JP2007140155A - 顕微鏡装置 - Google Patents

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登久 松江
Yasushi Ogiwara
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Abstract

【課題】操作性を損なわずに、高精度で温度管理することができフォーカスドリフトを小さくすることができる顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】顕微鏡ユニット100と、試料画像を撮像する撮像ユニットと、を有する顕微鏡装置である。顕微鏡ユニット100は、試料を観察する観察光学系300と、試料および観察光学系を支持すると共に、電動駆動する支持・駆動系400と、当該ユニット内部を、指示された温度に維持する温度調整装置500とを、筐体内101に有する。撮像ユニット600は、観察光学系が取得した試料の画像を撮像する撮像装置700を、筐体601内に有する。温度調整装置500は、支持・駆動系400に設置された温度センサ520を有し、温度センサ520の検出出力に基づいて温度調整を行う。顕微鏡ユニットと撮像ユニットとは、断熱部材910を介して連結される。
【選択図】図2

Description

本発明は、保温機能を有する顕微鏡装置に関する。
顕微鏡の用途の一つに、特定の温度環境においた試料を観察する場合がある。顕微鏡装置について、顕微鏡をアクリルのケースに入れて、ケース外部の別置きの熱源から温風をケース内に循環させる。このような構成により、全体および主要部の温度を調整している。
この種の保温装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2002−372670号公報
この種の顕微鏡装置においてはフォーカスドリフトが問題となる。フォーカスドリフトは、主にフォーカスに関わる部品の温度変化による変形から生じている。従来の技術では、以下の理由により、顕微鏡装置を高精度で温度管理することが難しく、フォーカスドリフトが大きい、という問題がある。
これまでは、顕微鏡装置をアクリルケースに収容しているため、ケースが顕微鏡全体を覆うことになるので容量が大きくなり、大容量のケースを空調しなければならないので熱源も大きなものが必要になる。そして、別置きの熱源内の温度センサで、循環空気の温度を検知して温度制御しているので、顕微鏡装置の温度を高精度で管理することができない。
本発明は、高精度で温度管理することができ、フォーカスドリフトを小さくすることができる顕微鏡装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、
試料の観察を行うための顕微鏡ユニットと、顕微鏡ユニットにおいて得られた試料画像を撮像する撮像装置と、を有する顕微鏡装置において、
前記顕微鏡ユニットは、
試料を観察する観察光学系と、
試料および観察光学系を支持すると共に、電動駆動する支持・駆動系と、
当該ユニット内部を、指示された一定の温度に維持するための温度調整装置と、を第1の筐体内に有し、
前記温度調整装置は、前記支持・駆動系に設置された温度センサを有し、この温度センサの検出出力に基づいて、温度調整を行うこと
を特徴とする顕微鏡装置が提供される。
本発明によれば、顕微鏡装置を、高精度で温度管理することができ、フォーカスドリフトを小さくすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下において説明する実施形態は、保温しつつ試料を観察する保温機能を有する顕微鏡装置として、細胞を培養しつつ観察する培養顕微鏡に本発明を適用した例である。勿論、本発明の顕微鏡装置の用途は、生物を培養する場合に限られない。
