JP4679271B2 - 強化のり面形成用材料及び強化のり面形成方法 - Google Patents

強化のり面形成用材料及び強化のり面形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、高低差の有る地形の造成において必然的に発生するのり面に対し、表面がセメントやアスファルト等の防護層で保護された強化のり面を形成するための材料及び、その材料を用いて強化のり面を形成する方法に関する。
高低差のある地形における土地造成では、高さが異なって隣接する水平面間をのり面(斜面)として高低差を調整するのが普通である。のり面は雨水の浸透や洪水等により客土の流出が起こりやすく、場合によっては崩壊することもある。そのため、従来より様々なのり面防護用材料や工法等が提案されている。
例えば、凍結時の土表面の浮き上がりによるのり枠の崩壊を防ぐために、のり面に透水性シートおよび遮水性シートを施設し、さらにその上にのり枠を構成して、のり枠内に客土を施す発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、大雨や洪水などによる表面客土の流出により、再び客土を施さなければならない問題点が指摘されている。また、無機質粒子よりなる表面層1と改質アスファルト層2、草の成長によっても貫通されることがない基材層3、改質アスファルト層4、合成樹脂またはゴムのフィルム層および無機質粒子層よりなる群から選ばれた裏面層5よりなる、地表のり面防草保護シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、多数の層を成す複合保護シートで構造が複雑で、作成に手間がかかって工期が長いという問題を抱えている。
より一般的には、のり面の保護及び遮水などを目的として、セメントと細骨材からなるセメントモルタルやアスファルト乳剤と細骨材からなるアスファルトモルタルなどを、比較的薄く層状になるように、のり面全体に吹き付けて防護層とする方法がとられることが多い。この方法は、施行時間が短くてすみ作業性が高い利点があるが、吹きつけ装置の詰まりを防止するためにはセメントモルタル等の流動性を高くしておくことが求められる。この場合、のり面勾配(高さ:底面長さ)が1:2より緩やかなのり面では、セメントモルタルやアスファルトモルタルなどの高流動性の防護材料を比較的均一な厚さで吹き付けることが可能である。
しかしながら、のり面勾配が1:2よりきつくなった場合、特に1:1.5より急勾配ののり面の場合には、のり面に吹き付けられたセメントモルタル等の垂れが生じてしまい、均一な防護層を形成することが困難になる。そのため、通常より水分量を低下させて流動性が減少した、いわばパサパサの状態のセメントモルタル等を用意し、これを高圧空気力等を利用して吹き付ける必要が生じる。しかし、のり面での防護材料の跳ね返り量が甚だしく増加し、例えば、跳ね返り量が吹き付け装置からの吐出量の30%以上にも達することもある。そのため、作業効率が悪化すると共に材料損失が大きくなる。また、吹き付け時の材料分離が発生しやすくなり、防護層に不良部分が生じやすい。さらに、アスファルトモルタルの場合は、アスファルト乳剤が高粘性のために均一混合や空気圧送が困難であり、アスファルト乳剤と細骨材は別々に圧送して、吹きつけ装置の先端ノズル部分で量を調整して混合する操作が必要となり、アスファルトモルタルの品質を一定に保つことが困難で防護層に不良部分が生じやすい。
実開平7−15835号公報 特開平10−266155号公報
本発明は、セメントモルタルやアスファルトモルタル等の防護材料を、高流動性の状態でのり面に対して層状に吹き付けた場合に、均一で不良部分がない防護層を形成できる強化のり面形成用材料等を提供することを課題とする。特にのり面勾配が1:2程度よりきつい急勾配ののり面に対して、高流動性の防護材料を用いてものり面における垂れが生じにくく、均一で不良部分がない防護層を形成できる強化のり面形成用材料等を提供することを課題とする。
