JP2002275383A - フタロシアニン化合物、水性インク組成物及び着色体 - Google Patents

フタロシアニン化合物、水性インク組成物及び着色体

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JP2002275383A
JP2002275383A JP2001365457A JP2001365457A JP2002275383A JP 2002275383 A JP2002275383 A JP 2002275383A JP 2001365457 A JP2001365457 A JP 2001365457A JP 2001365457 A JP2001365457 A JP 2001365457A JP 2002275383 A JP2002275383 A JP 2002275383A
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芳則 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐光性良好で、赤外、可視部に吸収を持つ黒色
フタロシアニン化合物と、これを用いたインクジェット
用インキ組成物。 【解決手段】式(1) 【化1】 〔式(1)中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、
または置換されていても良いアルキル、シクロアルキ
ル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルカル
ボニルアミノ、シクロヘキシルアルキル、アルコキシ、
アルコキシアルキル、アリール、アラルキル、またはア
ルキルカルボニルオキシ基を表し、R3はカルボキシル
基またはスルホ基を表す。〕で表される、黒色フタロシ
アニン化合物またはその塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なフタロシア
ニン化合物、その塩を含む水性インク組成物及びそれに
よる着色体に関する。
【0002】
【従来の技術】各種カラー記録法の中で、その代表的方
法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法
はインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料
(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うもので
ある。これは、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない
ため音の発生が無く静かであり、また小型化、高速化、
カラー化が容易という特長の為、近年急速に普及しつつ
あり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万
年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録
用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した
水性インクが使用されており、これらの水性インクにお
いてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まり
を防止するべく一般に水溶性有機溶剤が添加されてい
る。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の画
像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じない
こと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ない
こと、保存安定性に優れること等が要求される。また形
成される画像は充分な耐光性及び耐水性等を有すること
が要求されている。また、種々の色相のインクが種々の
染料から調製されているが、それらのうち黒色インクは
モノカラーおよびフルカラー画像の両方に使用される最
も重要なインクである。これら黒色インク用の染料とし
て今日まで非常に多くの出願(例えば特開昭55−14
4067号、特開昭57−207660号、特開昭58
−147470号、特開昭59−93766号、特開昭
62−190269号、特開昭62−246975号、
特開昭63−22867号、特開昭63−33484
号、特開平1−93389号、特開平2−140270
号、特開平3−167270号、特開平3−20085
2号、特開平4−359065号、特開平6−1726
68号、特開平6−248212号、特開平7−261
60号、特開平7−268256号等)がされている
が、市場の要求を充分に満足する製品を提供するには至
っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】インクジェットプリン
タの用途はOA用小型プリンタから産業用の大型プリン
タまで拡大されており、耐光性等の堅牢性がこれまで以
上に求められている。しかし、中でも需要が最も広い黒
色について、これらの要求を満たすものがない。一方加
工紙での耐光性や、空気中のオゾンなどの影響による、
自然退色については、問題が多く、多孔質シリカ、アル
ミナゾルまたは特殊セラミックスなどインク中の色素を
吸着し得る無機微粒子をカチオン系ポリマーやPVA樹
脂などとともに紙の表面にコーティングすることにより
得られるインクジェットプリント用の各種コート紙での
耐光性及び自然退色の改善が強く求められている。しか
し、この要求に充分対応可能な黒色色素は現在無い。
【0004】インクジェット記録用水性インクに用いら