図1に、本発明の一実施形態に係る顕微鏡装置により生物を培養しつつ観察するための観察システムの全体構成を示す。図1に示す観察システムは、本実施形態に係る顕微鏡装置1と、光源2と、光源2からの光を顕微鏡装置に導く光ファイバ7と、CO混合機3と、COボンベ4と、COボンベ4からのCOをCO混合機3に導くためのチューブとして用いられるシリコンチューブ9と、CO混合機3からの気体を顕微鏡装置1に導くためのチューブとして用いられるシリコンチューブ8と、顕微鏡装置1における試料の状態管理、撮像制御を行うコンピュータ(PC)5と、顕微鏡装置1において試料を観察し、撮像する際の指示操作を受け付けるためのXYZコントローラ6と、通信ケーブル10、11、12および13とを有する。
光源2は、試料を励起して蛍光を放射させるための照明光を発光する光源、例えば、図示しない水銀ランプを内蔵している。この光源2からの照明光は、ファイバ7を介して顕微鏡装置1に供給される。
CO混合機3は、COボンベ4からシリコンチューブ9を介して供給されるCO100%ガスと、図示しない導入口から導入される空気とを混合して、CO5%ガスを生成し、シリコンチューブ8を介して顕微鏡装置1に供給する。
XYZコントローラ6は、ノブの手動操作により、標本のXY移動、および、対物レンズのフォーカス(Z移動)を操作する。これらは、コンピュータ上のGUIでも操作可能であるが、アナログ的な操作感覚が好まれる場合が多いので、ノブによる操作ができるようにしている。従って、省略することもできる。
次に、顕微鏡装置1の構成について、図2を参照して説明する。
顕微鏡装置1は、図2に示すように、顕微鏡ユニット100と、撮像系ユニット600とを、一体的に連結して構成される。顕微鏡ニット100は筐体101に、また、撮像系ユニット600は筐体601に収容されている。これらのユニット100と600とは、連結部材900を介して一体的に連結されている。筐体101の外壁は、筐体外における外気温度の変動の影響を受けることを防止するためと、断熱性を保持させる構成とすることが好ましい。例えば、筐体101を構成する基礎となる部材として、板金を使用した場合、この板金上に、樹脂製の板部材取り付けて、二重構造とすることも有効である。
また、本実施形態では、筐体101は、基本的には、内部を遮蔽する構造となっている。例えば、図2で紙面上左側(加湿器260がある側)を本顕微鏡装置の正面とすると、上面103および底面105と、背面102と前面104と、図面上示していない左右両側面に、それぞれ板材をもって内部空間を、ほぼ密閉する構造となっている。
顕微鏡ユニット100は、試料を所定環境下で培養する培養装置200と、培養装置200内の試料を観察する観察光学系300と、試料および観察光学系を支持すると共に、電動駆動する支持・駆動系400と、顕微鏡内を所定の温度に維持する温度調整装置500とを、筐体101内に有する。観察光学系300は、対物レンズ326、フィルタキューブ335、ミラー339、結像レンズ338等により構成されている。支持・駆動系400は、モータ422などの各種アクチュエータの駆動と、それらの制御のための駆動系制御装置410を有する。支持・駆動系400は、試料を支持するステージのXY移動機構、フォ−カス調整機構、倍率切換、フィルタキューブ335の出没変位等の各種機構を有する。これらの機構を含むほとんどの動作は電動化されている。具体的には、コンピュータ5のGUIによって指示操作される。これにより、筐体内の顕微鏡の操作を、筐体外部から容易に行える。
本実施形態では、観察試料として生物標本、特に、細胞を対象としている。生物標本は、透明樹脂製の容器であるペトリディッシュ250に収容される。ペトリディッシュ250は、培地と呼ばれる栄養分を含んだ液体で満たされており、被観察物である細胞はペトリディッシュ250の底にはり付いている。このペトリディッシュ250を、後述するチャンバ210に収容して、被観察物である細胞の観察が行われる。
撮像系ユニット600は、観察光学系300の観察光路から導かれる試料の像を撮像する撮像装置700と、観察光学系300、支持・駆動系400等への電力を供給する電源装置800と、を筐体601内に有する。また、撮像系ユニット600には、ファン850が設けられている。このファン850により、撮像ユニット600内を空冷している。
筐体601は、正面604側が、筐体101と連結される。背面602側に、ファン850が設けられている。
