JP4675929B2 - インクジェットヘッドの製造装置およびそれを用いるインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッドの製造装置およびそれを用いるインクジェットヘッドの製造方法に関する。
インクジェットヘッドは、微小な液滴を選択的に任意のドロップ数で吐出することのできる素子である。インクジェットヘッドを用いて液滴の吐出を行なうインクジェット装置は、たとえばプリンタなどの画像形成装置に使用されている。またインクジェット装置は、画像形成装置に限らず、カラーフィルタの欠陥部分を修復する際の部分的な薄膜の形成、配線の形成などにも使用されている。
インクジェットヘッドは、液滴を吐出する微小な孔であるノズル孔が複数形成されたノズルプレートと、ノズル孔よりも大きな断面積を有し、インクが流通するインク流路を有するインク室が形成されたヘッド部とを含んで構成される。
インクジェットヘッドは、たとえば、ヘッド部とノズルプレートとをそれぞれ作製した後、ノズルプレートを押圧具に保持させて、ノズル孔の軸線とインク室の開口部(以後、インク室開口部とも呼ぶ)の軸線とが一致するように専用の装置で位置合わせ(アライメント)し、接着剤などの接合手段で接合することによって製造される。この方法では、ヘッド部とノズルプレートとを別工程で製造するので次のような数多くの利点がある。たとえば、各部材の加工毎に洗浄が可能であるので、製造されたインクジェットヘッドにおけるヘッド部のインク室内の清浄度(クリーン度)を保つことができる。また、ノズルプレートにノズル孔を一括して形成することが可能であるので、優れた生産性を実現することができる。さらに、ヘッド部の大型化に容易に対応することができ、ヘッド部の製造が容易であるので、コストの点でメリットが大きい。
このようなインクジェットヘッドの製造方法において、予め位置精度良くノズル孔が形成されるノズルプレートを、複数のインク室開口部を有するヘッド部に接合する工程を行なう場合、技術的な課題がいくつか存在する。その一つとして、ノズルプレートとヘッド部との間に存在する接着剤の余剰分がノズルプレートの外側にはみ出して押圧具に付着し、押圧具が破損したり、押圧具の平坦度が低下して押圧力が不均一となり接合強度が低下したりするという問題がある。
そこで、このような余剰接着剤が押圧具に付着するという問題を解決するインクジェットヘッドの製造方法が提案されている(たとえば、特許文献1および2参照)。特許文献1に開示されるインクジェットヘッドは、たとえば、ノズルプレートの側面に段差が形成されてノズルプレートの外側からはみ出した余剰の接着剤が溜まる部分が形成されることにより、余剰の接着剤が押圧具に付着するのを防止することができる。特許文献2に開示されるインクジェットヘッドの製造方法では、押圧具をノズルプレートよりも小さい寸法に形成することにより、余剰の接着剤がノズルプレートの側面から接合面と反対側の面まで這い上がっても、該余剰の接着剤が押圧具に付着するのを防止することができる。
しかしながら上記課題以外にも、インクジェットヘッドの製造方法においては未だ技術的課題を残している。このような課題としては、ノズルプレートとヘッド部とを接合する際に、ノズル孔の中心であるノズル孔の軸線の位置とインク室開口部の中心であるインク室開口部の軸線の位置とがずれるという問題がある。この問題は、ノズルプレートと、ノ
ズルプレートを保持する押圧具とが、位置合わせ工程を行なうときと接合工程を行なうときとで位置ずれを起こすことが主原因である。以下この現象を説明する。
図5は位置合わせ工程における押圧具1、ノズルプレート2およびヘッド部3を示す断面図であり、図6は接合工程における押圧具1、ノズルプレート2およびヘッド部3を示す断面図である。位置合わせ工程では、図5に示すように、ヘッド部3とノズルプレート2とをそれぞれ作製した後、ノズルプレート2を吸引孔4に接続される不図示の真空吸着手段によって押圧具1に保持させて、ノズル孔5の軸線とインク室6の開口部6aの軸線とが一致するように専用の装置で位置合わせを行なう。
なお、押圧具1のノズルプレート2に接触する面は平坦性が良く、ノズルプレート2表面に塗布されるフッ素系樹脂などの撥水膜に機械的損傷を与えないように、押圧具1のノズルプレート2に接触する面2aには不図示の保護膜が形成されている。この保護膜としては平滑性の高いものが選択され、たとえばテフロン(登録商標)などが用いられる。このため、ノズルプレート2と押圧具1との接触面での摩擦係数は非常に小さくなっており、実験から求めた真空吸着力(吸着面積と真空度との積)および静止摩擦係数から、ノズルプレート2の最大静止摩擦力は、数gf程度と小さい。
位置合わせ工程では、このような状態で押圧具1に吸着保持されるノズルプレート2のノズル孔5の位置をアライメントカメラなどにより取得する。また、ヘッド部3のインク室開口部6aの位置情報も同様にして取得する。そして、お互いの位置情報を元に、押圧具1に吸着されるノズルプレート2をヘッド部3の接合面3a直上に間隔を空けてアライメント移動する。なお、ノズルプレート2の接合面2bとヘッド部3の接合面3aとの少なくとも一方の面には、たとえば2μmの厚みで接着剤7が予め塗布されている。また、押圧具1のノズルプレート2との接触面1aと、ヘッド部3の接合面3aとは予め平行となるように調整されているけれども、その平行度を5μm以下とすることは困難である。
図6に示す接合工程では、上記のようにしてヘッド部3と位置合わせされたノズルプレート2に対して押圧具1により押圧力を付与し、ヘッド部3とノズルプレート2とを接合する。この接合工程では、まずノズルプレート2を保持する押圧具1を徐々にヘッド部3の接合面3a方向に移動させて、ノズルプレート2の接合面2bをヘッド部3の接合面3aに当接させる。このとき、前述の避けられない平行度のずれにより、図6に示すようにノズルプレート2の接合面2bの一部とヘッド部3の接合面3aの一部とが初めに局所的に当接する片当たりが発生し、押圧具1のノズルプレート2との接触面の保護層の弾性変形によりこの平行度のずれが吸収されつつ、ノズルプレート2の接合面2bとヘッド部3の接合面3aとが当接する。
