JP4684434B2 - ウイルス濃縮用粒子、ウィルス濃縮用試薬、ウイルス濃縮方法およびウイルス検出方法 - Google Patents

ウイルス濃縮用粒子、ウィルス濃縮用試薬、ウイルス濃縮方法およびウイルス検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中のウイルスを濃縮するためのウィルス濃縮用粒子、ウイルス濃縮子用試薬、ウイルス濃縮方法およびウイルス検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウイルスはヒトや動植物のさまざまな病気の原因の一つであり、その検査・診断のためには原因ウイルスの確認が非常に重要である。従来のウイルス検査・診断法としては、ウイルス抗原あるいは抗ウイルス抗体の免疫学的測定が一般的である。しかしながら、ウイルス感染から数週間〜数ヶ月は、ウイルス量あるいは抗ウイルス抗体量が少ないため、これらの免疫学的測定法では検出できない場合がある。この検出不可能な期間はウインドウ・ピリオド(空白期間)と呼ばれており、このような患者が献血を行った場合、その献血液は十分な感染性を持つことが多く、不特定多数の輸血患者・血液製剤利用患者に危険をおよぼす可能性がある。したがって、ウインドウ・ピリオドをできる限り短縮するため、免疫学的測定限界下のウイルスを高感度に検出できる技術の開発が急務とされている。
【0003】
近年、ポリメラーゼチェインリアクション法(以下PCR法)に代表される、核酸増幅技術により、極微量のウイルスでも検出できる可能性が開けてきた。しかしながら、PCR法などによっても極微量のウイルス検出は特殊な施設と高度な技術が必要とされ、一般的な施設で簡便に実施することはきわめて困難である。そこで、これらの問題解決のため、検体中のウイルスを濃縮する手法が用いられている。
【0004】
従来のウイルス濃縮法の代表例としては超遠心法が挙げられるが、高価な機器と長時間を要し、かつ同時に多数の検体を処理することは困難であり簡便な方法とは言い難い。また、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBs抗原)がヘパリンと結合する性質から、ヘパリンセファロース担体によるクロマトグラフィー法も報告されているが、これも同時に多数の検体を処理することは困難である。その他、硫酸アンモニウムやポリエチレングリコール、ポリアニオンと2価イオンの組み合わせ、例えば酸性基を有する粒状物質(特公平6−22627号公報)や粒子をと2価金属を用いる方法(特開平6−217767号公報)、カチオン性基を有する水溶性高分子物質を加えウィルス除去する方法(特開平4−342536号公報)等によりウイルスを沈殿させる方法があるが、混合する試薬や分離されるウィルスに混入する多量の蛋白などにPCR阻害がある等の問題からウイルスの沈殿分離後の試料精製が必要であるという難点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のウイルス濃縮法の問題点を解決し、簡便な手段により、同時に多数の検体を簡便に処理することができ、自動化への対応も容易で、核酸増幅検査に悪影響を及ぼさないウイルス濃縮用粒子並びにこの粒子を使用するウイルス濃縮用試薬、ウイルス濃縮方法およびウイルス検出方法を提供することにある。
【0006】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは研究の結果、上記課題を解決する手段として、次のウイルス濃縮用粒子および濃縮方法を開発するに到った。
即ち、本発明は、第一に、粒子表面にカチオン性基(塩の状態を含む)を有する特定粒径の粒子(以下、「ウィルス濃縮用粒子」と称することがある)からなるウイルス濃縮用粒子を提供する。
また、本発明は、第二に、ウイルスを含有する可能性のある試料に上記のウィルス濃縮用試薬を添加し、ウイルスを前記粒子に付着させる段階、次にこうしてウイルスが付着した前記粒子を試料から分離、収集する段階を含む、ウイルス濃縮方法を提供するものである。
さらに、本発明は、第三に、ウイルスを含有する可能性のある試料に上記のウイルス濃縮用試薬を添加し、ウイルスを前記粒子に付着させる段階、次にこうしてウイルスが付着した前記粒子を試料から分離、収集することによりウイルスを濃縮する段階、こうして濃縮されたウイルスを核酸増幅検査または免疫学的検査に供する段階を含む、ウイルス検出方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
〈ウイルス濃縮用粒子〉
本発明において、ウイルス濃縮用粒子とは、血液や体液等の検体中のウイルスを吸着した後、分離・濃縮する粒子であり、当該粒子により分離・濃縮されたウイルスは核酸抽出・検査・診断、特に核酸増幅を伴う検査・診断に用いられる。本発明のウイルス濃縮用粒子は粒子表面にカチオン性基(塩の状態を含む)を有し、粒径が0.5〜300μmである。
【0008】
本発明のウイルス濃縮用粒子は、水不溶性の材料であれば特に限定されず、そのような材料からなる粒子と該粒子の表面に存在するカチオン性基とから構成されている。
