JP2001011076A - フタロシアニン化合物、水性インク組成物及び着色体 - Google Patents

フタロシアニン化合物、水性インク組成物及び着色体

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JP2001011076A
JP2001011076A JP2000113691A JP2000113691A JP2001011076A JP 2001011076 A JP2001011076 A JP 2001011076A JP 2000113691 A JP2000113691 A JP 2000113691A JP 2000113691 A JP2000113691 A JP 2000113691A JP 2001011076 A JP2001011076 A JP 2001011076A
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phthalocyanine compound
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aqueous ink
compound
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JP2000113691A
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Yoshinori Kato
芳則 加藤
Hirokazu Kitayama
弘和 北山
Yasuo Shirasaki
康夫 白崎
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Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インクジェット記録に適する色相を有し、且つ
記録物の耐光及び堅牢度が強い黒色色素の提供 【解決手段】アミノフタロシアニン類と(メタ)アクリ
ル酸とを反応させることにより得られるフタロシアニン
化合物またはその塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なフタロシア
ニン化合物、その塩を含む水性インク組成物及びそれに
よる着色体に関する。
【0002】
【従来の技術】各種カラー記録法の中で、その代表的方
法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法
はインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料
(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うもので
ある。これは、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない
ため音の発生が無く静かであり、また小型化、高速化、
カラー化が容易という特長の為、近年急速に普及しつつ
あり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万
年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録
用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した
水性インクが使用されており、これらの水性インクにお
いてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まり
を防止するべく一般に水溶性有機溶剤が添加されてい
る。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の画
像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じない
こと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ない
こと、保存安定性に優れること等が要求される。また形
成される画像は充分な耐光性及び耐水性等を有すること
が要求されている。また、種々の色相のインクが種々の
染料から調製されているが、それらのうち黒色インクは
モノカラーおよびフルカラー画像の両方に使用される最
も重要なインクである。これら黒色インク用の染料とし
て今日まで非常に多くの出願(例えば特開昭55−14
4067号、特開昭57−207660号、特開昭58
−147470号、特開昭59−93766号、特開昭
62−190269号、特開昭62−246975号、
特開昭63−22867号、特開昭63−33484
号、特開平1−93389号、特開平2−140270
号、特開平3−167270号、特開平3−20085
2号、特開平4−359065号、特開平6−1726
68号、特開平6−248212号、特開平7−261
60号、特開平7−268256号等)がされている
が、市場の要求を充分に満足する製品を提供するには至
っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】インクジェットプリン
タの用途はOA用小型プリンタから産業用の大型プリン
タまで拡大されており、耐水性及び耐光性等の堅牢性が
これまで以上に求められている。特に普通紙ではこの要
求が強い。しかし、中でも需要が最も広い黒色につい
て、これらの要求を満たすものがない。一方加工紙での
耐水性については多孔質シリカ、アルミナゾル又は特殊
セラミックスなどインク中の色素を吸着し得る無機微粒
子をカチオン系ポリマーやPVA樹脂などとともに紙の
表面にコーティングすることにより大幅に改良され、既
にインクジェットプリント用の各種コート紙が市販され
ている。しかし、耐水性は顔料系インクと比較すると未
だ劣るレベルであり、顔料系インクレベルの耐水性を有
する染料及びインク技術の発明が望まれている。また耐
光性についても大幅に改良させる技術は確立されておら
ず、その改良が重要な課題となっている。
【0004】インクジェット記録用水性インクに用いら
れる黒色の色素骨格としてはジスアゾ体、トリスアゾ体
又はテトラアゾ体等のようにアゾ系が代表的である。し
かしアゾ系については耐水性は比較的良好なものがある
が、耐光性は銅フタロシアニン系に代表されるシアン染
料に比べ劣る水準である。そのため黒色インクは、性能