れる黒色の色素骨格としてはジスアゾ体、トリスアゾ体
またはテトラアゾ体等のようにアゾ系が代表的である。
しかしアゾ系については耐水性は比較的良好なものがあ
るが、耐光性は銅フタロシアニン系に代表されるシアン
染料に比べ劣る水準である。そのため黒色インクは、性
能に優れた複数の色素の混合によるものが一般的であ
る。本発明は、望ましくは単色でインクジェット記録に
適する黒色の色相を有し、且つ記録物の耐光性堅牢度及
び自然退色性が顔料系インクに近く、更にバーコード印
字等近赤外光の読み取りの可能な黒色色素及び水性黒色
インク組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記したよ
うな課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に
至ったものである。即ち本発明は、 (1)下記一般式(1)
【0006】
【化2】
【0007】〔式(1)中、R1及びR2は各々独立
に、水素原子、または置換されていても良いアルキル、
シクロアルキル、シクロヘキシルアルキル、アルコキシ
アルキル、アルコキシアルコキシアルキル、アリール、
アラルキル、またはアルキルカルボニルオキシアルキ
ル、テトラヒドロフルフリル基、カルボキシエチル基、
グリシジル基を表し、R3はカルボキシル基またはスル
ホ基を表す。Mは金属原子を表す。〕で表される、黒色
フタロシアニン化合物またはその塩、(2)R3がスル
ホ基である上記(1)に記載の黒色フタロシアニン化合
物またはその塩、(3)前記式(1)中、R1、R2が
各々独立に、水素原子、カルボキシエチル基またはグリ
シジル基である上記(1)に記載の黒色フタロシアニン
化合物、(4)金属原子がニッケル、銅、亜鉛、アルミ
ニウム、鉄またはコバルトである上記(1)または
(2)に記載のフタロシアニン化合物またはその塩、
(5)Mが銅原子である上記(1)から(3)のいずれ
か一項に記載のフタロシアニン化合物またはその塩、
(6)フタロシアニン化合物の塩がフタロシアニン化合
物のアルカリ塩であり、且つそのアルカリ塩の水に対す
る溶解度が2重量%以上である上記(1)から(4)の
いずれか一項に記載のフタロシアニン化合物の塩、
(7)上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のフ
タロシアニン化合物の塩を含有する水性インク組成物、
(8)フタロシアニン化合物の塩がフタロシアニン化合
物のアルカノールアミン塩、リチウム塩、ナトリウム
塩、カリウム塩またはアンモニウム塩である上記(6)
に記載の水性インク組成物、(9)フタロシアニン化合
物の塩がフタロシアニン化合物のアンモニウム塩である
上記(6)または(7)に記載の水性インク組成物、
(10)水及び水溶性有機溶剤を含有する上記(6)か
ら(8)のいずれか一項に記載の水性インク組成物、
(11)水性インク組成物中の無機塩の含有量が1重量
%(内割)以下である上記(6)から(9)のいずれか
一項に記載の水性インク組成物(12)水性インク組成
物がインクジェット記録用である上記(6)から(1
0)のいずれか一項に記載の水性インク組成物、(1
3)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に
記録を行うインクジェット記録方法において、インクと
して上記(6)から(11)のいずれか一項に記載の水
性インク組成物を使用することを特徴とするインクジェ
ット記録方法、(14)被記録材が情報伝達用シートで
ある上記12に記載のインクジェット記録方法、(1
5)上記(6)から(11)のいずれか一項に記載の水
性インク組成物を含有する容器、(16)上記(14)
に記載の容器を有するインクジェットプリンタ、(1
7)上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のフタ
ロシアニン化合物またはその塩を有する着色体に関す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のフタロシアニン化合物
(以下、特に断らない限りその塩を含む。)は、フタロ
シアニン骨格中に、アミノ基とスルホ基またはカルボキ
シル基の両方を有する化合物である。さらに具体的に
は、フタル酸とニトロフタル酸を任意のモル比で用い、
通常の方法でニトロ基を持つフタロシアニン化合物を合
成した後、発煙硫酸などを用い、通常の方法でスルホン
化する事により得ることができるが、この方法に限定さ
れる物ではない。本発明のフタロシアニン化合物は、ア
ルカリ水溶液可溶性であり、且つ各種堅牢度も良いこと
から、新規色素、特に黒色色素若しくは黒色染料として
有用である。
【0009】本発明の化合物の製造方法をさらに詳しく
説明する。本発明のフタロシアニン化合物の原料とな
る、ニトロ基を有するフタロシアニン化合物は、種々の
合成方法があるが、製造コストなどを考慮すると、尿素
法による合成方法が好ましい。さらに詳しくは、無置換
のフタル酸またはフタルイミドとニトロ基を有するフタ
ル酸またはフタルイミドを任意のモル比で用い、高沸点
溶媒中で尿素、中心金属の塩及びモリブデン酸塩を触媒
として用い150℃以上、さらに好ましくは160〜2
20℃の範囲で反応させる事により得られる。中心金属
はその塩として、たとえば銅の場合、塩化第一銅、塩化
第二銅、亜鉛の場合は硫酸亜鉛などを用いれば、目的の
中心金属を有するフタロシアニン化合物が得られる。中
心金属としては、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、
鉄またはコバルトなどがあり、銅が好ましいが、これら
に限定されるものではない。