このとき、前述の避けられない平行度のずれにより片当たりが生じると、押圧具1に対するノズルプレート2の最大静止摩擦力が小さいことに起因して、押圧具1に吸着保持されるノズルプレート2が、最初に片当たりした部分から未だ当接していない方向、すなわち矢符8方向にスライド移動または回転移動する。ノズルプレート2のノズル孔5の位置情報はノズルプレート2とヘッド部3とが当接する前に取得されたものであるので、結果としてこのスライド移動量または回転移動量がインク室開口部6aとノズル孔5との位置ずれ量となる。
インク室開口部中心とノズル孔中心との位置がずれて接合されるインクジェットヘッドは、液滴吐出の安定性が悪くなることが明らかになっている。また、インク室開口部とノズル孔との位置ずれの量が大きくなり過ぎると、インク室を区画する隔壁上にノズル孔が配置されてしまい、インクの吐出が行なえなくなるという問題も生じる。このようなインク室開口部とノズル孔との位置ずれの問題は、特許文献1および2に開示される方法では
回避することができない。
さらに、インク室開口部とノズル孔との位置がずれることにより、ノズル孔に接着剤が浸入するという不具合も生じる。図7は、ノズルプレート11とヘッド部12との接合部分を模式的に示す断面図である。なお、図7(a)は好適に接合が行なわれたノズルプレート11およびヘッド部12の接合部分を示すものであり、図7(b)は接着剤がノズル孔13に浸入する接合部分を示すものである。
接合工程により、ノズルプレート11とヘッド部12とが当接すると、不図示の接着層は押しつぶされて1μm以下となり、余剰の接着剤はインク室14およびノズルプレート11の側面に流れ込む。このとき、インク室開口部14aとノズル孔13との位置ずれが発生しない好適な状態では、ノズル孔13の軸線13bとインク室開口部14aの軸線14bとが一致し、余剰の接着剤によりインク室14内に、インク室14を臨む側の面に曲率を有するようにフィレット15が形成される。このフィレット15は、予め塗布した接着剤が少ないとインク室14内壁面に付着する面積が小さく形成され、接着剤が多いとインク室14内壁面に付着する面積が大きく形成される。したがって、フィレット15のインク室14内壁面に付着する面積を複数の各インク室14で好適かつ均一な大きさにするためには、接着剤が均一に定量塗布されることが重要である。
一方、接合工程においてインク室開口部14aとノズル孔13との位置ずれが発生し、ノズル孔13の軸線13bとインク室開口部14aの軸線14bとがずれてしまうと、図7(b)に示すように、接着剤16がノズル孔13内に浸入してしまい、ノズル孔13からの吐出精度が悪化する。最悪の場合、接着剤16がノズル孔13を塞いでしまうという問題が生じ、製造歩留が低下する。
さらにもう1つの課題として、ヘッド部とノズルプレートとが局所的に当接された状態でこれらを接合すると、ヘッド部とノズルプレートとが接合されない部分が生じ、この部分に気泡が噛み込まれるという問題が発生する。このような問題が発生すると、ノズルプレートがうねって波打った状態となり、ノズル孔の軸線がインク室開口部の軸線に対して傾くので、吐出されるインクの着弾精度が低下するという問題が生じる。また、気泡の噛み込みがノズル孔付近で生じ、噛み込まれた気泡がインク室同士を連通するように封じ込められると、連通された気泡部分にインクが入り込み、インクの吐出安定性が悪くなる。このようなヘッド部とノズルプレートとの間に噛み込まれる気泡を押出すために、接合工程において押圧具からノズルプレートに付与する押圧力を高めると、ノズルプレートの波打ちが一層顕著になる。インクの着弾精度に関しては、さらなる向上が求められている。
したがって、インク室開口部とノズル孔との位置ずれに起因する接着剤のノズル孔への浸入を防止するとともに、ヘッド部とノズルプレートとの間に噛み込まれる気泡を除去して、着弾精度の高いインクジェットヘッドを製造することが希求されている。
特開2002−240263号公報(第3−4頁,第2図) 特開2002−361875号公報(第4頁,第1図)
本発明の目的は、接着剤のノズル孔への浸入を防止するとともに、ヘッド部とノズルプレートとの間に噛み込まれる気泡を除去し、着弾精度の高いインクジェットヘッドを製造するためのインクジェットヘッドの製造装置およびそれを用いるインクジェットヘッドの製造方法を提供することである。
本発明は、インクを貯留し、表面に開口部を有する複数のインク室が形成されるヘッド部と、インクを吐出させるための複数のノズル孔が一方向に配列して形成されるノズルプレートとを含むインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造装置において、
ノズルプレートのノズル孔と、ヘッド部に形成される開口部とが連通されるように位置合わせを行なう位置合わせ手段と、
一方の面をノズルプレートに接触させてノズルプレートを保持するとともに、ノズルプレートに対してヘッド部に向う側の押圧力を付与し、ノズルプレートとヘッド部とを密着させる押圧保持手段と、
押圧保持手段により押圧されるノズルプレートの押圧保持手段と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、押圧保持手段が付与する押圧力を制御する制御手段とを含み、
押圧保持手段は、
ノズルプレートに接触する押圧部と、押圧部が装着され、ノズルプレートに対して近接離反するように移動可能な保持部とを有し、
前記押圧部は、
弾性材料からなり、ノズル孔が配列される方向に直交する方向の断面が、半円状または弓状となるように形成され、
押圧開始時において、押圧保持手段は、前記ノズル孔と、押圧部のノズルプレートを保持すべき面に形成される凸部の頂部との位置が整合するように配置され、ノズルプレートと線接触することを特徴とするインクジェットヘッドの製造装置である。
また本発明は、押圧保持手段の押圧部は、
自己吸着性を有する材料からなることを特徴とする。
また本発明は、ノズルプレートを真空吸引力により押圧保持手段に吸着させる真空吸着手段と、
押圧保持手段のノズルプレートを臨む側に開口部を有し、真空吸着手段に接続されるように形成される吸引孔とを含むことを特徴とする。
また本発明は、前記のいずれか1つに記載のインクジェットヘッドの製造装置を用いるインクジェットヘッドの製造方法であって、
押圧保持手段によりノズルプレートを保持するステップと、
