JP4662613B2 - 多孔質粉体、その製造方法及びその用途 - Google Patents

多孔質粉体、その製造方法及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸放湿性及び悪臭ガス吸着性に優れた多孔質粉体、その製造方法及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、下水道の普及に伴い下水処理量は年々増加しており、それとともに発生する汚泥量も着実に増加してきている。一方、下水汚泥は、減量化(減容化)の為に、焼却又は溶融処理が行われてきている。特に焼却処理については大幅にのびており焼却灰の発生量も増加している。こうした中、発生した汚泥やこれを焼却した焼却灰のほとんどは最終処分場に投棄処分されており、処分地の制約が大きい大都市のみならず、新たに下水処埋を開始した中小都市においても莫大な処理費用が大きな課題になっている。
【0003】
そのため、汚泥焼却灰の再資源化を図るため、例えば、焼却灰を加圧成形後焼成してレンガにしたり、焼却灰を加圧造粒して人造骨材にしたり、焼却灰を溶融し得られたスラグを路盤材に利用したり、下水汚泥焼却灰からリンを回収する技術(特開平9−77506号)等が提案されている。しかし、その適用には限界があった。
【0004】
このような現状から、汚泥焼却灰の再資源化処理量を更に増加させるために、処理物に、更なる処理を施して付加価値を付与することが求められている。
【0005】
また、最近、生活環境の快適性に対する市民の関心の高まりから、快適な居住空間を実現するために住居の気密性が高くなってきているが、その結果、特に冬場の結露やカビ、ダニの発生によるアレルギーを引き起こす等の問題が生じている。従来は、吸放湿性のある材料として、木質系建材を使用することによりこれらの問題が緩和されていたが、近年木材資源の高騰により非常にコスト高の材料となっている。
【0006】
そのため、これらの問題を解決すべく、吸放湿性にすぐれた建材の開発が進められている。例えば、無機質系建材では、珪藻土、ゾノトライト、トバモライト等を主成分とするものが開発されているが、非常に高い製造コストがかかっている上に、十分な吸放湿性能を有していない。また、建設廃材を利用して吸放湿性石膏硬化体を製造する技術(特開平10−245250号)等も提案されているが、大量に利用でき、又効果の持続性、経済性等の点から有効なものは少ない。
【0007】
また、快適性志向の高まりから、居住空間やホテル等における脱臭・消臭機能が求められてきており、例えばシックハウス症候群の原因として代表されるホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン等)といわれる揮発性有機化合物等やアンモニアガス、アセトアルデヒドガス等の悪臭ガスによる室内の空気汚染が大きな問題となっている。
【0008】
ガスや水分の吸着剤としては、珪藻土、和紙、活性炭等が挙げられ各種産業で利用されている。特に、活性炭は、吸着可能なガスの種類も多いが、アンモニアについてはその吸着能力が劣っており、しかも非常に高価な材料である。また、珪藻土は、活性炭よりは安価な材料であるが一般的な素材としては高価なものである。
【0009】
この様な状況の中で現在、吸放湿機能、脱臭機能の両者を兼ね備えた更に安価な材料が求められている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、汚泥焼却灰の再資源化を図るべく、該焼却灰を多孔質化して、吸放湿材料や悪臭吸着剤等に適用することのできる多孔質粉体、その製造方法及びその用途を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、汚泥焼却灰に塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加した後、乾操処理することにより、処理物を容易に多孔質化できることを見出し、これに基づき本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、汚泥焼却灰に塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加後、アルカリ溶液中で加熱攪拌させることなく、乾燥してなる処理物であって、そのBET比表面積が7m2/g以上であることを特徴とする多孔質粉体に係る。