に優れた複数の色素の混合によるものが一般的である。
本発明は、望ましくは単色でインクジェット記録に適す
る黒色の色相を有し、且つ記録物の耐水、耐光性堅牢度
が顔料系インクに近く、更にバーコード印字等近赤外光
の読みとりの可能な黒色色素及び水性黒色インク組成物
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記したよ
うな課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に
至ったものである。即ち本発明は、(1)下記一般式
(1)
【0006】
【化4】
【0007】(式(1)中、Mは2個の水素原子または
金属原子を示し、mは4以下の数である。)で表される
アミノフタロシアニン類と(メタ)アクリル酸とを反応
させることにより得られるフタロシアニン化合物または
その塩、(2)下記一般式(2)
【0008】
【化5】
【0009】(式(2)中、Mは2個の水素原子または
金属原子を示し、n、p、q及びrは0又は1を示す。
但し、n+p+q+rは1〜4である。)で表されるア
ミノフタロシアニン類と(メタ)アクリル酸とを反応さ
せることにより得られる下記一般式(3)
【0010】
【化6】
【0011】(式(3)中、R1、R2、R3、R4はそれ
ぞれ独立して、NHC24COOH若しくはN(C24
COOH)2、NHCH2CH(CH3)COOH若しく
はN(CH2CH(CH3)COOH)2、又はNH2のい
ずれかの基を表し、M、n、p、q、rは式(2)にお
けるのと同じ意味を表す。)で表されるアルカリ可溶性
のフタロシアニン化合物またはその塩、(3)金属原子
がニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄またはコバル
トである前項(1)又は(2)に記載のフタロシアニン
化合物またはその塩、(4)金属原子が銅である前項
(1)ないし(3)のいずれか一項に記載のフタロシア
ニン化合物またはその塩、(5)フタロシアニン化合物
の塩がフタロシアニン化合物のアルカリ塩であり、且つ
そのアルカリ塩の水に対する溶解度が2重量%以上であ
る前項(1)ないし(4)のいずれか一項に記載のフタ
ロシアニン化合物の塩、
【0012】(6)前項(1)ないし(5)のいずれか
一項に記載のフタロシアニン化合物の塩を含有する水性
インク組成物、(7)フタロシアニン化合物の塩がフタ
ロシアニン化合物のアルカノールアミン塩、リチウム
塩、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩であ
る前項(6)に記載の水性インク組成物、(8)フタロ
シアニン化合物の塩がフタロシアニン化合物のアンモニ
ウム塩である前項(6)又は(7)に記載の水性インク
組成物、(9)水及び水溶性有機溶剤を含有する前項
(6)ないし(8)のいずれか一項に記載の水性インク
組成物、
【0013】(10)水性インク組成物中の無機塩の含
有量が1重量%以下である前項(6)ないし(9)のい
ずれか一項に記載の水性インク組成物、(11)水性イ
ンク組成物がインクジェット記録用である前項(6)な
いし(10)のいずれか一項に記載の水性インク組成
物、(12)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被
記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、
インクとして前項(6)ないし(11)のいずれか一項
に記載の水性インク組成物を使用することを特徴とする
インクジェット記録方法、(13)被記録材が情報伝達
用シートである前項(12)に記載のインクジェット記
録方法、(14)前項(6)ないし(11)のいずれか
一項に記載の水性インク組成物を含有する容器、(1
5)前項(14)に記載の容器を有するインクジェット
プリンタ、(16)前項(1)ないし(5)のいずれか
一項に記載のフタロシアニン化合物またはその塩を有す
る着色体、に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のフタロシアニン化合物
(以下、特に断らない限りその塩を含む。)は、アミノ
フタロシアニン類と(メタ)アクリル酸とを反応させる
ことにより得られる。この化合物は、アミノフタロシア
ニン類のアミノ基に(メタ)アクリル酸が反応したも
の、具体的にはフタロシアニン骨格に結合するアミノ基
の一部又は全部がカルボキシエチルアミノ基(メタクリ
ル酸の場合には、エチル基上にメチル置換基を有す
る。)となったものと考えられる。本発明の新規なフタ
ロシアニン化合物は、アルカリ水溶液可溶性であり、且
つ各種堅牢度も良いことから、新規色素、特に黒色色素
若しくは黒色染料として有用である。
【0015】本発明のフタロシアニン化合物は、一般式
(3)に示した化合物が主成分と考えられるが、カルボ
キシル基とビニル基との反応も知られていることから、
アミノフタロシアニン類と(メタ)アクリル酸が反応し
た後更にそのフタロシアニンのカルボキシル基と(メ
タ)アクリル酸のビニル基が反応した化合物も副生成物
として含有していると考えられる。これらの化合物が含
有していても使用することができる。
【0016】本発明のフタロシアニン化合物を製造する
には、例えばアミノフタロシアニン類とアクリル酸また
はメタクリル酸とを溶媒中で加熱反応させればよい。溶
媒として、反応原料でもあるアクリル酸またはメタクリ
ル酸を使用することが出来る。
【0017】他の溶媒を使用する場合、その他の溶媒
は、基本的にアクリル酸およびメタクリル酸に対し不活
性でなければならず、例えば酢酸、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリ
ドン、などがあげられるがこれらに限定されるものでは
ない。
【0018】反応に用いるアクリル酸又はメタクリル酸
の量は、原料であるアミノフタロシアニンと混合した
際、攪拌可能な量であれば良く、アミノフタロシアニン
の重量に対して3倍重量以上、さらに経済性等を考慮す
ると3〜10倍重量が好ましいが、これらに限定される
ものではない。また、他の溶媒を使用する場合の他の溶
媒の量は、アクリル酸またはメタクリル酸と混合した際
に、原料であるアミノフタロシアニン存在下で攪拌可能
であれば良く、アミノフタロシアニンの重量に対し1倍
以上、さらに好ましくは1〜8倍重量であるが、これら
