しかし、従来技術では、マークは、境界線の一端にしか設けられていない。このため、必ずしも精度良く印刷位置合せを行えるとは限らない。
また、上記従来技術の印刷装置は、連続用紙の印刷に専用に用いられるものであるが、マルチページカットシートだけでなく別種類のシートも使用できるようにした方が好ましい場合がある。その場合、どのような動作を行うかが問題となる。
従って、本発明の目的は、マルチページカットシートに画像を印刷することができる印刷装置において、印刷位置合せを精度良く行えるようにすることにある。
本発明の別の目的は、マルチページカットシートと別種類のシートとを選択的に使用して画像を印刷することができ、且つ、好適な動作を行う印刷装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、後の記載から明らかになるであろう。
本発明の第1の側面に従う印刷装置(以下、第1印刷装置)は、シリアルに連結された複数のページから成るマルチページカットシートに画像を印刷することができる印刷装置であって、前記マルチページカットシートに画像を印刷する印刷ヘッドと、前記マルチページカットシートのページとページの境界線の一端に設けられた第1境界マークの位置と、前記境界線の他端に設けられた第2境界マークの位置とを検出する境界マーク検出手段と、前記第1境界マークと第2境界マークの位置検出結果に基づいて、前記ページとページの境界位置を把握する境界位置把握手段と、前記把握された境界位置に基づいて、画像の印刷開始時における、前記印刷ヘッドと前記マルチページカットシートとの相対的な印刷位置を制御する印刷位置制御手段とを備える。
第1印刷装置における好適な第1の実施形態では、前記第1境界マークと第2境界マークは、前記境界線を中心として前記境界線と直行する方向に一定の長さを有する第1ストライプと第2ストライプであって、前記境界マーク検出手段は、前記第1ストライプの前記長さ方向の両端にある第1端と第2端、前記第2ストライプの前記長さ方向下流側の両端にある第3端と第4端を検出することができるようになっており、前記境界位置把握手段は、前記境界マーク位置検出手段による前記4つの端部の検出状況に応じて定まる方法に基づき前記境界位置を把握する。
第1印刷装置における好適な第2の実施形態では、前記境界位置把握手段は、以下の(1)〜(4)の処理、
(1)前記第1端〜前記第4端の4つの位置が検出された場合、前記検出された4つの位置に基づいて前記境界位置を把握する、
(2)前記4つの位置は検出されなかったが、前記第1端と前記第2端、前記第1端と前記第4端、前記第2端と前記第3端、又は、前記第3端と前記第4端の2つの位置が検出された場合、前記検出された2つの位置に基づいて前記境界位置を把握する、
(3)前記4つの位置は検出されなかったが、前記第1端と前記第3端、又は、前記第2端と前記第4端の2つの位置が検出された場合、前記検出された2つの位置と、前記ストライプの長さとに基づいて前記境界位置を把握する、
(4)前記第1端〜前記第4端のうちの1つの位置のみが検出された場合、前記検出された1つの位置と、前記ストライプの長さとに基づいて前記境界位置を把握する、
のうちの少なくとも1つの処理を実行する。ストライプは、例えば、マルチページカットシートに印刷されているマーク、又は切欠きである。
第1印刷装置における好適な第3の実施形態では、第1印刷装置が、印刷終了位置を検出する終了位置検出手段と、前記印刷終了位置を記憶する記憶手段とを更に備え、前記印刷位置制御手段は、前記印刷終了位置を前記記憶手段に記憶させた後、次のページの印刷開始位置を検出すべく前記第1境界マーク及び前記第2境界マークの位置を検出した結果、境界マークが検出されなかった場合、前記記憶された印刷終了位置を次のページの印刷開始位置とする。
本発明の第2の側面に従う印刷装置(以下、第2印刷装置)は、印刷メディアとして、シリアルに連結された複数のページから成り特有のマークが設けられたマルチページカットシートと別種類のシートとを選択的に用いて画像を印刷することができる印刷装置であって、印刷メディアを取り込んで搬送するメディア取込手段と、前記特有のマークを検出するマーク検出手段と、前記取り込まれた印刷メディアから前記特有のマークが検出された場合、前記マルチページカットシート用の印刷制御を行い、前記印刷メディアから前記特有のマークが検出されなかった場合、前記別種類のシート用の印刷制御を行う印刷制御手段とを備える。
第2印刷装置における好適な第1の実施形態では、前記マルチページカットシートは、前記特有のマークとして、該マルチページカットシートの搬送方向所定位置において、該マルチページカットシートの幅が他の位置の幅よりも短くなるような切欠きを有し、前記別種類のシートは、前記搬送方向所定位置に切欠きを有しておらず、前記印刷制御手段は、前記取り込まれた印刷メディアにおける前記搬送方向所定位置の幅と他の位置での幅との比較の行い、該比較の結果に基づいて、前記切欠きを検出するようになっている(具体的には、例えば、前記搬送方向所定位置の幅が他の位置での幅よりも短い場合に、前記切欠きを検出するようになっている)。具体的には、例えば、前記マーク検出手段は、前記搬送方向と直交する主走査方向に走行する記録ヘッドに設けられており、前記印刷制御手段は、前記記録ヘッドの走行と前記取り込まれた印刷メディアの搬送とを制御して、該印刷メディアにおける前記搬送方向所定位置の幅と前記他の位置での幅とを検出して比較し、該比較の結果に基づいて、前記切欠きを検出するようになっている。
第2印刷装置における好適な第2の実施形態では、第2印刷装置は、印刷メディアの搬送路上に配置される記録ヘッドと、前記印刷ヘッドの前記搬送方向下流側に配置される排出ローラとを更に備え、前記別種類のシートは、前記特有のマークを備えない長尺シートであり、前記印刷制御手段は、前記マルチページカットシート用の印刷制御を行う場合、前記マルチページカットシートの先端を前記記録ヘッドの記録位置まで搬送してから印刷を開始し、前記長尺シート用の印刷制御を行う場合、前記長尺シートの先端を前記排出ローラに挟持される位置(例えばプラテンと排出ローラとの間に挟まれる位置)まで搬送してから印刷を開始する。
