JP2006123409A - 押圧具及びインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】押圧具用いて複数のインク流路を有するインクジェットヘッド本体に、予めノズル孔が形成されているノズルプレートを密着させる密着工程において、押圧具の吸着面とインクジェットヘッドの前面との面の平行度がずれていても、位置ずれなくノズルプレートの背面をインクジェットヘッドの前面に密着させる。
【解決手段】インクを吐出するノズル孔23を有するノズルプレート2の前面21の一端部に密着する箇所に粘着性を有するタック部53を設けた吸着面51にノズルプレート2の前面21を吸着させ、押圧具5を移動させてインクを吐出するインクジェットヘッド本体1の前面11にノズルプレート2の背面22を密着させる。
【選択図】 図1
【解決手段】インクを吐出するノズル孔23を有するノズルプレート2の前面21の一端部に密着する箇所に粘着性を有するタック部53を設けた吸着面51にノズルプレート2の前面21を吸着させ、押圧具5を移動させてインクを吐出するインクジェットヘッド本体1の前面11にノズルプレート2の背面22を密着させる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、インクジェットヘッド本体にノズルプレートを密着させてインクジェットヘッドを製造する際に用いる押圧具及びインクジェットヘッド製造方法に関する。
インクジェットプリンタ等に用いられる液滴吐出装置を構成するインクジェットヘッドは、微小なインク滴を選択的に任意のドロップ数で吐出する。また、インクジェットヘッドは、液滴を吐出する微小な孔であるノズル孔を複数有するノズルプレートと、ノズル孔の断面積より大きな断面積を有し、液滴を吐出するための必要なエネルギーの発生手段を有するインク流路とが、ノズル孔の中心軸及びインク流路断面の中心軸が略一致するように配置されている。このインク流路内のインクをノズル孔から吐出する。
近年のインクジェットヘッドは、複数のインク流路と複数のノズル孔とを設け、一つのインクジェットヘッドから複数のインク滴を同時に吐出させることが可能であり、ノズル孔及びインク流路は、一方向に規則的に狭ピッチで配列された構成や、さらにその配列が略平行に複数オフセットされて2次元的に配列された構成のものがある。
上述したインクジェットヘッドの製造方法は、大別して3つある。
(1)半導体製造技術を応用して、ノズルプレート及びインク流路が一体的なインクジェットヘッドを形成する。
(2)インク流路を有するインクジェットヘッド本体にノズル孔の形成されてないノズルプレートを接合した(密着させた)後、エキシマレーザ等でノズル孔を形成してインクジェットヘッドを形成する。
(3)インク流路を有するインクジェットヘッド本体とノズル孔が形成されているノズルプレートとの互いの位置を精度良くアライメントして密着させてインクジェットヘッドを形成する。
(1)の製造方法は、精密露光による光造型技術を用いて一体的にインク流路及びノズル孔を形成するために、ノズル孔を所望の位置に正確に形成することが可能であるが、装置コスト及びプロセスコストが高い上、インクジェットヘッドの大型化が困難である。
(2)の製造方法は、ノズルプレートをインクジェットヘッド本体に密着させた後、インク流路の配置位置に合せてエキシマレーザで個々のノズル孔を形成する方法であり、エキシマレーザ装置のX−Yステージの繰り返し精度の範囲内でノズル孔の中心軸をインク流路断面の中心軸に位置合わせすることが可能である。しかしながら、エキシマレーザを用いたノズル孔の加工時にインク流路内に入った加工くずが除去できない。
また、ノズル孔の表面が撥水膜塗布処理されている場合は、ノズル孔の近傍の撥水膜が熱によるダメージを受けて変質若しくは剥離する等のプロセス上の課題を抱えており、さらにノズル孔の加工も一括して行うことが難しいため、インクジェットヘッドの大型化には対応し難い。
一方、(3)の製造方法は、インク流路断面の中心軸とノズル孔の中心軸との位置が一致するように専用装置でアライメント(調整)し後、図5に示すように、インクジェットヘッド本体1の複数のインク流路12の開口部13を有する予め接着剤が塗布された前面11に、予め位置精度良くノズル孔23を空けたノズルプレート2の背面22を、鉛直下方に移動させて密着させる。この時、吸着面51でノズルプレート2の前面21を真空吸着している押圧具5を移動させることでノズルプレート2を移動させる。
