小林長夫著、株式会社アイピーシー(1997年)[非特許文献1]に詳しく記載されている。これらの方法は、次の2通りに大別される。1)ワイラー法:無水フタル酸や無水フタル酸イミドを原料とし、尿素と金属塩を縮合剤存在下160℃〜180℃で反応させて製造する方法である。縮合剤としては古くは砒素系の無機塩を使用していたが、最近ではモリブデン酸塩を用いるのが一般的である。本方法には、固相法として尿素溶融物を溶媒の替わりとする方法があるが、発泡の危険性や、温度降下時の固化による欠点の他、低収率でかつ製品中の不純物率が高く、量産の方法としては好まれない。一方、ニトロベンゼン、ポリハロゲン化ベンゼン等の不活性有機溶媒を用いる液相法では、固相法に比べると収率も高く、品質も安定しやすい傾向がある。現状のフタロシアニンの工業的製法の主流を占めていると考えられる。しかし、一方でこの液相法では反応溶媒の分離回収など煩雑な単位操作を必要とし、また、前述した安全性の面において、ニトロベンゼンは毒性の点から、ポリハロゲン化ベンゼンはハロゲン化ビフェニルなど少量の有害物質の副生などの問題点を有しており、適当な高沸点溶媒の選択もフタロシアニンの工業的製法のひとつの課題と言える。2)フタロニトリル法:本方法は出発原料として反応性の高いフタロニトリルを利用する。この方法では、固相法、もしくはベーキング法と呼ばれているフタロニトリルと金属塩の混合物を加熱したり、溶融尿素を溶媒とする方法と、適当な高沸点溶媒中で加熱縮合させる液相法がある。この場合には、キノリン等が塩基性溶媒の縮合促進作用から好んで使用される場合もあったが、現在では安全性の観点から工業的な利用は避けるべきで、本方法における溶媒の選択もまた、ワイラー法の液相法同様課題の一つと言える。無水フタル酸と比べるとフタロニトリルの価格はおおよそ10倍なので、本方法による原料原価を考慮するとワイラー法のそれと比べると相当高くなる欠点がある。しかし、近年の高付加価値を有する機能性フタロシアニンの生産には商品としての末端価格を考慮しても、製法上の種々のメリットを重視すれば本方法は最適の方法である。また特開昭49−49759号[特許文献1]には本フタロニトリル法で塩基を使用した反応条件緩和法が開示されている。例えばエチレングリコール中フタロニトリルと塩化第一銅をアンモニアのバブリング下100℃程度の温度で反応すると高収率で銅フタロシアニンが得られることを示している。また塩基としてのアンモニアの替わりに2級あるいは3級アミン等の高沸点アミンを縮合剤として利用することで各種のフタロシアニンを工業的に生産している。特許第2520476号[特許文献2]には無金属フタロシアニンの一般的な工業製造方法が開示してあり、縮合剤としてアルコラート類のほかに、アミン類としてトリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアゾビシクロノネン等の高沸点アミン類を用いている。しかし、これらのような比較的強い塩基を用いるとフタロニトリルによっては分解が起こり、目的のフタロシアニン化合物の収率が悪化するという欠点を有する。例えば電子吸引性基が置換したフタロニトリルでは目的の縮合反応と、フタロニトリルへの水酸化物イオンなどの求核剤の攻撃による分解が協奏して起こるため金属フタロシアニン化合物の縮合率は向上しない。また、金属塩化物を使った金属フタロシアニン化合物の製造では縮合が進行するにつれ塩酸が発生し、それが縮合の触媒として働く求核種の攻撃を阻害するため、縮合反応が徐々に進行しなくなり、原料が残っていてもいずれ反応
は停止する。こうなると、反応混合物から目的物だけを単離するには製造的に適性のある再結晶あるいは再沈殿法では困難となり、カラムクロマトグラフィーを使用するような生産性の悪い精製法が必要となる。そのため製造工程も長くなり、工業的な見地からはコスト高につながるという欠点を有している。また、特開2000−169743号[特許文
献3]には、アルカリ土類金属化合物の存在下でフタロシアニン化合物を製造する方法が
開示されているが、収率および純度の点で問題があった。
白井汪芳・小林長夫著、「フタロシアニン−化学と機能−」、株式会社アイピーシー(1997年) 特開昭49−49759号公報 特許第2520476号明細書 特開2000−169743号公報
本発明は、上記従来における金属フタロシアニン化合物の製造方法に関する問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明の目的は、一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの少なくとも一種と金属化合物とを加熱反応させて金属フタロシアニン化合物を製造する工程において、工業的に安定して、高収率、高純度の金属フタロシアニン化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、温和な条件でかつ高い反応収率を与える製造方法を詳細に検討したところ、緩衝液中で反応を行うことで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば下記構成の製造方法が提供でき上記目的が達成された。
1.下記一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの少なくとも一種と金属化合物とから金属フタロシアニン化合物を製造する方法であって、有機塩基またはアルカリ金属を含む無機塩基と酸との緩衝液中で反応を行うことを特徴とする金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(I)
Figure 0004516742
但しaとbはそれぞれ独立に置換基を示し、それらのハメットの置換基定数σp値の総和が0.20以上である。mとnは1≦m≦4、0≦n≦3、1≦m+n≦4を満たす整数を表す。
2.前記一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fが下記一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lであることを特徴とする上記1の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(II)
Figure 0004516742
但し、a1はスルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモ
イル基のいずれかを表す。m1は1または2を表す。
3.反応溶剤にグリセリンおよび下記一般式(III)で表される化合物の中から選ばれる
