しかし、上記公報に記載された技術によると、遊技球が始動入賞口へ入球する確率を決定するために遊技球を振り分ける機会が1度しかないため、遊技球の動きに変化がなくなってその動きが単純化されてしまう。その結果、遊技が単調になるため、遊技者は、新鮮味を失って遊技を止めてしまうという問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技球の動きを複雑化することによって、興趣の向上を図ることができる遊技機を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技盤上に遊技球が転動流下する遊技領域を区画形成し、前記遊技領域に入賞口を配置し、前記入賞口の上方に装飾部材を配置した遊技機において、前記装飾部材は、前記遊技領域から誘導された遊技球を受けて転動させる第1転動面をその上部に有し、前記遊技球を放出する複数の第1球放出部を有し、上方向に突出するとともに前記複数の第1球放出部を避けるように配置された縁部を前端部に有する第1ステージと、前記第1ステージの下方に配置され、前記第1球放出部から放出された遊技球が誘導され、前記第1球放出部から放出された遊技球を受けて転動させる第2転動面をその上部に有し、前記遊技球を前記遊技領域に放出する複数の第2球放出部を有する第2ステージと、前記第2ステージの前端側に配置され、上方向に突出する遊技球落下阻止部とを備え、前記第1転動面は、凸部及び凹部からなる起伏形状をなしており、前記凸部及び前記凹部は前記第1球放出部をそれぞれ有し、前記凸部の有する前記第1球放出部及び前記凹部の有する前記第1球放出部は、前面側から見て凹状をなし、前側に行くに従って幅広になるとともに低くなる形状をなしており、前記凹部の有する前記第1球放出部は、前記凸部の有する前記第1球放出部よりも幅広に設定され、前記複数の第2球放出部のうちの少なくとも1つの第2球放出部から放出された遊技球は、他の第2球放出部から放出された遊技球よりも高確率で前記入賞口に入球しうるとともに、前記凸部の有する前記第1球放出部から放出された遊技球は、前記高確率で前記入賞口に入球しうる第2球放出部に対して、前記凹部の有する前記第1球放出部から放出された遊技球よりも高確率で導かれ、前記凸部の有する前記第1球放出部と前記高確率で前記入賞口に入球しうる前記第2球放出部とが左右方向に一致した位置に設けられ、前記凹部の有する前記第1球放出部と前記他の第2球放出部とが左右方向に異なる位置に設けられていることを特徴とする遊技機をその要旨とする。
従って、請求項1に記載の発明によると、遊技球は、第1ステージの第1転動面を転動することによって振り分けられて、第1球放出部から放出されるだけでなく、第2ステージの第2転動面を転動することによって再度振り分けられて、第2球放出部から遊技領域に放出される。なお、第2球放出部には、遊技球が入賞口へ入球する確率が高いものと低いものとがあるため、遊技球が入賞口へ入球する確率は、遊技球がどの第2球放出部から放出されるかによって異なる。よって、遊技球が入賞口へ入球する確率は、第1ステージ及び第2ステージでそれぞれ振り分けが行われる度に変更される可能性がある。つまり、遊技球が入賞口へ入球する確率を決定する機会が複数回あるため、遊技球の動きに変化をつけることができ、その動きが複雑化される。
しかも、複数の第1球放出部のうち、入賞口へ入球する確率が相対的に高い第2球放出部から離間した位置にある第1球放出部から遊技球が放出された場合でも、第2ステージにて遊技球が再度振り分けられることによって、入賞口へ入球する確率が相対的に高い第2球放出部に導かれる可能性がある。そのため、遊技球が入賞口へ入球する確率が低い第1球放出部から放出されたとしても、入賞口への遊技球の入球を遊技者に期待させることができる。
従って、遊技者は第1ステージ上及び第2ステージ上での遊技球の動きに興味を持つことになるため、遊技者に新鮮味を与え続けることができ、興趣の向上を図ることができる。
「第1ステージ」及び「第2ステージ」は、装飾部材に配設された図柄表示装置の下側に配置されており、入賞口への入賞経路を構成するものである。第1ステージ及び第2ステージの上面(転動面)は、凸部及び凹部のない平坦形状をなすものであってもよいし、凸部及び凹部からなる起伏形状をなすものであってもよい。
なお、第1ステージは1つ設けられているだけでもよいし、上下段状に複数設けられていてもよい。このようにすれば、遊技球は、それぞれの第1ステージの第1転動面で転動して振り分けられる。その結果、遊技球の動きがよりいっそう複雑化されるため、さらなる興趣の向上を図ることができる。
「第1球放出部」としては、遊技球を第1ステージから放出させることが可能な形状であれば特に限定されないが、例えば、第1ステージに切欠形成した切欠部、第1ステージに設けた貫通孔などが挙げられる。なお、第1転動面に前後方向に延びる一対の突条を設け、両突条間を遊技球が通過するようにしたものなども挙げられる。なお、「第1球放出部」は、第1ステージの前端部に上方向に突設した縁部を設け、該縁部に対して切欠形成した場合にあっては、第1ステージにおいて切欠形成した部分と対応する位置に窪み部を設けたものであることが好ましい。このようにすれば、第1球放出部を有しない部分からの遊技球の放出が防止されるため、遊技球が確実に第1球放出部に振り分けられるからである。
「第2球放出部」としては、遊技球を第2ステージから放出させることが可能な形状であれば特に限定されないが、例えば、遊技球を装飾部材から遊技領域へと排出させるための球経路に連通する落下孔などが挙げられる。なぜなら、球経路の形状や、球経路の末端に設けられた排出口の位置を変更することにより、落下孔を通過した遊技球を遊技領域の任意の位置で排出できるからである。なお、第2球放出部は、前記第1球放出部と同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
また、第2球放出部が落下孔である場合、前記落下孔の入口の外周部に、前記落下孔の中心に行くに従って低くなる急傾斜が設けられていることが好ましい。別の言い方をすると、落下孔の入口側の開口は面取りされていることがよい。このようにすれば、第1球放出部から放出された遊技球が落下孔の入口の外周部に衝突した場合、遊技球が急傾斜に沿って螺旋状に回転しながら落下孔内へと導かれる。そのため、遊技球の動きをよりいっそう複雑化することができ、さらなる興趣の向上を図ることができる。また、遊技球の動きも面白いものとなる。
