JP5044437B2 - 圧電/電歪磁器焼結体の製造方法 - Google Patents

圧電/電歪磁器焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧電/電歪磁器焼結体の製造方法に関する。
圧電/電歪アクチュエータは、サブミクロンのオーダーで変位を精密に制御することができるという利点を有する。特に、圧電/電歪磁器組成物の焼結体を圧電/電歪体として用いた圧電/電歪アクチュエータは、変位を精密に制御することができる他にも、電気機械変換効率が高く、発生力が大きく、応答速度が速く、耐久性が高く、消費電力が少ないという利点も有し、これらの利点を生かして、インクジェットプリンタのヘッドやディーゼルエンジンのインジェクタに採用されている。
圧電/電歪アクチュエータ用の圧電/電歪磁器組成物としては、従来、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)系のものが用いられていたが、焼結体からの鉛の溶出が地球環境に与える影響が強く懸念されるようになってからは、(Li,Na,K)(Nb,Ta)O3系のものも検討されている。
例えば、特許文献1は、組成が一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表されるペロブスカイト型酸化物に金属元素を添加した圧電/電歪磁器組成物を開示している。
特開2004−244299号公報
しかし、(Li,Na,K)(Nb,Ta)O3系の圧電/電歪磁器組成物は、圧電/電歪アクチュエータ用として重要な高電界印加時の電界誘起歪がPZT系の圧電/電歪磁器組成物より劣るという問題があった。
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、高電界印加時の電界誘起歪が大きい(Li,Na,K)(Nb,Ta)O3系の圧電/電歪磁器組成物を実現することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、Aサイト元素としてLi,Na及びKを含み、Bサイト元素としてNb及びTaのうちの少なくともNbを含み、Bサイト元素の総原子数に対するAサイト元素の総原子数の比が1より大きいペロブスカイト型酸化物を含む圧電/電歪磁器焼結体の製造方法であって、混合した素原料の粉末を最高温度が600℃以上800℃以下の仮焼プロファイルを用いて仮焼する第1の工程と、前記第1の工程により得られた粉末をBET比表面積が5m2/g以上15m2/g以下となるように粉砕する第2の工程と、前記第2の工程により得られた粉末を最高温度が650℃以上900℃以下の仮焼プロファイルを用いて仮焼する第3の工程と、前記第3の工程により得られた粉末をBET比表面積が10m2/g以下となるように粉砕する第4の工程と、前記第4の工程により得られた原料粉末の成形体を焼成して焼結体を得る第5の工程とを備える圧電/電歪磁器焼結体の製造方法である。前記第5の工程においては、Ta,Nb及びSbから選択される1種類以上の元素を含む酸化物の偏析相を前記焼結体中に析出させる。前記焼結体中に占める前記偏析相の体積は、0.1体積%以上50体積%以下である。
請求項2の発明は、前記偏析相の粒径が0.5μm以下である請求項1に記載の圧電/電歪磁器焼結体の製造方法である。
本発明によれば、高電界印加時の電界誘起歪が大きい(Li,Na,K)(Nb,Ta)O3系の圧電/電歪磁器組成物を実現することができる。
以下では、本発明の望ましい実施形態に係る圧電/電歪磁器組成物について説明し、しかる後に、当該圧電/電歪磁器組成物を用いたアクチュエータについて説明する。ただし、以下の説明は、圧電/電歪磁器組成物の用途がアクチュエータに限られることを意味するものではない。例えば、圧電/電歪磁器組成物をセンサ等の圧電/電歪素子に用いてもよい。
<1 圧電/電歪磁器組成物>
{組成}
本発明の望ましい実施形態に係る圧電/電歪磁器組成物は、Aサイト元素としてリチウム(Li),ナトリウム(Na)及びカリウム(K)を含み、Bサイト元素としてニオブ(Nb)及びタンタル(Ta)のうちの少なくともNbを含み、Bサイト元素の総原子数に対するAサイト元素の総原子数の比(いわゆるA/B比)が1より大きいペロブスカイト型酸化物を含む。なお、ペロブスカイト型酸化物は、Aサイト元素として銀(Ag)等の1価元素をさらに含んでいていもよいし、Bサイト元素としてアンチモン(Sb)やバナジウム(V)等の5価元素をさらに含んでいてもよい。また、ペロブスカイト型酸化物に微量のMn化合物を添加してもよい。