本発明は、平均直径が0.5mm以上5mm以下の熱可塑性樹脂製糸状物が、板形状で空隙率が80%以上99.5%以下の立体網状構造をなした係止層と、吸水性で縦方向の引っ張り強度が1000N/5cm以上の不織布とが積層され、前記係止層が、前記不織布との複数の接点において前記不織布に熱接着されていることを特徴とする強化のり面形成用材料である。
ここで、前記係止層と前記不織布との合計厚さが、10mm以上50mm以下であることは好ましい。また、前記不織布の厚さが、2mm以上20mm以下であることは好ましい。また、前記不織布の重量が、0.2kg/m以上0.8kg/m以下であることは好ましい。また、前記の熱接着された複数の接点の面密度が、500カ所/m以上5000カ所/m以下であることは好ましい。
発明の第2は、上記のいずれかに記載の強化のり面形成用材料を、前記不織布がのり面に接するように、かつ前記のり面に続く下側の略水平面にほぼ達するように配置して固定し、前記固定された強化のり面形成用材料の下端を含む帯状部分にのり面防護材を吹き付けて硬化せしめることを特徴とする強化のり面形成方法である。
発明の第3は、上記のいずれかに記載の強化のり面形成用材料を、前記不織布がのり面に接するように、かつ前記強化のり面形成用材料の上端が前記のり面に続く上側の略水平面内に達するように、さらに前記強化のり面形成用材料の下端が前記のり面に続く下側の略水平面にほぼ達するように配置し、前記上端を前記上側の略水平面内に固定し、前記下端を含む帯状部分にのり面防護材を吹き付けて硬化せしめ、しかるのち、前記帯状部分に続けて上に位置する他の帯状部分にのり面防護材を吹き付けることを特徴とする強化のり面形成方法である。
セメントモルタルやアスファルトモルタル等の防護材料を、高流動性の状態でのり面に対して吹き付けた場合に、均一で不良部分がない防護層を形成できる。特にのり面勾配が1:2程度よりきつい急勾配ののり面に対して高流動性の防護材料を用いても、吹き付けられた防護材料の垂れが生じにくく、均一な防護層が形成できる。その際、吹きつけの際の跳ね返り量が少ないため作業効率が高く維持できる。さらに、吹きつけの際の材料分離が生じにくいため、防護層に不良部分が発生し難い。
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。本発明の強化のり面形成用材料は、セメントモルタルやアスファルトモルタル等がのり面上に吹き付けた際に、セメントモルタル等の支えとなって垂れを防止するための後述の条件を満たす係止層と、吹き付けられたセメントモルタル等に含まれる多量の水分の一部を吸収して、セメントモルタル等を係止層内で垂れにくい状態にすると共に、硬化前のセメントモルタル等の重量を支えうる強度を有する不織布とからなっている。
強化のり面形成用材料の係止層は、平均直径が0.5mm以上5mm以下の熱可塑性樹脂製の糸状物からなる、板形状で空隙率が80%以上99.5%以下の立体網状構造をなしている。糸状物とは、糸状、繊維状または棒状の形状をなし、長さ方向に直角な断面の大きさに比して、長さが大きい形状を言い、特に限定されない。糸状物は、モノフィラメントであっても良いし、撚り糸構造のマルチフィラメントであっても良いが、製造の簡単さと強度の点からモノフィラメントとするのが好ましい。
糸状物は、熱可塑性樹脂を用いて形成されている。熱可塑性樹脂製としているのは、不織布との接合を熱接着により行うためである。熱接着は接合工程が簡単であるにも係わらず、強化のり面形成用材料に必要な強度を得ることができる。しかも、不織布との接合に接着剤を用いた場合のような環境負荷増大のおそれが無く、また、金属製留め具を用いた場合のようなサビによる剥がれや不織布の破損等が生じるおそれもない。熱接着処理により、糸状物を構成する樹脂が溶解して不織布内に入り込み、その入り込んだ状態のまま樹脂が固化することで糸状物を不織布に固定する。