第2球放出部は、第2ステージの第2転動面に凹所を設け、該凹所の底部に配置されることが好ましい。さらに、第2球放出部を凹所に配置する場合、第2球放出部は、第1球放出部よりも後側に配置されていることが好ましい。第2球放出部を第1球放出部よりも前側(例えば、凹所の前端部)に配置すると、第2ステージが前側に突出することにより装飾部材全体が厚くなって、遊技領域を覆うガラスと遊技盤との間に装飾部材を配置することが困難になる可能性がある。また、仮に装飾部材を配置したとしても、図柄表示装置とガラスとの距離が大きくなり、図柄表示装置が見にくくなる可能性がある。
また、前記複数の第2球放出部のうちの少なくとも1つの第2球放出部が設けられる位置は、入賞口との左右方向のずれが、他の第2球放出部と該入賞口との左右方向のずれよりも小さい位置であることが好ましく、特には、該入賞口と左右方向に一致した位置であることが好ましい。しかも、該入賞口との上下方向の距離が、他の第2球放出部と入賞口との上下方向の距離よりも短い位置であることが好ましい。上記のようにすれば、前記複数の第2球放出部のうちの少なくとも1つの第2球放出部から放出された遊技球は、他の第2球放出部から放出された遊技球よりも高確率で入賞口に入球しうる。また、第2球放出部は、第1球放出部よりも多くても少なくてもよいし、第1球放出部と同数であってもよい。
「入賞口」としては、始動入賞口、普通入賞口、大入賞口などが挙げられるが、特には始動入賞口であることが好ましい。このようにすれば、遊技球が第2球放出部から図柄組み合わせゲームの開始契機となる始動入賞口に向けて放出されるので、始動入賞口に入球した遊技球が大当りとなるのではないかという期待を遊技者に持たせることができるため、さらなる興趣の向上を図ることができる。また、始動入賞口は、装飾部材の中央部下方に配置されることが好ましい。なお、第2球放出部から放出された遊技球が入球する入賞口は、1つでもよいし、複数個配置されていてもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第2ステージの前記第2転動面には凹所が設けられ、前記凹所の底部には前記複数の第2球放出部の全てが配置され、前記凹所は、前記第2球放出部を有する凹所部を複数備え、前記凹所部は、外周部から前記第2球放出部に行くに従って低くなる湾曲形状をなしており、前記複数の第2球放出部は、前記凹所部に導かれた遊技球を前記遊技領域に排出させるための球経路に連通する落下孔であることをその要旨とする。
従って、請求項2に記載の発明によると、第1球放出部から放出された遊技球が第2転動面に落下した場合、遊技球は第2転動面上を転動し、低い位置にある凹所に導かれる。また、遊技領域を転動流下する遊技球が、遊技領域に配置された釘に当たって跳ね返り、第2転動面上に導かれた場合であっても、遊技球は第2転動面上を転動し、低い位置にある凹所に導かれる。よって、第2ステージ上にある遊技球を確実に第2球放出部に導くことができる。なお、第1球放出部から放出された遊技球が直接凹所に落下した場合、遊技球が凹所に導かれているのは言うまでもない。
なお、「凹所」は、第2ステージの第2転動面であればどの部分に配置されていてもよいが、特には第2ステージの中央部に配置されることが好ましい。また、凹所の形状は、水平なものであってもよいが、凹凸のある起伏形状であることが好ましい。このようにすれば、遊技球の動きがよりいっそう複雑化されるため、さらなる興趣の向上を図ることができる。さらに、凹所の形状は、特定の箇所(具体的には、放出した遊技球を最も高確率で入賞口に入球させうる第2球放出部が配置されている箇所)に行くに従って低くなる形状であってもよい。このようにすれば、入賞口へ入球する確率が相対的に高い第2球放出部から離間した位置にある第1球放出部から遊技球が放出された場合でも、入賞口へ入球する確率が相対的に高い第2球放出部に遊技球が導かれる可能性がある。そのため、遊技球が入賞口へ入球する確率が低い第1球放出部から放出されたとしても、入賞口への遊技球の入球を遊技者に期待させることができる。
従って、請求項2に記載の発明によると、凸部の有する第1球放出部から放出された遊技球が、高確率で前記入賞口に入賞しうる第2球放出部へ導かれる確率が高くなる。即ち、凸部の有する第1球放出部から放出された遊技球が入賞口に入球する確率が高くなる。よって、凸部の有する第1球放出部から放出された遊技球が入賞口に入球するという期待が裏切られにくくなるため、興趣の低下を防止することができる。
ここで、「前記凸部の有する前記第1球放出部と前記第2球放出部とが左右方向に一致した位置」とは、遊技機を正面から見たときに、第2球放出部が、凸部の有する第1球放出部の直下となる位置をいう。ただし、前後方向の一致、不一致は問わない。
また、請求項2に記載の発明によると、第1球放出部から放出された遊技球は、直接第2球放出部に落下せずに、凹所上を転動するため、遊技球の動きをよりいっそう複雑化することができる。即ち、複数の第1球放出部のうち、入賞口へ入球する確率が相対的に高い第2球放出部から離間した位置にある第1球放出部から遊技球が放出された場合でも、遊技球が凹所上を転動して、入賞口へ入球する確率が相対的に高い第2球放出部に導かれる可能性がある。そのため、遊技球が入賞口へ入球する確率が低い第1球放出部から放出されたとしても、入賞口への遊技球の入球を遊技者に期待させることができる。
ここで、「前記凹部の有する前記第1球放出部と前記第2球放出部とが左右方向に異なる位置」とは、遊技機を正面から見たときに、第2球放出部が、凹部の有する第1球放出部の直下とならない位置をいう。ただし、前後方向の一致、不一致は問わない。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記凹部の有する前記第1球放出部から放出された遊技球が衝突しうる位置に、遊技球の動きに変化を与えうる球動作変化部が前記第2ステージに設けられ、前記球動作変化部は、前記凹所の底部に対して略垂直に延びる面と前記第2転動面とが交差する段差部であり、前記段差部の左端部は、前記凸部の左側にある前記凹部の有する前記第1球放出部の下方であって、前記凸部の左側にある前記凹部の有する前記第1球放出部に対して左側に位置しており、前記段差部の右端部は、前記凸部の右側にある前記凹部の有する前記第1球放出部の下方であって、前記凸部の右側にある前記凹部の有する前記第1球放出部に対して右側に位置していることをその要旨とする。
