JP2003267779A - 圧電磁器の製造方法 - Google Patents

圧電磁器の製造方法

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JP2003267779A
JP2003267779A JP2002073736A JP2002073736A JP2003267779A JP 2003267779 A JP2003267779 A JP 2003267779A JP 2002073736 A JP2002073736 A JP 2002073736A JP 2002073736 A JP2002073736 A JP 2002073736A JP 2003267779 A JP2003267779 A JP 2003267779A
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Shogo Murosawa
尚吾 室澤
Masaru Nanao
勝 七尾
Yoshiko Itsukida
佳子 五木田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組成のばらつきを小さくし、特性を向上させ
ることができる圧電磁器の製造方法を提供する。 【解決手段】 ペロブスカイト型化合物M1m (Nb
1-z Taz )O3 (M1は長周期型周期表1族元素)を
主成分として含有する圧電磁器を製造する。原料を混合
したのち、ペロブスカイト型化合物の生成開始温度より
も高い温度で複数回にわたり仮焼し、仮焼を繰り返すご
とに仮焼温度は前の仮焼温度以上とする。仮焼の繰り返
しの間には乾式粉砕・混合を行う。これにより原料を十
分に反応させることができ、組成のばらつきを小さくす
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト型
化合物を含有する圧電磁器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電磁器としては、従来より、優れた圧
電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が最も多
く利用されている。しかし、チタン酸ジルコン酸鉛は鉛
を多く含んでいるので、最近では、酸性雨による鉛の溶
出など地球環境におよぼす悪影響が問題となっている。
そこで、チタン酸ジルコン酸鉛に代替する、鉛を含有し
ない圧電磁器の開発が望まれている。
【0003】鉛を含有しない圧電磁器としては、例え
ば、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分として
含むものが知られている(特開平2−159079号公
報参照)。この圧電磁器は、比誘電率εrおよび電気機
械結合係数krが優れており、アクチュエータ用の圧電
材料として有望である。また、鉛を含有しない他の圧電
磁器としては、例えば、ニオブ酸ナトリウムカリウムリ
チウムを主成分として含むものが知られている(特開昭
49−125900号公報または特公昭57−6713
号公報参照)。この圧電磁器は、キュリー温度が350
℃以上と高く、電気機械結合係数krも優れていること
から、圧電材料として期待されている。更に、最近で
は、ニオブ酸ナトリウムカリウムとタングステンブロン
ズ型化合物とを複合化したものも報告されている(特開
平9−165262号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の鉛を含まない圧電磁器は、鉛系の圧電磁器に比べて圧
電特性が低く、十分に大きな発生変位量を得ることがで
きないという問題があった。特に、ニオブ酸ナトリウム
カリウムリチウムなどのペロブスカイト型化合物は、組
成のばらつきが大きく、特性が低下する一原因となって
いた。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、組成のばらつきを小さくし、特性を
向上させることができる圧電磁器の製造方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による圧電磁器の
製造方法は、ペロブスカイト型化合物を含む圧電磁器を
製造するものであって、ペロブスカイト型化合物の原料
を含む混合物について仮焼したのち焼成する工程を含
み、仮焼工程では、ペロブスカイト型化合物の生成開始
温度よりも高い温度で複数回の仮焼を行い、仮焼を繰り
返すごとに仮焼温度を前の仮焼温度以上とするのもので
ある。