熱可塑性樹脂は、不織布と熱接着可能な通常の樹脂を用いれば良く、特に限定されない。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリカーボネイト(PC)等が挙げられる。中でも、防護材料を支えるための強度と加工の容易さの観点からポリプロピレンを用いるのが好ましい。
糸状物の長さ方向に直角の断面における平均直径は、0.5mm以上5mm以下である。0.5mm以上とすることで、吹き付けられたセメントモルタル等を一時的に支えることが可能になり、また、5mm以下とすることで、係止層の空隙率を所定の範囲にとどめやすくなり、また、強化のり面形成用材料の工事現場での取扱いや施工が容易になる。平均直径は、係止層の厚みが大きくなれば太くする必要が生じ、厚みが薄くなれば細くすることができる。具体的には、係止層の厚さが10mm程度の場合は、糸状物の直径は1〜2mm程度でよいが、厚さ50mmの場合は、直径3〜5mmとするのが好適である。なお、糸状物の断面は略円形であればよいが、四角形やさらに複雑な凹凸を含む他の形状であっても良い。いずれの形状でも、個々の糸状物の直径は、糸状物の外側をノギスを用いてはさんで測定する。また、糸状物の平均直径は、この直径をランダムに10カ所選択して測定し、それらの平均値を求めることで決定すればよい。
係止層は、上記のような糸状物が板形状を形成し、かつ空隙率が80%以上99.5%以下となる立体網状構造をなしている。つまり、全体の外形は厚みのある板形状であるが、その板の内部は糸状物が全体的に分布していわばスカスカの状態であり、糸状物が自立しまたは互いに絡み合うことで板形状を維持できるようになっている。立体網状構造の具体的な構造は特に制限されないが、例えば、糸状物の一つ一つが自立したループ形状等をなしており、このような糸状物の複数をランダムに、かつ全体が板形状となるように集積することで係止層を形成することができる。このようにすると、防護材料を吹き付けた際に、防護材料が流れやすい方向が一定しないため好ましい。このような糸状物は、例えば、熱可塑性樹脂を押し出して繊維状の糸状物を得て、これを適宜変型・熱接合して得る方法、一定深さの水中に熱可塑性樹脂の溶融液を垂らして製造する方法、複数の糸状物が規則正しく並んで互いに接合された平面的な網状物をまず形成し、この網状物をトタン板のごとくに波打たせることで立体的に整形して、全体が板形状となるようにする方法等で得ることができる。
係止層の空隙率は、80%以上で係止層内部に十分に防護材料が入り込みことが可能となり、垂れを防止するための十分なアンカー効果が発揮できる。また、保持できる体積の割に強化のり面形成用材料の重量が軽くなるため、取扱いや施工も容易になる。係止層の空隙率が99.5%以下で、防護材料が吹き付けられた際の重量を糸状物が支えることが可能になる。好ましくは90%以上99%以下であり、より好ましくは95%以上99%以下である。なお、係止層の空隙率は、以下のようにして測定する。まず、係止層を15cm角の略正方形に切り取り、これを上下から二枚の平面板ではさんで、平面板距離を測定して係止層の見かけの厚みとする。これから係止層が空間を占める見かけ体積を求める。また、この係止層の重量を測定し、この重量の測定値と熱可塑性樹脂の比重とから、係止層の熱可塑性樹脂の実体積を求める。これらから以下の式(1)により空隙率を求める。
空隙率(%)=(見かけ体積−実体積)/見かけ体積×100・・・・(1)
係止層の全体外形は板形状であり、一定の見かけの厚みを有し、防護材料を内部に包含するとともに外部の防護材料も保持できるようになっている。見かけの厚みは、その上に防護材料を吹き付けて形成される予定の保護層の厚みに対して、10%以上80%以下の範囲内とするのがよい。この範囲内で防護材料の吹きつけの際の垂れが生じにくく、強固でかつ防護層の表面に糸状物が露出せずに均一な防護層が得られる。より好ましくは20%以上70%以下であり、さらに好ましくは30%以上60%以下である。
