JPH10166596A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルプレートを接合する際における接着剤
によるノズル穴やインク流路の目詰りを防止する。 【解決手段】 流路基板３の流路溝部３ａの形成面にカ
バープレート５を被せてインク流路となし、インク流路
の開口端部が位置する端面３ｃにノズルプレートを接着
剤４によって接合する。接合工程は、メッシュ板１を転
写手段（ゴム板）２上に載置し、接着剤を均等に塗布し
た後にこれをスキージ等で擦り取り、メッシュ部材１の
穴部１ａにのみ接着剤が存在するようにし、これを端面
に圧接して、インク流路の開口端部を除外した端面にド
ット状に接着剤４を転写する。ここにノズルプレートを
当接するとドット状の接着剤が潰れて、端面全体が均一
状態にノズルプレートと接合され、またインク流路にた
れ込むことはないのでノズル穴等に目詰まりを生じさせ
るようなことがなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、インクジェットヘッドの
製造方法、特に端面にインク流路の開口端部を有する流
路基板にノズルプレートを固着する工程を含むインクジ
ェットヘッドの製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】インクジェットヘッドの一型式として、
例えば図５に示すように、圧電部材（ＰＺＴ）からなる
流路基板３の上面に複数本の流路溝部３ａを平行に設
け、この上面にカバープレート５を被せてインク流路を
作り、さらにインク流路の開口端部が位置する端面３ｃ
にノズルプレート６を固着したものによって構成したも
のがある。流路溝部３ａの両側壁部には上面から所定の
深さ位置まで、蒸着法によって電極３ｄ…が形成してあ
る。これらの各電極３ｄは、カバープレート５の後方で
接続電極３ｂを介して制御用ドライバ（図示略）に接続
されている。

【０００３】ところで、流路基板３の上面にカバープレ
ート５を被せて接合した後に、端面３ｃにノズルプレー
ト６を接合する方法として、従来は以下のような方法が
採用されている。

【０００４】第１の方法は、ノズルプレートの接着面全
体に両面接着シートを貼付した後、ノズル及びその周囲
の接着シートをエキシマレーザを用いて除去してノズル
穴を開通させている。

【０００５】第２の方法は、ノズルプレートの接着面に
ノズル穴及びその周囲を除いた範囲に接着剤を印刷し、
この接着剤を介して端面迄とノズルプレートの両者を固
着している。

【０００６】第３の方法は、ガラス板等の平滑な面にス
ピンコートされた液状接着剤の上に流路基板の端面を押
し付け、この端面に接着剤を転写し、転写された接着剤
を介してノズルプレートを固着している。

【０００７】そして、第４の方法は、シート接着剤に流
路基板の端面を押し付け、これに接着剤を転写し、この
転写された接着剤を介してノズルプレートを固着してい
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】まず、第１の方法で
は、エキシマレーザを使用するものであるため、コスト
高になる他、ノズル穴にバリ状に垂れ込んだ接着シート
の接着剤の除去ができないため、インクジェットヘッド
として完成した後に、インクを射出する際に射出にバラ
ツキが生じて印字品位を低下させる問題がある。

【０００９】次に第２の方法では、印刷する際の印刷版
とノズルプレートとの位置決めが難しい上に、印刷機も
高精度のものが要求されるため、部品精度を高くするこ
とが必要であるとともに、印刷機等を含む設備費が高く
なっている問題がある。

【００１０】さらに、第３の方法では、上記両者の接合
のために、スピンコートのため液状の低粘度の接着剤を
使用するものであるから、塗布された接着剤が表面表力
によって開口端部に厚く盛り上がったり、流路溝部に膜
状に残ってインクの流れを阻害する原因となっている。
また、これらの接着剤がノズル穴に垂れ込んでノズル穴
を塞いでしまう問題がある。

【００１１】そして、第４の方法は、第３の方法におけ
る問題点を解決するために採用されたものであるが、こ
の方法では接着層が薄過ぎるため十分な接着強度が得ら
れない問題がある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに、本発明は、インク流路の開口端部が位置する端面
に接着剤を実質的にドット状に点在するように設け、ノ
ズルプレートとの接合を行なうようにしたものである。
点在する接着剤がノズルプレートの当接により周囲に展
がって強力な接着力を得るとともに、ノズル穴等への接
着剤の垂れ込みを生じないようにしてある。

【００１３】上記した接着剤は、転写手段に設けられた
凹凸状の当接面に接着剤を均等に塗布し、この当接面を
上記した端面に当接することによって、ドット状に転写
され点在している。

【００１４】また、他の手段においては、転写手段の当
接面にメッシュ部材を載置した状態で接着剤を均等に塗
布した後に表面の余分な接着剤を擦り取り、その後に上
記端面に当接することによってメッシュの穴部内に存在
する接着剤を端面にドット状に転写させ点在させること
により、インクジェットヘッドの製造コストの低減を図
っている。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明のインクジェットヘッドの
製造方法は、複数の流路溝部が刻設してある流路基板の
流路溝形成面にカバープレートを被せることによりイン
ク流路を区画形成し、これらの各インク流路とそれぞれ
対応する複数のノズルを有するノズルプレートをインク
流路の開口端部が位置する端面に接合する工程を含み、
流路基板の端面に接着剤を実質的にドット状に点在する
ように設け、ノズルプレートを流露基板端面に接合する
ところに特徴がある。

