以下、本発明に係る遊技機の実施形態として、遊技場等に設置されるパチンコ機を図1ないし図9に沿って説明する。なお、本実施の形態では、本発明の遊技機を所謂第1種特別電動役物のパチンコ機として述べるが、本発明はこれに限らず、所謂第2種特別電動役物や所謂第3種特別電動役物のパチンコ機にも適用可能であることは勿論である。
図1は本発明に係る実施の形態におけるパチンコ機の外部構造を示す正面図、図2は当該パチンコ機に搭載されたセンター飾り(ユニット役物)を単体で示す斜視図、図3は当該センター飾りを示す正面図、図4は図3に示したセンター飾りを同図A-A線に沿って切断して上方から見た状態で示す平面図、図5は振り分け装置の詳細な構造を示す分解斜視図、図6はセンター飾りに備えた振り分け装置のクルーンを拡大して示す斜視図、図7は図6のクルーンを上方から見た状態で示す平面図、図8はクルーンの側面断面図、図9はクルーンの変形例を示す斜視図である。
パチンコ機1は、発射ハンドル9の操作による発射装置(図示せず)の作動で遊技球(所謂パチンコ玉)を遊技盤7の遊技領域7aに向かって打ち出しつつ遊技を行うもので、所謂確率変動等の大当たりが発生した状態でアタッカー17(図1参照)に入球した遊技球に対応する数の遊技球を払い出すように構成されている。上記確率変動当たり(「確変当たり)とも言う)とは、抽選の結果、確変モードの大当たりが当選したとき、少なくとも当該確変モードによる遊技状態において次なる大当たりを引くまでの間、遊技者に有利な付加価値を付与し得る特殊状態を意味する。これに対し、当該特殊状態にならない大当たりとして「通常当たり」がある。
図1に示すように、本実施形態におけるパチンコ機1は、開口を有する枠体状の筐体2と、この筐体2に開閉可能に装着された前扉3とを有しており、前扉3の前面には、透明ガラス(図示せず)を有するガラス枠5が開閉可能に取り付けられている。透明ガラスの奥側には、遊技盤7が配置されている。前扉3における遊技盤7の左右上方には演出用照明装置23が配置されており、前扉3における遊技盤7の下方左部にはスピーカ(図示せず)を有する放音装置8が配置されている。また、ガラス枠5における右側部には、前扉3を筐体2側に施錠又は解放するための施錠装置4が配置されている。なお、筐体2及び前扉3等から遊技機本体が構成されている。
前扉3における遊技盤7の下方には上皿13が設けられており、上皿13における左上部には、賞球及び貸球を含む遊技球が供給される球供給口18が設けられ、上皿13における右上部壁面には、球貸ボタン14a及びプリペイドカード返却ボタン14bが設けられている。
また、前扉3における上皿13の下方には下皿15が配置されており、該下皿15の右部には、不図示の球発射装置を操作して遊技球を遊技領域7aに向けて打ち出すための発射ハンドル9が設けられている。更に、下皿15の球収容部15aには、上皿13からオーバーフローした遊技球が放出される球放出口19が形成されており、下皿15の左部には灰皿24が配置されている。なお、図1中の符号10は、発射ハンドル9の操作で発射された遊技球を遊技盤7の遊技領域7aに導くガイドレールを示し、符号22はアウト口を示している。また、本パチンコ機1には、遊技中に遊技領域7aにて入賞することなく落下してアウト口22に入り込んだ遊技球をパチンコ機背面側に導くアウト球通路(図示せず)が設けられている。
遊技領域7aには、遊技球ステージSを有するセンター飾り(ユニット役物)12が中央部分に配設されている。センター飾り12の下部左右には、大当たり抽選に寄与しない一般の入賞が行われる入賞口29,30が配設されており、センター飾り12の下方には、始動入賞口としての始動チャッカー16と、大入賞口としてのアタッカー17とが順次配設されている。
センター飾り12の中央部分には開口11が形成されており、遊技盤7には、この開口11から露出するように図柄表示装置6が設けられている。センター飾り12は、図柄表示装置6の右側に振り分け装置25を備えており、この振り分け装置25は、上下2段に重なるように、つまり上下方向(鉛直方向)に重なる形で夫々視認可能に配置された第1クルーン(クルーン部材)33と第2クルーン(クルーン部材)34とを備えている。上記始動チャッカー16は、開放位置と閉止位置とに開閉動作するように、不図示のソレノイドによって作動させられる。なお、始動チャッカー16の直上方には、所謂命釘としての一対の障害釘70が打ち込まれている。