少なくとも一種を用いることを特徴とする上記1,2の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(III)
Figure 0004516742
但し、sおよびtは、それぞれ独立に正の整数を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。
4.有機塩基に下記一般式(IV)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする上記2記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
一般式(IV)
Figure 0004516742
1、Y2およびY3はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Y1、Y2およびY3が結合して形成される縮環型の有機塩基でもよい。各々の基はさらに置換基を有していてもよい。
5.前記有機塩基にトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オキシン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、グリシン、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項2の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
本発明により、工業的に安定して、高収率、高純度の金属フタロシアニン化合物の製造方法が得られた。
前述したように、一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの少なくとも一種と金属化合物から金属フタロシアニン化合物を製造する工程において、フタロシアニンの縮合の触媒として塩基を使用することで反応を効率的に進行させることが可能と言われている。しかし、一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fでも電子吸引性基を有する化合物は塩基でフタロニトリルの分解が促進する。特にσp値の高い電子吸引性基が置換した金属フタロシアニン化合物では分解が顕著であった。しかし、この分解は反応系に酸を共存させることで抑制できることが分かった。すなわち結果的に反応系は酸と塩基からなる緩衝液となり、その中で一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fが分解することなく収率良く反応が進行した。また、反応の副生成物として発生する酸も反応を緩衝液中で行っているためpHが保たれ、反応が安定に進行することが分かった。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL. P. Hammett により提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry 」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
緩衝液とは、溶液中のある成分濃度の変化に対する緩衝作用が大きい溶液である。例えば酢酸など弱酸(AH)とその共役塩基(A-)の混合溶液は,少量のH+またはOH-を添加しても
、pH変化をわずかに抑えることができる。弱塩基(B)と共役酸(BH+)を含む系も同様な作用を示す。実用的なpH緩衝液としては多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば
、長倉三郎編「理化学辞典」第5版(1999年 岩波書店)に詳しい。
本発明に用いられる酸としては、特に制限されるものではないが、25℃における水溶液中の解離指数pKaが7.0以下のものであれば有機化合物および無機化合物のいずれでも好ましい。pKaは酸解離定数の逆数の対数値を表し、イオン強度0.1、25℃で求められた値である。このpKa0.0〜7.0の酸としては、リン酸などの無機酸や酢酸、マロン酸、クエン酸等の有機酸のいずれであってもよいが、上記の改良により効果を示すpKa0.0〜7.0の酸は有機酸である。また、有機酸にあってもカルボキシル基を有する有機酸が最も好ましい。pKaが0.0〜7.0の有機酸は一塩基性有機酸であっても多塩基性有機酸であってもよい。多塩基性有機酸の場合、そのpKaが上記0.0〜7.0の範囲にあれば金属塩(例えばナトリウム塩やカリウム塩)やアンモニウム塩として使用できる。また、pKa0.0〜7.0の有機酸は2種以上混合使用することもできる。本発明に使用するpKa0.0〜7.0の有機酸の好ましい具体例を挙げると、ギ酸、酢酸、モノクロル酢酸、モノブロモ酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、モノクロルプロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、アクリル酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、アミノ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸などの脂肪族系一塩基性有機酸;アスパラギン、アラニン、アルギニン、エチオニン、グリシン、グルタミン、システイン、セリン、メチオニン、ロイシンなどのアミノ酸系化合物;安息香酸及びクロロ、ヒドロキシ等のモノ置換安息香酸、ニコチン酸等の芳香族系一塩基性有機酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、オキサロ酢酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族系二塩基性有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタル酸、シスチン、アスコルビン酸等のアミノ酸系二塩基性有機酸;フタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基性有機酸;クエン酸などの三塩基性有機酸など各種有機酸を列挙することができる。本発明においては、有機酸の中でも、脂肪族系一塩基性有機酸が好ましくギ酸、酢酸、プロピオン酸が最も好ましい。