に限定されるものではない。また、他の溶媒を併用する
際のアクリル酸またはメタクリル酸の量は、原料のアミ
ノフタロシアニンのアミノ基の総モル数に対し、等モル
倍以上の使用すれば良いが、反応速度や、未反応物の低
減の観点から、アミノフタロシアニンの重量に対し2重
量倍以上、さらに2〜10倍重量使用することが好まし
いが、これらに限定されるものではない。
【0019】アミノフタロシアニン類とアクリル酸また
はメタクリル酸の反応温度は、アクリル酸、メタクリル
酸の熱重合を回避できる温度が好ましく、例えば30℃
から140℃、さらに好ましくは60℃から120℃の
範囲で実施されるが、用途に応じてアクリル酸及びメタ
クリル酸の重合物が混入してもかまわない場合はこの限
りではない。また、これらの、重合を回避する目的で、
メトキノン、ヒドロキノン等の既知の重合禁止剤を併用
しても良い。また、重合禁止剤として、酸素も有効であ
り、反応系に空気吹き込みながら実施してもよい。
【0020】上記の方法で合成される化合物は、通常遊
離酸の形あるいはその塩の形で得られる。遊離酸とする
には、例えば酸析すればよい。また、得られた塩以外の
塩にするには、例えば遊離酸にしたものに所望の有機又
は無機の塩基を添加する通常の塩交換法を利用すればよ
い。有機又は無機の塩基として、例えばジエタノールア
ミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン
(好ましくは炭素数1〜6のモノ、ジ又はトリ低級アル
カノールアミン、より好ましくは炭素数2ないし3のジ
アルカノールアミン)、水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、
水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩など
が挙げられるがこれらに限定されるものではない。又、
反応生成物に有機又は無機の塩基を加えても溶解しない
場合は、濾過行程を経ても良い。本願発明のフタロシア
ニン化合物の塩がアルカリ塩である場合、該アルカリ塩
の水に対する溶解度は、好ましくは2重量%以上であ
り、より好ましくは3重量%以上である。
【0021】本発明のフタロシアニン化合物は、反応が
進むにつれアクリル酸やメタクリル酸に不溶解の化合物
になるため、生成物の取り出し後の濾液は次回の反応溶
媒として再利用可能である。また、本発明のフタロシア
ニン化合物の生成の確認は、赤外吸収スペクトルで、原
料アミノフタロシアニン類にはない1700cm-1付近
にカルボニル基による強い極大吸収が現れることにより
確認することが出来る。以上のようにして得られたフタ
ロシアニン化合物は原料のアミノフタロシアニン類とは
異なり、アルカリ可溶性で、通常黒色を示し、黒色色素
としての性質を有するものである。この得られたフタロ
シアニン化合物の化学構造式は得られた理化学的性質か
らは必ずしも明確に特定されないが、得られた理化学的
性質及び原料化合物の反応性等を総合的に考慮すると、
少なくとも反応生成物の主成分は一般式(3)で示され
るフタロシアニン化合物であると考えられる。
【0022】尚、本発明で原料として使用する前記式
(1)で表されるアミノフタロシアニン類は、公知の方
法若しくはそれに準じた方法で合成することが出来る。
例えばフタロシアニン類の合成法として公知の方法に準
じて、無水フタル酸類と4−ニトロフタル酸類を任意の
割合で用い、尿素と触媒(青銅粉など)の存在下、既知
の方法で加熱反応させてニトロ基を含むフタロシアニン
を合成したのち、ニトロ基の還元を行うことにより得ら
れる。無水フタル酸類と4−ニトロフタル酸類との反応
時に金属又は金属塩を使用しないと、Mが2つの水素原
子であるものが、使用するとMが対応する金属であるも
のが得られる。前記式(1)において、mは無水フタル
酸類と4−ニトロフタル酸類の使用割合により、平均値
として4以下の数となる。また、アミノフタロシアニン
類はその中心に金属を配位していてもよく、一般的に金
属を配位しているほうが熱、光などに堅牢である。Mの
金属の例としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜
鉛、アルミニウム、鉛などがあるがこれらに限定される
ものではない。特にMが銅のアミノフタロシアニンは
C.I.Sulphur Green 14の原料とし
て使用されている。本発明のフタロシアニン化合物の原
料として用いるアミノフタロシアニン類は対応するニト
ロ化合物のニトロ基の還元によって得られるが、原料と
して用いるアミノフタロシアニン類中に未還元のニトロ
基が残っていても本発明を実質的に阻害しない限り使用
上問題はない。ニトロ基の存在の有無は得られた化合物
のESIマススペクトルを測定することにより確認でき
る。
【0023】本発明の水性インク組成物は、本発明のフ
タロシアニン化合物の水溶性塩を水または水溶性溶媒
(水溶性有機溶剤又は水と混和可能な有機溶剤含有水)
に溶解したものである。水性インク組成物に適する本発
明のフタロシアニン化合物の水溶性塩は、通常水に対す
る溶解度が2重量%以上、好ましくは3重量%以上、更
に好ましくは5重量%以上のものであればいずれも使用
出来るが、前記アルカノールアミン塩、アルカリ金属塩
又はアンモニウム塩が好ましい。インクのpHは6〜1
1程度が好ましい。この水性インク組成物をインクジェ
ットプリンタ用のインクとして使用する場合、金属陽イ
オンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないもの
を用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば水性
インク組成物中で1重量%以下、好ましくは0.1重量
%以下程度である。通常、反応終了後、水溶媒での洗浄
により水性インク組成物に適する無機塩の含有量の少な
い本発明のフタロシアニン化合物を得ることが出来る
が、更に無機物の少ない本発明の色素成分を製造するに
は、例えば逆浸透膜による通常の方法又は本発明の色素
成分の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等の
アルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥す
るなどの方法で脱塩処理すればよい。
【0024】本発明の水性インク組成物は水を媒体とし
て調製される。本発明のフタロシアニン化合物又はその
