JP4671588B2 - 投写光学ユニット及び投写型カラー映像表示装置とこれを用いた背面投写型カラー映像表示装置 - Google Patents
投写光学ユニット及び投写型カラー映像表示装置とこれを用いた背面投写型カラー映像表示装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡大画像をスクリーンに投影して画像表示を行う投写型カラー映像表示装置、該拡大画像をスクリーン背面から投影する背面投写型カラー映像表示装置、及びこれらに用いられる投写光学ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
映像表示素子の画像を投写光学ユニットによってスクリーン上に拡大投影するカラー映像表示装置においては、スクリーン上で充分な大きさの拡大映像を得つつ投写距離を短縮することが要求される。これを実現するために、例えば下記特許文献1〜3に記載されているように、スクリーンに対して斜め方向から拡大投写する構成の投写光学ユニットが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−134213号公報
【特許文献2】
特開2000−162544号公報
【特許文献3】
特開2002−357768号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
映像をスクリーンに対して斜め方向から投写すると、投写映像に所謂台形歪みが生じる。これを解消するために、上記特許文献1に記載の投写光学ユニットでは、スクリーン側に配置したアフォーカルコンバータを偏心させて台形歪み抑える構成としている。特許文献1に開示されたアフォーカルコンバータは、倍率が低いため広角化が困難である。また上記特許文献2に記載の投写光学ユニットにおいては、背面投写型カラー映像表示装置として十分に薄型化できるほどの広角化は困難である。また、使用するレンズを個別に偏心させる必要があるため製造が難しいという問題点もある。さらに上記特許文献3に記載の投写光学ユニットは、正のパワーを有する第1屈折レンズ系と、負のパワーを有する第2屈折レンズ系と光路折り返しミラーとを有し、負のパワーを有する第2屈折レンズ系の内、少なくとも2枚は回転対称性が異なる偏心系としている。このため、製造時に各レンズの位置精度確保が難しいという問題点がある。
【0005】
さらに、上記従来技術においては投写光学ユニットのみに着目し設計がなされており照明光学系を含めたシステム全体での最適設計がなされていなかった。
【0006】
映像表示素子として透過型液晶パネルを用いた従来のカラー映像表示装置に使用される投写光学ユニットの課題として、前述したように、セットのコンパクト化に必要な広画角化の他に、パネルの高解像度化に対応したハイフォーカス化、及びパネルやカラー映像表示装置のダウンサイジング化に対応した高倍率化、が挙げられる。
【0007】
一方、映像表示素子として反射型液晶パネルを用いた場合には、画素電極を液晶層の裏面に配置できるので高開口率が実現できる。このため、透過型液晶パネルに対して以下の特徴がある。
(1)同一解像度の場合にはパネルサイズを一回り小さくできる。
(2)同一パネルサイズの場合にはより多くの画素数が得られる(高解像度化)。
【0008】
このため、反射型液晶パネルを用いたカラー映像表示装置に使用される投写レンズ装置は、透過型駅用パネルを用いたものに対し、更なるハイフォーカス化、及び高倍率化が望まれる。さらに、反射型液晶パネルを使用した画像投影装置の光学系では、映像表示素子と投写レンズ装置の間には色合成プリズムの他に大きな空気間隔が存在するため、より一層長いバックフォーカスが必要となる。
【0009】
また、以上述べた投写型カラー映像表示装置においては、使用するパネルの有効画面寸法に合わせて新規に投写光学ユニットを設計開発するため多額な開発投資を必要としていた。
【0010】