顕微鏡ニット100の筐体101と、撮像系ユニット600の筐体601とは、前述したように、連結部材900を介して一体的に連結されている。連結は、例えば、断熱部材910と、背面102の部材、および、正面604の部材とを、それぞれボルトとナットとで固定する。この場合、筐体101と筐体601とを直接ボルトが貫通することがないので、断熱性を維持した状態で両者の連結が可能となる。また、連結部材900は、他の構成とすることもできる。例えば、断熱性が大きい材料で形成したボルトおよびナットを用いてもよい。
このように、顕微鏡ユニット100と撮像系ユニット600とを別筐体とすることにより、相互の熱的影響を切り離している。断熱部材910は、筐体101と筐体601とが直接接触しないようにし、両者間における熱的影響を小さくしている。断熱部材910としては、例えば、発泡スチロールなどの樹脂、セラミック等の断熱性能がよい板材が用いられる。なお、連結を他の部材によって行う場合には、断熱部材910は、板材でなくてもよい。
培養装置200は、試料(標本)を、一定の温度湿度の状態で保持するチャンバ210と、このチャンバ210に、COと水蒸気とを含む空気を供給するための装置である加湿器260と、加湿器260からの加湿空気をチャンバ210に送る手段であるシリコンシューブ274と、チャンバ210からのリターンの加湿空気と、加湿空気によりチャンバ内で結露が生じることで発生する水を排出するための手段であるシリコンチューブ275とを有する。
チャンバ210は、チャンバ本体222と、チャンバ蓋221とを有し、内部空間を密閉できる構造を有する。チャンバ本体222の底面にはシールドガラス224がはめ込まれている。一方、チャンバ蓋221にもシールドガラス223がはめ込まれている。これにより、試料を密閉状態で観察光学系300の対物レンズ系326上に配置することができ、この状態での、照明と観察とを容易にしている。
加湿器260は、水を満たすためのガラス容器271、蓋272、シリコンチューブ8、274、275を備えている。これらは、顕微鏡装置1から着脱可能となっている。また、加湿器260は、ガラス容器271内の水を加熱するためのヒータ270と、ヒータ270を支持する支持部材269とを有する。支持部材269は、筐体101の隔壁105に固定されている。
この加湿器260において、ガラス容器271には、蒸留水が満たされている。ヒータ270と温度センサ273により、蒸留水の温度はチャンバ210の温度とほぼ同じに制御される。また、ガラス容器271には、シリコンチューブ8により、CO5%空気が蒸留水に導入され、バブリングにより湿度が加えられる。高湿度のCO5%空気は、シリコンチューブ274を介して、チャンバ210内に供給される。COが5%含まれていることにより培地のphの変化を抑えることができる。
加湿器260およびチャンバ210へ加湿空気を供給するシリコンチューブ274の周辺には温風が循環しているので、加湿器260からチャンバ210に到達するまでの経路において、加湿空気が周囲から冷やされないため、結露を生じることが避けられる。その結果、チャンバ210に供給される加湿空気の湿度が低下することがない。
シリコンチューブ275は、その先端が蒸発皿276上で開口している。チャンバを満たした高温度のCOを含むガスは、シリコンチューブ275を通って蒸発皿276に排出される。蒸発皿276は、筐体101の下部に設けられた蒸発皿収容部277に置かれる。この収容部277は、正面104の下部に開口278が設けられて、CO2ガス、水蒸気等を外部に逃がす。
このように、チャンバ210には、加湿器260でつくられた加湿空気がシリコンチューブ274を通って供給される。その後、加湿空気は、シリコンチューブ275を通り、加湿空気は開口部278を通って、顕微鏡装置1の外に排出される。また、結露によって生じた水は、シリコンチューブ275を通り、蒸発皿276に溜まってやがて蒸発する。従って、加湿器260から送られる加湿空気は、加湿器260、チャンバ210を経て、顕微鏡装置1外部に排出されるので、対物レンズ系326を含む、光学系やメカ機構部が加湿空気にさらされることがない。
チャンバ210内が高湿度に保たれることにより、標本の培地の蒸発が抑えられ、培地の濃度を一定に保つことができる。これにより長時間細胞を生かし続けることができる。
