JP4665456B2 - 圧電セラミックス、その製造方法、圧電アクチュエータ - Google Patents

圧電セラミックス、その製造方法、圧電アクチュエータ Download PDF

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Description

本発明は、印加電圧の作用によって結晶がひずむ性質をもつ圧電セラミックス、その製造方法、及びその圧電セラミックスを用いた圧電アクチュエータに関し、詳しくは、高温条件下で使用しても所望の大きな変位を得ることができるようにした圧電セラミックス、その製造方法及び圧電アクチュエータに関する。
従来より、圧電セラミックスを用いた製品として逆圧電効果を利用した圧電アクチュエータが知られている。圧電アクチュエータでは大きな変位が必要な場合、使用する圧電セラミックスとしては、特許文献1に示されるような圧電歪定数の大きなものが適しており、また、高い温度条件での動作が求められている場合には特許文献2に示されているようなキュリー温度の高いものが必要とされる。
特公昭60−57237号公報 特開平10−287469号公報
一般に、圧電歪定数が大きくなるとキュリー温度が低くなる傾向があるため、高温での使用を考えて圧電セラミックスにキュリー温度が高いものを用いるとアクチュエータとして構成した場合に大きな変位を得ることができなくなってしまう。
現在、圧電アクチュエータの利用範囲が広がり、例えば車載機器に組み込まれるなど高温条件下での使用も増えてきている。そのため、大きな圧電歪定数を有し、しかもキュリー温度が高い圧電セラミックスが切望されている。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、その目的とするところは、高温条件下でも望む変位量が得られる圧電セラミックス、その製造方法、圧電アクチュエータを提供することにある。
本発明の圧電セラミックスは、化学組成式Pb0.985Bi0.01(Zn1/12Ni3/12Nb2/30.5Ti0.32Zr0.183で表される第1の材料と、化学組成式Pb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.42Zr0.433で表される第2の材料とを混合して得られることを特徴としている。
また、本発明の圧電アクチュエータは、化学組成式Pb0.985Bi0.01(Zn1/12Ni3/12Nb2/30.5Ti0.32Zr0.183で表される第1の材料と、化学組成式Pb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.42Zr0.433で表される第2の材料とを混合して得られる圧電セラミックスと、この圧電セラミックスに形成された電極とを備えることを特徴としている。
上記第1の材料は圧電歪定数は大きいがキュリー温度が低く高温で使用すると変位量が小さくなってしまい、上記第2の材料はキュリー温度は大きいが圧電歪定数が小さく所望の用途に必要な変位量を得ることができないが、それら2つの材料を混合して得られる圧電セラミックスでは、圧電歪定数とキュリー温度はどちらか一方が極端に小さいということはなく、両者が共に実用上満足できる値を示す。これにより、温度上昇に伴う変位量の劣化(落ち込み)を抑えることができ、高温条件下でも所望の変位量が得られる。
第1の材料と第2の材料との混合比によっては、非常に大きな変位量は得られるが高温での劣化率は比較的大きくなってしまう、あるいは高温での劣化率は非常に小さく抑えることができるが変位量はそれほど大きなものが得られないというように両者の特性バランスが悪くなってしまうので、変位量と高温での劣化率が共に満足できる値が得られる混合比としては、第1の材料の混合比を25重量%以上50重量%以下、逆に言えば第2の材料の混合比を50重量%以上75重量%以下にすることが好ましい。
また、本発明の圧電セラミックスの製造方法は、化学組成式Pb0.985Bi0.01(Zn1/12Ni3/12Nb2/30.5Ti0.32Zr0.183で表される第1の材料の粉末と、化学組成式Pb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.42Zr0.433で表される第2の材料の粉末とを混合する工程と、その混合した粉末を焼成する工程とを有することを特徴としている。
