JP2010242926A - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】一方向クラッチ係合により成立する変速段にて一方向クラッチ未同期での加速要求時、駆動力レスポンスの向上と同期ショックの低減とを両立する。
【解決手段】一方向クラッチF0未同期での加速要求時には、要求エンジントルクTEDEMを発生させるので一方向クラッチF0が同期に向かって適切に進行する。一方向クラッチF0同期の所定期間前から入力トルクTINを要求エンジントルクTEDEMの伝達に必要な必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とするエンジントルクダウンを行うので、一方向クラッチF0同期時の伝達トルクはトルクダウン後の入力トルクTINまでしか立ち上がらず同期ショックが抑制される。伝達トルクの立ち上がりは入力トルクTINとトルク容量との差によるパルス的なトルク伝達とはならずステップ的なトルク伝達となるので、パルス的なトルク伝達によるショックや異音の発生が抑制される。
【選択図】図7

Description

本発明は、一方向クラッチの係合により成立させられる変速段を含む複数の変速段が選択的に成立させられる車両用自動変速機の制御装置に係り、特に、一方向クラッチが同期するときのショックを抑制する技術に関するものである。
複数の摩擦係合装置及び一方向クラッチの何れかが選択的に係合されることにより変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機を介して駆動力源例えばエンジンの動力を駆動輪側へ伝達する車両が良く知られている。そして、このような車両において、一方向クラッチの係合により成立させられる変速段において一方向クラッチが空転状態であるときには、自動変速機内は動力伝達経路が解放された所謂ニュートラル状態とされており、このような状態となり得る例えばアクセルオフの惰性走行(コースト走行)中にアクセルオンとなる加速要求がなされたとしてもエンジン回転速度が上昇して一方向クラッチが同期する(空転状態から係合(締結)状態となる)まで駆動輪には駆動力が発生させられない。また、その一方向クラッチが同期するときには、エンジントルク伝達がステップ的に行われることによる急激なトルクの立ち上がりと駆動系のねじり振動に起因したトルク振動によりショック(以下、同期ショックと称する)が発生することがある。
そこで、アクセルオンから一方向クラッチが同期するまでの時間を短くしてアクセルオンに対する駆動力発生の応答(以下、駆動力レスポンスと称する)を向上する為に、すなわち一方向クラッチの同期を促進する為に、アクセル開度に応じて通常出力されるエンジントルクよりもエンジントルクを上昇させる所謂エンジントルクアップを行うことが考えられる。また、上述した一方向クラッチの同期ショックを低減する為に、例えば特許文献1〜3に記載された車両用自動変速機の制御装置では、再加速時に一方向クラッチの同期直前状態が検出されるとエンジン出力を低減するエンジントルクダウンを行って、一方向クラッチの同期時点で発生する急激なトルクの立ち上がりとトルク振動とを抑制している。また、特許文献4に示されるように、自動変速機の入力クラッチのトルク容量を下げてスリップさせることにより同期ショックを抑制することも考えられる。
特開平10−324178号公報 特開平7−217465号公報 特開平5−1589号公報 特開2007−2899号公報
ところで、一方向クラッチの係合により成立させられる変速段において一方向クラッチが空転状態であるときに加速要求がなされた際にエンジントルクアップを実行し、続いて一方向クラッチの同期直前からエンジントルクアップに換えてエンジントルクダウンを実行するという手法では、エンジントルクアップによる駆動力レスポンスの向上と同期ショックの低減とが背反し、また駆動力レスポンスの向上と同期ショックの低減との双方がエンジンの出力制御にて行われそれら双方を各々独立して制御できない。そのため、エンジントルクアップからエンジントルクダウンへの瞬時の切り換えが要求されることに対して、駆動力レスポンスの向上と同期ショックの低減とが両立するようにチューニングするのが困難となる可能性がある。例えば、駆動力レスポンスをより向上しようとしてエンジントルクアップ分を大きくするとエンジントルクダウンへの切換えを早くしなければならず、エンジントルク変化の応答性によっては同期ショックの低減が良好なものとならない恐れがある。また、同期ショックをより低減しようとしてエンジントルクダウン分を大きくすると駆動力レスポンスが低下する恐れがある。
また、一方向クラッチの同期ショックを抑制する為に入力クラッチのトルク容量を下げてスリップさせる場合であっても、一方向クラッチの同期に伴って入力クラッチがスリップする瞬間には図9のt1時点に示すようにそれまでの慣性及び一方向クラッチの同期時における変速機入力トルクと入力クラッチのトルク容量との差によりパルス的にトルクが伝達される可能性がある。そして、このような変速機入力トルクとトルク容量との差によるパルス的なトルク伝達により、ショックや異音(例えばドスン音)が発生する可能性がある。これに対して、一方向クラッチの同期時に入力トルクダウン(例えばエンジントルクダウン)を行うことも考えられるが、ピーク値が下がるもののパルス的なトルクが伝達されることには変わりがなく、依然としてそれに伴うショックや異音が発生する。また、上記パルス的なトルク伝達というのは、寧ろ入力クラッチのトルク容量を下げている為に発生すると考えられることから、同期ショックを抑制するために却ってショックや異音が発生してしまうと見ることもできる。尚、ステップ的なトルク伝達とは例えば瞬時に立ち上がったトルクが少なくとも暫くの間は瞬時に立ち下がることがないようなトルク伝達であり、パルス的なトルク伝達とは例えば瞬時に立ち上がったトルクが瞬時に立ち下がるようなトルク伝達である。また、上述したような課題は未公知であり、特に入力トルクダウン(エンジントルクダウン)と入力クラッチトルク容量との関係について未だ提案されていない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、一方向クラッチの係合により成立させられる変速段において一方向クラッチが空転状態であるときに加速要求がなされた際に、駆動力レスポンスの向上と同期ショックの低減とを両立することができる車両用自動変速機の制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 複数の摩擦係合装置及び一方向クラッチの何れかが選択的に係合されることにより変速比が異なる複数の変速段が成立させられて、駆動力源から出力された動力を伝達する車両用自動変速機の制御装置であって、(b) 前記一方向クラッチの係合により成立させられ且つ前記駆動力源から出力される駆動力源トルクに対応する変速機入力トルクを入力クラッチを介して出力側へ伝達可能とする所定変速段において前記一方向クラッチが未だ同期していない状態であるときに車両に対する加速要求が発生した際には、前記一方向クラッチが同期に向かうように前記加速要求時の要求量に応じた要求駆動力源トルクを発生させ、且つ前記入力クラッチに前記要求駆動力源トルクに対応する前記変速機入力トルクの伝達に必要な必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量を生じさせると共に、前記一方向クラッチが同期させられる所定期間前から前記変速機入力トルクを前記所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とするように前記駆動力源トルクのトルクダウンを行うことにある。
