JP4690570B2 - 廃棄物処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物の分解処理を行なう廃棄物処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物(例えば、残飯などの生ゴミ)を分解処理する技術として、微生物の力を利用して廃棄物の分解処理を効率良く行なう廃棄物処理装置が知られており、これには、例えば特開2000−079383公報に開示されているものがある。
【0003】
従来の廃棄物処理装置は、廃棄物処理槽内の排気を加熱し、酸化脱臭するために脱臭器が配置してあり、酸化脱臭された高温の排気を廃棄物処理槽の下側に設けた熱交換器に流して廃棄物処理槽を加熱していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0005】
廃棄物処理槽の下側に熱交換器を配置して廃棄物処理槽を加熱しただけでは、廃棄物処理槽内全体に熱を均一に与えられず、そのため廃棄物処理槽内に温度むらができてしまう結果、微生物の生息温度がまばらになり、分解処理の効率が低下していた。
【0006】
このように、廃棄物処理槽内の温度が均一にならないために廃棄物の分解処理が的確に進まないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、廃棄物処理槽を効率よく温めるとともに、運転効率を向上させることが可能な廃棄物処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
装置本体の枠体と、
前記枠体内に設けられ、廃棄物を処理する廃棄物処理槽と、
前記廃棄物処理槽内の排気を加熱して触媒により脱臭する脱臭手段と、
を備えた廃棄物処理装置において、
前記廃棄物処理槽は互いに対向して設けられた2つの側壁を有して構成されており、前記廃棄物処理槽内において投入された前記廃棄物の上方に配設される槽内配管と、前記廃棄物処理槽の外側近傍に配設される槽外配管と、を連接して、前記脱臭手段により加熱脱臭された排気を該槽内配管及び槽外配管に通気させて、前記2つの側壁の外側のうち一方に、前記槽外配管を前記側壁と隙間を有して配設し、前記2つの側壁の外側のうち他方に、前記槽外配管または前記脱臭手段を前記側壁と隙間を有して配設することで、前記2つの側壁の外側から前記廃棄物処理槽を、加熱脱臭された排気により加熱するとともに、前記槽内配管内を通る加熱脱臭された排気により前記廃棄物処理槽内の空気を加熱することを特徴とする。
【0009】
装置本体の枠体と、
前記枠体内に設けられ、廃棄物を処理する廃棄物処理槽と、
前記廃棄物処理槽内の排気を加熱して触媒により脱臭する脱臭手段と、
前記廃棄物処理槽下部に設けられ、前記廃棄物処理槽を加熱する加熱手段と、
を備えた廃棄物処理装置において、
前記廃棄物処理槽は互いに対向して設けられた2つの側壁を有して構成されており、前記廃棄物処理槽内において投入された前記廃棄物の上方に配設される槽内配管と、前記廃棄物処理槽の外側近傍に配設される槽外配管と、を連接して、前記脱臭手段により加熱脱臭された排気を該槽内配管及び槽外配管に通気させて、前記2つの側壁の外側のうち一方に、前記槽外配管を前記側壁と隙間を有して配設し、前記2つの側壁の外側のうち他方に、前記槽外配管または前記脱臭手段を前記側壁と隙間を有して配設することで、前記2つの側壁の外側ら前記廃棄物処理槽を、加熱脱臭された排気により加熱するとともに、前記槽内配管内を通る加熱脱臭された排気により前記廃棄物処理槽内の空気を加熱し、前記加熱手段により前記廃棄物処理槽下部から前記廃棄物処理槽を加熱することを特徴とする。
【0012】
前記槽外配管は、前記廃棄物処理槽の前記2つの側壁のうち少なくともいずれか一方及び該廃棄物処理槽の下方に配設されることも好適である。
【0013】
前記2つの側壁間に横架されて回転可能に支持される攪拌軸を備え、
前記攪拌軸には、前記廃棄物処理槽内の廃棄物を攪拌する攪拌部材が設けられ
記側壁に設けられた前記槽外配管と、前記廃棄物処理槽内の廃棄物を攪拌する前記攪拌部材による攪拌領域と、を前記攪拌軸の軸方向に投影してなるそれぞれの投影部は、少なくとも一部領域が重なっていることも好適である。
