JP4668484B2 - 電波時計用外装部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の電波を受信して時刻の修正を自動的に行う電波時計に用いる電波時計用外装部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の電波を受信して、時刻の修正を自動的に行う電波修正タイプの腕時計がすでに実用化されている。電波時計においては、電波を受信するアンテナ近傍に金属部品が配置されていると、金属部品により電波が減衰し、受信障害を引き起こす。そのため、電波時計用のケース、バンドなどの外装部品には、樹脂やセラミックスなどの非導電性材料が用いられていた。また、金属色の外観を持たせるためには、こうした非導電性材料からなる部品の表面に、アルミニウムなどを分散させた塗料により塗装膜を形成する方法などが行われていた。
【0003】
一方、電波時計用の時計ケースとして金属を用いる方法としては、時計ケースの上面に上面スイッチを設け、上面スイッチのスイッチ釦内にチップアンテナを時計ケースの上面よりも上方に突出させた状態で設ける方法(特開平11−064544号公報)や、時計ケースの少なくとも中央部分にメタルリングを用い、ケース底部にはガラスなどの非金属を用い、メタルリングの内側に、電気伝導性を有しない材料からなるスペーサーリングを設ける方法(特開2001−33571号公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、電波腕時計用の外装部品としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンなど樹脂やジルコニアなどのセラミックスが広く用いられている。しかし、樹脂を用いた場合、その表面に塗装膜などを形成することにより、金属調の外観を得ることはできるが、金属に比べて比重が小さく、金属が持つ重厚感が得られなかった。また、セラミックスの場合は、難加工性の脆性材料であるため、デザイン自由度に制約があるばかりでなく、部品の加工時や時計外装部品としての使用中に、部品にクラックが入るなどの問題点を有していた。一方、時計ケースなどの外装部品およびその一部に金属を用いた場合は、その金属の種類にかかわらずアンテナを特殊な形状に変更する必要が生じたり、アンテナと金属部品との位置関係に制約が生じ、幅広いデザインへの対応が困難であるという問題点を有していた。
【0005】
〔発明の目的〕
したがって本発明の目的は、上記問題点を解決して、金属のような重厚感と外観を有し、デザイン自由度を向上させ、電波受信障害を起こさない電波時計用外装部品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電波時計用外装部品は、熱可塑性樹脂に弱磁性体粉末が分散された材料からなる成形体の表面に、弱磁性体からなる金属膜を有することを特徴とする。また、前記成形体中に含まれる前記弱磁性体粉末の含有量は、10〜40体積%であることが好ましい。さらに、前記成形体は、少なくとも一種類の補強用フィラーを含むことが好ましい。さらに、前記弱磁性体からなる金属膜の厚さは、0.3μm〜2μmの範囲であることが好ましい。
【0008】
〔作用〕
本発明における時計用外装部品は、熱可塑性樹脂中に粉末を分散させることにより成形体の比重が増加し、金属が持つような重厚感を得ることができる。さらに、添加する粉末として弱磁性体粉末を用い、その添加量を10〜40体積%とすることにより、電波時計用外装部品として、電波受信障害を起こさない成形体を得ることができる。また、成形体中に補強用フィラーを分散させることにより、成形体の強度や耐熱性を向上させることができる。さらに、成形体表面に設けられた金属膜が弱磁性体であり、なおかつその膜厚が0.3μm〜2μmの範囲であることにより、電波の受信性能に支障をきたすことなく、良好な金属外観を付与することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための最良の形態における時計用外装部品およびその製造方法について説明する。
【0010】