従って、請求項3に記載の発明によると、凹部の有する第1球放出部から放出された遊技球が球動作変化部に衝突することにより、遊技球の勢いや移動方向に変化を与えることができるため、遊技球の動きをよりいっそう複雑化することができる。
なお、「前記凹部の有する前記第1球放出部から放出された遊技球が衝突しうる位置」としては、第2転動面上において凹部の有する第1球放出部から放出された遊技球が移動する部分や、凹部の有する第1球放出部から放出された遊技球の落下地点などが挙げられるが、具体的には、第2転動面において凹所が設けられている箇所と設けられていない箇所との境界部分に設定される段差部であることが好ましい。このようにすれば、遊技球が、第2転動面上を左右方向に移動しているときに球動作変化部に衝突することで、遊技球の勢いや移動方向に変化を与えることができる。
ここで、「球動作変化部」としては、第2転動面上に設けた突起、突条などであってもよいが、例えば、上記のように第2転動面において凹所を設けた場合には、凹所の縁にできる段差部を球動作変化部とすることがよい。
なお、前記第1ステージが透光性部材によって形成され、前記第1ステージの後側にある起立壁に、始動入賞口への遊技球の入球数を表示する発光体が設けられ、前記発光体が前記第1ステージの下側に配置されていてもよい。
上記課題を解決するための別の手段としては、遊技盤上に遊技球が転動流下する遊技領域を区画形成し、前記遊技領域に始動入賞口を配置し、前記始動入賞口の上方に装飾部材を配置した遊技機において、前記装飾部材は、前記遊技領域から誘導された遊技球を受けて転動させる第1転動面をその上部に有し、前記遊技球を放出する複数の第1球放出部を左右方向に異なる位置に有する第1ステージと、前記第1ステージの下方に配置され、前記第1球放出部から放出された遊技球を受けて転動させる第2転動面をその上部に有し、前記遊技球を前記遊技領域に放出する複数の第2球放出部を左右方向に異なる位置に有する第2ステージとを備え、前記第1転動面は、前記第1ステージの中央部に位置する凸部と、その凸部の左右両側に位置する凹部とからなる起伏形状をなしており、前記凸部及び前記凹部は前記第1球放出部をそれぞれ有し、前記凸部の有する前記第1球放出部と前記第2ステージの中央部に位置する前記第2球放出部とが左右方向に一致した位置に設けられ、前記凹部の有する前記第1球放出部と前記第2球放出部とが左右方向に異なる位置に設けられ、前記複数の第2球放出部のうち前記第2ステージの中央部に位置する第2球放出部が、前記始動入賞口の真上位置に存在し、他の第2球放出部が前記始動入賞口の真上位置から左右方向に離間した位置に存在していることを特徴とする遊技機がある。
このようにした場合、遊技球は、第1ステージの第1転動面を転動することによって振り分けられて、第1球放出部から放出されるだけでなく、第2ステージの第2転動面を転動することによって再度振り分けられて、第2球放出部から遊技領域に放出される。なお、複数の第2球放出部のうち第2ステージの中央部に位置する第2球放出部が始動入賞口の真上位置に存在し、他の第2球放出部が始動入賞口の真上位置から左右方向に離間した位置に存在しているため、第2球放出部には、遊技球が始動入賞口へ入球する確率が高いものと低いものとが存在する。ゆえに、遊技球が始動入賞口へ入球する確率は、遊技球がどの第2球放出部から放出されるかによって異なる。よって、遊技球が始動入賞口へ入球する確率は、第1ステージ及び第2ステージでそれぞれ振り分けが行われる度に変更される可能性がある。つまり、遊技球が始動入賞口へ入球する確率を決定する機会が複数回あるため、遊技球の動きに変化をつけることができ、その動きが複雑化される。
しかも、始動入賞口へ入球する確率が相対的に高い第2球放出部から離間した位置にある第1球放出部、即ち、凹部の有する第1球放出部から遊技球が放出された場合でも、放出された遊技球が第2ステージにて再度振り分けられることによって、始動入賞口へ入球する確率が相対的に高い第2球放出部、即ち、第2ステージの中央部に位置する第2球放出部に導かれる可能性がある。そのため、遊技球が凹部の有する第1球放出部から放出されたとしても、始動入賞口への遊技球の入球を遊技者に期待させることができる。
従って、遊技者は第1ステージ上及び第2ステージ上での遊技球の動きに興味を持つことになるため、遊技者に新鮮味を与え続けることができ、興趣の飛躍的な向上を図ることができる。
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、遊技球の動きを複雑化することによって、興趣の向上を図ることができる。
以下、本発明の遊技機をパチンコ機10に具体化した一実施形態を図1〜図8に基づき詳細に説明する。なお本実施形態において「左」、「右」、「前」、「後」、「上」または「下」とは、図3に示した矢印の方向を指すものとする。
図1に概略的に示されるように、パチンコ機10を構成する前枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視状態で保護するためのガラス枠を備えたガラス保持枠14と上球皿15とが、それぞれ横開き状態で開閉可能に組み付けられている。さらに、前枠12の下部には、下球皿16や操作手段17などが装着されている。
また、遊技盤13上には、遊技球A1が転動流下する遊技領域13aが区画形成されている。遊技領域13aには、複数の釘11や各種の役物が取り付けられている。具体的にいうと、遊技領域13aの略中央には、複数種類の図柄を変動表示して図柄組み合わせゲームを行う図柄表示装置18が配設されている。図柄表示装置18の下方には、遊技球A1が入球することにより図柄表示装置18に表示される図柄の変動開始条件となる始動入賞口19(入賞口)が配設されている。始動入賞口19は、図示しないソレノイドにより開閉動作を行うようになっている。また、始動入賞口19の下方には、図示しないソレノイドにより開閉動作を行う大入賞口20が配設されている。さらに、遊技領域13aには、普通入賞口23a,23b,23c,23dが設けられている。
