JP4668609B2 - 培養観察装置 - Google Patents

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Description

本発明は、培養細胞を培養しながら観察するための培養観察装置に関する。
生物研究市場では、生体の動的変化を研究するために培養細胞を用いた実験が行なわれている。培養細胞は牛の血清などから作られた培地と呼ばれる液体と共に、内部温度37℃、炭酸ガス濃度5%、湿度100%に維持された炭酸ガスインキュベーター内に配置され、培養細胞の活性が維持されている。また炭酸ガスインキュベーターの機能を備えた顕微鏡により培養細胞の活性を維持した状態での観察が可能な観察装置が市販されている。
この観察装置において、顕微鏡の対物レンズの先端部分は炭酸ガスインキュベーター内に位置し、高湿度の環境にさらされる。このため、湿気が対物レンズの内部に入り、対物レンズの内部のレンズの表面に結露を生じさせることがある。対物レンズの内部の結露は観察画像を劣化させる。
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、対物レンズの内部に結露を生じさせない培養観察装置を提供することである。
本発明は、培養細胞を培養しながら観察するための培養観察装置に向けられている。本発明の培養観察装置は、培養細胞培養するための培養装置と、培養細胞の拡大像を観察するための顕微鏡とを備えている。培養観察装置は、細胞の培養に適した環境に制御される第一空間と、第一空間に比べて低湿度に制御される第二空間とを有している。顕微鏡は対物レンズを含む対物光学部を有し、対物光学部は主に第二空間内に位置しているが、対物光学部の一部は第一空間と第二空間を分ける隔壁に形成された開口を通って第一空間内に延びており、対物光学部と隔壁の間はシール部材によってシールされている。対物レンズは複数のレンズ群を含んでいる対物レンズは、レンズを含む対物レンズ本体と、対物レンズ本体に着脱可能なキャップとから構成されており、キャップは、対物レンズ本体に保持されるキャップ本体と、キャップ本体に保持された透明の平行平板とを有し、キャップ本体は貫通穴を有しており、平行平板と対物レンズの間の空間はキャップ本体の貫通穴を介して第二空間と通気可能になっている。
本発明によれば、対物レンズの内部に結露を生じさせない培養観察装置が提供される。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[第一実施形態]
本実施形態は、培養細胞を培養しながら観察するための培養観察装置に向けられている。培養観察装置は、実質的に、培養細胞を培養するための培養装置(インキュベーター)と、培養細胞を観察するための顕微鏡とを組み合わせて構成されている。図1は、本発明の第一実施形態による培養観察装置を概略的に示す断面図である。
図1に示されるように、培養観察装置100は、培養装置主本体190と、培養装置副本体140と、これらを支持する本体支持台110とを備えている。
本体支持台110は複数の脚部114を備えている。
培養装置副本体140は、脚部114に支持された下側ベース部142と、下側ベース部142の上の周囲を取り囲む側壁部144と、側壁部144の上側の開口を覆う上側ベース部146とを備えている。
上側ベース部146は、下側ベース部142に立てられた複数の支持支柱148によって支持されている。上側ベース部146と側壁部144はシール部材150を介して接しており、両者の間は気密に保たれている。側壁部144は中空構造で断熱空間152を有し、側壁部144の断熱空間152内にはヒーター154が設けられている。下側ベース部142は、培養装置副本体140の内部空間156と外部空間とを連絡する直径30mm程度の貫通穴142aを有している。
培養装置主本体190は、底面が開口した箱状の筐体192を備えている。筐体192はヒンジ194によって側壁部144に取り付けられており、培養装置副本体140に対して開閉可能である。筐体192と上側ベース部146の間にはシール部材200が設けられており、筐体192は閉じられた際にシール部材200を介して上側ベース部146に接し、筐体192と上側ベース部146の間は気密に保たれる。筐体192は中空構造で断熱空間204を有し、筐体192の断熱空間204内にはヒーター206が設けられている。
筐体192が閉じられることにより、培養装置副本体140と培養装置主本体190は、標本を培養するための培養空間202を形成する。培養観察装置100は、筐体192の開閉を感知するための開閉センサー196を有している。
筐体192には、炭酸ガスなどの気体を培養空間202に供給するための気体供給流路208が連結されている。気体供給流路208は気体供給源210に連結される。気体供給流路208の途中には、気体の供給量を制御するためのバルブ212が設けられている。
培養観察装置100は、培養空間202内において、標本トレー550が取り付けられるトレー取り付け部252と、トレー取り付け部252を水平に移動させるための水平移動機構260を備えている。
標本トレー550は複数の標本510を保持可能である。標本510は、培養細胞502と培地504を収容した容器512と、容器512を覆う蓋518とから構成される。容器512と蓋518は共に光学的に透明である。標本510は、標本トレー550に形成された凹部に収容されて支持され、凹部の内側に形成された開口を通して下方から光学的に観察され得る。
トレー取り付け部252は、標本トレー550を受けるトレー受け部254と、トレー受け部254から上方に突出している凸部256と、トレー受け部254から下方に延びている回転シャフト258とを有している。回転シャフト258は図示しない機構により回転可能に支持されている。
標本トレー550は、図示されていないが、トレー取り付け部252の凸部256を把持する把持機構を有しており、この把持機構はトレー取り付け部252と共働してトレー保持機構を構成している。これにより、標本トレー550は、その上面が対物レンズ312の光軸に直交する平面に平行になるように、トレー取り付け部252に再現性良く着脱可能となっている。
上側ベース部146は貫通穴146aを有し、トレー取り付け部252の回転シャフト258は上側ベース部146の貫通穴146aを通って延びている。上側ベース部146の貫通穴146aとトレー取り付け部252の回転シャフト258とのすき間は、湿気の漏れを良好に抑えるために、好ましくは0.1mm以下であるとよい。また、湿気の漏れをさらに抑えるため、上側ベース部146の貫通穴146aとトレー取り付け部252の回転シャフト258の間にシール部材が設けられてもよい。
水平移動機構260は、トレー取り付け部252を回転させるためのモーター262と、モーター262を支持するモーター支持部材264と、モーター支持部材264を移動可能に支持しているリニアガイド266と、モーター支持部材264に係合しているボールネジ268と、ボールネジ268を駆動するためのモーター270と、モーター270を支持しているモーター支持部材272とを備えている。