次に、強化のり面形成用材料に用いる不織布について説明する。不織布を用いるのは、吸水性と引っ張り強度に関する必要性能を同時に満たすためである。まず、不織布は吸水性を有することを要する。ここにいう吸水性とは、不織布内に水が自然に浸透可能であることを意味し、例えば、25℃の温度雰囲気下で不織布の小片を水面に静置した場合に、1分以内に不織布の全体に水が自然に浸透する性質をいう。
このような吸水性を有する不織布を用いることで、セメントモルタル等の高流動性の防護材料を吹き付けた際に、セメントモルタル等に含まれる多量の水分の一部が不織布に吸水され、その結果、セメントモルタル等の流動性が低下して垂れが生じにくくなる。また、水・セメント比が低下するため、硬化時間が短縮して強度が著しく増加する。また、不織布が水分を保持するため、セメントモルタル等の部分的な乾燥を防止して、均一なモルタル硬化体が形成される。また、アスファルトモルタルを吹き付けた場合は、アスファルト乳剤中の水分が不織布に吸水されるため、アスファルトモルタルの流動性が失われ、含水率の小さい強固なアスファルトモルタルの保護層が形成される。また、不織布内に浸透した水が重力に従って不織布内を移動し、不織布の裏面や端部から自然に排水される機能も発揮する。
これらのためには、不織布の厚みは、2mm以上であることが好ましい。この範囲で吹き付けられた防護材料の垂れを防止するために必要な吸水性や排水性が確保される。より好ましくは3mm以上であり、さらに好ましくは4mm以上である。また、不織布の厚みが20mm以下であれば、係止層との接合の際に圧力を掛けやすく、トラブルが生じにくく、係止層と不織布との接合が確実に行える。また、コスト面からも好ましい。なお、厚い不織布を用いる代わりに、比較的薄い不織布を複数枚重ねて用いてもよい。
不織布は、のり面に敷かれて防護材料が吹き付けられた際に、防護材料が固まるまで、係止部から伝達された防護材料の重量を一時的に支える必要があることから、長尺方向(縦方向)の引っ張り強度が1000N/5cm以上であることを要する。より好ましくは1500N/5cm以上であり、さらに好ましくは2000N/5cm以上である。この引っ張り強度とするためには、不織布の重量は、0.2kg/m2以上0.8kg/m2以下であることが好ましい。より好ましくは0.3kg/m2以上0.7kg/m2以下である。
不織布を構成する繊維は、上記の吸水性と引っ張り強度とを満たすものであれば特に制限されず、天然繊維やレーヨン繊維のごとき再生繊維であっても良いし、合成繊維であっても良いし、無機繊維を用いても良い。耐久性及び加工性の観点から合成繊維を用いるのが好ましい。合成繊維としては、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等が挙げられる。吸水性及び強度の観点からポリエステル繊維が好ましい。また、不織布を構成する繊維は、いわゆる短繊維であってもまたは長繊維であっても良いが、引っ張り強度の観点から長繊維を用いた不織布が好ましい。また、不織布の製造方法は通常の製造方法によれば良く、特に制限されない。
強化のり面形成用材料は、上記の係止層と不織布とが互いに積層され、両者が接する接点の一部において、糸状物が不織布に熱接着されて互いに固定されることで得られる。熱接着は、係止層の糸状物が不織布に接している部分に、糸状物が溶解するように熱を加えることで行う。糸状物を構成する熱可塑性樹脂の一部が不織布内に侵入し、その状態で固化することでアンカー効果が発揮される。糸状物と不織布が接する複数の接点の一部で熱接着を行えば良く、必ずしも接点の全部を熱接着しなくとも良いが、接着点が剥がれることなく防護材料を吹き付けた際の重量を的確に不織布に伝えるためには、不織布の単位面積あたり一定数の接点で熱接着が行われて、力を分散できるようにするのが好ましい。具体的には、1000カ所/m2以上5000カ所/m2以下の範囲で熱接着を行うのがよい。この範囲で、接着点が剥がれずに吹き付け時の防護材料の重量を的確に不織布に伝達できるし、また、係止層がつぶれてしまうことなく、必要な厚みと構造を保った状態を維持できる。より好ましくは2000カ所/m2以上4000カ所/m2以下である。