このように、背面投写型カラー映像表示装置においては、寸法のコンパクト化を実現すべく、広画角でかつハイフォーカス、更に高倍率でバックフォーカスが長い投写光学ユニットが必要となる。また、有効画面寸法や方式が異なるパネルを使用した場合でも、新規に照明光学系の全てや投写光学ユニットを設計開発することなく、標準品の一部変更で対応可能にして開発投資の少なくすることが望ましい。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、セットのコンパクト化を実現可能な技術を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、映像表示素子からスクリーンまでの光路の間に、第1の拡大像を形成するための正の屈折力を持つ第1のレンズ群と、該第1のレンズ郡のスクリーン側に位置し前記第1のレンズ群によって得られた第1の拡大像を更に拡大して前記スクリーンに第2の拡大像を形成するための、正の屈折力を持つ第2のレンズ群とを配置し、前記第1の拡大像が前記第2レンズ群よりも映像表示素子側において結像する構成を特徴とするものである。
【0013】
また、第1レンズ群と前記第2レンズ群の間に正の屈折力を持つフィールドレンズ群を配置し、前記第1の拡大像の倍率M1を前記第2の拡大像の倍率M2より小さくする。また、前記第1レンズ群は、映像表示素子側にテレセントリックで照明光学系のF値に合わせて設計するとよい。
【0014】
第1レンズ群による第1の拡大像は、第2レンズ群よりも映像表示素子側において結像するので第2群のF値であるF2(光線の発散角度)は、第1レンズ群のF値であるF1を第1の拡大像の倍率M1で除した値、すなはちF2=F1/M1となる。このため第2レンズ群のF2を大きくとれるので画角が90度を超える超広角化に対して有利になる。
【0015】
さらに、前記第1レンズ群による形成される第1の拡大像は、前記フィールドレンズ群近傍で結像する。例えば前記第1群レンズ側に結像することでフィールドレンズ群にゴミが付着してもスクリーン上の拡大像に影響を与えることがない。
【0016】
また、投写型カラー映像表示装置そのものをコンパクトにする第1の実現手段として、以下のものが挙げられる。
(1)前記第2レンズ群とフィールドレンズ群の間に光路折り返し手段を設ける。この光路折返しの具体的な技術手段としてプリズムを用いてもよく、折り返
しミラーを用いればコストアップを抑えてコンパクト化が実現できる。
(2)更に第1レンズ群を構成するレンズ素子とレンズ素子の間に光路折り返し手段を設ける。
(3)加えて第2レンズ群構成するレンズ素子とレンズ素子の間に光路折り返し手段を設ける。
また、投写型カラー映像表示装置そのものをコンパクトにする第2の実現手段として、以下のものが挙げられる。
(4)2つのレンズ群を有する投写光学ユニットの場合には、上記第1レンズ群の光軸と上記第2レンズ群の光軸をずらして配置する。すなわち、第2レンズ群を第1の拡大像に対してシフトさせて配置し、折り返しミラーを介してスクリーン上に拡大像を得ることで更なるコンパクト化が実現できる。
(5)2つのレンズ群を有する投写光学ユニットの場合には、上記第1レンズ群をスクリーン画面水平方向に概ね平行となるように配置する。更に、第1のレンズ群と第2のレンズ群との間には光路折り返し手段を設け、該第2のレンズ群をスクリーン画面水平方向に対して概ね垂直となるように(すなわち、第1のレンズ群の光軸と第2のレンズ群の光軸とが互いに直交するように)配置し、折り返しミラーを介してスクリーン上に拡大像を得ることで更なるコンパクト化が実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の投写光学ユニットを用いた投写型カラー映像表示装置及び背面投写型カラー映像表示装置について図面を参照にして説明する。
【0018】