上記「クルーン」という語句は、底面が曲面状に形成され、かつこの底面に複数個の表裏貫通孔を備え、底面上に転動されてきた遊技球を引き続き転動させつつ、貫通孔のいずれかに落下させる役物を意味する。
始動チャッカー16には、大当たり抽選実行の契機となり得る入賞が行われる。また、アタッカー17は、大当たり発生時に開放され、遊技盤7の遊技領域7aに打ち出されて転動落下する遊技球Baを入賞させる。アタッカー17は、大当たり発生中、1回の開放で10個の入球を完了した時点で閉じ、当該開閉動作を15回繰り返すように構成される。なお、これらの入球数並びに開閉動作の回数は、10個や15回に限定されることはなく、必要に応じて適宜設定され得るものである。
更に遊技領域7aには、図柄表示装置6の左上方に風車44が配設されており、図柄表示装置6の下方における始動チャッカー16の左右には、スルーゲート61a,61bが配設されている。これらスルーゲート61a,61bは、始動チャッカー16を開閉動作させるための抽選の契機となる遊技球通過が行われる役物である。
そして、遊技領域7aにおけるスルーゲート61a,61b、入賞口29,30及び始動チャッカー16等の周囲には、遊技球ステージSから零れた遊技球や、発射されてから遊技球ステージSに関与せずに落下してくる遊技球を適宜散らし、或いは入球に導くようにするための障害釘54を含む多数の障害釘が打ち込まれている。また、遊技球ステージSにおけるワープ導入口32の周囲及びその上方側にも、遊技球を適宜散らし、或いは入球に導くようにするための障害釘28を含む多数の障害釘が打ち込まれている。このような本パチンコ機1では、遊技領域7に打ち出された遊技球Baを始動チャッカー16等に、遊技球ステージSを介して入球させ又は遊技球ステージSを介さず直接入球させ得るように遊技が進められる。
なお、本実施形態における「ワープ導入」という語句は、遊技領域7aに打ち出された遊技球を、当該遊技領域7aの比較的下側に位置する不図示の道釘等を経ることなく、始動チャッカー16の上に導くことを意味する概念である。また、上記「道釘」とは、遊技領域7aにおいて始動チャッカー16左右に打ち込まれた複数本の障害釘(図示せず)の列を意味するもので、上方から転動落下してきた遊技球を始動チャッカー16方向に導く役割を担っている。
次に、センター飾り12について図2ないし図4を参照して説明する。
すなわち、図2ないし図4に示すように、センター飾り12は、上記開口11を中央部に有する略筒状の枠体12aを備えており、枠体12aの周囲には、その複数箇所から外方に張り出すようにブラケット部27が形成されている。各ブラケット部27には、夫々枠体12aを遊技盤7に埋め込んだ形でネジ止めするために表裏貫通した孔27aが形成されている。
枠体12aは、その上部中央にワープ導入口32を有しており、このワープ導入口32から図の右下方に次第に細くなるように湾曲する形状の稲妻模様31を有している。また、枠体12a下部におけるブラケット部27には、遊技球ステージSの所定部位に連通する球放出口53が形成されており、この球放出口53は、始動チャッカー16の直上方に位置して、放出する遊技球Baが一対の障害釘70の間を通って始動チャッカー16にほぼ確実に(つまり、97〜99%の確率で)入賞し得るように構成されている。
センター飾り12は更に、開口11の右方に、ワープ導入口32と遊技球ステージSとの間に配置されて、ワープ導入口32から導入された遊技球Baの進路を振り分ける振り分け装置25を備えている。遊技球ステージSは、振り分け装置25にて振り分けられた高確率入賞ルートの遊技球Baを始動チャッカー16に比較的高い確率(97〜99%(つまり、略100%))で入賞させ得る第1のステージS1と、振り分け装置25にて振り分けられた低確率入賞ルートの遊技球Baを始動チャッカー16に比較的低い確率(35〜45%)で入賞させ得る第2のステージS2とを備えている。なお、振り分け装置25によって振り分けられる上記3つのルートには、第1のステージS1及び第2のステージS2以外に、第2クルーン34から落下した際に遊技球ステージSの外方に放出される第3ルートが含まれる。