【0013】
また、本発明は、汚泥焼却灰に、塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加し、次いで乾燥するか又は水洗後乾燥することを特微とする上記多孔質粉体の製造方法にも係る。
【0014】
更に、本発明は、上記多孔質粉体を有効成分とする吸放湿材料又は脱臭剤にも係る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
本発明の多孔質粉体は、汚泥焼却灰特に下水汚泥焼却灰に、塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加後、乾燥してなる処理物であって、そのBET比表面積が7m2/g以上であるものである。
【0017】
本発明の多孔質粉体は、シリカ、燐酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄等を主成分とする汚泥焼却灰に、強い鉱酸である塩酸又は硝酸の水溶液を添加することにより、汚泥焼却灰に含有される酸可溶性成分が溶解除去されて、粉体が多孔質化したものである。この添加処理によって、処理前には5m2/g程度しかない焼却灰のBET比表面積は、少なくとも7m2/g以上、通常は10〜70m2/gとなる。また、塩酸水溶液又は硝酸水溶液を用いた場合は、硫酸水溶液を用いた場合に比して、多孔質化の程度がより大きい。
【0018】
上記処理によって溶解したシリカ成分は、その一部から活性珪酸ゲルと言われる非晶質珪酸ゲルが生成され、又その表面には親水性のシラノール基が生じていると考えられ、これらにより吸放湿性能や悪臭ガスの吸着除去効果が発揮されるものと推定される。
【0019】
また、上記処理を行うことによって、吸放湿及び悪臭吸着効果を発揮する主に10nm以下の細孔容積特に6nm以下の細孔容積が大幅に増加することによっても吸放湿性能や悪臭ガスの吸着除去効果が発揮されるものと推定される。ここで、細孔容積は、細孔径分布から求めることができる。
【0020】
また、本発明の多孔質粉体は、必要に応じて、更に粉砕しても良い。
【0021】
本発明の多孔質粉体は、汚泥焼却灰特に下水汚泥焼却灰に、塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加し、次いで乾燥するか又は水洗後乾燥することにより、容易に得られる。
【0022】
本発明で使用する原料焼却灰としては、下水処理場で発生する汚泥を焼却したものの他に、し尿、家庭用雑排水、産業用排水処理等によって発生した汚泥の焼却灰も含まれる。これらは、一般に処理場で含水率60〜90重量%程度まで脱水処理されたものを焼却したものであり、本発明はこれらのいずかの焼却灰を使用する。特に、下水処理場で発生する汚泥量は年々下水道の普及とともに増加しておりその対策が急がれており、その再資源化に有用である。
【0023】
また、焼却灰には、高分子凝集剤を使用した汚泥を焼却したものと、石灰系凝集剤を使用した汚泥を焼却したものがあるが、減容化対策から最近では高分子凝集剤を使用したものが多い。本発明においては両者とも利用可能であるが、石灰系凝集剤を使用した場合は中和塩類(塩化カルシウム等)が多量に生成されるため、あまり好ましくない。焼却灰の形態は、塩酸又は硝酸添加により十分な反応が行われ、均質な多孔質粉体が得られれば良く特に制限はされない。また、ペレット状、板状、錠剤状等に成型されたものでも塩酸又は硝酸添加による処理は可能であり、使用できる。
【0024】
汚泥焼却灰に添加される塩酸水溶液又は硝酸水溶液としては、市販品や、金属精錬工業等から発生する廃塩酸や廃硝酸の水溶液を使用することもできる。使用する塩酸水溶液又は硝酸水溶液の濃度としては、通常、0.2〜4.5規定程度とするのが適当である。
【0025】