【0009】
本発明におけるカチオン性基は、アミノ基、アンモニウム基、イミノ基、アミジノ基、イミジノ基、ヒドラジノ基;さらにピリジル基等の窒素原子を含む環状基等を挙げることができる。
本発明では、カチオン性基は、アミノ基等のプロトンと結合してカチオンを形成し得る基および該基が酸と反応して塩を生成し、塩のカチオン部を形成している基を包含する。
本発明においてカチオン性基は、水や緩衝液、血液、体液中に溶出するとPCR法などの核酸増幅法を阻害することがあるため、粒子に化学的に結合されている必要がある。その存在量は、粒子1g当り平均で1×10-10当量以上であり、代表的には1×10-10〜1×10-2当量であり、好ましくは1×10-9〜1×10-3当量であり、より好ましくは1×10-8〜1×10-3当量である。カチオン性基の存在量が粒子1g当り1×10-10当量より少ないとウイルス濃縮能力が不十分である。限定するものではないが、通常、粒径1g当り1×10-2当量より多くのカチオン性基を導入することは困難なことが多い。
【0010】
このようなカチオン性基を有する粒子は、例えば(1)カチオン性モノマーを含むモノマー成分を重合する方法、(2)カチオン性基を有する重合開始剤を使用してモノマーを重合する方法、(3)カチオン性基を有する化合物を粒子に結合させる方法などにより製造することができる。
(1)カチオン性モノマーを含むモノマー成分を重合する方法
この方法において、使用することのできるカチオン性モノマーとしては、
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びこれらの塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等による4級塩;
2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びこれらの塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等による4級塩;
N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類及びこれらの塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等による4級塩等が挙げられる。なかでも、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、及びこれらの塩化メチレンによる4級塩が好ましい。
これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0011】
カチオン性モノマーと共重合するモノマーとしては、下記に示すような架橋性モノマーならびに非架橋かつ非イオン性モノマーを挙げることができる。
架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2'−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシプロピオキシフェニル〕プロパン、2,2'−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキジフェニル〕プロパン、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールブロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のジビニル系モノマー、トリビニル系モノマー及びテトラビニル系モノマーが挙げられる。なかでも、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0012】
共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モノマーは、カチオン性モノマーあるいは架橋性モノマーのいずれかと共重合可能であって、非架橋性かつ非イオン性のモノマーである。
このようなモノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;ブタジエン、イソプレン等のジオレフィン;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン等を挙げることができる。なかでも、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが好ましい。
これらのモノマーは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
上記カチオン性モノマーを含む重合成分は水系分散媒中で重合開始剤の存在下、乳化重合、懸濁重合などにより重合される。
重合開始剤としては、過硫酸塩類、あるいは過酸化水素−塩化第一鉄、クメンヒドロペルオキシド−アスコルビン酸ナトリウム等のレドックス系の水溶性重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性重合開始剤が例示される。