主成分であるペロブスカイト型酸化物の組成は、一般式{Liy(Na1-xx1-ya(Nb1-zTaz)O3で表される。a,x,y及びzは、1<a≦1.05,0.30≦x≦0.70,0.02≦y≦0.10及び0.0≦z≦0.5を満たすことが好ましい。ペロブスカイト型酸化物の組成の組成がこの範囲内であれば、後述する製造方法を採用した場合に、高電界印加時の電界誘起歪を大きくすることができるからである。
{原料粉末の製造}
図1は、圧電/電歪磁器組成物の原料粉末の製造の流れを示す流れ図である。
原料粉末の製造にあたっては、まず、圧電/電歪磁器組成物の構成元素(Li,Na,K,Nb及びTa等)の素原料の粉末に分散媒を加えて混合する(工程S11)。素原料としては、各構成元素の酸化物、炭酸塩及び酒石酸塩等の化合物を用いることができ、分散媒としては、エタノール、トルエン及びアセトン等の有機溶剤を用いることができる。混合は、例えば、ボールミル等により行うことができる。
そして、得られた混合スラリーから蒸発乾燥及び濾過等の手法により分散媒を除去する(工程S12)。
続いて、混合した素原料の粉末を仮焼する(工程S13)。この1回目の仮焼は、大気雰囲気中において、最高温度が600℃以上800℃以下で最高温度を2時間以上8時間以下(典型的には5時間)保持する仮焼プロファイルを用いて行うことが望ましい。1回目の仮焼の最高温度(以下、「1回目仮焼温度」という)がこの範囲を下回った場合、素原料の反応が不十分になる傾向があるからである。また、1回目仮焼温度がこの範囲を上回った場合、以降の粉砕が困難になる傾向があるからである。なお、酸素雰囲気中において1回目の仮焼を行ってもよい。
さらに続いて、得られた粉末を粉砕する(工程S14)。粉砕はボールミル、アトライタ、サンドミル及びビーズミル等で行うことができる。この1回目の粉砕では、粉砕後のBET比表面積(以下、「1回目粉砕後比表面積」という)が5m2/g以上15m2/g以下となるように粉砕条件(例えば、粉砕時間)を選択することが望ましい。1回目粉砕後比表面積がこの範囲を上回った場合、異常粒成長する傾向があるからである。また、1回目粉砕後比表面積がこの範囲を下回った場合、均一性が悪くなる傾向があるからである。
次に、粉末を再び仮焼する(工程S15)。このように2回目の仮焼を行うのは、微細な粒子ほど他の粒子と一体化しやすいので、2回目の仮焼を行えば、粒子径が均一な原料粉末を得ることができ、粒径が均一な焼結体を得ることができるからである。この2回目の仮焼は、大気雰囲気中において、最高温度が650℃以上900℃以下で最高温度を2時間以上8時間以下(典型的には5時間)保持する仮焼プロファイルを用いて行うことが望ましい。2回目の仮焼の最高温度(以下、「2回目仮焼温度」という)がこの範囲を下回った場合、粒子径の均一化の効果を得ることが困難になる傾向があるからである。また、2回目仮焼温度がこの範囲を上回った場合、以降の粉砕が困難になる傾向があるからである。また、2回目仮焼温度は、1回目仮焼温度と同じにするか又は1回目仮焼温度より高くすることが望ましい。2回目仮焼温度が1回目仮焼温度よりも低い場合は、反応が進行しにくく、粒子径の均一化の効果を十分に得ることができない場合があるからである。なお、酸素雰囲気中において2回目の仮焼を行ってもよい。
そして、得られた粉末を再び粉砕する(工程S16)。粉砕はボールミル、アトライタ、サンドミル及びビーズミル等で行うことができる。この2回目の粉砕では、粉砕後のBET比表面積(以下、「2回目粉砕後比表面積」という)が10m2/g以下となるように粉砕条件(例えば、粉砕時間)を選択することが望ましい。2回目粉砕後比表面積がこの範囲内であれば、焼結体において高電界印加時の電界誘起歪の向上効果を得ることができるからである。
なお、1回目又は2回目の粉砕の際に粉末に微量添加物をさらに添加することも可能である。また、1回目又は2回目の粉砕の後に分級を行って粒度分布を調整してもよい。例えば、粗粒を除去して粒子径を均一化してもよい。
{焼結体の製造}
図2は、圧電/電歪磁器組成物の焼結体の製造の流れを示す流れ図である。
焼結体は、工程S11〜S16を経て製造された原料粉末を成形し(工程S21)、成形体を焼成する(工程S22)ことにより製造することができる。このように、BET比表面積が特定の範囲内にある原料粉末を用いて焼結体を製造すると、Ta,Nb及びSbから選択される1種類以上の元素を含む酸化物(例えば、Ta25,KTaO3,LiTaO3,Nb25,LiNbO3,Li3NbO4,K3LiNb617,Sb23,LiSbO3等)の偏析相を焼結体中に析出させることができ、高電界印加時の電界誘起歪を向上することができる。これは、偏析相の存在により、母相内の応力が緩和されるためであると考えられる。
