JP4684174B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの回転を変速する自動変速機の制御装置に関し、特にエンジンと自動変速機とを協調制御可能な制御装置に関するものである。
従来、自動変速機を備えた車両では、低速域且つ非ロックアップ状態での走行中に、コースト走行状態(アクセルオフによる慣性での走行状態)からドライブ状態(アクセル踏み込み状態)になると、エンジンが被駆動状態から駆動状態に移行するため、ギヤのバックラッシュや部品のガタなどに起因してパワープラントを揺すりながらのトルク変動(或いはショック;チップインショックとも言う)が発生し、運転者は違和感を覚える場合がある。
そこで、このようなコースト状態からドライブ状態への移行時に発生するショックを低減する手法としてエンジンの点火時期をリタードさせたり、電制スロットルによるスロットル開度制御によりエンジントルクを抑制する技術が知られている。
また、これ以外にも、低速走行中にアクセルが踏み込まれた場合にショックを低減する手法として下記の特許文献1に開示された技術が知られている。
これは、低速走行中にコースト状態からアクセルが踏み込まれてドライブ状態となったときに、ワンウェイクラッチ(One Way Clutch;以下、OWCと称す)の締結ショックを緩和するために、OWCの締結(同期直前)を判定して、同期直前と判定したら所定時間だけエンジンのトルクを低減するものである。
特開平5−1589号公報
しかしながら、従来のエンジントルクを抑制する技術では、ショックの低減と加速性能の確保とを両立できるようなトルク低減量(例えばリタード量)が適正化されておらず制御手法が確立されていない。
また、特許文献1に開示された技術では、下記の式(1)でトルクダウン開始タイミングを判定しているが、あくまでもOWCの締結ショックを緩和することを想定したものであるため、OWCのない変速段やOWCを備えていないCVT等においては、コースト状態からアクセルを踏み込んだ(アクセルオン)ときに発生するショックを抑制することができない。
車速(出力軸回転速度N0)×ギヤ比i×クラッチ回転数Nc0(実タービン回転数)
<所定値ΔN1・・・(1)
つまり、式(1)はあくまでもOWCが設けられていること、言い換えれば、実タービン回転速度と、車速にギヤ比を積算して算出する同期回転数とが相違していることが前提の式であり、OWCのない変速段やOWCを備えていないCVTでは上記回転数が相違しないため、適切なタイミングでトルクダウンを行うことができず、低速走行中にコースト状態からアクセルを踏み込まれたときのショックを抑制するこができない。
そこで、アクセルが踏み込まれると同時に所定時間だけエンジントルクの上昇を規制する(アクセル開度に対応するエンジントルクよりもエンジントルクを低減する)ことも考えられるが、この場合にはアクセルを踏み込んでいるにもかかわらずエンジントルクの上昇が遅れるため、運転者の意図する加速感が得られないという問題があるうえ、上記の所定時間を一定に設定すると、アクセルの踏み加減や踏み込み速度に応じてエンジントルクの応答性が異なるため、適切なタイミングでトルク低減が行われない可能性がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、OWCのない変速段やOWCを備えていない自動変速機であっても、コースト状態からアクセルオン(ドライブ状態)に移行する際に発生するトルク変動又はショックを効率よく抑制できるようにした、自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
このため、本発明の自動変速機の制御装置は、トルクコンバータを介して入力されたエンジン回転を変速して出力する自動変速機の制御装置であって、該自動変速機がロックアップ状態であるか否かを判定するロックアップ判定手段と、車両の走行速度を検出する車速検出手段と、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、該トルクコンバータのタービン回転速度を検出するタービン回転速度検出手段と、該エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、該自動変速機の作動状態を制御する自動変速機制御手段とをそなえ、該自動変速機制御手段は、該ロックアップ判定手段により非ロックアップ状態であることが検出され、該車速検出手段により検出された車速が所定車速以下の低速走行状態であって、且つ該アクセル開度検出手段により検出された該アクセル開度が所定値未満の状態から該アクセル開度が該所定値以上の状態に変化したと判定すると、該アクセル開度の変化判定時から所定時間経過後に、該タービン回転速度検出手段により検出されたタービン回転速度(Nt)と該エンジン回転速度検出手段で検出されたエンジン回転速度(Ne)との比である速度比(Nt/Ne)が1よりも大きい第1所定値よりも大きいと判定するとエンジントルクの抑制を開始することを特徴としている(請求項1)。
また、該車両は少なくとも該エンジントルクを制御可能なエンジン制御手段をそなえ、該自動変速機制御手段は、該エンジン制御手段に対してエンジントルクの上限値設定を要求することで該エンジントルクを抑制するのが好ましい(請求項2)。