また、必要に応じて界面活性剤、分散安定剤などを使用することもできる。
【0014】
(2)カチオン性基を有するラジカル重合開始剤を使用する方法
このラジカル重合開始剤は、これを用いたラジカル重合により得られたポリマーがその末端に該ラジカル重合開始剤に由来するカチオン性基を有するようになるものである。
好ましいカチオン性基を有するラジカル重合開始剤としては、アミジノ基、イミジノ基あるいはピリジウム基を有するアゾビス型の開始剤が挙げられる。また、10時間半減期温度が40〜95℃の範囲にあるものが温和な条件下で重合を行うことができるので好ましい。
カチオン性基を有するラジカル重合開始剤の好ましい具体例として、下記のものを挙げることができる。
【0015】
2,2'−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−545として販売)
2,2'−アゾビス〔N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−546として販売)
2,2'−アゾビス〔N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−548として販売)
2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(フェニルメチル)−プロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−552として販売)
2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−553として販売)
2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名V−50として販売)
2,2'−アゾビス〔N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−558として販売)
2,2'−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ハイドレート(和光純薬工業(株)から商品名VA−057として販売)
【0016】
2,2'−アゾビス〔2−メチル−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−041として販売)
2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−044として販売)
2,2'−アゾビス〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−054として販売)
2,2'−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−058として販売)
2,2'−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−059として販売)
2,2'−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−060として販売)
2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)(和光純薬工業(株)から商品名VA−061として販売)
なかでも、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(V−50)、2,2'−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ハイドレート(VA−057)、2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(VA−044)の使用が好ましい。
カチオン性基を有するラジカル重合開始剤の使用量は、重合に使用するモノマー総合計量100重量部当たり、0.1〜10重量部用いることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。使用量が0.1重量部未満と過少では、得られる粒子のカチオン性が低下し、10重量部を越えて過剰では重合が不安定となり、好ましくない。
【0017】
(3)カチオン性基を有する化合物を粒子に結合させる方法
粒子表面にカルボキシル基、ハイドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基などの官能基を有するモノマーを共重合やシード重合し、それらの官能基を結合部として反応させることにより、カチオン性基を有する化合物を粒子表面に導入することができる。
ここで、官能基を有するモノマーをアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどを挙げることができる。