本発明の第3の側面に従う印刷装置(以下、第3印刷装置)は、シリアルに連結された複数のページから成るマルチページカットシートに画像を印刷することができる印刷装置であって、印刷が終了した前記マルチページカットシートを前記印刷装置から落下しないようにニップするニップ手段と、ユーザからシート排出要求を受ける排出要求受け手段と、前記マルチページカットシートの印刷が終了した後、前記シート排出要求を受けた場合、前記ニップ手段に前記マルチページカットシートを放させて、前記マルチページカットシートを排出するシート排出手段とを備える。
第3印刷装置における好適な第1の実施形態では、前記マルチページカットシートの後端に、画像を印刷するためのページからはみ出したニップル部分が設けられており、前記ニップ手段は、前記マルチページカットシートの前記ニップル部分をニップする。
第3印刷装置における好適な第2の実施形態では、第3印刷装置は、前記ユーザから印刷のキャンセル要求を受けるキャンセル要求受け手段を更に備え、前記シート排出手段は、前記マルチページカットシートの印刷が終了する前に、前記キャンセル要求を受けた場合、前記ニップ手段に前記マルチページカットシートをニップさせずに該マルチページカットシートを排出する。
本発明の第4の側面に従う印刷装置(以下、第4印刷装置)は、シリアルに連結された複数のページから成るマルチページカットシートに画像を印刷することができる印刷装置であって、前記マルチページカットシートには、ページとページとの境界線が複数本備えられ、山折りされる予定である山折り用境界線と、谷折りされる予定である谷折り用境界線とが交互に並んでおり、印刷データを取得する印刷データ取得手段と、印刷するターゲットページが、前記谷折り用境界線のシート搬送方向下流側にあるか否かを判別するページ判別手段と、前記ターゲットページが前記山折り用境界線のシート搬送方向下流側にあると判別された場合、前記取得した印刷データに基づく画像を該ターゲットページと次のページの2つのページに亘って印刷する印刷手段とを備える。
第4印刷装置における好適な第1の実施形態では、前記印刷手段は、前記ターゲットページが前記山折り用境界線のシート搬送方向下流側にあると判別された場合、前記印刷データのデータサイズが所定のデータサイズ以上であるならば、前記取得した印刷データに基づく画像を前記ターゲットページと次のページの2つのページに亘って印刷し、前記印刷データのデータサイズが所定のデータサイズよりも小さければ、前記取得した印刷データに基づく画像を前記ターゲットページにのみ印刷する。
第4印刷装置における好適な第2の実施形態では、前記山折り用境界線に所定のマークが設けられており、第4印刷装置は、前記所定のマークを検出するマーク検出手段を更に備え、前記ページ判別手段は、前記マーク検出手段によって前記所定のマークが検出された場合に、前記ターゲットページが前記山折り用境界線の下流側にあるページであると判別する。
本発明の第5の側面に従う印刷装置(以下、第5印刷装置)は、シリアルに連結された複数のページから成るマルチページカットシートに画像を印刷することができる印刷装置であって、前記マルチページカットシートには、ページとページとの境界線が複数本備えられ、山折りされる予定である山折り用境界線と、谷折りされる予定である谷折り用境界線とが交互に並んでおり、印刷データを取得する印刷データ取得手段と、印刷するターゲットページが、前記谷折り用もしくは前記山折り用のどちらの境界線のシート搬送方向下流側に位置しているのかを判別するページ判別手段と、前記ターゲットページが前記山折り用境界線のシート搬送方向下流側にあると判別された場合、前記取得した印刷データに基づく画像を該ターゲットページと次のページの2つのページに亘って印刷する印刷手段とを備える。
第1印刷装置によれば、マルチページカットシートのページとページの境界線の一端に設けられた第1境界マークの位置と、境界線の他端に設けられた第2境界マークの位置とを検出し、その2つの境界マークの位置検出結果に基づいて、ページとページの境界位置を把握して印刷位置が制御される。これにより、従来より精度良く印刷位置合せを行うことができる。
第2印刷装置によれば、マルチページカットシートに設けられるはずの特有のマークが検出されたか否かにより、マルチページカットシートか別種類のシートかが判別され、その判別結果に応じた印刷制御が行われる。これにより、マルチページカットシートに画像を印刷する場合にはそれに適した動作が行われ、別種類のシートに画像を印刷する場合にもそれに適した動作が行われる。
第3印刷装置によれば、マルチページカットシートの印刷が終了した後、ユーザからシート排出要求を受けた場合に、ニップされているマルチページカットシートが放されて、マルチページカットシートが排出される。これにより、画像が印刷されたマルチページカットシートの落下により着色剤が乾いてないページの画像が汚れてしまうことが防がれ、ユーザは、マルチページカットシートの画像が完全に乾いた時にマルチページカットシートを印刷装置から離脱させることができる。
第4印刷装置によれば、マルチページカットシートの印刷において、ターゲットページが山折り用境界線のシート搬送方向下流側にある場合(換言すれば、ターゲットページが谷折り境界線のシート搬送方向上流側にある場合)、該ターゲットページと次のページの2つのページに亘って画像が印刷される。これにより、見開きの2つのページには、それら2つのページに亘って一つの画像が印刷される。
第5印刷装置によれば、山折り用境界線と谷折り用境界線とがあるマルチページカットシートの印刷において、ターゲットページが山折り用境界線の搬送方向下流側にあるときにのみ印刷開始位置が制御される。これにより、各ページ毎に印刷開始位置を制御する場合に比べて高速印刷が可能になり、且つ、谷折り部分で印刷開始位置がずれても、見開きで見ることができる領域内でのずれなので、山折り部分でずれる場合に比べればユーザにとって見易い。
図1は、本発明の第1実施例に係る印刷装置を斜め後方から見た場合の斜視概略図である。図2は、この印刷装置の断面図である。
印刷装置100は、インクジェット式で画像を印刷メディアP(被記録材)に印刷するインクジェットプリンタであり、主走査方向Xに往復可能にキャリッジガイド軸12によって軸支されたキャリッジ10を備えている。そして、該キャリッジ10には、印刷メディアPにインクを吐出する印刷ヘッド13と、インクが充填されたインクカートリッジ11とが備えられる。