上記第1の材料は圧電歪定数は大きいがキュリー温度が低く高温で使用すると変位量が小さくなってしまい、上記第2の材料はキュリー温度は大きいが圧電歪定数が小さく所望の用途に必要な変位量を得ることができないが、それら2つの材料を混合して得られる圧電セラミックスでは、圧電歪定数とキュリー温度はどちらか一方が極端に小さいということはなく、両者が共に実用上満足できる値を示す。これにより、温度上昇に伴う変位量の劣化(落ち込み)を抑えることができ、高温条件下でも所望の変位量が得られる。
特に、第1の材料の粉末と第2の材料の粉末とは別々に仮焼きをした後に互いに混合して焼成を行うようにすれば、空孔や不安定成分を少なくして焼結性を向上できる。
また、本発明の圧電セラミックスの製造方法は、化学組成式Pb0.985Bi0.01(Zn1/12Ni3/12Nb2/30.5Ti0.32Zr0.183で表される材料粉末の仮焼きの後に、混合と乾燥と粉砕とを順に行う工程を少なくとも2回繰り返してから焼成を行うことを特徴としている。
上記(混合〜乾燥〜粉砕)からなる工程を仮焼き後に少なくとも2回繰り返すことで、粒径がより小さくされて密度の大きな緻密化された焼結体とすることができる。密度と圧電歪定数とは互いに相関し、密度が大きくなると圧電歪定数も大きくなる。そして、圧電セラミックスでは、圧電歪定数が大きい方が、電圧を印加したときにより大きく変位する。
また、本発明の圧電セラミックスの製造方法は、化学組成式Pb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.42Zr0.433で表される材料粉末の仮焼きの後に、混合と乾燥と粉砕とを順に行う工程を少なくとも2回繰り返してから焼成を行うことを特徴としている。
上記(混合〜乾燥〜粉砕)からなる工程を仮焼き後に少なくとも2回繰り返すことで、粒径がより小さくされて密度の大きな緻密化された焼結体とすることができる。密度と圧電歪定数とは互いに相関し、密度が大きくなると圧電歪定数も大きくなる。そして、圧電セラミックスでは、圧電歪定数が大きい方が、電圧を印加したときにより大きく変位する。
本発明の圧電セラミックスは、圧電歪定数とキュリー温度の両方共がバランス良く高い値を示し、高温でも大きな変位が得られ、さらに、温度上昇に伴う変位量の劣化も抑えることができる。この結果、特に高温条件下での信頼性を向上できる。
本発明の圧電セラミックスの製造方法によれば、圧電歪定数とキュリー温度の両方共がバランス良く高い値を示す圧電セラミックスを製造できる。この結果得られた圧電セラミックスは、高温でも大きな変位を得ることができ、さらに、温度上昇に伴う変位量の劣化も抑えられ、高温条件下での信頼性が高いものとなる。
本発明の圧電アクチュエータは、圧電歪定数とキュリー温度の両方共がバランス良く高い値を示す圧電セラミックスを用いるので、高温でも大きな変位が得られ、さらに、温度上昇に伴う変位量の劣化も抑えることができる。この結果、特に高温条件下での信頼性を向上できる。
[圧電セラミックス]
本発明の実施形態に係る圧電セラミックスは、化学組成式Pb0.985Bi0.01(Zn1/12Ni3/12Nb2/30.5Ti0.32Zr0.183で表される第1の材料と、化学組成式Pb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.42Zr0.433で表される第2の材料とを任意の混合比で混合して得られる。すなわち、本実施形態で得られる圧電セラミックスの各成分元素の組成は、PbaBibZncNidNbeTifZrg3(0.970≦a≦0.985 0.01≦b≦0.02 0.040≦c≦0.049 0<d≦0.125 0.099≦e≦0.200 0.380≦f≦0.420 0.180≦g≦0.430)で表される。
その圧電セラミックスの製造方法について、図1のフローチャートを参照して説明する。第1の材料と第2の材料とは、ステップS9の前まではそれぞれ別々に(互いに混合されることなく)工程が進められる。
(ステップS1a)
原料粉末として高純度のPbO、ZrO2、TiO2、Bi23、Nb25、ZnO、NiOを使用し、これらを第1の材料の組成Pb0.985Bi0.01(Zn1/12Ni3/12Nb2/30.5Ti0.32Zr0.183となるように秤量する。
(ステップS2a)
上記粉末をボールミルに入れ純水を加えて20時間の湿式混合を行う。
(ステップS3a〜S5a)
湿式混合を終えた粉末を乾燥させ粉砕後、850℃で3時間仮焼きする。
(ステップS6a〜S8a)