このようにすれば、前記所定変速段において一方向クラッチが未だ同期していない状態であるときに車両に対する加速要求が発生した際には、一方向クラッチが同期に向かうように加速要求時の要求量に応じた要求駆動力源トルクが発生させられるので、一方向クラッチが同期に向かって適切に進行させられる。また、要求駆動力源トルクに対応する変速機入力トルクの伝達に必要な必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量が入力クラッチに生じさせられると共に、一方向クラッチが同期させられる所定期間前から変速機入力トルクが入力クラッチの前記所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とされるように駆動力源トルクのトルクダウンが行われるので、一方向クラッチの同期時に入力クラッチの後段側へ伝達される伝達トルクは、前記要求駆動力源トルクに対応する変速機入力トルク相当まで立ち上がるのではなく、前記所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とされた変速機入力トルク相当までしか立ち上がらない。これにより、一方向クラッチの同期ショックが抑制される。更に、この伝達トルクの立ち上がりは、入力クラッチをスリップさせた場合に起こる変速機入力トルクと入力クラッチのトルク容量との差によるパルス的なトルク伝達とはならず、ステップ的なトルク伝達となる。これにより、パルス的なトルク伝達によるショックや異音の発生が抑制される。よって、一方向クラッチの係合により成立させられる変速段において一方向クラッチが空転状態であるときに加速要求がなされた際に、駆動力レスポンスの向上と同期ショックの低減とを両立することができる。
ここで、好適には、前記一方向クラッチの同期後には、前記駆動力源トルクを前記要求駆動力源トルクへ復帰させると共に、前記必要トルク容量となるように前記入力クラッチのトルク容量を漸増するものであり、前記駆動力源トルクの前記要求駆動力源トルクへの復帰時間を前記トルク容量の必要トルク容量への増大時間よりも早くする。このようにすれば、一方向クラッチの同期後、変速機入力トルクが入力クラッチのトルク容量を上回り入力クラッチがスリップさせられる。その入力クラッチのスリップ後の伝達トルクは、スリップ中のトルク容量により定められ、必要トルク容量まで漸増されるトルク容量によって要求駆動力源トルクに対応する変速機入力トルク相当まで漸増される。従って、一方向クラッチの同期後においては、入力クラッチのトルク容量を上回るまでの変速機入力トルクによる伝達トルクと入力クラッチスリップ中のトルク容量による伝達トルクとがスムーズに(滑らかに)つなげられ、ショックが抑制される。また、一方向クラッチの同期後には、例えば入力クラッチのトルク容量を制御することで加速要求に対してユーザの違和感とならないように伝達トルク延いては駆動トルクを加速要求時の要求量に応じたトルクまで引き上げることができる。
また、好適には、前記駆動力源トルクの前記要求駆動力源トルクへの復帰開始時点を前記トルク容量の必要トルク容量への増大開始時点よりも遅らせる。このようにすれば、例えばトルク容量の実際の変化が駆動力源トルクの実際の変化に比較して指令信号に対する応答性が低い場合に対処することができる。また、一方向クラッチの同期後においては、入力クラッチのトルク容量を上回るまでの変速機入力トルクによる伝達トルクと入力クラッチスリップ中のトルク容量による伝達トルクとが一層スムーズに(滑らかに)つなげられる。
また、好適には、前記駆動力源トルクのトルクダウンを行うまでは前記駆動力源トルクを前記要求駆動力源トルクよりも上昇させる。このようにすれば、前記所定変速段において一方向クラッチが未だ同期していない状態であるときに車両に対する加速要求が発生した際に、一方向クラッチの同期が一層促進される。
また、好適には、前記所定トルク容量は、前記加速要求時の要求量が大きい程大きくされた前記車両用自動変速機の出力トルクの目標値に対して所定割合となる所定出力トルクを発生させる為のトルク容量である。このようにすれば、一方向クラッチの同期時の伝達トルクのステップ的な立ち上がりによる同期ショックが、前記要求駆動力源トルクに対応する変速機入力トルク相当まで立ち上がることに比べて確実に抑制される。また、立ち上がりから要求駆動力源トルクに対応する変速機入力トルク相当まで漸増される伝達トルクにおいて、所定割合を適切に設定することで、加速要求に対してユーザの違和感とならないように伝達トルク延いては駆動トルクが発生させられる。
また、好適には、前記一方向クラッチは、前記加速要求に伴って前記車両用自動変速機の入力回転速度が上昇させられることで同期させられる回転方向に向かう。このようにすれば、加速要求時の要求量に応じた要求駆動力源トルクを発生させることで、一方向クラッチが同期に向かって適切に進行させられる。
また、好適には、前記車両用自動変速機は、複数組の遊星歯車装置の回転要素が摩擦係合装置によって選択的に連結されることにより複数のギヤ段(変速段)が択一的に達成される例えば前進4段、前進5段、前進6段、更にはそれ以上の変速段を有する等の種々の遊星歯車式多段変速機により構成される。この遊星歯車式多段変速機における摩擦係合装置としては、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ、或いはベルト式のブレーキ等の油圧式摩擦係合装置が広く用いられる。この油圧式摩擦係合装置を係合させるための作動油を供給するオイルポンプは、例えば前記駆動力源により駆動されて作動油を吐出するものでも良いが、駆動力源とは別に配設された専用の電動モータなどで駆動されるものでも良い。また、クラッチ或いはブレーキは、油圧式摩擦係合装置以外に電磁式係合装置例えば電磁クラッチや磁粉式クラッチ等であってもよい。
また、好適には、上記油圧式摩擦係合装置を含む油圧制御回路は、例えばリニアソレノイドバルブの出力油圧を直接油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)にそれぞれ供給することが応答性の点で望ましいが、そのリニアソレノイドバルブの出力油圧をパイロット油圧として用いることによりシフトコントロールバルブを制御して、そのコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように構成することもできる。
また、好適には、上記リニアソレノイドバルブは、例えば複数の油圧式摩擦係合装置の各々に対応して1つずつ設けられるが、同時に係合したり係合、解放制御したりすることがない複数の油圧式摩擦係合装置が存在する場合には、それ等に共通のリニアソレノイドバルブを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。また、必ずしも全ての油圧式摩擦係合装置の油圧制御をリニアソレノイドバルブで行う必要はなく、一部乃至全ての油圧制御をON−OFFソレノイドバルブのデューティ制御など、リニアソレノイドバルブ以外の調圧手段で行っても良い。
また、好適には、前記駆動力源としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジンが広く用いられる。さらに、補助的な走行用動力源として、電動機等がこのエンジンに加えて用いられても良い。或いは、駆動力源として電動機のみが用いられても良い。
尚、この明細書で「油圧を供給する」という場合は、「油圧を作用させ」或いは「その油圧に制御された作動油を供給する」ことを意味する。
本発明が適用された車両用動力伝達装置の構成を例示する骨子図である。 図1の車両用自動変速機の各変速段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表である。 図1の車両用動力伝達装置に備えられたエンジン及び自動変速機等を制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図である。 図3の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 スロットル弁開度をパラメータとしてエンジン回転速度とエンジントルク推定値との予め実験的に求められて記憶された関係(エンジントルクマップ)である。 図3の電子制御装置の変速制御において用いられる変速マップの一例を示す図である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわち駆動力レスポンスを向上しつつ同期ショックを低減する為の制御作動を説明するフローチャートである。 図7のフローチャートに示す制御作動を電子制御装置による出力信号に基づいて説明するタイムチャートである。 一方向クラッチの同期ショックを抑制する為に入力クラッチのトルク容量を下げてスリップさせる場合の従来技術の一例を示す図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用動力伝達装置10の構成を説明する骨子図である。図1において、例えば内燃機関にて構成されている走行用の駆動力源としてのエンジン12から出力された動力(例えばエンジントルク、エンジン出力)は、流体式動力伝達装置としてのトルクコンバータ14を経て車両用自動変速機16(以下、自動変速機16と表す)に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸18に連結されたポンプ翼車22と、自動変速機16の入力軸20に連結されたタービン翼車24と、一方向クラッチによって自動変速機16のハウジング38に対する一方向の回転が阻止されているステータ翼車26とを備え、ポンプ翼車22とタービン翼車24との間で流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。また、ポンプ翼車22及びタービン翼車24の間には、それらを直結するためのロックアップクラッチ28が設けられている。また、ポンプ翼車22には、自動変速機16を変速制御したり、各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生する機械式の油圧ポンプ30が設けられている。