ここで、偏析相の粒径は0.5μm以下であることが望ましく、0.1〜0.2μmであることがさらに望ましい。
また、焼結体中に占める偏析相の体積が0.1体積%以上50体積%以下であることが望ましい。偏析相の体積がこの範囲を上回ると、圧電性を有する母相の割合が少なくなり、高電界印加時の電界誘起歪等の特性が劣化するからである。また、偏析相の体積がこの範囲を下回ると、応力の緩和の効果を得ることができないからである。ここでいう「焼結体中に占める偏析相の体積」は、反射電子像を撮像した電子顕微鏡写真において観察された偏析相が占める面積をそのまま焼結体中に占める偏析相の体積とみなしている。
原料粉末の成形は、押出成形、射出成形、加圧成形、鋳込み成形、テープ成形及び冷間等方圧(CIP)成形等により行うことができる。また、成形体の焼成は、通常の常圧焼成の他、ホットプレス法や熱間等方圧(HIP)法等の加圧焼成により行うことができる。特に、加圧成形により1軸成形してから冷間等方圧成形を行い、ホットプレス法により焼成を行えば、高電界印加時の電界誘起歪が大きい焼結体を容易に得ることができる。なお、焼成は、最高温度が900℃以上1200℃以下の焼成プロファイルを用いて行うことが望ましい。
<2 圧電/電歪アクチュエータ>
{全体構造}
図3及び図4は、先述の圧電/電歪磁器組成物を用いた圧電/電歪アクチュエータ1,2の構造例の模式図であり、図3は、単層型の圧電/電歪アクチュエータ1の断面図、図4は、多層型の圧電/電歪アクチュエータ2の断面図となっている。
図3に示すように、圧電/電歪アクチュエータ1は、基体11の上面に、電極膜121、圧電/電歪体膜122及び電極膜123をこの順序で積層した構造を有している。圧電/電歪体膜122の両主面上の電極膜121,123は、圧電/電歪体膜122を挟んで対向している。電極膜121、圧電/電歪体膜122及び電極膜123を積層した積層体12は基体11に固着されている。
また、図4に示すように、圧電/電歪アクチュエータ2は、基体21の上面に、電極膜221、圧電/電歪体膜222、電極膜223、圧電/電歪体膜224及び電極膜225をこの順序で積層した構造を有している。圧電/電歪体膜222の両主面上の電極膜221,223は、圧電/電歪体膜222を挟んで対向しており、圧電/電歪体膜224の両主面上の電極膜223,225は、圧電/電歪体膜224を挟んで対向している。電極膜221、圧電/電歪体膜222、電極膜223、圧電/電歪体膜224及び電極膜225を積層した積層体22は基体21に固着されている。なお、図4には、圧電/電歪体膜が2層である場合が図示されているが、圧電/電歪体膜が3層以上となってもよい。
ここで「固着」とは、有機接着剤や無機接着剤を用いることなく、基体11,21と積層体12,22との界面における固相反応により、積層体12,22を基体11,21に接合することをいう。なお、基体と積層体の最下層の圧電/電歪体膜との界面における固相反応により積層体を基体に接合してもよい。
圧電/電歪アクチュエータ1,2では、電圧が印加されると、印加された電圧に応じて圧電/電歪体122,222,224が電界と垂直な方向に伸縮し、その結果として屈曲変位を生じる。
{圧電/電歪体膜}
圧電/電歪体膜122,222,224は、先述の圧電/電歪磁器組成物の焼結体である。
圧電/電歪膜122,222,224の膜厚は、0.5〜50μmであることが好ましく、0.8〜40μmであることがさらに好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。この範囲を下回ると、緻密化が不十分になる傾向があるからである。また、この範囲を上回ると、焼結時の収縮応力が大きくなるため、基体11,21の板厚を厚くする必要が生じ、圧電/電歪アクチュエータ1,2の小型化が困難になるからである。
{電極膜}
電極膜121,123,221,223,225の材質は、白金、パラジウム、ロジウム、金もしくは銀等の金属又はこれらの合金である。中でも、焼成時の耐熱性が高い点で白金又は白金を主成分とする合金が好ましい。また、焼成温度によっては、銀−パラジウム等の合金も好適に用いることができる。
電極膜121,123,221,223,225の膜厚は、15μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。この範囲を上回ると、電極膜121,123,221,223,225が緩和層として機能し、屈曲変位が小さくなる傾向があるからである。また、電極膜121,123,221,223,225がその役割を適切に果たすためには、膜厚は、0.05μm以上であることが好ましい。