本発明における時計用外装部品は、熱可塑性樹脂に弱磁性体粉末が分散された材料からなる成形体の表面に、弱磁性体からなる金属膜を有している。ここで、熱可塑性樹脂としては、工業的に広く用いられている汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックを用いることができる。汎用プラスチックの具体例としては、アクリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等を用いることができる。また、エンジニアリングプラスチックの具体例としては、ナイロン、ポリブチレンテフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアミドイミド等を用いることができる。また、複数の熱可塑性樹脂からなるポリマーアロイを用いても良く、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂と、ポリカーボネートのポリマーアロイなどを用いることができる。
【0011】
添加する粉末材料は弱磁性体からなり、磁界内でほとんど磁化されない性質を持つ。すなわち、一般的には磁石につかない材質を持つ粉末であり、具体的な材質としては、アルミニウム、タングステン、チタンなどの金属のほか、SUS304、SUS316などのオーステナイト系ステンレス合金などが挙げられる。ここで、粉末を添加する目的は、本発明における外装部品において電波受信障害を起こすことなく部品の比重を増加させることである。したがって、添加する粉末の材質は、弱磁性体の中でもSUS316やタングステンなどのように、比較的比重が大きいものが好ましい。さらに、成形体の表面平滑性を高めるため、弱磁性体粉末の平均粒径は20μm以下、より好ましくは10μm以下が良い。本発明においては、添加する粉末の材質と添加量を適宜選択することにより、成形体の比重を任意に制御することができる。また、前記弱磁性体粉末の添加量は、成形体全体の10〜40体積%が好ましく、さらに好ましくは20〜30体積%が良い。弱磁性体粉末の添加量が10体積%未満の場合には、粉末添加による比重増加の効果が得にくく、40%を越えると、成形体強度や成形性の低下を引き起こしたり、アンテナの電波受信性能に悪影響を及ぼす場合がある。
【0012】
また、本発明における時計用外装部品の中には、成形体強度の向上、耐熱性の向上などを目的として、種々の補強フィラーを添加、分散させても良い。補強フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、ウオラストナイト、モンモリロナイト、チタン酸カリウム、タルク、マイカ、シリカなどを用いることができ、複数の補強フィラーを添加しても良い。
【0013】
さらに、本発明における外装部品は、その表面に弱磁性体からなる金属膜を有している。ここで、成形体表面に金属膜を形成する目的は、電波受信障害を起こすことなく、時計外装部品の表面に耐食性と美しい金属外観を付与することである。したがって、本発明の金属膜の材質としては、弱磁性体の中でも、SUS316、SUS304、アルミニウム、白金、金、チタンなどが好ましい。
【0014】
また、本発明における金属膜の厚さは、0.3μm〜2μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5μmから1μmの範囲が良い。0.3μm未満の場合は、金属外観が十分に得られず、また時計着用中のわずかな傷によっても外観を損ねやすい。さらに、金属膜の厚さが薄すぎる場合は、熱可塑性樹脂中に分散した粉末および補強用フィラーに起因した成形体の表面荒れが、金属膜形成後もそのまま現れやすく、外観品質低下の原因となる。一方、外装部品表面に形成する金属膜の厚さが増加するにしたがって電波の減衰が著しくなり、アンテナの受信特性が低下する。このため、本発明における金属膜の膜厚は、2μm以下さらに好ましくは1μm以下が良い。厚さが2μmを越えると、腕時計の電波受信機能に支障をきたし、使用上問題となる。本発明において、弱磁性体からなる金属膜の厚さを0.3μmから2μmの範囲とすることにより、腕時計としての電波受信機能に支障をきたすことなく、金属色の良好な外観を付与することができる。
【0015】