位置合わせ手段により、押圧保持手段に保持されるノズルプレートのノズル孔とヘッド部の開口部とが連通されるように位置合わせを行なうステップと、
ノズルプレートに対してヘッド部側に向う押圧力を押圧保持手段により付与して、ノズルプレートとヘッド部とを接合するステップとを含み、
ノズルプレートとヘッド部とを接合するステップでは、
押圧保持手段により押圧されるノズルプレートの押圧保持手段と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、制御手段によって押圧保持手段が付与する押圧力を制御することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方
法である。
本発明によれば、位置合わせ手段によりノズル孔と開口部とが連通されるようにノズルプレートとヘッド部との位置合わせが行なわれ、押圧保持手段によりノズルプレートを保持しつつノズルプレートに対してヘッド部に向う側の押圧力を付与してノズルプレートとヘッド部とを密着させる際に、押圧保持手段により押圧されるノズルプレートの押圧保持手段と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、制御手段によって押圧保持手段から付与される押圧力が制御される。制御手段によって押圧保持手段により押圧されるノズルプレートの押圧保持手段と接触する部分の面積が時間経過とともに大きくなるように押圧力が制御されると、ノズルプレートがヘッド部に対して押圧される部分の面積が時間経過とともに増加することとなる。
このため、押圧力を付与してノズルプレートとヘッド部とを密着させる接合工程において、ノズルプレートの接合面とヘッド部の接合面とのいずれか一方の面に塗布される接着剤の余剰分およびノズルプレートとヘッド部との間に噛み込まれる気泡を、押圧力が付与される部分から付与されない部分に排出することができ、余剰接着剤のノズル孔への浸入、ノズルプレートの波打ち、気泡によるインク室同士の連通などを防止することができるので、着弾精度の高いインクジェットヘッドを製造することができる。
また、押圧保持手段は、ノズルプレートに接触する押圧部と、押圧部が装着され、ノズルプレートに対して近接離反するように移動可能な保持部とを含み、押圧部が弾性材料からなる。このため、接合工程におけるヘッド部の接合面と押圧保持手段の押圧部のノズルプレートを接触保持する面である接触面との平行度のずれを吸収することができ、押圧保持手段とヘッド部との平行度のマージンを増やすことができる。
また、押圧保持手段の押圧部は、ノズル孔が配列される方向に直交する方向の断面が半円状または弓状となるように形成される。このため、ノズルプレートのノズル孔が配列される方向に直交する方向であるノズルプレートの短手方向に余剰接着剤および気泡を排出することができるので、余剰接着剤および気泡がノズルプレート外部に排出されるまでの移動距離を短くすることができ、効率的に余剰接着剤および気泡の除去を行なうことができる。また、このような押圧保持手段を用いることにより、ノズルプレートが押圧部と線接触の状態で保持され、押圧開始時にノズルプレートを押圧する面積を小さくすることができるので、ノズルプレートとヘッド部との間に気泡を噛み込むことなくノズルプレートとヘッド部との接合を行なうことができる。
また本発明によれば、押圧保持手段の押圧部は、自己吸着性を有する材料からなるので、ノズルプレートを保持するために真空吸着装置などの大型の装置を設ける必要がなく、簡単な構成によってノズルプレートを保持することができる。また、セルフタック性によってノズルプレートを保持することにより、ノズルプレートと押圧保持手段との摩擦係数が大きくなるので、押圧保持手段に対するノズルプレートのスライド移動、回転移動などが生じ難くなり、ノズル孔中心とインク室開口部中心との位置ずれを防止することができる。
また本発明によれば、ノズルプレートを真空吸引力により押圧保持手段に吸着させる真空吸着手段と、押圧保持手段のノズルプレートを臨む側に開口部を有し、真空吸着手段に接続されるように形成される吸引孔とを含む。このため、真空吸着手段により装置が大型化するけれども、ノズルプレートを安定して押圧保持手段に保持させることができる。また、吸引孔にガスを排出することによりノズルプレートの押圧保持手段からの取外しが容易に行なえ、取外しの際にノズルプレートが破損するのを防止することができる。
また本発明によれば、前記のようなインクジェットヘッドの製造装置を用い、押圧保持手段によりノズルプレートを保持するステップと、位置合わせ手段により、押圧保持手段に保持されるノズルプレートのノズル孔とヘッド部の開口部とが連通されるように位置合わせを行なうステップと、ノズルプレートに対してヘッド部側に向う押圧力を押圧保持手段により付与して、ノズルプレートとヘッド部とを接合するステップとを含み、ノズルプレートとヘッド部とを接合するステップでは、ノズルプレートの押圧保持手段と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、制御手段によって押圧保持手段が付与する押圧力を制御する。
このことによって、余剰の接着剤およびノズルプレートとヘッド部との間に噛み込まれる気泡を、押圧力が付与される部分から付与されない部分へ向けて排出することができるので、余剰接着剤のノズル孔への浸入、ノズルプレートの波打ち、気泡によるインク室同士の連通などを防止し、着弾精度の高いインクジェットヘッドを製造することができる。
図1は本発明の実施の一形態であるインクジェットヘッド製造装置21の構成を概略的に示す斜視図であり、図2は図1のインクジェットヘッド製造装置21を切断面線II−IIから見た概略断面図であり、図3は図1のインクジェットヘッド製造装置21のノズルプレート22の上面図である。