また、下水汚泥焼却灰に添加される塩酸水溶液又は硝酸水溶液の添加量としては、100%塩酸又は硝酸に換算して1.0重量%以上、好ましくは4.0〜25重量%添加する。1.0重量%未満では、反応が十分でないため、得られる多孔質粉体の吸放湿性能及び悪臭ガス吸着性能が劣る。また、25重量%を超えて添加すると、乾燥後の状態が固くなって粉砕処理に手間を生じるため、好ましくない。この時の水溶液の添加量としては、焼却灰に対して塩酸水溶液又は硝酸水溶液100重量%程度以上であれば良く、又添加処理時の温度は10〜90℃が好ましい。
【0026】
汚泥焼却灰に、塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加し、混合又は混練後、浸漬することにより、焼却灰中に含有されている酸可溶性成分が溶解除去されて、粉体が多孔質化する。この添加処理後は、適宜、乾燥し、必要に応じて、粉砕又は解砕して、多孔質粉体が得られる。
【0027】
また、塩酸水溶液又は硝酸水溶液の浸漬時間としては、通常、0.1時間〜10日程度とするのが適当である。
【0028】
また、この多孔質粉体は、細孔空隙への吸着等により、特にアンモニア、アミン類等の塩基性悪臭ガスに対して優れた吸着性能を示すが、硫化水素、メルカプタン類等の酸性悪臭ガス、アセトアルデヒド等の中性悪臭ガスや、ホルムアルデヒド、VOCガス等も吸着除去が可能である。
【0029】
塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加後のpHを2以下にすると、吸放湿性能は向上するものの、乾燥時の粉砕性が低下し、又製造設備の耐酸性対策が必要となるが、これらの問題は、上記添加後中和処理を行うことにより、解消できる。また、この中和処理により、得られる多孔質粉体を弱アルカリ性にすることにより、カビの発生を長期間に渡って抑制することも可能になる。
【0030】
上記中和処理は、汚泥焼却灰に塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加処理した後、中和剤を添加してpHを5.5〜9.0程度にすることにより行われる。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、消石灰、アンモニア、CaCO3を主成分とするライムストーン(石灰岩)、コーラルサンド等のアルカリ性薬剤を挙げることができる。中和処理は、例えば、薬注ポンプを用いて中和剤溶液を注入する方法、中和剤の粉体を投入する方法等の方法により、行うことができる。これらの方法の内、薬注ポンプを用いる場合には、被処理液のpH値をpH測定センサーで検出して、薬注ポンプによる薬注量又は薬注時間を制御する方法を採用することができる。
【0031】
乾燥処理は、所定量の塩酸水溶液又は硝酸水溶液を汚泥焼却灰に添加し一定時間浸漬した後、或いは更に中和処理をした後に行うが、これを直接乾燥しても良いし、一旦水洗後濾過しその残留物を乾燥しても良い。一旦水洗後乾燥することにより処理物表面の不純物等を除去することが可能であり、吸着性能も向上する。
【0032】
乾燥機としては、特に制限はないが、例えば、回転ドラム式乾燥機、パドル式乾燥機、流動層式乾燥機、気流乾燥機、遠心薄膜式乾燥機等が挙げられ、下水処理場で現状使用している乾燥機でも十分に対応可能である。また、乾燥温度は、90〜300℃が好ましい。
【0033】
乾燥後の含水率は、5重量%以下が好ましく、絶乾状態が特に優れた効果を示す。乾燥が不十分では細孔容積が減少すると共に水分の吸放湿性能、悪臭ガスの吸着性能が低下する。
【0034】
ここで、含水率は、「下水試験方法(1997年度版)第4章第6節蒸発残留物及び含水率」に準拠して、試料を105〜110℃で2時間乾燥後の重量の乾燥前の重量に対する百分率で表される。
【0035】
以上の処理により得られた乾燥処理物である粉体は、多孔質であるため吸湿性が高く、又放湿性も良好であるため調湿材料として好適に利用することができる。しかもアンモニア、アミン類等の塩基性悪臭ガス、酸性悪臭ガス、中性悪臭ガス、ホルムアルデヒド及びVOCについても吸着することが出来るため悪臭の除去も可能な材料となり、脱臭剤としては勿論、現在求められている吸放湿機能、脱臭機能の両者を兼ね備えた材料としても利用できる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例、比較例及び参考例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