塩は該水性インク組成物中に、好ましくは0.1〜20
重量%、より好ましくは1〜10重量%、更に好ましく
は2〜8重量%程度含有される。本発明の水性インク組
成物にはさらに水溶性有機溶剤0〜30重量%、インク
調製剤0〜5重量%含有していても良い。残部は水であ
る。
【0025】本発明のインク組成物は、蒸留水等不純物
を含有しない水に、本発明の化合物又はその塩及び必要
により、下記水溶性有機溶剤、インク調製剤等を添加混
合することにより調製される。また、水と下記水溶性有
機溶剤、インク調製剤等との混合物に本発明の化合物又
はその塩を添加、溶解してもよい。また必要ならインク
組成物を得た後で濾過を行い、狭雑物を除去してもよ
い。
【0026】水溶性有機溶剤としては、例えばメタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(I
PA)、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノー
ル、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,
N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセ
トアミド等のカルボン酸アミド(好ましくはC1〜C3低
級カルボン酸のN、N−モノ又はジC1〜C3アルキルア
ミド)、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリジン−
2−オン(N−メチル−ピロリドン)等のラクタム(好
ましくは4〜7員環のラクタム)、1,3−ジメチルイ
ミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサ
ヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類(好ましくは
C1〜C3のアルキル置換基を有していても良い5〜6員
環の環式尿素)、アセトン、メチルエチルケトン、2−
メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン
またはケトアルコール(好ましくはC3〜C6のケトン又
はケトアルコール)、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等の環状エーテル(好ましくは5〜6員環の環状エーテ
ル)、エチレングリコール、エチレンチオグリコール、
1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2
−または1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するアルキレ
ングリコール又はアルキレンチオグリコールのモノマ
ー、オリゴマーまたはポリマー(ポリアルキレングリコ
ール又はポリアルキレンチオグリコール)、グリセリ
ン、ヘキサン−1.2.6−トリオール等のポリオール
(好ましくはC1〜C6のトリオール)、エチレングリコ
ールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル
又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多
価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル(好ま
しくは、水酸基を1〜3個有するC2〜C3の多価アルコ
ールの(C1〜C4)アルキルエーテル)、γーブチロラ
クトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。
【0027】インク調製剤としては、例えば防腐防黴
剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線
吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性
剤、その他のインク調製用添加剤などがあげられる。
【0028】防腐防黴剤としては、例えば無水酢酸ソー
ダ、ソルビン酸ソーダ、2−ピリジンチオール−1−オ
キサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロ
ロフェノールナトリウム等があげられる。
【0029】pH調整剤としては、調合されるインクに
悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば6〜11の
範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用するこ
とができる。その例としては、例えばジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
どのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あ
るいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムな
どのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。特に水酸
化アンモニウムで調整した場合、耐水性が優れた印刷物
を供給することができる。これは被記録材料に印刷時ア
ンモニウムイオンがアンモニアとして揮発するためと思
われる。
【0030】キレート試薬としては、例えばエチレンジ
アミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢
酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例え
ば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコー
ル酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイト
ライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシ
ルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。水溶性
高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロ
