JP4682483B2 - 射出成形装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の金型により形成されたキャビティ内に成形材料を供給することにより所定形状の成形品を連続成形するようにした射出成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、積層成形品の連続生産を可能とした射出成形装置として、図8に示すように、第1,第2キャビティ30a,30bを有し、油圧ユニットにより進退駆動される可動側金型部材30と、第3キャビティ31aを有する回転部材31及び該回転部材31を回転可能に支持する固定部材32を有する固定側金型部材33とを備えたものがある。
【0003】
そして、積層成形品を製造するには、可動側金型部材30を前進させて固定側金型部材33に型閉じし、この状態で第2キャビティ30bに成形材料を供給して半成形品を形成する。この後、可動側金型部材30を後退させて型開きし、回転部材31を180度回転させて第3キャビティ31aを第2キャビティ30bに対向させ、可動側金型部材部材30を再度型閉じする。この状態で第3キャビティ31aに成形材料を供給し、これにより半成形品に残りの半成形品を積層して完成品を得る。
【0004】
このような射出成形装置では、回転部材31の軸心部にボス状の回転軸34を突出形成し、該回転軸34を軸受35を介在させて上記固定部材32により回転可能に支持するとともに、上記回転軸34の軸心に供給ノズル36からの成形材料を供給する流路34aを形成した構造が一般的となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記射出成形装置では、回転部材31に突出形成した回転軸34を固定部材32で軸支し、該回転軸34に流路34aを形成した構造を採用しており、回転軸34の軸長さの分だけ流路34aが長くなるという問題がある。その結果、成形材料の供給経路が長くなり成形性が低下するとともに、屑材の残量が多くなり材料歩留りが悪化するという懸念がある。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、成形材料を供給する流路を短くすることにより、成形性及び材料歩留りを向上できる射出成形装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、一対の金型により形成されたキャビティ内に、一方の金型の軸心部に形成された流路及び軸心方向に向けて、かつ該流路に接続可能に配置された供給ノズルを介して成形材料を供給するようにした射出成形装置において、
上記一方の金型は、上記軸心回りに回転する回転プレートと、該回転プレートを、上記軸心部において支持することなく該回転プレートの外周部のみにて回転自在に支持する回転支持手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、上記回転支持手段は、支持プレートにより回転自在に支持された複数のローラ部材からなり、該各ローラ部材により上記回転プレートの外周面が支持されており、上記支持プレートは固定ベースにより支持されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2において、上記ローラ部材又は回転プレートの何れか一方の外周部に環状の凹溝が形成され、該凹溝に他方の外周部が回転可能にかつ軸方向移動不能に係合していることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項において、上記回転支持手段は、型閉じのときには上記回転プレートの固定ベースへの圧接を許容し、型開きのときには上記回転プレートを固定ベースから分離させる分離支持機構を備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4において、上記分離支持機構は、上記支持プレートと固定ベースとの間に配設され、該回転プレートを固定ベースから分離させる方向に常時付勢する弾性部材を備えていることを特徴としている。
【0012】
【発明の作用効果】
請求項1の発明にかかる射出成形装置によれば、回転プレートの外周部を回転支持手段により回転可能に支持したので、回転プレートの軸心部に回転軸や軸受を設ける必要はないことから、該軸心部の流路を短くすることができる。その結果、成形材料の供給経路を短くでき、成形性を向上できるとともに、屑材の残量を少なくでき、材料歩留りを向上できる。
【0013】
請求項2の発明では、支持プレートに複数のローラ部材を配置し、該各ローラ部材により回転プレートの外周面を支持したので、簡単な構造で回転プレートを回転可能に支持することができ、コストの上昇を抑制できる。
【0014】