本発明のインクジェットヘッド製造装置21は、インクを貯留し、表面に開口部23を有する複数のインク室が形成されるヘッド部24と、インクを吐出させるための複数のノズル孔25が形成されるノズルプレート22とを含むインクジェットヘッドを製造する装置であって、ノズルプレート22のノズル孔25と、ヘッド部24に形成される開口部23とが連通されるように位置合わせを行なう位置合わせ手段に含まれるアライメントカメラ26と、一方の面をノズルプレート22に接触させてノズルプレート22を保持するとともに、ノズルプレート22に対してヘッド部24に向う側の押圧力を付与し、ノズルプレート22とヘッド部24とを密着させる押圧保持手段27と、押圧保持手段27により押圧されるノズルプレート22の押圧保持手段27と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、押圧保持手段27が付与する押圧力を制御する制御手段28とを含むことを特徴とする。
まず、本発明のインクジェットヘッド製造装置21により製造されるインクジェットヘッドについて説明する。インクジェットヘッドは、ノズルプレート22と、ヘッド部24と、ノズルプレート22とヘッド部24との間に設けられ、ノズルプレート22とヘッド部24とを接合する不図示の接着層とを含んで構成される。
ノズルプレート22には、厚み方向一方側から他方側に貫通するように、インクを吐出させるための複数のノズル孔25が形成される。ノズルプレート22は、ヘッド部24に形成されるインク室と連通するように接合され、インク室に貯留されるインクをノズル孔25から吐出する。
ノズルプレート22は、たとえば厚み60μmのポリイミドフィルムであり、エキシマレーザ加工などにより、ヘッド部24と接合される側の面である接合面での直径が40μm、接合面と反対側の面での直径が20μmとなるように、テーパ形状を有するノズル孔25が形成される。ノズルプレート22の表面には、ノズル孔25から吐出する液滴の直進性およびノズルプレート22表面への液滴の残存を防ぐために、接合面と反対側の面にフッ素系樹脂などにより撥液処理が施される。
ヘッド部24には、インクを貯留し、表面に開口部23を有する複数のインク室が形成される。ヘッド部24のノズルプレート22と接合すべき面である接合面には、インク室からノズル孔25へのインク流路である開口部(以後、インク室開口部とも呼ぶ)23が、たとえば80μm×200μmの矩形状断面で形成される。
ヘッド部24には、さらに、インク室からインクを吐出させるための圧力を発生する圧力発生手段と、圧力発生手段に電力を供給する電力供給用電極と、電力供給用電極を保護しインクと電力供給用電極とを絶縁する電極保護層とを含む。圧力発生手段は、たとえば、圧電性材料で形成される複数の隔壁部であり、隔壁部のせん断モード変形によってインクを吐出させる圧力を発生させる。圧力発生手段は、このような構成に限定されることなく、たとえばヒータなどの加熱手段を備え、インク室に貯留されるインクを加熱して気泡を生じさせることによってインクを吐出させる圧力を発生させる手段などであってもよい。この場合、ヒータなどの加熱手段は、たとえばインク室の壁面に設けられる。電力供給用電極は、圧力発生手段に電力を供給して圧電駆動させるための圧電駆動用電極である。
このようなノズルプレート22およびヘッド部24を含むインクジェットヘッドは、図1に示すインクジェットヘッド製造装置21によって製造される。インクジェットヘッドの製造方法は、大略、ヘッド部24作製工程と、ノズルプレート22作製工程と、ヘッド部24とノズルプレート22とを接合する接合工程とを含む。なお、ヘッド部24作製工程およびノズルプレート22作製工程はいずれが先に行なわれてもよい。図1のインクジェットヘッド製造装置21は、接合工程に用いられる。
インクジェットヘッド製造装置21に備えられる押圧保持手段27は、ノズルプレート22に接触する押圧部29と、押圧部29が装着され、ノズルプレート22に対して近接離反するように移動可能な保持部30とを含む。
押圧部29は、たとえば、自己吸着性を有するゴム硬度(「アスカーC」(アスカー高分子計器社製)にて、日本ゴム協会標準規格(SRIS)に基づき測定される値)が60〜70度のシリコーンゴムなどの弾性材料からなる。
ここで、図において示す3次元X−Y−Z軸について以下のように定義する。水平面を構成する方向をX−Y方向とし、さらにノズル孔25が配列される方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向とする。X−Y方向に垂直な鉛直方向をZ方向とする。
押圧部29は、自己吸着性によりノズルプレート22を保持し、ノズルプレート22を保持する側の面が、X方向に直交する方向であるY−Z平面において少なくとも一部が曲率を有するように形成される。一方、押圧部29のノズルプレート22を保持する側の面と反対側の面は、平面となるように形成される。
本実施形態の押圧部29は、Y−Z平面を切断面とするときの断面が半円状となるように形成される半円柱形状である。押圧部29は、X方向の長さがノズルプレート22のX方向の長さと略等しく、Y方向の長さがノズルプレートの短手方向の長さ以上に形成される。なお、押圧部29は、Y−Z平面を切断面とするときの断面が半円状となるように形成されることに限定されるものではなく、弓状などの形状に形成されるものであってもよい。押圧部29のノズルプレート22を保持する側の面と反対側の平面は、保持部30に装着される。
保持部30は、押圧部29をインクジェットヘッド製造装置21内で保持する手段である。保持部30には、X−Y平面内で2軸かつ回転移動可能な不図示のX−Y平面移動手段が設けられる。保持部30がX−Y平面移動手段に備えられて移動可能に構成されることにより、保持部30に装着される押圧部29もX−Y平面内で移動可能となる。したがって、ノズルプレート22が載置されるプレートであって、押圧部29のノズルプレート22保持側の面と反対側の面と平行に設けられる不図示の基準プレート上に配置されるように押圧部29を移動させることができる。また、不図示のヘッド部保持手段に保持されるヘッド部24の接合面の直上に配置されるように、押圧部29を移動させることができる。
また、保持部30は、Z方向にも移動可能であり、保持部30に装着される押圧部29をZ方向に移動可能とするように構成される。保持部30としては、たとえば、それ自体がZ方向に移動可能であるサーボモータなどのZ方向移動手段を含み、保持部30自体がZ方向に移動することによって押圧部29をZ方向に移動させるものを用いることができる。なお、保持部30は、サーボモータにより構成されることに限定されるものではなく、油圧、空圧、押圧ばねなどの手段によって、押圧部29をZ方向に移動可能に構成するものであってもよい。