強化のり面形成用材料は、上記係止層と上記不織布とを合わせた全体厚みは、10mm以上50mm以下であることが好ましい。この範囲で防護材料の垂れの防止、引っ張り強度、吸水性をいずれも満たすことが可能で、かつ容易に変型できるため、強化のり面形成用材料の施工現場への運搬しやすく、取扱いやのり面への施工自体も容易となる。さらに好ましくは20mm以上40mm以下である。
強化のり面形成用材料の一例を図1に示す。図1(1)は、強化のり面形成用材料1の正面図、(2)は上面図である。厚み11の不織布4の一面上に、多数のループ状の糸状物2が、ほぼ同じ程度の高さ10を有してランダムに配置されると共に、多数の接点4で熱接着され、全体で厚さ10の板状の係止層を形成している。セメントモルタル等の防護材料が係止層に吹き付けられると、防護材料は係止層内部に蓄積し、不織布3に水分の一部を吸い取られて粘度が上昇すると共に、糸状物2に支えられて垂れにくくなる。
また、図2は、強化のり面形成用材料の他の例を示した図である。図2(1)は、強化のり面形成用材料20の正面図、(2)は上面図である。この例では、糸状物として、あらかじめ熱可塑性樹脂を用いて成形された平面的な網状物21を用いている。つまり、不織布22の一面上に網状物21を、高さを揃えるようにして波打たせて配置し、網状物21と不織布との接点23を熱接着したものである。なお、図2(2)では、接点23は省略化して帯状に記載しているが、実際には、図1(2)の接点4と同様に接点部分の糸状物だけが熱接着されている。強化のり面形成用材料は、糸状物をコイル状に成形して不織布上に多数配置し、接点を熱接着するなどの他の形態でも作成できるのは言うまでもなく、具体的には種々の変型が可能である。
また、強化のり面形成用材料には、その機能を害さない範囲で他の層を積層しても良い。例えば、不織布ののり面に接する面に非透水性の層を設けても良いし、不織布と係止層との間に熱可塑性樹脂製で透水性が高く、厚みが薄い網状物を介在させるなどしても良い。
以上説明したように、強化のり面形成用材料は、勾配が1:2以下、特に1:1.5より急勾配なのり面に対して、吹き付け装置などのトラブルが生じにくい高流動性を有する防護材料を用いることができるにも係わらず、垂れが生じにくい。また、良好な作業性を保持することができ、かつ材料損失が少なくて、均一な性能の厚い防護層を形成することができる。
次に、上記の強化のり面形成用材料を用いて、のり面を強化する工法について説明する。図3は、のり面強化工法を説明する一連の図である。図3(1)は、のり面の断面図である。のり面30は、それに続く上側の略水平な水平面32と下側の略水平な水平面31とをつなぎ、鉛直方向に対して斜めに傾いた面である。のり面30の勾配は、のり面30の高さ40とのり面30の水平長さ41との比率(高さ:底面長さ)で決まる。のり面30を強化するには、まず、上記で説明した強化のり面形成用材料を、不織布がのり面30に直接接するように、のり面の上下方向に不織布の長尺方向が揃うようにして配置する。
図3(2)は、強化のり面形成用材料をのり面に固定した状態の例を示した図である。図3(2)では、強化のり面形成用材料50は、上端52が、上側水平面32内に固定された例である。上側水平面32には溝60が設けられ、強化のり面形成用材料50が溝60の底部を這うように敷かれ、その上端52が溝60の反対側に達するように敷かれている。そして、溝60内にセメント61が投入・固化されることで、強化のり面形成用材料50が上側水平面32内に固定されている(固定端)。強化のり面形成用材料50は、のり面30に沿って、下端51が下側水平面31にほぼ接する位置になるように配置されている。強化のり面形成用材料50ののり面に接する部分は特に固定されていない。