電極膜121,123,221,223,225は、圧電/電歪体膜122,222,224の屈曲変位に実質的に寄与する領域を覆うように形成することが好ましい。例えば、圧電/電歪体膜122,222,224の中央部分を含み、圧電/電歪体膜122,222,224の両主面の80%以上の領域を覆うように形成することが好ましい。
{基体}
基体11,21の材質は、セラミックスであるが、その種類に制限はない。もっとも、耐熱性、化学的安定性及び絶縁性の観点から、安定された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ムライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ガラスからなる群から選択される少なくとも1種類を含むセラミックスが好ましい。中でも、機械的強度及び靭性の観点から安定化された酸化ジルコニウムがさらに好ましい。ここで、「安定化された酸化ジルコニウム」とは、安定化剤の添加によって結晶の相転移を抑制した酸化ジルコニウムをいい、安定化酸化ジルコニウムの他、部分安定化酸化ジルコニムを包含する。
安定化された酸化ジルコニウムとしては、例えば、1〜30mol%の酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウムもしくは酸化セリウム又は希土類金属の酸化物を安定化剤として含有させた酸化ジルコニウムをあげることができる。中でも、機械的強度が特に高い点で、酸化イットリウムを安定化剤として含有させた酸化ジルコニウムが好ましい。酸化イットリウムの含有量は、1.5〜6mol%であることが好ましく、2〜4mol%であることがさらに好ましい。また、酸化イットリウムに加えて、0.1〜5mol%の酸化アルミニウムを含有させることもさらに好ましい。安定化された酸化ジルコニウムの結晶相は、立方晶と単斜晶との混合晶、正方晶と単斜晶との混合晶又は立方晶と正方晶と単斜晶との混合晶等であってもよいが、主たる結晶相が正方晶と立方晶との混合晶又は正方晶となっていることが、機械的強度、靭性及び耐久性の観点から好ましい。
基体11,21の板厚は、1〜1000μmが好ましく、1.5〜500μmがさらに好ましく、2〜200μmが特に好ましい。この範囲を下回ると、圧電/電歪アクチュエータ1,2の機械的強度が低下する傾向にあるからである。また、この範囲を上回ると、基体11,21の剛性が高くなり、電圧を印加した場合の圧電/電歪体膜122,222,224の伸縮による屈曲変位が小さくなる傾向があるからである。
基体11,21の表面形状(積層体が固着される面の形状)は、特に制限されず、三角形、四角形(長方形や正方形)、楕円形又は円形とすることができ、三角形及び四角形については角丸めを行ってもよい。これらの基本形を組み合わせた複合形としてもよい。
単層型の圧電/電歪アクチュエータ1の基体11の板厚は均一になっている。これに対して、多層型の圧電/電歪アクチュエータ2の基体21の板厚は積層体22が接合される中央部215が周縁部216よりも薄肉化されている。基体21の機械的強度を保ちつつ、屈曲変位を大きくするためである。なお、基体21を単層型の圧電/電歪アクチュエータ1に用いてもよい。
なお、図5の断面図に示すように、図4に示す基体21を単位構造として、当該単位構造が繰り返される基体31を用いてもよい。この場合、単位構造の各々の上に積層体32を固着して圧電/電歪アクチュエータ3を構成する。
{圧電/電歪アクチュエータの製造}
単層型の圧電/電歪アクチュエータ1の製造にあたっては、まず、基体11の上に電極膜121を形成する。電極膜121は、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD(Physical Vapor Deposition)、イオンプレーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、メッキ、エアロゾルデポジション、スクリーン印刷、スプレー又はディッピング等の方法で形成することができる。中でも、基体11と圧電/電歪体膜122との接合性の観点から、スパッタリング法又はスクリーン印刷法が好ましい。形成された電極膜121は、熱処理により、基体11及び圧電/電歪体膜122と固着することができる。熱処理の温度は、電極膜121の材質や形成方法に応じて異なるが、概ね500〜1400℃である。