また、該自動変速機制御手段は、該エンジントルクの抑制をしている際に、速度比(Nt/Ne)が1よりも大きい第1所定値以下に低下したと判定すると、該エンジントルクの抑制制御を終了し、アクセル開度に対応するエンジントルクへ復帰させるのが好ましい(請求項3)。
また、該自動変速機制御手段は、該エンジントルクの抑制をする際に、速度比(Nt/Ne)が該第1所定値よりも大きい第2所定値以上の場合は、該エンジントルクの上限値を設定しエンジントルクを該上限値以下に抑制するのが好ましい(請求項4)。
また、該自動変速機制御手段は、該エンジントルクの抑制をする際に、速度比(Nt/Ne)が該第2所定値未満且つ該第1所定値よりも大きい場合に該上限値を所定勾配で増大させることにより該エンジントルク抑制制御を緩和するのが好ましい(請求項5)。
また、該所定時間は、エンジン負荷が大きくなるほど、及び/又はエンジン負荷変化率が大きくなるほど短い時間に設定されるのが好ましい(請求項6)。
本発明の自動変速機の制御装置によれば、コースト走行からドライブ走行に切り換わってから所定時間経過後にエンジントルクの抑制を行うので、エンジン回転変化率を小さくすることができて、コースト状態からドライブ状態に移行する際に発生するトルク変動又はショックを抑制することができる。また、所定時間経過後にエンジントルク低減を行うので、アクセル踏み込みとともにエンジントルク低減を開始するものに比べて、エンジントルク上昇の抑制を最小限にすることができ、運転者の意図する加速感を極力損なうことなくショックを抑制できる。また所定時間はエンジン負荷及び/又はエンジン負荷変化率に基づいて設定されているため、適切なタイミングでトルク抑制を開始することができて、確実にトルク変動を抑制できる。
また、トルクコンバータの速度比が1よりも大きな値でエンジントルクの復帰を開始することで、実際のエンジントルクの応答遅れがあるため、速度比1近傍のエンジン回転数の変化率を小さい状態で維持でき、これにより従来に比べてトルク変動を抑制できる。
また、速度比1よりも早い段階(つまり速度比が1よりも大きい状態)でエンジントルクの復帰を開始することで、ドライブ状態になった後のエンジントルクの上昇を早めることができるので、運転者の意図する加速感を得ることができる。
また、エンジン負荷(アクセル踏み込み)に応じたエンジントルクの応答性を考慮してトルク低減の開始タイミングを決定するため、適切なタイミングでエンジントルク低減を開始することができ、例えば、エンジントルク低減開始遅れによるショックが発生したり、開始が早すぎて加速感が得られないといった問題を解決することができる。
以下、図面により、本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置について説明すると、図1は本発明が適用される車両の駆動系を示す模式図、図2は本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置の要部に着目した模式的なブロック図、図3はその作用について説明するフローチャート、図4はその作用について説明するタイムチャート、図5は所定時間Tsを設定するためのマップの一例を示す図である。
図1において、1は自動変速機、3はエンジンであって、これら自動変速機1及びエンジン3からパワートレーンが構成されている。また、エンジン3と自動変速機1との間にはエンジン3からの駆動力を自動変速機1に伝達するトルクコンバータ2が介装されている。さらに、図示はしないが、このトルクコンバータ2には公知のロックアップクラッチが付設されており、走行状態に応じてロックアップクラッチを係合することによりトルクコンバータ2内のスリップが規制されるようになっている。
また、このエンジン3には、ドライバの操作状態や車両の走行状態等、種々の状況に応じてエンジンの作動を制御する公知のエンジンコントローラ(エンジン制御手段)15が付設されており、このエンジンコントローラ15からの制御信号に基づいて、いずれも図示しない点火プラグの点火タイミングや、インジェクタの駆動タイミング及び駆動時間や、電子制御スロットルの開度等が調整されるようになっている。
ところで、本実施形態においては、自動変速機1は周知のVベルト式無段変速機(CVT;Continuously Variable Transmission)であって、詳細は図示しないが、トルクコンバータ2を介してエンジン3の出力軸に結合されたプライマリプーリと、上記プライマリプーリに並列に配設され、アイドルギヤ又は減速ギヤ等を介して変速機出力軸4に接続されたセカンダリプーリと、これら両プーリのV字溝間に掛け渡されたVベルトとを備えている。
また、自動変速機1のプライマリプーリ及びセカンダリプーリはそれぞれ可動フランジと固定フランジとを備えて構成され、このうち可動フランジを固定フランジに対して相対的に移動させてV字溝幅を狭めたり広めたりすることで変速比が変更されるようになっている。
また、両可動フランジは、やはり図示しない油圧源から供給される油圧に応じて位置が変更されるようになっている。具体的には、後述する変速機コントローラ9により自動変速機1の目標変速比が設定されると、この目標変速比の指令信号に応じてコントロールバルブ(油圧回路)5のソレノイドバルブ6,7が作動して、油圧源からプライマリプーリ及びセカンダリプーリにそれぞれプライマリプーリ圧Ppri及びセカンダリプーリ圧Psecが供給されるようになっている。そして、これらの油圧の大きさに応じて各プーリのV字溝幅が変更されて、変速比が変更されるようになっている。