仮焼きされた粉末を再びボールミルに入れて湿式混合を行い、その後乾燥及び粉砕を行う。混合、乾燥、粉砕の各種条件は上記ステップS2a〜S4aにおける混合、乾燥、粉砕の条件と同じである。
第2の材料についても第1の材料と同様にステップS1b〜S8bが行われる。すなわち、先ず、原料粉末として高純度のPbO、ZrO2、TiO2、Bi23、Nb25、ZnOを使用し、これらを第2の材料の組成Pb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.42Zr0.433となるように秤量する(ステップS1b)。
(ステップS2b)
上記粉末をボールミルに入れ純水を加えて20時間の湿式混合を行う。
(ステップS3b〜S5b)
湿式混合を終えた粉末を乾燥させ粉砕後、850℃で3時間仮焼きする。
(ステップS6b〜S8b)
仮焼きされた粉末を再びボールミルに入れて湿式混合を行い、その後乾燥及び粉砕を行う。混合、乾燥、粉砕の各種条件は上記ステップS2b〜S4bにおける混合、乾燥、粉砕の条件と同じである。
(ステップS9)
ステップS8aまでの工程を終えた第1の材料の粉末と、ステップS8bまでの工程を終えた第2の材料の粉末とを所望の混合比、例えば、第1の材料が25重量%に対して第2の材料が75重量%、第1の材料が50重量%に対して第2の材料が50重量%、第1の材料が75重量%に対して第2の材料が25重量%などの混合比になるように秤量し、それら粉末をボールミルに入れ純水を加えて10時間の湿式混合を行う。
(ステップS10〜S12)
湿式混合を終えた粉末の乾燥、粉砕を行った後、有機バインダー(例えばポリビニルアルコール)を加えて造粒する。
(ステップS13〜S14)
上記造粒工程を終えた粉末を8kg/cm2の圧力でプレス成型し、角型の成型体を得る。そして、この成型体をMgOなどからなる容器内に密閉し、酸素雰囲気、温度1250〜1300℃で5時間焼成した。
この焼成により、バインダーなどの不安定成分が分解、除去され、各成分元素間の反応を進行させて安定な化合物が生成され、同時に焼結によって収縮、緻密化されて一定形状、強度の焼結体が得られる。
そして、この焼結体を内周刃(ドーナッツ型円板の内周側にダイヤモンド砥粒などを形成した切断手段)を用いて厚さ1.0mmの板状に切断し、その両面に電解めっき法にてNi層を形成した。この板から直径18mmの円板を超音波加工機を用いて打ち抜き、それに対して、80℃のシリコンオイル中で1.5kV/cmの直流電圧を30分間印加して分極処理を行った。そして、インピーダンスアナライザを用いた共振−反共振法によってその円板の圧電歪定数d31を測定し、また、比誘電率の温度特性から比誘電率が極大値となる温度をキュリー温度Tcとして求めた。さらに密度も測定した。それら結果を表1に示す。
Figure 0004665456
表1中、実施例2は、第1の材料:第2の材料=75重量%:25重量%の混合比にした場合を、実施例3は、第1の材料:第2の材料=50重量%:50重量%の混合比にした場合を、実施例4は、第1の材料:第2の材料=25重量%:75重量%の混合比にした場合をそれぞれ示す。
実施例1の圧電セラミックスの化学組成式はPb0.985Bi0.01(Zn1/12Ni3/12Nb2/30.5Ti0.32Zr0.183、すなわち第1の材料と同じである。これは、上記ステップS9にて第2の材料の粉末を混合せずに第1の材料の粉末だけで湿式混合を行い、以降第1の材料の粉末のみを用いてステップS14の焼成までを行って得られた。したがって、実施例1の圧電セラミックスは、図1におけるステップS1a、S2a、S3a、S4a、S5a、S6a、S7a、S8a、S9、S10、S11、S12、S13、S14の工程により製造された。
実施例5の圧電セラミックスの化学組成式はPb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.42Zr0.433、すなわち第2の材料と同じである。これは、上記ステップS9にて第1の材料の粉末を混合せずに第2の材料の粉末だけで湿式混合を行い、以降第2の材料の粉末のみを用いてステップS14の焼成までを行って得られた。したがって、実施例5の圧電セラミックスは、図1におけるステップS1b、S2b、S3b、S4b、S5b、S6b、S7b、S8b、S9、S10、S11、S12、S13、S14の工程により製造された。
