JP4671510B2 - 自動装填に適したブリスター包装容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はブリスター包装容器に関する。更に詳しくは、壊れやすい物、振動を嫌う物等を保存、輸送するためのブリスター包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック成型による包装容器の製造において、所謂、深絞り成型(ブリスター成型)が広く採用されている。これは、プラスチックシートを加熱下にプレスしてポケットを形成させ、該ポケット内に製品を装填することにより包装が行われる。ガラス製品、精密機械部品その他壊れやすい物、振動を嫌う物等を保存、輸送するためにブリスター包装容器が採用されているが、成型ポケットの形状は包装される物の大まかな外形に相当するもの、或いは、縦長方向にやや余裕を持たせた緩やかなロック機構を付加したものが多く、かかる形状においては、包装容器内で内容物が充分には固定されず、前後左右、或いは、上下に動くことが避けられない。従来の成型ポケットがこのような欠陥を有しているのは、包装容器への内容物の装填を容易に行うためであり、包装容器内での多少の移動・振動は止むを得ないとされてきたためであると考えられる。然しながら、包装容器内で充分な固定が行われていない場合、内容物が輸送中に過度に振動し、破壊や変形の原因となる。このような物の一例として、薬液を充填した注射器が挙げられる。薬液を充填した注射器の包装にブリスター成型容器による包装が通常用いられているが、包装容器内で充分な固定が行われているとはいい難い。注射器内の液体が輸送中に過度に振動することは好ましくなく、特に振動を嫌う液体、例えば、タンパク質溶液等においては変質や沈殿の原因となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のブリスター包装容器の内蔵する欠点の改良を目的としてなされたもので、装填される物が包装容器内で移動・振動することなく適度に固定され、しかも包装容器への装填が機械によっても容易に行うことができ、所謂、高速自動装填に適しており、且つ、装填されている物を取り出すことが容易である、一体成型タイプの包装容器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、包装される物の一部分の周りにその全周に亘って形成される3以上の空間部と、包装される物の一部分を固定すべくその部分に合わせて絞って成形され、前記いずれかの空間部の間に位置して前記物を空中に浮かんだ状態に保持する1又は2以上のロック部とを有し、かつ、包装される物のバレル部を収納する空隙部の横幅がこのバレル部を収納する空隙部の両端に位置する空隙部の横幅と同等であると共に、前記空間部の少なくとも1つが包装される物の長さに合わせて形成され、前記物の縦軸方向への移動を制限することを特徴とするブリスター包装容器である。また、本発明は、前記ブリスター包装容器において、その空間部が、包装される物を装填するための空間と、包装されている物を取り出すための空間とに分けて別々に設けられていることを特徴とするブリスター包装容器である。更に、本発明は、前記ブリスター包装容器において、そのロック部の縦方向長さが空間部の縦方向長さより短いことを特徴とするブリスター包装容器である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のブリスター包装容器は、ロック部と空間部を備えていることに特徴があり、ここで、ロック部とは、包装される物の一部分を固定するべく、その部分に合わせて絞って成型された部分をいい、空間部とは、包装される物の一部分の周りに形成されている空間をいう。
【0006】
装填する際には、この空間に包装される物を掴んだアームが入り、当該物をロック部に押し込んで固定するための操作をすることができ、また、取り出す際には、この空間に指を入れて包装されている物をロック部から外すことができる。
【0007】
図1はその一例を示し、ブリスター包装容器1に壊れやすい物2が装填されている。図1中、ロック部3の破線aにおける断面図を図3に示す。即ち、包装されている物2は、ロック部3(図1の例では2箇所設けられている)において当該物の形状に合わせて絞り込まれた容器壁により固定される。空間部4は、図1中破線bにおける断面を図4に示すように、包装されている物の周りに空間を形成しており、この空間を利用して、当該物を容器に装填し、或いは取り出すことができる。図2は図1の側面図であり、包装されている物が空中に浮かぶ形になっており、落下等の衝撃から保護されることを示している。なお、図1においては、空間部4が3箇所設けられているが、左右の空間部は、縦軸方向の長さを包装される物の長さに合わせて調整されおり、当該物の縦軸方向への移動を制限する。
【0008】