印刷ヘッド13の下方には、印刷ヘッド13と対向して印刷ヘッド13のヘッド面と印刷メディアPとのギャップを規定するプラテン28が設けられている。この印刷装置100では、キャリッジ10とプラテン28との間に印刷メディアPを主走査方向Xと直交する副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する動作と、印刷ヘッド13を主走査方向Xに往復させる間に印刷ヘッド13から印刷メディアPにインクを噴射する動作とを交互に繰り返すことによって印刷メディアPに画像が印刷される。
印刷装置100で使用可能な印刷メディアPには、例えば、シングルページカットシート(例えばA4等の所定規格サイズの用紙)Sや、長い印刷メディアPが巻かれたものであるロール印刷メディアRや、シリアルに連結された複数のページから成るマルチページカットシートZがある。
シングルページカットシートSは、供給用トレイ5から装置本体3内部に供給される。供給用トレイ5には、シングルページカットシートSの側端面に当接し、副走査方向Yへの円滑な搬送を可能にするためのエッジガイド15が設けられている。供給用トレイ5上のシングルページカットシートSは、供給用ローラ14の回転軸17の回転に伴って、ホッパ16が所定のタイミングで上昇し、供給用ローラ14に向けて押し上げられ、図示しない分離パッドあるいはリタードローラの力を借りて単位数ずつピックアップして印刷メディアP搬送方向に沿って装置本体3内に送られる(尚、これらの供給用トレイ5、供給用ローラ14及びホッパ16を含む装置を給送装置2という)。
供給用ローラ14の下流には、シングルページカットシートSの通過を検出する光センサ等の図示しない印刷メディア検出部が設けられており、それの下流には搬送用駆動ローラ19aと搬送用従動ローラ19bとによって構成される搬送用ローラ19が設けられている。このうち、搬送用従動ローラ19bは、搬送用従動ローラ用のローラホルダ18の下流側において軸支され、当該ローラホルダ18は、図示しない回転軸を中心に回動可能に設けられ、且つ、図示しないねじりコイルばねによって搬送用従動ローラ19bが常に搬送用駆動ローラ19aに圧接したニップ状態になるように回動付勢されている。
搬送用ローラ19によって挟圧された状態で搬送されるシングルページカットシートS等(搬送用ローラ19のニップ点以降は、ロール印刷メディアRとマルチページカットシートZも同一の搬送経路を辿るのでこれらも含まれる。)は、印刷ヘッド13の下方の記録部26に導かれ、上述のキャリッジ10及びシングルページカットシートS等の動作によってシングルページカットシートS等の記録面のほぼ全面に亘って所望の記録が実行される。印刷ヘッド13とその下方において、これと対向して設けられるプラテン28とのギャップは、高精度の記録を実行する上で極めて重要な要素となっており、シングルページカットシートS等の厚さの変化に応じて適宜調節されるようになっている。
印刷ヘッド13の下流には、排出用駆動ローラ20aと、排出用従動ローラ20bとによって構成される排出用ローラ20が設けられ、この排出用ローラ20によって排出されたシングルページカットシートS等は、更に下流に位置する排出用スタッカ50上の載置面51に排出されるようになっている。
排出用従動ローラ20bは、その外周に複数の歯を有する歯付きローラであり、排出用従動ローラ用の図示しないローラホルダによって自由回転可能に軸支されている。排出用従動ローラ20bの上流には、補助歯付きローラ22が設けられ、シングルページカットシートS等は、該補助歯付きローラ22によってやや下方に押し付けられるようになっている。また、搬送用従動ローラ19bは、搬送用駆動ローラ19aよりその軸芯位置がやや下流側に配設されていて、更に排出用従動ローラ20bは、排出用駆動ローラ20aよりその軸芯位置がやや上流側に配設されている。
このような構成によってシングルページカットシートS等は、搬送用ローラ19と排出用ローラ20との間において僅かに下に凸となる俗に「逆ぞり」と呼ばれている湾曲状態となり、印刷ヘッド13に対向する位置にあるシングルページカットシートS等はプラテン28に押し付けられ、これによりシングルページカットシートS等の浮き上がりが防止され、正常に記録が実行されるようになっている。尚、補助歯付きローラ22は、排出用従動ローラ20bと同様に歯付きローラから構成されており、図示しない補助歯付きローラ用のローラホルダに軸支されている。
次に、ロール印刷メディアRの搬送に関連する印刷装置100の構成を説明する。
ロール印刷メディアRの搬送経路は、基本的にマルチページカットシートZの搬送経路と同じである。ロール印刷メディアRは、所定幅の連続した長尺の印刷メディアPがロール芯の周りに巻かれたもので、ロールホルダ45によって遊転自在の状態で保持されている。尚、ロールホルダ45は、装置本体3に対して固定状態で取り付けられる固定ホルダ47と、ロール印刷メディアR等の幅寸法に応じてロール印刷メディアRの幅寸法に摺動し得るよう、装置本体3に対して可動状態で取り付けられる可動ホルダ49とを備えており、印刷メディアPを搬送経路内に供給するためのガイド部材としての機能を併せ持っている。
ロールホルダ45によって保持されたロール印刷メディアR等の繰り出し端は、ロール印刷メディアRの搬送経路の入口40からシングルページカットシートS用の上述した給送装置2の後面を通って、給送装置2の下方に至り、上述した搬送用ローラ19による挟圧搬送作用を受けながら印刷ヘッド13下方の記録部26に導かれる。そして、ロール印刷メディアR等は、上述したシングルページカットシートSと同一の搬送経路を辿って排出用ローラ20に至り、排出用スタッカ50より更に下流側に設けられているカッタ装置43まで搬送されて、必要に応じて所定の長さにカットされて排出される。
図3は、印刷装置100の構成及び機能を概略的に示すブロック図である。
この印刷装置100には、上述した要素の他に、PE(Paper Existence)センサ215、PW(Paper Width)センサ213、書換可能な揮発性又は不揮発性のメモリ(例えばRAM)231、及び印刷コントローラ211が備えられる。
PEセンサ215は、この印刷装置100の印刷メディア搬送経路において、上流側、例えば、供給用ローラ14と搬送用ローラ19との間の上方に備えられる印刷メディア検出用センサである。PWセンサ213は、この印刷装置100の印刷メディア搬送経路において、下流側、例えば、キャリッジ10の印刷メディアPに対向する下面上に備えられる別の印刷メディア検出用センサである(具体的には、後述するように、印刷メディアPの幅等を検出するために使用される)。PEセンサ215及びPWセンサ213は、例えば、発光素子と受光素子とを有する光センサであり、該センサの下方に印刷メディアが存在するか否かは、発光素子から受光素子への入射光(例えば反射光)の強度が変化したか否かに基づき印刷コントローラ211によって判断される。