この方法の利点は、ノズルプレート及びインクジェットヘッド本体の各部材を別工程で製造するため、各部材の加工毎に洗浄が可能となり、完成後のインクジェットヘッド本体のインク流路内のクリーン度を保つことができ、またノズル孔の加工を一括して行うことが可能なので生産性が向上し、さらにインクジェットヘッドの大型化に対応でき、しかもインクジェットヘッド本体の製造が容易でコスト的にメリットが大きい等の数多くの利点を有している。
ところが、上述した(3)の製造方法は、技術的に困難な部分をいくつか有しており、その一つとしてノズルプレートの背面とインクジェットヘッド本体の前面の間に介在している接着剤がノズルプレートの前面に流れ出すという課題を有していた。そこで、近年のインクジェットヘッドには、接着剤がノズルプレートの前面に流れ出ないように接着剤の溜まり部分として段差をノズルプレートの背面側に設けた構成のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、ノズルプレートの前面よりも小さい吸着面を備えた押圧具を用いてノズルプレートの前面を吸着した後、ノズルプレートの背面をインクジェットヘッドの前面に押圧して密着させる工程を含むインクジェット製造方法がある(例えば、特許文献2参照。)。この押圧具により、ノズルプレートの前面に接着剤が流れ出てきても押圧具には接着剤が付着しないので押圧具の破損が防止される。
特開2002−240263公報
特開2002−361875公報
しかしながら、上述の(3)の製造方法では、さらに次のような課題を有したままであった。
第一に、ノズル孔の中心軸とインク流路断面の中心軸との位置がずれてしまう課題である。これは、ノズルプレートの背面をインクジェットヘッド本体に密着させる際に押圧具とノズルプレートとの吸着位置がずれてしまうことが主原因である。
ノズルプレートの表面である前面に吸着する押圧具の吸着面は、平坦性が良く、また表層にノズルプレートの表面に塗布されている撥水膜に機械的ダメージを与えないように保護膜が形成されている。この保護膜は平滑性が良いものが選択され、テフロン(登録商標)材を用いることが多い。
また、ノズルプレートの表面の撥水膜は、フッ素系樹脂等の低摩擦部材が選ばれ、平滑性が良くなっている。すなわち、押圧具の吸着面は、平坦性及び平滑性が求められ、吸着されるノズルプレートの前面も平滑性の良い撥水膜が形成されているので、両者の摩擦係数は非常に小さくなっている。実験から求めた真空吸着力(吸着面積と真空度の積)と静止摩擦係数とからは、ノズルプレートの前面の最大静止摩擦力は、数gf程度しかなかった。
しかも、インクジェットヘッド本体の前面と押圧具の吸着面とは予め面方向が平行になるように調整されているが、その平行度を5μm以下にすることは困難である。
そのため、図6に示すようにノズルプレート2を吸着している押圧具5を徐々にインクジェットヘッド本体1の前面11に向けて鉛直下方に移動させて、ノズルプレート2の背面21をインクジェットヘッド本体1の前面11に当接(密着)させる際、平行度のずれにより、ノズルプレート2の背面21の一部が、インクジェットヘッド本体1の前面11の一部に局所的に当接(片当たり)し、その後に押圧具5の吸着面51上の保護膜の弾性変形によってこの平行度のずれを吸収しつつ、ノズルプレート2の背面21がインクジェットヘッド本体1の前面11に全面に渡って密着する。
この時、最初に片当たりした部分から未だ当接していない方向である図6に示す矢印方向の力がノズルプレート2に作用するので、押圧具5の吸着面51上でノズルプレート2が多少スライド移動し、又は、吸着面51内で回転移動する。そのため、このスライド移動量及び回転移動量がインク流路12断面の中心軸とノズル孔23の中心軸との位置がずれる。この位置のずれ量が大きいと、インク流路12を形成する隔壁上の前面11にノズル孔23が対向するように配置されてしまい、インクジェットヘッドの製造歩留まりが悪化する。