【0007】本発明による圧電磁器の製造方法では、ペ
ロブスカイト型化合物の原料を含む混合物について複数
回の仮焼が行われた後、焼成される。よって、ペロブス
カイト型化合物が十分に合成され、組成のばらつきが小
さくなる。
【0008】なお、仮焼工程では、仮焼の繰り返しの間
に乾式粉砕・混合を行うようにすることが好ましい。ま
た、組成に応じて、最初の仮焼温度は950℃以下とす
ることが好ましく、最後の仮焼温度は950℃以上とす
ることが好ましい。
【0009】更に、この製造方法は、長周期型周期表1
族元素,ニオブ(Nb)および酸素(O)を含むペロブ
スカイト型化合物を含有する圧電磁器を製造する場合に
好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0011】図1は本発明の一実施の形態に係る圧電磁
器の製造方法における工程を表すものである。この製造
方法は、ペロブスカイト型化合物を含む圧電磁器の製造
に関するものであり、例えば、ペロブスカイト型化合物
とタングステンブロンズ型化合物とを含む組成物を主成
分として含有する圧電磁器を製造する際に好ましく用い
られる。この組成物において、ペロブスカイト型化合物
とタングステンブロンズ型化合物とは、固溶していても
よく、完全に固溶していなくてもよい。
【0012】なお、本実施の形態では、ペロブスカイト
型化合物が、長周期型周期表1族元素を含む第1の元素
と、ニオブおよび必要に応じてタンタル(Ta)を含む
第2の元素と、酸素とからなり、タングステンブロンズ
型化合物が、長周期型周期表2族元素を含む第3の元素
と、ニオブおよび必要に応じてタンタルを含む第4の元
素と、酸素とからなる場合について具体的に説明する。
このペロブスカイト型化合物の化学式は例えば化1で表
され、タングステンブロンズ型化合物の化学式は例えば
化2で表される。
【0013】
【化1】M1m (Nb1-z Taz )O3 式中、M1は第1の元素を表し、zは0≦z<1の範囲
内の値である。mは化学量論組成であれば1であるが、
化学量論組成からずれていてもよい。酸素の組成は化学
量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれてい
てもよい。
【0014】
【化2】M2(Nb1-w Taw 2 6 式中、M2は第3の元素を表し、wは0≦w<1の範囲
内の値である。第3の元素と第4の元素(Nb1-w Ta
w )と酸素との組成比は化学量論的に求めたものであ
り、化学量論組成からずれていてもよい。
【0015】まず、主成分の原料を用意する。例えば、
第1の元素,第2の元素,第3の元素および第4の元素
を含む酸化物をそれぞれ用意する。または、酸化物でな
く、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化
物となるものを用いてもよい。次いで、これら原料を十
分に乾燥させたのち、秤量し混合する(ステップS11
0)。
【0016】その際、第1の元素としては、長周期型周
期表1族元素のうちのナトリウム(Na),カリウム
(K)およびリチウム(Li)を用意することが好まし
く、第2の元素としては、ニオブおよび必要に応じてタ
ンタルを用意することが好ましい。また、第3の元素と
しては、長周期型周期表2族元素のうちのマグネシウム
(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(S
r)およびバリウム(Ba)からなる群のうちの少なく
とも1種を用意することが好ましく、第4の元素として
は、ニオブおよび必要に応じてタンタルを用意すること
が好ましい。このような場合に、鉛を含有せずあるいは
鉛の含有量を少なくして、より優れた圧電特性を有する
圧電磁器を得ることができるからである。
【0017】第1の元素に関する原料の配合比は、第1
の元素におけるカリウムの含有量が10mol%以上9
0mol%以下、リチウムの含有量が20mol%以下
となるようにすることが好ましい。カリウムの含有量が
少ないと発生変位量を大きくすることができず、カリウ
ムの含有量が多いと焼成時におけるカリウムの揮発が激
しく、焼成が難しいからである。また、リチウムの含有
量が多いと発生変位量を大きくすることができないから
である。
【0018】第1の元素と第2の元素とに関する原料の
配合比は、第2の元素に対する第1の元素の組成比(第
1の元素/第2の元素)、例えば化1におけるmが、モ
ル比で0.95以上1.05以下となるようにすること
が好ましい。0.95未満では発生変位量が小さくな