自動変速機16は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置32と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置34及び第3遊星歯車装置36とを備えている遊星歯車式の変速機で、第1遊星歯車装置32のサンギヤS1は第3クラッチC3を介して入力軸20に選択的に連結されると共に、一方向クラッチF2及び第3ブレーキB3を介してハウジング38に選択的に連結され、入力軸20と反対方向の回転が阻止されるようになっている。また、第1遊星歯車装置32のキャリアCA1は、第1ブレーキB1を介してハウジング38に選択的に連結されると共に、その第1ブレーキB1と並列に設けられた一方向クラッチF1により常に逆方向の回転が阻止されるようになっている。また、第1遊星歯車装置32のリングギヤR1は、第2遊星歯車装置34のリングギヤR2と一体的に連結されており、第2ブレーキB2を介してハウジング38に選択的に連結されるようになっている。また、第2遊星歯車装置34のサンギヤS2は、第3遊星歯車装置36のサンギヤS3と一体的に連結されており、第4クラッチC4を介して入力軸20に選択的に連結されると共に、一方向クラッチF0及び第1クラッチC1を介して入力軸20に選択的に連結され、その入力軸20と反対方向の回転が阻止されるようになっている。また、第2遊星歯車装置34のキャリアCA2は、第3遊星歯車装置36のリングギヤR3と一体的に連結されており、第2クラッチC2を介して入力軸20に選択的に連結されると共に、第4ブレーキB4を介してハウジング38に選択的に連結されるようになっており、更に第4ブレーキB4と並列に設けられた一方向クラッチF3により常に逆方向の回転が阻止されるようになっている。そして、第3遊星歯車装置36のキャリアCA3は、出力軸40に一体的に連結されている。
自動変速機16に備えられた第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3、及び第4ブレーキB4(以下、特に区別しない場合には単にクラッチC及びブレーキBという)は、何れも多板式のクラッチやブレーキ等、油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置である。後述する図3に示すように、車両用動力伝達装置10は、複数のクラッチC及びブレーキBそれぞれに供給される油圧を制御する油圧制御回路82を備えており、その油圧制御回路82から供給される油圧に応じて各クラッチC及びブレーキBの係合状態(締結圧、係合圧)が制御され、それらクラッチC及びブレーキBの係合及び解放に応じて自動変速機16において所定の変速段が成立させられるように構成されている。
図2は、自動変速機16の各変速段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表であり、「○」は係合を、空欄は解放を、「△」はエンジンブレーキ時の係合を、「●」は動力伝達に関与しない係合をそれぞれ表している。この図2に示すように、自動変速機16においては、第1クラッチC1(エンジンブレーキ時にはそれに加え第4クラッチC4及び第4ブレーキB4)の係合により第1速ギヤ段「1st」が、第1クラッチC1及び第3ブレーキB3(エンジンブレーキ時にはそれに加え第4クラッチC4及び第2ブレーキB2)の係合により第2速ギヤ段「2nd」が、第1クラッチC1、第3クラッチC3、及び第3ブレーキB3(エンジンブレーキ時にはそれに加え第4クラッチC4及び第1ブレーキB1)の係合により第3速ギヤ段「3rd」が、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、及び第3ブレーキB3(エンジンブレーキ時にはそれに加え第4クラッチC4)の係合により第4速ギヤ段「4th」が、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、及び第3ブレーキB3の係合により第5速ギヤ段「5th」が、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3の係合により第6速ギヤ段「6th」が、それぞれ成立させられるようになっている。また、第3クラッチC3及び第4ブレーキB4(エンジンブレーキ時にはそれに加え第1ブレーキB1)の係合により後進ギヤ段「Rev」が成立させられ、クラッチC、ブレーキBのいずれもが解放されることによりニュートラル状態となるように構成されている。
図3は、図1のエンジン12や自動変速機16などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図である。この図3に示す電子制御装置80は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御、自動変速機16の変速制御、ロックアップクラッチ26のロックアップクラッチ制御などを実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や油圧制御用などに分けて構成される。
車両用動力伝達装置10において、運転者により踏み込み操作されるアクセルペダル42の操作量(踏込量)であるアクセル開度Accはアクセル開度センサ44により検出される。アクセルペダル42は、運転者の車両に対する出力要求量(運転者の要求する車両駆動力)に応じて踏み込み操作されるもので、出力操作部材に相当する。また、アクセル開度Accは、運転者の車両に対する要求量(ドライバ要求量、加速要求量、出力要求量)に相当する。また、エンジン12の吸気配管には、スロットルアクチュエータ46により制御されることでエンジン12のアイドル回転速度NEIDLを制御すると共に、例えば要求されるエンジントルクTに応じた開き角すなわちスロットル開度θTHとされる電子スロットル弁48が設けられている。また、エンジン12の回転速度Nを検出するためのエンジン回転速度センサ50、エンジン12の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ52、吸入空気温度Tを検出するための吸入空気温度センサ54、電子スロットル弁48のスロットル開度θTHを検出するためのスロットルセンサ56、出力軸40の回転速度NOUTに対応する車速Vを検出するための車速センサ58、エンジン12の冷却水温Tを検出するための冷却水温センサ60、常用ブレーキである図示しないフットブレーキの操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ62、シフトレバー76のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ64、入力軸20の回転速度(変速機入力回転速度)NINに対応するタービン回転速度Nを検出するためのタービン回転速度センサ66、油圧制御回路82内の作動油の温度である自動変速機16の作動油温TOILを検出するためのAT油温センサ68、アップシフトスイッチ70、及びダウンシフトスイッチ72等が設けられており、それらのセンサやスイッチから、エンジン回転速度N、吸入空気量Q、吸入空気温度T、スロットル開度θTH、車速V、エンジン冷却水温T、ブレーキ操作の有無、シフトレバー76のレバーポジションPSH、タービン回転速度N(=変速機入力回転速度NIN)、作動油温TOIL、変速レンジのアップ指令RUP、及びダウン指令RDN等を表す信号が電子制御装置80に供給されるようになっている。また、電子制御装置80は、フットブレーキの操作時に車輪がロック(スリップ)しないようにブレーキ力を制御するABS(アンチロックブレーキシステム)74に接続されており、ブレーキ力に対応するブレーキ油圧等に関する情報が供給されるようになっている。