【００１６】なお、転写手段に設けられた凹凸状の当接
面に接着剤を均等に塗布し、当該当接面を流路基板の上
記端面に当接し、接着剤をドット状に転写し点在させる
ようにするとよい。

【００１７】また、転写手段の当接面上にメッシュ部材
を載置した状態で接着剤を均等に塗布した後でこれを擦
り取り、その後で当該当接面を流路基板の端面に当接
し、メッシュ部材の穴部内に存在する接着剤を流路基板
端面にドット状に転写し点在させる場合もある。

【００１８】

【実施例】本発明の要部は、既に従来技術の項で説明し
たインクジェットヘッドの製造方法のうち、流路基板の
流路溝部形成面にカバープレートを被せて固着した後
に、インク流路の開口端部が位置する端面にノズルプレ
ートを接合する工程に特徴を有するものである。この接
合工程以外は従来技術と同様であるので、ここではこの
接合工程についてのみ説明する。

【００１９】本発明の要旨である実質的にドット状に点
在する接着剤の端面への形成手段として、この実施例で
は一旦転写手段に接着剤を塗布し、塗布された接着剤を
端面に転写する方法を採用してある。

【００２０】転写手段の当接面を開口部を有する端面に
押圧することにより、当接された端面に付着してドット
状に点在するように転写されるものである。

【００２１】接着剤は、転写手段の当接面に実質的にド
ット状に存在するように均等に分布させてあり、当接面
のうち端面と当接しない部分すなわち開口端部の部分に
存在する接着剤は転写されず、インク流路の開口端部や
ノズル穴等に流れ込むおそれを生じない。こうして実質
的にドット状に接着剤が形成された端面にノズルプレー
トを当接すると，ドット状の接着剤が潰れて周囲に展延
し、当接した両者を強力に接合する。

【００２２】本実施例では、金属製の金網からなるメッ
シュ部材を採用して接着剤をドット状に形成している。
なお、本実施例によって製造されるインクジェットヘッ
ドの構成は従来技術で説明したものと同一であるので、
図面上共通するものについては同一符号を用いることと
する。

【００２３】図１，２は、メッシュ部材１をゴム板から
なる転写手段２の当接面２ａに載置したものによって、
流路基板３の端面３ａに接着剤４をドット状に転写した
状態を示している。

【００２４】流路基板３の上面には、流路溝部３ａが形
成してあり、この流路溝部の形成面にカバープレート５
が固着してある。流路溝部３ａとカバープレート５とに
よって囲まれたスペースがインク流路である。流路溝部
の側壁部に形成してある電極（図５参照）に電圧が印加
されると、側壁部が圧電変形してインク流路の容積を変
化させ、容積の縮小された流路内に供給されたインクに
射出エネルギーを与えるようにしてある。

【００２５】図３に示すように、メッシュ部材１は、細
径の金属ワイヤを縦・横に織り上げたものからなり、各
ワイヤ間には穴部１ａが規則的に配設してある。

【００２６】本実施例における製造方法は、まず、この
メッシュ部材１を転写手段２のゴム板の上面に載置し、
その上にエポキシ樹脂等の接着剤５を均等に塗布した後
に表面の接着剤をスキージ等で擦り取って、穴部１ａに
のみ接着剤が存在するようにして転写工程に備える（図
１，２参照）。

【００２７】次に穴部１ａに接着剤を存在させた転写手
段２を流路基板３の端面３ｃに当接し、穴部に存在する
接着剤を転写する。この時、転写手段２に対し流路基板
３を押圧すると、ゴム板によって押圧されてメッシュ部
材１の穴部１ａ内に存在する接着剤４が押し出され、端
面３ａに付着してドット状に転写される（図２参照）。

【００２８】接着剤は、メッシュ部材１の押圧された部
分の穴部１ａ内に存在するものだけが転写されるので、
押圧された部分すなわち、図４に示すように、インク流
路３ａの開口端部３ｂを除いた端面３ｃにのみ転写され
る。換言すれば、開口端部３ｂと対向するメッシュ部材
１の穴部１ａに存在する接着剤は、押圧力を受けないの
で穴部１ａ内に保持され転写されない。したがってイン
ク流路や開口端部及びノズル穴に接着剤が流れ込むよう
な事態が生じることがなくなる。

【００２９】このようにして、開口端部３ｂを除く端面
３ｃに接着剤４がドット状に転写されたら、続いてノズ
ルプレート６を端面に当接して、ドット状の接着剤４を
押し潰すようにして展げ、端面全体の範囲でノズルプレ
ート６を接合する。

【００３０】なお、ノズルプレート６は、ポリイミドな
どの樹脂プレートからなり、ノズル穴６ａが配設してあ
る。ノズル穴６ａは開口端部３ｃの中央部に位置するよ
うにすることにより、インクの射出が正しく行われる。