り、1.05を超えると焼結密度が低下することにより
分極が難しくなってしまうからである。
【0019】第2の元素または第4の元素としてタンタ
ルを添加する場合には、第2の元素および第4の元素に
関する原料の配合比は、第2の元素と第4の元素との合
計におけるタンタルの含有量が50mol%以下となる
ようにすることが好ましい。タンタルの含有量が多くな
ると、キュリー温度が低くなると共に、発生変位量が小
さくなってしまうからである。なお、第2の元素と第4
の元素とは同一となるようにしてもよく、異なるように
してもよい。
【0020】ペロブスカイト型化合物とタングステンブ
ロンズ型化合物とに関する原料の配合比は、ペロブスカ
イト型化合物とタングステンブロンズ型化合物との組成
比がモル比で化3に示した範囲内となるようにすること
が好ましい。すなわち、組成物におけるタングステンブ
ロンズ型化合物の含有量が、0mol%よりも大きく
5.3mol%以下となるようにすることが好ましい。
タングステンブロンズ型化合物を添加することにより焼
成を容易とすることができると共に、発生変位量を大き
くすることができる一方で、タングステンブロンズ型化
合物の含有量が多すぎると、発生変位量が小さくなって
しまうからである。
【0021】
【化3】(1−n)A+nB 式中、Aはペロブスカイト型化合物、Bはタングステン
ブロンズ型化合物をそれぞれ表し、nは0<n≦0.0
53の範囲内の値である。
【0022】また、主成分に加えて、必要に応じて副成
分を添加するようにしてもよい。副成分としては、長周
期型周期表における3族元素から12族元素のうちの少
なくとも1種を含む酸化物が好ましく、中でも、マンガ
ン(Mn)を含む酸化物が好ましい。焼結性を向上させ
ることにより圧電特性をより向上させることができるか
らである。副成分の原料としては、主成分と同様に、酸
化物を用いてもよいが、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のよ
うに焼成により酸化物となるものを用いてもよい。副成
分の添加量は、主成分の0.1質量%以上1質量%以下
となるようにすることが好ましい。
【0023】なお、原料は混合溶媒を用いて十分に混合
することが好ましい。混合溶媒としては、水を用いても
よく、エタノールなどの有機溶媒を用いてもよいが、水
を用いるようにした方が好ましい。製造設備を簡易とす
ることができると共に、焼成時の最適温度幅を広くする
ことができるからである。
【0024】続いて、主成分の原料および必要に応じて
副成分の原料を添加した混合物を、複数回にわたり仮焼
する(仮焼工程;ステップS120)。組成のばらつき
を小さくするためである。具体的には、原料の混合物を
乾燥し、プレス成形して、1回目の仮焼をしたのち(ス
テップS121)、らいかい機などを用いて乾式粉砕・
混合し(ステップS122)、再びプレス成形して、2
回目の仮焼をする(ステップS123)。更に必要に応
じて、乾式粉砕・混合、プレス成形、仮焼(n回目)を
繰り返す。
【0025】仮焼温度は、ペロブスカイト型化合物の生
成開始温度よりも高くすることが好ましい。仮焼におい
てペロブスカイト型化合物を合成することにより、組成
のばらつきを小さくすることができるからである。図2
は、化1に示したペロブスカイト型化合物、具体的には
Na0.570.38Li0.05NbO3 を合成する際の温度に
よる原料の質量変化を示したものである。図2におい
て、650℃付近にあるピークがこのペロブスカイト型
化合物の生成温度を表している。すなわち、例えば化1
に示したペロブスカイト型化合物であれば、仮焼温度は
650℃よりも高くすることが好ましい。
【0026】また、仮焼温度は、仮焼を繰り返すごとに
前の仮焼温度以上とすることが好ましい。すなわち、1
回目の仮焼温度≦2回目の仮焼温度≦3回目の仮焼温度
≦・・・・≦n回目の仮焼温度とすることが好ましい。
前の仮焼温度よりも低い温度で仮焼を繰り返しても、効
果が得られないからである。
【0027】更に、最初の仮焼温度は、ペロブスカイト
型化合物の最適仮焼温度以下とすることが好ましい。例
えば、化1に示したペロブスカイト型化合物であれば、
950℃以下とすることが好ましい。最適仮焼温度より
も高くすると、焼結が進むために乾式粉砕が難しくな
り、十分な効果を得られないからである。加えて、最後
の仮焼温度は、ペロブスカイト型化合物の最適仮焼温度
以上とすることが好ましい。例えば、化1に示したペロ
ブスカイト型化合物であれば、950℃以上とすること