電子制御装置80は、例えばアクセル開度Accに応じた要求駆動トルク(要求駆動力)が得られるようにエンジン12の出力制御を行う。例えば、斯かる要求駆動トルクに応じたエンジントルクTが得られる為のエンジン出力制御指令信号S、例えば電子スロットル弁48の開閉を制御するためのスロットルアクチュエータ46への駆動信号や燃料噴射装置84から噴射される燃料の量を制御するための噴射信号やイグナイタ等の点火装置86によるエンジン12の点火時期を制御するための点火時期信号などが電子制御装置80から出力される。また、エンジン12の始動時には、スタータ(電動モータ)88によりそのエンジン12のクランク軸18をクランキングさせる。
また、電子制御装置80は、油圧制御回路82を介して自動変速機16の変速動作を制御する。例えば、電子制御装置80からは、自動変速機16の変速制御の為の変速制御指令信号S、例えば自動変速機16のギヤ段(変速段)を切り換えるために油圧制御回路82内のソレノイド弁Sol1乃至Sol5等の励磁、非励磁などを制御するためのバルブ指令信号やライン油圧Pを制御するためのリニアソレノイド弁SLTへの駆動信号などが出力される。
油圧制御回路82は、油圧制御弁であるソレノイド弁Sol1乃至Sol5、リニアソレノイド弁SL1、SL2、SLU、SLTなどを備えている。これらソレノイド弁Sol1乃至Sol5、リニアソレノイド弁SL1、SL2、SLU、SLTは、油圧ポンプ30により発生させられる油圧から不図示のプライマリレギュレータ弁により調圧されるライン油圧Pを共通の元圧として作動させられる電子制御弁である。例えば、ソレノイド弁Sol1乃至Sol5、及びリニアソレノイド弁SL1、SL2は変速用であり、リニアソレノイド弁SLUは、主にロックアップクラッチ28の係合・解放に関与し、リニアソレノイド弁SLTは、主にライン油圧を制御する。尚、この油圧制御回路82内の作動油は、ロックアップクラッチ28へも供給され、また、自動変速機16等の各部の潤滑にも使用される。
図4は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図4において、エンジン出力制御部すなわちエンジン出力制御手段102は、例えばスロットルアクチュエータ46により電子スロットル弁48を開閉制御する他、燃料噴射量制御のために燃料噴射装置84を制御し、点火時期制御のために点火装置86を制御するエンジン出力制御指令信号Sを出力する。例えば、エンジン出力制御手段102は、図5に示すようなスロットル弁開度θTHをパラメータとしてエンジン回転速度Nとエンジントルク推定値TE0との予め実験的に求められて記憶された関係(エンジントルクマップ)から実際のエンジン回転速度Nに基づいて目標エンジントルクT が得られるスロットル弁開度θTHとなるようにスロットルアクチュエータ46により電子スロットル弁48を開閉制御する。上記目標エンジントルクT は、例えばアクセル開度Accに基づいてそのアクセル開度Accが大きい程大きくされるように電子制御装置80により求められる自動変速機16の出力トルク(変速機出力トルク)TOUTの目標値(目標出力トルク(要求出力トルク)TOUT )を発生させる為の要求エンジントルクTEDEMに相当する。要求出力トルクTOUT は、アクセル開度Accに応じた要求駆動トルクに1対1で対応するドライバ要求量に対する目標値である。尚、このドライバ要求量とは、車両に対する要求駆動力に1対1に対応するパラメータであって、駆動輪での要求駆動トルク或いは要求駆動力のみならず、要求駆動トルク或いは要求駆動力を公知の方法によって求める際の基になる例えば運転者のアクセルペダル操作量であるアクセル開度Acc(或いはスロットル弁開度θTH、吸入空気量、空燃比、燃料噴射量など)、そのアクセル開度Accなどに基づいて公知の方法によって求められる自動変速機16の目標出力トルク(要求出力トルク)TOUT や要求エンジントルクTEDEMやドライバー要求車両加速度などであってもよい。
変速制御部すなわち変速制御手段104は、例えば図6に示すような車速V及びアクセル開度Accを変数として予め記憶された関係(変速マップ、変速線図)から実際の車速V及びアクセル開度Accに基づいて変速判断を行い、自動変速機16の変速を実行すべきか否かを判断し、例えば自動変速機16の変速すべきギヤ段を判断し、その判断したギヤ段が得られるように自動変速機16の自動変速制御を実行する。このとき、変速制御手段104は、例えば図2に示す係合表に従ってギヤ段が達成されるように、自動変速機16の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合及び/または解放させる変速制御指令信号S(変速出力指令、油圧指令)を油圧制御回路82へ出力する。そして、その変速制御指令信号Sに従って、自動変速機16の変速が実行されるように油圧制御回路82内のソレノイド弁Sol1乃至Sol5、及びリニアソレノイド弁SL1、SL2などが駆動させられて、その変速に関与する油圧式摩擦係合装置が作動させられる。
図6の変速線図において、実線はアップシフトが判断されるための変速線(アップシフト線)であり、破線はダウンシフトが判断されるための変速線(ダウンシフト線)である。また、この図6の変速線図における変速線は、実際のアクセル開度Acc(%)を示す横線上において実際の車速Vが線を横切ったか否かすなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点車速)Vを越えたか否かを判断するためのものであり、この値Vすなわち変速点車速の連なりとして予め記憶されていることにもなる。
変速制御手段104は、例えば実際の車速Vが5速→6速アップシフトを実行すべき5速→6速アップシフト線を横切ったと判断した場合には、すなわち変速点車速V5−6を越えたと判断した場合には、クラッチC3を解放させると共にブレーキB2を係合させる指令を油圧制御回路82に出力する。また、本実施例の自動変速機16における第5速ギヤ段と第6速ギヤ段との間の変速においては、変速制御手段104は、例えば変速ショックの抑制と変速応答性の向上とが両立するように、タービン回転速度N及び出力回転速度NOUTに基づいて変速過程における係合油圧(解放過渡油圧及び/又は係合過渡油圧)をフィードバック制御したり或いは学習制御したりすることによりクラッチツウクラッチ変速を行う。
ところで、本実施例の自動変速機16における第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の各ギヤ段は、一方向クラッチF0〜F3のうちの少なくとも1つの一方向クラッチの係合を条件の1つとして成立させられ且つ自動変速機16の入力トルク(変速機入力トルク)TINを入力クラッチとしてのクラッチC1を介して自動変速機16の出力側へ伝達可能とする所定変速段(所定ギヤ段)である。従って、所定変速段において各ギヤ段成立に関与する一方向クラッチが空転状態すなわち一方向クラッチが未だ同期していない状態であるときには、自動変速機16内の動力伝達経路が解放されたすなわち自動変速機16内の動力伝達が遮断された所謂ニュートラル状態(中立状態)とされており、変速機入力トルクTINが自動変速機16の出力側へは伝達されず、駆動輪には駆動力が発生させられない。つまり、変速機入力トルクTINに対して反力がない状態であるので変速機出力トルク(アウトプットトルク)TOUTが零とされる。一方向クラッチの空転状態となる走行状態としては、例えばアクセルオフのコースト走行中にクラッチC4が係合されておらず、変速機入力回転速度NINが一方向クラッチF0の同期回転速度よりも低回転であるためにその一方向クラッチF0が未だ同期していない空転状態とされている場合が想定される。尚、変速機入力トルクTINはトルクコンバータ14の出力トルクとしてのタービントルクTであり、エンジントルクTと1対1に対応する。