【００３１】このようにして組み立てられたものが、従
来技術の項で説明したものと同様のインクジェットヘッ
ドである。ただし本発明によって製造されたインクジェ
ットヘッドは、接着剤の使用量が適度であり、かつ開口
端部には転写されないので、周囲や開口端部に流れ出し
たり、ノズル穴を塞いだりするような従来の不都合は生
じないものとなっている。

【００３２】次に、図示しないが他の実施例について説
明する。この実施例の転写手段は、ローラ状またはプレ
ート状の当接面に凹凸状に形成したシートを載置したも
のからなる。第１の実施例と同じように接着剤の塗布及
び擦り取りを行なった後、この当接面を開口部を有する
端面に押圧することによりシートに点在する凹部に存在
する接着剤が当接された端面に付着してドット状に点在
するように転写される。

【００３３】接着剤は、転写手段の当接面の凹部にのみ
存在するように均等に分布させてあり、当接面のうち端
面と当接しない部分すなわち開口端部の部分に存在する
接着剤は転写されず、インク流路の開口端部やノズル穴
等に流れ込むおそれを生じない。こうして実質的にドッ
ト状に接着剤が形成された端面にノズルプレートを当接
すると，ドット状の接着剤が潰れて周囲に展延し、当接
した両者を強力に接合する。この実施例によると、メッ
シュ部材は不要になる。

【００３４】また他の手段として、転写手段の凹凸状の
当接面に接着剤を塗布した後、擦り取らずに当接面を流
路基板の端面に当接させて、凸部上の接着剤のみを端面
に転写させ、凹部内の接着剤は端面に接触せず転写され
ないようにすることもできる。この場合、当接面の凹凸
の差が大きいことが望ましい、さらに、凹凸をもたない
当接面に実質的にドット状に点在するように接着剤を印
刷等により形成し、この当接面を流路基板端面に当接し
て接着剤を転写させることもできる。

【００３５】本発明によると、当接面の接着剤を転写さ
せる方法をとっており、端面と接触した部分のみ接着剤
が転写されるので、当接面への接着剤形成時に流路開口
端部に対向する部分のみを避ける必要がなく、印刷等に
よる接着剤形成が簡単にできる。また、端面に実質的に
ドット状に接着剤を設けているので、ドットの大きさや
粗密度によって、インク流路にたれ込むことなくしかも
十分な接着強度をもてるように接着剤量を容易に調整で
きる。

【００３６】上記の各実施例では、本発明を流路基板の
端面とノズルプレートとの接合に適用してあるが、流路
基板の流路溝部形成面とカバープレートの接合にも適用
するとなお効果的である。なお、本発明は、他の型式の
インクジェットヘッドにも適用可能である。

【００３７】

【発明の効果】本発明によれば、流路基板の端面上に接
着剤をドット状に点在するように、しかも開口端部を除
いた部分的な転写を行なうものであるため、余分な接着
剤が流れ出してインク流路やノズル穴を塞ぐことにより
インクの射出に支障を生じさせるようなことがなくな
る。

【００３８】また、接着剤をドット状に転写する手段と
して、転写手段の上面にメッシュ部材を載置して用いる
ようにすれば、転写が容易に行え、インクジェットヘッ
ドの製造コスト低減に寄与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例における接着剤の転写の要領を示す一
部切欠断面図である。

【図２】図１Ａ部の拡大図である。

【図３】メッシュ部材の例を示す平面図である。

【図４】流路基板の端面に接着剤がドット状に転写され
た状態およびノズルプレートを接合した状態を示す正面
図である。

【図５】インクジェットヘッドの全体の構成を示す斜視
図である。

【符号の説明】

１ メッシュ部材 １ａ 穴部 ２ 転写手段 ３ 流路基板 ３ａ 流路溝部 ３ｃ 端面 ４ 接着剤 ５ カバープレート ６ ノズルプレート

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の流路溝部が刻設してある流路基板
   の流路溝形成面にカバープレートを被せることによりイ
   ンク流路を区画形成し、上記各インク流路とそれぞれ対
   応する複数のノズルを有するノズルプレートを上記イン
   ク流路の開口端部が位置する端面に接合する工程を含
   み、上記流路基板の上記端面に接着剤を実質的にドット
   状に点在するように設け、上記ノズルプレートを上記流
   路基板の上記端面に接合することを特徴とするインクジ
   ェットヘッドの製造方法。
2. 【請求項２】 請求項１において、転写手段に設けられ
   た凹凸状の当接面に接着剤を均等に塗布し、当該当接面
   を上記流路基板の上記端面に当接することによって上記
   端面に接着剤をドット状に転写し点在させることを特徴
   とするインクジェットヘッドの製造方法。
3. 【請求項３】 請求項１において、転写手段の当接面上
   にメッシュ部材を載置した状態で接着剤を均等に塗布し
   た後で擦り取り、その後で当該当接面を上記流路基板の
   上記端面に当接することによって、上記メッシュの穴部
   内に存在する接着剤を上記端面にドット状に転写し点在
   させることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方
   法。