ース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベ
ンゾフェノン、スルホン化したベンゾトリアゾ−ルなど
が挙げられる。染料溶解剤としては、例えばε−カプロ
ラクタム、エチレンカ−ボネ−ト、尿素などが挙げられ
る。界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン
系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。
【0031】本発明のインクジェット記録方法の被記録
材(基材)としては、例えば紙、フィルム等の情報伝達
用シート、繊維及び皮革等が挙げられる。情報伝達用シ
ートについては、表面処理されたもの、具体的にはこれ
らの基材にインク受容層を設けたものが好ましい。イン
ク受容層は、例えば上記基材にカチオンポリマーを含浸
あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アル
ミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸着
し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニー
ルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に
塗工することにより設けられる。このようなインク受容
層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィル
ム)や光沢紙(フィルム)と呼ばれ、例えばピクトリコ
(商品名、旭硝子(株)製)、カラーBJペーパー、カ
ラーBJフォトフィルムシート(いずれも商品名、キャ
ノン(株)製)、カラーイメージジェット用紙(商品
名、シャープ(株)製)、スーパーファイン専用光沢フ
ィルム(商品名、セイコーエプソン(株)製)ピクタフ
ァイン(商品名、日立マクセル(株)製)等が挙げられ
る。なお、普通紙にも利用できることはもちろんであ
る。
【0032】本発明の水性インク組成物は、本発明のフ
タロシアニン化合物またはそれと他の1種以上の化合物
を含有していても良く、印捺、複写、マーキング、筆
記、製図、スタンピング、または記録法、特にインクジ
ェット印捺法における使用に適する。この場合著しい高
濃度及び水、日光、および摩擦に対する良好な耐性を有
する高品質の黒色印捺物が得られる。本発明のフタロシ
アニン化合物は、普通紙更にインクジェット専用紙にお
いて一層高い耐水性、耐光性を有する。
【0033】本発明の水性インク組成物は水への溶解性
が高く貯蔵中沈殿の分離が生じない。また本発明の水性
インク組成物をインクジェットプリンタにおいて使用す
る場合、噴射ノズルの目詰まりが生ずることなく、比較
的長い時間(一定の再循環下における使用または断続的
に中間的遮断下での使用)においても本発明の水性イン
ク組成物は分解や濃度低下等の物理的性質の変化は生じ
ない。
【0034】本発明の容器は上記の水性インク組成物を
含有する。また、本発明のインクジェットプリンタはこ
の水性インク組成物を含有する本発明の容器がインクタ
ンク部分にセットされたものである。さらに、本発明の
着色体は上記の本発明のフタロシアニン化合物またはそ
の塩で、好ましくは上記のインク組成物で着色されたも
のである。
【0035】本発明の水性インク組成物は、JNC(社
団法人 日本印刷産業機械工業)のJAPAN Col
orの標準黒色に近似した理想に近い黒色であり、各種
光源下でも安定した黒色を示し、演色性も優れている。
また、耐光性及び耐水性の優れた既存のマゼンタ、シア
ン、イエローと共に用いることで耐光性及び耐水性の優
れたカラーの記録物を得ることができる。
【0036】また 本発明のフタロシアニン化合物は、
近赤外部に高い吸収をもっているため、近赤外光を読み
取りに用いるバーコードなどの印字に適しており、本発
明の水性インクは非常に有用である。
【0037】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明する。尚、本文中部及び%とあるのは、特別の記載の
ない限り重量基準である。
【0038】実施例1 冷却管のついた四つ口フラスコに、アミノ基を1分子内
に平均で3.2個有する銅フタロシアニン20部、つい
でアクリル酸100部を仕込み、オイルバスで75℃ま
で1時間で昇温し、同温度で12時間攪拌した。反応液
を40℃まで冷却したのち、目的物をヌッチェで濾過
し、60℃の水1000部で充分水洗し、乾燥したとこ
ろ、26.2部の黒色フタロシアニン化合物を得た。こ
の化合物のアンモニウム塩にしたときの溶解度は8重量
%であり、0.05g/1000ml(イオン交換水
中)でのλmaxは687.2nmであった。NaCl
0.0391重量%,Na2SO4 0.4110重量%、計
0.4501重量%。
【0039】実施例2 冷却管のついた四つ口フラスコに、アミノ基を1分子内
に平均で3.2個有する銅フタロシアニン20部、つい
でアクリル酸100部、ヒドロキノン0.5部を仕込
み、オイルバスで90℃まで1時間で昇温し、同温度で
6時間攪拌した。反応液を40℃まで冷却したのち、目
的物をヌッチェで濾過し、60℃の水1000部で充分
水洗し、乾燥したところ、27.9部の黒色フタロシア
ニン化合物を得た。この化合物のアンモニウム塩にした
ときの溶解度は10重量%であり、0.05g/100
0ml(イオン交換水中)でのλmaxは732.8n
mであった。NaCl 0.0320重量%,Na2SO4 0.0
664重量%、計0.0984重量%。
【0040】実施例3 冷却管のついた四つ口フラスコに、アミノ基を1分子内
に平均で3.2個有する銅フタロシアニン20部、つい
で酢酸85部、アクリル酸25部、ヒドロキノン0.5
部を仕込み、オイルバスで115℃まで1時間で昇温
し、同温度で2時間攪拌した。反応液を40℃まで冷却
したのち、目的物をヌッチェで濾過し、60℃の水10
00部で充分水洗し、乾燥したところ、25.9部の黒
色フタロシアニン化合物を得た。 この化合物のアンモ
ニウム塩にしたときの溶解度は7重量%であり、0.0
5g/1000ml(イオン交換水中)でのλmaxは
682.8nmであった。NaCl 0.0333重量%,N
a2SO4 0.8240重量%、計0.8573重量%。
【0041】実施例4 冷却管のついた四つ口フラスコに、1分子内に平均4.