押圧保持手段27を不図示の基準プレート上に載置されるノズルプレート22の直上に、X−Y平面移動手段によって移動させ、保持部30をZ方向に移動させて押圧部29とノズルプレート22とを当接させる。押圧保持手段27は、押圧部29が自己吸着性を有する材料からなるので、押圧部29とノズルプレート22との当接によってノズルプレート22を吸着し保持することができる。
また押圧保持手段27を、不図示のヘッド部保持手段に保持されるヘッド部24の接合面の直上にX−Y平面移動手段によって移動させ、さらに保持部30をヘッド部24に向けてZ方向に移動させ、押圧部29に保持されるノズルプレート22とヘッド部24とを当接させる。ノズルプレート22とヘッド部24とを当接させた状態で、さらに保持部30をZ方向に移動させると、押圧部29を介してノズルプレート22にヘッド部24に向う側の押圧力を付与することができる。
以上のような押圧部29および保持部30を含んで構成される押圧保持手段27は、後述する接合工程において、押圧保持手段27により押圧されるノズルプレート22の押圧保持手段27と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、押圧保持手段27からノズルプレート22に付与する押圧力が制御手段28によって制御される。より具体的には、押圧保持手段27に含まれる保持部30のZ方向についての移動量が制御され、このことによりノズルプレート22に付与される押圧力の大きさが制御される。
制御手段28としては、たとえば、時間を計測する不図示の計時部を備えるものを用いる。計時部としては、たとえば、商用電源の周波数に応じて時間を計る手段などを用いる
ことができる。制御手段28は、押圧開始時、すなわちノズルプレート22とヘッド部24とが当接した時よりも、押圧開始から時間経過とともに押圧力が大きくなるように、押圧保持手段27からの押圧力を制御する。すなわち制御手段28は、計時部で計測される時間に応じて、たとえば、押圧開始時における保持部30とヘッド部24との距離が、押圧開始から時間経過とともに小さくなるように、押圧保持手段27に含まれる保持部30の動作を制御する。
なお、制御手段28により制御される押圧保持手段27からの押圧力は、押圧部29の弾性係数、押圧部29のノズルプレート22を臨む側の面の曲率などにより決定され、予め試験などにより求められる。この試験の結果は、制御手段28に含まれる不図示のメモリに記憶される。また、押圧保持手段27からの押圧力は、計時部で計測される予め定められる時間経過ごとに段階的に大きくなるように制御されてもよく、また連続的に大きくなるように制御されてもよい。
アライメントカメラ26は、Z方向においてノズルプレート22とヘッド部24との間に配置され、ノズルプレート22側とヘッド部24側との上下双方にカメラが内蔵される。アライメントカメラ26は、上下双方に内蔵されるカメラによって押圧保持手段27の押圧部29に保持されるノズルプレート22の複数ノズル孔25およびヘッド部24の複数インク室開口部23を撮像して画像情報を生成し、それぞれの位置情報を取得する。
なお、ノズルプレート22のノズル孔25と、ヘッド部24に形成されるインク室開口部23とが連通されるように位置合わせを行なうために、ノズルプレート22のノズル孔25と、ヘッド部24に形成されるインク室開口部23との位置情報を取得するアライメントカメラ26と、押圧保持手段27をX−Y平面内で2軸かつ回転移動させるX−Y平面移動手段とを、位置合わせ手段と呼ぶ。
以下、インクジェットヘッド製造装置21を用いてインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法について説明する。インクジェットヘッドの製造方法は、前述のように、ヘッド部24作製工程と、ノズルプレート22作製工程と、ヘッド部24とノズルプレート22とを接合する接合工程とを含む。ヘッド部24作製工程およびノズルプレート22作製工程は、公知の方法により行われるので説明を省略する。
インクジェットヘッド製造装置21を用いるヘッド部24とノズルプレート22とを接合する接合工程は、押圧保持手段27によりノズルプレート22を保持するステップと、位置合わせ手段により、押圧保持手段27に保持されるノズルプレート22のノズル孔25とヘッド部24のインク室開口部23とが連通されるように位置合わせを行なうステップと、ノズルプレート22に対してヘッド部24側に向う押圧力を押圧保持手段27により付与して、ノズルプレート22とヘッド部24とを接合するステップとを含む。
押圧保持手段27によりノズルプレート22を保持するステップでは、まず、不図示の基準プレート上に、接合面側が基準プレートと接触するようにしてノズルプレート22を載置する。次いで、保持部30をX−Y平面内で2軸かつ回転移動させるX−Y平面移動手段によって押圧保持手段27を基準プレート上に載置されるノズルプレート22の直上に移動させる。ここで、押圧保持手段27は、ノズルプレート22のノズル孔25と、押圧部29のノズルプレート22を保持すべき面に形成される凸部の頂部との位置が整合するように配置される。
このように押圧保持手段27が配置されると、Z方向移動手段によって保持部30を移動させ、押圧部29のノズルプレート22を保持すべき面とノズルプレート22の接合面と反対側の面とを当接させる。押圧部29は自己吸着性を有する素材からなるので、押圧
部29とノズルプレート22との当接により、図2の(S1)に示すように、ノズルプレート22を押圧部29に吸着保持させることができる。
ここで、押圧保持手段27の押圧部29は、ノズル孔25が配列されるX方向に直交するY−Z断面が半円状となるように形成されるので、ノズルプレート22が押圧部29と小さな幅を持ってX方向に延びる面で押圧保持手段27に保持される。このとき、押圧保持手段27により保持されるノズルプレート22の押圧保持手段27と接触する部分の面積は、図3の(S1)に示す領域31となり、ノズルプレート22と押圧保持手段27とは線接触に近い状態で接触する。
位置合わせ手段により、押圧保持手段27に保持されるノズルプレート22のノズル孔25とヘッド部24のインク室開口部23とが連通されるように位置合わせを行なうステップでは、まず、アライメントカメラ26により、押圧保持手段27の押圧部29に保持されるノズルプレート22のノズル孔25およびヘッド部24のインク室開口部23を撮像して画像情報を生成し、それぞれの位置情報を取得する。