また、ノズル孔23の中心軸がインク流路12断面の中心軸からずれた状態のインクジェットヘッドでは、インク滴の吐出の安定性が悪くなることが検討から明らかになっている。
第二に、上述のインク流路断面の中心とノズル孔の中心との位置がずれることにより、ノズル孔に接着剤が侵入してしまう課題である。
正常な状態では、図7(A)のように、ノズルプレート2がインクジェットヘッド本体1とに当接すると、接着剤15の層は押し潰されて厚さ1μm以下となり、余分な接着剤15はインク流路12及びノズルプレート2の背面21に流れこむ。この時、ノズルプレート2近傍のインク流路12内ではR形状の接着剤15によるフィレット16が形成される。
この時、ノズル孔23の中心軸とインク流路12断面の中心軸との位置がずれた状態でノズルプレート2がインクジェットヘッド本体1に密着すると、図7(B)のように、一方向のフィレット16がノズル孔23に掛かり、結果として接着剤15がノズル孔23に侵入し、最悪の場合、ノズル孔23を塞いでしまうという不具合が生じ、製造歩留まりがさらに悪化する。
この発明の目的は、押圧具を用いて複数のインク流路を有するインクジェットヘッド本体に、予めノズル孔が形成されているノズルプレートを密着させる密着工程において、押圧具の吸着面とインクジェットヘッドの前面との面の平行度がずれていても、位置ずれなくノズルプレートの背面をインクジェットヘッドの前面に密着させることができる押圧具及びこの押圧具を用いた密着工程を含むインクジェットヘッド製造方法を提供することにある。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を備えている。
(1)インク流路を有するインクジェットヘッド本体の前面に、インクを吐出するノズル孔を有するノズルプレートの背面を密着させる押圧具であって、少なくともノズルプレートの前面の一部に密着する箇所に粘着性を有するタック部を設けた吸着面に前記ノズルプレートの前面を吸着させる吸着手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成においては、吸着手段により、ノズルプレートの前面が押圧具の吸着面に吸着される。また、押圧具の吸着面にノズルプレートの前面が吸着された際に、ノズルプレートの前面の一部に吸着面に設けられたタック部が密着する。タック部は、少なくともノズルプレートの前面の一部に密着する箇所に粘着性が備えられているので、タック部以外の吸着面よりも静止摩擦係数(静止摩擦力)が高い。そのため、押圧具の吸着面に吸着されたノズルプレートが、外力によって吸着面上を移動する(ずれる)ことが防止される。
したがって、押圧具の吸着面とインクジェットヘッド本体の前面との面方向が平行でない場合であっても、インクジェットヘッド本体の前面とノズルプレートの背面との一部の片当たりにより生じる力によってノズルプレートが吸着面上でスライド移動する及び回転移動することが防止される。
(2)前記タック部は、前記ノズルプレートの前面における一端部に密着することを特徴とすることを特徴とする。
この構成においては、押圧具の吸着面にノズルプレートの前面が吸着された際、タック部がノズルプレートの前面の一端部に密着する。したがって、吸着面におけるタック部の構成が複雑にならない。
(3)前記タック部は、弾性材料からなることを特徴とする。
この構成においては、タック部が弾性材料で形成されている。したがって、タック部に粘着剤を用いると、粘着剤がノズルプレートの前面に付着するのでインクジェットヘッドを使用した際に行われるワイピング等に影響を受けるが、弾性材料で形成されているので、密着によってノズルプレートの前面を汚損することがない。
(4)インクジェットヘッド本体の前面又はノズルプレートの背面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
(1)〜(3)の何れかに記載の押圧具の吸着面に前記ノズルプレートの前面を吸着させる吸着工程と、
前記インクジェットヘッド本体の前面及び前記ノズルプレートの背面の互いの密着位置を決定する位置調整工程と、
前記押圧具を介して前記ノズルプレートの背面を前記インクジェットヘッド本体の前面に密着させる密着工程を含むことを特徴とする。
(1)〜(3)の何れかに記載の押圧具の吸着面に前記ノズルプレートの前面を吸着させる吸着工程と、