【0037】
実施例1〜2及び比較例1〜3
実施例1〜2として、下水汚泥焼却灰50gを100mlビーカーに入れ、これに1N塩酸水溶液又は1N硝酸水溶液を、各75ml添加し、練りさじで約1分混練後、20℃の恒温室に2時間、浸漬状態で静置した。これを、110℃の乾燥器に入れ、18時間保持して、乾燥した。次に、その乾燥物を、簡易粉砕機(「オスターブレンド OB−1」、商品名、オスター(株)製)を用いて、解砕して多孔質粉体を得た。
【0038】
また、比較例1〜2として、1N塩酸水溶液又は1N硝酸水溶液に代えて、1N硫酸水溶液又は1Nリン酸水溶液各75mlを、同様に添加し、処理し、これを110℃の乾燥器に18時間保持し乾燥して、多孔質粉体を得た。
【0039】
上記で得られた多孔質粉体の含水率は、いずれも1〜2重量%であった。下水汚泥焼却灰としては、高分子凝集剤を添加後脱水した汚泥を、流動床型焼却炉にて焼却したものを使用した。
【0040】
得られた各多孔質粉体について、BET比表面積及び吸放湿試験を、次の方法により行った。
【0041】
BET比表面積は、N2ガス吸着式BET測定装置(「BELSORP24」、商品名、日本ベル(株)製)を使用して測定した。
【0042】
吸放湿試験は、建材試験センター規格JSTM H6302−1999「調湿建材の吸放湿性試験方法」に準拠して、20℃、53〜75%RHにおける中湿域評価を行った。具体的には、20℃の恒温室において、シャーレにいれた試料3gを、飽和溶液法により相対湿度(RH)75%の環境を設定したデシケータ内に静置し、水分吸着量がほぼ平衡に達する24時間吸湿後に秤量し、粉体単位重量当たりの水分吸着量を求め、これを吸湿過程での吸放湿量(g/kg)とした。次に、吸湿試験後の試料を同様に相対湿度53%の環境を設定したデシケーターに移して24時間放湿後に秤量し、粉体単位重量当たりの水分吸着量を求め、これを吸湿過程での吸放湿量より差し引き、放湿過程での吸放湿量(g/kg)とした。
【0043】
比較例3として、市販品の珪藻土乾燥粉末(昭和化学工業(株)製)の試験も併せて行った。
【0044】
試験結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004662613
【0046】
表1に示すように、下水汚泥焼却灰に塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加して該焼却灰を処理することにより、吸放湿量は、硫酸水溶液又はリン酸水溶液で処理した場合に比して、著しく増加しており、硫酸処理品の5〜7倍の吸放湿性能を示している。また、BET比表面積については、同濃度において、硫酸処理品の約2倍の数値を示している。
【0047】
実施例3〜7及び参考例1〜3
実施例3〜7として、下水汚泥焼却灰50gを100mlビーカーに入れ、これに0.25〜4Nの塩酸水溶液(100%塩酸に換算して1.4〜21.9重量%に相当する)を、各75ml添加し、練りさじで約1分混練後、20℃の恒温室に2時間、浸漬状態で静置した。これを、110℃の乾燥器に入れ、18時間保持して、乾燥した。次に、その乾燥物を、簡易粉砕機(「オスターブレンド OB−1」、商品名、オスター(株)製)を用いて、解砕して多孔質粉体を得た。
【0048】
また、参考例1〜3として、実施例3〜7と同様に、0.1、5又は6Nの塩酸水溶液を、同様に添加し、処理して、多孔質粉体を得た。
【0049】
これらをシャーレにとり、前記と同様に20℃、53〜75%RHにおける中湿域での吸放湿性能を評価した。また、BET比表面積を、前記と同様にして、測定した。
【0050】
また、乾燥直後の状態(解砕前の状態)として、乾燥物にスパチュラーが容易に刺せる状態を「普通」、刺すのに少し抵抗がある状態を「若干固い」、刺すのにかなり抵抗がある状態を「固い」、刺すことが殆どできない状態を「非常に固い」と表現し、評価した。
【0051】
試験結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