カチオン性基を有する化合物としては、ポリエチレンイミン、ポリアルキルアミンなどのポリアミン化合物、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジンなどのポリアミノ酸類、前述のカチオン性基を有するモノマーを共重合したポリマーなどを挙げることができる。
【0018】
本発明のウィルス濃縮用粒子は、その粒子の内部または表面に磁性体を含有することもできる。
この磁性体は該粒子の内部のみに含有され、表面に露出していないことが好ましい。本発明においては、ウイルス濃縮用粒子に磁性体を含有させることにより、該粒子の磁気を作用させて収集することが可能となり、遠心分離等による操作が不要で検査時間を短縮させることが可能となるほか、検査・診断の自動化への対応も容易となる。このような磁性体は、例えば四三酸化鉄(Fe34)、γ−重三二酸化鉄(γ−Fe23)等の各種フェライト、鉄、マンガン、コバルト、クロムなどの金属またはこれら金属の合金などを用いることができる。
【0019】
磁性体の含有量は、ウイルス濃縮用粒子全体に対し10重量%以上、特に20〜100重量%であることが好ましい。この量が少なすぎると、該ウイルス濃縮用粒子に、良好な磁気分離性が得られず、その結果、後述するウイルスの分離・濃縮方法において、血液または体液等の検体からウイルス濃縮用粒子を分離するために相当に長い時間を要するので、高い時間的効率が得られないことがあり、好ましくない。
【0020】
本発明において、磁性体をウィルス濃縮用粒子に含有させるには、
(a)カチオン性モノマーを含む重合成分に磁性体を分散して重合を行う。重合方法としては、通常の乳化重合、懸濁重合、分散重合などの方法が挙げられる。
(b)カチオン性モノマーを含む重合成分を重合して重合体粒子を合成後、該粒子表面に、磁性体層を形成する。
(c)上記の(a)または(b)で得られた粒子表面に、さらにカチオン性モノマーを含む重合成分とする重合体層を形成する
などの方法をとることができる。
このようにして得られるウィルス濃縮粒子は、その分散媒に乳化剤、分散剤、未反応モノマー、水溶性ポリマー、重合開始剤の分解物などを含んでいる場合がある。
これらの物質は、核酸増幅検査段階において反応阻害物となる可能性が高いため、例えばAdv.Colloid Interface Sci.,81,77〜165(1999)などに示される方法によりウィルス濃縮用粒子の分散媒から除去することが好ましい。
後述するカチオン性基の定量に滴定を採用する場合には、最終的に混床型イオン交換樹脂などを用いてウィルス濃縮用粒子を精製することが好ましい。
【0021】
(ウィルス濃縮用試薬)
本発明において、ウィルス濃縮用試薬とは前記ウィルス濃縮用粒子からなる。
本発明のウイルス濃縮用粒子をウイルスを含む試料液に添加するとウイルスが該粒子の表面に存在するカチオン性基により粒子に結合する。その結果、血漿や血清等の検体中のウイルスを高い効率で濃縮するため、通常、カラムクロマト法ではなくバッチ法にて使用される。したがって、粒子の粒径は通常0.08μm〜300μm、好ましくは0.1μm〜100μmである。粒径がこの範囲内であれば粒径が均一でなくても本発明の目的のために使用することが可能である。粒径が0.08μm未満の場合は、血液または体液からウイルス濃縮用粒子を分離する際の遠心分離の回転数や回転時間の増加を招き、装置が大型になったり、高い時間的効率が得られず好ましくない。また、粒径が300μmを越える場合は、ウイルスを捕獲する効率が低下し、ウイルス濃縮が十分に行えないことがあるため好ましくない。また、本発明のウイルス濃縮用粒子の粒子形状は球状である必要はなく、異形粒子であってもかまわない。なお球状でない粒子の粒径としては、それぞれの粒子の最長径と最短径との平均値をとるものとする。
【0022】
〈ウイルス濃縮方法〉
次に、本発明のウイルス濃縮用試薬によるウイルス濃縮方法について具体的に説明する。
本発明のウイルス濃縮用試薬は各種ウイルスに対して濃縮能を有しており、例えばヘパドナウイルス(B型肝炎ウイルス等)、アデノウイルス、フラビウイルス(日本脳炎ウイルス等)、ヘルペスウイルス、(単純ヘルペスウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス等)、ポックスウイルス、パルボウイルス(アデノ関連ウイルス等)、オルソミクソウイルス(インフルエンザウイルス等)、ラブドウイルス(狂犬病ウイルス等)、レトロウイルス(後天性免疫不全症候群ウイルス等)、C型肝炎ウイルス等のウイルスの濃縮が可能である。
【0023】
本発明のウイルス濃縮用試薬によるウイルス濃縮の対象となる検体としては、血漿、血清、細胞破砕液、尿、唾液等の各種体液、培養細胞破砕液等を挙げることができる。このような検体はそのまま試料として使用されてもよいし、何らかの目的で希釈などされた状態で試料として使用されてもよい。
【0024】