図1に示されるように、遊技盤13の遊技領域13aの略中央部にはさらにセンター役物31(装飾部材)が配設されている。センター役物31は始動入賞口19の上方に配置されている。センター役物31は、後側に配設された図柄表示装置18を装飾するための枠状部材である。図2,図3に示されるように、センター役物31を構成する合成樹脂製の役物本体32には全体的に装飾が施されており、その略中央部には横長矩形状の開口部33が設けられている。この開口部33は、図柄表示装置18の表示領域を露出させるべく、表示領域の形状・大きさに対応して形成されている。また、役物本体32の外周部には、遊技盤13への取り付けの際に遊技領域13aに当接されるフランジ部34が突設されている。そして、フランジ部34の複数箇所を図示しないネジで固定することにより、図1のように役物本体32が遊技盤13に取り付けられている。図2に示されるように、役物本体32の上部中央には、可動体41を設置するための設置スペース35が前面側に向けて開口するように区画形成されている。その設置スペース35の右側には、可動体42a,42b,42cを設置するための設置スペース36が前面側に向けて開口するように区画形成されている。
図2〜図4に示されるように、役物本体32の左下部には、遊技領域13aを転動流下する遊技球A1(図7,図8参照)を役物本体32の内側に誘導する誘導部43が設けられている。誘導部43は、上部にて開口する通過口入口44を介して遊技領域13aに連通している。また、誘導部43は、下部にて開口する通過口出口45を介して後記する第1ステージ51の上面側領域に連通している。
図3〜図6に示されるように、役物本体32の前記開口部33の下側部分には、遊技領域13aから誘導された遊技球A1を振り分けるための第1ステージ51及び第2ステージ61がそれぞれ1段ずつ設けられている。第1ステージ51及び第2ステージ61は、開口部33の下端縁に沿って左右方向に延設されている。第1ステージ51は、遊技領域13aから誘導された遊技球A1を受けて転動させる第1転動面52をその上部に有している。第1転動面52の幅(遊技機前後方向における寸法)は、遊技球A1の直径よりもやや広くなっている。第1転動面52は、中央にある凸部53において最も高くなるとともに、凸部53の左側にある左凹部54a(凹部)及び右側にある右凹部54b(凹部)にて最も低くなっており、全体として曲線的な起伏形状をなしている。
図3〜図6に示されるように、第1ステージ51の前端部には、上方向に突出する縁部57が設けられている。縁部57は、凸部53の有する凸部放出部55(凸部の有する第1球放出部)、左凹部54aの有する左凹部放出部56a(凹部の有する第1球放出部)及び右凹部の有する右凹部放出部56b(凹部の有する第1球放出部)を避けるように配置されている。縁部57は、凸部放出部55、左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bを有しない部分から、遊技球A1が第1ステージ51の前側に放出されるのを妨げるように構成されている。これにより、第1転動面52上にて遊技球A1を長時間転動させることができるため、遊技球A1の転動を見て楽しむことが可能となる。
また、図3〜図6に示されるように、凸部放出部55は、前側に行くに従って低くなる形状をなしている。凸部放出部55は、前面側から見て凹状をなしており、前側に行くに従って幅広になっている。これにより、凸部放出部55は、凸部53に導かれた遊技球A1を案内して、第2ステージ61に放出しうるように構成されている。同様に、左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bは、前側に行くに従って低くなる形状をなしている。左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bは互いに同一の形状をなしている。左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bは、前面側から見て凹状をなしており、前側に行くに従って幅広になっている。これにより、左凹部放出部56aが、左凹部54aに導かれた遊技球A1を案内して、第2ステージ61に放出しうるように構成されるとともに、右凹部放出部56bが、右凹部54bに導かれた遊技球A1を案内して、第2ステージ61に放出しうるように構成されている。
また、図3〜図6に示されるように、凸部放出部55、左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bは、左右方向に異なる位置において等間隔に設けられている。左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bは、凸部放出部55よりも幅広に設定されている。
よって、前記第1転動面52上を左右方向に転動する遊技球A1は、左凹部54aまたは右凹部54bからそれらよりも高い位置にある凸部53に登っていくに従って減速するとともに、凸部53または第1転動面52の左右両端部からそれらよりも低い位置にある左凹部54aや右凹部54bに下っていくに従って加速する。そして、遊技球A1の勢いがなくなると、遊技球A1は、凸部放出部55、左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bのいずれか1つから前記第2ステージ61に放出される。なお、遊技球A1が凸部53に導かれたとしても、遊技球A1は、凸部53よりも低い位置にある左凹部54aや右凹部54bに向かって転動しやすい。しかも、遊技球A1が、一旦左凹部54aや右凹部54bに導かれると、それらよりも高い位置にある凸部53に登っていくのは困難である。そのため、凸部放出部55から第2ステージ61に放出される確率は、左凹部放出部56aや右凹部放出部56bから第2ステージ61に放出される確率よりも低くなる。
図2,図5,図6に示されるように、第1ステージ51の後側にある起立壁71には、前記始動入賞口19に入球した遊技球A1の保留球数を表示する4個のLED72(発光体)が設けられている。各LED72は第1ステージ51の下側に配置されている。一方、第1ステージ51は、無色透明の透光性部材(本実施形態では透光性樹脂)によって形成されている。このようにすれば、第1ステージ51に導かれた遊技球A1を、各LED72によって第1ステージ51の下側から照らすことが可能となる。その結果、遊技球A1に光が反射したり拡散したりするようになる。しかも、各LED72が、第1ステージ51を介して雰囲気のあるぼやけた感じで発光する。そのため、見た目が綺麗で面白くなり、演出効果も高まる。なお、第1ステージ51は、遊技球A1が直接接触するものであるため、割れにくい樹脂によって形成されることが好ましい。