遊技球ステージS、即ち第1のステージS1及び第2のステージS2は夫々、左右に比較的長尺に延在する平坦面として形成されると共に、同図右方から左方に向かって下降するように傾斜して並列状に形成されている。つまり、第1及び第2のステージS1,S2は、同図右方(一側)から遊技球ステージSの左右幅方向の左方(他側)に向かって徐々に下降するように傾斜して形成されている。この傾斜の角度θ(図3参照)は、2〜5゜の範囲内で適宜設定することができるが、4゜に設定することが、遊技球Baの転がり状態を円滑にする上で好ましい。
また、遊技球ステージS、即ち第1のステージS1及び第2のステージS2は夫々、遊技機本体の奥側から手前側に向かって徐々に下降するように傾斜する遊技球転動面として構成されている。この傾斜角度は、2〜5゜の範囲で適宜設定することができるが、パチンコ機1全体の所謂ネカセ(通常は後方側に1゜傾斜)に鑑み、5゜に設定することが、遊技球Baの転がり状態を円滑にする上で好ましい。つまり、奥側から手前側への傾斜が5゜の場合、ネカセ分の1゜が減算されて4゜となり、最良の傾斜状態が得られることになる。
第1のステージS1は、同図の右側に配置された振り分け装置25から送られた遊技球Baを図の右方から左方に向かって転動させる平坦状の転動面71と、該転動面71の奥側及び手前側の2面を区画する側壁41,42と、転動面71の最後部、つまり傾斜に沿った最も低い部分に、転動移動してきた遊技球Baを全て球放出口53に導く球導入口45とを備えている。側壁41,42の転動面71側を向く内面には、発光ダイオード(以下、LEDと言う)が埋め込まれており、その照射光が転動面71を適時照明することとなる。第1のステージS1における上記転動面71は、遊技球Baを1個ずつ転動案内できる程度の奥行き幅に構成されている。互いに対向して立設された側壁41,42の内面には、第1のステージS1の長手方向に沿って互い違いに(つまり千鳥状に)配置された転動速度抑制用の複数の突部43が形成されている。
第2のステージS2は、同図の右側に配置された振り分け装置25から送られた遊技球Baを図の右方から左方に向かって転動させる平坦状の転動面72と、該転動面72の奥側及び手前側の2面を区画する側壁42,73と、転動面72の最後部の一側部に形成されて放出口53に連通する球導入口49とを備えている。つまり、この球導入口49は、第2ステージS2においての傾斜に沿った最も低い部分に、転動移動してきた複数の遊技球Baのうちの一部を球放出口53に導くように設けられている。球導入口49の周囲には、転動面72の左方への更なる転動移動を阻止して球導入口49への落下を確実にさせるための保護枠50が形成されている。
第2のステージS2における上記転動面72は、遊技球Baを複数個ずつ転動案内できるような、第1のステージS1より広い奥行き幅(約3倍)に構成されている。互いに対向して立設された側壁42,73の内面には、第2のステージS2の長手方向に沿って互い違いに(つまり千鳥状に)配置された転動速度抑制用の複数の突部46が形成されている。また転動面72には、振り分け装置25側における遊技者側(図の手前側)から落下案内溝52に向かって順に千鳥状に位置する9個の凸部47が設けられている。凸部47の当該個数は9個に限定されることはなく、必要に応じて設計時に適宜変更され得るものである。
上記複数個の凸部47では、最後部の凸部47Aに対する遊技球Baの方向や強さを含む弾接状況に応じて、球導入口49への入球度合いが変わる。複数の凸部47は、夫々透明材料からなり、球面状に上方に突出する形状を呈すると共に、各中心部47aは、転動面72内に埋め込まれたLEDからの光を上方に向けて射出するように形成される。
なお、上記透明材料の「透明」という語句は、濁りなく完全に透き通る状態のみならず、内方のLEDから問題無く光照射させ得る全ての状態を含む概念である。
ところで、第2のステージS2の最も左側の位置には、図1に示すスルーゲート61aの上方に位置するように位置決めされた落下案内溝52が形成されている。この落下案内溝52は、遊技球ステージSの前後方向(紙面手前−奥方向)に延在するように形成されており、第2のステージS2の転動面72を転動してきて球導入口49に入球できなかった遊技球Baをステージ前方側に案内できるように、奥側から手前側に向かって徐々に下降するように傾斜して形成されている。