観察光学系300は、本実施形態では、透過位相差観察光学系と、落射蛍光観察光学系として機能することができる。以下、観察光学系300と、その駆動を行う支持・駆動系400について説明する。
透過照明部340は、例えば、図2に示すように、照明光源であるLEDアレイ347と、位相絞り346と、ミラ345と、照明光を試料に投射するフィールドレンズ344とを有する。LEDアレイ347は、例えば、LED10個をリング状に並べたものにより構成される。
この透過照明部340は、支持部材348,349によって支持されている。支持部材349は、軸350を中心に回動可能に支持されている。試料交換の際は、透過照明部340が邪魔にならないように、軸350を中心にフリップアウトすることができる。
透過照明部340により照明される位置、図2では下方側に、試料を収容するチャンバ210が配置される。チャンバ210の下方側に、対物レンズ系326と、ミラ339と、結像レンズ系338とが配置される。蛍光フィルタキューブ334は、光源2からの照明光を反射して対物レンズ系326に導くと共に、対物レンズ系326からの光を透過して、ミラ339に導く。
従って、LEDアレイ347から放射された照明光は、ミラ345、フィールドレンズ344、シールドガラス21aを通って、ペトリディッシュ250内の標本を照明する。標本をとおった光は、シールドガラス224、対物レンズ系326、ミラ339、結像レンズ系338、を介して、撮像装置700の撮像素子面に結像する。位相絞り346と、対物レンズ系326内の図示しない位相膜とを合わせて位相差観察光学系を構成する。なお、蛍光フィルタキューブ334は、位相差観察光学系を構成する場合には、光路から外される。
顕微鏡装置1では倍率を変えることができる。本実施形態では、倍率の変更は、対物レンズ系326の切り換えではなく、結像レンズ系338を切り換えることにより行う構成を採っている。本実施形態では、結像レンズ系338は、支持プレート336の下方側に、紙面を垂直方向に異なる倍率の結像レンズ系が保持されている。図4に、その構成の一例が示されている。図4に示す実施形態は、本実施形態とは異なる実施形態ではあるが、倍率の変更については共通する構成となっている。ガイド337をスライドさせることにより、結像レンズ系を切り換えて、観察倍率を切り換えることができる。
ファイバ支持部材343に支持されたファイバ7の先端により導入された光源2からの光は、コレクタレンズ341、フィールドレンズ342、蛍光フィルタキューブ334、対物レンズ系326、シールドガラス224、を通ってペトリディッシュ250内の標本に照射される。標本で照明光により励起された光はシールドガラス224、対物レンズ系326、蛍光フィルタキューブ334、ミラ339、結像レンズ系338、を介して、撮像装置700の撮像素子面に結像する。この構成により、落射蛍光観察光学系が構成される。
蛍光フィルタキューブ334は、支持プレート336上に、紙面の鉛直方向に複数保持されておりガイド335をスライドさせることにより異なる種類の蛍光フィルタキューブを選ぶことができる。また、前述したように、顕微鏡装置を位相差観察光学系として構成する場合には、光路から外すことができる。
支持・駆動系400は、チャンバ210を支持すると共に、XY方向に変位させる機構と、観察光学系を支持すると共に、フォーカス調整するためにZ軸方向に変位させる機構とを少なくとも備えている。XY方向に変位させる機構と、Z軸方向に変位させる機構とは、共通の支持部材を介して連結されている。さらに、これらの変位を電動駆動する構成となっている。
ステージ423は、X方向のガイド425と、図示しないY方向のガイドとを介することにより、XY方向に移動可能に、支持部材430に支持されている。ステージ423は、アクチュエータとして図示しないモータとラック&ピニオンとを有し、これらにより、電動でXY方向に移動し、標本の所望の位置を光軸上に配置することができる。