表1の結果を見ると、第1の材料だけを用いた実施例1は他の実施例に比べて圧電歪定数d31は大きいがキュリー温度Tcは低く、第2の材料だけを用いた実施例5は他の実施例に比べてキュリー温度Tcは高いが圧電歪定数d31は小さい。これに対して、第1の材料と第2の材料とを混合し焼成して得られた実施例2〜実施例4は、圧電歪定数d31もキュリー温度Tcも比較的高い値が得られており、両者のバランスがよい。したがって、高温条件下で使用される圧電アクチュエータの材料として用いても大きな変位(振幅)を得ることができる。
次に、表2は、図2に示す製造方法によって得られた圧電セラミックスについて表1と同様の測定を行った結果を示す。
Figure 0004665456
実施例6〜実施例8の各圧電セラミックスは以下のようにして製造される。先ず、第1の材料の原料粉末と、第2の材料の原料粉末とを所望の混合比、例えば、第1の材料が75重量%に対して第2の材料が25重量%(実施例6)、第1の材料が50重量%に対して第2の材料が50重量%(実施例7)、第1の材料が25重量%に対して第2の材料が75重量%(実施例8)となるように秤量(ステップS101)し、それら粉末をボールミルに入れ純水を加えて20時間の湿式混合を行う(ステップS102)。
湿式混合を終えた粉末を乾燥(ステップS103)させ、粉砕(ステップS104)後、850℃で3時間仮焼き(ステップS105)する。
仮焼きされた粉末を再びボールミルに入れて湿式混合を行い(ステップS106)、その後乾燥(ステップS107)及び粉砕(ステップS108)を行う。混合、乾燥、粉砕の各種条件は上記ステップS102〜S104における混合、乾燥、粉砕の条件と同じである。
その後、有機バインダー(例えばポリビニルアルコール)を加えて造粒(ステップS109)し、8kg/cm2の圧力でプレス成型(ステップS110)し、角型の成型体を得る。そして、この成型体をMgOなどからなる容器内に密閉し、酸素雰囲気、温度1250〜1300℃で5時間焼成(ステップS111)した。
比較例1の圧電セラミックスの化学組成式はPb0.985Bi0.01(Zn1/12Ni3/12Nb2/30.5Ti0.32Zr0.183、すなわち第1の材料と同じである。これは、上記ステップS102にて第2の材料の粉末を混合せずに第1の材料の粉末だけで湿式混合を行い、以降第1の材料の粉末のみを用いてステップS111の焼成までを行って得られた。この比較例1は上記特許文献1の圧電セラミックスに相当するものである。
比較例2の圧電セラミックスの化学組成式はPb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.42Zr0.433、すなわち第2の材料と同じである。これは、上記ステップS102にて第1の材料の粉末を混合せずに第2の材料の粉末だけで湿式混合を行い、以降第2の材料の粉末のみを用いてステップS111の焼成までを行って得られた。この比較例2は上記特許文献2の圧電セラミックスに相当するものである。
表1と表2とでは圧電セラミックスの製造方法のみが異なり、測定方法や測定条件は同じである。そして、表1と表2において混合比が同じものどうしを比較すると、図1に示す製造方法により得られたものは、図2に示す製造方法により得られたものよりも密度と圧電歪定数d31が大きくなっている。これは、図1の製造方法では、2種類の材料の粉末をそれぞれ別々に仮焼きまで行った後に混合して焼成させることで空孔や不安定成分を少なくして焼結性を向上でき、さらに、図2の製造方法に比べて、(混合〜乾燥〜粉砕)からなる工程を仮焼き後に1回多く行っているために粒径がより小さくされて密度の大きな緻密化された焼結体が得られたものと考えられる。なお、密度と圧電歪定数d31とは互いに相関し、密度が大きくなると圧電歪定数d31も大きくなる。そして、圧電セラミックスでは、圧電歪定数d31が大きい方が、電圧を印加したときにより大きく変位する。
なお、図1の製造方法において、仮焼きと造粒との間に行われる(混合〜乾燥〜粉砕)からなる工程は2回繰り返すことに限ることなく3回以上行ってもよいよいが、ある程度以上粉砕が進行すると粉砕された粒子の数が多くなり、また粉体特有の付着、凝集現象のために、粉砕するための力が分散してしまい、結果として粉砕されたもの自体がクッションの役割を果たして、それ以上細かくならなくなる。したがって、製造時間を短くするために、仮焼きと造粒との間に行われる(混合〜乾燥〜粉砕)からなる工程は2回の繰り返しでとどめることが好ましい。