前記インクジェットヘッド本体の前面及び前記ノズルプレートの背面の互いの密着位置を決定する位置調整工程と、
前記押圧具を介して前記ノズルプレートの背面を前記インクジェットヘッド本体の前面に密着させる密着工程を含むことを特徴とする。
この構成においては、(1)〜(3)の何れかに記載の押圧具を用いてインクジェット本体の前面にノズルプレートの背面が密着されてインクジェットヘッドが形成される。したがって、押圧具の吸着面とインクジェットヘッド本体の前面との面方向が平行でない場合であっても、インクジェットヘッド本体の前面とノズルプレートの背面との一部の片当たりにより生じる力によってノズルプレートが吸着面上でスライド移動する及び回転移動することが防止される。
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)押圧具の吸着面に少なくともノズルプレートの前面の一部に密着する箇所に粘着性を有するタック部を設けることによって、押圧具の吸着面とインクジェットヘッド本体の前面との面方向が平行でない場合であっても、インクジェットヘッド本体の前面とノズルプレートの背面との一部の片当たりにより生じる力によってノズルプレートが吸着面上でスライド移動する及び回転移動することを防止できるので、ノズルプレートに形成されたノズル孔の中心軸とインクジェットヘッド本体に形成されるインク流路の中心軸との位置を正確に一致させることができる。これにより、押圧具を用いてインク滴の吐出性能の高いインクジェットヘッドを製造することができる。また、製造歩留まりを向上させることができ、コストダウンを図ることができる。
(2)タック部をノズルプレートの前面の一端部に密着させることによって、単純な構成で確実にインクジェットヘッド本体の前面とノズルプレートの背面との一部の片当たりにより生じる力によってノズルプレートが吸着面上でスライド移動及び回転移動することを防止できる。
(3)タック部を弾性材料で形成することによって、密着によるノズルプレートの前面の汚損を防止することができる。
(4)(1)〜(3)の何れかに記載の押圧具を用いてインクジェット本体の前面にノズルプレートが密着されてインクジェットヘッドを形成することによって、ノズルプレートに形成されたノズル孔の中心軸とインクジェットヘッド本体に形成されるインク流路の中心軸との位置を正確に一致させることができる。これにより、押圧具を用いてインク滴の吐出性能の高いインクジェットヘッドを製造することができる。また、製造歩留まりを向上させることができ、コストダウンを図ることができる。
以下、この発明の最良の実施形態に係る押圧具を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る押圧具5を用いてノズルプレート2を吸着する吸着工程を説明するための説明図である。この発明の押圧具5は、高密度セラミックス材料でできており、吸着面51にテフロン(登録商標)材がコーティングされており、コーティング層の厚みは概ね0.1mm程度である。さらに押圧具5には、複数の真空吸着孔52が吸着面51からその反対面に貫通するように形成されている。押圧具5は、ノズルプレートをインクジェットヘッド本体に密着させてインクジェットヘッドを製造する工程おいて用いられる。
押圧具5の基体部分は縦断面が凸型になっており、一方の肩部分にブチルゴムからなるタック部53が設けられ、吸着面51及びタック部53は略同一平面上にある。本実施形態では、タック部53として硬度20〜40度の低硬度のブチルゴムを用いている。このブチルゴムは糊剤を用いずとも緩やかな粘着性を有している。
ノズルプレート2は、前面21側が押圧具5の吸着面51に当接され、図示しない真空ポンプを用いて真空吸着孔52内の空気を吸引することで吸着面51に吸着、保持される。この時、ノズルプレート2の前面21の一端部はタック部53に当接(密着)され、タック部53のタック力(密着力を含む)により固定される。
このタック力により生じるノズルプレート2との間に生じる静止摩擦力は、強固であり、真空吸着孔52の総断面積、減圧値、静止摩擦係数から導出される真空吸着のみの従来の構成におけるノズルプレート2との間に生じる静止摩擦力に比べると20倍以上に達する。