モーター支持部材264はリニアガイド266を介して上側ベース部146に取り付けられており、上側ベース部146に対して横に移動可能である。またモーター支持部材272は上側ベース部146に固定されている。ボールネジ268はモーター270の軸の回転運動をモーター支持部材264の直線運動に変換する。
顕微鏡は、対物光学部310と結像光学部340とを備えている。対物光学部310は培養装置副本体140の内部に収容されている。また結像光学部340は培養装置副本体140の下方外部に配置されている。
対物光学部310は、対物レンズ312と、対物レンズ312を上下に移動させるための準焦機構320とを備えている。
準焦機構320は、対物レンズ312を支持するための対物レンズ支持部材322と、対物レンズ支持部材322を移動可能に支持しているリニアガイド324と、対物レンズ支持部材322に係合しているボールネジ326と、ボールネジ326を駆動するためのモーター328と、モーター328を支持しているモーター支持部材330とを備えている。
モーター支持部材330は上側ベース部146に固定されている。対物レンズ支持部材322はリニアガイド324を介してモーター支持部材330に取り付けられており、モーター支持部材330に対して上下に移動可能である。ボールネジ326はモーター328の軸の回転運動を対物レンズ支持部材322の直線運動に変換する。
上側ベース部146は貫通穴146bを有し、対物レンズ312は上側ベース部146の貫通穴146bを通って延びている。上側ベース部146の貫通穴146bと対物レンズ312とのすき間は、湿気の漏れを良好に抑えるために、好ましくは0.1mm以下であるとよい。また、湿気の漏れをさらに抑えるため、上側ベース部146の貫通穴146bと対物レンズ312との間にシール部材が設けられてもよい。
結像光学部340は、結像レンズ342と撮像装置344とを備えている。下側ベース部142は貫通穴142bを有し、貫通穴142bには光学窓142cが密閉状態で設けられている。結像光学部340は下側ベース部142に設けられた光学窓142cを介して対物レンズ312と光学的に結合されている。
また顕微鏡は、標本を透過照明するための透過照明光学系を備えている。透過照明光学系は、筐体192の外壁192aに密閉状態で取り付けられた照明光源372と、筐体192の内壁192bに密閉状態で設けられた光学窓374とを有している。照明光源372と光学窓374は共に対物レンズ312の上方に位置している。照明光源372は照明光を発し、光学窓374は照明光の通過を許す。
さらに顕微鏡は、標本を励起するための励起照明光学系を備えている。励起照明光学系は、励起光源部400と、蛍光キューブユニット410とを有している。
励起光源部400は複数の励起光源402を含んでおり、それらは波長の異なる光を発する。励起光源部400はさらに複数の励起光源402から延びる光路を一本に統合する素子404と、素子404からの光を蛍光キューブユニット410に導く投光管406とを備えている。
蛍光キューブユニット410は複数の蛍光キューブ412を含んでいる。複数の蛍光キューブ412は例えば回転可能なターレットに保持されており、それらのうちの一つが対物光学部310と結像光学部340の間の光路上に選択的に配置される。各蛍光キューブ412は、蛍光フィルター414とダイクロイックミラー416と吸収フィルター418とを有している。蛍光フィルター414は特定の波長域の光を選択的に透過して励起光を作る。ダイクロイックミラー416は蛍光フィルター414を透過した励起光を反射するとともに、標本510から発生した蛍光を選択的に透過する。吸収フィルター418はダイクロイックミラー416を透過した蛍光中の特定の波長域の光を選択的に透過して不所望な波長成分を取り除く。
さらに培養観察装置100は、装置全体を制御するための制御部420を備えている。制御部420は、例えば、水平移動機構260や準焦機構320、ヒーター154、ヒーター206、蛍光キューブユニット410、励起光源402、照明光源372などを制御する。
培養観察装置100の使用時は、複数の標本510を保持した標本トレー550がトレー取り付け部252に取り付けられ、純水を入れた加湿パッド214が培養空間202の中に配置される。培養空間202は、ヒーター206によって内部温度が37℃に制御され、バルブ212によって炭酸ガス濃度が5%に制御される。また、培養装置副本体140の内部空間は、ヒーター154によって内部温度が37℃に制御される。
筐体192の断熱空間204により培養空間202は外気の影響を受けにくく、また培養装置副本体140の内部空間156も37℃であるため、培養空間202の内部温度は良好に37℃に保たれる。また、培養空間202に生じた湿気は外部へ漏れにくいため、培養空間202内は100%に近い高湿度に保たれる。
培養装置副本体140の内部空間156と外部空間とをつなぐ貫通穴142aは小径であるので培養装置副本体140内への外気の流入はわずかである。また培養装置副本体140の内部空間は断熱空間152によって囲まれているので外気の影響を受けにくい。このため、培養装置副本体140の中に配置された対物レンズ312と準焦機構320は外気に影響されず37℃に良好に保たれる。対物レンズ312と準焦機構320は温度の影響を受けると容易にピントズレを生じさせるが、対物レンズ312と準焦機構320の温度が一定に保たれるためピントズレの発生が良好に抑えられる。
また培養空間202から培養装置副本体140の内部に浸入したわずかな湿気は貫通穴142aを通って外気に拡散するため、培養装置副本体140の内部空間156は低い湿度に保たれる。これにより、対物レンズ312に結露が生じたり、準焦機構320に錆が生じたりすることが防止される。一般に外気が湿度100に近い状態はあまりないが、外気が高湿の場合はエアコンなどで適当に湿度を下げてもよい。
また観察時は、対物レンズ312の上方に位置する標本510が観察される。観察対象の標本510は、水平移動機構260により標本トレー550を大きく回転させることによって切り換えられる。標本510内の観察個所は、水平移動機構260により標本トレー550を対物レンズ312の光軸に直交する平面に沿って移動させることによって調整される。この調整は、標本トレー550の回転と並進移動との組み合わせによって行なわれる。回転と並進移動は、標本510を支持する凹部の内側に形成された開口の内側に位置している対物レンズ312の先端が標本トレー550に当たらない範囲で行なわれる。
また、長期間にわたる観察では培地の交換が必要である。培地の交換は、トレー取り付け部252から標本トレー550ごと取り外して行なわれる。つまり、培地交換の間、容器512は標本トレー550に保持されたままであり、容器保持機構によってしっかり固定されているため位置ずれも生じない。培地交換の済んだ標本トレー550は、再びトレー取り付け部252に培地交換前と同じ状態で取り付けられる。