【0010】反応に用いる高沸点溶剤の例としては、ジ
クロルベンゼン、トリクロルベンゼン、ニトロベンゼ
ン、スルホラン、1,3−ジメチルー2−イミダゾリジ
ノン、トリグライムなどが挙げられるがこれらに限定さ
れるものではない。また、溶媒の使用量は、反応系が撹
拌可能な流動性を保持できれば良く、フタル酸類とニト
ロフタル酸類の合計重量の1から10重量倍、さらに好
ましくは、2から6重量倍使用される。
【0011】このようにして合成されたニトロフタロシ
アニン化合物は濾過後、アルコール類や、希酸水溶液、
希アルカリ水溶液で洗浄しても良く、乾燥後、本発明の
化合物の製造に使用される。
【0012】上記の方法で合成されたニトロフタロシア
ニン化合物は、発煙硫酸またはクロロスルホン酸に溶解
及び加熱撹拌されることにより、スルホン化される。発
煙硫酸でスルホン化する場合、発煙硫酸の濃度は10か
ら50重量%、さらに好ましくは15から35重量%で
使用され、使用量としてはニトロフタロシアニン類に対
し2から20重量倍、さらに好ましくは、3から12重
量倍使用される。反応温度としては、20から130
℃、さらに好ましくは50から120℃の範囲で、目的
に応じて数時間加熱撹拌する。反応液を冷却し、氷水中
にゆっくり投入すると、目的物の結晶が得られるので、
これを濾過する事により、ニトロ基とスルホ基を含むフ
タロシアニン化合物が得られる。
【0013】また、ニトロ基とスルホ基、ニトロ基とカ
ルボキシル基の両方を含む化合物の合成方法としては、
予めスルホ(カルボキシ)置換されたフタル酸ないしは
フタルイミドをニトロフタル酸と任意の割合で反応さ
せ、前述の方法でフタロシアニン化合物とする事によっ
ても得ることができる。
【0014】ニトロ基とスルホ基を含むフタロシアニン
化合物は、非常に多くの付着硫酸を含んでいるため、一
旦水に懸濁し、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ
で中和しても良い。さらにこの中和液から目的物を単離
するため、食塩等を用いて塩析し取り出しても良い。
【0015】次いで上記の様にして得られたニトロ基と
スルホ基を含むフタロシアニン化合物のニトロ基を還元
する事により、本発明の化合物を得ることができる。還
元の方法としては、公知の方法として種々あるが、経済
性等を考慮すると、硫化ソーダ、水硫化ソーダなどで還
元するのが簡便であるが、これに限定されるものではな
い。
【0016】その具体例としては、ニトロ基とスルホ基
を含むフタロシアニン化合物を水に、水酸化ナトリウム
等のアルカリを用い溶解し、ニトロ基当量の1.0〜
2.0モル倍の水硫化ソーダを加え、常温、または10
0℃以下さらに好ましくは80℃以下に加熱することに
より実施される。また、未還元のニトロ基が残っていて
も本発明を実質的に阻害しない限り使用上問題はない。
ニトロ基の存在の有無は得られた化合物のESIマスス
ペクトルを測定することにより確認できる。
【0017】また、還元反応によって得られたアミノ基
に、既知の方法でアルキル化などを施しても良い。アル
キル化の具体的な方法としては、アルカンのハロゲン化
物と脱酸剤として炭酸カリウム、酢酸ソーダなどのアル
カリを用い、水、あるいはジメチルホルムアミド(DM
F)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルイミ
ダゾリジノン(DMI)などの有機溶剤中で加熱する事
により得られるがこの方法に限定されるものではない。
また、ハロゲン化アルカンの代わりに、エステル類を用
いてアルキル化しても良い。エステル類の例としては、
ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸
ブチル、p−トルエンスルホン酸メトキシエチルなどの
p−トルエンスルホン酸エステルなどを用い、炭酸カリ
ウム、酢酸ソーダなどのアルカリを加え、水、あるいは
DMF、NMP、DMI、ジメチルスルホキシド(DM
SO)などの有機溶剤中で加熱する事により得られるが
この方法に限定されるものではない。さらに、アクリル
酸、アクリル酸エステル類、エピクロルヒドリン等を付
加反応させることによりアルキル化する事もできる。反
応としては、アクリル酸、アクリル酸エステル類、エピ
クロルヒドリン等自体を反応溶媒としても良いし、水、
あるいはDMF、NMP、DMI、DMSOなどの有機
溶剤中用いても良く、さらに加熱する事により反応させ
ることができるが、この方法に限定されるものではな
い。こうして得られた本発明のフタロシアニン化合物は
前記式(1)で表されるが、式(1)のR1、R2とし
ては、水素原子、カルボキシエチル基またはグリシジル
基が好ましく、又、R3としてはスルホ基が好ましい。
【0018】本発明の水性インク組成物は、本発明のフ
タロシアニン化合物の水溶性塩を水または水溶性溶媒
(水溶性有機溶剤または水と混和可能な有機溶剤含有
水)に溶解したものである。水性インク組成物に適する
本発明のフタロシアニン化合物の水溶性塩は、通常水に
対する溶解度が2重量%以上、好ましくは3重量%以
上、更に好ましくは5重量%以上のものであればいずれ
も使用出来るが、アルカノールアミン塩、リチウム塩、
ナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属塩また
はアンモニウム塩が好ましく、アンモニウム塩が特に好
ましい。水性インク組成物のpHは6〜11程度が好ま
しい。尚、この水性インク組成物をインクジェットプリ
ンタ用のインクとして使用する場合、本発明のフタロシ
アニン化合物を得る際に不純物として混入する金属陽イ
オンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないもの
を用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば水性
インク組成物中で1重量%(内割)以下、好ましくは
0.1重量%(内割)以下程度である。通常、フタロシ
アニン化合物の合成反応終了後、水溶媒での洗浄により
水性インク組成物に適する無機塩の含有量の少ない本発
明のフタロシアニン化合物を得ることが出来るが、更に
無機物の少ない本発明のフタロシアニン化合物を製造す
るには、例えば逆浸透膜による通常の方法または本発明
のフタロシアニン化合物の乾燥品あるいはウェットケー
キをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹
拌し、濾過、乾燥するなどの方法で脱塩処理すればよ
い。本発明の水性インク組成物は水を媒体として調製さ
れる。本発明のフタロシアニン化合物またはその塩は該
水性インク組成物中に、好ましくは0.1〜20重量
%、より好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2
〜8重量%程度含有される。本発明の水性インク組成物
にはさらに水溶性有機溶剤0〜30重量%、インク調製
剤0〜5重量%含有していても良い。残部は水である。
【0019】本発明のインク組成物は、蒸留水等不純物
を含有しない水に、本発明の化合物またはその塩及び必
要により、下記水溶性有機溶剤、インク調製剤等を添加
混合することにより調製される。また、水と下記水溶性
有機溶剤、インク調製剤等との混合物に本発明の化合物
またはその塩を添加、溶解してもよい。また必要ならイ
ンク組成物を得た後で濾過を行い、狭雑物を除去しても
よい。
【0020】水溶性有機溶剤としては、例えばメタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(I
PA)、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノー
ル、第三ブタノール等の炭素数1〜4のアルカノール、
N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチル
アセトアミド等のカルボン酸アミド(好ましくは炭素数
1〜3の低級カルボン酸の炭素数1〜3のN,N−モノ
またはジアルキルアミド)、ε−カプロラクタム、N−
メチルピロリジン−2−オン(N−メチル−ピロリド
ン)等のラクタム(好ましくは4〜7員環のラクタ
ム)、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまた
は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等
の環式尿素類(好ましくは炭素数1〜3のアルキル置換
基を有していても良い5〜6員環の環式尿素)、アセト
ン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシ
ペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール
(好ましくは炭素数1〜3のケトンまたはケトアルコー
ル)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテ
ル(好ましくは5〜6員環の環状エーテル)、エチレン
グリコール、エチレンチオグリコール、1,2−または
1,3−プロピレングリコール、1,2−または1,4
−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール等の炭素数
2〜6のアルキレン単位を有するアルキレングリコール
またはアルキレンチオグリコールのモノマー、オリゴマ
ーまたはポリマー(ポリアルキレングリコールまたはポ
リアルキレンチオグリコール)、グリセリン、ヘキサン
−1.2.6−トリオール等のポリオール(好ましくは
炭素数1〜6のトリオール)、エチレングリコールモノ
メチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチ
ルカルビトール)、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテル
またはトリエチレングリコールモノメチルエーテルまた
はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価
アルコールの(炭素数1〜4)アルキルエーテル(好ま
しくは、水酸基を1〜3個有する炭素数2〜3の多価ア
ルコールの(炭素数1〜4)アルキルエーテル)、γー
ブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等が挙げら
れる。
【0021】インク調製剤としては、例えば防腐防黴
剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線
吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性
剤、その他のインク調製用添加剤などが挙げられる。
【0022】防腐防黴剤としては、例えば無水酢酸ソー
ダ、ソルビン酸ソーダ、2−ピリジンチオール−1−オ
キサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロ
ロフェノールナトリウム等が挙げられる。
【0023】pH調整剤としては、調合される水性イン
ク組成物に悪影響を及ぼさずに、水性インク組成物のp
Hを例えば6〜11の範囲に制御できるものであれば任
意の物質を使用することができる。その例としては、例
えばジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの
アルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水
酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが
挙げられる。特に水酸化アンモニウムでpHを調整した
場合、耐水性が優れた印刷物を供給することができる。
これは被記録材料に印刷時アンモニウムイオンがアンモ
ニアとして揮発するためと思われる。
【0024】キレート試薬としては、例えばエチレンジ
アミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢
酸ナトリウムなどが挙げられる。防錆剤としては、例え
ば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコー
ル酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイト
ライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシ
ルアンモニウムナイトライトなどが挙げられる。水溶性
高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロ
ース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベ
ンゾフェノン、スルホン化したベンゾトリアゾ−ルなど
が挙げられる。染料溶解剤としては、例えばε−カプロ
ラクタム、エチレンカ−ボネ−ト、尿素などが挙げられ
る。界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン
系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。
【0025】本発明のインクジェット記録方法の被記録
材(基材)としては、例えば紙、フィルム等の情報伝達
用シート、繊維及び皮革等が挙げられる。情報伝達用シ
ートについては、表面処理されたもの、具体的にはこれ
らの基材にインク受容層を設けたものが好ましい。イン
ク受容層は、例えば上記基材にカチオンポリマーを含浸
あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アル
ミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸着
し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニー
ルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に
塗工することにより設けられる。このようなインク受容
層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィル
ム)や光沢紙(フィルム)と呼ばれ、例えばピクトリコ
(商品名、旭硝子(株)製)、カラーBJペーパー、カ
ラーBJフォトフィルムシート(いずれも商品名、キャ
ノン(株)製)、カラーイメージジェット用紙(商品
名、シャープ(株)製)、スーパーファイン専用光沢フ
ィルム(商品名、セイコーエプソン(株)製)ピクタフ
ァイン(商品名、日立マクセル(株)製)等が挙げられ
る。なお、普通紙にも利用できることはもちろんであ
る。
【0026】本発明の水性インク組成物は、本発明のフ
タロシアニン化合物またはそれと他の1種以上の化合物
を含有していても良く、印捺、複写、マーキング、筆
記、製図、スタンピング、または記録法、特にインクジ
ェット印捺法における使用に適する。この場合著しい高
濃度及び水、日光、および摩擦に対する良好な耐性を有
する高品質の黒色印捺物が得られる。本発明のフタロシ
アニン化合物は、普通紙更にインクジェット専用紙にお
いて一層高い耐水性、耐光性を有する。
【0027】本発明の水性インク組成物は水への溶解性
が高く貯蔵中沈殿の分離が生じない。また本発明の水性
インク組成物をインクジェットプリンタにおいて使用す
る場合、噴射ノズルの目詰まりが生ずることなく、比較
的長い時間(一定の再循環下における使用または断続的
に中間的遮断下での使用)においても本発明の水性イン
ク組成物は分解や濃度低下等の物理的性質の変化は生じ
ない。
【0028】本発明の容器は上記の水性インク組成物を
含有する。また、本発明のインクジェットプリンタはこ
の水性インク組成物を含有する本発明の容器がインクタ
ンク部分にセットされたものである。さらに、本発明の
着色体は上記の本発明のフタロシアニン化合物またはそ
の塩で、好ましくは上記のインク組成物で着色されたも
のである。
【0029】本発明の水性インク組成物は、JNC(社
団法人 日本印刷産業機械工業)のJAPAN Col
orの標準黒色に近似した理想に近い黒色であり、各種
光源下でも安定した黒色を示し、演色性も優れている。
また、耐光性及び耐水性の優れた既存のマゼンタ、シア
ン、イエローと共に用いることで耐光性及び耐水性の優
れたカラーの記録物を得ることができる。
【0030】また 本発明のフタロシアニン化合物は、
近赤外部に高い吸収をもっているため、近赤外光を読み
取りに用いるバーコードなどの印字に適しており、本発
明の水性インクは非常に有用である。
【0031】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明する。尚、本文中部及び%とあるのは、特別の記載の
ない限り重量基準である。
【0032】実施例1 冷却管のついた四つ口フラスコに、4−ニトロフタルイ
ミド28.8部、フタルイミド22.0部、尿素57.