なお、真空ポンプ及び真空吸着孔52がこの発明の吸着手段に相当する。
ノズルプレート2は、厚み60μmのポリイミドフィルム製で、エキシマレーザ加工により予め複数のノズル孔23が形成されている。このノズル孔23はテーパー形状を呈し、ノズルプレート2の前面21側で直径20μm、ノズルプレート2の背面22側で直径40μmである。なお、後述するインク流路の開口部は、短辺80μm×長辺200μmの長方形上状の断面である。
ノズルプレート2の前面21には、液滴の直進性及びノズルプレート2の前面21への液滴の残存を防ぐためにフッ素系樹脂の撥水膜が形成されている。
インクジェットヘッドを製造するには、図3に示すように、まずインクジェットヘッド本体1の前面11に接着剤を塗布する接着剤塗布工程を行う。この塗布方法の一例として、公知のバーコーター装置を用いて、ポリイミドフィルム上に厚み4μmの均一なエポキシ系の接着剤15の層を形成する。次に、接着剤15の層が形成されたポリイミドフィルム上にインクジェットヘッド1の前面11を押し当てスタンプ転写する。これによって、インクジェットヘッド本体1の前面11のインク流路12の開口部13以外の領域に均一な厚み(本実施形態では2μm以上)の接着剤15の層が形成される。
次に、押圧具5の吸着面51にノズルプレート2の前面21を吸着させる吸着工程を行う。具体的には、図1に示すように、まず図示しない基準プレート上に、ノズルプレート2を背面22を下(基準プレート側)にして配置し、押圧具5を基準プレート上まで移動させた後、徐々に基準プレートに近づけていき、ノズルプレート2の前面21に押圧具5の吸着面51を当接させる。この時、タック部53も同時にノズルプレート2の一端部に当接する。その後、真空ポンプを用いて真空吸着孔52内の空気を吸引してノズルプレート2を吸着面51に吸着させる。
次に、インクジェットヘッド本体1の前面11及びノズルプレート2の背面22の互いの密着位置を決定する位置調整工程を行う。具体的には、図2に示すように、上下双方にカメラを内蔵したアライメントカメラ3をノズルプレート2とインクジェットヘッド本体1の間で移動させ、全てのノズル孔23の中心軸とインク流路12の開口部13(断面)の中心軸との位置情報を読み取って回転方向の位置ずれ及びX−Y方向の位置ずれの量を算出し、押圧具5又はインクジェットヘッド本体1のどちらかを移動させて位置補正し、ノズルプレート2の全てのノズル孔23の中心軸と全てのインク流路12断面の中心軸との位置が一致するようにアライメントする。
次に、押圧具5を介してノズルプレート2の背面22をインクジェットヘッド本体1の前面11に密着させる密着工程を行う。具体的には、図3に示すように、押圧具5を徐々にインクジェットヘッド本体1の前面11に向けて鉛直下方に移動させて、ノズルプレート2の背面21をインクジェットヘッド本体1の前面11に当接させる。
ここで、インクジェットヘッド本体1の前面11と押圧具5の吸着面51とは予め平行となるように調整されているが、その平行度を5μm以下にすることは困難である。
そのため、インクジェットヘッド本体1の前面11と押圧具5の吸着面51とが完全に平行になっておらず、ノズルプレート2を吸着している押圧具5を徐々にインクジェットヘッド本体1の前面11に鉛直下方に移動させて、ノズルプレート2の背面22をインクジェットヘッド本体1の前面11に当接させる際には、ノズルプレート2の背面22の一部とインクジェットヘッド本体1の前面11の一部とが、初めに局所的に当接(片当たり)する。
この時、最初に当接した部分から未だ当接していない部分へ向かう方向の力がノズルプレート2に付与されるが、ノズルプレート2は、中央部においては真空吸着により吸着面51に吸着され、一端部において密着性の良いタック部53に密着されているため、吸着面51上でスライド移動又は回転移動することがない。
これは、ノズルプレート2の押圧具5の吸着面51の面方向のスライド移動及び回転移動を防止する防止力として、従来のノズルプレート2の前面21と押圧具5の吸着面51との間の静止摩擦力に加え、タック部53とノズルプレート2の前面21の一端部との間に生じる静止摩擦力も含まれるからである。