一方、振り分け装置25は、図2及び図3の上方から見た平面視(図4参照)において重なるように上下2段に配置された第1及び第2クルーン33,34を備えている。上方に位置する第1クルーン33側には、ワープ導入口32から導入されて、上記稲妻模様31内の案内溝74(図3参照)を転動移動した後、垂直方向案内溝67(図3参照)を通って落下する遊技球Baを放出する放出口56が設けられている。
第1クルーン33には、放出口56から放出された遊技球Baを、裏面に固定された案内樋62を介して下方の第2クルーン34側に落下させるための貫通孔35と、裏面に固定された案内樋63を介して第2クルーン34の下部側の排出口66に放出するための貫通孔36とが、センター飾り12の左右方向(つまり、図1ないし図4における左右方向)に並んで配置されている。なお、図3中の符号75は、演出用の照明装置を示している。
また、下方に位置する第2クルーン34側には、上方の第1クルーン33から案内樋62を介して放出口57から放出された遊技球Baを、裏面に固定された案内樋64を介して第1ステージS1に導入するための貫通孔37と、裏面に固定された案内樋65を介して、第2のステージS2の右前端部の当接部材51の振り分け部51aに落下させるための貫通孔38とが、センター飾り12の左右方向(つまり、図1ないし図4における左右方向)に並んで配置されている。
上記当接部材51は、図2及び図3に示すように、第2のステージS2の転動面72に対して平行に(つまり水平に)延在する上記振り分け部51aと、転動面72から振り分け装置25の外方側(図2右方向)に所定角度で立ち上がるように延在する加速用弾接面51bとを備えている。加速用弾接面51bの上記所定角度は、第2クルーン34の貫通孔38を経由して直上方から落下してくる遊技球Baを第2のステージS2側に効果的に加速して弾くことができる角度、つまり40〜50゜の範囲内で適宜設定することができる。
そして、図2に示すように、放出口56から第1クルーン33に至るまでの経路には、同図の左方に向かって下降するように傾斜する傾斜案内面(遊技球案内路)58が、第1クルーン33と一体となって形成されている。また、放出口57から第2クルーン34に至るまでの経路にも、同様の形状を有する傾斜案内面が形成されている。
ここで、図5ないし図8に沿って、第1及び第2クルーン33,34をより詳細に説明する。なお、これら両クルーン33,34は相互に同じ構成を有するため、ここでは第1クルーン33の構成のみを説明し、基本的に第2クルーン34の説明は省略することとする。
すなわち、第1クルーン33は、図7に示す上下左右の位置関係を保持した状態で遊技球ステージS右側の振り分け装置25に位置決め固定(図4参照)されるように構成されており、突起78を中心とした平面視真円状の転動案内面(転動面)33aと、この転動案内面33aの図6における左右幅方向の一側と他側に位置する貫通孔35,36と、遊技球ステージSの奥側(図7の上側)に延びる傾斜案内面58と、傾斜案内面58の周囲を互いに直交する形で覆う側壁33c,33d,33eと、側壁33dから延びて転動案内面33aの周囲を円筒状に覆う側壁(円筒状壁面)33bとを有している。なお、貫通孔36の内径d2が貫通孔35の内径d1より若干大きく形成されている。具体的には、遊技球は通常、直径(外径)が12[mm]に設計されており、従って、貫通孔35の内径d1は12.5〜13[mm]に、また貫通孔36の内径d2は13〜13.5[mm]に設定されることが好ましい。
図6に示すように、傾斜案内面58は、同図上方から落下して側壁33cの内側で受け止めた遊技球Baを転動案内面33aに向けて転動移動できるように、全体的に転動案内面33aから所定高さの段差58c以上の高さを有するように設計されている。この構成により、上方から落下した遊技球Baは、この段差58cを有する側壁33cの内側で一旦受け止められ、それまでの自重落下の勢いが殺されつつ、力の方向が変えられて次段階に移行すべき第1クルーン33への助走力に変換される。