Figure 0004662613
【0053】
表2より、塩酸添加量を増加させると、吸放湿量が比例して増加することが判る。しかし、塩酸添加量が25重量%を越えると、乾燥後の状態が固くなるため粉砕処理に手間を生じることが確認され、又この場合には乾燥時に乾燥器の腐食が認められた。また、塩酸添加量0.5重量%では、十分な吸放湿性能が得られないことも判った。
【0054】
実施例8〜12
実施例8〜12として、下水汚泥焼却灰50gを100mlビーカーに入れ、これに0.75、1.5又は3Nの塩酸水溶液(100%塩酸に換算して4.1、8.2又は16.4重量%に相当する)を、各75ml添加し、練りさじで約1分混練後、20℃の恒温室に2時間、浸漬状態で静置した。これを、中和剤でpH5.5〜9程度まで中和後、110℃の乾燥器に入れ、18時間保持して、乾燥した。次に、その乾燥物を、簡易粉砕機(「オスターブレンド OB−1」、商品名、オスター(株)製)を用いて、解砕して多孔質粉体を得た。中和剤としては、実施例8、9、10及び12では水酸化ナトリウム水溶液(1N)を、実施例11では水酸化カルシウム粉末(特級試薬)を、それぞれ用いた。
【0055】
また、中和処理をしない場合についても、同様にして、多孔質粉体を得た。
【0056】
得られた各多孔質粉体について、前記と同様にして、吸放湿性能及び乾燥直後の状態を評価した。
【0057】
試験結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
Figure 0004662613
【0059】
表3より、塩酸水溶液に浸漬後、中和処理し、乾燥前のpHを中性前後とすることにより、乾燥時の塩素系ガスの発生がほぼ抑制され、乾燥後の状態も改善されることが判る。しかも、中和処理により、吸放湿性能が5〜40%程度向上する効果があることが認められる。
【0060】
また、実施例10で得られた多孔質粉体及び実施例11で得られた多孔質粉体(Ca(OH)2中和品)を、蒸留水に3%懸濁させた懸濁液のpHを測定したところ、pH7.5〜8程度の弱アルカリ性を示し、非常に取り扱い易い粉体となっていることが確認された。これを建材等に使用した場合には、弱アルカリ性であるため、カビの繁殖を長期間に渡って抑制することが可能となる。
【0061】
実施例13〜14及び比較例4
次に、実施例13〜14として、実施例1又は2と同様の手順で、1Nの塩酸水溶液又は硝酸水溶液を各75ml添加し20℃の恒温室で2時間浸漬後、110℃の乾燥機に18時間保持し乾燥し、解砕して得た多孔質粉体サンプルを使用して、VOCガスの吸着試験を行った。また、比較例4として、市販品の珪藻土乾燥粉末(昭和化学工業(株)製)の試験も併せて行った。
【0062】
VOCガスの吸着試験は、多孔質粉体試料をポリエステル製ガスパック(1L)に0.5g入れておき、これにトルエン又はm,p-キシレンを10,000ppb(10ppm)に調整したガスを封入し、その後20℃の恒温室に静置し、1及び3時間後に1mlのガスを採取し、これをガスクロマト−質量分析計(「HP5973MSD」、商品名、ヒューレットパッカード社製)を用いて、定量分析評価した。また、定量分析では、ブランクガスの測定も行い、各時間におけるガス吸着除去率(%)を下記式により、算出した。
【0063】
ガス吸着除去率(%)=[(ブランクガス濃度(ppm))−(各ガス濃度(ppm))/(ブランクガス濃度(ppm))]×100
また、粉体1g当たりの各ガス吸着量(mg)を算出し、単位質量吸着量(mg/g)とした。
【0064】
試験結果を、表4に示す。
【0065】
【表4】
Figure 0004662613
【0066】
表4より、本発明の多孔質粉体は、珪藻土に比して、優れたVOCガスの吸着除去性能を示すことが判る。また、塩酸処理品と硝酸処理品の比較では、塩酸処理品が若干優れている。
【0067】
また、吸着試験後のサンプルを35℃の乾燥器に24時間入れ、吸着後の脱着状況を調べたところ、上記多孔質粉体及び珪藻土は、共に、吸着後の加熱処理によるガスの再放出は確認されなかった。
【0068】
実施例15及び比較例5