このように培養観察装置100では、容器512を標本トレー550から外すことなく培地交換を行なえるとともに、標本トレー550をトレー取り付け部252に位置再現性良く取り付けることができるので、容器512を元の位置に配置できる。これにより、特定の細胞を長期間にわたって観察することが可能である。
培養観察装置100において、対物レンズ312の先端部分は培養空間202内に位置するため、高湿度の環境にさらされる。一般に、対物レンズ内のレンズは接着剤によって固定されており、一般に接着剤は完全に防湿ではなく、いくらかは湿気を通す。このため、培養空間202内の湿気が対物レンズ312の内部に入り、対物レンズ312の内部のレンズの表面に結露を生じさせることがある。
このため、培養観察装置100は対物レンズ312の内部に結露を生じさせない機構を有している。以下、この機構について対物レンズ312の機械的な構造にも触れながら説明する。続く説明では、対物レンズには、その構造の特徴に応じて異なる参照符号を付けて説明する。言い換えれば、これ以降の説明に現われる対物レンズはいずれも図1に示された対物レンズ312として適用可能である。
図2は、本発明の第一実施形態による培養観察装置における対物レンズとその周辺部の断面図である。図3は、図2に示されたIII−III線に沿った対物レンズの断面図である。
図2に示されるように、対物レンズ810は、その先端部分だけが培養空間202内に位置し、残りの部分は培養装置副本体140の内部空間156内に位置している。前述したように、培養空間202は高湿度であり、培養装置副本体140の内部空間156は培養空間202に比べて低湿度である。
対物レンズ810は、複数のレンズ群を含んでおり、レンズ814Aと、レンズ814Aを保持するレンズ枠816Aと、レンズ814Bと、レンズ814Bを保持するレンズ枠816Bと、レンズ814Cと、レンズ814Cを保持するレンズ枠816Cとを有している。それぞれのレンズ814A〜814Cとそれに対応するレンズ枠816A〜816Cは一つのレンズ群を構成している。
レンズ814Aは接着剤815Aによってレンズ枠816Aに固定され、レンズ814Bは接着剤815Bによってレンズ枠816Bに固定され、レンズ814Cは接着剤815Cによってレンズ枠816Cに固定されている。
対物レンズ810はさらに、レンズ枠816A〜816Cを収容する外筒812と、レンズ枠816A〜816Cと一緒に外筒812に収容される空枠816Dと、外筒812に収容されたレンズ枠816A〜816Cと空枠816Dを固定するための枠固定部材818とを有している。
外筒812は、後端部に、対物レンズ支持部材322への取り付けのためのネジ部812aを有している。外筒812は、後端部近くの内周面に、枠固定部材818が係合するネジ部812bを有している。
外筒812は先端部につば812cを有している。外筒812のつば812cと上側ベース部146の間はシール部材222によってシールされている。シール部材222は、ゴムなどの透湿性の低い弾性材料からなる蛇腹で構成されている。シール部材222は、内側端部がネジ226により外筒812のつば812cに固定され、外側端部がネジ224により上側ベース部146に固定されている。
シール部材222は蛇腹からなり伸縮性を有するため、準焦機構320による対物レンズ810の上下移動を実質的に妨げない。また、シール部材222は、ゴムなどの透湿性の低い弾性材料からなるため、培養空間202から培養装置副本体140の内部空間156への水蒸気の漏れが少なく、培養装置副本体140の内部空間156が高湿になる心配がない。
図2と図3に示されるように、外筒812は、内側面に縦に延びている溝812dと、溝812dから径方向に延びている貫通穴812eとを有している。また図2に示されるように、レンズ枠816Bとレンズ枠816Cは、それぞれ、径方向に延びている貫通穴を有している。レンズ枠816Bとレンズ枠816Cの貫通穴は共に外筒812の溝812dに連絡している。これにより、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aは培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている。同様に、レンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bも培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている。また培養装置副本体140の内部空間156は、前述したように、下側ベース部142の貫通穴142aを介して外気と通気可能になっている。
培養空間202内の水蒸気がレンズ814Aをレンズ枠816Aに固定している接着剤815Aを通ってレンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aに入り、さらにはレンズ814Bをレンズ枠816Bに固定している接着剤815Bを通ってレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bにも入る可能性はある。しかし、空間A内と空間B内の過度の水蒸気は、それぞれレンズ枠816Aとレンズ枠816Bの貫通穴を通り、外筒812の溝812dと貫通穴812eを通って培養装置副本体140の内部空間156に拡散される。さらに培養装置副本体140の内部空間156内の過度の水蒸気は下側ベース部142の貫通穴142aを通って外気に拡散される。
このため、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bに過度の水蒸気がたまって高湿度になることがない。これによりレンズ814Aとレンズ814Bとレンズ814Cの表面に結露が発生することが防止される。
また、空間A、空間B、内部空間156、外気を通気させているので、シール部材222を金属のような完全なシール材料にしなくても対物レンズが結露することを防止できる。よってシール部材222はわずかに湿気を通すが、弾性のあるゴム材料などを適用できる。よって、対物レンズのフォーカスのための移動を妨げず、高精度のフォーカスが可能になる。
<対物レンズの変形例>
次に、図2に示された対物レンズの変形例について述べる。図4は、本発明の第一実施形態の変形例による対物レンズとその周辺部の断面図である。図4において、図2に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
図4に示されるように、対物レンズ820は、レンズ枠816A〜816Cと空枠816Dを収容する外筒822を有している。外筒822は、後端部に、対物レンズ支持部材322への取り付けのためのネジ部822aを有し、後端部近くの内周面に、枠固定部材818が係合するネジ部822bを有している。外筒822は先端部につば822cを有し、つば822cと上側ベース部146の間はシール部材222によってシールされている。