そして、上述したような一方向クラッチF0が未だ同期していない状態(空転状態)であるときにアクセルオンとなる加速要求がなされると、その加速要求に伴ってエンジン回転速度Nが上昇させられることですなわち変速機入力回転速度NINが上昇させられることで、一方向クラッチF0が同期させられる回転方向に向かわさせられる。変速機入力回転速度NINが一方向クラッチF0の同期回転速度となると一方向クラッチF0が係合させられて所定変速段が成立させられる。このように一方向クラッチF0が同期するときには、例えばエンジントルクTの伝達がステップ的に行われることによる急激なトルクの立ち上がりと駆動系のねじり振動に起因したトルク振動により同期ショックが発生することがある。また、加速要求がなされたとしても一方向クラッチF0が同期するまで駆動力が発生させられない。
そこで、本実施例ではアクセルオンに対する駆動力レスポンスを向上しつつ、一方向クラッチF0の係合による同期ショックを低減する為に、一方向クラッチF0の係合を条件の1つとして成立させられる所定変速段において一方向クラッチF0が未だ同期していない状態であるときに車両に対する加速要求が発生した際には、先ず、一方向クラッチF0が同期に向かうように加速要求時の要求量に応じた要求エンジントルクTEDEMを発生させる。このとき、クラッチC1には、要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTINの伝達に必要な必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量を生じさせる。一方向クラッチF0の同期前では、クラッチC1後段側がニュートラル状態とされているので、クラッチC1が必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量とされてもクラッチC1にスリップは発生せず、一方向クラッチF0は同期に向かって適切に進行させられる。そして、一方向クラッチF0が同期させられる所定期間前から変速機入力トルクTINを上記所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とするようにエンジントルクTのトルクダウンを行う。これにより、一方向クラッチF0の同期時に変速機入力トルクTINがクラッチC1の後段側へ伝達されるトルクとしての伝達トルクは、要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで立ち上がるのではなく、上記所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下にトルクダウンされた変速機入力トルクTIN相当までしか立ち上がらない。従って、要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで立ち上がる時に比べて、一方向クラッチF0の同期ショックが抑制される。更に、このとき、変速機入力トルクTINはクラッチC1の所定トルク容量以下とされているので、クラッチC1はスリップしない。その為、一方向クラッチF0の同期時の伝達トルクの立ち上がりは、クラッチC1をスリップさせた場合に起こる変速機入力トルクTINとクラッチC1のトルク容量との差によるパルス的なトルク伝達とはならず、ステップ的なトルク伝達となる。従って、パルス的なトルク伝達によるショックや異音の発生が抑制される。
一方で、一方向クラッチF0の同期後には、トルクダウンしていたエンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMへ復帰させると共に、上記必要トルク容量以上となるようにクラッチC1のトルク容量を漸増する。このとき、エンジントルクTが要求エンジントルクTEDEMへ復帰するまでの復帰時間を、クラッチC1のトルク容量が上記必要トルク容量以上へ増大するまでの増大時間よりも早くする。これにより、一方向クラッチF0の同期後、変速機入力トルクTINがクラッチC1のトルク容量を上回りクラッチC1がスリップさせられる。クラッチC1のスリップ後の伝達トルクは、スリップ中のクラッチC1のトルク容量により定められ、必要トルク容量以上へ漸増されるトルク容量によって要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで漸増される。例えば、例えばクラッチC1のトルク容量を制御することで、加速要求に対してユーザの違和感とならないように伝達トルク延いては駆動トルクを加速要求時の要求量に応じた要求駆動トルクまで引き上げる。従って、一方向クラッチF0の同期後においては、クラッチC1のトルク容量を上回るまでの変速機入力トルクTINによる伝達トルクとクラッチC1のスリップ中のトルク容量による伝達トルクとがスムーズに(滑らかに)つなげられ、ショックが抑制される。
以下、駆動力レスポンスを向上しつつ同期ショックを低減する為の電子制御装置80による制御機能を具体的に説明する。図4に戻り、電子制御装置80は、同期状態判定部すなわち同期状態判定手段106と、加速要求判定部すなわち加速要求判定手段108と、同期前制御部すなわち同期前制御手段110と、同期後制御部すなわち同期後制御手段112とを更に機能的に備えている。
同期状態判定手段106は、一方向クラッチF0の係合により成立させられる所定変速段において一方向クラッチF0が同期状態すなわち係合状態とされているか否かを判定する。例えば、変速制御手段104は、変速マップから一方向クラッチF0でギヤ段を形成する所定変速段であるか否かを判断する。そして、同期状態判定手段106は、変速制御手段104により所定変速段であると判断された場合には、例えば実際のタービン回転速度N(変速機入力回転速度NIN)が出力回転速度NOUTと所定変速段の変速比γとから一意的に決定される所定変速段における一方向クラッチF0の同期回転速度(=γ×NOUT)に一致したか否かに基づいて、一方向クラッチF0が同期状態とされているか否かを判定する。また、同期状態判定手段106は、変速制御手段104により所定変速段であると判断された場合には、例えば実際の変速機入力回転速度NINが所定変速段における一方向クラッチF0の同期回転速度よりも低回転であるか否かに基づいて、一方向クラッチF0が未だ同期状態とされていないか否かを判定する同期前状態判定部すなわち同期前状態判定手段として機能する。また、同期状態判定手段106は、変速制御手段104により所定変速段であると判断された場合には、一方向クラッチF0が同期状態とされる直前の状態であるか否かを判定する同期直前状態判定部すなわち同期直前状態判定手段として機能する。具体的には、同期状態判定手段106は、例えば実際の変速機入力回転速度NINと所定変速段における一方向クラッチF0の同期回転速度との差回転速度及び実際の変速機入力回転速度NINが上昇するときの変化率に基づいて、一方向クラッチF0が同期状態と判定されるまでの時間が同期直前状態であると判定する為の予め実験的に求められて記憶された所定期間以内であるか否かを判定する。尚、実回転速度と同期回転速度とが一致したか否かは、例えば実回転速度と同期回転速度とが一致したと判断される回転速度差以内になったことで判断される。
加速要求判定手段108は、車両に対する加速要求の有無を判定する。例えば、加速要求判定手段108は、アクセルペダル42の踏み増し操作が行われたか否か、例えばコースト走行中のアクセルオフからアクセルオンとされたか否かに基づいて加速要求の有無を判定する。
同期前制御手段110は、変速制御手段104により一方向クラッチF0でギヤ段を形成する所定変速段であると判定されたときに、同期状態判定手段106により所定変速段において一方向クラッチF0が未だ同期状態とされていないと判定されすなわち一方向クラッチF0が空転状態であると判定され、且つ加速要求判定手段108により車両に対する加速要求が発生したと判定された際に、先ず、エンジントルクTを加速要求量に応じた要求エンジントルクTEDEMを発生させる指令をエンジン出力制御手段102へ出力する。このとき、同期前制御手段110は、一方向クラッチF0の同期が一層促進されるように、エンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMよりも予め実験的に求められて記憶された所定トルクアップTUP分だけ上昇させるエンジントルクアップを実行するトルクアップ指令をエンジン出力制御手段102へ出力しても良い。エンジン出力制御手段102は、このトルクアップ指令に従って、例えばスロットル弁開度θTHを増大することによりエンジントルクTを所定トルクアップTUP分だけ増加させる。