図1は本発明の投写光学ユニットを用いた背面投写型カラー映像表示装置の第1の実施例についての正面図である。同図において、1は照明光学系、5は筺体、6はスクリーン、7は光路折り返しミラーである。4は、白色光源からの光を照明光学系1で映像表示素子(図示せず)に照射し、映像表示素子で映像信号に応じて形成された光学像を投写光学ユニットで拡大投写する光学ユニットを示している。また、3は投写光学ユニットの正の屈折力を有する第1レンズ群(図示せず、後述)を内蔵する第1レンズ鏡筒、2は投写光学ユニットの正の屈折力を有する第2レンズ群(図示せず、後述)を内蔵する第2レンズ鏡筒を示している。光学ユニット4は図示しない電源や表示駆動回路等とともにシャーシ(図示せず)に組み込まれ、投写型カラー映像表示装置を形成している。以下ではこの投写型カラー映像表示装置を光学ユニット4で代表して示す。
【0019】
光学ユニット4は、図2のように筐体5の下部に配置され、これから投写された映像光は光路折り返しミラー7で折り返えされてスクリーン6の背面側からスクリーン6に投写される。
【0020】
本発明の投写光学ユニットは、光軸がスクリーン6の画面水平方向に概ね平行になるように配置された第1レンズ鏡筒3に内蔵された第1レンズ群(図示せず、後述)と、その光軸が第1レンズ群の光軸と略直交するように配置された第2レンズ鏡筒2に内蔵された第2レンズ群(図示せず、後述)とからなり、第1レンズ群と第2レンズ群との接続部分には第1レンズ群からの映像光を第2レンズ群に導光するように光路を折り返す光路折り返し手段(図示せず、後述する)が備えられている。
【0021】
このように、本発明の投写光学ユニットは、少なくとも2つのレンズ群に分割され、その光軸が略直交するように配置され、第1レンズ群の光軸は、スクリーン6の画面水平方向に概ね平行になるように配置されているので、背面投写型カラー映像表示装置の奥行きを薄くすることができ、さらに投写光学ユニットの高さ方向も低くすることができ、セット全体のコンパクト化に有効である。光源として水平点灯用の光源ランプを用い、この光源ランプを画面水平方向に概ね並行に配置した場合には、特に、有効となる。
【0022】
ここで、以下の説明を容易とするため、右手系直交座標を導入する。図1でスクリーン6はYZ平面に平行で、スクリーン6の水平(横)方向をZ軸方向とし、垂直(縦)方向をY軸方向とする。スクリーン6を表側(観察者側)から裏面へ突き抜ける方向はX軸である。
【0023】
図2は本発明の投写光学ユニットを用いた背面投写型カラー映像表示装置の側面図で、図1に示した構成部品と同一の作用を有するものには同一符号を付してある。図2において、第1レンズ鏡筒3に内蔵される第1レンズ群(図示せず)の光軸31(同図中のZ軸、以下第1レンズ鏡筒の光軸と省略する)と第2レンズ鏡筒2に内蔵される第2レンズ群(図示せず)の光軸21(以下第2レンズ鏡筒の光軸と省略する)は、内蔵した光路折り返し手段(図示せず)によって概ね直交するように配置されている。更に、第2レンズ鏡筒2の光軸21を前記第1レンズ鏡筒3の光軸31に対して図紙面右側方向の略X軸方向に偏心させることで、スクリーン6に対して投写光学ユニットの光軸が偏心するので、光路折り返しミラー7からスクリーン6の下端に向かう光線LDとX軸とのなす角度が大きくなる。よって、その分光学ユニット4の位置を画面垂直方向上部方向のY軸方向に持ち上げることが可能となり、第2レンズ鏡筒2をスクリーン6の下端より画面垂直方向上部に配置できる。このような構成によれば、スクリーン下端から筐体5の底面までの距離が短いコンパクトなセットが実現できる。
【0024】
図3は本発明の投写光学ユニットを用いた背面投写型カラー映像表示装置の第2の実施例についての正面図である。同図において、11は照明光学系、15は筺体、16はスクリーン、17は光路折り返しミラー、14は光学ユニットを示している。また、13は第1レンズ群(図示せず)を内蔵する第1レンズ鏡筒、12は第2レンズ群(図示せず)を内蔵する第2レンズ鏡筒を示している。第1レンズ鏡筒13の光軸は、第1の実施例と同様にスクリーン16の画面水平方向(図中Z軸)に概ね平行になるように配置されており、セット全体のコンパクト化に有効である。
【0025】