以上をまとめると、図2に示す製造方法よりも図1に示す製造方法の方が、得られた圧電セラミックスの圧電歪定数d31を大きくすることができる。さらに第1の材料のみまたは第2の材料のみからなる圧電セラミックスよりも両者を混合して得られた圧電セラミックスの方が、圧電歪定数d31とキュリー温度Tcの両者のバランスがよい。特に、上記の組み合わせ、すなわち第1の材料と第2の材料とを混合したものを図1に示す方法で製造すれば上記性能はより向上し、高温条件下でも大きな変位が得られる圧電セラミックスを得ることができる。
[圧電アクチュエータ]
上述したような本実施形態に係る圧電セラミックスを用いて圧電アクチュエータを作製すると、高温使用条件下でも大きな振幅が得られ、さらに振幅劣化も小さく耐熱性に優れた圧電アクチュエータとすることができる。
図3は圧電アクチュエータの一例として、マルチモルフ型圧電アクチュエータ1を示す。これは、板状の中間電極6の両面にそれぞれ3枚の圧電セラミックス11a、12a、13a、11b、12b、13bを積層した構造となっている。各圧電セラミックス11a、12a、13a、11b、12b、13bの両面にはそれぞれ電極が形成され、その電極及び中間電極6に電源8より交流電圧を印加すると、1対の治具7a、7bによって狭圧された部分を支点に矢印X方向に振れる。
各圧電セラミックス11a、12a、13a、11b、12b、13bは、上述した両面にNiめっき(これが電極として機能)を施した単板(厚さ0.1mm)から長さ35.0mm、幅3.0mm、厚さ0.1mmの短冊を切り出し、80℃のシリコンオイル中で1.55kV/cmの直流電圧を30分間印加して分極処理(分極向きは各圧電セラミックスに矢印で図示)を行ったものである。
中間電極6は、長さ40.0mm、幅3.0mm、厚さ0.12mmの2枚のシム材(弾性補強板)を貼り合わせてなる。そのシム材は例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)からなる。各圧電セラミックス11a、12a、13a、11b、12b、13bどうし、及び圧電セラミックス11a、11bと中間電極6とは、エポキシ系樹脂で貼り合わせられている。
各圧電セラミックス11a、12a、13a、11b、12b、13b及び中間電極6の積層体全体の厚さは0.84mmである。治具7a、7bによって狭圧された部分から先端部までの長さは20mmである。治具7a、7bの太さは5mmである。
そして、この圧電アクチュエータ1の振幅とその劣化率の測定を行った結果を表3に示す。表3中、実施例1〜実施例5は表1における実施例1〜実施例5に対応し、実施例7は表2における実施例7に対応する。
Figure 0004665456
振幅は、周波数10Hz、交流電圧40Vp−pの正弦波を電源8より印加したときの圧電アクチュエータ1の長手方向の伸縮量を振幅としてレーザ変位計で測定した。
振幅劣化率は次の方法で測定した。先ず、圧電アクチュエータ1に周波数10Hz、交流電圧40Vp−pの正弦波を印加し初期振幅量を測定した。次いで、この初期振幅量を測定した圧電アクチュエータ1を85℃の恒温槽に投入し、周波数10Hz、交流電圧40Vp−pの正弦波を印加し100万回振動させた。次いで、この100万回振動後の圧電アクチュエータ1を常温まで冷却し、その後、周波数10Hz、交流電圧40Vp−pの正弦波を印加して、振幅を測定した。この振幅量が初期振幅量から何%落ちたのかを振幅劣化率として求めた。
表3の結果より、第1の材料:第2の材料=50重量%:50重量%とした実施例3と、第1の材料:第2の材料=25重量%:75重量%とした実施例4については、実用上得たい振幅量を満足すると共に振幅劣化率も7%前後と小さくなっている。よって、高温条件下で安定した大きな変位を得たい用途に実施例3あるいは実施例4の圧電セラミックスを用いることが好ましい。なお、実施例3と実施例4との間の混合比、例えば第1の材料:第2の材料=30重量%:70重量%、第1の材料:第2の材料=40重量%:60重量%などにした場合においても実施例3、4と同様な効果を得ることができる。すなわち、第2の材料に対する第1の材料の混合比が25重量%以上50重量%以下のもの、逆に言えば第1の材料に対する第2の材料の混合比が50重量%以上78重量%以下のものであれば、高温でも安定して良く振れる圧電アクチュエータを実現できる。
[圧電アクチュエータの応用例]
図4及びその[A]−[A]線方向の拡大断面図である図5は、本実施形態に係る圧電アクチュエータの応用例を示す。