次いで、アライメントカメラ26により取得されるそれぞれの位置情報からノズル孔25とインク室開口部23との回転方向のずれおよびX−Y方向のずれ量を算出し、ノズルプレート22のノズル孔25と、ヘッド部24のインク室開口部23とが連通されるように、押圧保持手段27の保持部30に設けられるX−Y平面移動手段により、押圧保持手段27に保持されるノズルプレート22をヘッド部24の接合面直上に間隔を空けて移動させる。
なお、ヘッド部24のノズルプレート22を接合すべき面である接合面およびノズルプレート22のヘッド部24を接合すべき面である接合面の少なくともいずれか一方には、予め接着剤が塗布されている。接着剤は、たとえば、バーコータ装置などを用いて均一かつ所望の厚みに塗布することができる。バーコータ装置では、たとえば丸棒に直径が4μmの細線を巻き、該丸棒に巻かれた細線を、接着剤が所望の厚みよりも大きい厚みで塗布されたポリイミドからなるフィルムに当接させて移動させることによって、フィルム上に細線の直径と略等しい大きさである厚み4μmの均一な接着層を形成することができる。このようにして接着層が形成されたフィルムの接着層側の面をヘッド部24の接合面に押し当ててスタンプ転写を行なうと、フィルムに形成された接着層の半分の厚みである厚み2μmの均一な接着層がヘッド部24の接合面上に形成される。
ノズルプレート22に対してヘッド部24側に向う押圧力を押圧保持手段27により付与して、ノズルプレート22とヘッド部24とを接合するステップでは、前記位置合わせステップによりヘッド部24のインク室開口部23とが連通されるように位置合わせされたノズルプレート22に、2μm以上の厚みの接着層が接合面に形成されるヘッド部24側に向う押圧力を付与し、保持部30を徐々にヘッド部24側に移動させて押圧部29を弾性変形させ、ノズルプレート22とヘッド部24とを当接させる。
このとき、ヘッド部24の接合面と押圧部29に保持されるノズルプレート22とは予め平行となるように設けられるけれども、避けられない平行度のずれにより、ノズルプレート22の接合面の一部とヘッド部24の接合面の一部とが初めに局所的に当接する片当たりが発生することがある。本実施形態では押圧部29が弾性変形することにより、局所的な押圧力が吸収され平行度のがたつきを吸収することができる。また、押圧部29が自己吸着性を有する材料からなることにより、ノズルプレート22のスライド移動、回転移動などによる位置ずれを発生する恐れが低減される。
この技術的利点をさらに詳しく説明する。自己吸着性を有しない押圧部を用いる場合、
ノズルプレートの押圧部のノズルプレート保持面内でのスライド移動および回転移動を防止する防止力の大半は、ノズルプレートと押圧部との間の静止摩擦力である。この静止摩擦力は、両者の静止摩擦係数、真空吸着面積および減圧力値に依存する。ここで、互いに当接するノズルプレートと押圧部とは、いずれも平滑性に優れる部材であるので、これらの間の静止摩擦係数は非常に小さい。したがって、ヘッド部とノズルプレートとの当接時にかかる負荷が僅かなものであっても、ノズルプレートがツール吸着面の面内で移動してしまう原因となる。
一方、本実施形態では、押圧部29が自己吸着性を有し、ノズルプレート22は、該押圧部29の自己吸着性により保持される。ヘッド部24とノズルプレート22とが当接状態にあるとき、弾性を有する押圧部29は保持部30に押圧されることによって弾性変形し、ノズルプレート22は押圧部29に面接触状態で保持された状態となる。このため、ノズルプレート22と押圧部29との間ではたらく静止摩擦力が大きくなり、ノズルプレート22のスライド移動および回転移動を防止する防止力を大きくすることができる。したがって、ノズルプレート22の接合面の一部とヘッド部24の接合面の一部とが初めに局所的に当接する片当たりが生じても、ヘッド部24とノズルプレート22の当接時にかかる程度の大きさの負荷では、ノズルプレート22がスライド移動または回転移動する恐れは低減される。
次いで、保持部30から押圧部29に押圧力を付与し、押圧部29に保持されるとともにヘッド部24に当接するノズルプレート22に対してヘッド部24側に向う押圧力を付与する。なお、押圧保持手段27は、図2の(S2)、(S3)、(S4)に示すように、押圧開始時(S2)よりも押圧開始から時間が経過するとともに(S3、S4)保持部30のZ方向についての移動量が大きくなるように、すなわち保持部30とヘッド部24との距離が小さくなるように制御手段28によって制御され、押圧部29に付与される押圧力の大きさが押圧開始時(S2)よりも押圧開始から時間経過後(S3、S4)に大きくなる。
ここで、押圧部29は弾性を有する材料からなるので、押圧部29に付与される押圧力により、弾性変形する。このため、押圧部29に付与される押圧力が大きくなると、押圧部29と押圧部29に保持されるノズルプレート22との接触面積が、Y方向に大きくなる。すなわち、押圧部29の弾性変形によって、押圧保持手段27とノズルプレート22とが接触する部分31の面積は、図3の(S2)、(S3)、(S4)に示すように、押圧開始時(S2)よりも押圧開始から時間経過(S3、S4)とともにY方向に広がり、大きくなる。このように押圧保持手段27とノズルプレート22とが接触する面積が大きくなると、ノズルプレート22がヘッド部24に対して押圧される部分の面積が時間経過とともにY方向に広がり増加する。
このようにしてノズルプレート22に押圧力を付与してノズルプレート22とヘッド部24とを接合すると、押圧保持手段27をZ方向のヘッド部24と反対側に移動させる。押圧保持手段27をZ方向のヘッド部24と反対側に移動させると、押圧保持手段27とノズルプレート22とが接触する面積は、図3の(S4)から(S3)、(S2)、(S1)に示すように小さくなる。ここで、接着剤によるノズルプレート22とヘッド部24との接合力が、押圧保持手段27がノズルプレート22を保持する自己吸着力よりも大きくなることにより、ノズルプレート22が押圧保持手段27から剥離される。その後、接着剤の特性に応じて接着剤を熱硬化または経時硬化させ、接合工程を終了する。