このように、本発明においては、射出成形用組成物中に添加する粉末および成形体表面に形成する薄膜材料として金属を用いている。しかし、いずれの材料も弱磁性体からなり、その量が限定されているために、これらの金属部分が電波受信感度に及ぼす影響は極めて小さく、電波時計の受信機能に支障をきたすことはない。一方、鉄、コバルト、ニッケルなど元素や、SUS430のようなフェライト系ステンレス合金など、磁界内で極めて強く磁化される材料、すなわち強磁性を示す材料は、アンテナ受信感度を著しく低下させる。このため、本発明の金属部分として用いることは不適当である。ここで、SUS316のようなオーステナイト系ステンレスなどの弱磁性体は、強磁性体に比べて電波受信感度の低下に及ぼす影響は少ない。しかし、これらの材料をそのままプレス成形するなどして得た従来の外装部品では、電波時計として所定の電波を受信する機能に支障をきたすため、本発明で得られるような外装部品のデザイン自由度を得ることはできない。
【0016】
また、本発明における時計用外装部品においては、成形体と金属膜との密着性の向上および金属膜の外観品質の向上などを目的として、成形体表面と金属膜との間に、ウレタン系などの熱硬化性樹脂や弱磁性体からなる金属などの中間層を設けても良い。さらに、金属膜形成後の外装部品表面の耐食性、耐摩耗性、耐薬品性などを向上させる目的で、金属膜の表面に熱硬化性樹脂などの膜を形成しても良い。
【0017】
次に本発明における電波時計用外装部品の製造方法について説明する。熱可塑性樹脂と弱磁性体粉末とを加圧ニーダー等を用いて混練し、射出成形用組成物を作製する。ここで、予め重合時に補強用フィラーを微細に分散させて強化した熱可塑性樹脂を用いても良い。また、混練時に、ガラス繊維、炭素繊維、タルクなどの補強用フィラーを添加してもよい。混練後は必要に応じてペレタイザー等を利用して造粒する。次に、射出成形機等を用いて得られた成形用組成物を成形し、時計用ケース、裏蓋、バンド駒など所望の形状の成形体を得る。
【0018】
次に、得られた成形体の表面に、弱磁性体からなる金属膜を形成する。従来、樹脂表面に金属外観を持たせる方法としては、金属色を有する塗料をスプレーコーティングする方法や、クロムなどの金属をメッキする方法などが広く行われている。しかし、塗装膜の場合は基板に対する膜の密着力が弱く、耐摩耗性に劣るという欠点がある。一方、樹脂表面にメッキを施す際には、一般的に下地メッキとしてニッケルメッキを行うが、ニッケルは強磁性体であるため、電波受信特性に悪影響を及ぼす。また、密着性の良いメッキ膜を得るためには、予め樹脂表面を粗化する必要があり、これに適した樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂やポリアセタールなど、一部の種類の樹脂に限定される。さらに、このように粗化した表面にメッキを重ね、最終的に平滑で良好な外観を得るためには、全体として5〜10μm以上のメッキ厚が必要となるため、電波受信障害を引き起こす点からも好ましくない。
【0019】
ここで、本発明において前記金属膜を形成する方法は、スパッタリングによる方法が好ましい。スパッタリング法は、プラズマ中のイオンを陰極である蒸発材料に高速で衝突させることにより成形体表面に被膜を形成させる方法である。この方法では、塗装やメッキに比べて密着性の良い膜が得られ、なおかつ薄い膜厚でも良好な金属外観を得ることができる。すなわち、厚さ1μm程度の膜であっても、外観が平滑かつ良好で耐傷性に優れた時計外装部品を得ることができる。このように、金属膜厚を薄くすることができるため、電波時計の受信機能に支障のない外装部品を得ることができる。さらに、スパッタリング法では、金属膜の組成制御が容易であり、なおかつメッキとは異なり、幅広い種類の樹脂に対して製膜が可能である。これにより、外装部品のデザイン自由度を拡大することができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図面に基づいてさらに詳細に説明する。本実施例では電波時計用外装部品について述べるが、本発明は、電波受信機能を持たない一般的な腕時計用外装部品に用いることも十分に可能である。
【0021】
(実施例1)
図1は本発明における実施例1を示す図であり、(A)は実施例1で用いた電波時計用ケースの平面図であり、(B)は(A)における線分a−bの断面図である。図1に示すように、本実施例の時計ケース1は、ポリブチレンテレフタレートからなる熱可塑性樹脂4に、タングステンからなる弱磁性体粉末5と炭素繊維からなる補強用フィラー6とが均一に分散された成形体7の表面に、SUS316組成からなる金属膜8が形成されている。ここで、金属膜8の膜厚は1μmである。