が好ましい。最適仮焼温度よりも低いと、未反応の原料
が残ってしまい、十分な効果が得られないからである。
【0028】仮焼の繰り返しの間の粉砕・混合は、図1
にも示したように乾式とすることが好ましい。水などの
混合溶媒を用いる場合に比べて、組成のばらつきをより
簡単に小さくすることができるからである。
【0029】このようにして仮焼を行ったのち、仮焼物
を粉砕・混合する(ステップS130)。その際、乾式
でもよいが、水などの混合溶媒を用いた湿式としてもよ
い。複数回の仮焼により原料は十分に反応しており、混
合溶媒を用いても組成のばらつきは大きくならないから
である。混合溶媒としては、上述したように水を用いる
ことが好ましい。
【0030】仮焼物を粉砕・混合したのち、例えば、バ
インダーを加えて造粒し、一軸プレス成形機あるいは静
水圧成形機(CIP)などを用いプレス成形する(ステ
ップS140)。成形したのち、例えば、この成形体を
加熱して脱バインダを行い(ステップS150)、焼成
する(ステップS160)。焼成温度は仮焼温度以上と
することが好ましく、例えば本実施の形態において具体
的に説明した組成であれば、950℃〜1350℃とす
ることが好ましい。そののち、焼結体を必要に応じて加
工し、電極を形成し、加熱したシリコーンオイル中で電
界を印加して分極を行う(ステップS170)。これに
より、圧電磁器が得られる。
【0031】このように本実施の形態によれば、ペロブ
スカイト型化合物の原料を含む混合物について複数回の
仮焼を行うようにしたので、ペロブスカイト型化合物の
組成のばらつきを小さくすることができ、特性を向上さ
せることができる。
【0032】特に、仮焼温度をペロブスカイト型化合物
の生成開始温度よりも高くし、仮焼を繰り返すごとに前
の仮焼温度以上とするようにしたので、ペロブスカイト
型化合物の合成を効果的に進めることができ、より高い
効果を得ることができる。
【0033】また、仮焼の繰り返しの間に乾式粉砕・混
合を行うようにすれば、組成のばらつきをより簡単に小
さくすることができる。
【0034】更に、例えば化1に示したペロブスカイト
型化合物を含む圧電磁器を製造する場合には、最初の仮
焼温度を950℃以下とするようにすれば、仮焼の繰り
返しの間の粉砕・混合を十分に行うことができ、より高
い効果を得ることができる。または、最後の仮焼温度を
950℃以上とするようにすれば、原料を十分に反応さ
せることができ、より高い効果を得ることができる。
【0035】
【実施例】更に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0036】(実施例1〜3)化4に示したペロブスカ
イト型化合物とタングステンブロンズ型化合物とを含む
組成物を主成分として含有する圧電磁器を作製した。
【0037】
【化4】
【0038】まず、主成分の原料として、炭酸ナトリウ
ム(Na2 CO3 )粉末、炭酸カリウム(K2 CO3
粉末、炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末、酸化ニオブ
(Nb2 5 )粉末および炭酸バリウム(BaCO3
粉末をそれぞれ用意した。また、副成分の原料として、
炭酸マンガン(MnCO3 )粉末を用意した。次いで、
これら主成分および副成分の原料を十分に乾燥させたの
ち、主成分が化4に示した組成となり、副成分である酸
化マンガンの含有量がMnOを基準として主成分に対し
て0.31質量%となるように秤量し、ボールミルによ
り水中で混合した(図1;ステップS110参照)。な
お、副成分の含有量は、主成分の原料のうち炭酸塩をC
2 が解離した酸化物に換算し、その換算した主成分の
原料の合計質量に対して副成分の原料である炭酸マンガ
ン粉末の混合量が0.5質量%となるようにしたもので
ある。
【0039】続いて、この混合物を複数回にわたり仮焼
した(図1;ステップS120参照)。具体的には、混
合物を乾燥し、プレス成形、1回目の仮焼(図1;ステ
ップS121参照)、らいかい機による乾式粉砕・混合
(図1;ステップS122参照)、プレス成形、2回目
の仮焼(図1;ステップS123参照)、らいかい機に
よる乾式粉砕・混合、プレス成形、3回目の仮焼という
工程を順に行った。仮焼の回数は実施例1,2について
は2回、実施例3については3回とした。仮焼温度は表
1に示した通りとし、仮焼時間は2時間とした。
【0040】
【表1】
【0041】仮焼したのち、仮焼物をボールミルを用い
て水中で粉砕・混合し(図1;ステップS130参
照)、乾燥した。そののち、ポリビニルアルコールを加