第1の案内面(傾斜案内面)58aは、側壁33cの内側で受け止めた遊技球Baを側壁33d側に寄せつつ転動案内面33aに向けて転動移動させ得るように、側壁33d側と転動案内面33a側に同時に傾斜する第1の案内面58aと、この第1の案内面58aに連続して転動案内面33a側に傾斜しつつ細く延びる第2の案内面(傾斜案内面)58bとを有している。これら第1の案内面58aと第2の案内面58bとが夫々有する角度等の設定により、第1クルーン33の機能に法った動作が精度良く発揮され、第1クルーン33上に導入される遊技球Baの転動動作が遊技者にとって目を惹くものとなる。上述した第1クルーン33にあっては、助走経路となる傾斜案内面58がコンパクトでありながら、遊技球Baを転動案内面33a上に適度な進行方向(角度)と速度で導入できる装置構成が得られている。
上側の第1クルーン33は、下側の第2クルーン34にワープ導入口32からの遊技球Baを送るための貫通孔35と、ワープ導入口32からの遊技球Baを低確率入賞ルートに送るための貫通孔36とを、中心C(図8参照)を挟んで対向する形で有している。また、第2クルーン34は、第1クルーン33からの遊技球Baを高確率入賞ルートに送るための貫通孔37(図2参照)と、第1クルーン33からの遊技球Baを低確率入賞ルートに送るための貫通孔38(図2参照)とを、中心C(図8参照)を挟んで対向する形で有している。
第1クルーン33は、図6及び図7に示すように、貫通孔35と貫通孔36との間の接続部80の中央に位置して鉛直方向上方に突出する上記突起78を有しており、この突起78を貫通孔35,36の夫々に向かって傾斜する傾斜面69と、転動案内面33aから当該傾斜面69に向かって傾斜する傾斜面68とを有している。傾斜面68は、傾斜案内面58に受け止められて(図7の二点鎖線Ba1参照)転動案内面33aの円筒状の内面に沿って転動する遊技球(図7の二点鎖線Ba2参照)が転動案内面33aの中心側に至った際(図7の二点鎖線Ba3参照)、この遊技球Ba3を、貫通孔35,36のいずれかに進入し易くなるように案内する。そして突起78は、当該進入時、例えば貫通孔36側に入球しようとしながらも貫通孔35側に流れそうになる遊技球Ba3を、そのまま貫通孔36側に入球させるように補助する機能を有する。この機能は、貫通孔35側から貫通孔36側への移動時にも同様に働くことは言うまでもない。
第1クルーン33では、所定寸法(例えば180〜200[mm]の範囲内)の半径を有する球体の一部をカットした球面形状を転動案内面33aとして用いている。このため、突起78は、当該球面形状の中心に位置する突起78の一側及び他側に並ぶように形成された貫通孔35,36夫々の側壁33b側と突起78側との段差の存在に起因した、貫通孔35,36間での上述の遊技球流れを補助し得る程度の高さ寸法(例えば2〜4[mm]の範囲内)に設定されている。なお、貫通孔35,36間での上述の遊技球流れを、逆に遊技性として捉える場合には、図9に示す変形例のように、突起78を除去して構成することもできる。或いは、別の遊技性の観点から勘案する場合、突起78はそのまま残存させ、傾斜面69を単なる平坦面として、貫通孔35,36間を連絡するだけの構成とすることもできる。
図8に示すように、第1及び第2クルーン33,34は夫々、貫通孔36,38における中心C側の縁部36b,38bと中心Cと逆側の縁部36a,38aとを結ぶ直線と水平方向線Hとでなす角度α1が、貫通孔35,37における中心C側の縁部35b,37bと中心Cと逆側の縁部35a,37aとを結ぶ直線と水平方向線Hとでなす角度α2より大きくなるように転動案内面(転動面)33a,34aが全体的に所定角度(例えば0.3〜0.5[゜]の範囲内)だけ傾斜するように位置決めされて形成されている。
即ち、第1及び第2クルーン33,34は夫々、球面状の底面を遊技球Baの転動案内面33a,34aとして備えると共に、転動案内面33a,34aの中心Cに関する点対称の位置となるように貫通孔35と36及び貫通孔37と38を備え、かつこれら貫通孔の一方36,38への入球率を高めるように当該一方の貫通孔36,38側が他方の貫通孔35,37側よりも垂直方向(図8の上下方向)に高く位置するように転動案内面33a,34aが傾斜(例えば0.3〜0.5[゜])して位置決めされている。