図4は本発明の投写光学ユニットを用いた背面投写型カラー映像表示装置の第2の実施例についての側面図で、図3に示した構成部品と同一の作用を有するものには同一符号を付してある。第1レンズ鏡筒13の光軸131(同図中のZ軸)と第2レンズ鏡筒の光軸121は、内蔵した図示しない光路折り返し手段(後述)によって概ね直交配置される。更に、第2レンズ鏡筒12の光軸121を前記第1レンズ鏡筒13の光軸131に対して図2の場合とは逆側(即ち図4紙面左側方向の略X軸方向)に偏心させ、かつ、第2レンズユニット12の投写距離を短縮する。これにより、光路折り返しミラー17が立ち上がってスクリーン16とのなす角度が小さくなるとともに、スクリーン側に近づき、直接セット奥行きが低減できコンパクトなセットが実現できる。ただし、筐体15の高さは高くなる。
【0026】
次に、前記した第1の実施例に用いた本発明における投写型カラー映像表示装置の投写光学ユニットの詳細構成について図5を用いて説明する。説明の都合上、図1に示した構成部品と同一の作用を有するものには同一符号を付してある。
【0027】
同図において、21は光源である白色ランプ、4は映像表示素子として透過型液晶パネル51(52,53)を使用した場合の光学ユニットを示している。
【0028】
白色ランプ21からの光は、図示しない照明光学系で偏光変換/分光されて透過型液晶パネル51(52,53)に照射される。透過型液晶パネル51(52,53)では入射された各色光が光強度変調されて光学像が形成され、この各色光の光学像はクロスプリズム27で合成されてカラー映像とされ、投写光学ユニット210で拡大される。
【0029】
投写光学ユニット210は、第1レンズ鏡筒3に内蔵されている正の屈折力を有する第1レンズ群22およびフィールドレンズ23と、正の屈折力を有する第2レンズ鏡筒2に内蔵されている第2レンズ群24とからなり、第1レンズ鏡筒3と第2レンズ鏡筒2との接続部分には、第1レンズ群22,フィールドレンズ23からの映像光を第2レンズ群24に折り返して導光する光路折り返し手段25が備えられている。なお、31と21は、前記した第1レンズ群22の光軸と第2レンズ群24の光軸である。また、図5ではフィールドレンズ23はレンズ1枚で図示されているが、複数枚からなるレンズ群であってもよい。
【0030】
本発明では、クロスプリズム27により合成された映像は、第1レンズ群22によりフィールドレンズ23の近傍に一旦拡大像として結像(倒立像、一例を図5にIMGで示す)する。そして、第2レンズ群24の光軸21を光路折り返し手段25により第1レンズ群22の光軸31に対して概ね垂直に配置するとともに、例えば略X軸の正方向(図2では図紙面右側方向)に偏心させる。
【0031】
照明光学系のF値は概ね2.0から3.0程度であるため第1レンズ群22のF値も同程度として効率良く光束を取り込む必要がある。透過型液晶パネルの有効画面サイズを0.7インチとし、第1レンズ群による拡大率M1を3倍とすればフィールドレンズ23近傍の拡大像は2.1インチ相当となる。この時第2レンズ群24から物体(第1レンズ群22の拡大像(図中のIMG))をみた場合の光束の入射角度は倍率Mに反比例するので、第2レンズ群24のF値は理論上9.0程度となる。このため第2レンズ群24の画角を超広角に設計することが可能となる。ここで、スクリーン対角サイズを50インチとすると、この場合第2レンズ群24の倍率M2は約24倍程度となる。すなわち、第1レンズ群22の倍率M1は第2レンズ群24の倍率M2より小さくなる。
【0032】
また、本発明の投写型光学ユニット210は、正の屈折力を有する第1レンズ群と第2レンズ群を含むので、クロスプリズム27により合成された映像を第1レンズ群22でフィールドレンズ23の近傍に倒立像(第1の拡大像)として結像し、この倒立像を第2レンズ群でスクリーン上に正立像(第2の拡大像)として投写する。一般の投写型カラー映像表示装置では、スクリーン状に投写された投写像は映像表示素子上の映像に対して倒立しているが、本発明では正立する特徴を備えている。
【0033】