【0022】
次に、本実施例における時計用外装部品の製造方法について説明する。熱可塑性樹脂4として、ポリブチレンテレフタレート63体積%と、弱磁性体粉末5として平均粒径10μmのタングステン粉末17体積%と、補強用フィラー6として炭素繊維20体積%とを、加圧ニーダーを用いて混練した後、ペレット化して射出成形用組成物を作製した。得られた射出成形用組成物を射出成形機を用いて成形し、図1(A)に示す腕時計ケースの成形体を得た。次に、得られた成形体を洗浄、乾燥した後、3×10-3Torrの真空中でスパッタリング法により金属膜8を成形体表面に形成し、時計ケース1を作製した。ここで、金属膜8は弱磁性体であるSUS316の組成を有し、その膜厚は1μmである。
【0023】
次に、得られた時計ケース1を用いて電波受信特性の評価を行った。本実施例により得られた時計ケース1の内部にモジュール3を組み込み、所定の電波に対するアンテナ2の受信感度を測定した。ここで、アンテナ2はモジュール3の一部を構成している。時計ケース1による受信特性への影響を調べるため、モジュール3を時計ケース1に組み込んだ場合の測定値と、予め測定しておいたモジュール3単体での測定値とを比較して、受信感度の低下量を求めた。時計ケースの構成と受信特性の評価結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004668484
【0024】
(実施例2)
熱可塑性樹脂として、ナイロン65体積%と、弱磁性体粉末として平均粒径10μmのSUS316粉末20体積%と、補強用フィラーとしてガラス繊維15体積%とを混練して射出成形用組成物を作製し、実施例1と同形状の時計ケースを成形した。得られた成形体を洗浄、乾燥した後、金属膜として、スパッタリング法により厚さ0.8μmの白金膜を成形体表面に形成し、時計ケースを作製した。得られた時計ケースについて、実施例1と同様に受信感度を測定した。時計ケースの構成とその評価結果を表1に示す。
【0025】
(実施例3)
熱可塑性樹脂として、ポリアリレート60体積%と、弱磁性体粉末として平均粒径10μmのタングステン粉末20体積%と、補強用フィラーとしてガラス繊維20体積%とを混練して射出成形用組成物を作製し、実施例1と同形状の時計ケースを成形した。得られた成形体を洗浄、乾燥した後、金属膜として、スパッタリング法により厚さ0.7μmのアルミニウム膜を成形体表面に形成し、時計ケースを作製した。得られた時計ケースについて、実施例1と同様に受信感度を測定した。時計ケースの構成とその評価結果を表1に示す。
【0026】
(比較例1)
弱磁性体粉末に換えて、強磁性体粉末である鉄粉末17体積%を用い、その他の条件は全て実施例1と同様にして時計ケースを作製し、実施例1と同様に受信感度を測定した。時計ケースの構成とその評価結果を表1に示す。
【0027】
(比較例2)
実施例1と全く同様に成形体を作製した後、弱磁性体からなる金属膜に換えて、強磁性体であるSUS430組成の金属膜をスパッタリング法により1μmの厚さで成形体表面に形成した。得られた時計ケースを用いて、同様に受信感度を測定した。時計ケースの構成とその評価結果を表1に示す。
【0028】
(比較例3)
熱可塑性樹脂として、ナイロン40体積%に対し、粉末として平均粒径10μmのSUS316粉末45体積%と、補強用フィラーとしてガラス繊維15体積%とを添加し、その他の条件は全て実施例2と同様にして時計ケースを作製し、受信感度を測定した。時計ケースの構成とその評価結果を表1に示す。
【0029】
(比較例4)
熱可塑性樹脂として、ナイロン80体積%に対し、粉末として平均粒径10μmのSUS316粉末5体積%と、補強用フィラーとしてガラス繊維15体積%を添加し、その他の条件は全て実施例2と同様にして時計ケースを作製し、受信感度を測定した。時計ケースの構成とその評価結果を表1に示す。
【0030】
(比較例5)
実施例3と全く同様に成形体を作製した後、蒸着法により厚さ25μmのアルミニウム膜を成形体表面に形成した。得られた時計ケースを用いて、同様に受信感度を測定した。時計ケースの構成とその評価結果を表1に示す。
【0031】
(比較例6)