本発明のウイルス濃縮用試薬の試料への添加量は、試料に含まれているウイルス濃度にもよるが、ウィルス濃縮試薬中のウィルス濃縮用粒子が試料の通常0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。添加量が少なすぎると、ウイルス濃縮用粒子に付着できるウイルスの数が限られるため濃縮効率が悪化する。また、添加量が多すぎると、付着したウイルスを後段階で脱離させるのに多量の脱離液が必要となり濃縮効率が低下する。
【0025】
試料中のウイルスを吸着したウイルス濃縮用粒子は、遠心分離あるいは自然沈降により、またウィルス濃縮用粒子が磁性体を含有する場合には磁気分離により試料から分離される。本発明で使用されるウイルス濃縮用粒子は通常、0.08〜300μmの粒径範囲を持つので、遠心機でも十分遠心分離が可能である。
分離されたウイルス濃縮用粒子は必要に応じて、低濃度の緩衝液で洗浄した後、ウイルスの粒子からの分離、核酸の抽出工程に移る。なお、核酸抽出は、ウイルスが粒子に付着したままでも行うことができる。例えば、分離されたウイルス濃縮用粒子に少量の緩衝液を加え、加熱することで直接、ウイルスの核酸を抽出することも可能であるし、市販されている核酸抽出試薬を直接添加してウイルスの核酸を抽出することも可能である。
【0026】
ウイルスを粒子から分離する方法としては、塩溶液を作用させてウイルス濃縮用粒子とウイルスとを解離させる方法がある。塩溶液としては高濃度の臭化カリウム、臭化ナトリウム、1.5M塩化ナトリウム、1mMリンタングステン酸等を用いることができる。
【0027】
〈ウイルス検出方法〉
このウイルス検出方法は、上記のようにしてウイルスが付着した本発明の粒子を試料から分離、収集することによりウイルスを濃縮する段階ののち、こうして濃縮されたウイルスを核酸増幅検査に供する段階を有している。
【0028】
ウイルスの核酸増幅検査(NAT; nucleic acid amplification test)の方法は特に限定されず、例えば、ロシュ社のPCR(Polymerization chain reaction)法、ジェン・プローブ社のTMA(Transcription Mediated amplification-hybridization protection assay)法、アボット社のLCR(Ligase chain reaction)法等を利用することができる。
このウイルス濃縮方法を利用したウイルス検出法では、核酸増幅検査に供される検体中のウイルスが既に濃縮されているので、元の検体または試料に含まれているウイルスが極く微量であっても効率的にウイルスの検出を行うことができる。
また、本発明のウィルス濃縮用粒子は試料中のウィルス外皮蛋白の検出にも使用することができる。
具体的には、本発明のウィルス濃縮用粒子を試料と混合し、吸着されたウィルス外皮蛋白を標識抗体で検出する方法をあげることができる。この方法では、標識抗体の種類を変えることにより各種のウィルス外皮蛋白を検出することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例、比較例および参考例において得られるウィルス濃縮用粒子の粒径およびカチオン性基の存在量について下記の方法で定量した。
粒径の測定:光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により写真撮影を行い200個の粒子の粒径を測定し、その平均値を求めた。
カチオン性基の存在量:
[1]伝導度滴定法 ウィルス濃縮用粒子を遠心分離あるいは磁気分離により純水で2回洗浄し、粒子1gあたり混床型イオン交換樹脂5gを添加し、混合後1時間攪拌した後、混床型イオン交換樹脂を濾去した。この混床型イオン交換樹脂による精製を2回繰り返した。得られた精製粒子を硫酸規定液を滴定液として滴定した。この方法は比較例1および2ならびに参考例1に適用した。
[2]非水滴定法 上記[1]と同様にウィルス濃縮用粒子を精製後、乾燥しクロロホルムに溶解し、クロロホルムに不溶分を濾去した後、過塩素酸/酢酸溶液の規定液を用いて滴定しカチオン性基量を定量した。この方法は実施例1および2ならびに参考例2に適用した。
【0030】
比較例
油性磁性流体「フェリコロイドHC50」[タイホー工業(株)製]にアセトンを加えて粒子を析出沈殿させた後、これを乾燥することにより、親油化処理された表面を有するフェライト系の超常磁性体(粒子径:0.01μm)を得た。
ついで、超常磁性体40部にシクロヘキシルメタクリレート90部、トリメチルアミノエチルメタクリレートの塩化物10部およびベンゾイルペルオキシド(重合開始剤)3部を添加し、この系を混合攪拌することにより超常磁性体を均一に分散させてモノマー組成物を調整した。
一方、ポリビニルアルコール10部、ラウリル酸ナトリルム0.05部およびポリエチレンオキシドノニルフェニルエーテル0.1部を水1000部に溶解してモノマー溶液を調整した。
得られた水性媒体(水相)中に上記のモノマー組成物を添加し、ホモジナイザーで予備攪拌した後、超音波分散機で分散処理することにより平均粒子径が1μmの油滴(油相)が水性媒体に分散されてなる懸濁液(油滴分散体)を調整した。