図5に示した本発明の投写型カラー映像表示装置において映像を合成するクロスプリズム27に対して映像表示素子である透過型液晶パネルは画面水平方向をXY平面に配置するとよい。この理由は、クロスプリズムの寸法は、画面のアスペクト比が短い方向の寸法で決まるため投写レンズのバックフォーカスを短く出来る。従って、クロスプリズムを小型化できるのでコスト低減に有利になる。更に、光源用ランプ21と第2レンズ群24の光軸を略垂直に配置できる。このため、図1または図2に示したように、本発明の投写型カラー映像表示装置を用いて背面投写型映像ディスプレイ装置を構成した場合には、水平点灯用の光源ランプを画面水平方向に概ね並行に配置できる。よって、XY平面上で投写型カラー映像表示装置の仰角が変化しても、ランプの寿命を損なう事無くセット内部のレイアウトを決定できる。
【0034】
図6は第1レンズ群と第2レンズ群の間に配置した光路折り返し手段26として全反射ミラーを使用した場合の実施例を示している。同図において図5に示した構成部品と同一の作用を有するものには同一符号を付し、個々の構成部品の作用は図5に示した実施例と同じであるため説明は割愛する。
【0035】
図5及び図6に示した本発明の投写型カラー映像表示装置においては、第2レンズ群24の光軸21を第1レンズ群22の光軸31に対して、例えばXZ平面において略X軸の正方向(図2では図紙面右側方向)に偏心させる。これにより、図2に示したスクリーン下端から底面までの距離が短いコンパクトなセットが実現できる。さらに第2レンズ群の投写距離を短縮するとともに上記とは逆側(図4では図紙面左側方向)に偏心させることで図4に示したようにコンパクトなセットが実現できる。
【0036】
すなわち、照明光学系と第1レンズ群は共用化し、第2レンズ群の投写距離や両者の偏心量だけを変更することで全く異なったフォルムのセットを実現できる。このため、セットの機種展開を最小限の金型投資にて実現できるので開発効率に優れている。
【0037】
さらに、第2レンズ群24の光軸21を第1レンズ群22の光軸31に対して、例えばXZ平面においてZ軸方向に偏心させることで、第2レンズ群をスクリーン画面中央に配置する必要がなくなる。これにより、セット内部のレイアウトの自由度が増すのでよりコンパクトなセットが実現できる。
【0038】
一方、透過型液晶パネルの有効画面サイズが変わっても、照明光学系の一部の変更と、第1レンズ群のみ変更するだけで、同一のフォルムのセットにそのまま適用可能となるのでセットの開発効率が優れた投写光学ユニットが実現できる。
【0039】
第1レンズ群22により得られる拡大像の倍率は、使用する映像表示素子の有効画面サイズにより異なるが2倍から7倍程度がよい。第1レンズ群から結像位置までの距離を最適な範囲内に抑え、かつ第1及び第2レンズ群のレンズ外形を製造可能な範囲とするためには、2倍から5倍以内にすると更に良い。
【0040】
また、図5及び図6に示す本発明の実施例において、第2レンズ群24の光軸を第1レンズ群22の光軸に対してXZ平面上に偏心させ、この偏心量を適宜選択する。こうすることで、たとえば図1に示すように、透過型スクリーン6に対する偏心量を任意に変更できる。従って、同一画面サイズでもセットのフォルムを自由に変更でき、デザインの自由度が大幅に向上する。
【0041】
図7は前記した第1の実施例に用いた本発明の投写型カラー映像表示装置において、映像表示素子として透過型液晶パネルを用いた場合の照明光学系を示す配置図である。
【0042】
白色光源であるランプ管球30から放射された白色光束は、リフレクタ31により反射され、所望の光束となって防爆ガラス33を通過する。この光束は、フライアイレンズ34により分割され、偏光ビームスプリッタ35により単一偏光される。この単一偏光となった分割光束は、対向した位置に配置されたフライアイレンズ36とフィールドレンズ37により液晶パネル(G)51,液晶パネル(B)52,液晶パネル(R)53上に、拡大投写されるとともに重ね合わされる。このためパネルに入射する光束のエネルギー分布が均一化される。また、白色光束は、光路に配置されたダイクロイックミラー38により赤色光束とシアン光束に分離される。赤色映像光の色度はダイクロイックミラー38の分光反射特性とレンズ53´に設けたトリミングフィルターの分光反射特性により色純度を向上させる。
【0043】