なお、自動変速機1では、ライン圧を元圧として上記の作用を行うが、このライン圧もコントロールバルブ5内におけるライン圧ソレノイド8のデューティ制御により、運転状態に応じた適切な値に調圧されるようになっている。
また、エンジン3には、ドライバによるアクセルペダル操作に基づいて開度が決定されるスロットルバルブ(図示省略)が付設されており、上記アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)APS及び上記スロットルバルブの開度(以下、スロットル開度という)TVOをそれぞれ検出するアクセル開度センサ(エンジン負荷検出手段)17及びスロットル開度センサ(エンジン負荷検出手段)10が設けられている。
また、これ以外にも、プライマリプーリの回転数(即ち、タービンの回転数)を検出するプライマリ回転数センサ(タービン回転数センサ;タービン回転数検出手段)16と、セカンダリプーリの回転数(即ち、変速機出力軸4の回転数)Noを検出するセカンダリ回転数センサ(変速機出力回転センサ)11と、エンジン3の回転数Neを検出するエンジン回転数センサ(エンジン回転速度検出手段)12と、ドライバにより選択されたシフトレンジを判定する選択レンジセンサ13と、車速VSPを検出する車速センサ(車速検出手段)14とが設けられている。
また、車両には自動変速機1の変速状態を制御する変速機コントローラ(自動変速機制御手段)9が設けられている。そして、コントローラ9に上記各センサ10〜14,16,17が電気的に接続されており、これにより、コントローラ9にスロットル開度TVO,変速機出力回転数No,車速VSP,プライマリ回転数Np等の情報が入力されるようになっている。
また、この変速機コントローラ9とエンジンコントローラ15とは例えば公知のCANによりバス接続されており相互に通信可能に構成されている。そして、このような構成により自動変速機2とエンジン3との間で協調制御可能に構成されている。
次に、本発明の要部について説明すると、本装置は、主に低速域且つ非ロックアップ状態での走行中において、コースト状態からドライブ状態に移行する際に発生するトルク変動(或いはチップインショック)を加速性能を損なうことなく抑制するものである。
まず、本装置における制御の概要について簡単に説明する。本装置は、低速走行時にコースト状態からドライブ状態に移行したことを判定すると、エンジン3の上限トルク(出力可能な最大トルク)TCLP を設定し、この上限トルクTCLP をエンジンコントローラ15に出力するようになっている。また、エンジンコントローラ15では、アクセル開度に応じた目標エンジントルク(ドライバの要求する目標エンジントルク)Ttと、変速機コントローラ9から得られる上限トルクTCLP とを比較するとともに、小さいほうの値を選択し(上限クリップ)、これを最終的な目標エンジントルクとして設定するようになっている。つまり、上限トルクTCLP を超えない範囲ではドライバの要求するエンジントルクが最終的な目標エンジントルクとして許容され、上限トルクTCLP を超えるようなエンジントルクを要求している場合には、上記の上限トルクTCLP が最終的な目標エンジントルクとして設定されるようになっているのである。
そして、エンジンコントローラ15では、上述により設定された目標エンジントルクとなる目標スロットル開度TVOtを求め、このようなスロットル開度TVOtとなるように電子制御スロットルをフィードバック制御して、エンジン1の出力トルクを制御するようになっている。なお、本実施形態ではスロットル開度制御によりエンジントルクを変更するようにしているが、スロットル開度以外にも、燃料噴射量や点火時期等他のパラメータを単独で或いは適宜組み合わせて制御して、エンジントルクを制御するようにしても良い。
このような制御により、エンジン3の出力トルクが上記の上限トルクTCLP 以下に抑制されることになり、アクセル踏み込み時にパワートレーンに発生するチップインショックを抑制することができる。
また、本装置では車両の加速性を考慮して、ドライブ状態への移行が判定されてもすぐにエンジントルクの上限値TCLP を設定するのではなく、ドライブ状態への移行判定後、所定時間Ts経過するまではドライバの要求に応じたエンジントルクが設定されるようになっている。そして、上記所定時間Ts経過後にトルク抑制(上限値クリップ)が実行されるようになっている。
このように所定時間Tsだけ制御開始を遅らせるのは、車両の発進性やドライバビリティを考慮したものである。つまり、コースト走行時において、アクセル踏み込みと同時にエンジントルクの抑制制御を開始してしまうと、ドライバの意図する加速感を得ることができずドライバが違和感を覚えるおそれがある。そこで、本実施形態では所定時間Tsが経過してからエンジントルク抑制制御を開始するようになっている。なお、この所定時間Tsの設定手法については後述する。
また、エンジントルク抑制制御開始後は、エンジン回転数Neとタービン回転数Nt(=プライマリ回転数Np)をパラメータとしてエンジントルク抑制制御の終了時期を決定するようになっている。