また、同期前制御手段110は、要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTINの伝達に必要な必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量をクラッチC1に生じさせてその所定トルク容量にて待機させる定圧待機指令を変速制御手段104へ出力する。変速制御手段104は、この定圧待機指令に従って、例えばクラッチC1のトルク容量を所定トルク容量として定圧待機する為の係合圧指令信号を油圧制御回路82へ出力する。また、この所定トルク容量は、例えば一方向クラッチF0の同期時に生成したい出力トルクTOUTすなわち駆動トルクを発生させる為のトルク容量(=出力トルクTOUT/所定変速段の変速比γ)である。また、この生成したい出力トルクTOUTは、例えば要求出力トルクTOUT に対して予め実験的に求められて記憶された所定割合(係数X(%))となる所定出力トルク(=要求出力トルクTOUT ×係数X)である。また、この所定割合は、一方向クラッチF0の同期時の伝達トルクのステップ的な立ち上がりから要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで漸増される伝達トルクにおいて、加速要求に対してユーザの違和感とならないようにその伝達トルク延いては駆動トルクが発生させられるように設定される。
更に、同期前制御手段110は、同期状態判定手段106により一方向クラッチF0が同期状態とされる直前の状態であると判定された場合には、変速機入力トルクTINを上記所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とする為のエンジントルクTのトルクダウンを実行するトルクダウン指令をエンジン出力制御手段102へ出力する。エンジン出力制御手段102は、このトルクダウン指令に従って、例えば点火装置86による点火時期を遅角させることによりエンジントルクTを低下させる。
同期後制御手段112は、一方向クラッチF0の同期後は、例えば同期状態判定手段106により所定変速段において一方向クラッチF0が同期状態とされていると判定された後は、同期前制御手段110による上述した制御に替えて、例えば加速要求に対する駆動トルクの要求駆動トルクまでの引き上げがユーザの違和感とならない為の予め実験的に求められた変化率にてクラッチC1のトルク容量を必要トルク容量以上へ漸増する油圧漸増指令を変速制御手段104へ出力する。変速制御手段104は、この油圧漸増指令に従って、例えばクラッチC1のトルク容量を必要トルク容量以上へ漸増する為の係合圧指令信号を油圧制御回路82へ出力する。また、同期後制御手段112は、トルクダウンしていたエンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMへ復帰させるトルク復帰指令をエンジン出力制御手段102へ出力する。また、このトルク復帰指令は、エンジントルクTの要求エンジントルクTEDEMへの復帰時間がトルク容量の必要トルク容量以上への増大時間よりも早くなるように、例えばエンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMへ復帰させる際のエンジントルク変化率がクラッチC1のトルク容量を必要トルク容量以上へ漸増する際の上記変化率よりも大きくなるように、出力される。エンジン出力制御手段102は、このトルク復帰指令に従って、クラッチC1のトルク容量が必要トルク容量以上へ漸増されるよりも早くなるように、点火装置86による点火時期の遅角を元に戻すことによりエンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMへ復帰させる。
ここで、例えば変速制御手段104による係合圧指令信号に対するクラッチC1のトルク容量の実際の変化は、エンジン出力制御手段102による点火時期の遅角制御に対するエンジントルクTの実際の変化に比較して応答性が低いと考えられる。そこで、指令信号に対するトルク容量の実際値の応答性遅れに対処する為に、同期後制御手段112は、エンジントルクTの要求エンジントルクTEDEMへの復帰開始時点をクラッチC1のトルク容量の必要トルク容量への増大開始時点よりも所定時間遅らせるようにして、トルク復帰指令をエンジン出力制御手段102へ出力しても良い。これにより、一方向クラッチF0の同期後においては、クラッチC1のトルク容量を上回るまでの変速機入力トルクTINによる伝達トルクとクラッチC1のスリップ中のトルク容量による伝達トルクとが一層スムーズに(滑らかに)つなげられる。
図7は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわち駆動力レスポンスを向上しつつ同期ショックを低減する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。また、図8は、図7のフローチャートに示す制御作動を電子制御装置80による出力信号に基づいて説明するタイムチャートである。
図7において、先ず、変速制御手段104に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、例えば変速マップから一方向クラッチF0でギヤ段を形成する所定変速段であるか否かがすなわち一方向クラッチF0の係合により成立させられる所定変速段であるか否かが判断される。所定変速段でないと判定されてこのS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、所定変速段であると判定されてこのS10の判断が肯定される場合は同期状態判定手段106に対応するS20において、例えば実際の変速機入力回転速度NINが所定変速段における一方向クラッチF0の同期回転速度(=γ×NOUT)よりも低回転であるか否かに基づいて、一方向クラッチF0が未だ同期状態とされていないか否かが判定される。一方向クラッチF0が既に同期しており上記S20の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが一方向クラッチF0が未だ同期しておらず上記S20の判断が肯定される場合は加速要求判定手段108に対応するS30において、車両に対する加速要求が有るか否かが、例えばアクセルオフからアクセルオンとされたか否かに基づいて判定される。アクセルオンされておらずこのS30の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、アクセルオンされてこのS30の判断が肯定される場合は同期前制御手段110に対応するS40において、一方向クラッチF0の同期が一層促進されるように、エンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMよりも所定トルクアップTUP分だけ上昇させるエンジントルクアップを実行するトルクアップ指令がエンジン出力制御手段102へ出力される(図8のt時点)。このトルクアップ指令に従って、エンジン出力制御手段102により例えばスロットル弁開度θTHが増大させられてエンジントルクTが所定トルクアップTUP分だけ増加させられる。次いで、同じく同期前制御手段110に対応するS50において、要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTINの伝達に必要な必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量をクラッチC1に生じさせてその所定トルク容量(例えば生成したい出力トルクTOUT(=要求出力トルクTOUT ×係数X)を発生させる為のトルク容量)にて待機させる定圧待機指令が変速制御手段104へ出力される(図8のt時点)。この定圧待機指令に従って、変速制御手段104により例えばクラッチC1のトルク容量を所定トルク容量として定圧待機する為の係合圧指令信号が油圧制御回路82へ出力される。