さらにダイクロイックミラー39は緑色領域の光を反射する特性を有している。またレンズ51´には赤色と同様にトリミングフィルターが用いられている。
最後に残された青色光束は例えばミラー41、ミラー42又はレンズ52´に設けられたダイクロイックミラーの特性により分光される。短波長側はUVカットフィルターを設けたフライアイレンズ34とレンズ44によりカットされる。
【0044】
以上が映像表示素子として透過型液晶パネルを使用した場合の本発明の照明光学系における色分離部の説明である。前述した技術手段により赤、緑、青に分離された色光束は、それぞれに対応する透過型液晶パネル53,51,52に入射し映像信号の振幅に合わせて出射する光束量(光量)が変調される。変調されたそれぞれの色の光束は、クロスプリズム27により合成され、投写光学ユニット210によりスクリーン上に拡大投影される。
【0045】
図8は、本発明の投写型カラー映像表示装置において、映像表示素子として透過型液晶パネルを用いた場合の、照明光学系の別の実施例を示す配置図である。白色光源であるランプ管球30から放射された白色光束は、リフレクタ31により反射され、収束光束となって防爆ガラス33を通過する。この防爆ガラス33を通過した光束は、ライトファネル61内部で複数回反射されることで分割され、偏光ビームスプリッタ62により単一偏光とされる。この単一偏光となった分割光束は、拡大用のレンズ63及びレンズ64により液晶パネル(G)51,液晶パネル(B)52,液晶パネル(R)53上に、拡大投写されるとともに重ね合わされる。このためパネルに入射する光束のエネルギー分布が均一化される。以降に配置された光学部品の作用効果は前述した図7の照明光学系の実施例と同一であり同一符号を付すとともに個々の説明についても割愛する。
【0046】
以上、本発明の照明光学系について透過型液晶パネルを用いた場合について説明したが、映像表示素子として反射形液晶パネルを用いる場合においても、映像が合成されたあとにおいては、本発明の投写光学ユニットが適用可能であることは言うまでもない。
【0047】
本発明の投写光学ユニットは、前述したように、少なくとも2群以上のレンズ群から構成される。フィールドレンズ群の位置は、光路折り返し手段に対して第2レンズ群側でも第1レンズ群側でも配置できるのでレイアウトの自由度が大きい。但し、フィールドレンズを光路折り返し手段より第2レンズ群側に配置すると、フィールドレンズ群と第2レンズ群を構成する個々のレンズの口径が大きくなりコストアップにつながる。また、フィールドレンズのレンズ面が第1レンズ群の結像面に近いので、フィールドレンズのレンズ表面にゴミが付着した場合には最終的にスクリーン拡大映像の画質を損なう可能性が生じる。よって、このような場合は、設計上、注意が必要となる。
【0048】
上述したように、本発明の投写光学ユニットは、少なくとも2つ以上のレンズ群からなり、図5または図6に示すように映像表示素子である透過型液晶パネルと第1レンズ群22の間には色合成用のクロスプリズム27が存在するため、必然的に第1レンズ群はレトロフォーカスタイプとなる。さらに、照明光学系の光束がほぼ平行であることからテレセントリックな光学系で、この第1レンズ群22の拡大像はフィールドレンズ群23の近傍に結像する。
【0049】
本発明の投写光学ユニットの実施例として第1レンズ群22のレンズデータを図9に、レンズの構成を図10に示した。図10において、各レンズに付した符号は図9におけるレンズ面符号と一致している。図9のSa6面からSa7面がクロスプリズム27(図5及び図6)であり、第1レンズ群22はSa8面からSa18面でフィールドレンズ23はSa20,Sa21面であり、第1の結像位置はSa21面で、図10においてはIMGと表記している。
【0050】
図11は、光軸上で結像する光束φ1及び画面中域で結像する光束φ2及び画面周辺で結像する光束φ3及びφ4についての光線追跡結果を示している。
【0051】