つまり、図7を参照すると理解できるように、第1クルーン33は、傾斜案内面58側から転動して側壁33bの内周面に沿って転動してくる遊技球Ba3を、第2ステージS2に導く貫通孔36側に進入し易くする目的から、図3に示す装着状態において転動案内面33aの同図右側が所定寸法だけ同図左側より鉛直方向に高くなるように、予め(側壁33b,34a)等に対する相対位置が定められた形で製作されている。当該構造が第2クルーン34においても同様であることは言うまでもない。
なお、本実施形態においてセンター飾り12は、第1のステージS1を備えて始動チャッカー16への入賞確率が比較的高い第1入賞ルートと、第2のステージS2を備えて比較的低い第2入賞ルートとを具備しており、上記貫通孔36,38が、転動案内面33a,34a上で転動する遊技球Baを上記第2入賞ルートに導くように構成される。
また、図2及び図3に示すように、センター飾り12における開口11の右端部には、振り分け装置25の左端部にあって上下方向(鉛直方向)に延設された照明装置39が配置されている。この照明装置39は、長手方向に沿って一定間隔で配置された状態で前方を向く複数の射出窓40を備えると共に、これら射出窓40より少数で長手方向に沿って配置された不図示の射出窓を備えている。射出窓40は、遊技者に対し光照射して種々の演出を行うためのものであり、不図示の上記射出窓は、振り分け装置25側に光照射して第1及び第2クルーン33,34及びその近傍を照明するためのものである。
ここで、上記振り分け装置25の詳細な構造について図5に沿って説明する。同図に示すように、振り分け装置25は、第1及び第2クルーン33,34等を前後方向(図5の左右方向)から挟み込んでセンター飾り12の本体側に支持すると共に、照明装置39の外郭をなす前枠83a及び後枠83bを備えている。
前枠83aには、上下方向に射出窓40が多数配列されており、当該上下方向の中段及び下段の位置に夫々、第1クルーン33の前側を覆った形で支持する第1カバー部材80と、第2クルーン34の前側を覆った形で支持する第2カバー部材81とが前枠83aの本体と一体に設けられている。
第1クルーン33及び第2クルーン34双方の下面には夫々、球受け部材R1,R2が固定されている。球受け部材R1は、上述した案内樋62及び案内樋63を一体に有しており、これら案内樋62,63は夫々、遊技球案内溝62a,63aを有している。球受け部材R2は、上述した案内樋64及び案内樋65を一体に有しており、これら案内樋64,65は夫々、遊技球案内溝64a,65aを有している。
球受け部材R2の案内樋64は、その前面にシール110が貼付されており、遊技球案内溝64aの上側には、磁気等を検出媒体として金属製の遊技球Baの通過を検知する近接スイッチから構成されて第1ステージS1への遊技球Baの導入を検知する第1ステージ導入検知センサ82が位置決め固定されている。この第1ステージ導入検知センサ82は、第2クルーン34の貫通孔37から導入されて遊技球案内溝64aに落下する遊技球Baを通過させる通過孔82aを有している。
前枠83aにおける射出窓40の背面側には、透明材料からなる飾りレンズ部材88が位置決め固定されている。該飾りレンズ部材88の内方空間88aには、多数の発光ダイオード(以下、LEDと言う)89が実装された電飾基板86が挿入配置される。また、飾りレンズ部材88の開口11側(図2参照)に向いた外側面にはシール87が貼付される。
後枠83bは、センター飾り12のワープ導入口32から導入された遊技球Baが進入する進入孔79と、該進入孔79から進入した遊技球Baを自重落下させるべき垂直方向案内溝67(図3参照)の前壁を構成する壁部67aと、該壁部67aの最下部に形成された放出口56(図3参照)と、該放出口56の下方に位置して、球受け部材R1の遊技球案内溝62a及び63aに夫々連通すべき連通口113及び90とを備えている。後枠83bは更に、第1クルーン33の貫通孔35から連通口113に導入された遊技球Baを第2クルーン34上に放出すべき放出口57(図3参照)と、第2クルーン34の貫通孔37に落下した遊技球Baを球受け部材R2の遊技球案内溝64aから受けて第1ステージS1に送るための球連絡孔91と、連通口90に導入された遊技球Baを第2ステージS2上に排出する排出口66とを備えている。