対物レンズ系326は、対物レンズ系支持部材427に固定されている。対物レンズ系支持部材427は、図示しないガイドによって鉛直方向に移動可能に支持される。モ−タ422の回転出力は、例えば、軸継手により構成されるカップリング433を介してボールネジ429に伝達され、鉛直方向の移動に変換される。以上の機構によりモ−タ422を駆動することにより、対物レンズ系支持部材427を変位させて、対物レンズ系326を光軸方向に変位させてフォーカスを調整することができる。
支持・駆動系400は、モータ422以外は図示していないが、アクチュエータと、その駆動系制御装置410を有する。駆動系制御装置410は、前述したXYZコントローラ6またはコンピュータ5からの指示に応じて、アクチュエータを駆動して、XYZ方向の変位を実現する。また、結像レンズ系338の切り換え駆動を行って、倍率変更などを行う。
チャンバ210と、対物レンズ系326および結像レンズ系338を含む観察光学系300と、ステージ移動機構、および、Z駆動機構等を含む支持・駆動系400とは、支持プレート336により支持されている。支持プレート336は、筐体101に、複数の点で支持固定されている。
撮像装置700は、例えば、CCDカメラ等の画像を電子的に取得するカメラである。本実施形態では、撮像装置700として、例えば、冷却カメラ、特に、冷却CCDカメラを用いる。
温度調整装置500は、温度調整をするための熱源、送風装置、温度制御装置、温度センサと、を備える。本実施形態では、熱源として加熱源を有し、温風を生成して、送風装置により必要な領域に送風する。熱源が冷却源であり、冷風を生成する場合もある。温度調整装置500は、支持部材567により筐体101の底面105に支持される、熱源であるヒータ561と、支持部材565により、底面105に支持されるダクト563と、ダクト563に支持部材564を介して支持されるアルミ製放熱フィンにより構成される熱交換器562と、ファン566と、ダクト568と、温度センサ520と、温度制御装置510とを有する。
ヒータ561と熱交換器562とを熱源として有する。ヒータ561は、熱交換機562を加熱する。ファン566を駆動することにより、熱交換器562により暖められた空気が、ダクト563、ダクト568を通って顕微鏡装置1の上部へ供給される。一部は、開口部569を通り、加湿器260の横を抜けて、さらに開口部107を通って顕微鏡装置1の上部へ供給される。これらの空気は、顕微鏡装置1の下部に降りて行き、再びファン566により熱交換器562に導入され、筺体101中において温風が循環する。
温風温度は、温度センサにより温度を検出して、指示された一定の温度になるよう制御される。また、起動時には、ファン566を出力最大で運転し、顕微鏡装置1の温度が目標温度に達したら、出力を下げて運転する。温度制御は、コンピュータ5が目標値を温度制御装置510に設定することによって、温度制御装置510が、例えば、フィードバック制御等により、その温度に維持するよう、ヒータ561の温度と、ファン566の出力とを、温度センサ520の検出温度に基づいて制御する。
温度センサ520は、前述した支持・駆動系400に配置される。例えば、温度センサ520をステージ423の近傍に配置して、標本を収納するチャンバ210の温度を計測する。その結果、温度センサ520に検知されたチャンバ210の温度に基づいて、指示された温度を一定に維持するよう、ヒータ561の出力をし、標本の生存環境を維持する。ステージ423は、支持部材430や支持部材427と接触しており、フォーカスに関わる機構部品の温度を代表している。この温度変動を抑えることにより、フォーカスドリフトをゼロに近づけることができる。目標温度の指令、および、コンピュータ5より行う。なお、温度制御装置510を内蔵せず、目標値のみならず、コンピュータ5より、ヒータ561およびファン566の出力を制御する構成としてもよい。
ここでは、室温より高い状態を維持する想定としているが、室温より低い温度に維持する場合にも、本発明を適用することができる。その場合には、ヒータ561に代えて、または、それと共に、冷却装置を配置する。例えば、培養装置200に近接させてペルチェ素子等の冷却素子を取り付けてもよい。このようにすることにより、任意の温度に維持することが可能となる。
また、本実施形態では、温度のみならず、湿度調整も行うことができる。そのために、前述した加湿器260を備えている。