0個のニトロ基を有する銅フタロシアニン類を還元して
得た未還元ニトロ基を含む銅配位アミノフタロシアニン
類20部、ついでアクリル酸100部、ヒドロキノン
0.5部を仕込み、オイルバスで90℃まで1時間で昇
温し、同温度で6時間攪拌した。反応液を40℃まで冷
却したのち、目的物をヌッチェで濾過し、60℃の水1
000部で充分水洗し、乾燥したところ、32.1部の
黒色フタロシアニン化合物を得た。この化合物のアンモ
ニウム塩にしたときの溶解度は10重量%であり、0.
05g/1000ml(イオン交換水中)でのλmax
は750.0nmであった。NaCl 0.4030重量
%,Na2SO4 0.5090重量%、計0.9120重量
%。
【0042】実施例4で得られた化合物のESIマスス
ペクトルを測定したところ、ニトロ基の残存しているア
クリル酸の付加したアミノフタロシアニン化合物も確認
された。
【0043】上記各実施例で得られたものをアンモニウ
ム塩にした後、濃度を0.05g/1000ml(イオ
ン交換水中)に調整し、UV−2200型分光光度計
(島津製作所(株)製)を用いて測定した吸収スペクト
ルを図1に示す。
【0044】また実施例2で用いた原料アミノフタロシ
アニン化合物と実施例2で得られた本発明のフタロシア
ニン化合物のアンモニウム塩を濃度を0.05g/10
00ml(DMFと2.8%アンモニア水1対1溶液
中)に調整し、上記第1図の場合と同様に測定した吸収
スペクトルを図2に示す。
【0045】実施例2で用いた原料アミノフタロシアニ
ン化合物の赤外吸収スペクトルを図3に示す。
【0046】実施例2で得られた本発明のフタロシアニ
ン化合物の赤外吸収スペクトルを図4に示す。
【0047】図2の吸収スペクトルからアミノフタロシ
アニン化合物がアクリル酸と反応していることが確認さ
れた。また図3及び図4の赤外吸収スペクトルの結果か
ら実施例2で得られた化合物にはアルキルの吸収(30
00cm−1)及びカルボニルの吸収(1700cm−
1付近)が認められ、分子中にアクリル酸が導入されて
いることが確認される。
【0048】実施例5 (A)インクの調製 下記組成の液体を調製し、0.45μmのメンブランフ
ィルターで濾過する事により各インクジェット用水性イ
ンク組成物を得た。また水はイオン交換水を使用した。
尚、インク組成物のpHがpH=8〜10、総量100
部になるように水、水酸化アンモニウムを加えた。尚、
各実施例で得られた色素成分はそれぞれイオン交換水に
よって水洗いすることにより脱塩処理を施したものを使
用した。
【0049】 (表1) 表1 上記各実施例で得られた色素成分 5.0部 (脱塩処理された物を使用) グリセリン 5.0部 尿素 5.0部 N−メチル−2−ピロリドン 4.0部 IPA 3.0部 ブチルカルビトール 2.0部 水+水酸化アンモニウム 76.0部 計 100部 尚、各実施例で得られた色素成分(化合物)を含有する
インク組成物のそれぞれの無機塩含有量は下記の通りで
あった。 実施例1の化合物を含有するインク組成物中の無機塩含
有量:0.02251重量% 実施例2の化合物を含有するインク組成物中の無機塩含
有量:0.00492重量% 実施例3の化合物を含有するインク組成物中の無機塩含
有量:0.04289重量% 実施例4の化合物を含有するインク組成物中の無機塩含
有量:0.04560重量%
【0050】(B)インクジェットプリント インクジェットプリンター(商品名 NEC(株) P
ICTY80L)を用いて、普通紙(キャノンプリンタ
ーペーパーA4 TLB5A4S (キャノン(株)
製))、専用紙A(Color BJ PaperLC
101(キャノン(株)製))及び専用紙B(カラーイ
メージジェット用コート紙STX73A4(シャープ
(株)製))の3種の紙にインクジェット記録を行っ
た。本発明の水性インク組成物(実施例1及び2)の記
録画像の色相、耐光試験、耐水試験及び演色性の結果を
表2に示す。
【0051】比較対象として実際に水溶性インクジェッ
ト用黒色色素として用いられている、下記式で表され
る、アゾ系色素のC.I.Direct Black 1
9(比較例1)と特開平2−140270号公報に記載
化合物(比較例2)を同様のインク組成で本発明の黒色
インクと光学濃度が合うように調整したインク組成物の
記録画像の色相、耐光試験、耐水試験及び演色性の結果
を表2に示す。
【0052】
【化7】
【0053】(C)記録画像の評価 色相評価 記録画像の色相、鮮明性:記録紙をGRETAG SP
M50(商品名、GRETAG(株)製)を用いて測色
し、L* 、a* 、b*値を算出した。 耐光試験 カーボンアークフェードメーター(スガ試験機(株)
製)を用い、記録画像に20時間照射した。判定級は、
JIS L−0841に規定されたブルースケールの等
級に準じて判定するとともに、上記の測色システムを用
いて試験前後の色差(ΔE)を測定した。 耐水試験 水を張ったビーカー中に記録紙を入れ、2分間撹拌した
後取り出し風乾し、試験前後の変化をJIS変褪色グレ
ースケールで判定するとともに、上記の測色システムを