つまり、コースト走行状態では、エンジン3が被駆動状態となるため、エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの速度比SR(=Nt/Ne)が1以上となっているが、アクセルが踏み込まれてドライブ状態となると、時間の経過とともにエンジン回転数が上昇して徐々に速度比SRが低下していくことになる。
ここで、本装置では、エンジントルク抑制制御を解除するトリガとして速度比SRを適用し、車両がドライブ状態に近づいたと判定できる基準速度比SRs(第1所定値;SRs≧1)よりも小さくなったら、もはやショックが生じることはないと判断して、上限トルクTCLP を実質的にキャンセルするとともに、エンジントルクをドライバの要求に応じたトルクに設定するようになっている。
また、本制御を終了する際は、それまで設定されていた上限トルクを単にキャンセルするのではなく、上限トルクTCLP を徐々に増大させることにより、本制御の終了前後におけるエンジントルクの急激な変動を抑制するようになっている。
以下、図2を用いて本装置の要部構成を詳しく説明すると、図2に示すように、変速機コントローラ9内には、自動変速機1がロックアップ状態であるか否かを判定するロックアップ判定手段21が設けられている。
ここで、ロックアップの判定手法については公知の種々の手法が適用可能である。例えば車速センサ14やアクセル開度センサ17等から得られる車両走行状態を読み込んで、現在の走行状態が予め設定されたロックアップ領域にあるか否かを判定してロックアップを判定しても良いし、変速機コントローラ9から出力されるロックアップクラッチを係合するための指示信号及び係合解除の指示信号の有無を取り込んで、この信号に基づいてロックアップを判定しても良い。また、ロックアップクラッチに供給される作動油圧を検出してロックアップを判定するようにしても良い。
また、変速機コントローラ9には車速比較手段22及びアクセル開度比較手段23が設けられている。そして、車速比較手段22では、車速センサ14から得られる車速VSPと予め記憶された所定値(所定車速)VSP1とが比較されるようになっている。なお、この所定車速VSP1は比較的低速に設定されており、このため、車速比較手段22は車両が低速走行しているか否かを判定する手段として機能している。また、アクセル開度比較手段23では、アクセル開度センサ17から得られるアクセル開度APSと予め記憶された所定アクセル開度APS1とが比較されるようになっている。
そして、上記のロックアップ判定手段21,車速比較手段22及びアクセル開度比較手段23はいずれも前提条件成立判定手段24に接続されており、前提条件成立手段24では以下の前提条件1.〜3.が全て成立したか否かが判定されるようになっている。なお、以下の前提条件は、アクセルオフのコースト状態からアクセルオンのドライブ状態への変化を判定する条件であって、背景技術の欄で説明したようなトルク変動(チップインショック)が発生する条件でもある。
[前提条件]
1.トルクコンバータ2が非ロックアップ状態。
2.VSP≦VSP1(所定車速以下の低速走行)。
3.APSが所定値APS1未満から所定値以上に変化した(アクセル踏み込み検出)。
なお、上記3.において、アクセル開度変化速度ΔAPSをパラメータとしてもよい。この場合には、具体的には3.に代えて、「アクセル開度変化速度ΔAPSが所定値未満から所定値以上に変化した」としてもよい。また、ここではアクセル開度をエンジン負荷を表すパラメータとして用いているが、アクセル開度に代えてエンジン負荷を示す他のパラメータを用いていも良い。
そして、前提条件成立手段24で上記の[前提条件]が成立したと判定すると、タイマ25のカウントが開始されるようになっている。また、タイマ25には所定時間Tsがメモリされており、タイマ25では所定時間Ts経過するまでカウントを継続するようになっている。そして、この所定時間Ts経過後に、エンジントルクの抑制制御を開始するようになっている
つまり、所定時間Tsは、上記[前提条件]が成立してからエンジントルク抑制制御を開始するまでの時間であって、本実施形態ではエンジン負荷(ここではスロットル開度TVO)に応じて所定時間(以下では、制御開始時間という)Tsが設定されるようになっている。
この制御開始時間Tsは、具体的にはドライバがアクセルを踏み込んでからある程度のエンジントルクが立ち上がるまでを見込んだ時間であって、これにより前提条件が成立すると直後からトルク抑制制御を開始するような従来の技術に対して、エンジントルク抑制を遅らせることでアクセル踏み込み初期の必要以上のエンジン回転の抑制を回避して、加速性能の低下を回避するようにしている。
図5はスロットル開度TVOに対する制御開始時間Tsを示すマップであって、本実施形態では、線a(実線)で示すように、スロットル開度TVOが大きくなるほど制御開始時間Tsが小さくなるように設定されている。これは、スロットル開度TVOが大きいほどエンジン3の応答性が高くなるからであり、このようなエンジン3の応答性を考慮して制御開始時間Tsが設定されるようになっている。
ここで、図5における各点はスロットル開度TVOが変化してからエンジントルクが変化し始めるまでの応答時間を実験的に求めたものであり、線b(破線)はこのような応答時間のデータを最小二乗法等により近似した特性である。そして、線bで示す、スロットル開度TVOが変化してからエンジントルクが立ち上がるまでの実際の時間に対して、本実施形態では所定の余裕代を加えた時間を線aで示す所定時間Tsとして設定しているのである。