図3〜図6に示されるように、前記第2ステージ61は、第1ステージ51の下側に配置されており、前端縁が第1ステージ51よりも前側に突出している。第2ステージ61は、前記第1転動面52よりも幅広の第2転動面62を上部に有している。第2転動面62は、前記凸部放出部55、前記左凹部放出部56a及び前記右凹部放出部56bから放出された遊技球A1や、前記遊技領域13a内の前記釘11(図1参照)に跳ね返って第2ステージ61に導かれた遊技球A1などを受けて転動させるように構成されている。
第2転動面62は、その略中央に低く形成された長円形状の凹所63を有しており、左右両側から同凹所63に向かうに従って低くなっている。凹所63の幅(遊技機前後方向における寸法)は、第2転動面62の幅(遊技機前後方向における寸法)と略同一の広さに設定されている。凹所63の深さは、3mm以上6mm以下の大きさに設定されている。第2転動面62において凹所63が設けられている箇所と設けられていない箇所との境界部分には、段差部69(球動作変化部)が存在している。ここで、段差部69は、凹所63の底部に対して略垂直に延びる面と第2転動面62とが交差する部分を示している。段差部69は、左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bから放出された遊技球A1が衝突しうる位置に設けられている。即ち、段差部69は、左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bから放出された遊技球A1の落下地点の近傍に設けられている。図4において、段差部69の左端部は、左凹部放出部56aの下方かつ左凹部放出部56aに対してやや左側に位置しており、段差部69の右端部は、右凹部放出部56bの下方かつ右凹部放出部56bに対してやや右側に位置している。段差部69は、同段差部69に衝突した遊技球A1の動き(勢い、移動方向)に変化を与えうるものである。
図3,図4,図6に示されるように、凹所63の底部は、左凹所63a、中央凹所63b及び右凹所63cからなっている。中央凹所63bは、円形状をなす中央落下孔64(第2球放出部)を有している。同様に、左凹所63aは、円形状をなす左落下孔65a(第2球放出部)を有しており、右凹所63cは、円形状をなす右落下孔65b(第2球放出部)を有している。よって、凹所63の底部には、これら中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bの全てが配置されている。中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bは互いに同一の形状をなしている。各凹所63a〜63cは、それぞれ外周部から各落下孔64,65a,65bに行くに従って低くなる湾曲形状をなしている。中央落下孔64は、中央凹所63bに導かれた遊技球A1を案内して、前記遊技領域13aに放出しうるように構成されている。また、左落下孔65aは、左凹所63aに導かれた遊技球A1を案内して、遊技領域13aに放出しうるように構成されている。右落下孔65bは、右凹所63cに導かれた遊技球A1を案内して、遊技領域13aに放出しうるように構成されている。
また、図3,図4に示されるように、中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bは、左右方向に異なる位置において等間隔に設けられている。つまり、中央落下孔64の左側に左落下孔65aが設けられ、右側に右落下孔65bが設けられている。これら落下孔64,65a,65bは、内径が遊技球A1の直径よりもやや大きくなっている。また、落下孔64,65a,65bの中心は、前記凸部放出部55、前記左凹部放出部56a及び前記右凹部放出部56bに対して前後方向に異なった位置(本実施形態では後側)に設けられている。中央落下孔64は、凸部放出部55の下方かつ凸部放出部55に対して左右方向に一致した位置に設けられている。一方、左落下孔65aは、左凹部放出部56aの下方かつ左凹部放出部56aに対して左右方向に異なる位置(本実施形態ではやや右側)に設けられている。右落下孔65bは、右凹部放出部56bの下方かつ右凹部放出部56bに対して左右方向に異なる位置(本実施形態ではやや左側)に設けられている。よって、凸部放出部55から放出された遊技球A1は、左凹部放出部56aや右凹部放出部56bから放出された遊技球A1よりも高確率で中央落下孔64に導かれる。
図4に示されるように、中央落下孔64は、前記始動入賞口19の真上位置に存在している。一方、左落下孔65a及び右落下孔65bは、始動入賞口19の真上位置から左右方向に約30mmずつ離間した位置に存在している。このため、左落下孔65a(右落下孔65b)と前記始動入賞口19との距離は、中央落下孔64と始動入賞口19との距離よりも長くなる。よって、中央落下孔64から遊技領域13aに放出される遊技球A1は、左落下孔65aや右落下孔65bから遊技領域13aに放出される遊技球A1よりも高確率で始動入賞口19に入賞しうる。
また、中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bの入口の外周部には、同落下孔64,65a,65bの中心に行くに従って低くなる急傾斜70が設けられている。急傾斜70の外周縁は、各落下孔64,65a,65bと同心円の関係にある。これにより、前記凸部放出部55、前記左凹部放出部56a及び前記右凹部放出部56bから放出された遊技球A1が各落下孔64,65a,65bの入口の外周部に衝突した場合、遊技球A1は、急傾斜70に沿って螺旋状に回転しながら落下孔64,65a,65b内へと導かれる。そのため、遊技球A1の動きをよりいっそう複雑化することができ、さらなる興趣の向上を図ることができる。なお、急傾斜70の外周縁の形状は、楕円形状などの他の形状であってもよい。
図3〜図5に示されるように、第2ステージ61の前端側には、上方向に突出する遊技球落下阻止部68が設けられている。遊技球落下阻止部68は、第2ステージ61の前端から、遊技球A1が遊技領域13aに落下するのを阻止するように構成されている。これにより、前記第2転動面62上にて遊技球A1を長時間転動させることができるため、遊技球A1の転動を見て楽しむことが可能となる。