6部、塩化第二銅10.2部モリブデン酸アンモニウム
0.2部、スルホラン180部を加え、マントルヒータ
ーで200℃まで昇温し、さらに同温度で5時間撹拌し
た。反応終了後、60℃まで冷却し、ヌッチェ濾過を行
った。さらに、メタノール300部、温水500部で洗
浄し、取り出し、乾燥を行ったところ、ジニトロ銅フタ
ロシアニン相当の化合物46.0部を得た。上記のよう
にして得られた、ジニトロ銅フタロシアニン20.0部
を200部の32%発煙硫酸に溶解し、マントルヒータ
ーで100℃まで昇温し、さらに同温度で5時間撹拌し
た。反応終了後常温まで冷却し、氷水中に反応液を注加
し、スルホン化物の固形分を得た。このスルホン化物
を、ヌッチェにて濾過を行い、500部の水で洗浄を行
い、スルホン化物のウエットケーキ80部を得た。次
に、上記のようにして得られたスルホン化物のウエット
ケーキ全量を200部の水に懸濁し、水酸化ナトリウム
でpH7まで中和する。ついで、70重量%の水硫化
7.7部を水40部に溶解した液を徐々に加え、室温で
5時間、さらに昇温して60℃で3時間還元反応を行っ
た。反応終了後、反応液の重量に対し、15重量部の食
塩を投入し、塩析を行い、目的物の結晶を得た。これを
ヌッチェ濾過し、目的物のウエットケーキを得た。こ
の、ウエットケーキを20重量%の水を含むメタノール
300部に懸濁し、30分撹拌した。この懸濁液をヌッ
チェにて濾過した後、ウエットケーキを再度、20重量
%の水を含むメタノール300部に懸濁し、30分撹拌
し、濾過乾燥したところ、ジアミノジスルホフタロシア
ニン相当の化合物13.6部を得た。0.05g/10
00ml(イオン交換水中)でのλmaxは694.0
nmであった。
【0033】実施例2 実施例1と同様な方法で、トリニトロ銅フタロシアニン
を合成したのち、冷却管のついた四つ口フラスコにこの
化合物20部と、32%発煙硫酸200部を仕込み、溶
解した後、100℃まで昇温し同温度で5時間反応し
た。次に反応液を常温まで冷却し、氷水中に反応液をゆ
っくり投入する事により、トリニトロモノスルホ銅フタ
ロシアニン相当の化合物のウエットケーキを得た。つい
でこのウエットケーキ全量を200部の水に懸濁し、水
酸化ナトリウムでpH7まで中和する。ついで、70重
量%の水硫化11.5部を水40部に溶解した液を徐々
に加え、室温で5時間、さらに昇温して60℃で3時間
還元反応を行った。反応終了後、反応液の重量に対し、
15重量部の食塩を投入し、塩析を行い、目的物の結晶
を得た。これをヌッチェ濾過し、トリアミノモノスルホ
銅フタロシアニンのウエットケーキを得た。この、ウエ
ットケーキを20重量%の水を含むメタノール300部
に懸濁し、30分撹拌した。この懸濁液をヌッチェにて
濾過した後、ウエットケーキを再度、20重量%の水を
含むメタノール300部に懸濁し、30分撹拌し、濾過
乾燥したところ、トリアミノモノスルホ銅フタロシアニ
ン相当の化合物14.3部を得た。0.05g/100
0ml(イオン交換水中)でのλmaxは633.5n
mであった。
【0034】実施例3 冷却管のついた四つ口フラスコに、実施例1で得られた
ジアミノジスルホ銅フタロシアニン10部、アクリル酸
100部、ヒドロキノン0.2部を仕込み、オイルバス
で80℃まで1時間で昇温し、同温度で5時間攪拌し
た。反応液を40℃まで冷却したのち、目的物をヌッチ
ェで濾過し、60℃の水1000部で充分水洗し、乾燥
したところ、11.3部の黒色フタロシアニン化合物を
得た。
【0035】実施例4 冷却管のついた四つ口フラスコに、実施例2で得られた
トリアミノモノスルホ銅フタロシアニン10部、アクリ
ル酸100部、ヒドロキノン0.2部を仕込み、オイル
バスで80℃まで1時間で昇温し、同温度で5時間攪拌
した。反応液を40℃まで冷却したのち、目的物をヌッ
チェで濾過し、60℃の水1000部で充分水洗し、乾
燥したところ、12.2部の黒色フタロシアニン化合物
を得た。この化合物のアンモニウム塩にしたときの溶解
度は7重量%であり、0.05g/1000ml(イオ
ン交換水中)でのλmaxは628.0nmであった。
【0036】実施例5 冷却管のついた四つ口フラスコに、スルホラン312
部、4−スルホフタル酸22.4部、4−ニトロフタル
イミド16.1部、塩化銅6.7部、モリブデン酸アン
モニウム0.7部、尿素60.7部を投入し、マントル
ヒーターで200℃まで昇温し、同温度で5時間反応し
た。反応終了後、60℃まで冷却し、ヌッチェ濾過をお
こなった。ついで70℃の温水800部で洗浄し、ジニ
トロジスルホ銅フタロシアニン相当の化合物のウエット
ケーキを得た。このウエットケーキ全量を、水200部
に懸濁させ、70%水硫化ソーダ16.0部を加え、8
0℃にて3時間反応させた。ついで、この反応液が酸性
になるまで希塩酸を加え、過剰の水硫化ソーダを、硫化
水素として放出させる。この液をヌッチェにてろ過し、
さらに1000部の水で洗浄し、ジアミノジスルホ銅フ
タロシアニンのウエットケーキを得た。このウエットケ
