JP4684266B2 - 車両用主電動機の軸受装置 - Google Patents
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図3において、8は給油室であり、給油室8の下部には潤滑油が貯蔵される。なお、この部分を貯油室8aと言う。2は油掻揚げ円板であり、油掻揚げ円板2は回転子軸1に取り付けられ、その下側の一部が貯油室8aの油中に浸されている。油掻揚げ円板2が回転子軸1とともに回転すると、貯油室8aの油が掻き揚げられ、給油室8内に広がる。
5は軸受箱であり、軸受箱5には軸受3が設けられ、回転子軸1は軸受3により回転可能に支持されている。軸受箱5には、上記軸受3を潤滑した油が溜められる油溜め室5aが設けられ、油溜め室5aは油戻し穴5bを介して給油室8と連通している。回転子軸1と軸受箱5の間には、ラビリンス5cが設けられ、回転子軸1と軸受箱5の隙間を通って油が機内に漏れるのを抑制している。
また、軸受カバー10の内周側には円環状の油溜め室10cが設けられ、上記空間10bから漏れてくる油が溜められる。また、軸受カバー10と機外側との間には、ラビリンス10dが設けられ、該ラビリンス10dが、上記油溜め室10cに溜められた油が機外側に漏れないようにシールしている。すなわち、上記ラビリンス5c、10dを用いたラビリンス構造によって、軸受装置内と軸受装置外はシールされている。
従来の車両用主電動機の軸受装置における、軸受3への油の供給は、以下のようにして行われる。まず、貯油室8aに溜められた潤滑油が油掻揚げ円板2の回転により上部へ掻揚げられる。この掻揚げられた潤滑油が、図4中の矢印aに示すように、軸受押え4に設けられた給油穴4aを通じて軸受3内に導かれる。軸受3を潤滑した油は、回転子軸1と軸受箱5との間の隙間を通って油溜め室5aに流れ込み、油戻し穴5bを通って貯油室8aに戻される。一方、油掻揚げ円板2と軸受カバー10との間の空間10b内の油は、軸受カバー10と回転子軸1の隙間から、同図の矢印bに示すように、油溜め室10cに漏出し、油溜め室10c内に溜まる。
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、特に潤滑油の機内及び機外への漏出を抑制することができる車両用主電動機の軸受装置を提供することである。
(1)軸受装置内に設けられた貯油室を有する給油室内に、回転子軸とともに回転する油掻揚げ円板を設け、該油掻揚げ円板により、貯油室に貯められた潤滑油を掻き揚げ、潤滑油を回転子軸に設けた軸受に供給して、軸受を潤滑する車両用主電動機の軸受装置を設ける。上記軸受装置内と軸受装置外はラビリンス構造によりシールされ、軸受と上記貯油室は、油戻し穴を介して連通する。そして、油戻し穴の貯油室側の端部には延長管が取り付けられ、該延長管の先端は上記油掻揚げ円板に微小の間隙をあけて対向している。
また、上記軸受け装置の機外側側面に軸受カバーが取り付けられ、該軸受カバーと上記軸受が設けられた軸受箱の間の空間に上記給油室が形成され、上記軸受カバーの内周面には油溜め室が設けられ、該軸受カバーと機外側との間に設けられたラビリンス構造により該油溜め室に溜められた油が機外に漏れないようにシールされる。上記油溜め室と上記給油室の間には、油溜め室と給油室に連通する油戻し穴が設けられ、該油戻し穴には延長管が取り付けられ、該延長管の先端は上記油掻揚げ円板に微小の間隔をあけて対向している。
(2)上記軸受装置の外側のラビリンスの近傍には、回転子軸とともに回転する回転体が設けられている。
(1)本発明の車両用主電動機の軸受装置においては、軸受及び貯油室と連通する油戻し穴の貯油室側の端部に延長管が取り付けられ、該延長管の先端は油掻揚げ円板に微小の間隙をあけて対向している。該油掻揚げ円板が回転すると、延長管内に負圧が発生し、軸受け装置内と軸受装置外とをシールしているラビリンスから機内側あるいは機外側への潤滑油の漏出が防止される。
従って、本発明によれば、軸受装置内の油の油漏れを防ぎ、軸受の潤滑性能を良好に維持することができ、軸受と潤滑油の劣化低減、車両用主電動機の保守作業の低減に寄与することができる。
(2)上記軸受装置の外側のラビリンスの近傍には、回転子軸とともに回転する回転体が設けられることが多い。例えば、該回転体として図3に示したようにファンが設けられ、該ファンによって押し出される空気が冷却器で冷却され、機内を循環し、これにより機内を冷却することができる。
このような回転体が設けられる場合、該ファンの回転によって、軸受装置近傍の圧力が低下し、油掻揚げ円板の回転で攪拌され霧状になった貯油室内の潤滑油が上記ラビリンスを通って漏れようとする。
しかし、本発明では、軸受及び貯油室と連通する油戻し穴の貯油室側の端部に延長管を取り付け、該延長管の先端を油掻揚げ円板に微小の間隙をあけて対向させており、油掻揚げ円板が回転して上記延長管内に負圧が発生することによって、ラビリンスを通って漏れようとする霧状の潤滑油が該負圧により吸引され、貯油室に導かれる。このため、上記回転の回転により軸受装置近傍の圧力が低下しても、該霧状の潤滑油の機内への漏出を防止することができる。