前記攪拌軸を軸支する軸受け部は、前記側壁から外側に突出して設けられており、
前記槽外配管は、前記側壁に略直交する方向において、該側壁から前記軸受け部の端部近傍までの領域に配設されることも好適である。
【0014】
前記槽外配管は、前記廃棄物処理槽の前記側壁と、前記側壁を囲う装置本体の前記枠体と、から構成される略閉空間に配設されることも好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0016】
図1及至図7に基づいて、本発明の実施の形態に係る廃棄物処理装置を説明する。
【0017】
図1は本実施の形態に係る廃棄物処理装置の構成を示す概略斜視図、図2は図1の廃棄物処理装置の概略断面図、図3は本実施の形態に係る廃棄物処理装置の外装カバー装着時の概略斜視図、図4は本実施の形態に係る廃棄物処理装置内の通気経路内の温度変化を説明する図、図5は本実施の形態に係る廃棄物処理装置内の脱臭部とファンの位置を示す図、図6は本実施の形態に係る廃棄物処理装置内の通気経路内の構成を示す図、図7は本実施の形態に係る廃棄物処理槽側面部の通気経路を示す図である。
【0018】
図1及至図3において、1は動力源の駆動モーター、2は駆動モーター1の出力軸先端に固定された小スプロケット、3は小スプロケット2とかみ合うチェーン、4はチェーン3とかみ合う大スプロケット、5は廃棄物を攪拌する攪拌部材としての攪拌羽根、6は攪拌羽根5を回転させる攪拌軸、7は攪拌軸6を支持する軸受けである。
【0019】
8は廃棄物処理装置を覆う枠体としての外装部、10は廃棄物を処理し、処理槽側板右13と処理槽側板左14を固定している(廃棄物)処理槽、9は処理槽10を加熱する加熱手段として処理槽10下部に設けられた面状ヒーター、11は廃棄物を分解処理させるための基材、12は分解処理の状態を検知する基材状態測定センサー、13は処理槽10を支持している側壁としての処理槽側板右、14は処理槽側板右13同様に処理槽10を支持している側壁としての処理槽側板左である。
【0020】
15は微生物への酸素の供給と分解処理で生成する水分と炭酸ガスの通気を行う通気ファン、16は処理槽10内へ外気を取り込む吸気口、17は処理槽10内で発生した炭酸ガスを排出する排気口、18は処理槽10の投入蓋20に取付けたマグネット、19は投入蓋20に付けたマグネットを検知する投入蓋検知センサー、20は投入蓋、21は廃棄物を投入する投入口である。
【0021】
22は全体を制御する制御部、23は投入口からの廃棄物の投入を検知する廃棄物投入検知センサー、24は処理槽内から発生する粉塵を取り除く除塵フィルター、25(25a,25b,25c)は処理槽内の排気口と外気を連通する排気ダクト、26は処理槽から発生する臭気を帯びた空気を触媒ヒーターにより加熱し、酸化触媒を用いて脱臭する脱臭手段としての脱臭部である。
【0022】
次に、上述のように構成された廃棄物処理装置の作用および動作について説明する。
【0023】
処理槽10は中央に攪拌軸6を有し、中に基材11が入っている。基材11は、生分解し難い繊維素が主成分のおが屑でその一粒一粒が多孔質で吸水性と空隙を有し、かつ粒形が複雑で粒子間にも大きな空隙が形成されている。この空隙により処理生物への酸素が供給できることで、廃棄物の分解処理の効率が向上する。
【0024】
また、このときの混交物中の廃棄物を分解する処理生物は、好気性の微生物や菌である。
【0025】
運転中の廃棄物処理装置の投入蓋20を開けると、投入蓋のマグネット18を検知していた投入蓋開閉検知センサー19は、投入蓋20が開かれたと判断し、攪拌状態の時は駆動モーター1が停止する。
【0026】
ここで、投入扉に取り付けたマグネット18と投入蓋開閉検知センサー19とを備える投入蓋開閉検知手段は、処理槽10に取り付けた磁気に反応する磁気センサーで構成されているが、投入蓋に突部を設け、その突部を処理槽側に取り付けた光学センサーで検知しても良い。
【0027】
また、投入蓋開閉検知センサー19は、本実施の形態においては、非接触式の磁気検知センサーを用いているが、機械式マイクロスイッチであってもよい。
【0028】
また、投入蓋開閉検知センサー19の取り付け位置は、投入蓋側あるいは処理槽側あるいは投入蓋と処理槽のどちらか一方に検知センサーを取り付け、他方に検知部材を取り付けても可能である。