ーキ全量を、アクリル酸200部、ヒドロキノン0.4
部メチルエチルケトン30部の入った四つ口フラスコに
投入し、80℃にて12時間加熱撹拌した。反応液を6
0℃まで冷却し、ヌッチェ濾過し、60℃の水1000
部で洗浄し乾燥したところ、43.9部の黒色フタロシ
アニン化合物を得た。この化合物のアンモニウム塩にし
たときの溶解度は0.05g/1000ml(イオン交
換水中)でのλmaxは670.5nmであった。
【0037】上記実施例1、2及び4で得られたものを
アンモニウム塩にした後、濃度を0.05g/1000
ml(イオン交換水中)に調整し、UV−2100型分
光光度計(島津製作所(株)製)を用いて測定した吸収
スペクトルを図1に示す。また、実施例2で得られたフ
タロシアニン化合物の赤外吸収スペクトルを図2に示
す。
【0038】実施例6 (A)水性インク組成物の調製 下記表1に示した組成の液体を調製し、0.45μmの
メンブランフィルターで濾過する事により各インクジェ
ット用水性インク組成物を得た。また水はイオン交換水
を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜1
0、総量100部になるように水、水酸化アンモニウム
を加えた。
【0039】 表1 実施例1の化合物 5.0部 グリセリン 5.0部 尿素 5.0部 N−メチル−2−ピロリドン 4.0部 IPA 3.0部 ブチルカルビトール 2.0部 水+水酸化アンモニウム 76.0部 計 100部
【0040】(B)インクジェットプリント インクジェットプリンタ(商品名 NEC(株) PI
CTY80L)を用いて、普通紙(キャノンプリンター
ペーパーA4 TLB5A4S (キャノン(株)
製))、専用紙A(Color BJ PaperLC
101(キャノン(株)製))及び専用紙B(カラーイ
メージジェット用コート紙STX73A4(シャープ
(株)製))の3種の紙にインクジェット記録を行っ
た。本発明の水性インク組成物の記録画像の色相、耐光
試験及び演色性の結果を表2に示す。
【0041】実施例7〜10、比較例1、2 実施例7、8、9及び10としてそれぞれ、実施例6と
同様にして実施例2、3、4及び5の化合物を使用して
本発明の水性インク組成物を調製し、インクジェット記
録を行い記録画像の色相、耐光試験及び演色性試験を行
った。また、比較例1として実際に水溶性インクジェッ
ト用黒色色素として用いられている、下記式で表され
る、アゾ系色素のC.I.Direct Black 1
9(比較例1)、比較例2として特開平2−14027
0号公報に記載された化合物(比較例2)を用い、同様
のインク組成で本発明の水性インク組成物と光学濃度が
合うように調整し、インクジェット記録を行い記録画像
の色相、耐光試験及び演色性試験を行った。結果を表2
に示す。
【0042】
【化3】
【0043】尚、記録画像の評価方法は以下のとおり (1) 色相評価 記録画像の色相、鮮明性:記録紙をGRETAG SP
M50(商品名、GRETAG(株)製)を用いて測色
し、L* 、a* 、b*値を算出した。 (2) 耐光試験 カーボンアークフェードメーター(スガ試験機(株)
製)を用い、記録画像に20時間照射した。判定級は、
JIS L−0841に規定されたブルースケールの等
級に準じて判定するとともに、上記の測色システムを用
いて試験前後の色差(ΔE)を測定した。 (3)演色性 標準光源の色相を基準にタングステン光下で見た場合の
変色の程度を目視により判定した。 ○ 色相変化小さい。 △ 色相変化やや大きい。 以上の(1)〜(3)の結果を表2に示した。 (4) 反射率カーブ 記録画像をCOMSEK−V測色システム(商品名、日
本化薬(株)製)を用いて測色し、反射率カーブを求め
た。反射率の測定結果を表3に示した。
【0044】
【表1】
【0045】表2より、本発明のフタロシアニン化合物
の塩を用いた水性インク組成物は、単色で黒色の色相を
有しており、演色性も優れている。耐光堅牢度は普通
紙、専用紙共に極めて良好であり、被記録材(普通紙も
含む)によって差がみられず安定な品質を供給すること
が可能な水性インク組成物である。一方比較例1または
2のアゾ系色素を用いて作製した水性インク組成物では
耐光性は使用する被記録材により品質のばらつきがみら
れ、また比較例2の色素用いて作製した水性インク組成
物では演色性が劣っていた。
【0046】試験例 上記実施例6〜10の専用紙Bでの記録画像を測色し、
各波長(400〜700nm)での反射率を下記表3に
示す。この表3の各波長の反射率の結果から、本発明フ
タロシアニン化合物は単色で黒色の色相があることがわ
かる。
【0047】
【表2】
【0048】以上のことから本発明フタロシアニン色素
を用いた黒色インクは使用用途の範囲が広い非常に優れ
た黒色インクであることがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明のフタロシアニン化合物は水溶解
性に優れ、新規な色素として有用であり、通常黒色を示