えて造粒し、一軸プレス成形機により約40MPaの圧
力で直径17mmの円柱状に成形し、更に約400MP
aの圧力で静水圧成形した(図1;ステップS140参
照)。成形したのち、この成形体を650℃で4時間加
熱して脱バインダを行い(図1;ステップS150参
照)、1000〜1100℃で4時間焼成した(図1;
ステップS160参照)。そののち、この焼成体をスラ
イス加工およびラップ加工により厚さ0.6mmの円板
状とし、両面に電極を形成して、加熱したシリコーンオ
イル中で5kV/mmの電界を15分間印加して分極処
理を行った(図1;ステップS170参照)。これによ
り、実施例1〜3の圧電磁器を得た。
【0042】得られた実施例1〜3の圧電磁器につい
て、24時間放置したのち、圧電特性として、電気機械
結合係数kr、比誘電率εr、3kV/mmの電界を印
加した際の発生変位量、および誘電損失tanδを測定
した。また、誘電損失tanδについては、分極してか
ら1024時間経過後にも再び測定し、分極24時間後
と分極1024時間後との変化量も求めた。
【0043】なお、電気機械結合係数kr,比誘電率ε
rおよび誘電損失tanδの測定にはインピーダンスア
ナライザー(ヒューレット・パッカード社製HP419
4A)を用い、比誘電率εrを測定する際の周波数は1
kHzとした。発生変位量の測定には、図3に示したよ
うな渦電流による変位測定装置を用いた。この変位測定
装置は、一対の電極11,12の間に試料13を挟み、
直流電流を印加した場合の試料13の変位を変位センサ
14により検出し、変位検出器15によりその発生変位
量を求めるものである。
【0044】得られた結果を表1に示す。なお、表1に
示した発生変位量は、測定値を試料の厚さで割り100
を掛けた値(測定値/試料の厚さ×100)である。
【0045】本実施例に対する比較例1〜3として、仮
焼の回数および仮焼温度を表1に示したように変えたこ
とを除き、他は実施例1〜3と同様にして圧電磁器を作
製した。なお、比較例1は仮焼を1回としたもの、比較
例2は仮焼を2回とし、最初の仮焼温度をペロブスカイ
ト型化合物の生成開始温度である650℃としたもの、
比較例3は仮焼を2回とし、2回目の仮焼温度を1回目
よりも低く、かつ、950℃よりも低くしたものであ
る。比較例1〜3についても、実施例1〜3と同様にし
て、電気機械結合係数kr、比誘電率εr、3kV/m
mの電界を印加した際の発生変位量、および誘電損失t
anδ(分極24時間後、分極1024時間後、および
その変化量)を測定した。それらの結果についても表1
に合わせて示す。
【0046】表1に示したように、比較例1〜3では、
誘電損失tanδが大きかったのに対して、実施例1〜
3によれば、誘電損失tanδを十分に小さくすること
ができた。すなわち、ペロブスカイト型化合物の生成開
始温度よりも高い温度で仮焼を複数回繰り返すようにす
れば、組成のばらつきを小さくすることができ、特性を
向上させることができることが分かった。また、仮焼温
度を仮焼を繰り返すごとに前の仮焼温度以上とし、最後
の仮焼温度を950℃以上とすれば、十分にペロブスカ
イト型化合物を合成させることができ、好ましいことが
分かった。
【0047】なお、上記実施例では、化4に示した組成
を有する圧電磁器を作製する場合について具体的に説明
したが、ペロブスカイト型化合物を含む他の圧電磁器を
作製する場合においても同様の結果を得ることができ
る。なお、その場合、最適仮焼温度は組成に応じて異な
る。
【0048】以上、実施の形態および実施例を挙げて本
発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実
施例に限定されるものではなく、種々変形することがで
きる。例えば、上記実施の形態および実施例では、ペロ
ブスカイト型化合物と、タングステンブロンズ型化合物
とを含む圧電磁器を製造する場合について説明したが、
本発明は、少なくともペロブスカイト型化合物を含む圧
電磁器を製造する場合について広く適用することができ
る。すなわち、ペロブスカイト型化合物のみからなる圧
電磁器を製造する場合でもよく、ペロブスカイト型化合
物に加えて、タングステンブロンズ型化合物に限らず他
の化合物を含む圧電磁器を製造する場合でもよい。
【0049】また、上記実施の形態および実施例では、
ペロブスカイト型化合物の原料と、タングステンブロン
ズ型化合物の原料とを混合したのち、仮焼するようにし
たが、ペロブスカイト型化合物の原料とタングステンブ
ロンズ型化合物の原料とを別々に混合して、それぞれを