これにより、アクセルオンしてから徐々にトルクが立ち上がり始めたタイミングで所定時間Tsが経過してトルク抑制制御が開始することになり、エンジントルク抑制制御終了後に速やかにエンジン回転数を立ち上げて車両を加速させることが可能となる。
なお、スロットル開度に代えてスロットル開度変化率ΔTVOを用いて制御開始時間Tsを設定してもよい。この場合にはスロットル開度変化率ΔTVOが大きくなるほど制御開始時間Tsが小さくなるように設定すればよい。また、スロットル開度TVOとスロットル開度変化率ΔTVOとの両方をパラメータにして制御開始時間を設定しても良い。
ここで、図6はスロットル開度変化率ΔTVOに対する制御開始時間Tsを示すマップであって、図5と同様に、線aは制御開始時間Tsの特性、線bはスロットル開度変化率ΔTVOに対するエンジントルクが変化し始めるまでの応答時間の特性を示している。そして、線bで示すエンジントルクが立ち上がるまでの応答時間に対して所定の余裕分を加えることにより線aで示す制御開始時間Tsの特性が設定されており、このようなスロットル開度変化率ΔTVOを用いて制御開始時間Tsを設定しても、上述と同様に加速性を損なうことなくショックを抑制できるようになる。
また、これらのスロットル開度TVOとスロットル開度変化率ΔTVOとの両方を用いて制御開始時間Tsを設定しても良い。この場合には、制御開始時間Tsを設定するマップとしては、スロットル開度TVO及びスロットル開度変化率ΔTVOから制御開始時間Tsを求める3次元マップとなり、例えば同じスロットル開度でも、そのスロットル開度におけるスロットル開度変化率ΔTVOが大きければ比較的短い時間に制御開始時間Tsが設定され、スロットル開度変化率ΔTVOが小さければ比較的長い時間に制御開始時間Tsが設定される。
なお、上述したスロットル開度TVO及びスロットル開度変化率ΔTVOはそれぞれエンジン負荷及びエンジン負荷変化率の一例であり、スロットル開度に代えてアクセル開度や吸入空気量等の他のエンジン負荷を示すパラメータを適用してもよい。
ところで、図2に示すタイマ25には制御終了時間Teも記憶されている。この制御終了時間Teは、エンジントルク抑制制御を強制的に終了させるために設けられたバックアップタイマであって、本来の終了条件(速度比SRに基づく終了判定)が機能しなかった場合に、このバックアップタイマにより本制御が終了し、エンジントルク抑制が解除されるようになっている。なお、制御終了時間Teは比較的大きな値に設定されており、通常時には、このバックアップタイマにより本制御が終了するようなことはないように設定されている。
また、図示するように、変速機コントローラ9には、上述以外にも、上限トルク設定手段26,速度比算出手段27,速度比判定手段28,上限トルク勾配設定手段29,上限トルクキャンセル手段30及び選択手段31が設けられている。
このうち、上限トルク設定手段26は、アクセル開度の変化率ΔAPSやエンジン水温Twに基づいてエンジン3の上限トルクTCLP を設定するものであって、通常は所定時間Ts経過直後は、この上限トルク設定手段26で設定された上限トルクTCLP がエンジンコントローラ15に出力されるようになっている。なお、この上限トルクTCLP は、例えばエンジン3が出力可能な最大トルクの1/3程度に設定されるようになっている。
また、速度比算出手段27は、プライマリ回転数センサ16及びエンジン回転数センサ12からの情報に基づいてタービン回転速度とエンジン回転速度との比(速度比)を算出する手段であって、速度比SRは下式(2)により算出される。なお、速度比SRはエンジン3が被駆動(コースト)状態であるか駆動(ドライブ)状態かを判定するパラメータとして機能するものであって、速度比1未満のときはドライブ状態、1以上のときはコースト状態である。
SR=Nt/Ne・・・・(2)
速度比判定手段28は、速度比算出手段27で算出された現在の速度比SRと、いずれも予め設定された第1所定値(基準速度比)SRsと第2所定値(勾配開始速度比)SRoとを比較する手段であって、この速度比の比較により、コースト状態からドライブ状態へ移行度合いが判定されるようになっている。ここで第1所定値SRsはトルク抑制制御の終了を判定する速度比であって、1以上の数値で且つ比較的1に近い数値が設定されている。なお、本実施形態では例えば第1所定値SRs=1.1に設定されている。また、第2所定値SRoは、第1所定値SRsよりも大きい値に設定されており、本制御を終了する前に上限トルクTCLP を緩和する(トルク抑制を緩和する)タイミングを判定する速度比である。なお、本実施形態では第2所定値SRoは例えば1.3程度に設定されている。
そして、この速度比判定手段28において、現在の速度比SRが以下のいずれの場合に該当するかが判定されるようになっている。
SR≧SRo ・・・(3)
SRs<SR<SRo ・・・(4)
SR≦SRs ・・・(5)
また、選択手段31には、図示するように、上述した上限トルク設定手段26以外に、エンジントルク復帰時に上限トルクTCLP の上昇勾配θを設定する上限トルク勾配設定手段29や上限トルクTCLP をキャンセルする上限トルクキャンセル手段30が設けられている。