続いて、電極膜121の上に圧電/電歪体膜122を形成する。圧電/電歪体膜122は、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD(Physical Vapor Deposition)、イオンプレーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、メッキ、ゾルゲル、エアロゾルデポジション、スクリーン印刷、スプレー又はディッピング等の方法で形成することができる。中でも、平面形状や膜厚の精度が高く、圧電/電歪体膜を連続して形成することができる点で、スクリーン印刷法が好ましい。
さらに続いて、圧電/電歪体膜122の上に電極膜123を形成する。電極膜123は、電極膜121と同様に形成することができる。
しかる後に、積層体12が形成された基体11を一体的に焼成する。この焼成により、圧電/電歪体膜122の焼結が進行するとともに、電極膜121,123が熱処理される。圧電/電歪体膜122の焼成の最高温度は、800〜1250℃が好ましく、900〜1200℃がさらに好ましい。この範囲を下回ると、圧電/電歪体膜122の緻密化が不十分になり、基体11と電極膜121との固着や電極膜121,123と圧電/電歪体膜122との固着が不完全になる傾向があるからである。また、この範囲を上回ると、圧電/電歪体膜122の圧電/電歪特性が低下する傾向にあるからである。また、焼成時の最高温度の保持時間は、1分〜10時間が好ましく、5分〜4時間がさらに好ましい。この範囲を下回ると、圧電/電歪体膜122の緻密化が不十分になる傾向があるからである。また、この範囲を上回ると、圧電/電歪体膜122の圧電/電歪特性が低下する傾向にあるからである。
なお、電極膜121,123の熱処理を焼成とともに行うことが生産性の観点から好ましいが、このことは、電極膜121,123を形成するごとに熱処理を行うことを妨げるものではない。ただし、電極膜123の熱処理の前に圧電/電歪体膜122の焼成を行っている場合は、圧電/電歪体膜122の焼成温度より低い温度で電極膜123を熱処理する。
焼成が終わった後に適当な条件下で分極処理を行う。分極処理は、周知の手法により行うことができ、圧電/電歪体膜122のキュリー温度にもよるが、40〜200℃に加熱して行うことが好適である。
なお、多層型の圧電/電歪アクチュエータ2も、形成すべき圧電/電歪膜及び電極膜の数が増える点を除いては、単層型の圧電/電歪アクチュエータ1と同様に製造することができる。
また、圧電/電歪アクチュエータ1は、積層セラミックス電子部品の製造において常用されているグリーンシート積層法により製造することもできる。グリーンシート積層法においては、まず、原料粉末にバインダ、可塑剤、分散剤及び分散媒を加えてボールミル等で混合する。そして、得られたスラリーをドクターブレード法等でシート形状に成形して成形体を得る。
続いて、スクリーン印刷法等で成形体の両主面に電極ペーストの膜を印刷する。ここで用いる電極ペーストは、上述の金属又は合金の粉末に、溶媒、ビヒクル及びガラスフリット等を加えたものである。
さらに続いて、電極ペーストの膜が両主面に印刷された成形体と基体とを圧着する。
しかる後に、積層体が形成された基体を一体的に焼成し、焼成が終わった後に適当な条件下で分極処理を行う。
以下では、圧電/電歪磁器組成物の製造方法に関する実施例1〜7及び本発明の範囲外の比較例1〜7について説明する。ただし、下述する実施例1〜3は、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1〜8及び比較例1〜7では、まず、炭酸リチウム(Li2CO3)、酒石酸水素ナトリウム一水和物(C656Na・H2O)、酒石酸水素カリウム(C656K)、酸化ニオブ(Nb25)及び酸化タンタル(Ta25)等の素原料を{Liy(Na1-xx1-ya(Nb1-zTaz)O3 (a=1.01〜1.02,x=0.45,y=0.06,z=0.082)という組成になるように秤量した。そして、素原料に分散媒としてアルコールを加えてボールミルで混合した。
続いて、得られた混合スラリーから分散媒を除去した後、表1に示す1回目仮焼温度を5時間保持する仮焼プロファイルを用いて1回目の仮焼を行い、得られた原料粉末に対して1回目の粉砕をボールミルで行った。1回目の粉砕後のBET比表面積を表1に示す。
さらに続いて、表1及び表2に示す2回目仮焼温度を5時間保持する仮焼プロファイルを用いて2回目の仮焼を行い、得られた原料粉末に対して2回目の粉砕をボールミルで行った。2回目の粉砕後のBET比表面積を表1及び表2に示す。