次に、得られた懸濁液を容量2リットルの攪拌機付き三つ口フラスコに仕込み、この系を75℃に昇温し、窒素雰囲気下において攪拌しながら5時間にわたり油滴中のモノマーを重合(懸濁重合)させることにより、本発明のウィルス濃縮用粒子を製造した。
【0031】
比較例
比較例1においてトリメチルアミノエチルメタクリレートの塩化物10部をジメチルアミノエチルメタクリレート10部に代えた以外は比較例1と同様にして、本発明のウィルス濃縮用粒子を製造した。
参考例1
比較例1においてシクロヘキシルメタクリレートの使用量を100重量部とし、トリメチルアミノエチルメタクリレートの塩化物を使用せず、ベンゾイルペルオキシド(重合開始剤)3部の代りに2,2‘−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩基酸塩5部を使用した以外は比較例1と同様にして、本発明のウィルス濃縮用粒子を製造した。
実施例
(1)比較例1においてシクロヘキシルメタクリレートの使用量を95部とし、トリメチルアミノエチルメタクリレートの塩化物10部の代わりにメタクリル酸5部を使用した以外は比較例1と同様にして磁性ポリマー粒子を製造した。
(2)上記(1)で得られた磁性ポリマー粒子を5mM水酸化ナトリウム水溶液に分散し、80℃、12時間処理してカルボキシ変性磁性ポリマー粒子とした。
(3)得られたカルボキシ変性磁性ポリマー粒子1g(乾燥重量)を20mlの10mM MES緩衝溶液(pH6)に添加し、ポリエチレンイミン(数平均分子量7万)の30%水溶性1mlおよびカルボジイミド試薬であるEDC・塩酸塩(1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド)0.2gを添加し、20℃、2時間反応させ、本発明のウィルス濃縮用粒子を得た。
(4)得られた反応液に混床型イオン交換樹脂5g添加した後、前記混床型イオン交換樹脂を濾過により除去した。この混床型イオン交換樹脂による精製を2回繰り返した後乾燥した。
乾燥された磁性ポリマー粒子を10mlのクロロホルムに溶解し、磁性体を濾別した後、0.01mol/lの過塩素酸/酢酸溶液を用いてポリエチレンイミンを非水滴定したところ、上記(2)で得られた磁性ポリマー粒子に結合した総アミノ窒素量は45.0μmol/gであった。
【0032】
参考例2
(1)実施例(2)と同様にして得られたカルボキシ変性磁性ポリマー粒子1g(乾燥重量)を20mlの10mM MES緩衝溶液に添加し、ポリ−L−リジン臭化水素物(数平均分子量30万)の1%水溶液1mlおよび水溶性カルボジイミド試薬であるEDC・塩酸塩(1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド)0.2gを添加し、20℃、2時間反応させ、ポリ−L−リジン固定磁性粒子からなる本発明のウィルス濃縮用粒子を得た。
(2)得られたポリ−L−リジン固定磁性粒子を実施例(3)ろ同様にして精製した後、乾燥し、10mlジメチルスルホキシドに溶解し、磁性体を濾別した後、0.01mol/lの過塩素酸/酢酸溶液を用いてポリ−L−リジンを非水滴定したところ、上記(2)で得られた磁性ポリマー粒子に結合した総アミノ窒素量は22.0μmol/gであった。
【0033】
実施例
(1)比較例1においてシクロヘキシルメタクリレートの使用量を90部、トリメチルアミノエチルメタクリレートの塩化物の代わりにグリシジルメタクリレート10部とした以外は比較例1と同様にしてグリシジル変性磁性粒子を得た。
(2)得られたグリシジル変性磁性粒子1g(乾燥重量)を1%のピリジンを含有する蒸留水20mlに懸濁し、ポリエチレンイミン(数平均分子量7万)の30%水溶液33μlを添加し、60℃、24時間反応させ、ポリエチレンイミン固定磁性粒子からなる本発明のウィルス濃縮用粒子を得た。
(3)得られたポリエチレンイミン固定磁性粒子を実施例(3)と同様にして精製した後、乾燥し、10mlクロロホルムに溶解し、磁性体を濾別した後、0.01mol/lの過塩素酸/酢酸溶液を用いてポリエチレンイミンを非水滴定したところ、上記(2)で得られた磁性ポリマー粒子に結合した総アミノ窒素量は20μmol/gであった。
【0034】
【表1】
Figure 0004684434
【0035】
例1
(1)比較例1、比較例2、参考例1、実施例1、参考例2および実施例2で得られたウィルス濃縮用粒子の水分散体を精製後、生理食塩水で固形分濃度5%に調整した。(実験No.1〜6)
また、比較例2で得られたウィルス濃縮用粒子の水分散体を精製後、生理食塩水で固形分濃度5%に調整した後、二塩化マンガン10mgを添加した。(実験No.7)
(2)HBVを107コピー/ml含有するヒト血漿1mLに上記(1)で調整した粒子懸濁液(5重量%)100μLを加え、室温で10分間回転撹拌を行った。
反応終了後、磁気分離スタンドにセットし、粒子と上清を分離し、上清を捨て、粒子を得た。上記作業にて得た粒子に1Mチオシアン酸ナトリウム水溶液50μL添加し、5分間撹拌後、磁気分離スタンドにて粒子と上清を分離し、上清(分離濃縮分画)を得た。最終容量は約50μLであった。