図16は、本発明の投写光学ユニットの実施例として示した第1レンズ群による結像性能を示すため、物面であるパネルサイズを0.7インチ,アスペクト比16:9とした場合における結像面(IMG)でのスポット図である。青色光として波長450nm光線、緑色光として波長545nmの光線、赤色光として波長625nmの光線を重ね合わせて評価している。スポットサイズで50μm程度に収束されており良好な性能が得られている。
【0052】
次に、超広角な本発明の投写光学ユニットの実施例として、第2レンズ群24のレンズデータを図12に、レンズの構成を図13に示す。図12において各レンズに付した符号は図12におけるレンズ面符号と一致している。図12においてSb0面は第1レンズ群の結像面(IMG)であると共に第2レンズ群24の物面となる。
【0053】
第2レンズ群24は、Sb1面からSb20面で、レンズ面を表す非球面式及び係数は同図中に併記したように、プラスチック非球面レンズはSb1,Sb2面とSb15,Sb16面とSb19,Sb20面の6面すなわち3枚からなる。通常、照明光学系のF値に合わせて第1レンズ群のF値を決定するが、本発明の実施例における第1レンズ群のF値は3.0である。また投写倍率が3倍であるため、第2レンズ群のF値は9.0でも充分な光束を取り込むことが可能となる。また第2レンズ群のF値を9.0と大きくできるので、50インチ投写時での最終面(Sb20面)からスクリーン面までの間隔(投写距離)は425mmであり画角は113度と超広角な投写光学ユニットが実現できる。
【0054】
図14は光軸上で結像する光束φ1及び画面中域で結像する光束φ2及びφ3、画面周辺で結像する光束φ4及びφ5についての光線追跡結果を示している。
【0055】
図17は、本発明に係る投写光学ユニットの第2レンズ群24による結像性能を示すものである。この図は、物面を2.1インチ,アスペクト比16:9としてさらに偏心量を7:1として物面を大きくした場合のスクリーン面でのスポット図である。青色光として波長450nm光線、緑色光として波長545nmの光線、赤色光として波長625nmの光線を重ね合わせて評価している。スポットサイズで30μm程度に収束しており良好な性能が得られている。
【0056】
図15は、本発明に係る投写光学ユニットの第2レンズ群24の光軸と第1レンズ群22とフィールドレンズ23の光軸を偏心量L1として偏心させて(アスペクト比16:9の短辺に対して7:1)配置した場合の光線追跡結果を示すものである。また図18は、本発明に係る投写光学ユニットの第1レンズ群の物面であるパネルサイズを0.7インチ,アスペクト比16:9とし、第2レンズ群の物面(第1レンズ群の像面)を2.1インチ,アスペクト比16:9として、さらに偏心量を7:1として物面を大きくした場合のスクリーン面でのスポット図である。青色光として波長450nm光線、緑色光として波長545nmの光線、赤色光として波長625nmの光線を重ね合わせて評価している。スポットサイズで1.8mm程度に収束しており良好な性能が得られている。
【0057】
以上述べたように、本発明の投写光学ユニットを採用した投写型カラー映像表示装置においては、反射スクリーンまでの距離が短くても充分拡大倍率が得られ迫力ある画面を楽しむことが可能となる。さらに、背面投写型カラー映像表示装置に本発明の投写光学ユニットを使用することで、折り返しミラー1枚でもコンパクトなセットが実現できる。
【0058】
なお、本発明による投写光学ユニットは、背面投写型カラー映像表示装置に限定されるものではなく、スクリーンの前面から投写する前面投写型カラー映像表示装置に適用できるのは、いうまでもないことである。
【0059】
以上の通り、本発明の投写光学ユニットによれば、高倍率化してもセットのコンパクト化に必要な超広画角化とハイフォーカス化が両立できる。また使用する映像表示素子の有効画面サイズが変わっても投写光学ユニットの一部を変更することで対応が可能となるので、これを採用したカラー映像表示装置や背面投写型カラー映像表示装置では、セットのサイズ展開、映像表示素子の有効表示領域の変更に伴う機種展開に対する開発コストを低減できるという従来にない大きなメリットを得ることができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、セットのコンパクト化が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態である背面投写型カラー映像表示装置の正面図。