当該pKaが7.0以下の化合物(酸)の使用量は、一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量に対して0.05〜20当量であり、好ましくは0.1〜10倍量を仕込むことで一般式(I)で示される化合物の分解抑制作用が得られる。pKaが7.0以下の酸の使用量が、一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量に対して0.05倍量未満の場合には、一般式(I)で示される化合物の分解を抑えるには不十分である。一方、pKaが7.0以下の酸の使用量が、一般式(I)で示される化合物の全使用量に対して20倍量を超える場合には、反応系が酸性側に偏るため反応が進行しにくくなる。また緩衝液になるまで塩基を過剰に使用するため、酸と塩基の塩が結晶として生じたりして好ましくない。
本反応で使用できる塩基としてはアルカリ金属を含む無機塩基、または有機塩基である。無機塩基としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基を、有機塩基としては、アミン(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等)を使用することが好ましい。さらに好ましくは下記一般式(IV)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種である。
一般式(IV)
Figure 0004516742
1、Y2およびY3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニ
ル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。上記置換基の例としては、好ましくは炭素数1から30(好ましくは1〜12)の直鎖状または分岐状鎖アルキル基、好ましくは炭素数7〜30(好ましくは7〜18)のアラルキル基、好ましくは炭素数2から30(好ましくは2〜12)のアルケニル基、好ましくは炭素数2から30(好ましくは2〜12)炭素数の直鎖状または分岐鎖状アルキニル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルキル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルケニル基(上記基の具体的例として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)等が挙げられる。また、Y1、Y2およびY3
のうち2つ以上が環を形成しても良い。例えばピリジン、イミダゾール、ジアザビシクロウンデセン、ピペリジン、モルホリン、アザクラウンが好ましく、ピリジン、イミダゾール、ピペリジン、モルホリンが好ましく、更に好ましくはピリジン、ピペリジン、モルホリンである。
1、Y2およびY3の好ましい基はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテ
ロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、最も好ましくはアルキル基である。また各々の基はさらに置換基を有していてもよい。その置換基の例としては、好ましくは炭素数1から30(好ましくは1〜12)の直鎖状または分岐状鎖アルキル基、好ましくは炭素数7〜30(好ましくは7〜18)のアラルキル基、好ましくは炭素数2から30(好ましくは2〜12)のアルケニル基、好ましくは炭素数2から30(好ましくは2〜12)炭素数の直鎖状または分岐鎖状アルキニル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルキル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルケニル基(上記基の具体的例として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、ハロゲノ基(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子);アルキルオキシ基(好ましくは炭素数1から30、より好ましくはの炭素数1から12の置換もしくは無置換のアルキルオキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6から30、より好ましくはの炭素数6から18の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のウレイド基、例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0から30(好ましくは0から18)の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、スルホニル基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7から30(好ましくは7から18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例
えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20(好ましくは3から12)のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7から30(好ましくは7から18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30(好ましくは6から18)の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30(好ましくは7から18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30(好ましくは7から18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30(好ましくは4から12)の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基、および4級アンモニウム基)、その他シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。好ましい置換基としては、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、イオン性親水性基、ヒドロキシル基、アミノ基が好ましく、より好ましくは、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、イオン性親水性基、ヒドロキシル基、アミノ基であり、更に好ましくはアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、イオン性親水性基、ヒドロキシル基、アミノ基である。