前述したように、筐体101は、内部を遮蔽する構造となっている。具体的には、標本を出し入れするための筐体蓋110を閉じると、筐体101内部は密閉されると同時に、外からの光(蛍光灯等の部屋の照明)も遮断され、筐体内は真っ暗になる。微弱光の観察では、顕微鏡を暗室に設置する必要がある。しかし、本実施形態によれば顕微鏡装置1が暗室の機能をもっているため、暗室を別途設ける必要がない。
また、筐体101には、その内部に、隔壁106が設けられている。この隔壁106により、加湿器260が設けられている領域101Bと、観察光学系300が配置されている領域101Aとに分けられる。観察光学系が配置される領域101Aには、支持・駆動系400、温度調整装置500も配置される。また、隔壁106には、加湿器260が配置されている領域101Bから観察光学系300が配置されている領域101Aに連通する開口部107が設けられている。具体的には、チャンバ210の上方の位置に開口部107が設けられている。一方、後述する温度調整装置500に設けられる送風のためのダクト568には、加湿器260が配置されている領域101Bに連通する開口部569が設けられている。そこで、ダクト568の開口部569から領域101Bを経て、開口部107を通って領域101Aに温風が至る温風流路が形成される。
また、本実施形態では、チャンバ210周辺において、温風はダクト568の出口570、開口部107から入り、開口部109へと流れる。開口部を壁面に備えて、温風の流路を水平方向に配置しているので、ペトリディッシュを出し入れする際に培地をこぼしても、培地が顕微鏡の内部に浸入することを防ぐことができる。
また、本実施形態では、加湿器260において、チャンバ210、蓋221、加湿器260のガラス容器271、蓋272、シリコンチューブ8、274、275は、顕微鏡装置1から着脱可能となっている。材質的にも金属、ガラス、シリコンといった耐熱材料を採用しているので、顕微鏡装置1から外して、オートクレーブ(高温高圧滅菌処理)が可能である。取り外して滅菌釜に入れるだけなので、簡単確実に滅菌処理をすることができる。
本実施形態では、可動部のほとんどを電動化しているため、筐体の形状が単純で気密性を確保し易い。さらに筐体にヒータ、ファン等の温調機能を内蔵しているため、効率がよく、ヒータやファンの容量を小さくできる。結果として全体を小型化できる。また、上から、チャンバ210、観察光学系300および支持・駆動系400、温度調整装置500、と階層構造とすることにより、装置の設置面積を小さくすることができる。
チャンバ210と、観察光学系300および支持・駆動系400と、温度調整装置500と、を収容する筐体101を中心として、その後方に筐体601を、前方に加湿器260を配置することにより、装置の幅を抑えてスリムにすることができる。本実施形態では、顕微鏡装置1で扱える容器は、ペトリディッシュ1個のみである。しかし、顕微鏡装置1を複数台そろえれば同時に複数個の容器について観察可能となる。その際、顕微鏡装置がスリムであるので複数台を並べて配置し易い、というメリットがある。
撮像装置700、および、図示しない基板を収める筐体601は断熱部材910を介して筐体101と連結されている。ファン850により撮像装置700から発生する熱は、顕微鏡装置1の外に排出される。全体として筐体101は、37℃に、筐体601は室温に保たれる。
次に、本実施形態の動作について、図1および図2を参照して説明する。
(起動)
コンピュータ5および顕微鏡装置1の電源をオンする。コンピュータ5より、ステージ温度、加湿器水温の温度の指令を顕微鏡装置の対応するコントローラ(図示せず)に送る。これにより、顕微鏡装置1における温度調整が開始される。また、CO混合機3の電源をオンする。コンピュータ5より、CO濃度の設定指令をCO混合機3に送って、ポンプをスタートさせる。コンピュータ5は、温度センサ520により検出される温度が平衡状態となっているかを判定し、平衡状態となったと判定すると、準備OKの表示を行う。
(観察)
次に、落射蛍光観察を行う場合には、光源2をオンして、また、透過位相差観察を行う場合には、LEDアレイ347をオンして、照明を行う。