図4に示すように、長板状の各圧電アクチュエータ21a〜21dは表示画面22周囲のフレーム23の4隅位置に取り付けられている。各圧電アクチュエータ21a〜21dは、例えばマルチモルフ型の圧電アクチュエータであるが、これに限ることなく、モノモルフ型、ユニモルフ型、バイモルフ型などの圧電アクチュエータであってもよい。
フレーム23の上には図5に示すように支持材25を介して透明フィルムからなるタッチパネル24が取り付けられる。支持材25によってタッチパネル24とフレーム23との間には間隙が確保され、その間隙に圧電アクチュエータ21a〜21dが配置されている。
圧電アクチュエータ21aの一端部とフレーム23との間には第1支持部26aが設けられ、他端部とフレーム23との間には第2支持部26bが設けられている。また、圧電アクチュエータ21aの中間部分とタッチパネル24裏面との間には第3支持部26cが設けられている。圧電アクチュエータ21bについても同様に、その一端部とフレーム23との間には第1支持部27aが設けられ、他端部とフレーム23との間には第2支持部27bが設けられ、中間部分とタッチパネル24裏面との間には第3支持部27cが設けられている。他の圧電アクチュエータ21c、21dについても同様である。このように、各圧電アクチュエータ21a〜21dは、タッチパネル24とフレーム23との間において、第1、第2及び第3支持部によって3点支持されている。
使用者がタッチパネル24を指あるいはスタイラスペンで触れて操作すると、その操作信号が信号線28を介して圧電アクチュエータ21a〜21dに供給され、圧電アクチュエータ21a〜21dは振動する。この振動は第3支持部26c、27cを介してタッチパネル24に伝わりタッチパネル24が振動する。これにより、使用者はその指で直接あるいはスタイラスペンを介してタッチパネル24の振動を感じることができる。すなわち、タッチパネル24の入力操作感を触覚で得られる。
圧電アクチュエータのその他の応用例としては、カメラのシャッタ、VTR(Video Tape Recorder)ヘッドのトラッキング調節機構、圧電ファンなどが挙げられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
上記で示した、圧電セラミックスを製造するための各工程における温度や時間などの各種条件は一例であってこれに限られるものではない。また、混合工程ではボールミル(容器駆動型ミル)を用いたがこれ以外にも、媒体撹拌型ミル、複合型ミル、遠心流動ミルなどを用いてもよい。
実施例1〜実施例5の圧電セラミックスの製造工程フローチャートである。 実施例6〜実施例8の圧電セラミックスの製造工程フローチャートである。 本発明の実施形態に係る圧電アクチュエータの一例を示す構造図である。 本発明の実施形態に係る圧電アクチュエータの応用例を示す平面図である。 図4における[A]−[A]線方向の拡大断面図である。
符号の説明
1…圧電アクチュエータ、6…中間電極、11a,11b,12a,12b,13a,13b…圧電セラミックス、21a〜21d…圧電アクチュエータ、24…タッチパネル。

Claims (1)

  1. PbO粉末、ZrO 粉末、TiO 粉末、Bi 粉末、Nb 粉末、ZnO粉末及びNiO粉末を所定の割合で湿式混合して第1の原料粉末を作製し、
    前記第1の原料粉末を乾燥及び粉砕した後、仮焼して第1の仮焼粉末を作製し、
    前記第1の仮焼粉末を湿式混合、乾燥及び粉砕してPb 0.985 Bi 0.01 (Zn 1/12 Ni 3/12 Nb 2/3 0.5 Ti 0.32 Zr 0.18 からなる第1の材料粉末を作製し、
    PbO粉末、ZrO 粉末、TiO 粉末、Bi 粉末、Nb 粉末、ZnO粉末及びNiO粉末を所定の割合で湿式混合して第2の原料粉末を作製し、
    前記第2の原料粉末を乾燥及び粉砕した後、仮焼して第2の仮焼粉末を作製し、
    前記第2の仮焼粉末を湿式混合、乾燥及び粉砕してPb 0.97 Bi 0.02 (Zn 1/3 Nb 2/3 0.15 Ti 0.42 Zr 0.43 からなる第2の材料粉末を作製し、
    前記第1の材料粉末と前記第2の材料粉末とを所定の割合で湿式混合し、乾燥、粉砕した後焼結する
    圧電セラミックスの製造方法。
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