印刷コントローラ211は、印刷のための種々の動作を制御するためのコンピュータプログラム(或いはハードウェア又はそれらの組合せ)であり、所定の記憶媒体(例えばROM)からCPUに読み込まれて機能するものである。印刷コントローラ211は、キャリッジモータ209の駆動を制御することにより、キャリッジ10の走行を制御したり、印刷メディア搬送制御機構(例えば種々のモータ)207を制御することにより、供給用ローラ14、搬送用ローラ19及び排出用ローラ20の回転を制御したりする。また、印刷コントローラ211は、キャリッジ10の走行に伴うPWセンサ213の検出結果に基づく情報をメモリ231に書き込む処理も行う(詳細は後述する)。
図4は、マルチページカットシートZと、マルチページカットシートZの上方を走行するキャリッジ10とを示す。なお、図示のマルチページカットシートZは、紙面表側が印刷面であり、紙面裏側が非印刷面である。
マルチページカットシートZは、1以上の奇数ページ350Aと1以上の偶数ページ350Bとが連結されたものであり、ページとページとの複数の境界線を交互に谷折り及び山折りすることで、蛇腹状にすることができる。そして、その蛇腹状の冊子の最先頭ページと最後尾ページの裏面(画像が印刷されない面)には、別途印刷された表紙(例えば、マルチページカットシートの見開き2ページサイズの表紙)の裏面(画像が印刷されない面)を貼付することで、冊子にすることができる(その冊子は、例えば、マルチページカットシートZの各ページに写真画像が印刷されるのであれば、フォトアルバムとなる)。
搬送方向上流側が奇数ページ350Aで、それの下流側が偶数ページ350Bの場合、奇数ページ350Aと偶数ページ350Bとの境界線34は、谷折りされる部分であり、上述のように蛇腹状の冊子にされた場合に印刷面内側に位置するものである(以下、「境界線34」を「谷折り部分34」と言う)。谷折り部分34には、例えば、ミシン目が施される。
搬送方向上流側が偶数ページ350Bで、それの下流側が奇数ページ350Aの場合、偶数ページ350Bと奇数ページ350Aとの境界線33は、山折りされる部分であり、上述のように蛇腹状の冊子にされた場合に印刷面外側に位置するものである(以下、「境界線33」を「山折り部分33」と言う)。山折り部分33には、例えば、筋押しが施される。なお、筋押しとは、プレス装置等によって圧縮し、肉厚を幾分薄くして折れ易くする加工を意味するが、本実施例では、更に、マルチページカットシートZの肉厚の一部を所定の深さカットして折れ易くする、いわゆるハーフカットを包含する広範な意味で使用する。
マルチページカットシートZにおいて、印刷メディア搬送方向(以下、単に「搬送方向」と言う)の所定位置、例えば、山折り部分33の両端や、シートZの先端301及び後端302の両サイドに、搬送方向に一定の長さを有し且つ主走査方向に一定の深さを有する切欠きが設けられている。山折り部分33、シートZの先端301及び後端302の各々にある2つの切欠きは、その山折り部分33、先端301の縁、及び後端302の縁をそれぞれ中心として、搬送方向に一定の長さを有する。
また、マルチページカットシートZの後端302からは、画像を印刷するためのページ350Bからはみ出したニップルタグ300が延び出ている。
印刷コントローラ211によって印刷メディア搬送制御機構207の駆動やキャリッジモータ209の回転が制御されることにより、マルチページカットシートZの搬送経路上における位置と、そのシートZと対向する面にPWセンサ213を備えたキャリッジ10の位置とが制御される。すなわち、印刷ヘッドとマルチページカットシートZとの相対的な印刷位置が制御される。なお、その際、キャリッジ10のシートZとの対向面において、インク滴が吐出される印刷位置PP(換言すれば、インク発射位置)と、PWセンサ213のセンサ位置SPとは所定の距離YOFFだけ離れているので、その距離(以下、「印刷オフセット」と言う)YOFFが用いられる。この印刷オフセットは、例えば、メモリ231に予め格納されている。
図5は、印刷位置合せを行う場合の印刷コントローラ211の処理流れを示す。図6は、山折り部分33とそれの両端にある2つの切欠きを拡大したものを示す。以下、両図を参照して、印刷コントローラ211によって行われる印刷位置合せ処理について説明する。なお、以下の説明において図6を参照する場合、適宜、図6の紙面上側を「主走査方向奥側」と言い、紙面下側を「主走査方向手前側」と言う。
印刷コントローラ211は、ターゲットページについて印刷が終了した場合、印刷位置PPがそのページと次のページとの境界線上に重なるように、キャリッジ10及びマルチページカットシートZの位置を制御する。そのため、例えば、図6に示すように、山折り部分33の搬送方向下流側のターゲットページの印刷が終了した場合、印刷位置PPが山折り部分33上に重なるため、PWセンサ213は、その印刷位置PPから搬送方向上流に沿って印刷オフセットYOFFだけ離れた位置YEに存在する。印刷コントローラ211は、ターゲットページの印刷が終了したとき、そのときのセンサ位置YEと印刷オフセットYOFFとに基づいて印刷終了時の印刷位置を算出し、算出された印刷位置をメモリ231に書き込む(ステップS1)。
印刷コントローラ211は、ページに画像を印刷する都度に、印刷したページ数をカウントすることで、ターゲットページが奇数ページか偶数ページであるかを把握することができる。印刷コントローラ211は、次の印刷要求(例えば所定のバッファ内に未処理の印刷ジョブ)がある場合(S2でY)、その印刷要求に応答して画像が印刷されるターゲットページが奇数ページであるか偶数ページであるかを判別する(S3)。
その判別の結果、そのターゲットページが奇数ページである場合(S3でY)、印刷コントローラ211は、PWセンサ213によって主走査方向奥側の第1シートエッジが検出されるまで(すなわち、シートZの上方にあるPWセンサ213からの出力信号値が変化するまで)、キャリッジ10を主走査方向奥側に走らせる(S4)。