図3に示されるように、中央落下孔64は、断面略矩形状をなす中央球経路66に連通している。中央球経路66の末端には、前記役物本体32の外周部に突設された前記フランジ部34の前面にて開口する中央排出口73aが設けられている。これにより、中央球経路66は、中央落下孔64内に落下した遊技球A1を、中央排出口73aから遊技領域13aに排出しうるように構成されている。また、左落下孔65aは、中央球経路66の左側に配置され、断面矩形状をなす左球経路67aに連通している。左球経路67aの末端には、フランジ部34の前面にて開口する左排出口73bが設けられている。これにより、左球経路67aは、左落下孔65a内に落下した遊技球A1を、左排出口73bから遊技領域13aに排出しうるように構成されている。さらに、右落下孔65bは、中央球経路66の右側に配置され、断面矩形状をなする右球経路67bに連通している。右球経路67bの末端には、フランジ部34の前面にて開口する右排出口73cが設けられている。これにより、右球経路67bは、右落下孔65b内に落下した遊技球A1を、右排出口73cから遊技領域13aに排出しうるように構成されている。左球経路67a及び右球経路67bは互いに同一の形状をなしている。また、これら球経路66,67a,67bは、内径が遊技球A1の直径よりもやや大きくなっている。
図5に示されるように、中央排出口73aは、前記始動入賞口19の真上位置かつ始動入賞口19の後側に存在している。一方、左排出口73b及び右排出口73cは、始動入賞口19の真上位置から左右方向に離間した位置かつ始動入賞口19の後側に存在している。このため、左排出口73b(右排出口73c)と始動入賞口19との左右方向の距離は、中央排出口73aと始動入賞口19との左右方向の距離よりも長くなる。しかも、左排出口73b及び右排出口73cは、中央排出口73aよりも高い位置に存在している。このため、左排出口73b(右排出口73c)と始動入賞口19との上下方向の距離は、中央排出口73aと始動入賞口19との上下方向の距離よりも長くなる。よって、中央排出口73aから遊技領域13aに放出される遊技球A1は、左排出口73bや右排出口73cから遊技領域13aに放出される遊技球A1よりも高確率で始動入賞口19に入賞しうる。
次に、第1ステージ51及び第2ステージ61による遊技球A1の振り分け方法を説明する。
図7に示されるように、遊技領域13aを転動流下する遊技球A1がセンター役物31の通過口入口44に到達すると、遊技球A1は、誘導部43を経由して通過口出口45から第1ステージ51の第1転動面52上に導かれる。
第1転動面52上に導かれた遊技球A1は、凸部53、左凹部54a及び右凹部54bを通過するのに伴って加減速を繰り返しながら、第1転動面52上を左右方向に往復移動する。そして、遊技球A1の勢いがなくなると、遊技球A1は、凸部放出部55、左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bのいずれか1つから第2ステージ61の凹所63などに放出される。また、第1ステージ51の前端部には縁部57が設けられているため、遊技球A1は縁部57がない箇所、即ちこれら放出部55,56a,56bのいずれか1つから確実に放出される。
なお、第2ステージ61が有する中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bのうち、高確率で始動入賞口19に入球しうる中央落下孔64に遊技球A1が導かれる確率は、凸部放出部55から遊技球A1が放出されるか否かによって大きく相違する。具体的には、凸部放出部55から放出された遊技球A1は、左凹部放出部56aや右凹部放出部56bから放出された遊技球A1よりも高確率で中央落下孔64に導かれる(図8参照)。その結果、遊技者は、凸部放出部55から遊技球A1が放出されるか否かということに強い関心を持つことになるため、興趣の向上を図ることができる。しかも、凸部放出部55から放出された遊技球A1が始動入賞口19に入球するという期待が裏切られにくくなるため、興趣の低下を防止することができる。
一方、左凹部放出部56aや右凹部放出部56bから第2ステージ61に放出された遊技球A1は、直接左落下孔65aや右落下孔65bに導かれずに、第2転動面62に落下する可能性がある。この場合、遊技球A1は、第2転動面62上を転動して凹所63に導かれる。凹所63に導かれた遊技球A1は、左凹所63a、中央凹所63b及び右凹所63cを通過するのに伴って加減速を繰り返しながら、凹所63を左右方向や前後方向などのあらゆる方向に移動する。そして、遊技球A1の勢いがなくなると、遊技球A1は、中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bのいずれか1つから確実に落下する。
また、左凹部放出部56aや右凹部放出部56bから放出された遊技球A1は、段差部69に直接衝突する可能性もある(図7参照)。この場合、遊技球A1は、移動方向が予想できない方向に変化することにより、第2転動面62や凹所63に導かれる。その後、遊技球A1は、中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bのいずれか1つから落下する。
なお、図7に示されるように、遊技領域13aを転動流下する遊技球A1が釘11に跳ね返って第2転動面62上に導かれた場合でも、遊技球A1は第2転動面62上を転動し、低い位置にある凹所63に導かれる。その結果、遊技球A1は、中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bのいずれか1つから落下する。
そして、中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bのいずれか1つに落下した遊技球A1は、それぞれ対応する中央排出口73a、左排出口73b及び右排出口73cから遊技領域13aに放出される。なお、中央排出口73aから始動入賞口19までの距離と、左排出口73b及び右排出口73cから始動入賞口19までの距離とは、互いに異なっている。そのため、放出された遊技球A1が始動入賞口19に入球する確率は、どの落下孔64,65a,65bに落下するかによって大きく相違する。
例えば、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に高い凸部放出部55から遊技球A1が放出されると、殆どの場合、遊技球A1は、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に高い中央落下孔64に直接落下するか、中央凹所63b上を移動してから中央落下孔64に落下する。そして、遊技球A1は、中央排出口73aから放出され、高確率で始動入賞口19に入球する。よって、凸部放出部55から放出された遊技球A1が始動入賞口19に入球するという期待が裏切られにくくなるため、興趣の低下を防止することができる。