1、Y2およびY3の特に好ましい例は好ましい置換基を有するアルキル基またはシク
ロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基である。その他、金属に対するキレート能を有するアミンが好ましい。
有機塩基としての最も好ましい例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オキシン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、グリシン、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸が挙げられる。更に好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オキシン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、グリシン、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸であり、最も好ましくはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、エチレンジアミン四酢酸である。
他に酢酸リチウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩等も挙げられる。これらの有機酸のアルカリ金属塩も本発明においては無機塩基と定義する。本発明において、これら有機塩基と無機塩基を併用することが好ましい。但し、これら塩基は反応溶媒に溶解することで緩衝液として働くため、溶解性の高い塩基が好ましく、有機塩基がより好ましく、アルカリ金属イオンをカチオンとする有機酸塩が更に好ましい。アルカリ金属イオンの中でもリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましく、中でもリチウムイオン、ナトリウムイオンの有機酸塩が最も好まし
い。塩基の使用量としては上記一般式(I)で示される化合物の使用量に対して0.05〜30.0当量であり、好ましくは0.5〜15.0当量である。
本発明の金属フタロシアニン化合物の製造方法では、上記一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの少なくとも一種と上記金属化合物を上記の塩基及び上記pKaが7.0以下の酸との存在下で反応させるのが望ましいものであるが、この際の反応条件としては、反応温度が30〜220℃、好ましくは40〜200℃、更に好ましくは50〜180℃である。上記反応温度が30℃未満の場合には、反応速度が顕著に遅くなり合成に要する時間が著しく長くなるため経済的でなく、また220℃を超える高温で合成する場合には、副生成物の生成量が増加するため好ましくない。
一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの中で好ましい化合物は化合物Aおよび化合物Bであり、その中でも特に化合物Aが好ましい。また一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fは1種類でも使用してもよいし、2種類以上で使用しても良い。
上記一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの置換基aとしては、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アミノ基またはイオン性親水性基が好ましい。
なかでも、アリール基、ヘテロ環基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホンアミド基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基およびアルコキシカルボニル基またはイオン性親水性基が好ましい。
特にヘテロ環基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基、およびアルコキシカルボニル基が好ましい。それでも特に好ましいのはスルホニル基である。
これらの基は、さらにイオン性親水性基などの置換基および/またはイオン性親水性基を置換基とするアルキル基、アリール基を有していてもよい。
スルホニル基(好ましくはアルキルスルホニル基)にイオン性親水性基(好ましくはスルホ基)が置換したものが特に好ましい。
置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。該イオン性親水性基としては、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。
カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
上記一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの置換基bとしては、ハロゲノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、またはイオン性親水性基が好ましい。より好ましくはハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基またはイオン性親水性基で、最も好ましくは、ハロゲノ基、シアノ基、イオン性親水性基である。
上記置換基の例としては、好ましくは炭素数1から30(好ましくは1〜12)の直鎖