ここで、上限トルク勾配設定手段29は、エンジントルク抑制制御が終了する前に上限トルクTCLP に上昇勾配θを設定することで徐々に上限トルクTCLP を増大させて、制御終了時の急激なトルク変動及び前後Gの発生を防止するものである。また、上限トルクキャンセル手段30は、制御終了時に上限トルクTCLP をキャンセルすることにより、ドライバの要求に対応したエンジントルクに復帰させるものである。
そして、選択手段31では、上記速度比判定手段28で得られる速度比SRに応じて、上限トルク設定手段26,上限トルク勾配設定手段29及び上限トルクキャンセル手段30で設定された(上限トルクTCLP ,上限トルク勾配θ及び上限値キャンセル)のうちいずれか一つを選択してエンジンコントローラ15に対して出力するようになっている。
具体的には、速度比判定手段28で得られる速度比SRが(3)の場合、即ちSR≧SRoである場合には、変速比が大きくチップインショックが生じやすい状態であるので、この場合には上限トルク設定手段26が選択され、この上限トルク設定手段26で選択された上限トルクTCLP がエンジンコントローラ15に出力される(つまり、エンジンコントローラ15に対してエンジントルクの上限値設定を要求する)ようになっている。これにより、エンジン3の過大なトルクが規制されて、上記のようなショック及びトルク変動が抑制される。
また、速度比SRが(4)の場合、即ちSRs<SR<SRoの場合には、変速比が低下してきていると判定できるので、トルク抑制制御終了に向けて上限トルク勾配設定手段29が選択される。そして、この上限トルク勾配設定手段29では、設定された勾配θに基づいて逐次上限トルクTCLP を算出して、この算出された上限トルクTCLP がエンジンコントローラ15に出力されるようになっている。これにより、それまで設定されていた上限トルクを基準として、所定の上昇勾配θで上限トルクTCLP が増大していきトルク抑制が緩和される。
また、速度比SRが(5)の場合、即ち、SR≦SRsの場合には、変速比が1近傍であり、もはや略ドライブ状態に移行したと判定する。この場合には、トルク抑制を解除してもショックが生じることがないので、上限トルクキャンセル手段30からの上限トルクキャンセル信号が出力される。これにより、エンジン3の出力トルクに上限規制がなくなり、ドライバの要求に応じたトルクが出力される。
なお、本実施形態では、上限トルクキャンセル手段30で上限トルクTCLP をキャンセルすることで、本来エンジン3に設定されている上限トルク(オリジナルの上限トルク)TMAX にトルク制限値が変更されるようになっている〔図4(c)参照〕。ここで、オリジナルの上限トルクTMAX とは、エンジン制御のロジック上の必要性から設定されているものであって、エンジン3では出力不可能な大きな値に設定されている。したがって、トルクの制限値を上限トルクTCLP からオリジナルの上限トルクTMAX に変更するということは、実質的にエンジン3のトルク制限をキャンセルするということと同じ意味である。また、上述したように上限トルクTMAX は制御ロジックの必要性から設定されているが、このような上限トルクTMAX が本来設定されていないエンジンにおいては、単に上述のように上限トルクTCLP をキャンセルするだけでよい。
本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置は上述のように構成されているので、その作用を図3に示すフローチャートに従って説明すると以下のようになる。
まず、ステップS1において各種のセンサから情報を取り込み、ステップS2で制御開始の前提条件(トルクコンバータ2が非ロックアップ、且つ車速VSP≦VSP1、且つアクセル開度が所定値APS1未満から所定値以上に変化した)が成立したか否かを判定する。
そして、ステップS2で前提条件が成立したと判定すると、ステップS3においてタイマ25のカウントを開始するとともに、ステップS4で速度比SR(=Nt/Ne)を算出する。なお、ステップS2で前提条件の成立が判定されなかった場合にはそのままリターンする。
次に、ステップS5において、タイマのカウントTが所定の制御開始時間Tsを経過しているか、及び所定の制御終了時間Teの経過前かが判定される。ここで、カウントTが制御開始時間Tsを経過していて、且つ制御終了時間Te経過前であると判定すると、ステップS6に進む。
ステップS6では速度比SRを基準速度比SRsと勾配開始速度比SRoと比較し、SR≧SRoであればステップS7に、SRs<SR<SRoであればステップS8に、SR≦SRsであればステップS9に進む。
ここで、SR≧SRoの場合、即ち、速度比が十分大きい場合には、ステップS7において、上限トルクTCLP を設定し、エンジンコントローラ15に出力する。そして、これにより、エンジン3の出力トルクを規制する。また、SRs<SR<SRoであれば、上限トルクに対して勾配を設定し、トルク抑制を緩和する。さらに、SR≦SRsであれば、上限トルクTCLP をキャンセルして、トルク抑制を解除する。なお、ステップS5においてNoと判定されると、ステップS10においてタイマのカウントTが制御終了時間Teを経過しているか否かが判定され、制御終了時間Teを経過していると判定した場合にはステップS10からステップS9に進んでトルク抑制制御が解除される。また、ステップS10で制御終了時間Teの経過前と判定されると、そのままリターンする。