次に、実施例15として、下水汚泥焼却灰50gを100mlビーカーに入れ、これに2.25Nの塩酸水溶液を50ml添加し、練りさじで約1分混練後、20℃の恒温室に2時間、浸漬状態で静置した。これに、中和剤の水酸化カルシウム粉末(特級試薬)を浸漬物のpHが8〜8.5になるように添加後、110℃の乾燥器に18時間保持し乾燥し、解砕して得た多孔質粉体サンプルを使用して、悪臭ガスであるアセトアルデヒドガスの吸着試験を行った。同時に中和処理をしないこと以外は同様にして得た多孔質粉体サンプルについても同様に試験を行った。また、比較例5として市販品の珪藻土乾燥粉末(昭和化学工業社製)の試験も併せて行った。
【0069】
アセトアルデヒドガスの吸着試験は、20mlのバイアル瓶に、0.05、0.1、0.5又は1.0gの試料を投入後密閉し、その後ガスタイトシリンジを用いて10ppmに調整したアセトアルデヒドガスを置換封入した。その後20℃の恒温室に静置し、90分後にバイアル瓶内のガスを採取し、これをガスクロマト−質量分析計(「HP5973MSD」、商品名、ヒューレットパッカード社製)を用いて、定量分析評価した。また、定量分析では、ブランクガスの測定も行い、各時間におけるガス吸着除去率(%)を前記式により、算出した。
【0070】
試験結果を、表5に示す。
【0071】
【表5】
Figure 0004662613
【0072】
表5より、中和処理品のアセトアルデヒドガス吸着除去率が最も優れ、珪藻土に比して、約2〜4倍の吸着性能を示すことが判る。また、未中和品についても、珪藻土に比して、優れた吸着性能を示すことが判った。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、汚泥焼却灰に塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加後、乾燥処理するといった簡易な処理により、処理物を多孔質化でき、吸放湿材料や悪臭吸着材料等として使用可能な多孔質粉体を得ることができる。特に、廃棄物として大量に排出される下水汚泥焼却灰に、多孔質化という付加価値を付けることにより非常に安い製造コストで、建築材料等の幅広い材料に適用が可能となり、該汚泥焼却灰のリサイクルが更に促進される。
【0074】
従って、本発明は、汚泥焼却灰の再資源化処理量の更なる増加に大きく寄与し、又優れた吸放湿機能、脱臭機能の両者を兼ね備えた安価な材料を提供するものである。

Claims (6)

  1. 汚泥焼却灰に塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加後、アルカリ溶液中で加熱攪拌させることなく、乾燥してなる処理物であって、そのBET比表面積が7m2/g以上である多孔質粉体を有効成分とする吸放湿材料
  2. 汚泥焼却灰に塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加後、アルカリ溶液中で加熱攪拌させることなく、乾燥してなる処理物であって、そのBET比表面積が7m 2 /g以上である多孔質粉体を有効成分とするトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドガス用脱臭剤
  3. 前記多孔質粉体が、汚泥焼却灰が下水汚泥焼却灰であり、塩酸水溶液又は硝酸水溶液の添加量が100%塩酸又は硝酸に換算して4.0〜25重量%であり、BET比表面積が、10〜70m2/gである請求項1又は2に記載の吸放湿材料又は脱臭剤
  4. 汚泥焼却灰に、塩酸水溶液又は硝酸水溶液を添加し、次いで乾燥するか又は水洗後乾燥することにより前記多孔質粉体を製造する、請求項1又は2に記載の吸放湿材料又は脱臭剤の製造方法。
  5. 塩酸水溶液又は硝酸水溶液の添加後、中和剤により中和処理することにより前記多孔質粉体を製造する、請求項に記載の吸放湿材料又は脱臭剤の製造方法。
  6. 中和剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム又は消石灰である請求項に記載の吸放湿材料又は脱臭剤の製造方法。
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