また、図3に示すように、ノズルプレート2の背面22におけるタック部53に密着する一端部とは反対側の他端部からインクジェットヘッド本体1の前面11に片当たりする場合、ノズルプレート2は、一端部がタック部53に固定されているので、片当たりによる最初に当接した部分から未だ当接していない部分へ向かう方向の力により曲げ変形しようとする。そのため、ノズルプレート2には、押圧部5の吸着面51から鉛直方向に引き剥がされる力が作用するが、ノズルプレート2が押圧部5の吸着面51から鉛直方向に引き剥がされることを防止する力は、静止摩擦係数に依存しない真空吸着による吸着力であり、十分な吸着力が確保されているので、引き剥がされることはない。
したがって、ノズルプレート2の前面21の一端部をタック性(密着性を含む)のあるタック部53で密着させることによって、ノズルプレート2が押圧部5の吸着面51上でスライド移動及び回転移動することを防止できる。
ノズルプレート2の背面22をインクジェットヘッド本体1の前面11に全面に渡って当接させた後、押圧具5の真空吸着孔52によるノズルプレート2の吸着を解除し、押圧具5をインクジェットヘッド本体1に当接する方向と逆方向にインクジェットヘッド本体1から遠ざける(離間させる)。
これによって、ノズルプレート2の背面22は、図4に示すように接着剤を介してインクジェットヘッド本体1の前面11に密着し、接着剤のタック力でインクジェットヘッド本体1に密着する。この時、押圧具5のタック部53に密着していたノズルプレート2の前面21の一端部も、インクジェットヘッド本体1とノズルプレート2の背面22との接着剤による保持力(吸着力)により、タック部53から剥離される。
その後、インクジェットヘッド11とノズルプレート2の背面22との間の接着剤を、その特性に応じて熱硬化若しくは経時硬化させる。
なお、ノズルプレート2がポリイミドフィルムのような弾性変形可能な材質で形成されている場合は、本実施形態で示したように押圧具5の吸着面51の表面にテフロン(登録商標)材によりコーティングしなくても本発明と同様の効果を得ることができる。
以上のように、この発明の実施形態に係る押圧具5の吸着面51に、ノズルプレート2の前面21の一部である一端部に密着する箇所に粘着性を有するタック部53を設けることによって、押圧具5の吸着面51とインクジェットヘッド本体1の前面11との面方向が平行でない場合であっても、インクジェットヘッド本体1の前面11とノズルプレート2の背面22との一部の片当たりにより生じる力によってノズルプレート2が吸着面51上でスライド移動及び回転移動することを防止できるので、ノズルプレート2に形成されたノズル孔23の中心軸とインクジェットヘッド本体1に形成されるインク流路12の中心軸との位置を正確に一致させることができる。これにより、押圧具5を用いてインク滴の吐出性能の高いインクジェットヘッドを製造することができる。また、製造歩留まりを向上させることができ、コストダウンを図ることができる。
さらに、タック部53をノズルプレート2の前面21の一端部にのみ密着させているので、単純な構成で確実にノズルプレート2が吸着面51上でスライド移動及び回転移動することを防止できる。
なお、接着剤の粘性及びタック部53の材質により異なるが、タック部53のノズルプレート2の前面21に密着する箇所の面積は、ノズルプレート2の背面22とインクジェットヘッド本体1の前面11とが接着される面積の概ね1/10〜1/30であれば良い。
例えば、30×10mmのノズルプレート2の背面22を略同形状のインクジェットヘッド本体1に接着する場合、ノズルプレート2の長手方向30mmのうち、1〜3mmの領域をタック部53に密着させるようにノズルプレート2を押圧具5の吸着面51に吸着させれば良い。タック部53のノズルプレート2の前面21に密着する箇所の面積が上述の値よりも大きいと、接着剤によるノズルプレート2の背面22とインクジェットヘッド本体1の前面11とのタック力よりも、ノズルプレート2とタック部53とのタック力の方が大きくなり、ノズルプレート2が押圧具5に保持されたままになってしまう虞がある。
本実施形態では、タック部53を弾性材料のブルチゴムで形成しているので、密着によるノズルプレート2の前面21の汚損を防止することができる。糊剤を塗布した粘着剤を使用する場合、ノズルプレート2の前面21のタック部53との密着箇所に糊剤が転写されて、ノズルプレート2の前面21のワイピング(表面の残存液滴を接触式ワイパーで除去する等)の際に不具合が生じる虞があるからである。