外筒822は、径方向に延びている貫通穴822eを有している。貫通穴822eはレンズ枠816Bの貫通穴と連絡している。これにより、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aは、レンズ枠816Bの貫通穴と外筒822の貫通穴822eを介して、培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている。
外筒822はさらに、径方向に延びている貫通穴822gを有している。貫通穴822gはレンズ枠816Cの貫通穴と連絡している。これにより、レンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bは、レンズ枠816Cの貫通穴と外筒822の貫通穴822gを介して、培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている。
そのほかの構成は図2に示された対物レンズ810と同じである。
本変形例の対物レンズ820は、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bとが独立して培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている点においてのみ対物レンズ810と相違しており、その機能や利点などは対物レンズ810と同様である。
本変形例では、対物レンズ810の溝812のようなアンダーカット形状を加工できる装置がなくても、一般的に使われているドリルで貫通穴822eと822の加工ができるので汎用性がある。
図1に示された培養観察装置100では、筐体192は培養装置副本体140に対して開閉可能であるが、これに限定されるものではなく、筐体192は培養装置副本体140に固定されていてもよい。その場合、標本トレー550や加湿パッド214の出し入れのために、筐体192は、側壁に形成された開口と、側壁の開口をふさぐための扉とを備えていればよい。さらには、筐体192は、底部の一部が開口していて、培養装置副本体140に取り付けることによってその開口がふさがれるように構成してもよい。
[第二実施形態]
本実施形態は、培養観察装置のための結露が発生しにくい別の対物レンズに向けられている。図5は、本発明の第二実施形態による培養観察装置における対物レンズとその周辺部の断面図である。図5において、図に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
図5に示されるように、対物レンズ830は、レンズ枠816A〜816Cと空枠816Dを収容する内筒834と、内筒834に収容されたレンズ枠816A〜816Cと空枠816Dを固定するための枠固定部材836と、内筒834を収容する外筒832と、外筒832に収容された内筒834を固定するための内筒固定部材838とを有している。
外筒832は、後端部に、対物レンズ支持部材322への取り付けのためのネジ部832aを有し、後端部近くの内周面に、内筒固定部材838が係合するネジ部832bを有している。また内筒834は、後端部近くの内周面に、枠固定部材836が係合するネジ部を有している。外筒832は先端部につば832cを有し、つば832cと上側ベース部146の間はシール部材222によってシールされている。
レンズ枠816Bは径方向に延びている二つの貫通穴を有している。同様にレンズ枠816Cも径方向に延びている二つの貫通穴を有している。内筒834は、径方向に延びている二つの貫通穴834aと、径方向に延びている別の二つの貫通穴834bとを有している。内筒834の貫通穴834aはレンズ枠816Bの貫通穴と連絡し、内筒834の貫通穴834bはレンズ枠816Cの貫通穴と連絡している。外筒832は、内側面を周回している溝832dと、溝832dから径方向に延びている二つの貫通穴832eとを有している。溝832dは内筒834の貫通穴834aと貫通穴834bとに連絡している。
これにより、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aは、レンズ枠816Bの貫通穴と内筒834の貫通穴834aと外筒832の溝832dと貫通穴832eとを介して、培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている。またレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bは、レンズ枠816Cの貫通穴と内筒834の貫通穴834bと外筒832の溝832dと貫通穴832eとを介して、培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている。
このため、本実施形態の対物レンズ830においても、第一実施形態と同様に、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bに過度の水蒸気がたまって高湿度になることがない。これによりレンズ814Aとレンズ814Bとレンズ814Cの表面に結露が発生することが防止される。
また本実施形態では、外筒832の溝832dが内側面の全周にわたって形成されているので、外筒832のほかの部位と同時に旋盤で加工できるなど、外筒832の加工が比較的容易である。
本実施形態において、レンズ枠816Bの貫通穴、レンズ枠816Cの貫通穴、内筒834の貫通穴834a、内筒834の貫通穴834b、外筒832の貫通穴832eの個数はいずれも二つであるが、これらの個数はこれに限定されるものではなく適宜変更されてもよい。
[第三実施形態]
本実施形態は、培養観察装置のための結露が発生しにくい別の対物レンズに向けられている。図6は、本発明の第三実施形態による培養観察装置における対物レンズとその周辺部の断面図である。図6において、図に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
図6に示されるように、対物レンズ840は、レンズ枠816A〜816Cと空枠816Dを収容する内筒844と、内筒844に収容されたレンズ枠816A〜816Cと空枠816Dを固定するための枠固定部材846と、内筒844を収容する外筒842と、外筒842に収容された内筒844を固定するための内筒固定部材848とを有している。
外筒842は、後端部に、対物レンズ支持部材322への取り付けのためのネジ部842aを有し、後端部近くの内周面に、内筒固定部材848が係合するネジ部842bを有している。また内筒844は、後端部近くの内周面に、枠固定部材846が係合するネジ部を有している。外筒842は先端部につば842cを有し、つば842cと上側ベース部146の間はシール部材222によってシールされている。