次いで、同期状態判定手段106に対応するS60において、一方向クラッチF0が同期状態とされる直前の状態であるか否かが判定される。例えば実際の変速機入力回転速度NINと所定変速段における一方向クラッチF0の同期回転速度との差回転速度及び実際の変速機入力回転速度NINが上昇するときの変化率に基づいて一方向クラッチF0が同期状態と判定されるまでの時間が所定期間以内であるか否かが判定される。このS60は肯定されるまで繰り返し実行されるが、一方向クラッチF0が同期直前状態とされてこのS60の判断が肯定される場合は同期前制御手段110に対応するS70において、変速機入力トルクTINを上記所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とする為のエンジントルクTのトルクダウンを実行するトルクダウン指令がエンジン出力制御手段102へ出力される(図8のt時点)。このトルクダウン指令に従って、エンジン出力制御手段102により例えば点火装置86による点火時期が遅角させられてエンジントルクTが低下させられる。
次いで、同期状態判定手段106に対応するS80において、例えば実際の変速機入力回転速度NINが所定変速段における一方向クラッチF0の同期回転速度(=γ×NOUT)に一致したか否かに基づいて、一方向クラッチF0が同期状態とされているか否かが判定される。このS80は肯定されるまで繰り返し実行されるが、一方向クラッチF0が同期状態とされてこのS80の判断が肯定される場合は同期後制御手段112に対応するS90において、例えば加速要求に対する駆動トルクの要求駆動トルクまでの引き上げがユーザの違和感とならない為の予め実験的に求められた変化率にてクラッチC1のトルク容量を必要トルク容量以上へ漸増する油圧漸増指令が変速制御手段104へ出力される。この油圧漸増指令に従って、変速制御手段104により例えばクラッチC1のトルク容量を必要トルク容量以上へ漸増する為の係合圧指令信号が油圧制御回路82へ出力される(図8のt時点)。また、エンジントルクTの要求エンジントルクTEDEMへの復帰時間がトルク容量の必要トルク容量以上への増大時間よりも早くなるように、トルクダウンしていたエンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMへ復帰させるトルク復帰指令がエンジン出力制御手段102へ出力される。このトルク復帰指令に従って、エンジン出力制御手段102により例えばエンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMへ復帰させる際のエンジントルク変化率がクラッチC1のトルク容量を必要トルク容量以上へ漸増する際の上記変化率よりも大きくなるように、点火装置86による点火時期の遅角が元に戻されてエンジントルクTが要求エンジントルクTEDEMへ復帰させられる。また、エンジントルクTの要求エンジントルクTEDEMへの復帰開始時点がクラッチC1のトルク容量の必要トルク容量への増大開始時点よりも所定時間遅らせられるように、上記トルク復帰指令がエンジン出力制御手段102へ出力される(図8のt時点)。
そして、一方向クラッチF0の同期時点からの、エンジントルクTの要求エンジントルクTEDEMへの復帰時間(図8のt時点乃至t時点)は、クラッチC1のトルク容量の必要トルク容量以上への増大時間(図8のt時点乃至t時点)よりも早くされる。その為、図8のt時点以降に示すように、一方向クラッチF0の同期後速やかに変速機入力トルクTINがクラッチC1のトルク容量を上回りクラッチC1がスリップさせられる。クラッチC1のスリップ後の伝達トルク(実線)は、スリップ中のクラッチC1のトルク容量により定められ、必要トルク容量以上(図8のt時点以降)へ漸増されるトルク容量によって要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで漸増される(図8のt時点乃至t時点)。これにより、一方向クラッチF0の同期時には、図9の従来例に示すようなパルス的な伝達トルクの立ち上がりではなく、ステップ的な伝達トルクの立ち上がりとされる。また、そのステップ的な立ち上がりは、要求エンジントルクTEDEM或いは所定トルクアップTUP分を加えた要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTINまでとはされず、トルクダウン後のエンジントルクTに対応する変速機入力トルクTINまでとされる。尚、図8の実線に示す伝達トルクの変化は飽くまで指令信号ベースの軌跡であり、実際の伝達トルク(出力トルク、駆動トルク)の変化は、実線に示す変化よりも滑らかになるのは言うまでもない。
上述のように、本実施例によれば、一方向クラッチF0の係合により成立させられる所定変速段において一方向クラッチF0が未だ同期していない状態であるときに車両に対する加速要求が発生した際には、一方向クラッチF0が同期に向かうように加速要求時の要求量に応じた要求エンジントルクTEDEMが発生させられるので、一方向クラッチF0が同期に向かって適切に進行させられる。また、要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTINの伝達に必要な必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量がクラッチC1に生じさせられると共に、一方向クラッチF0が同期させられる所定期間前から変速機入力トルクTINがクラッチC1の所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とされるようにエンジントルクTのトルクダウンが行われるので、一方向クラッチF0の同期時にクラッチC1の後段側へ伝達される伝達トルクは、要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで立ち上がるのではなく、クラッチC1の所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とされた変速機入力トルクTIN相当までしか立ち上がらず、一方向クラッチF0の同期ショックが抑制される。更に、この伝達トルクの立ち上がりは、クラッチC1をスリップさせた場合に起こる変速機入力トルクTINとクラッチC1のトルク容量との差によるパルス的なトルク伝達とはならず、ステップ的なトルク伝達となるので、パルス的なトルク伝達によるショックや異音の発生が抑制される。よって、一方向クラッチF0の係合により成立させられる所定変速段において一方向クラッチF0が空転状態であるときに加速要求がなされた際に、駆動力レスポンスの向上と同期ショックの低減とを両立することができる。例えば、アクセルオンに対して駆動力の発生に遅れ感が生じ難く、駆動力の立ち上がりによるショックが抑制される。
また、本実施例によれば、一方向クラッチF0の同期後には、エンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMへ復帰させると共に、必要トルク容量となるようにクラッチC1のトルク容量を漸増するものであり、エンジントルクTの要求エンジントルクTEDEMへの復帰時間をトルク容量の必要トルク容量への増大時間よりも早くするので、一方向クラッチF0の同期後、変速機入力トルクTINがクラッチC1のトルク容量を上回りクラッチC1がスリップさせられる。そのクラッチC1のスリップ後の伝達トルクは、スリップ中のトルク容量により定められ、必要トルク容量まで漸増されるトルク容量によって要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで漸増される。従って、一方向クラッチF0の同期後においては、クラッチC1のトルク容量を上回るまでの変速機入力トルクTINによる伝達トルクとクラッチC1のスリップ中のトルク容量による伝達トルクとがスムーズに(滑らかに)つなげられ、ショックが抑制される。また、一方向クラッチF0の同期後には、例えばクラッチC1のトルク容量を制御することで加速要求に対してユーザの違和感とならないように伝達トルク延いては駆動トルクを加速要求時の要求量に応じた要求駆動トルクまで引き上げることができる。