状または分岐状鎖アルキル基、好ましくは炭素数7〜30(好ましくは7〜18)のアラルキル基、好ましくは炭素数2から30(好ましくは2〜12)のアルケニル基、好ましくは炭素数2から30(好ましくは2〜12)炭素数の直鎖状または分岐鎖状アルキニル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルキル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルケニル基(上記基の具体的例として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、ハロゲノ基(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子);アルキルオキシ基(好ましくは炭素数1から30、より好ましくはの炭素数1から12の置換もしくは無置換のアルキルオキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6から30、より好ましくはの炭素数6から18の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のウレイド基、例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0から30(好ましくは0から18)の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、スルホニル基(好ましくは炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは
無置換のアリールスルホニル基、例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(好ましくは炭素数6から30(好ましくは6から18)の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7から30(好ましくは7から18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20(好ましくは3から12)のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7から30(好ましくは7から18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30(好ましくは1から12)の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30(好ましくは6から18)の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30(好ましくは7から18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30(好ましくは2から12)の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30(好ましくは7から18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30(好ましくは4から12)の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基、および4級アンモニウム基)、その他シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。
一般式(I)中、mとnは1≦m≦4、0≦n≦3、1≦m+n≦4を満たす整数を表す。その中でも1≦m≦2、0≦n≦1の関係を満たすものが好ましく、特にm=1または2、n=0が最も好ましい。
一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの中でも、前記一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lが好ましい。より好ましくは一般式(II)で表される化合物Gおよび化合物Hであり、特に好ましくは化合物Gである。一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lは1種類で使用しても良いし、2種類以上で使用しても良い。
前記一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lのa1が示す置換基としては、スル
フィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基のいずれかを表すが、これらの基は、さらにイオン性親水性基などの置換基および/またはイオン性親水性基を置換基とするアルキル基、アリール基を有していてもよい。
1は1または2を表す。m1は1が好ましい。
置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。該イオン性親水性基としては、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。
カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
本発明の反応に添加する金属化合物としては、金属、金属酸化物、金属水酸化物のほか、金属塩化物、金属酢酸塩、また錯体としては金属のアコ錯体、アンミン錯体を用いることができる。導入可能な金属または金属酸化物としては、VO、TiO、Mn、Fe、Co、Ni、Cu
、Zn、Pd、Cd、Mg等を挙げることができ、これらの中でもFe、Ni、Cu、Znが好ましく、更に好ましくはNi、Cu、Znである。塩の状態として好ましいものは塩化物(例えば、塩化銅)、酢酸塩、アコ錯体が好ましく、特に塩化物、酢酸塩が最も好ましい。使用量としては、上記一般式(I)に示される化合物A〜化合物Fの全使用量に対して、0.01〜10倍当量が好ましく、更に0.05〜5倍当量が好ましく、特に好ましい量は、0.1〜3倍当量である。
また、本発明では触媒を同時に用いてよい。本発明の触媒としては通常金属フタロシアニン化合物の合成に用いられるすべての触媒を使用することができ、その例としてはモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン等のモリブデン化合物、タンクステン酸アンモニウム、リンタングステン酸アンモニウム等のタングステン化合物、ヒ素バナジウム化合物、ほう酸、またはチタン、スズ、アンチモンのハロゲン化物あるいはオキシハロゲン化物が有り、中でもモリブデン酸アンモニウムが優れている。