レンズ枠816Bは径方向に延びている二つの貫通穴を有している。同様にレンズ枠816Cも径方向に延びている二つの貫通穴を有している。また空枠816Dも径方向に延びている二つの貫通穴を有している。内筒844は、径方向に延びている二つの貫通穴844aと、径方向に延びている別の二つの貫通穴844bと、径方向に延びているさらに別の二つの貫通穴844cとを有している。内筒844の貫通穴844aはレンズ枠816Bの貫通穴と連絡し、内筒844の貫通穴844bはレンズ枠816Cの貫通穴と連絡し、内筒844の貫通穴844cは空枠816Dの貫通穴と連絡している。外筒842は、内側面を周回している溝842dを有している。溝842dは内筒844の貫通穴844aと貫通穴844bと貫通穴844cとに連絡している。
これにより、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aは、レンズ枠816Bの貫通穴と内筒844の貫通穴844aと外筒842の溝842dと空枠816Dの貫通穴とを介して、空枠816Dの内側空間Cに連絡している。またレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bは、レンズ枠816Cの貫通穴と内筒844の貫通穴844bと外筒842の溝842dと空枠816Dの貫通穴とを介して、空枠816Dの内側空間Cに連絡している。空枠816Dの内側空間Cは対物レンズ840の後端部の開口を介して培養装置副本体140の内部空間156に連絡している。従って、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bは共に培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている。
このため、本実施形態の対物レンズ840においても、第一実施形態と同様に、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bに過度の水蒸気がたまって高湿度になることがない。これによりレンズ814Aとレンズ814Bとレンズ814Cの表面に結露が発生することが防止される。
また本実施形態では、外筒842の溝842dが内側面の全周にわたって形成されているので、外筒842の加工が比較的容易である。
本実施形態において、レンズ枠816Bの貫通穴、レンズ枠816Cの貫通穴、内筒844の貫通穴844a、内筒844の貫通穴844b、内筒844の貫通穴844c、空枠816Dの貫通穴の個数はいずれも二つであるが、これらの個数はこれに限定されるものではなく適宜変更されてもよい。
[第四実施形態]
本実施形態は、培養観察装置のための結露が発生しにくい別の対物レンズに向けられている。図7は、本発明の第四実施形態による培養観察装置における対物レンズとその周辺部の断面図である。図7において、図に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
図7に示されるように、本実施形態の対物レンズ850は、対物レンズ本体850Aと、対物レンズ本体850Aに着脱可能なキャップ850Bとから構成されている。
対物レンズ本体850Aは、レンズ814A〜814Cと、レンズ814A〜814Cを保持しているレンズ枠816A〜816Cと、空枠816Dと、レンズ枠816A〜816Cと空枠816Dを収容する外筒852と、レンズ枠816A〜816Cと空枠816Dを固定するための枠固定部材818とを有している。
外筒852は、後端部に、対物レンズ支持部材322への取り付けのためのネジ部852aを有し、後端部近くの内周面に、枠固定部材818が係合するネジ部852bを有している。また外筒852は、後端部に、キャップ850Bが係合するネジ部852cを有している。
キャップ850Bは、対物レンズ本体850Aに保持されるキャップ本体854と、キャップ本体854に保持された透明な平行平板856とを有している。キャップ本体854は、シール部材222と係合する係合部854aを有している。係合部854aは例えばはめ合いによってシール部材222に係合する。またキャップ本体854は、径方向に延びている複数の貫通穴854bを有している。これにより、平行平板856とレンズ814Aの間の空間Dは、キャップ本体854の貫通穴854bを介して、培養装置副本体140の内部空間156と通気可能になっている。
このため、平行平板856とレンズ814Aの間の空間Dに過度の水蒸気がたまって高湿度になることがない。これによりレンズ814Aとレンズ814Bとレンズ814Cの表面に結露が発生することが防止される。
本実施形態の対物レンズ850は、必要に応じて、キャップ850Bを取り外して使用されてもよい。具体的には、キャップ850Bは、高湿下で使用されるときだけ取り付けられ、それ以外では取り外される。キャップ850Bを取り外すことにより、作動距離がWD1からWD2に広がる。この場合、対物レンズ本体850Aが容器512に衝突する心配が少ない。
また、対物レンズ本体850Aにキャップ850Bをネジ込むだけで結露防止可能なので、様々な種類の対物レンズにキャップ850取付用ネジを設けるだけで簡単にアドオンでき、汎用性に優れる。
[第五実施形態]
本実施形態は、図5に示された対物レンズ830に対して結露発生を積極的に防止するため、対物レンズ830の内部に乾燥ガスを循環させるための乾燥ガス循環装置に向けられている。図8は、本発明の第五実施形態による乾燥ガス循環装置を示している。
図8に示されるように、循環装置は、乾燥ガスを供給するための乾燥ガス供給部862と、乾燥ガス供給部862から供給される乾燥ガスを対物レンズ830の複数のレンズ群の相互間の空間に供給するためのガス供給流路864と、ガス供給流路864の途中に設けられたバルブ866と、対物レンズ830の複数のレンズ群の相互間の空間内のガスを排出するためのガス排出流路868とを有している。
乾燥ガス供給部862は例えばガスボンベで構成され、これに限らないが例えば窒素ガス(N)を供給する。乾燥ガスは窒素ガス(N)に限定されるものではなく、ほかの適当な乾燥ガス、例えば二酸化炭素(CO)であってもよい。また、COを使用する場合は、気体供給源210(培養空間202用)を共用して、チューブなどでふたまたにして利用してもよい。
ガス供給流路864は、対物レンズ830の外筒832の貫通穴832eに接続されている。ガス排出流路868は、対物レンズ830の外筒832の別の貫通穴832eに接続されており、培養装置副本体140の外部で終端している。ガス排出流路868は、培養装置副本体140の内部空間156内で終端していてもよく、この場合、ガス排出流路868自体が省略されてもよい。
乾燥ガス供給部862から供給される乾燥ガスは、ガス供給流路864を通る間に培養装置副本体140の内部空間156で暖められて対物レンズ830の内部に入り、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bを通り、ガス排出流路868を介して排出される。なお、乾燥ガス供給部862、バルブ866、ガス供給流路864を全て内部空間156に配置して暖めてもよい。これにより乾燥ガスが対物レンズの温度とほぼ同じになるために、乾燥ガスの供給によりフォーカスがずれる心配がない。