し、黒色色素として使用される。又、このフタロシアニ
ン化合物を使用した本発明の水性インク組成物は長期間
保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安
定性が良好である。又、本発明の水性インク組成物をイ
ンクジェット記録用の黒色インクとして使用した印刷物
は耐光性に優れ、その品質は顔料に近く、マゼンタ、シ
アン及びイエロー染料と共に用いることで耐光性に優れ
たインクジェット記録が可能である。更に印刷面は理想
に近い黒色であり、演色性も優れている。従って、本発
明の水性インク組成物はインクジェット記録用黒色イン
クに極めて有用である。また近赤外部に高い吸収をもっ
ていることからも、近赤外光の読み取りに用いるバーコ
ード等の印字としても非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2、4で得られた化合物の分光光度
計による可視吸収スペクトル図
【図2】実施例2で得られたフタロシアニン化合物の赤
外吸収スペクトル図。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1) 【化1】 〔式(1)中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、
    または置換されていても良いアルキル、シクロアルキ
    ル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルカル
    ボニルアミノ、シクロヘキシルアルキル、アルコキシ、
    アルコキシアルキル、アリール、アラルキル、またはア
    ルキルカルボニルオキシ基を表し、R3はカルボキシル
    基またはスルホ基を表す。Mは金属原子を表す。〕で表
    される黒色フタロシアニン化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】R3がスルホ基である請求項1に記載の黒
    色フタロシアニン化合物またはその塩。
  3. 【請求項3】前記式(1)中、R1、R2が各々独立
    に、水素原子、カルボキシエチル基またはグリシジル基
    である請求項1に記載の黒色フタロシアニン化合物また
    はその塩。
  4. 【請求項4】金属原子がニッケル、銅、亜鉛、アルミニ
    ウム、鉄またはコバルトである請求項1または2に記載
    のフタロシアニン化合物またはその塩。
  5. 【請求項5】Mが銅原子である請求項1から3のいずれ
    か一項に記載のフタロシアニン化合物またはその塩。
  6. 【請求項6】フタロシアニン化合物の塩がフタロシアニ
    ン化合物のアルカリ塩であり、且つそのアルカリ塩の水
    に対する溶解度が2重量%以上である請求項1から4の
    いずれか一項に記載のフタロシアニン化合物の塩。
  7. 【請求項7】請求項1から5のいずれか一項に記載のフ
    タロシアニン化合物の塩を含有する水性インク組成物。
  8. 【請求項8】フタロシアニン化合物の塩がフタロシアニ
    ン化合物のアルカノールアミン塩、リチウム塩、ナトリ
    ウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩である請求項
    6に記載の水性インク組成物。
  9. 【請求項9】フタロシアニン化合物の塩がフタロシアニ
    ン化合物のアンモニウム塩である請求項6または7に記
    載の水性インク組成物。
  10. 【請求項10】水及び水溶性有機溶剤を含有する請求項
    6から8のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
  11. 【請求項11】水性インク組成物中の無機塩の含有量が
    1重量%(内割)以下である請求項6から9のいずれか
    一項に記載の水性インク組成物。
  12. 【請求項12】水性インク組成物がインクジェット記録
    用である請求項6から10のいずれか一項に記載の水性
    インク組成物。
  13. 【請求項13】インク滴を記録信号に応じて吐出させて
    被記録材に記録を行うインクジェット記録方法におい
    て、インクとして請求項6から11のいずれか一項に記
    載の水性インク組成物を使用することを特徴とするイン
    クジェット記録方法。
  14. 【請求項14】被記録材が情報伝達用シートである請求
    項12に記載のインクジェット記録方法。
  15. 【請求項15】請求項6から11のいずれか一項に記載
    の水性インク組成物を含有する容器。
  16. 【請求項16】請求項14に記載の容器を有するインク
    ジェットプリンタ。
  17. 【請求項17】請求項1から5のいずれか一項に記載の
    フタロシアニン化合物またはその塩を有する着色体。
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