次に、印刷コントローラ211は、搬送用ローラ19等のモータを所定ステップだけ逆回転させて、シートZを搬送方向上流側に所定距離だけ戻す(S5)。その結果、PWセンサ213は、第1シートエッジ上の第1位置y1から、主走査方向奥側の切欠き(以下、第1切欠き)K1を越えて、同シートエッジ上の第2位置y2に位置する。
次に、印刷コントローラ211は、キャリッジ10を、所定距離(例えば5mm)だけ主走査方向手前側に走行させる(S6)。その結果、PWセンサ213は、第1シートエッジ上の上記第2位置y2から、シートZ内側の第3位置y3に位置する。
次に、印刷コントローラ211は、マルチページカットシートZを搬送方向下流側に搬送させ続ける(S7)。そして、印刷コントローラ211は、PWセンサ213からの出力信号値が変化したら、すなわち、第1切欠きK1の搬送方向下流側の第1切欠きエッジが検出されたら(S8でY)、シートZの搬送を一時中止し、第1切欠きエッジの検出時におけるPWセンサ213の位置(以下、第1切欠きエッジ位置)Y1をメモリ231に書き込む(S9)。
次に、印刷コントローラ211は、マルチページカットシートZを更に搬送方向下流側に搬送させ続ける(S10)。そして、印刷コントローラ211は、第1切欠きK1の搬送方向上流側の第2切欠きエッジが検出されたら(S11でY)、シートZの搬送を一時中止し、第2切欠きエッジの検出時におけるPWセンサ213の位置(以下、第2切欠きエッジ位置)Y2をメモリ231に書き込む(S12)。
次に、印刷コントローラ211は、PWセンサ213が、上記第3位置y3から所定距離だけ搬送方向上流側に離れた第4位置y4に位置するように、シートZを搬送方向下流側に搬送し、続いて、主走査方向手前側の第2シートエッジが検出されるまで(すなわち、PWセンサ213からの出力信号値が変化するまで)、キャリッジ10を主走査方向手前側に走らせる(S13)。
その後、上述したS5〜S12と同様の処理を実行する。
すなわち、印刷コントローラ211は、搬送用ローラ19等のモータを所定ステップだけ逆回転させて、シートZを搬送方向上流側に所定距離だけ戻す。その結果、PWセンサ213は、第2シートエッジ上の第5位置y5から、主走査方向手前側の切欠き(以下、第2切欠き)K2を越えて、同シートエッジ上の第6位置y6に位置する。
次に、印刷コントローラ211は、キャリッジ10を、所定距離(例えば5mm)だけ主走査方向奥側に走行させる。その結果、PWセンサ213は、第2シートエッジ上の上記第6位置y6から、シートZ内側の第7位置y7に位置する。
次に、印刷コントローラ211は、マルチページカットシートZを搬送方向下流側に搬送させ続ける。そして、印刷コントローラ211は、PWセンサ213からの出力信号値が変化したら、すなわち、第2切欠きK2の搬送方向下流側の第3切欠きエッジが検出されたら、シートZの搬送を一時中止し、第3切欠きエッジの検出時におけるPWセンサ213の位置(以下、第3切欠きエッジ位置)Y3をメモリ231に書き込む。
次に、印刷コントローラ211は、マルチページカットシートZを更に搬送方向下流側に搬送させ続ける。そして、印刷コントローラ211は、第2切欠きK2の搬送方向上流側の第4切欠きエッジが検出されたら、シートZの搬送を一時中止し、第4切欠きエッジの検出時におけるPWセンサ213の位置(以下、第4切欠きエッジ位置)Y4をメモリ231に書き込む。
以上の一連の処理により、第1切欠きエッジ位置Y1、第2切欠きエッジ位置Y2、第3切欠きエッジ位置Y3及び第4切欠きエッジ位置Y4がメモリ231に格納される。なお、各位置Y1〜Y4は、キャリッジモータ209や搬送用ローラ19のモータ等の回転数から把握することができる。
印刷コントローラ211は、メモリ231に蓄積された位置Y1〜Y4を用いて、山折り部分33の位置Y5を算出、具体的には、例えば、以下の(1)式、
Y5=(Y1+Y2+Y3+Y4)/4・・・・(1)
により山折り部分33の位置Y5する。そして、印刷コントローラ211は、算出された位置YSと、メモリ231に予め格納されている印刷オフセットYOFFとに基づいて、印刷開始時の印刷位置を算出する(S15)。この結果、印刷開始時の印刷位置は、山折り部分33上に位置する。
その後、印刷コントローラ211は、キャリッジ10における印刷位置PPが、S15で算出された印刷開始時の印刷位置に重なるように、シートZの搬送及びキャリッジ10の走行を制御する(S16)。この後は、例えば、印刷コントローラ211がキャリッジ10をホームポジションに戻してから印刷処理が開始される。
さて、上述のS3の判別の結果、ターゲットページが偶数ページである場合(S3でN)、前のページとターゲットページの境界線は谷折り部分34であり切欠きが設けられていないので、印刷コントローラ211は、S1でメモリ231に記憶させた印刷終了時の印刷位置を、該ターゲットページの印刷開始時の印刷位置に決定して、上述のS16を行う。なお、谷折り部分34に切り欠きが設けられていないのは、マルチページカットシートZがフォトアルバム等に使用される場合に、見栄えを良くし得るためである。すなわち、谷折り部分34を挟む2つのページは見開きとなるが、谷折り部分34に切欠きを設けてしまうと、そのような見開き2ページの境界線の上下に凹みが存在することになり、これを好ましく思わないユーザが存在し得るからである。
以上が、印刷位置合せを行う場合の印刷コントローラ211の処理流れである。
なお、この処理流れにおいて、例えば、印刷コントローラ211は、第3位置y3から第4位置y4まで中止することなくシートZを搬送方向下流側に搬送し続け、その際に、PWセンサ231の出力信号値が変わる都度にそのときのセンサ位置(第1切欠きエッジ位置Y1〜第4切欠きエッジ位置Y4)をメモリ231に記憶させるようにしても良い。
また、上述の処理流れにおいて、第1切欠きエッジ位置Y1〜第4切欠きエッジ位置Y4の少なくとも1つの検出に失敗する場合がある。その場合、印刷コントローラ211は、以下に例示する方法で、山折り部分33の位置Y5を求める。
(A)4つの切欠きエッジ位置Y1〜Y4は検出されなかったが、第1切欠きエッジ位置Y1と第2切欠きエッジ位置Y2、第1切欠きエッジ位置Y1と第4切欠きエッジ位置Y4、第2切欠きエッジ位置Y2と第3切欠きエッジ位置Y3、又は、第3切欠きエッジ位置Y3と第4切欠きエッジ位置Y4の2つの位置が検出された場合、印刷コントローラ211は、検出された2つの位置に基づいて山折り部分33の位置Y5を算出する。具体的には、例えば、印刷コントローラ211は、以下の(2)式、