このように本実施形態では、対物レンズ830の内部に乾燥ガスが強制的に循環されるため、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bが低湿度に保たれる。これにより、対物レンズ830の内部の結露発生が効果的に防止される。
[第六実施形態]
本実施形態は、図6に示された対物レンズ840に対して結露発生を積極的に防止するため、対物レンズ840の内部に乾燥ガスを循環させるための乾燥ガス循環装置に向けられている。図9は、本発明の第六実施形態による乾燥ガス循環装置を示している。
図9に示されるように、本実施形態では、対物光学部は、ただ一つの対物レンズを支持する対物レンズ支持部材に代えて、対物レボルバー870を有している。
対物レボルバー870は、複数の対物レンズ840が取り付け可能な回転台874と、回転台874を回転可能に支持している支持部872とを有し、回転台874に取り付けられた複数の対物レンズ840の一つを選択的に顕微鏡の光軸上を配置し得る。支持部872は準焦機構によって上下に移動され得る。
支持部872と回転台874の間は摺動可能なシール部材876によってシールされており、また回転台874と上側ベース部146の間は摺動可能なシール部材878によってシールされている。支持部872は、顕微鏡の光軸上に配置された対物レンズ840に乾燥ガスを効率良く供給するための貫通穴872aと、顕微鏡の光軸上に配置された対物レンズ840から乾燥ガスを効率良く排出するための貫通穴872bとを有している。支持部872の貫通穴872aには、乾燥ガス供給部862に接続されたガス供給流路864が接続されている。
乾燥ガス供給部862から供給される乾燥ガスは、ガス供給流路864と支持部872の貫通穴872aを通って対物レンズ840の内部に入り、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bを通り、支持部872の貫通穴872aから排出される。第六実施形態と同様、排出用の貫通穴872aは培養装置副本体140の内部空間156で終端しても、培養装置副本体140の外部と接続されてもどちらでもよい。
このように対物レンズ840の内部に乾燥ガスが強制的に循環されるため、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bが低湿度に保たれる。これにより、対物レンズ840の内部の結露発生が効果的に防止される。
[第七実施形態]
本実施形態は、図6に示された対物レンズ840の内部に乾燥ガスを循環させるための別の乾燥ガス循環装置に向けられている。図10は、本発明の第七実施形態による乾燥ガス循環装置を示している。
図10に示されるように、本実施形態では、乾燥ガス供給部862に接続されたガス供給流路864は培養装置副本体140の内部空間156に接続されている。
乾燥ガス供給部862はガス供給流路864を介して培養装置副本体140の内部空間156に乾燥ガスを供給する。培養装置副本体140の内部空間156に供給された乾燥ガスは、それなりの確率で対物レンズ840の内部に入り、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bを通り、下側ベース部142の貫通穴142aから排出される。
このように対物レンズ840の内部に乾燥ガスが強制的に循環されるため、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bが低湿度に保たれる。これにより、対物レンズ840の内部の結露発生が効果的に防止される。
培養装置副本体140の内部に、乾燥ガス供給部862を設置するスペースが確保できない場合に有効となる。この場合、乾燥ガスが暖められる部位がないので、図示しないが、別途ガス供給流路864にヒーターなどを巻いて加温してもよい。
[第八実施形態]
本実施形態は、対物レンズの内部を乾燥させるための乾燥装置に向けられている。図11は、本発明の第八実施形態による乾燥装置を示している。図11には、本実施形態の乾燥装置が図2に示された対物レンズ810に適用された様子が模式的に示されている。
図11に示されるように、乾燥装置は、湿気を吸収する乾燥剤882を収容する乾燥剤収容部880と、乾燥剤収容部880の内部空間と対物レンズ810の複数のレンズ群の相互間の空間とを連絡する連絡流路884を有している。
乾燥剤882はこれに限らないが、例えばシリカゲルで構成される。連絡流路884は、一端が乾燥剤収容部880に接続され、他端が対物レンズ810の外筒812の貫通穴812eに接続されている。
対物レンズ840の内部に存在する湿気は連絡流路884を介して乾燥剤収容部880内の乾燥剤882に吸収される。このため、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bが低湿度に保たれる。これにより、対物レンズ840の内部の結露発生が効果的に防止される。
<変形例>
図12は、本発明の第八実施形態の変形例による乾燥装置を示されている。図12には、本実施形態による乾燥装置が図6に示された対物レンズ840に適用された様子が模式的に示されている。
本変形例では、図12に示されるように、対物レンズ840は対物レボルバー870に取り付けられている。対物レボルバー870とその周辺部の構造は実質的に図9に図示されたものと同様である。ただし、支持部872は、回転台874に取り付けられた対物レンズ840の内部空間と連絡するただ一つの貫通穴872aを有している。連絡流路884は、一端が乾燥剤収容部880に接続され、他端が支持部872の貫通穴872aに接続されている。
対物レンズ840の内部に存在する湿気は支持部872の貫通穴872aと連絡流路884を介して乾燥剤収容部880内の乾燥剤882に吸収される。このため、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bが低湿度に保たれる。これにより、対物レンズ840の内部の結露発生が効果的に防止される。
本実施形態では、気体の速い流れは生じないので、気体の流れにより、温度変化が生じたり、塵が舞い上がってレンズに付着したりすることがない。
また、対物レンズ内や、対物レンズ内の狭い空間では、シリカゲルなどを大量に配置できないが、外部に乾燥剤収容部880を設けたので、広い空間が確保でき、大量のシリカゲルを入れることができ、長期間にわたり結露防止できる。また、最も結露し易い対物レンズ内部の空間のみを乾燥させているので、シリカゲルの消費を必要最小限に抑えられる。
[第九実施形態]
本実施形態は、対物レンズの内部を乾燥させるための乾燥手段を備えた培養観察装置に向けられている。図13は、本発明の第九実施形態による培養観察装置を模式的に示している。