用いて試験前後の色差を測定した。 演色性 標準光源の色相を基準にタングステン光下で見た場合の
変色の程度を目視により判定した。 ○ 色相変化小さい。 △ 色相変化やや大きい。 × 色相変化大。 以上の〜の結果を表2に示した。 反射率カーブ 記録画像をCOMSEK−V測色システム(商品名、日
本化薬(株)製)を用いて測色し、反射率カーブを求め
た。反射率の測定結果を表3に示した。
【0054】 (表2) 表2 色相 耐光性 耐水性 演色性 実施例1 L* a* b* 判定値(ΔE) 判定値(ΔE) 普通紙 37.9 -0.8 -2.9 4級(2.6) 5級(1.0) ○ 専用紙A 28.7 0.1 -5.1 3-4級(4.5) 5級(1.9) ○ 専用紙B 20.3 -0.5 -4.5 3-4級(4.5) 5級(0.7) ○ 実施例2 普通紙 34.5 0.2 -1.2 4級(2.0) 5級(1.1) ○ 専用紙A 24.6 1.1 -4.5 4級(3.4) 5級(0.9) ○ 専用紙B 16.9 -0.3 -2.1 4級(2.7) 5級(0.9) ○ 実施例3 普通紙 45.2 -3.8 -2.3 4級(2.3) 5級(0.9) ○ 専用紙A 34.4 -3.3 -5.3 3-4級(3.9) 5級(2.0) ○ 専用紙B 28.0 -4.3 -5.8 3級(6.8) 5級(1.2) ○ 実施例4 普通紙 37.2 1.3 0.6 4級(2.8) 5級(0.9) ○ 専用紙A 28.3 2.5 -3.2 3級(7.4) 5級(1.2) ○ 専用紙B 20.2 1.2 -1.2 3-4級(5.7) 5級(1.5) ○ 比較例1 普通紙 35.6 -0.1 -2.3 4級(2.0) 2級(11.5) ○ 専用紙A 23.0 -2.4 -4.7 3-4級(4.1) 4級(2.9) ○ 専用紙B 16.4 -0.5 -2.3 4級(1.5) 4級(2.8) ○ 比較例2 普通紙 29.2 2.9 -6.9 4級(1.3) 3級(6.2) △ 専用紙A 21.9 5.4 -5.6 3級(8.0) 5級(1.0) △ 専用紙B 15.6 5.1 -3.3 4級(2.8) 2級(10.3) △
【0055】表2より、本発明の色素を用いたインク
は、単色で黒色の色相を有しており、演色性も優れてい
る。耐水堅牢度は普通紙や専用紙共に極めて良好であ
る。又、耐光性も極めて良好であり、被記録材(普通紙
も含む)によって差がみられず安定な品質を供給するこ
とが可能なインクである。一方比較例1又は2のアゾ系
色素を用いて作製したインクでは普通紙や専用紙での耐
水性が不良であり、また耐光性も使用する被記録材によ
り品質のばらつきがみられる。
【0056】上記実施例1〜4の専用紙Bでの記録画像
を測色し、各波長(400〜700nm)での反射率を
下記表3に示す。この表3の各波長の反射率の結果か
ら、本発明フタロシアニン色素は単色で黒色の色相をあ
ることがわかる。
【0057】 (表3) 表3 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 波長(nm) 反射率(%) 反射率(%) 反射率(%) 反射率(%) 400 4.77 4.06 6.09 4.16 420 5.37 4.42 7.40 4.35 440 5.12 4.05 7.29 3.68 460 4.74 3.71 6.93 3.28 480 4.50 3.47 6.56 3.09 500 4.31 3.31 6.25 3.01 520 4.18 3.22 6.05 3.01 540 4.12 3.18 5.91 3.10 560 4.08 3.17 5.77 3.27 580 3.97 3.12 5.46 3.38 600 3.67 2.98 4.84 3.33 620 3.29 2.74 4.15 3.10 640 2.98 2.50 3.64 2.73 660 2.89 2.41 3.43 2.47 680 2.95 2.45 3.45 2.37 700 3.04 2.52 3.56 2.33
【0058】以上のことから本発明フタロシアニン色素
を用いた黒色インクは使用用途の範囲が広い非常に優れ
た黒色インクであることがわかる。
【0059】
【発明の効果】本発明のフタロシアニン化合物は水溶解
性に優れ、新規な色素として有用であり、通常黒色を示
し、黒色色素として使用される。この化合物をインク組
成物に使用するとき、インク組成物製造過程でのメンブ
ランフィルターに対するろ過性が良好という特徴を有す
る。又、このフタロシアニン化合物を使用した本発明の
インク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色
変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。又、本発明の
インク組成物をインクジェット記録用の黒色インクとし
て使用した印刷物は耐光性及び耐水性に優れ、その品質
は顔料に近く、マゼンタ、シアン及びイエロー染料と共
に用いることで耐光性及び耐水性に優れたインクジェッ