インクジェットヘッド製造装置21によれば、弾性を有する押圧部29のY−Z断面が半円状となるように形成されるとともに、ノズルプレート22のノズル孔25と、押圧部29のノズルプレート22を保持すべき面に形成される凸部の頂部との位置が整合するよ
うにして、ノズルプレート22が押圧部29に保持される。また、ノズルプレート22と押圧保持手段27とが接触する部分31の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、押圧保持手段27からノズルプレート22に押圧力が付与される。
このことによって、押圧部29に付与される押圧力により、押圧部29が弾性変形する。押圧部29に付与される押圧力が大きくなると、押圧部29と押圧部29に保持されるノズルプレート22との接触面積が、Y方向に大きくなる。また、ノズルプレート22がヘッド部24に対して押圧される部分の面積が時間経過とともにY方向に広がり増加する。このため、ノズルプレート22とヘッド部24とを密着させる際、ヘッド部24の接合面に塗布される接着剤の余剰分およびノズルプレート22とヘッド部24との間に噛み込まれる気泡を、押圧力が付与される部分から付与されない部分、すなわちノズル孔25付近からY方向のノズル孔25と反対側に排出することができる。このため、余剰接着剤のノズル孔25への浸入、気泡の存在によるノズルプレート22の波打ち、気泡によるインク室同士の連通などを防止することができるので、着弾精度の高いインクジェットヘッドを製造することができる。
また、Y−Z平面における押圧部29の断面が半円状となるように形成されることによって、上記余剰接着剤および気泡を、ノズルプレート22の短手方向であるY方向に向けて余剰接着剤および気泡を排出することができる。このため、余剰接着剤および気泡がノズルプレート22外部に排出されるまでの移動距離を短くすることができ、効率的に余剰接着剤および気泡の除去を行なうことができる。
さらに、Y−Z断面が半円状となる押圧保持手段27を用いることにより、図3の(S1)に示すようにノズルプレート22と押圧部29とが、領域31で示す部分で線接触に近い状態で接触し、押圧開始時にノズルプレート22を押圧する面積を小さくすることができるので、ノズルプレート22とヘッド部24との間に噛み込まれる気泡の量を少なくすることができる。
以上のようにしてノズルプレート22とヘッド部24との接合を行なうインクジェットヘッド製造装置21は、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。
押圧部29の弾性係数、形状、大きさ、押圧保持手段27からの押圧力の大きさ、接着剤の種類、粘度などの条件は、それぞれ製造するインクジェットヘッドの形状、材質などに適した条件を適宜設定することが好ましい。
本実施形態では、自己吸着性を有する押圧部29の材料としてシリコーンゴムを用いるけれども、ブチルゴム、糊剤が塗布される粘着剤などであってもよく、弾性変形によりノズルプレート表面と面接触し、密着性が良好な材料であればどのような材料でも適宜選択して用いることができる。ただし、糊剤が塗布される粘着剤を使用する場合、ノズルプレートに糊剤が転写され、インクジェット装置に搭載して用いる際にノズルプレート表面の残存液滴を接触式ワイパーで除去するワイピング時に、残存液滴を除去できないなどの不具合を生じる恐れがある。
制御手段28としては、計時部を備え、計時部で計測される時間に応じて押圧保持手段27からの押圧力を制御するものに限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、制御手段として計時部を備えない構成も可能である。
計時部を備えない場合、たとえば、案内部材によりZ方向のみに移動可能に設けられる押圧板と、該押圧板に接するように設けられる押圧用の偏心カムと、偏心カムを回転させ
るためのモータとを用い、偏心カムの回転動作に基づいて押圧板を押圧するような構成などを用いることができる。
偏心カムを回転させて押圧板に押圧力を付与することによって、偏心カムが1回転する間に押圧板とヘッド部24との距離を変化させることができる。このため、計時部を設けなくても、押圧保持手段27により押圧されるノズルプレート22の押圧保持手段27と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、押圧保持手段27が付与する押圧力を制御することができる。この場合、押圧板が保持部となり、偏心カムおよび偏心カムを回転させるためのモータが制御手段となる。
また本実施形態では、位置合わせのために保持部30をX−Y平面内で2軸かつ回転移動させるX−Y平面移動手段を用いるけれども、このような保持部30を移動させ、ヘッド部を固定する構成のみに限定されない。たとえば、X−Y平面内で保持部30を移動させることなくヘッド部24を保持する手段を移動させる構成のもの、X−Y平面内で保持部30およびヘッド部24の両方を移動させる構成のものを用いることもできる。
なお、本実施形態では、ノズルプレートとして表面に撥水膜処理が施されるポリイミドフィルムを用いるけれども、これに限定されるものではない。たとえば、ニッケル(Ni)の電鋳めっきなどにより得られる金属製のノズルプレート、撥水処理が施されないノズルプレートなどであっても、押圧部29の表面でノズルプレートが移動してしまうとう課題は存在する。したがって本実施形態のインクジェットヘッド製造装置は、このようなノズルプレートを用いる場合であっても、ノズルプレートの位置ずれ防止の効果を発揮することができる。
図4は、本発明の参考となる実施の形態であるインクジェットヘッドの製造装置に設けられる押圧保持手段の押圧部41の構成を示す斜視図である
本実施形態の押圧部41において注目すべきは、ノズルプレートに接触する側の面が、ノズルプレートに形成されるノズル孔が配列される方向に直交する方向において曲率を有するように形成されるとともに、該曲率を有するように形成される面の一部が平面状に形成されることである。本実施形態では、押圧部41は、Y−Z断面が略半円状となるように形成される略半円柱形状であるけれども、半円の頂点付近においてY軸に平行な平面部42を有する。本実施形態の押圧部41は、前述の実施の第1形態の押圧部29と同様に、自己吸着性弾性体であるシリコーンゴムからなる。