請求項3の発明では、上記ローラ部材又は回転プレートの一方の外周部に環状の凹溝を形成し、該凹溝に他方の外周部を回転可能にかつ軸方向移動不能に係合させたので、回転プレートを確実に支持できるとともに、固定ベースに対する支持精度を向上できる。
【0015】
請求項4の発明によれば、型閉じのときには回転プレートの固定ベースへの圧接を許容し、型開きのときには上記回転プレートを固定ベースから分離させるようにしたので、金型を閉じたときには回転プレートの位置決めが固定ベースによって確実になされ、キャビティの形状,寸法精度を確保できる。また金型を開いたときには回転プレートの回転時に固定ベースとの摺動抵抗をなくすことができる。その結果、回転プレートだけを回転駆動する出力の小さいアクチュエータで済み、部品コストを低減できる。即ち、上述のように回転部材を固定部材により摺動支持する構造とした場合には、回転部材の固定部材との摺動抵抗を考慮した出力の大きいアクチュエータを用いる必要があり、部品コストが高騰するという懸念がある。
【0016】
また固定ベースとの摺動抵抗をなくすことができるので、回転プレートと固定ベースとの間で生じる摩耗をなくすことができ、寿命を向上できる。
【0017】
請求項5の発明では、上記支持プレートと固定ベースとの間に回転プレートを固定ベースから分離させる方向に付勢する弾性部材を配設したので、簡単な構造で回転プレートを型開き時に固定ベースから分離させることができ、コストを低減できるとともに、支持構造をコンパクトにできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1ないし図7は、本発明の一実施形態による射出成形装置を説明するための図であり、図1は射出成形装置の全体構成図、図2は型開き状態の金型の断面図、図3は型閉じ状態の金型の断面図、図4は回転プレートの回転支持状態を示す図、図5はローラ部材の断面図、図6,図7は射出成形装置による積層成形品の一製造方法を説明するための工程図である。
【0020】
図1において、1は射出成形装置を示しており、これは架台2上に成形材料供給部3と、可動側金型部材4及び固定側金型部材(一方の金型)5を有する金型6と、該可動側金型部材4を進退駆動する型締部7を配設した概略構造のものである。この射出成形装置1は、中空部品,あるいは誘電体レンズ等の積層成形品を連続して射出成形するものである。
【0021】
上記成形材料供給部3は、ペレットが投入されるホッパ3aに該ペレットを加熱溶融する加熱部3bを接続し、該加熱部3bに供給ノズル3cを接続した構造を有している。また上記型締部7は、油圧シリンダ7a内にピストンロッド7bを挿入配置したもので、該ピストンロッド7bには上記可動側金型部材4が接続されている。さらに上記架台2内には制御部2a及び上記油圧シリンダ7aに油圧を供給する油圧ユニット2bが収納されている。
【0022】
上記可動側金型部材4は、第1,第2キャビティ10a,10bが凹設された固定プレート10に支持ブロック11を固定し、該支持ブロック11に取付け板12を固定し、該取付け板12に上記ピストンロッド7bを接続した構造となっている。この固定プレート10には上記第1,第2キャビティ10a,10bに上記供給ノズル3cからの成形材料を分配供給する分配路10cが凹設されている。
【0023】
上記固定側金型部材5は、第3キャビティ15aが凹設された円板状の回転プレート15を矩形枠状に形成された支持プレート16を介して固定ベース17により左右に進退自在に支持し、該固定ベース17を上記架台2上に固定された固定板18に固定した構造となっている。上記回転プレート15は型閉じ時には固定ベース17のサポート部17dに当接する。
【0024】
ここで上記第1,第2キャビティ10a,10bは積層成形品の第1層部分を成形するためのものであり、第3キャビティ15aは積層成形品の第2層部分を上記第1層部分上に積層形成するためのものである。
【0025】
上記固定ベース17及び固定板18の軸心部にはノズル挿通孔17a,18aが形成されており、該ノズル挿通孔17a,18aには上記供給ノズル3cが挿入されている。
【0026】
上記回転プレート15の軸心部には流路15bが上記供給ノズル3cと同一軸線をなすように形成されている。該流路15bは固定側金型部材4を型閉じしたとき上記供給ノズル3cの供給口が接続可能となっており、また上記分配路10cに連通するようになっている。また上記回転プレート15には第3キャビティ15aと流路15bとを連通する分岐路15cが上記分配路10cとは独立して形成されている。
【0027】
上記支持プレート16の回転プレート15の外周部に臨む部分には、回転支持手段としての複数のローラ部材23が周方向に所定間隔をあけて配設されている。この各ローラ部材23は、図5に示すように、支持プレート16に植設固定されたローラ軸24に軸受24aを介在させてローラ25を回転自在に装着した構造のものである。この各ローラ25の外周面には断面V字状の凹溝25aが凹設されている。