ここで、ペトリディッシュ250をチャンバ210内にセットする。観察は、試料からの透過光または反射光を対物レンズ系336、蛍光フィルタキューブ334(位相差観察の場合は光路から外す)、ミラ339および結合レンズ系338を経て、撮像装置700において撮像を行い、試料の画像をデータとして取得する。この際、必要に応じて、位相差観察と蛍光観察とを切り換えて観察する。
(間欠撮影)
撮像装置700の出力は、コンピュータ5に送られ、コンピュータ5のディスプレイに表示される。従って、観察者は、コンピュータ5のディスプレイを見ることで、試料の状態を目視観察することができる。
なお、観察対象中に、経時変化をチェックしたい細胞が見つかったら、オペレータは、コンピュータ5に、その位置でフォーカスを合わせる指示をし、かつ、間欠撮影の設定を行うことができる。そして、スタートの指示を受け付けると、コンピュータ5は、設定されたタイミングで間欠撮影の指令を撮像装置700に送る。
このように、本実施形態によれば、温度、湿度、CO濃度が管理された培養環境のなかで、細胞を生かしつつ、常にピントがあった状態で写真撮影が可能となり、細胞の経時変化を記録することができる。
次に、本発明の第2から第5の実施形態について、図3から図6を参照して説明する。なお、これらの実施形態は、基本的な構造は、第1の実施形態と共通する。したがって、以下では、相違点を中心として述べる。
図3に示す第2の実施形態に係る顕微鏡装置は、図2に示す顕微鏡装置における温度調整装置500の構成を変更したものである。すなわち、温度調整装置500のヒータ561と熱交換機562の位置を顕微鏡装置1の底部から、ダクト568の中に移動したものである。ダクト568一端には、ファン566が配置される。このような構成とすることにより、筐体101の底面側の空間を空けることが可能となる。
図4は、第3の実施形態に顕微鏡装置について、断面図を示す。図4に示す実施形態は、ヒータ561とファン566とを、顕微鏡装置1の筐体101の両側面111、112の2面に設置したものである。ファン566には、クロスフロータイプを使用する。
次に、図5に示す第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、図5において、支持部材336にシート状のヒータ586と温度センサ521とが取り付けられている。支持部材336には、各種の機構が取り付けられており、比較的熱容量が大きい。熱容量が大きい部分を直接加熱することにより、所望の温度に達するまでの時間を短縮することができる。なお温度が、平衡状態に達した後は、ヒータ586はオフとしてしまうことが望ましい。
本実施形態では、前述のように筐体101内は、ヒータ561を熱源として空気を介して暖められる。空気は熱伝導係数が小さいので筐体が急激に加熱されることがなく、熱平衡は維持するには都合がよい。この点は、実施形態1から3と同様である。ただし、本実施形態の場合、さらに、支持部材336を別のヒータにより加熱するため、温度上昇をより速くすることができる。そのため、特に、外気温度が低い場合には、顕微鏡を起動から所望の温度に達するまでの時間を短くすることが可能となる。
次に、図6に示す第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、撮像装置700が筐体601の外側に設けられている。もちろん、筐体101にも収容されていない。これにより、撮像装置700は、それ自身で、外気による冷却されることとなる。また、必要に応じて、冷却のための装置、例えば、放熱フィン、ファン、それらを組み合せたもの、などを付加することも可能である。
本実施形態の場合、筐体601には、観察光学系300、支持・駆動系400等への電力を供給する電源装置800と、温度制御装置510と、駆動系制御装置410とが収容され、ファン850が設けられる。本実施形態の筐体601も、前述したように、連結部材900を介して一体的に連結されている。