実施例3と全く同様に成形体を作製した後、蒸着法により厚さ0.1μmのアルミニウム膜を成形体表面に形成した。得られた時計ケースを用いて、同様に受信感度を測定した。時計ケースの構成とその評価結果を表1に示す。
【0032】
以上に示した実施例により、チタンやアルミニウムなどの金属と同程度の比重とステンレスや白金などが有する金属光沢色を持ち、なおかつ電波受信障害をほとんど起こさない外装部品が得られた。また、本実施例および本比較例において、表1における受信感度の低下量が1デシベル(dB)未満の場合は、電波時計の受信性能として問題とはならない。表1に示すように、実施例1では、成形体中に含まれる弱磁性体粉末としてタングステン粉末を用い、さらに成形体表面には、弱磁性体であるSUS316組成の金属膜が形成されているために、電波受信感度の低下はほとんど認められなかった。一方、比較例1では、強磁性体粉末である鉄粉を用いているために、受信感度が大幅に低下した。同様に、比較例2では、成形体表面の金属膜として強磁性体であるSUS430組成の膜が形成されているために、実施例1に比べて受信感度の低下量が大きくなった。
【0033】
実施例2では、粉末の添加量が20体積%であることにより、成形体の比重がアルミニウム程度に増加し、なおかつ受信感度の低下も問題のないレベルであった。これに対し、比較例3では、粉末の添加量が45体積%と多いため、実施例2に比べて受信感度の低下量が大きくなった。さらに、比較例3では、粉末の添加量が多く、熱可塑性樹脂の量が少ないために、成形用組成物の流動性が悪くなり、成形体に表面荒れが発生した。また成形体強度も低下した。一方、比較例4では、粉末の添加量が5%と少ないため、成形体の比重は一般の樹脂と同程度であり、成形体の重厚感が得られなかった。
【0034】
実施例3では、金属膜の厚さが0.7μmであり、受信感度の低下は問題のないレベルであり、得られた時計ケースの外観も良好であった。一方、比較例5では、金属膜の厚さが25μmと厚いため、実施例3に比べて受信感度の低下量が大きくなった。さらに、比較例6では、金属膜の厚さが0.1μmと薄いため受信感度の低下はほとんど認められなかったが、得られた時計ケースの外観は、成形体中に分散したガラス繊維による表面荒れが目立ち、なおかつ十分な金属光沢が得られなかった。
【0035】
以上のように、熱可塑性樹脂に、弱磁性体粉末が好ましくは10〜40体積%の量で分散された材料からなる成形体の表面に、弱磁性体からなり、好ましくは厚さ0.3μm〜2μmの範囲である金属膜を形成することにより、金属が持つ重厚感と外観色とを有し、電波受信障害を起こすことのない時計用外装部品を得ることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、所定の電波を受信して時刻の修正を自動的に行う電波時計に用いる時計用外装部品において、金属が持つ重厚感と外観色を有し、なおかつ電波受信障害を起こすことのない外装部品を得ることができる。また、添加粉末の材質と添加量を変化させることにより、任意の比重を持つ外装部品を得ることができる。さらに、製造工程も容易であり、適用可能な樹脂および金属膜の種類も多いため、外装部品のデザイン自由度が拡大し、電波時計の実用性を拡大することができる。さらに、本発明の時計用外装部品は、電波受信機能を持たない一般的な腕時計用外装部品としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1を示す図であり、(A)は電波時計用ケースの平面図であり、(B)は(A)における線分a−bの断面図である。
【符号の説明】
1 時計ケース
2 アンテナ
3 モジュール
4 熱可塑性樹脂
5 弱磁性体粉末
6 補強用フィラー
7 成形体
8 金属膜

Claims (1)

  1. 成形体からなる電波時計用外装部品であって、前記成形体が熱可塑性樹脂に弱磁性体粉末が分散された材料からなり、表面に弱磁性体からなる金属膜を有し、前記成形体が、少なくとも一種類以上の補強用フィラーを含み、前記成形体中に含まれる前記弱磁性体粉末の含有量が、10体積%〜40体積%の範囲にあり、前記金属膜の厚さが0.3μm〜2μmの範囲にあることを特徴とする電波時計用外装部品。
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