【0028】
上記回転プレート15の外周部には上記凹溝25aに係合する尖り部15dが形成されており、これにより回転プレート15はローラ部材23を介して支持プレート16により軸方向移動不能にかつ回転自在に支持されている。
【0029】
また上記回転プレート15は、図示していないが、回転駆動手段により所定の回転角度に回転駆動される。この回転駆動手段は、上記回転プレート15の外周面に形成された回転歯に駆動歯車を噛合させ、該駆動歯車を歯付きベルトを介してモータにより回転駆動する構造となっている。この歯付きベルト,モータは上記支持プレート16に組み付けられている。
【0030】
上記支持プレート16の四隅部分には挿入孔16aが形成され、該挿入孔16には分離支持機構の一部を構成するガイドシャフト20が挿入固定されている。上記各ガイドシャフト20は上記固定ベース17に形成された摺動孔17b内に摺動自在に挿入されており、このようにして支持プレート16はガイドシャフト20を介して固定ベース17により軸心方向に移動可能に支持されている。
【0031】
また上記ガイドシャフト20には分離支持機構の残りの一部を構成するコイルバネ21が装着されており、該コイルバネ21は支持プレート16を固定ベース17から分離する方向に常時付勢している。上記コイルバネ21は、上記固定ベース17の摺動孔17bの周縁に形成された凹部17cと、上記支持プレート16の挿入孔16aの周縁に形成された凹部16bとに架け渡して配置されており、型閉じ時には該両凹部16b,17c内に収納されるようになっている。
【0032】
次に上記射出成形装置1による積層成形品,例えば誘電体レンズの成形工程を説明する。
【0033】
図6(a)は、前工程において、第1,第3キャビティ10a,15aにより成形された1つの積層成形品が取り出され、第2キャビティ10b内に第1層が形成されている状態を示している。この状態ではコイルバネ21により支持プレート16が付勢されて固定ベース17から離れており、これにより回転プレート15が固定ベース17から分離されている。この状態で回転プレート15を180度回転させ、第3キャビティ15aを第1層(半成形品A1)が形成されている第2キャビティ10bに対向させる(図6(b)参照)。
【0034】
続いて可動側金型部材4を前進させて型閉じする。この場合、まず回転プレート15が固定プレート10により固定ベース17のサポート部17dに押圧され、これに伴ってローラ部材23を介して支持プレート16が後退するとともにコイルバネ21が圧縮されて凹部16b,17c内に収納される。なお、このときガイド部材23には型締め時の押圧力が作用することはなく、コイルバネ21の付勢力のみ作用することとなる。
【0035】
そして固定プレート10側の第1キャビティ10a,回転プレート15側の第3キャビティ15aがそれぞれ相手側プレートで閉塞されるとともに、流路15bの基端に供給ノズル3cが連通するとともに、流路15bの先端が分配路15bに連通する。
【0036】
この状態で供給ノズル3cから成形材料を注入する。すると第1キャビティ10a及び第3キャビティ15aに成形材料が供給される(図7(c)参照)。これにより第3キャビティ15a内にて第2層である半成形品A2が形成され、これが第2キャビティ10bの半成形品A1に溶融固化し、もって誘電体レンズ(積層成形品)Aが形成される。また第1キャビティ10aには次の半成形品B1が射出成形される。
【0037】
この後、可動側金型部材4を後退させて型開きする。そして上記誘電体レンズAを取り出し、さらに流路15b,分配路10cに残った屑材27を除去する(図7(d)参照)。
【0038】
しかる後、回転プレート15を180度回転させて第3キャビティ15aを第1キャビティ10aに対向させる。そして可動側金型部材4を前進させて型閉じし、供給ノズル3cから第2,第3キャビティ10b,15aに成形材料を供給し、第1キャビティ10aの半成形品B1に第3キャビティ15aの半成形品B2を溶融固化させる(図7(e)参照)。このような成形工程を繰り返し行なうことにより誘電体レンズを連続生産する。
【0039】
このようにして射出成形された誘電体レンズAは、溶融固化した半成形品A1に次の半成形品A2が溶着接合されることとなり、剥がれや隙間が生じるのを防止でき、優れたアンテナ特性が得られる。
【0040】
本実施形態の射出成形装置1によれば、回転プレート15の外周部を、ローラ部材23を介して支持プレート16により回転可能に支持したので、回転プレート15の軸心部に回転軸や軸受を設ける必要がないことから、該軸心部の流路15bを回転プレート15の板厚程度に短くすることができる。その結果、成形材料の供給経路を短くして成形性を向上できるとともに、屑材の残量を少なくして材料歩留りを向上できる。
【0041】