また、遊技球A1は、多くの場合、凸部放出部55からではなく、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に低い左凹部放出部56aや右凹部放出部56bから放出される。この場合、遊技者は、遊技球A1が始動入賞口19へ入球するという期待を失いがちになる。
ところで、左凹部放出部56aや右凹部放出部56bの真下に、左落下孔65aや右落下孔65bは存在してしない。そのため、遊技球A1は、直接左落下孔65aや右落下孔65bに導かれずに、第2転動面62に落下する可能性がある。この場合、遊技球A1は、第2転動面62上を転動して凹所63に導かれる。そして、遊技球A1は、左凹所63a、中央凹所63b及び右凹所63cなどを通過するのに伴って加減速を繰り返しながら、凹所63内を左右方向や前後方向などのあらゆる方向に移動する。また、遊技球A1は、段差部69に直接衝突する可能性もある。この場合、遊技球A1の移動方向が予想できない方向に変化するため、遊技球A1は、第2転動面62上を転動したり、凹所63内を移動したりする。
このようにして、遊技球A1が第2ステージ61上を移動している間、遊技者は、もしかしたら始動入賞口19へ入球する確率が相対的に高い中央落下孔64に遊技球A1が導かれるのではないかという期待を維持することができる。即ち、第2ステージ61上を遊技球A1が移動することに「敗者復活」の意味合いを持たせることができるため、飛躍的な興趣の向上を図ることができる。
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のパチンコ機10では、遊技球A1が、第1ステージ51だけでなく、第2ステージ61によっても振り分けられることにより、遊技領域13aに放出される。なお、中央落下孔64、左落下孔65a及び右落下孔65bには、始動入賞口19へ入球する確率が高いものと低いものとが存在する。ゆえに、遊技球A1が始動入賞口19へ入球する確率は、遊技球A1がどの落下孔64,65a,65bから放出されるかによって異なる。よって、遊技球A1が始動入賞口19へ入球する確率は、第1ステージ51及び第2ステージ61でそれぞれ振り分けが行われる度に変更される可能性がある。つまり、遊技球A1が始動入賞口19へ入球する確率を決定する機会が複数回あるため、遊技球A1の動きに変化をつけることができ、その動きが複雑化される。
しかも、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に低い左凹部放出部56aや右凹部放出部56bから遊技球A1が放出された場合でも、第2ステージ61にて遊技球A1が再度振り分けられることによって、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に高い中央落下孔64に導かれる可能性がある。そのため、始動入賞口19に入球する見込みの低い第1球放出部から遊技球A1が放出された場合でも、始動入賞口19への遊技球A1の入球を遊技者に期待させることができる。
従って、遊技者は第1ステージ51上及び第2ステージ61上での遊技球A1の動きに興味を持つことになるため、遊技者に新鮮味を与え続けることができ、興趣の向上を図ることができる。
(2)本実施形態では、遊技球A1の振り分けは、所定形状の第1ステージ51及び第2ステージ61を組み合わせることによって行われている。よって、例えば電気的な構成を用いて遊技球A1の振り分けを行わなくても、興趣の向上を図ることができる。また、遊技球A1の振り分けに電力を必要としないため、パチンコ機10の省電力化を図ることができる。逆に言えば、節約できた電力をパチンコ機10の装飾のために利用することができる。
(3)本実施形態では、第1ステージ51は透光性部材によって形成されている。よって、始動入賞口19に入球した遊技球A1の保留球数を表示するためのLED72などを、第1ステージ51の裏側に配置することができるため、センター役物31のスペースを有効利用することができる。また、LED72を配置した場合、動く遊技球A1に光が当たるので、見た目が綺麗で面白くなり、演出効果も高まる。
(4)本実施形態では、第1ステージ51及び第2ステージ61が、遊技者の視点が集まりやすい図柄表示装置18の近傍に配置されている。そのため、図柄表示装置18にて行われる図柄組合せゲームと、第1ステージ51及び第2ステージ61での遊技球A1の転動とで、さらなる興趣の向上を図ることができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、左凹所63a、中央凹所63b及び右凹所63cは、それぞれ外周部から各落下孔64,65a,65bに行くに従って低くなる湾曲形状をなしていた。しかし、図9,図10に示されるように、左凹所63a、中央凹所63b及び右凹所63cを、互いに異なる傾斜の平面に変更し、凹所63を、左凹所63a(または右凹所63c)から中央凹所63bに行くに従って低くなるように構成してもよい。
このようにすれば、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に低い左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bから遊技球A1が放出された場合でも、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に高い中央落下孔64に遊技球A1が導かれる可能性がよりいっそう高くなる。よって、始動入賞口19に入球する見込みの低い第1球放出部から遊技球A1が放出された場合でも、遊技球A1が中央落下孔64から落下して始動入賞口19に入球するのではないかという期待を高めることができる。即ち、「敗者復活」の意味合いを強めることができるため、さらなる興趣の向上を図ることができる。
・上記実施形態では、第1ステージ51及び第2ステージ61がそれぞれ1段ずつ設けられていた。しかし、第1ステージ51は、上下段状に複数設けられていてもよい。このようにすれば、遊技球A1の動きがよりいっそう複雑化されるため、さらなる興趣の向上を図ることができる。
・上記実施形態では、第1ステージ51は、凸部53、左凹部54a及び右凹部54bからなる起伏形状をなしていたが、凸部53、左凹部54a及び右凹部54bを有しない平面形状をなしていてもよいし、別の形状をなしてもよい。