【0029】
次に、廃棄物投入後の攪拌運転について説明する。
【0030】
廃棄物投入後の駆動モーター1による攪拌運転は、例えば通常は30分周期の間に5分間だけ攪拌を行うが、廃棄物を投入された直後は、すぐに攪拌を開始し、例えば30分周期の間に10分間攪拌をすることで、投入された廃棄物を細かく破砕するとともに基材11とまんべんなく混交できる。
【0031】
攪拌は基材11と廃棄物の混交の効果以外にも、攪拌することで混交物の温度の一定化と、混交物中に含まれる水分を積極的に混交物の外部へ飛ばすことが可能となることで、混交物の含水率調整効果もある。
【0032】
また、投入された廃棄物は、24時間以内で分解処理できることから、廃棄物が24時間以上投入されないときは、攪拌サイクルを5分間攪拌の55分間停止にすることで、攪拌に要する駆動モーター1への電力供給を削減でき、省電力化が可能となる。
【0033】
この攪拌サイクルは、廃棄物投入検知センサー23が廃棄物の投入を検出してから、投入蓋の閉蓋を検出すると、10分攪拌、20分停止の初期の攪拌サイクルに戻り、以後30分周期の間に5分攪拌の攪拌サイクルを、次に投入蓋が開けられるまで繰り返す。
【0034】
また、本実施の形態において、攪拌羽根5は、断面が3角形状であり、攪拌軸6に複数等間隔で取り付けられる構成であるが、攪拌軸6に平板状の攪拌羽根を複数等間隔で取り付けても可能である。このほかにも攪拌軸6に棒状の攪拌棒を複数等間隔で取り付けても良い。
【0035】
ここで、処理槽10の断面形状は、基材11の全体が均一に軽い作用で攪拌されるように図1に示すように、ほぼ半円以上の円弧部を有する略U字形状になっている。そして円弧部の円弧の中心と略一致して水平方向に攪拌軸6が設けられている。この攪拌軸6には攪拌羽根5が複数枚等間隔で固定されている。
【0036】
なお、本実施の形態では、処理槽に攪拌軸6を横架させているが、攪拌軸が処理槽に鉛直方向に設けられていてもよい。
【0037】
また、このとき攪拌により、水分と炭酸ガスが攪拌停止時以上に発生することから、通気ファン15の通気量を増加し、吸気口16からの酸素の供給と同時に、分解で発生する水分と炭酸ガスを処理槽10の外部へと排出することで、処理槽内の混交物が多湿気味になることを防止できることで、混交物の含水率調整効果もある。
【0038】
また、このときの通気ファン15の取り付け位置は、本実施の形態では排気口17に連通する脱臭部26を通過後、排気ダクト25内に通気ファン15を取り付けているが、吸気口16に通気ファン15を取り付けても同様の効果が得られる。
【0039】
また、吸気口16に取り付ける通気ファンは、処理槽内に60℃から80℃に加熱した空気を送ることのできる熱風ファンでもよい。吸気口16に熱風ファンを取り付けることにより処理槽内の気体の温度を上昇させることができる。処理槽内の気体の温度が上昇することで気体に含まれる飽和水分量が増すことから、時間あたりの通気流量が同じであれば、短時間で混交物中の水分をより多く処理槽から外へ出すことができる。吸気口16への熱風ファンの取り付けは、混交物が多湿気味になるときに混交物の含水率を調整する手段として有効である。
【0040】
また、排気口17と連通する排気ダクト25内に通気ファン15を設け、かつ吸気口16に熱風ファンを設ける構成にすることでも上記と同様の効果が得られる。
【0041】
その後、投入された廃棄物と基材11がまんべんなく混交されて分解処理が始まる。
【0042】
さらに、基材状態測定センサー12で測定した結果に応じて攪拌運転時間を制御することも可能である。例えば、攪拌の間欠運転時間を通常は、30分周期の間に5分間攪拌していたのを、基材状態が乾燥気味の時は、30分周期の間に2分間とすることで必要充分な攪拌時間として攪拌過多により基材11が破砕されるのを防ぎ基材11の寿命を伸ばすことができる。
【0043】
また、基材状態測定センサー12で測定した結果に応じて、攪拌サイクルと排気流量を調整することで、基材と廃棄物の混交物の含水率を調整することが可能となる。処理槽内が多湿気味になると、嫌気性の菌が増殖し、硫化水素等を発生し、臭気状態が悪臭となることから、基材11と廃棄物の混交物を含水率20%から60%の範囲内に調整することが望ましい。