また、本実施例によれば、エンジントルクTの要求エンジントルクTEDEMへの復帰開始時点をクラッチC1のトルク容量の必要トルク容量への増大開始時点よりも遅らせるので、例えばトルク容量の実際の変化がエンジントルクTの実際の変化に比較して指令信号に対する応答性が低い場合に対処することができる。また、一方向クラッチF0の同期後においては、クラッチC1のトルク容量を上回るまでの変速機入力トルクTINによる伝達トルクとクラッチC1のスリップ中のトルク容量による伝達トルクとが一層スムーズに(滑らかに)つなげられる。
また、本実施例によれば、エンジントルクTのトルクダウンを行うまではエンジントルクTを要求エンジントルクTEDEMよりも上昇させるので、所定変速段において一方向クラッチF0が未だ同期していない状態であるときに車両に対する加速要求が発生した際に、一方向クラッチF0の同期が一層促進される。
また、本実施例によれば、前記所定トルク容量は、加速要求時の要求量が大きい程大きくされた要求出力トルク(目標出力トルク)TOUT に対して所定割合となる所定出力トルクを発生させる為のトルク容量であるので、一方向クラッチF0の同期時の伝達トルクのステップ的な立ち上がりによる同期ショックが、要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで立ち上がることに比べて確実に抑制される。また、立ち上がりから要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTIN相当まで漸増される伝達トルクにおいて、所定割合を適切に設定することで、加速要求に対してユーザの違和感とならないように伝達トルク延いては駆動トルクが発生させられる。
また、本実施例によれば、一方向クラッチF0は、加速要求に伴って変速機入力回転速度NINが上昇させられることで同期させられる回転方向に向かうので、加速要求時の要求量に応じた要求エンジントルクTEDEMを発生させることで、一方向クラッチF0が同期に向かって適切に進行させられる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、一方向クラッチF0の同期前においてはクラッチC1に所定トルク容量を生じさせて定圧待機させ、一方向クラッチF0の同期後においては要求エンジントルクTEDEMに対応する変速機入力トルクTINの伝達に必要な必要トルク容量以上へ漸増させて目標駆動トルクを形成したが、一方向クラッチF0の同期後において所定トルク容量よりも大きく且つ必要トルク容量よりも小さく設定した第2所定トルク容量へ漸増し、その第2所定トルク容量にて一旦定圧待機させ、その後必要トルク容量以上へ漸増させるなどして目標駆動トルクを形成しても良い。つまり、本発明では、一方向クラッチF0の同期前におけるクラッチC1の所定トルク容量や一方向クラッチF0の同期後のクラッチC1のトルク容量の変化によって目標駆動トルクを適切に形成することができることから、例えば目標駆動トルクの形成の仕方でクラッチC1のトルク容量の変化を設定すれば良い。
また、前述の実施例では、一方向クラッチF0の空転状態における加速要求の際に行った同期前制御手段110による要求エンジントルクTEDEMに対するエンジントルクアップは、必ずしも行う必要はない。要求エンジントルクTEDEMのままであっても、本発明における一定の効果は得られる。
また、前述の実施例では、所定変速段は一方向クラッチF0の係合により成立させられる第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段であったが、それに限らず、一方向クラッチの係合により成立させられるギヤ段であれば良く、車両用自動変速機のギヤ段の構成によって各々1つ乃至複数の種々のギヤ段が適用され得る。
また、前述の図7のフローチャートにおいて、ステップS10〜S30はその順に実行される必要はなく、ステップS40以降よりも前にS10〜S30の各ステップが実行されれば良い。また、ステップS40、50もその順に実行される必要はない。
また、前述の実施例では、加速要求としてアクセルオフからのアクセルオンを例示したが、例えばアクセルペダル42の一定踏込状態からのアクセルペダル42の踏み増しであっても良いし、良く知られたクルーズコントロール制御における加速要求等であっても良い。
また、前述の実施例におけるエンジントルクアップやエンジントルクダウンは、スロットル制御や点火時期制御の他に公知のエンジントルク制御方法が用いられる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
12:エンジン(駆動力源)
16:車両用自動変速機
80:電子制御装置(制御装置)
C1〜C4:クラッチ(摩擦係合装置)
B1〜B4:ブレーキ(摩擦係合装置)
F0〜F3:一方向クラッチ

Claims (6)

  1. 複数の摩擦係合装置及び一方向クラッチの何れかが選択的に係合されることにより変速比が異なる複数の変速段が成立させられて、駆動力源から出力された動力を伝達する車両用自動変速機の制御装置であって、
    前記一方向クラッチの係合により成立させられ且つ前記駆動力源から出力される駆動力源トルクに対応する変速機入力トルクを入力クラッチを介して出力側へ伝達可能とする所定変速段において前記一方向クラッチが未だ同期していない状態であるときに車両に対する加速要求が発生した際には、前記一方向クラッチが同期に向かうように前記加速要求時の要求量に応じた要求駆動力源トルクを発生させ、且つ前記入力クラッチに前記要求駆動力源トルクに対応する前記変速機入力トルクの伝達に必要な必要トルク容量よりも小さな所定トルク容量を生じさせると共に、前記一方向クラッチが同期させられる所定期間前から前記変速機入力トルクを前記所定トルク容量にて伝達可能なトルク以下とするように前記駆動力源トルクのトルクダウンを行うことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  2. 前記一方向クラッチの同期後には、前記駆動力源トルクを前記要求駆動力源トルクへ復帰させると共に、前記必要トルク容量となるように前記入力クラッチのトルク容量を漸増するものであり、
    前記駆動力源トルクの前記要求駆動力源トルクへの復帰時間を前記トルク容量の必要トルク容量への増大時間よりも早くすることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  3. 前記駆動力源トルクの前記要求駆動力源トルクへの復帰開始時点を前記トルク容量の必要トルク容量への増大開始時点よりも遅らせることを特徴とする請求項2に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  4. 前記駆動力源トルクのトルクダウンを行うまでは前記駆動力源トルクを前記要求駆動力源トルクよりも上昇させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  5. 前記所定トルク容量は、前記加速要求時の要求量が大きい程大きくされた前記車両用自動変速機の出力トルクの目標値に対して所定割合となる所定出力トルクを発生させる為のトルク容量であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
  6. 前記一方向クラッチは、前記加速要求に伴って前記車両用自動変速機の入力回転速度が上昇させられることで同期させられる回転方向に向かうことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両用自動変速機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017067204A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 ダイハツ工業株式会社 自動変速機の制御装置
JP2017116040A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 ダイハツ工業株式会社 自動変速機の制御装置
JP2020070850A (ja) * 2018-10-30 2020-05-07 ダイハツ工業株式会社 自動変速機の制御装置

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