次に、本実施形態に係る自動変速機の制御装置の作用を図4(a)〜(c)に示すタイムチャートを用いて説明する。まず、アクセルオフのコースト状態において、図4(a)に示すように、アクセルが踏み込まれてドライブ状態への移行が判定されると(時間t0 )、その後図4(c)に示すように、所定時間Ts経過してからエンジン3の上限トルクの抑制が開始される(時間t1 )。
ここで、図4(a)及び(b)に示すように、所定時間Tsの経過前(即ち、t1 以前)は、アクセル開度の上昇に応じて目標スロットル開度TVOtが増大していくとともに、僅かに制御遅れを伴って実スロットル開度TVOも増大していく。そして、これにさらに遅れて、図4(c)に示すようにエンジントルクが立ち上がる。
そして、所定時間Tsが経過すると(時間t1 )、図4(c)に示すように上限トルクが設定される。具体的には、トルクを抑制するべく図4(b)に示すように目標スロットル開度が抑制され、これに遅れて実スロットル開度が抑制される。したがって、図4(a)に示すように、アクセル開度が上昇してもエンジン回転数の上昇が抑制される。
ただし、図4(c)に示すように,エンジントルクは所定時間Ts経過前に僅かに上昇するためドライバの要求する加速性を確保することができる。つまり、Ts時間はエンジントルク抑制を実行しないことでエンジン回転数の上昇を早め目標スロットル開度をアクセル操作に追従させるのである。ここで、仮にいきなりエンジンのトルクが抑制されてしまうと、目標スロットル開度が最初から抑制されてしまい、エンジン回転上昇が遅れて加速性能が大幅に低下する可能性があるが、本装置では、スロットル開度TVOに応じて設定される所定時間Tsだけカウントしてからエンジントルクの上限値を設定するので、このようなドライバビリティの低下を最小限に抑制することができる。
そして、その後速度比が第1所定値以上の大きさに設定された第2所定値(勾配開始速度比)SRoとなると、エンジンのトルク上限値を所定勾配で徐々に増大させ(t=t2 )、その後速度比が第1所定値SRsとなると、上限トルクがキャンセルされる(t=t3 )。
また、上述のようにエンジントルクの上限値を設定することにより、図4(c)に示すように前後Gを低減することができ、ショック低減を図ることができる利点がある。
したがって、本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置によれば、コースト走行からドライブ走行に切り換わってから所定時間経過Ts後にエンジントルクの抑制を行うので、エンジン回転変化率を小さくすることができ、コースト状態からドライブ状態に移行する際に発生するトルク変動又はショック(チップインショック)を抑制することができる。
また、所定時間Ts経過後にエンジントルクの低減を行うので、アクセル踏み込みとともにエンジントルク低減を開始する技術に比べて、エンジントルク上昇の抑制を最小限にすることができ、運転者の意図する加速感を極力損なうことなくショックを抑制できる。また、所定時間Tsはエンジン負荷及び/又はエンジン負荷変化率に基づいて設定されているため、適切なタイミングでトルク抑制を開始することができて、確実にトルク変動を抑制できる。
また、トルクコンバータ2の速度比が1よりも大きな値でエンジントルクの復帰を開始することで、実際のエンジントルクの応答遅れがあるため、速度比1近傍のエンジン回転数の変化率を小さい状態で維持でき、これにより従来に比べてトルク変動を抑制できる。
また、速度比1よりも早い段階(つまり速度比が1よりも大きい状態)でエンジントルクの復帰を開始することで、ドライブ状態になった後のエンジントルクの上昇を早めることができるので、運転者の意図する加速感を得ることができる。
また、アクセル踏み込み量(又はアクセル踏み込み速度)に応じたエンジントルクの応答性を考慮してトルク低減の開始タイミングを決定するため、適切なタイミングでエンジントルク低減を開始することができ、例えば、エンジントルク低減開始遅れによるショックが発生したり、開始が早すぎて加速感が得られないといった問題を解決することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば上述の実施形態では自動変速機としてベルト式無段変速機を用いて説明したが、遊星歯車機構を用いて変速を行うような一般的な自動変速機を適用しても良い。
また、上述の実施形態では、自動変速機2のコントローラ9とエンジンコントローラ15とが協調制御可能に構成され、コースト走行状態からドライブ走行状態への移行時には、変速機コントローラ9からエンジンコントローラ15に対してエンジン3の上限トルクの変更を要求するように構成されているが、変速機コントローラ9から直接エンジン3に対して上限トルクを出力するように構成しても良い。
また、上述の実施形態では、タービン回転速度検出手段としてプライマリプーリの回転数を検出するプライマリ回転数センサ16を設け、このプライマリ回転数センサ16からタービン回転速度を算出しているが、直接タービン回転速度を検出するタービン回転数センサを設け、このセンサからの信号を用いるように構成してもよい。