図13に示される培養観察装置では、対物レンズ支持部材322には、これに限らないが、例えば図6に示された対物レンズ840が取り付けられている。しかし、対物レンズ支持部材322に取り付けられる対物レンズは、対物レンズ840に限定されるものではなく、これまでに説明した対物レンズ810と対物レンズ820と対物レンズ830と対物レンズ850のいずれに変更されても一向に構わない。
本実施形態では、培養装置副本体140の下側ベース部142には培養装置副本体140の内部空間156と外部空間とをつなぐ貫通穴がなく、図13に示されるように、培養装置副本体140の内部空間156内に乾燥手段として乾燥剤882が置かれている。
培養装置副本体140の内部空間156に存在する湿気が乾燥剤882に吸収されるため、培養装置副本体140の内部空間156が低湿度に保たれる。従って、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bが低湿度に保たれる。これにより対物レンズ840の内部の結露発生が効果的に防止される。また下側ベース部142に設けられた光学窓142cに対する結露発生も防止される。
培養装置副本体140の内部空間156は比較的広いので、一度に大量の乾燥剤882を置くことも可能である。従って、培養装置副本体140の内部空間156に大量の乾燥剤882を置くことにより長期間にわたって結露発生を防止することも可能である。
本実施形態においても、気体の速い流れは生じないので、気体の流れにより、温度変化が生じたり、塵が舞い上がってレンズに付着したりすることがない。
また、内部空間156は外気を通気させていないので、より内部空間156の恒温化が容易になる。
[第十実施形態]
本実施形態は、対物レンズの内部を乾燥させるための別の乾燥手段を備えた培養観察装置に向けられている。図14は、本発明の第十実施形態による培養観察装置を模式的に示している。
図14に示される培養観察装置では、対物レンズ支持部材322には、これに限らないが、例えば図6に示された対物レンズ840が取り付けられている。しかし、対物レンズ支持部材322に取り付けられる対物レンズは、対物レンズ840に限定されるものではなく、これまでに説明した対物レンズ810と対物レンズ820と対物レンズ830と対物レンズ850のいずれに変更されても一向に構わない。
本実施形態の培養観察装置では、培養装置副本体140は、その内部空間156内の湿気を液体に変える液化装置892と、液化装置892において生じた液体を外に排出するための排出流路894と、排出流路894を通って排出された液体を収容するための液体収容部896と、液体収容部896にたまった液体を気化させる気化装置898とを有している
液化装置892はこれに限らないが、例えばペルチェ素子で構成される。気化装置898はこれに限らないが、例えばヒーターで構成される。
本実施形態では、培養装置副本体140の内部空間156に存在する湿気は液化装置892によって水滴に変えられ、水滴は排出流路894を通って排出され液体収容部896にたまる。液体収容部896にたまった水は気化装置898によって気化される。
これにより培養装置副本体140の内部空間156が低湿度に保たれる。従って、レンズ814Aとレンズ814Bの間の空間Aとレンズ814Bとレンズ814Cの間の空間Bが低湿度に保たれる。これにより対物レンズ840の内部の結露発生が効果的に防止される。また下側ベース部142に設けられた光学窓142cに対する結露発生も防止される。
さらに以下の効果もある。気体の流れがないので、温度変化によるフォーカスズレや、塵を舞い上げてレンズに付着し像を劣化させることもない。また、乾燥ガスやシリカゲルのように減らないので交換が不要である。さらに、吸湿能力が高いのでより確実に結露防止できる。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
本発明の第一実施形態による培養観察装置を概略的に示す断面図である。 本発明の第一実施形態による培養観察装置における対物レンズとその周辺部の断面図である。 図2に示されたIII−III線に沿った対物レンズの断面図である。 本発明の第一実施形態の変形例による対物レンズとその周辺部の断面図である。 本発明の第二実施形態による培養観察装置における対物レンズとその周辺部の断面図である。 本発明の第三実施形態による培養観察装置における対物レンズとその周辺部の断面図である。 本発明の第四実施形態による培養観察装置における対物レンズとその周辺部の断面図である。 本発明の第五実施形態による乾燥ガス循環装置を示している。 本発明の第六実施形態による乾燥ガス循環装置を示している。 本発明の第七実施形態による乾燥ガス循環装置を示している。 本発明の第八実施形態による乾燥装置を示している。 本発明の第八実施形態の変形例による乾燥装置を示されている。 本発明の第九実施形態による培養観察装置を模式的に示している。 本発明の第十実施形態による培養観察装置を模式的に示している。
符号の説明
100…培養観察装置、110…本体支持台、114…脚部、140…培養装置副本体、142…下側ベース部、142a…貫通穴、142b…貫通穴、142c…光学窓、144…側壁部、146…上側ベース部、146a…貫通穴、146b…貫通穴、148…支持支柱、150…シール部材、152…断熱空間、154…ヒーター、156…内部空間、190…培養装置主本体、192…筐体、192a…外壁、192b…内壁、194…ヒンジ、196…開閉センサー、200…シール部材、202…培養空間、204…断熱空間、206…ヒーター、208…気体供給流路、210…気体供給源、212…バルブ、214…加湿パッド、222…シール部材、224…ネジ、226…ネジ、252…トレー取り付け部、254…トレー受け部、256…凸部、258…回転シャフト、260…水平移動機構、262…モーター、264…モーター支持部材、266…リニアガイド、268…ボールネジ、270…モーター、272…モーター支持部材、310…対物光学部、312…対物レンズ、320…準焦機構、322…対物レンズ支持部材、324…リニアガイド、326…ボールネジ、328…モーター、330…モーター支持部材、340…結像光学部、342…結像レンズ、344…撮像装置、372…照明光源、374…光学窓、400…励起光源部、402…励起光源、404…素子、406…投光管、410…蛍光キューブユニット、412…蛍光キューブ、414…蛍光フィルター、416…ダイクロイックミラー、418…吸収フィルター、420…制御部、502…培養細胞、504…培地、510…標本、512…容器、518…蓋、550…標本トレー、810…対物レンズ、812…外筒、812a…ネジ部、812b…ネジ部、812c…つば、812d…溝、812e…貫通穴、814A…レンズ、814B…レンズ、814C…レンズ、815A…接着剤、815B…接着剤、815C…接着剤、816A…レンズ枠、816B…レンズ枠、816C…レンズ枠、816D…空枠、818…枠固定部材、820…対物レンズ、822…外筒、822