【0044】
また、水分が多くなると、攪拌に必要なトルクが大きくなり、動力に無理が生じたり、基材が微粉化されているときは、水分を含むと粘土状になりやすい傾向がある。基材が粘土状になると、分解効率が極端に低くなることから、このようなときには、全量または半分以上の基材の交換が必要となる。
【0045】
また、このときの基材状態測定手段である基材状態測定センサー12は、1対の電極を直接処理槽内の基材11に接触させ、1対の電極間に電圧を印加して、基材間を流れる電流を測定し、基材11の含水率を測定する方式である。
【0046】
また、基材11と廃棄物の混交物は、投入される廃棄物の種類により弱アルカリ性や弱酸性に変わることから、混交物に直接接触する電極を構成する材質は、耐酸性、耐アルカリ性に優れたステンレス材を使用すると良い。本実施の形態では、汎用性があり、価格の安いステンレス材のネジを電極として使用している。
【0047】
次に、廃棄物投入が中断したり、投入量が低下したときには、攪拌等によって基材11が乾燥しすぎるときがある。このときには、基材11中の微生物が乾燥によって活性化が鈍り処理効率が低くなるばかりではなく、基材11が微粉化したときには飛散したりして、周囲を汚すという欠点がある。また、このとき微粉末に混入している菌も飛散することから、安全衛生上好ましくない。
【0048】
このようなとき、排気口17に設けた除塵フィルター24により微粉末を外部に出さないようにすることで上記欠点を補うことができる。
【0049】
また、除塵フィルター24は排気口17に機械的に係合または蝶ネジやパチン錠で固定されいることで、器具を使用しないで人手にて取り外すことができる。除塵フィルター24を取り外せることで、除塵フィルター24にとりついた基材11の微粉末を容易に清掃することが可能である。
【0050】
以上のような廃棄物処理装置において、脱臭部26からの排熱利用について説明する。
【0051】
本実施の形態では図1又は図3のように、脱臭部26を処理槽側板右13近傍に設け、処理槽10内に脱臭部26通過後の排気を通す槽内配管としての排気ダクト25aを、処理槽側板左14に槽外配管としての排気ダクト25bを、処理槽10の下側に槽外配管としての排気ダクト25cを配設し、通気ファン15を通して外気へ放出する構成とした。
【0052】
このような構成にすると、脱臭部26から発生した高温(280℃前後)の空気は排気ダクト25内で伝熱現象が発生する。すなわち、熱移動とよばれる有限の温度差がある物体間には熱の移動が発生し、脱臭部26から発生した熱が移動中に奪われていくもので、この伝熱現象を利用して処理槽10や廃棄物処理装置を温めることができる。
【0053】
伝熱現象には熱伝導、対流伝熱、放射伝熱の形態があり、実際の伝熱系では一つの形態の伝熱現象が単独で起こることは希である。しかし、各々の絡み合いを考えると複雑なものとなるため、ここでは熱伝導に限定して説明する。
【0054】
本実施の形態において、排気ダクト25内の熱と受け取る側の空気との間には熱伝導によるフーリエの法則が適用され、次のように表現される。
Q=k(TH−TC)/σA
(但し、A:物体の面積(m2), Q:単位時間(s)の間に伝わる熱量(W), (TH−TC)/σ:温度勾配, k:熱伝導率(W/m・K))
【0055】
以上の法則式から温度を効果的に熱交換するには物質の種類(材質)と状態(温度と圧力)によって定まる熱伝導率kの値を十分に考慮しなければならなく、さらに一般的に伝熱量に影響を与えるものとして、伝熱面の形状や大きさ、流動状態なども含まれる。
【0056】
以上のことに注意して、排気ダクト25の形状、材質を選定しなければならない。本実施の形態では、排気ダクト25の材質をSUS304にし、この排気ダクト25を用いた装置内の伝熱現象による温度状態変化を図4に記す。
【0057】
図4を見ると、排気ダクト25aと、排気ダクト25bの間で大きく熱交換をしているのがわかる。これは上記フーリエの法則の式の (TH−TC)/σ で表わされる温度勾配が大きいためである。
【0058】
また、このように配管することで処理槽10内の空気に排気ダクト25aの伝熱現象により熱を与えることができ、結果処理槽10内の空気温度が上昇することで飽和蒸気圧の関係より処理槽10の水分をより多く空気に含むことができ、処理槽10内が多湿状態の時有効である。