押圧部41がこのような形状であると、押圧部41の平面部42においてノズルプレートを保持することにより、保持されるノズルプレートがヘッド部の接合面に対して傾くのを防止することができ、ヘッド部との片当たりを防止することができる。また、アライメントカメラを用いてノズルプレートのノズル孔の位置情報を取得する際、ピントがずれることを防止でき、ノズル孔とヘッド部のインク室開口部との位置合わせにおいて、位置ずれの発生を防止することができる。さらに、平面部42の面積によりノズルプレートを接触保持する面積が大きくなり、ノズルプレートの保持力を調整することができるので、安定してノズルプレートを保持することができる。
さらに、本実施形態の押圧部41において注目すべきもう1つの点は、ノズルプレートを真空吸引力により押圧部41に吸着させる不図示の真空吸着手段を備えることである。真空吸着手段は、押圧部41には、ノズルプレートを臨む側であって、平面部42に開口
部を有し、押圧部41を貫通する吸引孔43が形成される。なお、吸引孔43は、保持するノズルプレートのノズル孔が存在しない部分に形成される。吸引孔43は、真空吸着手段に接続され、吸引孔43内部を真空にすることにより押圧部41にノズルプレートを保持させる。
このような真空吸着手段および吸引孔を備える押圧保持手段によれば、真空吸着手段で吸引孔43内部を真空とすることにより、シリコーンゴムの劣化などにより自己吸着性が低下しても、ノズルプレートを安定して押圧保持手段に保持させることができる。このため、ノズルプレートとヘッド部との接合工程を安定して行なうことができ、歩留の悪化を防止することができる。また、ノズルプレートを押圧保持手段から取外す際、吸引孔にガスを排出することにより、シリコーンゴムのような自己吸着性弾性体を用いる場合であっても、ノズルプレートの押圧保持手段からの取外しが容易に行なえ、ノズルプレートの破損、ノズルプレートとヘッド部との接合部での剥離などを防止することができる。
本発明の実施の一形態であるインクジェットヘッド製造装置21の構成を概略的に示す斜視図である。 図1のインクジェットヘッド製造装置21を切断面線II−IIから見た概略断面図である。 図1のインクジェットヘッド製造装置21のノズルプレート22の上面図である。 本発明の参考となる実施の形態であるインクジェットヘッドの製造装置に設けられる押圧保持手段の押圧部41の構成を示す斜視図である。 位置合わせ工程における押圧具1、ノズルプレート2およびヘッド部3を示す断面図である。 接合工程における押圧具1、ノズルプレート2およびヘッド部3を示す断面図である。 ノズルプレート11とヘッド部12との接合部分を模式的に示す断面図である。
符号の説明
21 インクジェットヘッド製造装置
22 ノズルプレート
23 インク室開口部
24 ヘッド部
25 ノズル孔
26 アライメントカメラ
27 押圧保持手段
28 制御手段
29,41 押圧部
30 保持部
31 ノズルプレート22と押圧保持手段27との接触部分
42 平面部
43 吸引孔

Claims (4)

  1. インクを貯留し、表面に開口部を有する複数のインク室が形成されるヘッド部と、インクを吐出させるための複数のノズル孔が一方向に配列して形成されるノズルプレートとを含むインクジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造装置において、
    ノズルプレートのノズル孔と、ヘッド部に形成される開口部とが連通されるように位置合わせを行なう位置合わせ手段と、
    一方の面をノズルプレートに接触させてノズルプレートを保持するとともに、ノズルプレートに対してヘッド部に向う側の押圧力を付与し、ノズルプレートとヘッド部とを密着させる押圧保持手段と、
    押圧保持手段により押圧されるノズルプレートの押圧保持手段と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、押圧保持手段が付与する押圧力を制御する制御手段とを含み、
    押圧保持手段は、
    ノズルプレートに接触する押圧部と、押圧部が装着され、ノズルプレートに対して近接離反するように移動可能な保持部とを有し、
    前記押圧部は、
    弾性材料からなり、ノズル孔が配列される方向に直交する方向の断面が、半円状または弓状となるように形成され、
    押圧開始時において、押圧保持手段は、前記ノズル孔と、押圧部のノズルプレートを保持すべき面に形成される凸部の頂部との位置が整合するように配置され、ノズルプレートと線接触することを特徴とするインクジェットヘッドの製造装置。
  2. 押圧保持手段の押圧部は、
    自己吸着性を有する材料からなることを特徴とする請求項記載のインクジェットヘッドの製造装置。
  3. ノズルプレートを真空吸引力により押圧保持手段に吸着させる真空吸着手段と、
    押圧保持手段のノズルプレートを臨む側に開口部を有し、真空吸着手段に接続されるように形成される吸引孔とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッドの製造装置。
  4. 請求項1〜のいずれか1つに記載のインクジェットヘッドの製造装置を用いるインクジェットヘッドの製造方法であって、
    押圧保持手段によりノズルプレートを保持するステップと、
    位置合わせ手段により、押圧保持手段に保持されるノズルプレートのノズル孔とヘッド部の開口部とが連通されるように位置合わせを行なうステップと、
    ノズルプレートに対してヘッド部側に向う押圧力を押圧保持手段により付与して、ノズルプレートとヘッド部とを接合するステップとを含み、
    ノズルプレートとヘッド部とを接合するステップでは、
    押圧保持手段により押圧されるノズルプレートの押圧保持手段と接触する部分の面積が押圧開始時よりも押圧開始から時間経過とともに大きくなるように、制御手段によって押圧保持手段が付与する押圧力を制御することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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