本発明の実施形態に係る顕微鏡装置により生物を培養しつつ観察するための観察システムの全体構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置の構成を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置の構成を示す説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る顕微鏡装置の断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る顕微鏡装置の構成を示す説明図である。 本発明の第5の実施形態に係る顕微鏡装置の構成を示す説明図である。
符号の説明
1:顕微鏡装置、2:光源、3: CO混合機、4:COボンベ、5:コンピュータ、6:XYZコントローラ、7:ファイバ、8、9:シリコンチューブ、10、11、12、13:通信ケーブル、100:顕微鏡ユニット、101:筐体、200:培養装置、210:チャンバ、250:ペトリディッシュ、260:加湿器、300:観察光学系、336:対物レンズ系、透過照明部340、400:支持・駆動系、500:温度調整装置、520:温度センサ、561:ヒータ、566:ファン、568:ダクト、600:撮像ユニット、700:撮像装置、800:電源装置、900:連結手段、910:断熱部材

Claims (8)

  1. 試料の観察を行うための顕微鏡ユニットと、顕微鏡ユニットにおいて得られた試料画像を撮像する撮像装置と、を有する顕微鏡装置において、
    前記顕微鏡ユニットは、
    試料を観察する観察光学系と、
    試料および観察光学系を支持すると共に、電動駆動する支持・駆動系と、
    当該ユニット内部を、指示された一定の温度に維持するための温度調整装置と、を第1の筐体内に有し、
    前記温度調整装置は、前記支持・駆動系に設置された温度センサを有し、この温度センサの検出出力に基づいて、温度調整を行うこと
    を特徴とする顕微鏡装置。
  2. 請求項1に記載の顕微鏡装置において、
    試料を一定の環境下で保持するチャンバをさらに備え、
    前記チャンバには、生物標本がおかれることを特徴とする顕微鏡装置。
  3. 請求項2に記載の顕微鏡装置において、
    加湿空気を生成し、前記チャンバに加湿空気を送る加湿器をさらに備え、
    前記チャンバには、前記加湿器から加湿空気が送られるチューブが接続され、
    前記第1の筐体は、内部に隔壁を有し、該隔壁により、前記加湿器が配置されている領域と、前記観察光学系が配置されている領域とに分けられていること
    を特徴とする顕微鏡装置。
  4. 請求項3に記載の顕微鏡装置において、
    前記温度調整装置は、熱源と、送風のためのダクトとを有し、前記ダクトには、前記加湿器が配置されている領域に連通する開口部が設けられ、
    前記隔壁には、前記加湿器が配置されている領域から前記観察光学系が配置されている領域に連通する開口部が設けられ、前記ダクトの開口部から前記加湿器が配置されている領域をへて、前記観察光学系が配置されている領域に連通する開口部から該観察光学系が配置されている領域に温風が通る温風の流路を形成すること
    を特徴とする顕微鏡装置。
  5. 請求項2に記載の顕微鏡装置において、
    前記温度調整装置は、熱源と、この熱源からの熱を送る送風のためのダクトを有し、
    前記ダクト先端の送風口は、前記チャンバの外部周囲に送風させる位置に設置されること
    を特徴とする顕微鏡装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の顕微鏡装置において、
    前記撮像装置は、前記第1の筐体の外部であり、外気に露出した状態で設置されていること
    を特徴とする顕微鏡装置。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の顕微鏡装置において、
    前記撮像装置は、第2の筐体内に収容され、前記観察光学系が取得した試料の画像を撮像すること
    を特徴とする顕微鏡装置。
  8. 請求項7に記載の顕微鏡装置において、
    前記第1の筐体と第2の筐体とは、断熱部材を介して連結されること
    を特徴とする顕微鏡装置。
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