図5、図6は、壊れやすい物の代表例である、ワイングラスを包装する場合における、ロック部3と空間部4の関係を示す。図5は上面図であり、図6は側面図である。図5において、中央の空間部4を利用して、ワイングラスの包装容器への装填、包装容器からの取り出しが行われる。左右の空間部4は、その縦軸方向の長さを適当に選ぶことにより、ワイングラスの縦軸方向の移動を制限する。
【0009】
本発明のブリスター包装容器は、薬液を充填した注射器を機械による高速自動包装ラインに載せる場合に適する。図7は上面図、図8は側面図、図9a〜dは、図8中破線a〜dにおける断面図である。図11は収納の状態を示す斜視図である。
【0010】
図7、図8に示すように、薬液を充填した注射器が包装容器内に収納され、バレル6の一部がロック部3において固定される(図9a参照)。空間部4-1に注射器の頭部5が、空間部4-3にバックストップ7が、空間部4-4にプランジャーロットの末端部8が夫々収納される。空間部4-1と空間部4-3の側壁の距離が頭部5とバックストップ7の距離にほぼ等しく、注射器の縦軸方向の移動を制限する(図8側面図参照)。
【0011】
注射器の包装容器への装填は空間部4-2において行われ、バレル6を掴んだアームが空間部4-2の空間内に入り込み、そこでバレル6をロック部3に押し込んだ後、アームを開いてバレル6を離し、空間部4-2から離れる(図9b参照)。
【0012】
包装容器から注射器を取り出すには、図10に示すように、空間部4-4においてプランジャーロットの末端部8に指を掛けて引上げることにより、バレル6をロック部3から外す。この例は、空間部4が、包装されるものを充填するための空間と、包装されているものを取り出すための空間に分けて別々に設けられている例である。
【0013】
本発明のブリスター包装容器は、通常の技術手段を利用してブリスター成型して作製することができ、材料も、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、通常使用されるものから適宜選ばれる。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、ブリスター一体成型で、壊れやすい物や輸送・保存中の過度の振動を嫌う物の包装容器が容易に作製でき、輸送中に包装されている物が容器内で過度の振動をしたり、落下時のショックから保護される。
【0015】
本発明の包装容器は、容器内での振動や衝撃によるショックが少ないため、薬液を充填した注射器の包装に適しており、特に、タンパク質溶液の場合、振動による変質や沈殿を防止することができる。
【0016】
本発明の包装容器は、装填が容易に行われ、機械のアームによる自動装填、就中、高速自動装填に適している。
【0017】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブリスター包装容器の一例を示す上面図。
【図2】図1の包装容器の側面図。
【図3】図1、図2中、破線aにおける断面図であり、ロック部の断面図を示す。
【図4】図1、図2中、破線bにおける断面図であり、空間部の断面図を示す。
【図5】本発明のブリスター包装容器の一例を示し、ワイングラスを収納した例を示す上面図。
【図6】図5の包装容器の側面図。
【図7】薬液を充填した注射器を収納した包装容器の上面図。
【図8】図7の側面図。
【図9】図8中破線a〜dにおける断面図。aはロック部を、bは空間部を、夫々示す。
【図10】包装容器から注射器を取り出す状態を示す。
【図11】注射器を収納した本発明の包装容器の斜視図。
【符号の説明】
1:ブリスター包装容器
2:包装されている物
3:ロック部
4、4-1〜4-4:空間部
5:注射器の頭部
6:バレル
7:バックストップ
8:プランジャーロットの末端部

Claims (3)

  1. 包装される物の一部分の周りにその全周に亘って形成される3以上の空間部と、包装される物の一部分を固定すべくその部分に合わせて絞って成形され、前記いずれかの空間部の間に位置して前記物を空中に浮かんだ状態に保持する1又は2以上のロック部とを有し、かつ、包装される物のバレル部を収納する空隙部の横幅がこのバレル部を収納する空隙部の両端に位置する空隙部の横幅と同等であると共に、前記空間部の少なくとも1つが包装される物の長さに合わせて形成され、前記物の縦軸方向への移動を制限することを特徴とするブリスター包装容器。
  2. 空間部として、包装される物を装填するための空間と、包装されている物を取り出すための空間とが別々に設けられていることを特徴とする請求項1記載のブリスター包装容器。
  3. ロック部の縦方向長さが空間部の縦方向長さより短いことを特徴とする請求項1記載のブリスター包装容器。
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