・上記実施形態では、第1ステージ51を形成する透光性部材として、無色透明の透光性樹脂が用いられていたが、有色半透明なもの、即ち青色、黄色、赤色などに着色されたものが用いられていてもよい。ただし、LED72が発光しているのを確認しやすくするために、第1ステージ51の色は、LED72の色とは異なることが好ましい。また、第1ステージ51は、透光性部材とは異なるどのような部材によって形成されていてもよい。
・上記実施形態では、凸部放出部55は、中央落下孔64に対して左右方向に一致した位置に設けられていたが、左右方向に異なる位置に設けられていてもよい。また、左凹部放出部56a及び右凹部放出部56bは、それぞれ落下孔65a,65bに対して左右方向に異なる位置に設けられていたが、左右方向に一致した位置に設けられていてもよい。即ち、複数の落下孔64,65a,65bのうちいずれか1つと、複数の放出部55,56a,56bのうちいずれか1つとが左右方向に一致していればよい。
・上記実施形態では、遊技球A1の動きに変化を与えうる球動作変化部として、段差部69が設けられていた。しかし、第2転動面62上に設けた突起、突条や、遊技球A1を吸引する磁石などを球動作変化部として用いてもよい。
・上記実施形態において、中央球経路66、左球経路67a及び右球経路67bを途中で分岐させたり、これら球経路66,67a,67bを他の落下孔64,65a,65bに連通する球経路66,67a,67bと途中で合流させてもよい。このようにすれば、遊技球A1の振り分けを第2ステージ61で行った後の段階でもう1度行うことができる。なお、この場合、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に低い左球経路67aや右球経路67bを、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に高い中央球経路66に分岐させる構成や、球経路67a,67bを中央球経路66に合流させる構成であることが好ましい。このようにすれば、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に低い左球経路67aや右球経路67bを遊技球A1が通過している場合でも、始動入賞口19へ入球する確率が相対的に高い中央球経路66に遊技球A1が導かれる可能性があるため、始動入賞口19への遊技球A1の入球を遊技者に期待させることができる。
・上記実施形態では、中央落下孔64から放出された遊技球A1が高確率で入球しうる入賞口として、始動入賞口19が用いられていた。しかし、大入賞口20や普通入賞口23a,23b,23c,23dなどを、中央落下孔64から放出された遊技球A1が高確率で入球しうる入賞口として用いてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1乃至6のいずれか1項において、前記第2球放出部は、球経路に連通する落下孔であり、前記球経路を通過する遊技球は、前記球経路の末端に設けられた排出口から前記遊技領域に排出されること。よって、技術的思想(1)によれば、球経路の形状及び排出口の位置を変更することにより、落下孔を通過した遊技球を遊技領域の任意の位置で排出することができる。
(2)技術的思想(1)において、前記落下孔の入口の外周部に、前記落下孔の中心に行くに従って低くなる急傾斜が設けられていること。よって、技術的思想(2)によれば、第1球放出部から放出された遊技球が落下孔の入口の外周部に衝突した場合、遊技球が急傾斜に沿って螺旋状に回転しながら落下孔内へと導かれる。そのため、遊技球の動きをよりいっそう複雑化することができ、さらなる興趣の向上を図ることができる。
(3)請求項1乃至6、技術的思想(1),(2)のいずれか1つにおいて、前記第1ステージは透光性部材によって形成されること。よって、技術的思想(3)によれば、始動入賞口への遊技球の入球数を表示するための発光体などを、第1ステージの裏側に配置することができるため、装飾部材のスペースを有効利用することができる。また、発光体を配置した場合、動く遊技球に光が当たるので、見た目が綺麗で面白くなり、演出効果も高まる。
(4)請求項1乃至6、技術的思想(1)乃至(3)のいずれか1つにおいて、前記第1球放出部と前記第2球放出部とが前後方向に異なった位置に設けられていること。
(5)請求項1乃至6、技術的思想(1)乃至(4)のいずれか1つにおいて、前記第1ステージの前端部に上方向に突出する縁部を設け、前記縁部を前記第1球放出部を避けるように配置したこと。よって、技術的思想(5)によれば、第1球放出部を有しない部分からの遊技球の放出が防止されるため、遊技球が確実に第1球放出部に振り分けられる。
(6)請求項5において、前記球動作変化部は、前記第2転動面において前記凹所が設けられている箇所と設けられていない箇所との境界部分に存在する段差部であること。
(7)遊技盤上に遊技球が転動流下する遊技領域を区画形成し、前記遊技領域に入賞口を配置し、前記入賞口の上方に装飾部材を配置した遊技機において、前記装飾部材は、前記遊技領域から誘導された遊技球を受けて転動させる第1転動面をその上部に有し、前記遊技球を放出する複数の第1球放出部を左右方向に異なる位置に有する第1ステージと、前記第1ステージの下方に配置され、前記第1球放出部から放出された遊技球を受けて転動させる第2転動面をその上部に有し、前記遊技球を前記遊技領域に放出する複数の第2球放出部を左右方向に異なる位置に有する第2ステージとを備え、前記複数の第2球放出部のうちの少なくとも1つの第2球放出部から放出された遊技球は、他の第2球放出部から放出された遊技球よりも高確率で前記入賞口に入球しうるとともに、前記複数の第1球放出部のうち少なくとも1つの第1球放出部から放出された遊技球は、前記高確率で前記入賞口に入球しうる第2球放出部に対して、他の第1球放出部から放出された遊技球よりも高確率で導かれることを特徴とする遊技機。
(8)遊技球が転動する第1転動面をその上部に有し、前記遊技球を放出する複数の第1球放出部を左右方向に異なる位置に有する第1ステージと、前記第1ステージの下方に配置され、前記第1球放出部から放出された遊技球を受けて転動させる第2転動面をその上部に有し、前記遊技球を放出する複数の第2球放出部を左右方向に異なる位置に有する第2ステージとを備えることを特徴とする遊技機用装飾部材。