なお、タック部53として、ブルチゴム以外のシリコン系のゴム材等の弾性部材、ノズルプレート2の前面21に汚損が生じなければ糊剤を塗布した粘着材等を用いてもよく、少なくともノズルプレート2の前面21の一端部に密着する箇所における密着性が良好に維持されることを条件として適宜選択することができる。
本実施形態では、ノズルプレート2の前面21の一端部のみにタック部53を密着させているが、ノズルプレート2の前面21の二端部以上をタック部53に密着させてもよい。例えば、ノズルプレート2の前面21の周囲全体をタック部53に密着させる構成がある。ただし、二端部以上をタック部53で保持する場合には、押圧具5がノズルプレート2を吸着する際にノズルプレート2に波打ちが生じ、押圧具5の吸着面51にノズルプレート2の前面21が沿わない虞があるので調整が必要である。
また、本実施形態では、図1に示すように、押圧具5の吸着面51とタック部53のノズルプレート2の前面21の一端部に密着する面とが略同一平面上にあるものを示しているが、同一平面上にある必要はなく、ノズルプレート2の前面21が吸着面51に沿うように適切に吸着、保持されれば、タック部53がノズルプレート2に密着する方向に凸になっているものでもよい。
さらに、本実施形態では、表面に撥水膜が形成されたポリイミドフィルム製のノズルプレート2を用いて説明しているが特にこれに限定されるものではなく、Niの電鋳メッキ等によって得られた金属製のノズルプレートや、撥水膜処理が施されていないノズルプレートを用いた場合であっても、本発明と同様の効果を得られる。
しかも、本実施形態は、液滴吐出装置に備えられるインクジェットヘッドを製造するのに用いる押圧具5及びそのインクジェットヘッドの製造方法について説明したが、インクジェット技術を用いた生産装置に用いられるインクジェットヘッドを製造するのに用いる押圧具についても適用することができる。
1−インクジェットヘッド本体
2−ノズルプレート
5−押圧具
11−前面
21−前面
22−背面
51−吸着面
52−真空吸着孔
53−タック部
2−ノズルプレート
5−押圧具
11−前面
21−前面
22−背面
51−吸着面
52−真空吸着孔
53−タック部
Claims (4)
- インク流路を有するインクジェットヘッド本体の前面に、インクを吐出するノズル孔を有するノズルプレートの背面を密着させる押圧具であって、少なくともノズルプレートの前面の一部に密着する箇所に粘着性を有するタック部を設けた吸着面に前記ノズルプレートの前面を吸着させる吸着手段と、を備えたことを特徴とする押圧具。
- 前記タック部は、前記ノズルプレートの前面における一端部に密着することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の押圧具。
- 前記タック部は、弾性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の押圧具。
- インクジェットヘッド本体の前面又はノズルプレートの背面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
請求項1〜3の何れかに記載の押圧具の吸着面に前記ノズルプレートの前面を吸着させる吸着工程と、
前記インクジェットヘッド本体の前面及び前記ノズルプレートの背面の互いの密着位置を決定する位置調整工程と、
前記押圧具を介して前記ノズルプレートの背面を前記インクジェットヘッド本体の前面に密着させる密着工程を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2004316184A JP2006123409A (ja) | 2004-10-29 | 2004-10-29 | 押圧具及びインクジェットヘッドの製造方法 |
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2004
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