【図2】本発明の第一の実施形態である背面投写型カラー映像表示装置の側面図。
【図3】本発明の第二の実施形態である背面投写型カラー映像表示装置の正面図。
【図4】本発明の第二の実施形態である背面投写型カラー映像表示装置の側面図。
【図5】本発明の第一の実施形態である投写型カラー映像表示装置の上面図。
【図6】本発明の第二の実施形態である投写型カラー映像表示装置の上面図。
【図7】本発明の第一の実施形態である投写型カラー映像表示装置の照明光学系を示す配置図。
【図8】本発明の第二の実施形態である投写型カラー映像表示装置の照明光学系を示す配置図。
【図9】本発明の第一の実施形態である投写光学ユニットの第1レンズ群のレンズデータを示す図。
【図10】本発明の第一の実施形態である投写光学ユニットの第1レンズ群のレンズ配置を示す図。
【図11】本発明の第一の実施形態である投写光学ユニットの第1レンズ群に対する光線追跡結果を示す図。
【図12】本発明の第一の実施形態である投写光学ユニットの第2レンズ群のレンズデータを示す図。
【図13】本発明の第一の実施形態である投写光学ユニットの第2レンズ群のレンズ配置を示す図。
【図14】本発明の第一の実施形態である投写光学ユニットの第2レンズ群に対する光線追跡結果を示す図。
【図15】本発明の第一の実施形態である投写光学ユニットの光線追跡結果を示す図。
【図16】本発明の一実施形態である投写光学ユニットの第1レンズ群による結像面でのスポット形状を示す特性図。
【図17】本発明の一実施形態である投写光学ユニットの第2レンズ群による結像面でのスポット形状を示す特性図。
【図18】本発明の一実施形態である投写光学ユニットによる結像面でのスポット形状を示す特性図。
【符号の説明】
1…照明光学系、5,15…筺体、6,16…スクリーン、7,17…光路折り返しミラー、4,14…光学ユニット、3,13…第1レンズ鏡筒、2,12…第2レンズ鏡筒、22…第1レンズ群、24…第2レンズ群、23…フィールドレンズ、25…光路折り返し手段、26…光路折り返しミラー、27…クロスプリズム、30…白色光源,31…リフレクタ、33…防爆ガラス、34,36…フライアイレンズ、37,44,45…フィールドレンズ、51…液晶パネル(G)、52…液晶パネル(B)、53…液晶パネル(R)、38…ダイクロイックミラー(赤色光束とシアン色光束に分離)、39…ダイクロイックミラー(緑色領域の光を反射)、41,42,43…光路折り返しミラー、51´,52´,53´…レンズ、210…投写光学ユニット、35,62…PBS(偏光ビームスプリッタ)、61…ライトファネル、63,64…拡大用レンズ、φ1,φ2,φ3,φ4,φ5…光束
Claims (1)
- 背面投写型カラー映像表示装置において、
映像表示素子と、
スクリーンと、
前記映像表示素子に表示された画像を拡大して前記スクリーンの背面から投影する投写光を投写する投写光学ユニットと、
前記投写光学ユニットからの投写光をスクリーンに向かって反射する第1の光路折り返しミラーとを備え、
前記投写光学ユニットは、画面水平方向に画像光束を導くとともに、前記映像表示素子に表示された画像を拡大して第1の拡大像を形成する第1のユニットと、該第1のユニットによって導かれた画像光束を、画面水平方向と直交する方向に折り返す第2の光路折り返しミラーと、該第2の光路折り返しミラーによって折り返された画像光束を前記第1の拡大像を更に拡大した第2の拡大像として前記スクリーンに投影する第2のユニットとを含み、
前記第2のユニットから前記第1の光路折り返しミラーを介して前記スクリーンに至る前記第2のユニットの光軸は、前記スクリーンに対して概ね垂直である、背面投写型カラー映像表示装置。
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