【0059】
同時に、処理槽10内の空気を温めることで脱臭部26内で加熱する際に空気の温度が高いほうが加熱する温度が少なくてすみ、運転コストを削減でき、運転効率を向上させることができる。さらに、排気ダクト25aを通した後、排気ダクト25b,25cに通すことにより処理槽10内に熱を還元でき、脱臭部26で与えた熱をまんべんなく利用できる。
【0060】
また、本実施の形態では、面状ヒーター9を処理槽10に取り付けているため、初めに処理槽10内の排気ダクト25aから通しているが、逆の構成としても排熱を効率良く利用できる。すなわち、脱臭部26通過後の排気を、処理槽10の下側の排気ダクト25cへ通し、処理槽側板左14の排気ダクト25b、排気ダクト25aへと通し、外気へ放出する構成としてもよい。この場合、排気ダクト25cと、排気ダクト25bの間で大きく熱交換をするため、処理槽10下部と処理槽側板左14に熱を多く与えることができ、結果処理槽10内の基材11に熱を伝えられ廃棄物の処理効率向上につながる。
【0061】
また、図4で排気ダクト25aと、排気ダクト25bの間で大きく熱交換し、さらに排気ダクト25cを通すことで微量の熱交換だが処理槽10下部に熱を与えることができ、少しでも排気の温度を抑えることで通気ファン15の寿命を延ばすことができる。
【0062】
また、排気ダクト25cでの熱交換は面状ヒーター9の運転コストの削減にもつながる。図1の装置で外気25℃のとき、排気ダクト25cでの熱交換だと処理槽10下部の排気ダクト25c近傍では約40℃で保温することができ、排気ダクト25cを配設する効果により面状ヒーター9は、処理槽10以外への放熱を削減できる。
【0063】
また、通気ファン15は脱臭部26より下流側に構成している。
【0064】
これは、理想気体の状態式である
pv=RT
(但し、p:圧力(Pa), v:体積(m3), R:気体定数(J/(kg・K)), T:温度(K))
からの考えを反映しての構成とした。
【0065】
気体は一般的に熱を加えると等圧状態では体積が膨張するため、常温では体積が膨張していないので容易に脱臭部26を通過するが、高温状態では脱臭部26で大きな抵抗を発生し、容易に通過できなくなる。そのため、図5(a)のように通気ファン15を脱臭部26の上流側に構成すると脱臭部26内を加圧する形となり、脱臭部26の抵抗により進めない気体は排気口17と脱臭部26との間に発生した隙間から漏れてしまい、結果臭気が発生してしまう。よって、図5(b)のように通気ファン15を脱臭部26より下流側に設けて脱臭部26内を減圧し、途中の隙間から臭気が漏れないような構成としている。
【0066】
また、本実施の形態においては、脱臭部26を処理槽側板右13側に、排気ダクト25bを処理槽側板左14側に構成している。このように構成すると、基材11に与える熱源は処理槽10下部に取り付けた面状ヒーター9だけでなく、処理槽10の両側板、排気ダクト25aによる上方からも熱を与えられるため基材11の温度を四方全体から効率良く与えることができ、温度むらを削減することで処理効率の向上を図ることができる。さらに、処理槽10の下側に排気ダクト25cを構成すると、より効果的である。
【0067】
また、排気ダクト25bは、処理槽側板13,14のうち少なくともいずれか一方に設けられていればよく、処理槽側板13,14のうち少なくともいずれか一方においては排気ダクト25bのみで処理槽10を加熱するとよい。これにより処理槽側板13,14にヒーターを設ける必要がなくなり、装置構成の簡素化及びコストの低減を図ることができる。そして、例えば、図6に示すような構成でも好適である。すなわち、脱臭部26を処理槽10の下側に配設し、脱臭部26通過後の排気を、まず、処理槽側板右13の排気ダクト25bに通し、その後、処理槽10内の排気ダクト25aに通してから、処理槽側板左14の排気ダクト25bに通してもよい。この場合には、処理槽側板右13と処理槽側板左14とで温度差が発生するが断熱材等で温度調整を行うことで図1に記す構成と同様な効果が得られる。
【0068】