また上記回転プレート15を複数のローラ部材23により回転可能に支持したので、簡単な構造で回転プレート15を支持することができ、コストの上昇を抑制できる。
【0042】
本実施形態では、上記ローラ部材23のローラ25にV字状の凹溝25aを形成し、回転プレート15の外周部に上記凹溝25aに係合する尖り部15dを形成したので、回転プレート15を軸方向移動不能に確実に軸支できるとともに、固定ベース17に対する支持精度を向上できる。
【0043】
本実施形態によれば、上記ローラ部材23を支持プレート16に取付け、該支持プレート16をガイドシャフト20を介して固定ベース17により移動可能に支持し、かつコイルバネ21により固定ベース17から分離される方向に付勢したので、型閉じのときにはローラ部材23に負荷をかけることなく回転プレート15を固定ベース17のサポート部17dで確実に位置決め支持でき、また型開きのときには上記回転プレート15を固定ベース17から分離させた状態で回転駆動できる。その結果、回転プレート15だけを回転駆動する出力の小さいモータで済み、部品コストを低減できる。
【0044】
また上記回転プレート15をコイルバネ21の付勢力により固定ベース17から分離させるようにしたので、簡単な構造で回転プレート15を分離支持することができ、コストを低減できるとともにコンパクトにできる。
【0045】
なお、上記実施形態では、分離支持機構としてコイルバネ21を採用した場合を説明したが、本発明の分離支持機構にはエアシリンダ,油圧シリンダ等のアクチュエータを用いることも可能である。
【0046】
また回転プレート15を複数個のガイド部材23で支持した場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば回転プレートの外周面に軸受を介してリング部材を装着して軸支することも可能である。
【0047】
なお、本実施形態では、固定プレートに第1,第2キャビティの2つのキャビティを設け、これに合わせ回転プレートを180°回転させているが、本発明は特にこれに限定するものではない。例えば、3つのキャビティを設けて回転プレートを120°回転させてもよいし、4つのキャビティを設けて回転プレートを90°回転させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による射出成形装置の全体構成図である。
【図2】上記射出成形装置の金型の型開き状態を示す断面図である。
【図3】上記金型の型閉じ状態を示す断面図である。
【図4】上記金型の回転プレートの支持状態を示す図である。
【図5】上記回転プレートのローラ部材の断面図である。
【図6】上記射出成形装置による誘電体レンズの成形方法を説明するための工程図である。
【図7】上記誘電体レンズの成形方法を説明するための工程図である。
【図8】従来の一般的な射出成形装置の断面図である。
【符号の説明】
1 射出成形装置
4 可動側金型部材
5 固定側金型部材
6 金型
10a,10b 第1,第2キャビティ
15 回転プレート
15a 第3キャビティ
15b 流路
17 固定ベース
20 ガイドシャフト(分離支持機構)
21 コイルバネ(分離支持機構)
23 ローラ部材(回転支持手段)
25a 凹溝

Claims (5)

  1. 一対の金型により形成されたキャビティ内に、一方の金型の軸心部に形成された流路及び軸心方向に向けて、かつ該流路に接続可能に配置された供給ノズルを介して成形材料を供給するようにした射出成形装置において、
    上記一方の金型は、上記軸心回りに回転する回転プレートと、該回転プレートを、上記軸心部において支持することなく該回転プレートの外周部のみにて回転自在に支持する回転支持手段とを備えている
    ことを特徴とする射出成形装置。
  2. 請求項1において、上記回転支持手段は、支持プレートにより回転自在に支持された複数のローラ部材からなり、該各ローラ部材により上記回転プレートの外周面が支持されており、上記支持プレートは固定ベースにより支持されていることを特徴とする射出成形装置。
  3. 請求項2において、上記ローラ部材又は回転プレートの何れか一方の外周部に環状の凹溝が形成され、該凹溝に他方の外周部が回転可能にかつ軸方向移動不能に係合していることを特徴とする射出成形装置。
  4. 請求項において、上記回転支持手段は、型閉じのときには上記回転プレートの固定ベースへの圧接を許容し、型開きのときには上記回転プレートを固定ベースから分離させる分離支持機構を備えていることを特徴とする射出成形装置。
  5. 請求項4において、上記分離支持機構は、上記支持プレートと上記固定ベースとの間に配設され、該回転プレートを固定ベースから分離させる方向に常時付勢する弾性部材を備えていることを特徴とする射出成形装置。
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