本発明の方法で使用の溶剤は、一般的な有機溶剤を使用することができる。中でもヒドロキシル基を有する有機溶媒や、極性溶剤(例、アセトニトリル、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルドデカンアミド)が好ましい。より好ましいアルコールの例としては、メタノール、エタノール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニスアルコールが挙げられる。またモノ−のみならずオリゴ−(特にジ−及びトリ−)及びポリ−C2〜C4−アルキレングリコール(簡単にいうと「グリコール」)並びにこれらのモノ−C1〜C8−アルキル−及びモノアリールエーテル(簡単にいうと「グリコールモノエーテル」)も好適である。またエチレンを基礎とする化合物も有利である。例として、エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ジ−、トリ−及びテトラエチレングリコール、ジ−、トリ−及びテトラプロピレングリコール、ポリエチレン−及びポリプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチル−、−モノエチル−、−モノプロピル−、−モノブチル−及び−モノヘキシルエーテル及びプロピレングリコールモノメチル−、−モノエチル−、−モノプロピル−、−モノブチル−及び−モノヘキシルエーテル、ジ−、トリ−及びテトラエチレングリコールモノメチル−、−モノエチル−及び−モノブチルエーテル及びジ−、トリ−及びテトラプロピレングリコールモノメチル−、−モノエチル−及び−モノブチルエーテル並びにエチレン−及びプロピレングリコールモノフェニルエーテルが挙げられる。また本発明では、工業的に使用される不活性溶剤を使用することもできる。例としてニトロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、メチルナフタレン、ナフタレン、アルキルベンゼン、パラフィン、ナフテン、ケロシンが挙
げられる。
これらは1種もしくは互いに影響しない組み合わせであれば2種以上を適当に混合していて用いても良い。溶媒の使用量は上記一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量の1〜100質量倍、好ましくは1〜20質量倍であり、更に好ましくは1〜5質量倍である。
また本発明の方法で更に好ましい溶剤は、グリセリンおよび一般式(III)で表される
化合物の中から選ばれる少なくとも一種であり、もしくは互いに影響しない組み合わせであれば前項で説明したヒドロキシル基を有する有機溶媒や極性溶剤を適当に混合した溶媒である。式中s、tはそれぞれ独立に正の整数を示すが、好ましくはs、tはそれぞれ1〜10であり、より好ましくは1〜5である。Xは水素原子またはメチル基を表す。より好ましい例としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールとジエチレングリコールの1:2(v/v)の混合溶媒、プロピレングリコールとトリエチレングリコールの3:1(v/v)、メタノールとトリエチレングリコールの1:5(v/v)の混合溶媒が挙げられる。溶媒の使用量は上記一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量の1〜100質量倍、好ましくは1〜20質量倍であり、更に好ましくは1〜5質量倍である。
本反応において反応を長時間行うことは、目的物の安定性や副反応の発生が懸念され、また不経済である。反応時間として好ましくは10時間未満であり、更に好ましくは5時間未満であり、更に好ましくは4時間未満である。
以上をまとめると、本発明の金属フタロシアニン化合物の製造方法は、下記(イ)〜(チ)の組み合わせからなる製造方法が好ましい。
(イ)本発明で使用する酸としては、特に制限されるものではないが、25℃における水溶液中の酸または共役酸の解離指数pKaが7.0以下のものであれば有機化合物および無機化合物のいずれでも好ましい。中でもpKa0.0〜7.0の酸である有機酸が好ましく、カルボキシル基を有する有機酸が最も好ましい。有機酸の中でも、脂肪族系一塩基性有機酸が好ましくギ酸、酢酸、プロピオン酸が最も好ましい。
(ロ)塩基としてはアルカリ金属からなる無機塩基あるいは有機塩基を使用することができ、無機塩基としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の無機塩基を、有機塩基としては、前記一般式(IV)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、特に好ましい例は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンである。他に酢酸リチウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩等の有機酸塩を使用することもできる。
(ハ)反応条件としては、反応温度30〜220℃、好ましくは40〜200℃、特に好ましくは50〜180℃である。
(ニ)一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの置換基aとしては、特にアリール基、ヘテロ環基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホンアミド基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基およびアルコキシカルボニル基またはイオン性親水性基が好ましい。特にヘテロ環基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基、およびアルコキシカルボニル基が好ましい。その中でも特に好ましいのはスルホニル基である。これらの基は、さらにイオン性親水性基などの置換基および/またはイオン性親水性基を置換基とするアルキル基、アリール基を有しているのが好ましく、特にイオン性親水性基で置換したアルキル基、アリール基が好ましく、その中でもイオン性親水性基で置換したアルキル基が好ましい。
(ホ)一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの置換基bとしては、ハロゲノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、イオン性親水性基が好ましい。特にハロゲノ基、シ
アノ基、イオン性親水性基が好ましい。
(ヘ)一般式(I)中、mとnは1≦m≦4、0≦n≦3、1≦m+n≦4を満たす整数を表す。その中でも1≦m≦2、0≦n≦1の関係を満たすものが好ましく、特にm=1または2、n=0が最も好ましい。
(ト)導入可能な金属または金属酸化物としては、VO、TiO、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Cd、Mg等を挙げることができ、これらの中でもNi、Cu、Znが好ましい。また、塩の状
態として特に好ましいものは塩化物(例えば、塩化銅)、酢酸塩である。使用量としては、上記一般式(I)に示される化合物A〜化合物Fの全使用量に対して、0.1〜3倍当量が特に好ましい。