ここで、脱臭部26や排気ダクト25bは処理槽10(処理槽側板13,14)に直接当てず、隙間(または介在部材)を設けた方がよい。脱臭部26内の排気や排気ダクト25b内の排気は温度が高温であり、処理槽に直接当てると空気のような熱伝導率が低いものを通らないため処理槽側板13,14を高温に温めてしまい、その結果、廃棄物を処理する微生物が高温により死滅してしまうためである。
【0069】
そして、排気ダクト25bは処理槽側板左14を介して効率良く基材11に熱を与えるため、本実施の形態では、排気ダクト25bを処理槽側板左14上を通過させる構成としている。処理槽側板左14上を通過させるのは、空気の熱伝導率は大変低いため、排気ダクトを処理槽側板から離してしまうと、排気ダクトから伝熱する熱を十分に伝えられないためである。そのため図7(a),図7(b),図7(c),図7(d)に示すように、基材11が担持されている箇所を通すとよい(排気ダクト25bと、攪拌羽根5による攪拌領域と、を攪拌軸6の軸方向に投影してなるそれぞれの投影部が、少なくとも一部領域重なっているとよい)。これにより、側壁からも積極的に処理槽10に熱を与えることができ、さらに、その熱を効率良く基材11に与えることが可能である。
【0070】
また、排気ダクト25bは処理槽側板左14側に構成しているため廃棄物処理装置の幅方向のスペースを必要とする。そこで、省スペース化のために攪拌軸6を軸支する軸受け7の出っ張り部分よりも幅方向に突出することのない排気ダクト25にする(排気ダクト25bは、処理槽側板左14に略直交する方向において、処理槽側板左14から軸受け7の端部近傍までの領域に配設される)。ここで、排気ダクト25bの断面形状は、円形状にするよりも、装置の幅方向に突出することの少ない略長方形などの形状とした方が、通気面積を広くとれるので有効である。このように排気ダクト25bを構成することにより、排気ダクト25bを用いるために廃棄物処理装置の幅を広げる必要がなくなるため、省スペース化を図ることができ、結果的に材料の削減につなげられる。
【0071】
また、排気ダクト25bを設けてある空間を処理槽側板左14(の外壁)と外装部8とで囲い、排気ダクト25bの空間を閉じられた室(閉空間)にしてもよい。閉じられた室にすることで伝熱した気体を閉じ込めることができ、処理槽側板左14へ与える熱のむらを減らすことができ、処理槽側板左14全体をより効果的に暖められる。さらに、外気との境をつけることで廃棄物処理装置の保温にもつながり、排熱を利用して温めるため運転コストの削減も図れ、運転効率を向上させることができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、槽内配管及び槽外配管を備えることにより、脱臭手段から発生する熱を、廃棄物処理槽内に還元させることができるので、廃棄物処理槽を効率よく温めることが可能となる。
【0073】
また、廃棄物処理槽内の温度むらを軽減することができ、分解処理の効率を高めることができる。さらに、排熱を利用することによりコストが削減でき、運転効率を向上させることが可能となる。
【0074】
また、上述したように本発明を適用した配管構造により省スペース化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る廃棄物処理装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1のA視から見た廃棄物処理装置の概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る廃棄物処理装置の外装カバー装着時の概略斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る廃棄物処理装置内の通気経路内の温度変化を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る廃棄物処理装置内の脱臭部と通気ファンとの位置関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る廃棄物処理装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る廃棄物処理装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 駆動モーター