強化のり面形成用材料50の上端52は、必要により上側水平面32に到達していなくとも良い。つまり、のり面30の途中に位置していても良い。この場合、のり面途中に強化のり面形成用材料を滑動防止杭などで固定することになる。このようにしてもよいが、不織布に固定用の穴を空けることになるため、環境保全の観点からは、強化のり面形成用材料の上端を上側水平面内に固定するのが望ましい。
また、強化のり面形成用材料50の下端51は、必ずしも下側水平面31に達していなくとも良いが、ほぼ達する位置にあることが望ましい。これは、吹き付けられた防護層が固化した後は、防護層が下側水平面に到達していることで、防護層がそれ自身で自重を支えられるようにするためである。このため、防護材料の垂れが生じにくいことと合わせ、防護層の厚みを増加でき、強固な防護層が得られる。
続いて、図3(3)は、強化のり面形成用材料50上の一部に、セメントモルタル等の防護材料70を吹き付けた状態を示した図である。防護材料の吹きつけは、強化のり面形成用材料50の下端51を含み、防護材料が下側水平面31に達するように、水平方向(図面の紙面に対して垂直方向)に延びた下側の帯状部分に対して行う。吹き付けられた防護材料70の重量は、一時的に強化のり面形成用材料50の引っ張り強度により支える。防護材料70が固化すると、防護材料の重量は、防護材料自身の強度により下側水平面との接点71にかかって支えられる。
なお、吹き付ける防護材料は、吹き付け装置でトラブルが生じにくく、材料分離が生じにくい高流動性のものを用いることができる。このためには、セメントモルタルやアスファルトモルタルにおいて、モルタル固形分:水分量が6:4〜3:7の範囲で用いることができる。
次に、図3(4)は、下側の帯状部分の防護材料70の固化後に、のり面30の上側の帯状部分にも防護材料72を吹き付けた状態を示した図である。新たに吹き付けられた防護材料70の重量は、強化のり面形成用材料50がやはり一時的に支える。防護材料72が固化した段階で、強化のり面の形成が完了する。
このように、強化のり面形成用材料50を用いて、まず、のり面の下側の帯状部分から比較的多くの防護材料を吹き付け、かつそれらの垂れが生じない状態にできることで、防護層を厚くすることが可能となる。その際、水平方向に伸びた複数の帯状部分に上下に分割した下側の帯状部分から吹きつけを行うので、吹き付けられた防護材料が固化することにより防護層自身を支えることが可能となる。さらに、その上側の帯状部分に順番に吹きつけを行うので、防護材料の重量をその下の固化した防護層が支えることが可能となる。このようにして順次防護材料を吹き付けていくことで、従来にない厚みの強固な防護層を形成することができる。
次に、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は、以下の具体的な態様に限定されるものではない。なお、不織布の重量、引っ張り強度は、JISL1908により測定した。
まず、幅1mで縦方向の長さ10mの、吸水性を有するポリエステル長繊維不織布(旭化成ジオテック社製、ポシブルAK−500(厚み5mm))を用意した。この不織布の重量は0.6kg/m3で、長尺方向の引っ張り強度は2800N/5cmであった。次に、汎用のポリプロピレン樹脂を溶融状態で押し出して冷却し、断面円形の繊維状でモノフィラメントの糸状物を作成した。糸状物の平均直径を測定したところ1mmであった。この糸状物を適宜変型して、ループ高さが2cm程度となるようにして、多数のループをランダムに不織布の一面上に1500カ所/m2で熱接着して、図1に示したがごとき強化のり面形成用材料を作成した。係止層の見かけ体積を測定して空隙率を求めたところ、98%とスカスカの状態であった。
次に、のり面勾配が1:1.5の急勾配で、高さが5mののり面に、図3(2)に記載のように上側水平面内に溝を設けて、上記で得た強化のり面形成用材料を上側水平面内で固定した。その際、強化のり面形成用材料の下端は下側水平面に達するようにした。