ト記録が可能である。更に印刷面は理想に近い黒色であ
り、演色性も優れている。従って、本発明のインク組成
物はインクジェット記録用黒色インクに極めて有用であ
る。また近赤外部に高い吸収をもっていることからも、
近赤外光の読みとりに用いるバーコード等の印字として
も非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜4で得られた化合物の分光
光度計による吸収スペクトル図
【図2】本発明(実施例2)の原料(反応前)の化合物
と生成した化合物(反応後)の同一溶媒中の可視部吸収
スペクトル図。
【図3】本発明(実施例2)で用いたアミノフタロシア
ニン化合物の赤外吸収スペクトル図。
【図4】本発明(実施例2)で得られたフタロシアニン
化合物の赤外吸収スペクトル図。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1) 【化1】 (式(1)中、Mは2個の水素原子または金属原子を示
    し、mは4以下の数である。)で表されるアミノフタロ
    シアニン類と(メタ)アクリル酸とを反応させることに
    より得られるフタロシアニン化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】下記一般式(2) 【化2】 (式(2)中、Mは2個の水素原子または金属原子を示
    し、n、p、q及びrは0又は1を示す。但し、n+p
    +q+rは1〜4である。)で表されるアミノフタロシ
    アニン類と(メタ)アクリル酸とを反応させることによ
    り得られる下記一般式(3) 【化3】 (式(3)中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立し
    て、NHC24COOH若しくはN(C24COOH)
    2、NHCH2CH(CH3)COOH若しくはN(CH2
    CH(CH3)COOH)2、又はNH2のいずれかの基
    を表し、M、n、p、q、rは式(2)におけるのと同
    じ意味を表す。)で表されるアルカリ可溶性のフタロシ
    アニン化合物またはその塩。
  3. 【請求項3】金属原子がニッケル、銅、亜鉛、アルミニ
    ウム、鉄またはコバルトである請求項1又は2に記載の
    フタロシアニン化合物またはその塩。
  4. 【請求項4】金属原子が銅である請求項1ないし3のい
    ずれか一項に記載のフタロシアニン化合物またはその
    塩。
  5. 【請求項5】フタロシアニン化合物の塩がフタロシアニ
    ン化合物のアルカリ塩であり、且つそのアルカリ塩の水
    に対する溶解度が2重量%以上である請求項1ないし4
    のいずれか一項に記載のフタロシアニン化合物の塩。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれか一項に記載の
    フタロシアニン化合物の塩を含有する水性インク組成
    物。
  7. 【請求項7】フタロシアニン化合物の塩がフタロシアニ
    ン化合物のアルカノールアミン塩、リチウム塩、ナトリ
    ウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である請求項6
    に記載の水性インク組成物。
  8. 【請求項8】フタロシアニン化合物の塩がフタロシアニ
    ン化合物のアンモニウム塩である請求項6又は7に記載
    の水性インク組成物。
  9. 【請求項9】水及び水溶性有機溶剤を含有する請求項6
    ないし8のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
  10. 【請求項10】水性インク組成物中の無機塩の含有量が
    1重量%以下である請求項6ないし9のいずれか一項に
    記載の水性インク組成物。
  11. 【請求項11】水性インク組成物がインクジェット記録
    用である請求項6ないし10のいずれか一項に記載の水
    性インク組成物。
  12. 【請求項12】インク滴を記録信号に応じて吐出させて
    被記録材に記録を行うインクジェット記録方法におい
    て、インクとして請求項6ないし11のいずれか一項に
    記載の水性インク組成物を使用することを特徴とするイ
    ンクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】被記録材が情報伝達用シートである請求
    項12に記載のインクジェット記録方法。
  14. 【請求項14】請求項6ないし11のいずれか一項に記
    載の水性インク組成物を含有する容器。
  15. 【請求項15】請求項14に記載の容器を有するインク
    ジェットプリンタ。
  16. 【請求項16】請求項1ないし5のいずれか一項に記載
    のフタロシアニン化合物またはその塩を有する着色体。
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