Y5=(第1の検出成功位置(例えばY1)+第2の検出成功位置(例えばY2))/2・・・・(2)
を用いて上記Y5を求める。
(B)4つの切欠きエッジ位置Y1〜Y4は検出されなかったが、第1切欠きエッジ位置Y1と第3切欠きエッジ位置Y3、又は、第2切欠きエッジ位置Y2と第4切欠きエッジ位置Y4の2つの位置が検出された場合、印刷コントローラ211は、検出された2つの位置と、切欠きK1、K2の長さNとに基づいて、山折り部分33の位置Y5を算出する。具体的には、例えば、印刷コントローラ211は、以下の(3)式、
Y5=(第1の検出成功位置(例えばY1)+第2の検出成功位置(例えばY3))/2+N/2(又は−N/2)・・・・(3)
を用いて上記Y5を求める。
(C)4つの切欠きエッジ位置Y1〜Y4のうちの1つの位置のみが検出された場合、印刷コントローラ211は、検出された1つの位置と、切欠きK1、K2の長さNとに基づいて、山折り部分33の位置Y5を算出する。具体的には、例えば、印刷コントローラ211は、以下の(4)式、
Y5=検出成功位置(例えばY1)+N/2(又は−N/2)・・・・(4)
を用いて上記Y5を求める。
(D)4つの切欠きエッジ位置Y1〜Y4の全ての検出に失敗した場合、印刷コントローラ211は、S1でメモリ231に記憶させた印刷終了時の印刷位置を、ターゲットページの印刷開始時の印刷位置に決定する。
以上、上述した第1の実施例によれば、印刷装置100は、マルチページカットシートZのページとページの境界線33の一端に設けられた第1切欠きの位置と、その境界線33の他端に設けられた第2切欠きの位置とを検出し、その2つの境界マークの位置検出結果に基づいて、ページとページの境界位置を把握して印刷位置が制御される。これにより、マルチページカットシートZが傾いた状態で搬送されたとしても、搬送方向と直行する両方向側にある2つの切欠きの位置に基づいて精度良く印刷位置合せが制御される。
以下、本発明の第2の実施例について説明する。この第2の実施例では、印刷装置100は、上記の印刷位置合せ処理に加えて又は代えて、複数の印刷制御モードのうち印刷メディアの種類に応じた印刷制御モードを選択して実行する。以下、具体的に説明する。なお、第1実施例と同じ部分については説明を省略或いは簡略し、相違点について主に説明する(これは、後述する他の第2〜第4実施例についても同様である)。
図7は、印刷制御モードを選択的に実行する印刷コントローラ211の処理流れの概要を示す。
ロールホルダ45(図1及び図2参照)を用いた印刷を行う場合、印刷コントローラ211は、ロールホルダ45から印刷メディア(ロール印刷メディアR又はマルチページカットシートZ)を装置本体3内部に取込む(S21)。
次に、印刷コントローラ21は、印刷メディア幅測定処理を行う(S22)。具体的には、印刷コントローラ21は、印刷メディアPの搬送とキャリッジ10の走行を制御し、PWセンサ213の出力信号値に基づいて、印刷メディアPがマルチページカットシートZならば存在するはずの切欠きがある搬送方向第1所定位置の第1シート幅と、該シートZであっても切欠きが存在しない第2所定位置の第2シート幅とを測定し、第1シート幅と第2シート幅が実質的に異なれば、印刷メディアPはマルチページカットシートZと判断し、そうでなければ、印刷メディアPはロール印刷メディアRであると判断する。
印刷コントローラ21は、ロール印刷メディアRであると判断された場合(S23でN)、ロール印刷メディアモードを実行し(S24)、マルチページカットシートZであると判断だれた場合(S23でY)、マルチページカットシートモードを実行する(S25)。
図8は、印刷メディア幅測定処理の詳細な流れを示す。図9は、印刷メディア幅測定処理において測定される幅の位置を示す。
印刷コントローラ211は、取り込まれた印刷メディアPがPEセンサ215(図3参照)の下方を通過することによってPEセンサ215で印刷メディアPが検出されてから所定時間長(例えば3秒)が過ぎたら(S22−1)、印刷メディアPを搬送方向下流側に所定距離だけ搬送する(S22−2)。この結果、印刷メディアPの上記第1所定位置(例えば印刷メディアPの先端)が、キャリッジ10が主走査方向に走行するとその第1所定位置の上方をPWセンサ213が通過する位置に到達している。
そこで、印刷コントローラ211は、キャリッジ10を走行させ、それに応じて変化するPWセンサ213からの出力信号値に基づいて、その印刷メディアPの第1シート幅PW1を測定し(S22−3)、測定された第1シート幅PW1をメモリ231に書き込む。
次に、印刷コントローラ211は、印刷メディアPを更に搬送方向下流側に所定距離だけ搬送する(S22−4)。この結果、印刷メディアPの上記第2所定位置が、キャリッジ10が主走査方向に走行するとその第2所定位置の上方をPWセンサ213が通過する位置に到達している。
そこで、印刷コントローラ211は、キャリッジ10を走行させ、それに応じて変化するPWセンサ213からの出力信号値に基づいて、その印刷メディアPの第2シート幅PW2を測定し(S22−5)、測定された第2シート幅PW2をメモリ231に書き込む。
そして、印刷コントローラ211は、メモリ231に格納された第1シート幅PW1と第2シート幅PW2とを比較する(S22−6)。
その比較の結果、第1シート幅PW1と第2シート幅PW2が実質的に同じであれば(S22−7でY)、印刷コントローラ211は、ロール印刷メディアモードを選択する(S22−8)。一方、その比較の結果、第1シート幅PW1と第2シート幅PW2が実質的に異なっていれば、具体的には、第1シート幅PW1の方が第2シート幅PW2よりも短ければ(S22−7でN)、印刷コントローラ211は、マルチページカットシートモードを選択する(S22−9)。
マルチページカットシートモードが実行される場合、印刷コントローラ211は、図10(A)に示すように、マルチページカットシートZの搬送を制御し、そのシートZの先端を印刷ヘッド13の下(換言すれば、キャリッジ10における印刷位置PPの真下)に位置させる。これにより、マルチページカットシートZに画像が印刷される場合、シートZの先端から画像が印刷される。