次に、アスファルト乳剤200kg/m3、細骨材入りベントナイト600kg/m3に対して、水を540kg/m3加えた組成比で、高流動性のアスファルトモルタルスラリーを作成し、圧空式ポンプにてのり面に吹き付けた。吹きつけは、下側水平面から高さ2.5mの帯状部分に対して、厚み7cmとなるようにして均一に吹き付けた。その際、スラリーの垂れは生じなかった。その後、2〜3時間放置して吹き付けた部分がある程度固化した状態で、その上側の吹きつけが未だ行われていない帯状部分に同じアスファルトスラリーを、やはり厚み7cmとなるように吹き付けた。この部分でも、アスファルトスラリーの垂れは全く認められなかった。これにより強固な防護層を有する強化のり面が得られた。
強化のり面形成用材料の例を示した、(1)正面図、(2)上面図である。 強化のり面形成用材料の他の例を示した、(1)正面図、(2)上面図である。 強化のり面形成用材料を用いた強化のり面を形成する工法を示した一連の図である。
符号の説明
1、20、50 強化のり面形成用材料
2、21 糸状物
3、22 不織布
4、23 熱接着された接点
10 係止層厚さまたは糸状物高さ
11 不織布厚さ
30 のり面
31 下側水平面
32 上側水平面
40 のり面高さ
41 のり面の水平長さ
51 強化のり面形成用材料の下端
52 強化のり面形成用材料の上端
60 固定用溝
61 固定用セメント
70 吹き付けられた防護材料(上側の防護層)
71 防護層の下端
72 吹き付けられた防護材料(下側の防護層)

Claims (7)

  1. 平均直径が0.5mm以上5mm以下の熱可塑性樹脂製糸状物が、板形状で空隙率が80%以上99.5%以下の立体網状構造をなした係止層と、吸水性で縦方向の引っ張り強度が1000N/5cm以上の不織布とが積層され、前記係止層が、前記不織布との複数の接点において前記不織布に熱接着されていることを特徴とする強化のり面形成用材料。
  2. 前記係止層と前記不織布との合計厚さが、10mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の強化のり面形成用材料。
  3. 前記不織布の厚さが、2mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の強化のり面形成用材料。
  4. 前記不織布の重量が、0.2kg/m以上0.8kg/m以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の強化のり面形成用材料。
  5. 前記の熱接着された複数の接点の面密度が、500カ所/m以上5000カ所/m以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の強化のり面形成用材料。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の強化のり面形成用材料を、前記不織布がのり面に接するように、かつ前記のり面に続く下側の略水平面にほぼ達するように配置して固定し、前記固定された強化のり面形成用材料の下端を含む帯状部分にのり面防護材を吹き付けて硬化せしめることを特徴とする強化のり面形成方法。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の強化のり面形成用材料を、前記不織布がのり面に接するように、かつ前記強化のり面形成用材料の上端が前記のり面に続く上側の略水平面内に達するように、さらに前記強化のり面形成用材料の下端が前記のり面に続く下側の略水平面にほぼ達するように配置し、前記上端を前記上側の略水平面内に固定し、前記下端を含む帯状部分にのり面防護材を吹き付けて硬化せしめ、しかるのち、前記帯状部分に続けて上に位置する他の帯状部分にのり面防護材を吹き付けることを特徴とする強化のり面形成方法。
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