2 小スプロケット
3 チェーン
4 大スプロケット、
5 攪拌羽根
6 攪拌軸
7 攪拌軸を支持する軸受け
8 外装部
9 面状ヒーター
10 処理槽
11 基材
12 基材状態測定センサー
13 処理槽側面右
14 処理槽側面左
15 通気ファン
16 吸気口
17 排気口
18 投入蓋に取り付けたマグネット
19 投入蓋開閉検知センサー
20 投入蓋
21 廃棄物投入口
22 制御部
23 廃棄物投入検知センサー
24 除塵フィルター
25 排気ダクト
26 脱臭部

Claims (6)

  1. 装置本体の枠体と、
    前記枠体内に設けられ、廃棄物を処理する廃棄物処理槽と、
    前記廃棄物処理槽内の排気を加熱して触媒により脱臭する脱臭手段と、
    を備えた廃棄物処理装置において、
    前記廃棄物処理槽は互いに対向して設けられた2つの側壁を有して構成されており、前記廃棄物処理槽内において投入された前記廃棄物の上方に配設される槽内配管と、前記廃棄物処理槽の外側近傍に配設される槽外配管と、を連接して、前記脱臭手段により加熱脱臭された排気を該槽内配管及び槽外配管に通気させて、前記2つの側壁の外側のうち一方に、前記槽外配管を前記側壁と隙間を有して配設し、前記2つの側壁の外側のうち他方に、前記槽外配管または前記脱臭手段を前記側壁と隙間を有して配設することで、前記2つの側壁の外側から前記廃棄物処理槽を、加熱脱臭された排気により加熱するとともに、前記槽内配管内を通る加熱脱臭された排気により前記廃棄物処理槽内の空気を加熱することを特徴とする廃棄物処理装置。
  2. 装置本体の枠体と、
    前記枠体内に設けられ、廃棄物を処理する廃棄物処理槽と、
    前記廃棄物処理槽内の排気を加熱して触媒により脱臭する脱臭手段と、
    前記廃棄物処理槽下部に設けられ、前記廃棄物処理槽を加熱する加熱手段と、
    を備えた廃棄物処理装置において、
    前記廃棄物処理槽は互いに対向して設けられた2つの側壁を有して構成されており、前記廃棄物処理槽内において投入された前記廃棄物の上方に配設される槽内配管と、前記廃棄物処理槽の外側近傍に配設される槽外配管と、を連接して、前記脱臭手段により加熱脱臭された排気を該槽内配管及び槽外配管に通気させて、前記2つの側壁の外側のうち一方に、前記槽外配管を前記側壁と隙間を有して配設し、前記2つの側壁の外側のうち他方に、前記槽外配管または前記脱臭手段を前記側壁と隙間を有して配設することで、前記2つの側壁の外側ら前記廃棄物処理槽を、加熱脱臭された排気により加熱するとともに、前記槽内配管内を通る加熱脱臭された排気により前記廃棄物処理槽内の空気を加熱し、前記加熱手段により前記廃棄物処理槽下部から前記廃棄物処理槽を加熱することを特徴とする廃棄物処理装置。
  3. 前記槽外配管は、前記廃棄物処理槽の前記2つの側壁のうち少なくともいずれか一方及び該廃棄物処理槽の下方に配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処理装置。
  4. 前記2つの側壁間に横架されて回転可能に支持される攪拌軸を備え、
    前記攪拌軸には、前記廃棄物処理槽内の廃棄物を攪拌する攪拌部材が設けられ
    記側壁に設けられた前記槽外配管と、前記廃棄物処理槽内の廃棄物を攪拌する前記攪拌部材による攪拌領域と、を前記攪拌軸の軸方向に投影してなるそれぞれの投影部は、少なくとも一部領域が重なっていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の廃棄物処理装置。
  5. 前記攪拌軸を軸支する軸受け部は、前記側壁から外側に突出して設けられており、
    前記槽外配管は、前記側壁に略直交する方向において、該側壁から前記軸受け部の端部近傍までの領域に配設されることを特徴とする請求項に記載の廃棄物処理装置。
  6. 前記槽外配管は、前記廃棄物処理槽の前記側壁と、前記側壁を囲う装置本体の前記枠体と、から構成される略閉空間に配設されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の廃棄物処理装置。
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