分離濃縮分画である上清5μLを取り、通常の方法を用いて核酸抽出を行い、ABI PRISM TM7700 Sequence Detection System(Perkin Elmer Applied Biosystems 社製)を用い、DNA量をTaqMan PCR法で定量した。DNAの定量は、40回の増幅過程において、
蛍光強度が一定の基準値(Threshhold:Th)を越えたサイクル数(Thサイクル)を、ウィルス濃度既知の検体の希釈系列を用いて同時に測定して作成したDNA量Thサイクルの検量線に外挿して求めた。
結果を表2に示す。
比較例
HBVを107コピー/ml含有するヒト血漿1mLにヘパリン溶液(160/USP units/mgを0.15M塩化ナトリウム溶液5mlで溶解したもの)10μLおよび1M MnCl2 75μLを加え、室温で20分間回転撹拌を行った。
反応終了後、15000rpmで10分間低速微量遠心機にて分離し、上清を捨て、沈殿を得た。上記作業にて得た沈殿に飽和臭化カリウムを50μLを添加し沈殿(分離濃縮分画)を可溶化した。最終容量は約50μLであった。
分離濃縮分画5μLを取り、通常の方法を用いて核酸抽出を行い、ABI PRISM TM7700 Sequesnce Detection System(Perkin Elmer Applied Biosystems 社製)を用い、DNA量をTaqMan PCR法で定量した。DNAの定量は、40回の増幅過程において、蛍光強度が一定の基準値(Threshhold:Th)を越えたサイクル数(Thサイクル)を、ウィルス濃度既知の検体の希釈系列を用いて同時に測定して作成したDNA量Thサイクルの検量線に外挿して求めた。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
Figure 0004684434
【0037】
実施例
実施例のウィルス濃縮用粒子の水分散体を精製後、生理食塩水で固形分濃度5%に調整したもの100μLを濃度既知のHBsAg陽性検体の希釈サンプル画100μLに添加し、チューブミキサーで15分間撹拌した。撹拌後、磁気分離スタンドにて粒子を分離し、上清を除去し続いてトリス緩衝生理食塩水(TBS)pH7.5で洗浄し、ペルオキシダーゼ標識HBs抗体(特殊免疫研究所製)を100μLを添加して反応させ、TBSで洗浄し、基質液100μLを添加して発色反応を30分間行い硫酸を添加して反応を停止させ、各々吸光度を測定した。
結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004684434
【0039】
【発明の効果】
本発明のウイルス濃縮用粒子を用いることにより、遠心分離や磁気を作用させる簡便な手段により、同時に多数の検体を簡便に濃縮処理することのができ、しかも得られた濃縮ウイルスを含む試料は核酸増幅の処理に悪影響を及ぼさない。この粒子を利用するウイルス濃縮方法は、極く微量のウイルスを含む検体からウイルスを効率良く短時間で濃縮することができ、またウイルス検出方法はより高精度でウイルスを検出することができる。
また、本発明のウィルス濃縮用粒子は検体よりウィルスを吸着した後、免疫化学的測定に供することもできる。

Claims (7)

  1. 粒子表面にイミノ基を有し粒径が0.08〜300μmであり磁性体を含む粒子からなるウイルス濃縮用粒子。
  2. ウイルス濃縮の対象となる検体が血漿、血清、尿または唾液であることを特徴とする請求項1記載のウイルス濃縮用粒子。
  3. ヘパドナウイルスを含有する可能性のある試料に請求項1記載のウィルス濃縮用粒子を添加し、ヘパドナウイルスを前記粒子に付着させる段階、次にこうしてヘパドナウイルスが付着した前記粒子を試料から分離、収集する段階を含む、ヘパドナウイルス濃縮方法。
  4. ヘパドナウイルスを含有する可能性のある試料に請求項1記載のウィルス濃縮用粒子を添加し、ヘパドナウイルスを前記粒子に付着させる段階、次にこうしてヘパドナウイルスが付着した前記粒子を試料から分離、収集することによりヘパドナウイルスを濃縮する段階、こうして濃縮されたヘパドナウイルスを核酸増幅検査に供する段階を含む、ヘパドナウイルス検出方法。
  5. ヘパドナウィルスを含有する可能性のある試料に請求項1記載のウィルス濃縮用粒子を添加し、ヘパドナウィルスを前記粒子に付着させる工程ならびに前記試料から前記粒子を分離し、前記粒子に付着したヘパドナウィルスまたはヘパドナウィルスの外皮蛋白を免疫学的検査に供する工程を含むことを特徴とするヘパドナウィルスまたはヘパドナウィルス外皮蛋白の検出方法。
  6. ヘパドナウイルスを含有する可能性のある試料が血漿、血清、尿または唾液であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. ヘパドナウイルスがB型肝炎ウイルスであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項記載の方法。
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