a…ネジ部、822b…ネジ部、822c…つば、822d…溝、822e…貫通穴、822f…溝、822g…貫通穴、830…対物レンズ、832…外筒、832a…ネジ部、832b…ネジ部、832c…つば、832d…溝、832e…貫通穴、834…内筒、834a…貫通穴、834b…貫通穴、836…枠固定部材、838…内筒固定部材、840…対物レンズ、842…外筒、842a…ネジ部、842b…ネジ部、842c…つば、842d…溝、844…内筒、844a…貫通穴、844b…貫通穴、844c…貫通穴、846…枠固定部材、848…内筒固定部材、850…対物レンズ、850A…対物レンズ本体、850B…キャップ、852…外筒、852a…ネジ部、852b…ネジ部、852c…ネジ部、854…キャップ本体、854a…係合部、854b…貫通穴、856…平行平板、862…乾燥ガス供給部、864…ガス供給流路、866…バルブ、868…ガス排出流路、870…対物レボルバー、872…支持部、872a…貫通穴、872b…貫通穴、874…回転台、876…シール部材、878…シール部材、880…乾燥剤収容部、882…乾燥剤、884…連絡流路、892…液化装置、894…排出流路、896…液体収容部、898…気化装置。

Claims (14)

  1. 培養細胞を培養しながら観察するための培養観察装置であり、
    培養細胞培養するための培養装置と、
    培養細胞の拡大像を観察するための顕微鏡とを備えており、
    培養観察装置は、細胞の培養に適した環境に制御される第一空間と、第一空間に比べて低湿度に制御される第二空間とを有し、
    顕微鏡は対物レンズを含む対物光学部を有し、対物光学部は主に第二空間内に位置しているが、対物光学部の一部は第一空間と第二空間を分ける隔壁に形成された開口を通って第一空間内に延びており、対物光学部と隔壁の間はシール部材によってシールされており、
    対物レンズは複数のレンズ群を含み、対物レンズは、レンズを含む対物レンズ本体と、対物レンズ本体に着脱可能なキャップとから構成されており、キャップは、対物レンズ本体に保持されるキャップ本体と、キャップ本体に保持された透明の平行平板とを有し、キャップ本体は貫通穴を有しており、平行平板と対物レンズの間の空間はキャップ本体の貫通穴を介して第二空間と通気可能になっている、培養観察装置。
  2. 培養細胞を培養しながら観察するための培養観察装置であり、
    培養細胞を培養するための培養装置と、
    培養細胞の拡大像を観察するための顕微鏡とを備えており、
    培養観察装置は、細胞の培養に適した環境に制御される第一空間と、第一空間に比べて低湿度に制御される第二空間とを有し、
    顕微鏡は対物レンズを含む対物光学部を有し、対物光学部は主に第二空間内に位置しているが、対物光学部の一部は第一空間と第二空間を分ける隔壁に形成された開口を通って第一空間内に延びており、対物光学部と隔壁の間はシール部材によってシールされており、
    対物光学部は、複数の対物レンズが取り付け可能な回転台と、回転台を回転可能に支持し、複数の貫通穴を有している支持部とを有し、前記隔壁と回転台の間は摺動可能なシール部材によってシールされており、対物レンズは複数のレンズ群を含み、複数のレンズ群の相互間の空間が前記支持部の貫通穴を介して第二空間の空間と通気可能である、培養観察装置。
  3. 請求項1または2において、シール部が蛇腹で構成されている、培養観察装置。
  4. 請求項において、蛇腹が弾性部材で構成されている、培養観察装置。
  5. 請求項において、対物レンズは、複数のレンズと、レンズを保持する複数のレンズ枠と、レンズ枠を収容して保持する筒体とを有し、複数のレンズ枠の少なくとも一つは径方向に延びている貫通穴を有し、筒体は、レンズ枠の貫通穴と第二空間とを連絡する流路を有している、培養観察装置。
  6. 請求項2において、対物レンズは、複数のレンズと、レンズを保持する複数のレンズ枠と、レンズ枠を収容して保持する筒体とを有し、複数のレンズ枠の少なくとも一つは径方向に延びている貫通穴を有し、筒体は、内筒と、内筒を収容する外筒とに分かれており、内筒の内側のレンズ枠の後端部に空枠が収容されており、筒体の流路は筒体の後端部に延びており、外筒の溝と、レンズ枠と内筒と空枠のそれぞれの径方向に延びている貫通穴とが、対物レンズの後端部の開口を介して第二空間と通気可能になっている、培養観察装置。
  7. 培養細胞を培養しながら観察するための培養観察装置であり、
    培養細胞を培養するための培養装置と、
    培養細胞の拡大像を観察するための顕微鏡とを備えており、
    培養観察装置は、細胞の培養に適した環境に制御される第一空間と、第一空間に比べて低湿度に制御される第二空間とを有し、
    顕微鏡は対物レンズを含む対物光学部を有し、対物光学部は主に第二空間内に位置しているが、対物光学部の一部は第一空間と第二空間を分ける隔壁に形成された開口を通って第一空間内に延びており、対物光学部と隔壁の間はシール部材によってシールされており、
    対物レンズは、複数のレンズ群と、複数のレンズ群を収容して保持する筒体とを有し、各レンズ群は、レンズと、これを保持するレンズ枠で構成され、複数のレンズ枠の少なくとも一つは径方向に延びている貫通穴を有し、複数のレンズ群の相互間の空間が貫通穴を介して第二空間の空間と通気可能であり、筒体は、内筒と、内筒を収容する外筒とに分かれており、内筒の内側のレンズ枠の後端部に空枠が収容されており、筒体の流路は筒体の後端部に延びており、外筒の溝と、レンズ枠と内筒と空枠のそれぞれの径方向に延びている貫通穴とが、対物レンズの後端部の開口を介して第二空間と通気可能になっている、培養観察装置。
  8. 請求項1または2または7において、対物レンズの複数のレンズ群の相互間の空間内の湿気を除去する乾燥手段を備えている、培養観察装置。
  9. 請求項において、乾燥手段は、乾燥ガスを循環させる循環装置を備えている、培養観察装置。
  10. 請求項において、循環装置は、乾燥ガス供給部と、乾燥ガス供給部から供給される乾燥ガスを対物レンズの複数のレンズ群の相互間の空間に供給するための供給流路とを有している、培養観察装置。
  11. 請求項において、乾燥手段は、湿気を吸収する乾燥剤を収容する乾燥剤収容部と、乾燥剤収容部の内部空間と対物レンズの複数のレンズ群の相互間の空間とを連絡する連絡流路とを有している、培養観察装置。
  12. 請求項において、乾燥手段は、培養装置の第二空間内に置かれる乾燥剤である、培養観察装置。
  13. 請求項において、乾燥手段は、培養装置の第二空間内の湿気を液体に変える液化手段と、液化手段において生じた液体を第二空間の外に排出するための排出流路とを備えている、培養観察装置。
  14. 請求項13において、排出流路を通って排出された液体を気化させる気化手段をさらに備えている、培養観察装置。
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