前枠83aと後枠83b間には、前枠83a及び後枠83bの相互間に位置決め固定されて、電飾基板86のLED89による光照射を反射して第1及び第2クルーン33,34等を効果的に照明するための上側反射板84及び下側反射板85が固定される。
したがって、本実施形態におけるパチンコ機1では、皿ユニット13上に遊技球Baが滞留している状態にて、遊技者が発射ハンドル9を握って図1の時計回り方向に適宜の角度回動させて保持すると、不図示の発射装置の作動によって遊技球Baが遊技領域7aに向けて打ち出される。すると、ガイドレール49から遊技領域7a上に放出された多数の遊技球Baのうち、一部がワープ導入口32から入球される。
そして、ワープ導入口32から導入された遊技球Baは、案内溝74(図3)を通って垂直方向案内溝67を落下し、不図示の落下速度抑制機構によって落下速度を軽減された後、放出口56から傾斜案内面58を経由して第1クルーン33の側壁33b内に放出される。この際、垂直方向案内溝67から落下した上記遊技球Baは、側壁33cの内側で一旦受け止められて自重落下の勢いを殺されつつ、力の方向を変えられて次段階に移行すべく、第1クルーン33への助走力に変換されて転動案内面33aに向けて円滑に転動する。このような機能は、側壁33bの接線方向Tに沿って延びて全体的なコンパクト化を実現している傾斜案内面58が、自重落下してきた遊技球Baの速度及び転動方向を極めて簡便に変換できる構成に起因している。上記のように遊技球Baが転動方向を変換されたとき、傾斜案内面58に有する第1の案内面58aと第2の案内面58bとが夫々になす傾斜により、当該遊技球Baは第1クルーン33の機能に法って、この側壁33bの内面に沿って回転するように転動する。第1クルーン33上の遊技球Baは、摩擦抵抗等に起因して転動速度が弱まった段階で、球面状に形成されて低くなっている中心部分に導かれ、貫通孔35,36のいずれかに落下することとなる。
貫通孔35に落下した場合、遊技球Baは、案内樋62から傾斜案内面(図示せず)を経由して第2クルーン34上の側壁(円筒状壁面)34b内(図7参照)に放出され、この側壁34bの内面に沿って回転するように転動する。そして、第2クルーン34上の遊技球Baは、摩擦抵抗等に起因して転動速度が弱まった段階で、第1クルーン33と同様形状の中心部分に導かれ、貫通孔37,38のいずれかに落下することとなる。
一方、第1クルーン33の貫通孔36に落下した場合、遊技球Baは、案内樋63から排出口66を経由して第2のステージS2に向けて放出され、この第2のステージS2をその傾斜に沿って図2の左方向に、複数の凸部47に任意に当接しつつ転動し、最後端の凸部47Aに適切な角度で当接する等の偶然的な要件を満たした場合、球導入口49に導入されて球放出口53から始動チャッカー16に入賞し、或いは球導入口49に入球できずに落下案内溝52から下方のスルーゲート61aに向けて落下されることとなる。なお、球導入口49に導入された場合であっても、障害釘70への当接状況により始動チャッカー16に入賞できない場合があることは言うまでもない。
第2のステージS2を遊技球Baが転動する途中、転動面72では各凸部47の中心部47aに対応するLEDが、制御部(図示せず)からの信号に応答して、予め定められたタイミングで流れるように円滑に発光し、あたかも格闘技のリングを選手が移動するように、遊技球Baに対する演出効果を高める。
そして、第2クルーン34において貫通孔37に落下した場合、その遊技球Baは、案内樋64を介して第1のステージS1の最右端部に放出され、転動面71の傾斜に沿って、その進行方向の左右に位置して突出する転動速度抑制用の複数の突部43に交互に当接しながら緩やかに転動移動する。そして、最後部にて球導入口45に入球して球放出口53から始動チャッカー16に入賞することとなる。この際も、球導入口49に導入されても始動チャッカー16に入賞できない場合があることは言うまでもない。第1のステージS1を遊技球Baが転動する途中、側壁41,42に埋め込まれたLEDが、制御部(図示せず)からの信号に応答して、予め定められたタイミングで流れるように円滑に発光し、あたかも格闘技のリングを選手が移動するように、遊技球Baに対する演出効果を高める。