個別に仮焼するようにしてもよい。これは、ペロブスカ
イト型化合物とタングステンブロンズ型化合物とを含む
圧電磁器を製造する場合に限らず、ペロブスカイト型化
合物と他の化合物とを含む圧電磁器を製造する場合にお
いても同様である。
【0050】更に、上記実施の形態および実施例では、
副成分の原料も主成分の原料と共に混合し、仮焼するよ
うにしたが、仮焼後に副成分の原料を添加するようにし
てもよい。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請
求項5のいずれかに記載の圧電磁器の製造方法によれ
ば、ペロブスカイト型化合物の原料を含む混合物につい
てペロブスカイト型化合物の生成開始温度よりも高い温
度で複数回の仮焼を行い、仮焼を繰り返すごとに前の仮
焼温度以上とするようにしたので、ペロブスカイト型化
合物の合成を効果的に進めることができ、組成のばらつ
きを小さくすることができる。よって、特性を向上させ
ることができる。
【0052】特に、請求項2記載の圧電磁器の製造方法
によれば、仮焼の繰り返しの間に乾式粉砕・混合を行う
ようにしたので、組成のばらつきをより簡単に小さくす
ることができる。
【0053】また、請求項3記載の圧電磁器の製造方法
によれば、最初の仮焼温度を950℃以下とするように
したので、例えば長周期型周期表1族元素,ニオブおよ
び酸素を含むペロブスカイト型化合物を含有する圧電磁
器を製造する場合において特に、仮焼の繰り返しの間の
粉砕・混合を十分に行うことができ、より高い効果を得
ることができる。
【0054】更に、請求項4記載の圧電磁器の製造方法
によれば、最後の仮焼温度を950℃以上とするように
したので、例えば長周期型周期表1族元素,ニオブおよ
び酸素を含むペロブスカイト型化合物を含有する圧電磁
器を製造する場合において特に、原料を十分に反応させ
ることができ、より高い効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る圧電磁器の製造方
法を表す流れ図である。
【図2】化1に示したペロブスカイト型化合物を合成す
る際の温度による原料の質量変化を表す特性図である。
【図3】本発明の実施例において発生変位量の測定に用
いた変位測定装置を表す構成図である。
【符号の説明】
11,12…電極、13…試料、14…変位センサ、1
5…変位検出器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五木田 佳子 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA01 AA02 AA03 AA04 AA20 AA21 BA10 CA01 GA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペロブスカイト型化合物を含む圧電磁器
    の製造方法であって、 前記ペロブスカイト型化合物の原料を含む混合物につい
    て仮焼したのち焼成する工程を含み、 前記仮焼工程では、前記ペロブスカイト型化合物の生成
    開始温度よりも高い温度で複数回の仮焼を行い、仮焼を
    繰り返すごとに仮焼温度を前の仮焼温度以上とすること
    を特徴とする圧電磁器の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記仮焼工程では、仮焼の繰り返しの間
    に乾式粉砕・混合を行うことを特徴とする請求項1記載
    の圧電磁器の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記仮焼工程における最初の仮焼温度は
    950℃以下であることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の圧電磁器の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記仮焼工程における最後の仮焼温度は
    950℃以上であることを特徴とする請求項1ないし請
    求項3のいずれかに記載の圧電磁器の製造方法。
  5. 【請求項5】 長周期型周期表1族元素,ニオブ(N
    b)および酸素(O)を含むペロブスカイト型化合物を
    含有する圧電磁器を製造することを特徴とする請求項1
    ないし請求項4のいずれかに記載の圧電磁器の製造方
    法。
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