ロール印刷メディアモードが実行される場合、印刷コントローラ211は、図10(B)に示すように、ロール印刷メディアRを搬送方向下流側に更に搬送し、ロール印刷メディアRの先端を排出用ローラ20の下に取り込む。これにより、ロール印刷メディアRに画像が印刷される場合、ロール印刷メディアRの途中から画像が印刷されるが、ロール印刷メディアの先端が排出用ローラ20によってロール印刷メディアが撓まないよう押さえつけられるので、良好な印刷画像を得ることができる。
以上、上述した第2の実施例によれば、印刷メディアPがマルチページカットシートZであれば、そのシートZに適した印刷制御が行われ、印刷メディアPがロール印刷メディアRであれば、ロール印刷メディアRに適した印刷制御が行われる。
以下、本発明の第3の実施例について説明する。この第3の実施例では、第1実施例での印刷位置合せ処理及び/又は第2実施例での印刷制御モード選択に加えて又は代えて、マルチページカットシートZの印刷が終了しても印刷装置100から落下しないように(換言すれば離脱しないように)マルチページカットシートZをニップする処理が行われる。以下、具体的に説明する。
図11は、印刷が終了したマルチページカットシートZが印刷装置から排出され落下しないように制御する印刷コントローラ211の処理流れを示す。
印刷コントローラ211は、或る印刷要求に応答して印刷を開始し(S31でY)、印刷処理(例えば印刷ヘッド13からのインク滴吐出)を実行する(S32)。印刷コントローラ211は、この印刷処理の実行中(S33でN)、マルチページカットシートZの全てのページ又は一部のページに対する印刷要求に応答した印刷処理を途中で止めることの要求である印刷キャンセル要求を受けなければ(S34N)、印刷処理を継続する(なお、印刷キャンセル要求は、所定の方法、例えば、印刷装置100に設けられた印刷キャンセル要求ボタンがユーザによって押下された場合、印刷装置100の電源がターンオフされた場合、或いは通信可能に接続されているホスト装置で所定の操作がされた場合に受けるようになっている)。
印刷コントローラ211は、印刷処理が終了した場合(S33でY)、印刷位置PPの搬送方向上流側のPEセンサ215でシートZの存在が検出されていれば(S37でY)、このシートZの残りのページに印刷処理が行われる場合があるので、S31に戻る。
一方、印刷コントローラ211は、印刷処理が終了した場合(S33でY)、PEセンサ215でシートZの存在が検出されていなければ(S37でN)、換言すれば、シートZの最後尾ページの印刷が終了したならば、所定のアラート、例えば、「シート排出要求を出してシートを取出してください」というメッセージを所定のディスプレイ画面(例えば印刷装置100の操作パネル又はそれのホスト装置のディスプレイ画面)に表示する(S38)。
すなわち、印刷コントローラ211は、マルチページカットシートZの最後尾ページの印刷が終了した場合、シートZを所定距離だけ搬送したらそれ以上搬送しないように搬送用ローラ19の駆動を止め、それにより、図12に示すニップルタグ300が搬送用ローラ19によってプラテンに対して押圧されるようにする。この結果、マルチページカットシートZは、印刷が終了しても、印刷装置100から落下することなくニップされる(なお、ニップルタグ300の搬送方向長さLは、最後尾ページの後端まで画像が印刷されてもニップルタグ300が搬送用ローラ19によってニップされるのに十分な長さ(例えば3cm)である)。このため、インクが乾かない状態なのにシートZが落下して各ページに印刷された画像が壊れてしまうのを防止することができる。
しかし、このままでは、ユーザは、印刷が終了したマルチページカットシートZを取出すことはできない。
そこで、印刷コントローラ211は、印刷装置100から離脱していないマルチページカットシートZを離脱されるように排出することの要求であるシート排出要求を受け付け、そのシート排出要求を受けた場合に、マルチページカットシートZのニップを開放し、マルチページカットシートZを離脱可能に排出するようになっている(なお、シート排出要求は、所定の方法、例えば、印刷装置100に設けられたシート排出要求ボタンがユーザによって押下された場合、或いは通信可能に接続されているホスト装置で所定の操作がされた場合に受けるようになっている)。
すなわち、印刷コントローラ211は、S38の後、シート排出要求を受けなければ(S39でN)、シートZが搬送用ローラ19でニップされた状態を維持するが、シート排出要求を受けた場合は(S39でY)、その状態を解除し離脱可能にシートZを排出するシート排出処理を実行する(S35)。また、印刷コントローラ211は、S31でNの後、シート排出要求を受けた場合、例えば、取り込まれたシートZを離脱可能に排出するシート排出処理を実行する(S35)。また、印刷コントローラ211は、印刷処理中に印刷キャンセル要求を受けた場合(S34でY)、マルチページカットシートZをニップさせずに離脱可能に排出する処理を実行する(S35)。
図13は、シート排出処理の詳細な流れを示す。
まず、印刷コントローラ211は、PEセンサ215でシートZ有りが検出されているか否かを判断する(S35−1)。
シートZ有りが検出されていない場合(S35−1でN)、例えばシートZのニップルタグ300が搬送用ローラ19によってニップされている状態なので、印刷コントローラ211は、その状態を解除するべく、搬送用ローラ19等のモータをnステップ(nは所定の整数)回転させることにより(S35−3)、シートZが印刷装置100から離脱されるように排出する。
一方、シートZ有りが検出されている場合(S35−1でY)、例えば印刷処理中の状態なので、印刷コントローラ211は、シートZ有りが検出されなくなるまでシートZを搬送し続ける(S35−2)。それにより、シートZ有りが検出されなくなったら(S35−1でN)、前述したように、印刷コントローラ211は、搬送用ローラ19等のモータをnステップ(nは所定の整数)回転させることにより(S35−3)、シートZが印刷装置100から離脱されるように排出する。
以上、この第3の実施例によれば、マルチページカットシートZの最後尾ページの印刷が終了しても、そのシートZが印刷装置100から落下することなくニップされる。このため、インクが乾かない状態なのにシートZが落下して各ページに印刷された画像が壊れてしまうのを防止することができる。