次に、バインダを混合した原料粉末を2.0×108Paの圧力で直径20mm、板厚6mmの円板形状に一軸加圧成形し、さらに、冷間等方圧成形を行った。そして、常圧の大気雰囲気中において、最高温度が1000℃で最高温度を5時間保持する焼成プロファイルを用いて成形体を焼成し、焼結体(圧電/電歪体)を得た。なお、酸素雰囲気中において焼成を行ってもよく、ホットプレス法等を用いて焼成を行ってもよい。
このようにして得られた焼結体を長辺12mm×短辺3mm×厚み1mmの矩形形状に加工し、その両主面にスパッタリングで金電極を形成した。これを室温のシリコンオイル中に浸漬し、両主面の金電極に5kV/mmの電圧を印加して厚さ方向に分極処理を行った。
係る圧電/電歪素子について、高電界印加時の電界誘起歪の大きさの指標として歪率S4000(ppm)を測定した。その測定結果を表1及び表2に示す。、歪率S4000は、両主面の金電極に4kV/mmの電圧を印加したときの長辺方向の電界誘起歪を電極に貼り付けた歪ゲージで測定することにより得た。
表1に示すように、1回目仮焼温度が600℃以上800℃以下、1回目粉砕後比表面積が5m2/g以上15m2/g以下、2回目仮焼温度が650℃以上900℃以下、2回目粉砕後比表面積が10m2/g以下となる実施例1〜8では、S4000=465〜526と良好な結果が得られている。
一方、表2に示すように、2回目粉砕後比表面積が10m2/gを超える比較例1〜7のうち、比較例1〜5,7では、S4000=198〜398と良好な結果が得られず、比較例6では、分極処理そのものが不可能であった。
図6及び図7は、それぞれ、実施例1及び比較例3の焼結体の研磨面の電子顕微鏡写真である。図6及び図7に示す電子顕微鏡写真は、反射電子像を撮像したものである。図6及び図7から明らかなように、実施例1の焼結体中に析出している白色点状の偏析相は、比較例3よりも明らかに多くなっている。当該白色点状の部分は、平均原子番号が母相より大きい、Taを主成分とする偏析相である。
なお、実施例1〜8及び比較例1〜7の焼結体の研磨面の電子顕微鏡写真から算出した偏析相の粒径及び体積を表1及び表2に示した。偏析相の体積は、反射電子像を撮像した電子顕微鏡写真において観察された偏析相が占める面積をそのまま焼結体中に占める偏析相の体積とみなして算出した。

本発明の望ましい実施形態に係る圧電/電歪磁器組成物の焼結体の製造の流れを示す流れ図である。 本発明の望ましい実施形態に係る圧電/電歪磁器組成物の焼結体の製造の流れを示す流れ図である。 圧電/電歪アクチュエータの断面図である。 圧電/電歪アクチュエータの断面図である。 圧電/電歪アクチュエータの断面図である。 実施例1の焼結体の研磨面の電子顕微鏡写真である。 比較例3の焼結体の研磨面の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1,2,3 圧電/電歪アクチュエータ
122,222,224 圧電/電歪体膜
121,123,221,223,225 電極膜

Claims (2)

  1. Aサイト元素としてLi,Na及びKを含み、Bサイト元素としてNb及びTaのうちの少なくともNbを含み、Bサイト元素の総原子数に対するAサイト元素の総原子数の比が1より大きいペロブスカイト型酸化物を含む圧電/電歪磁器焼結体の製造方法であって、
    混合した素原料の粉末を最高温度が600℃以上800℃以下の仮焼プロファイルを用いて仮焼する第1の工程と、
    前記第1の工程により得られた粉末をBET比表面積が5m2/g以上15m2/g以下となるように粉砕する第2の工程と、
    前記第2の工程により得られた粉末を最高温度が650℃以上900℃以下の仮焼プロファイルを用いて仮焼する第3の工程と、
    前記第3の工程により得られた粉末をBET比表面積が10m2/g以下となるように粉砕する第4の工程と、
    前記第4の工程により得られた原料粉末の成形体を焼成して焼結体を得る第5の工程と、
    を備え
    前記第5の工程において、Ta,Nb及びSbから選択される1種類以上の元素を含む酸化物の偏析相を前記焼結体中に析出させ、
    前記焼結体中に占める前記偏析相の体積が0.1体積%以上50体積%以下である圧電/電歪磁器焼結体の製造方法。
  2. 前記偏析相の粒径が0.5μm以下である請求項1に記載の圧電/電歪磁器焼結体の製造方法。
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