なお、第2のステージS2から落下する遊技球Baは、その落下方向が、始動チャッカー16上の一対の障害釘70の間を通過して入球し得る方向と異なるとしても、当該障害釘70の左右に打ち込まれた不図示の所謂ジャンプ釘や、当該ジャンプ釘から左右方向に配列された道釘(図示せず)で弾かれることにより、所謂命釘である障害釘70に絡んでその間を落下して始動チャッカー16に入球することもある。
以上説明した本実施形態によると、ワープ導入口32から導入された遊技球Baが放出口56,57から夫々第1クルーン33、第2クルーン34に至るまでの経路において、側壁33b,34bの接線方向に延びると共に、側壁33b,34bの内面に向かって下降するように傾斜する案内面58a,58bを備える傾斜案内面58を備えるので、第1及び第2クルーン33,34と夫々一体となった傾斜案内面58(第2クルーン34側は図示省略)から適切に導かれる遊技球Baを、精度良く転動案内面33a,34a上で動作させることができる。従って、遊技者は、転動案内面33a,34aに導かれた遊技球Baが適度に期待に沿った形で貫通孔35〜38の何れかに落下する状況を視認しながら一喜一憂し、高い興趣を伴った遊技を満喫することができる。
さらに、例えば従来タイプのクルーンを用いたパチンコ機では当該クルーンに遊技球を導く案内路が比較的大がかりであったのに対して、本実施形態では、転動案内面33a,34aが、円筒状壁面である側壁33bの接線方向Tに延びる傾斜案内面58によって遊技球Baを転動案内面33a,34aに導くように構成される。これにより、比較的狭い遊技領域7a内に在って空間的な制約を受けるセンター飾り12の中に第1及び第2クルーン33,34を有効に収めることができる。このため、コンパクトでありながら動きのあるアトラクションを遊技者に提供すると共に、振り分け装置25としての第1及び第2クルーン33,34の機能が充分に発揮されることで遊技者の期待感を高めることができるようになる。
また、第1クルーン33、第2クルーン34がワープ導入口32から導入された遊技球Baを転動案内面33a,34a上に導く傾斜案内面58(第2クルーン34側は図示省略)を備えるので、クルーンと遊技球案内路である傾斜案内面58とが一体となることによって小型化を図ることができ、センター飾り12にクルーン33,34を組み込むなど、演出の幅を広げることで遊技者の興趣を向上させることができるようになる。
また、クルーン33,34が鉛直方向に重なる形に2段設けられているので、遊技者は、多すぎず適度な個数のクルーン33,34を視認しつつ、遊技球Baが最終的に始動チャッカー16に入賞できるか否かに期待感を膨らませながら遊技を進めることができる。更に、クルーン33,34が夫々備える貫通孔35,37及び36,38が、対応するクルーン部材33,34の転動案内面33a,34aの中心C近傍に隣接して設けられているので、貫通孔35,37及び36,38のいずれかに導入される遊技球Baを注視し、その遊技球Baが最終的に始動チャッカー16に入賞できるか否かに期待感を膨らませながら遊技を進めることができる。なお、本実施形態では、第1及び第2クルーン33,34が鉛直方向に2段が重なる形の構成として説明したが、これに限らず、3段以上のクルーンが重なるように構成しても良いことは勿論である。
また、クルーン33,34が備える貫通孔35,37及び36,38は、ワープ導入口32から導入された遊技球Baを、始動チャッカー16への入賞確率が比較的高い第1入賞ルートと比較的低い第2入賞ルートとに夫々導くので、遊技者はクルーン33,34上に導入された遊技球Baの動きを期待感を持って注視させられることとなり、遊技球Baを用いた演出を充分に満喫することができるようになる。
なお、以上で説明した、本実施の形態においては、図5に示した、第1クルーン33と球受け部材R1、第2クルーン34と球受け部材R2は、夫々別の部材同士から構成されるものとして説明したが、第1クルーン33の下側に球受け部材R1を一体的に形成し、第2クルーン34の下側に球受け部材R2を一体的に形成するように製造することもできる。こうすることにより、更にクルーンの一層の小型化を図ることができ、かつ組付け作業の際の手間を軽減させることができ、クルーンの演出用途を更に広げることができる。
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した遊技機も、本発明の範囲に含まれる。