以下、本発明の第4の実施例について説明する。この第4の実施例では、第1実施例での印刷位置合せ処理、第2実施例での印刷制御モード選択、第3実施例でのシートZのニップに加えて又は代えて、ターゲットページが山折り部分33の搬送方向下流側か否かに応じた印刷制御が行われる。以下、具体的に説明する。
図14は、ターゲットページが山折り部分33の搬送方向下流側か否かに応じた印刷制御を行う印刷コントローラ211の処理流れを示す。
印刷コントローラ211は、マルチページカットシートZに画像を印刷する都度に、印刷したページ数をカウントし、カウント値を更新することで、これから印刷しようとするターゲットページが奇数ページか偶数ページかを把握することができる。
印刷コントローラ211は、マルチページカットシートZに画像を印刷する場合、印刷要求を取得したら(S51でY)、ターゲットページが奇数ページか偶数ページであるかを判別する(S52)。その結果、ターゲットページが奇数ページであれば(S52でY)、すなわち、ターゲットページが山折り部分の搬送方向下流側にあるならば、印刷コントローラ211は、山折り部分33の両端にある2つの切欠きに基づいて印刷開始時の印刷位置を決定する(S53)。一方、ターゲットページが偶数であれば、すなわち、ターゲットページが山折り部分の搬送方向下流側にあるならば、印刷コントローラ211は、前のページの印刷終了時の印刷位置をターゲットページの印刷開始時の印刷位置に決定する(S54)。
次に、印刷コントローラ211は、S51で取得した印刷要求に含まれているターゲット印刷データに基づく画像のサイズ(例えば画像の縦と横の長さ)が所定サイズ以上か否か、例えば、その画像サイズが1ページ分のものか2ページ分のものかを判断する(S55)。
S55での判断の結果、1ページ分と判断された場合(例えば、ターゲット印刷データはL版の印刷に適したデータサイズの場合)(S55でN)、印刷コントローラ211は、印刷したページ数のカウント値を1つインクリメントし(S56)、ターゲット印刷データに基づく画像をターゲットページに印刷する(S58)。
一方、S55での判断の結果、2ページ分と判断された場合(例えば、ターゲット印刷データは2L版の印刷に適したデータサイズの場合)(S55でY)、印刷コントローラ211は、印刷したページ数のカウント値を2つインクリメントし(S57)、ターゲット印刷データに基づく画像を、ターゲットページと次のページの2つのページに亘って印刷する(S58)。
以上、上述した第4の実施例によれば、ターゲットページが偶数ページの場合、換言すれば、ターゲットページが谷折り部分の搬送方向下流側にある場合には、印刷開始位置の制御が行われず、ターゲットページが山折り部分の搬送方向下流側にある場合にのみ、印刷開始位置が制御される。これにより、各ページ毎に印刷開始位置が制御される場合に比べて、高速な印刷が可能となる。なお、谷折り部分を挟む2つのページは見開きなので、谷折り部分で印刷開始位置が制御されないが故に印刷開始位置が谷折り部分から少々ずれたとしても、ユーザにとって画像を見るうえで大きな不快になることはないと考えられる。
ところで、この第4実施例の変形例では、2つのページに亘って画像を印刷するか否かは、ターゲットページが谷折り部分34の搬送方向下流側にあるか否か(換言すれば、ターゲットページが見開きの左ページであるか否か)に基づいて制御されても良い。具体的には、例えば、印刷コントローラ211は、ターゲットページが谷折り部分34の搬送方向下流側にある場合(例えばターゲットページが奇数ページである場合)、ターゲット印刷データに基づく画像のサイズが所定サイズ以上であれば(或いはその画像サイズに関わらず)、該画像をターゲットページと次のページの2つのページに亘って印刷しても良い。また、例えば、印刷コントローラ211は、ターゲットページが谷折り部分34の搬送方向上流側にある場合(例えばターゲットページが偶数ページである場合)、ターゲット印刷データに基づく画像をターゲットページにのみ印刷しても良い。これにより、連続した2つのページが見開きになる場合には、それら2つのページに亘って1つの画像が印刷されるが、それら2つのページが見開きにならない場合には、それら2つのページに亘って1つの画像が印刷されることはない。
また、この第4実施例(或いはその他の実施例)の変形例では、表紙が貼付されるマルチページカットシートの印刷において、マルチページカットシートの見開き2ページのうち奇数ページが切り取られて無い場合、印刷コントローラ211は、その見開き2ページの偶数ページへの印刷をスキップして、次の見開き2ページの奇数ページから印刷を開始しても良い。
すなわち、図15(A)に示すように、複数(例えば2つ)の見開き2ページが連続して成るマルチページカットシートに表紙500が貼付される場合、先頭ページである奇数ページ350Aの裏面と最後尾ページである偶数ページ350Bの裏面とに表紙500の裏面が貼付される。
しかし、このマルチページカットシートにおいて、見開き2ページの奇数ページ(例えば先頭ページ)350Aが切り取られると、その奇数ページ350Aが切り取られたマルチページカットシートに表紙500に表紙500が貼付される場合、図15(B)に示すように、その次の偶数ページ(つまりここでの先頭ページ)350Bが次の見開き2ページの奇数ページ350Aの裏面に折られて表紙500が貼付されるので、先頭ページの表面が表紙500の裏面に貼り合わされることになる。このため、その先頭ページの表面に画像を印刷することが無駄になる。これに鑑みて、この第2変形例では、印刷コントローラ211は、マルチページカットシートの見開き2ページのうち奇数ページが切り取られて無い場合、印刷コントローラ211は、その見開き2ページの偶数ページへの印刷をスキップして、次の見開き2ページの奇数ページから印刷を開始しても良い。具体的には、例えば、印刷コントローラ211は、マルチページカットシートの先頭ページから特有のマーク(例えば切欠き)が検出されたか否かに基づいて、該先頭ページへの印刷を行うかスキップするかを制御しても良い。より具体的には、例えば、山折り部分33にのみきり欠きが設けられていて谷折り部分34に切り欠きが設けられていない場合、印刷コントローラ211は、先頭ページから切り欠きが検出されなかった場合は、その先頭ページには画像を印刷せずに、次のページから画像の印刷を開始しても良い。
以上、本発明の好適な幾つかの実施例を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。