図1は、本発明の車両用主電動機の軸受装置の断面構成を示す図である。図1には、車両用主電動機の一方の軸受装置を示しているが、車両用主電動機には同様の構成の一対の軸受装置が設けられる。
図1において、1は回転子軸、2は油掻揚げ円板、3は軸受、4は軸受押え、5は軸受箱、5a、10cは油溜め室、5b、10eは油戻し穴である。また、5c、10dはラビリンス、6はファン、7は外カバー、8は給油室、8aは貯油室、9、11は延長管、10は軸受カバー、13は固定子、14は回転子、15は冷却器である。
図1に示す本発明の車両用主電動機の軸受装置においては、上記ラビリンス5c、10dによるラビリンス構造によって、軸受装置内と軸受装置外とがシールされている。また、ファン6は、機内側の軸受装置近傍に設けられ、回転子軸1とともに回転する。ファン6が回転すると、機内の空気が冷却器15側に押し出され、冷却器15によって冷却される。該冷却された空気が機内を循環することによって、機内が冷却される。
なお、図1に示す車両用主電動機の軸受装置の外側の、ラビリンス10dの近傍に、回転子軸1とともに回転する、例えば継手等の回転体(図示を省略)が設けられていてもよい。
本発明の車両用主電動機の軸受装置における、軸受3への油の供給は、以下のようにして行われる。まず、貯油室8aに溜められた潤滑油が油掻揚げ円板2の回転により上部へ掻揚げられる。この掻揚げられた潤滑油が、図2中の矢印aに示すように、軸受押え4に設けられた給油穴4aを通じて軸受3内に導かれる。軸受3を潤滑した油は、回転子軸1と軸受箱5との間の隙間を通って油溜め室5aに流れ込み、油戻し穴5b及び該油戻し穴5bの端部に取り付けられている延長管11を通って貯油室8aに戻される。
延長管11は、油掻揚げ円板2の近くまで延び、その開口は、微小の間隙を開けて油掻揚げ円板2に対向している。このため、油掻揚げ円板2が回転すると、延長管11内に負圧が発生する。
車両用主電動機の使用時に、図1に示すファン6が回転すると、気流が変化して、機内側の軸受装置近傍の圧力が低下し、油掻揚げ円板2の回転で攪拌され霧状になった貯油室8a内の潤滑油がラビリンス5cを通って機内側に漏れようとする。しかし、油掻揚げ円板2が回転して上記延長管11内に負圧が発生することによって、上記機内側に漏れようとする霧状の潤滑油が該負圧により吸引され、貯油室8aに導かれる。その結果、該霧状の潤滑油の機内への漏出を防止することができる。
しかし、油掻揚げ円板2が回転して上記延長管9内に負圧が発生することによって、上記機内側に漏れようとする霧状の潤滑油が該負圧により吸引され、貯油室8aに導かれる。その結果、該霧状の潤滑油の機外への漏出を防止することができる。
以上のごとく構成された軸受装置を用いることで、車両用主電動機の機内及び機外への油漏れを抑制することができ、軸受の潤滑状態を良好に維持することができる。
2 油掻揚げ円板
3 軸受
4 軸受押え
4a 給油穴
5 軸受箱
5a、10c 油溜め室
5b、10e 油戻し穴
5c、10a、10d ラビリンス
6 ファン
7 外カバー
8 給油室
8a 貯油室
9、11 延長管
10 軸受カバー
10b 空間
13 固定子
14 回転子
15 冷却器
Claims (2)
- 軸受装置内に設けられた貯油室を有する給油室内に、回転子軸とともに回転する油掻揚げ円板を設け、
該油掻揚げ円板により、貯油室に貯められた潤滑油を掻き揚げ、潤滑油を回転子軸に設けた軸受に供給して、軸受を潤滑する車両用主電動機の軸受装置であって、
上記軸受装置内と軸受装置外はラビリンス構造によりシールされ、
軸受と上記貯油室は、油戻し穴を介して連通し、
油戻し穴の貯油室側の端部には延長管が取り付けられ、該延長管の先端は上記油掻揚げ円板に微小の間隙をあけて対向し、
上記軸受け装置の機外側側面に軸受カバーが取り付けられ、該軸受カバーと上記軸受が設けられた軸受箱の間の空間に上記給油室が形成され、
上記軸受カバーの内周面には油溜め室が設けられ、該軸受カバーと機外側との間に設けられたラビリンス構造により該油溜め室に溜められた油が機外に漏れないようにシールされ、上記油溜め室と上記給油室の間には、油溜め室と給油室に連通する油戻し穴が設けられ、
該油戻し穴には延長管が取り付けられ、該延長管の先端は上記油掻揚げ円板に微小の間隔をあけて対向している
ことを特徴とする車両用主電動機の軸受装置。 - 上記軸受装置の外側のラビリンスの近傍には、回転子軸とともに回転する回転体が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用主電動機の軸受装置。
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
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