(チ)溶媒として最も好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールとジエチレングリコールが1:2(v/v)の混合溶媒、プロピレングリコールとトリエチレングリコールが4:1(v/v)の混合溶媒であり、使用量として特に好ましい量は上記一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量の1〜5質量倍である。
(リ)反応時間としては4時間未満が特に好ましい。
(ヌ)前記一般式(I)で表される本発明の化合物A〜化合物Fの中でも、下記一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lが好ましい。一般式(II)において好ましいa1はス
ルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基のいずれかを表す。m1は1または2を表す。
これらの好ましい組み合わせについては、これらの少なくとも1つが前記した好ましい条件であることが好ましく、より多くの前記した好ましい条件であることが好ましく、全てが前記した好ましい条件であることが最も好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。結果を表1にまとめた。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例中の化合物P、Q、Rはいずれも一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fに属するものである。
Figure 0004516742
合成例1:化合物1の合成
化合物P 29.48g 酢酸 2.6mLをエチレングリコール35mLに懸濁させ
た。内温50℃に昇温後、酢酸リチウム 6.04g、塩化銅 3.24gを添加し内温を70℃まで加温した。5時間攪拌後、内温90℃まで昇温し、濃塩酸 19.7mLを滴下した。続いて、塩化リチウム 4.49gを加え、イソプロパノールを210mL滴下し晶析した。30℃に冷却後、混合物を吸引ろ過し、イソプロパノールでかけ洗いを行った。乾燥した粗結晶28.77gをイオン交換水115mLに溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH10.5になるまで添加した。90℃で30分攪拌後、イソプロパノール330mLを滴下して晶析した。混合物を吸引ろ過し、固体をイソプロパノー
ルでかけ洗いを行った。収量 27.33 g 収率 85.5 %。同定は以下の方法で行った。質量分析法:FAB−MS(NEGA 1343)、元素分析(実測値C, 36.69; H, 3.27; N, 7.79;計算値C4436CuLi48204・5H2OとしてC, 36.83; H, 3.23; N, 7.81)、溶液吸収:λmax=628.9nm,ε67500(H2O)。
合成例2:化合物2の合成
化合物P 30.52g 、化合物Q 11.83g、酢酸 3.6mLをエチレングリコール100mLに110℃で溶解させた。50℃に冷却後、酢酸リチウム 8.34
g、塩化銅 4.47gを添加し内温を70℃まで加温した。3時間攪拌後、内温90℃まで昇温し、濃塩酸 27.8mLを滴下した。続いて、塩化リチウム 6.20gを加え、イソプロパノールを300mL滴下し晶析した。30℃に冷却後、混合物を吸引ろ過し、イソプロパノールでかけ洗いを行った。乾燥した粗結晶35.29gをイオン交換水140mLに溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH10.5になるまで添加した。90℃で30分攪拌後、イソプロパノール400mLを滴下して晶析した。混合物を吸引ろ過し、固体をイソプロパノールでかけ洗いを行った。収量 33.75 g 収率 76.5 %。同定は以下の方法で行った。質量分析法:FAB−MS(NEGA 1395)、元素分析(実測値C, 39.02; H, 3.40; N, 8.72;計算値C4744CuLi39208・3H2OとしてC, 38.94; H, 3.48; N, 8.69)、溶液吸収:λmax=624.7nm,ε56900(H2
O)。
合成例3:化合物3の合成
化合物R 13.93g 、酢酸 1.0mLをエチレングリコール28mLに懸濁さ
せた。50℃に昇温後、酢酸リチウム 2.21g、塩化銅 1.19gを添加し内温を70℃まで加温した。3時間攪拌後、内温90℃まで昇温し、イソプロパノールを100mL滴下し晶析した。30℃に冷却後、混合物を吸引ろ過し、イソプロパノールでかけ洗いを行った。乾燥した粗結晶10.53gをメタノール140mLに溶解後、イソプロパノール400mLを滴下して晶析した。混合物を吸引ろ過し、固体をイソプロパノールでかけ洗いを行った。収量
10.02 g 収率 88.2 %。同定は以下の方法で行った。質量分析法:FAB−MS(NEGA 1715)、元素分析(実測値C, 47.28; H, 5.48; N, 9.70;計算値C6892CuN12208・1H2OとしてC, 47.06; H, 5.46; N, 9.68)、溶液吸収:λmax=598.3nm,ε36800(酢酸エチル)。
合成例4〜12:化合物2の合成
合成例2のエチレングリコール、その使用量および反応温度を表1のように変更した以外は合成例2に従って操作を行った。
[比較例]
比較例1:化合物1の合成
化合物P 29.48gをエチレングリコール35mLに懸濁させ、内温120℃まで
加熱した。そこに塩化銅 3.24gを添加し2時間攪拌した。内温80℃まで冷却後、濃塩酸 19.7mLを滴下した。続いて、塩化リチウム 4.49gを加え、イソプロパノールを210mL滴下し晶析した。30℃に冷却後、混合物を吸引ろ過し、イソプロパノールでかけ洗いを行った。乾燥した粗結晶 17.58gをイオン交換水115mLに溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH10.5になるまで添加した。90℃で30分攪拌後、イソプロパノール330mLを滴下して晶析した。混合物を吸引ろ過し、固体をイソプロパノールでかけ洗いを行った。収量 14.95g 収率 46.8
%。同定は以下の方法で行った。質量分析法:FAB−MS(NEGA 1344)、元素分析(実測値C, 37.11; H, 3.14; N, 7.87;計算値C4436CuLi48208・4H2OとしてC, 37.30; H, 3.13; N, 7.91)。
比較例2:化合物2の合成
化合物P 30.52g 、化合物Q 11.83gをエチレングリコール100mL