本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置が適用される車両の駆動系を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置の要部機能について着目して示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置の作用について説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置の作用について説明するタイムチャートである。 本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置における所定時間の設定の一例について説明する図である。 本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置における所定時間の設定の他の例について説明する図である。
符号の説明
1 CVT(自動変速機)
2 トルクコンバータ
3 エンジン
4 変速機出力軸
5 コントロールバルブ
9 変速機コントローラ(自動変速機制御手段)
10 スロットル開度センサ(スロットル開度検出手段;エンジン負荷検出手段)
11 セカンダリ回転数センサ(変速機出力回転センサ)
12 エンジン回転数センサ(エンジン回転速度検出手段)
13 選択レンジセンサ
14 車速センサ(車速検出手段)
15 エンジンコントローラ(エンジン制御手段)
16 プライマリ回転数センサ(タービン回転数センサ;タービン回転数検出手段)
17 アクセル開度センサ(アクセル開度検出手段;エンジン負荷検出手段)
21 ロックアップ判定手段
22 車速比較手段22
23 アクセル開度比較手段
24 前提条件成立判定手段
25 タイマ
26 上限トルク設定手段
27 速度比算出手段
29 上限トルク勾配設定手段
30 上限トルクキャンセル手段
31 選択手段

Claims (6)

  1. トルクコンバータを介して入力されたエンジン回転を変速して出力する自動変速機の制御装置であって、
    該自動変速機がロックアップ状態であるか否かを判定するロックアップ判定手段と、
    車両の走行速度を検出する車速検出手段と、
    アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
    該トルクコンバータのタービン回転速度を検出するタービン回転速度検出手段と、
    該エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
    該自動変速機の作動状態を制御する自動変速機制御手段とをそなえ、
    該自動変速機制御手段は、
    該ロックアップ判定手段により非ロックアップ状態であることが検出され、該車速検出手段により検出された車速が所定車速以下の低速走行状態であって、且つ該アクセル開度検出手段により検出された該アクセル開度が所定値未満の状態から該アクセル開度が該所定値以上の状態に変化したと判定すると、該アクセル開度の変化判定時から所定時間経過後に、該タービン回転速度検出手段により検出されたタービン回転速度(Nt)と該エンジン回転速度検出手段で検出されたエンジン回転速度(Ne)との比である速度比(Nt/Ne)が1よりも大きい第1所定値よりも大きいと判定するとエンジントルクの抑制を開始する
    ことを特徴とする、自動変速機の制御装置。
  2. 該車両は少なくとも該エンジントルクを制御可能なエンジン制御手段をそなえ、
    該自動変速機制御手段は、該エンジン制御手段に対してエンジントルクの上限値設定を要求することで該エンジントルクを抑制する
    ことを特徴とする、請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  3. 該自動変速機制御手段は、
    該エンジントルクの抑制をしている際に、速度比(Nt/Ne)が1よりも大きい第1所定値以下に低下したと判定すると、該エンジントルクの抑制制御を終了し、アクセル開度に対応するエンジントルクへ復帰させる
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。
  4. 該自動変速機制御手段は、
    該エンジントルクの抑制をする際に、速度比(Nt/Ne)が該第1所定値よりも大きい第2所定値以上の場合は、該エンジントルクの上限値を設定しエンジントルクを該上限値以下に抑制する
    ことを特徴とする、請求項3記載の自動変速機の制御装置。
  5. 該自動変速機制御手段は、
    該エンジントルクの抑制をする際に、速度比(Nt/Ne)が該第2所定値未満且つ該第1所定値よりも大きい場合に該上限値を所定勾配で増大させることにより該エンジントルク抑制制御を緩和することを特徴とする、請求項4記載の自動変速機の制御装置。
  6. 該所定時間は、エンジン負荷が大きくなるほど、及び/又はエンジン負荷変化率が大きくなるほど短い時間に設定される
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動変速機の制御装置。
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