に110℃で溶解させた。50℃に冷却後塩化銅 4.47gを添加し内温を70℃まで加温した。3時間攪拌後、内温120℃まで昇温し2時間攪拌した。濃塩酸 27.8mLを滴下した。続いて、塩化リチウム 6.20gを加え、イソプロパノールを300mL滴下し晶析した。30℃に冷却後、混合物を吸引ろ過し、イソプロパノールでかけ洗いを行った。乾燥した粗結晶24.17gをイオン交換水140mLに溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH10.5になるまで添加した。90℃で30分攪拌後、イソプロパノール400mLを滴下して晶析した。混合物を吸引ろ過し、固体をイソプロパノールでかけ洗いを行った。収量 21.84g 収率 49.5%。同定は以下の方法で行った。質量分析法:FAB−MS(NEGA 1395)、元素分析(実測値C, 37.80; H, 3.62; N, 8.53;計算値C4744CuLi39208・5H2OとしてC, 37.99; H, 3.66; N, 8.48)。
比較例3:化合物1の合成
化合物P 29.48g 酢酸 2.6mLをエチレングリコール35mLに懸濁させ
た。内温50℃に昇温後、酢酸カルシウム 17.48g、塩化銅 3.24gを添加し内温を70℃まで加温した。5時間攪拌後、内温90℃まで昇温し、濃塩酸 19.7mLを滴下した。続いて、塩化リチウム 4.49gを加え、イソプロパノールを210mL滴下し晶析した。30℃に冷却後、混合物を吸引ろ過し、イソプロパノールでかけ洗いを行った。乾燥した粗結晶10.96gをイオン交換水115mLに溶解後、50℃で2.5N−LiOHaq.をpH10.5になるまで添加した。90℃で30分攪拌後、イソプロパノール330mLを滴下して晶析した。混合物を吸引ろ過し、固体をイソプロパノールでかけ洗いを行った。収量 9.08g 収率 28.4 %。同定は以下の方法で行った。質量分析法:FAB−MS(NEGA 1343)、元素分析実測値(C 35.84, H 2.99, N 7.55)、元素分析計算値(C4436CuLi48204・8H2OとしてC 35.93, H 3.43, N
7.62)。
比較例4:化合物3の合成
化合物R 13.93gをエチレングリコール28mLに懸濁させた。50℃に昇温後
、塩化銅 1.19gを添加し内温を70℃まで加温した。DBU(ジアザビシクロウンデセン)を1mL添加し、3時間攪拌後、内温120℃まで昇温して2時間攪拌した。イソプロパノールを100mL滴下し晶析した。30℃に冷却後、混合物を吸引ろ過し、イソプロパノールでかけ洗いを行った。乾燥した粗結晶 8.20gをメタノール70mLに溶解後、イソプロパノール200mLを滴下して晶析した。混合物を吸引ろ過し、固体をイソプロパノールでかけ洗いを行った。収量 7.38g 収率 63.0%。同定は以下の方法で行った。質量分析法:FAB−MS(NEGA 1715)、元素分析(実測値C, 46.88; H, 5.49; N, 9.62;計算値C6892CuN12208・1H2OとしてC, 47.06; H, 5.46; N, 9.68)。
比較例5:化合物2の合成
合成例2の酸と塩基を表1に示すように未使用に、またエチレングリコール、その使用量および反応温度を表1のように変更した以外は合成例2に従って操作を行った。
Figure 0004516742
上記結果から明らかなように、本発明の構成において金属フタロシアニン化合物を高収率で得ることができる。アルカリ土類金属塩基の使用は、極めて低収率になることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物(化合物A〜化合物F)の少なくとも一種と金属化合物とから金属フタロシアニン化合物を製造する方法であって、有機塩基またはアルカリ金属を含む無機塩基と酸との緩衝液中で反応を行うことを特徴とする金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(I)
    Figure 0004516742
    aとbはそれぞれ独立に置換基を示し、それらのハメットの置換基定数σp値の総和が0.20以上である。mとnは1≦m≦4、0≦n≦3、1≦m+n≦4を満たす整数を表す。
  2. 前記一般式(I)で表される化合物(化合物A〜化合物F)が下記一般式(II)で表される化合物(化合物G〜L)であることを特徴とする請求項1の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(II)
    Figure 0004516742
    1はスルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基のいずれかを表す。m1は1または2を表す。
  3. 反応溶剤にグリセリンおよび下記一般式(III)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項2の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(III)
    Figure 0004516742
    sおよびtは、それぞれ独立に正の整数を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。
  4. 有機塩基に下記一般式(IV)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項2の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    Figure 0004516742
    1、Y2およびY3はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Y1、Y2およびY3が結合して形成される縮環型の有機塩基でもよい。各々の基はさらに置換基を有していてもよい。
  5. 前記有機塩基にトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オキシン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、グリシン、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項2の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
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