JP4013053B2 - 多孔質粒状成形体の製造方法、多孔質粒状成形体及びその用途 - Google Patents
多孔質粒状成形体の製造方法、多孔質粒状成形体及びその用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調湿性及び悪臭ガス吸着性に優れた多孔質粒状成形体の製造方法、それにより得られる多孔質粒状成形体及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、下水道の普及に伴い下水処理量は年々増加しており、それとともに発生する汚泥量も着実に増加してきている。一方、下水汚泥は、減量化(減容化)の為に、焼却又は溶融処理が行われてきている。特に焼却処理については大幅にのびており焼却灰の発生量も増加している。こうした中、発生した汚泥やこれを焼却した焼却灰のほとんどは最終処分場に投棄処分されており、処分地の制約が大きい大都市のみならず、新たに下水処埋を開始した中小都市においても莫大な処理費用が大きな課題になっている。
【0003】
そのため、汚泥焼却灰の再資源化を図るべく、例えば、焼却灰を加圧成形後焼成してレンガにしたり、焼却灰を加圧造粒して人造骨材にしたり、焼却灰を溶融し得られたスラグを路盤材に利用したり、下水汚泥焼却灰からリンを回収する技術(特許文献1参照)等が提案されている。しかし、その適用には限界があった。
【0004】
このような現状から、汚泥焼却灰の再資源化処理量を更に増加させるために、処理物に、更なる処理を施して付加価値を付与することが求められている。
【0005】
また、最近、生活環境の快適性に対する市民の関心の高まりから、快適な居住空間を実現するために住居の気密性が高くなってきているが、その結果、特に冬場の結露やカビ、ダニの発生によるアレルギーを引き起こす等の問題が生じている。従来は、吸放湿性即ち調湿性のある材料として、木質系建材を使用することによりこれらの問題が緩和されていたが、近年木材資源の高騰により非常にコスト高の材料となっている。
【0006】
これらの問題を解決すべく、調湿性にすぐれた建材の開発が進められている。例えば、無機質系建材では、珪藻土、ゾノトライト、トバモライト等を主成分とするものが開発されているが、より安価に製造でき、より調湿性の高いものが望まれている。また、建設廃材を利用して調湿性石膏硬化体を製造する技術(特許文献2参照)等も提案されているが、大量に利用でき、又効果の持続性、経済性等の点から、さらに高性能のものが求められている。
【0007】
また、快適性志向の高まりから、居住空間やホテル等における脱臭・消臭機能が求められてきており、例えばシックハウス症候群の原因として代表されるホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン等)といわれる揮発性有機化合物等やアンモニアガス、アセトアルデヒドガス等の悪臭ガスによる室内の空気汚染が大きな問題となっている。
【0008】
ガスや水分の吸着剤としては、珪藻土、和紙、活性炭等が挙げられ各種産業で利用されている。特に、活性炭は、吸着可能なガスの種類も多いが、アンモニアについてはその吸着能力が劣っており、しかも非常に高価な材料である。また、珪藻土は、活性炭よりは安価な材料であるが一般的な素材としては高価なものである。
【0009】
この様な状況の中で現在、調湿機能、脱臭機能の両者を兼ね備えた更に安価な材料が求められている。
【0010】
本出願人は、上記状況に鑑み、先に、汚泥焼却灰を有効に再資源化できる多孔質粉体として、汚泥焼却灰に、酸水溶液を添加後、乾燥してなる処理物であって、そのBET比表面積が少なくとも6.5m2/g以上である多孔質粉体、その製造方法及びその用途を、開発した(特許文献3及び特許文献4参照)。
【0011】
上記多孔質粉体は、容易に製造でき、しかも吸放湿材料(即ち調湿材料)や脱臭剤として好適に使用できるが、粒状化して使用することが便利な場合もある。粉体の粒状化即ち造粒をする場合には、通常、粉体に水とバインダーを加えて混練後、押出成形等により成形し、再乾燥するという煩雑な工程を必要とする。また、バインダーが多孔質粉体を被うため、ガス吸着性や調湿性が低下する場合があった。従って、汚泥焼却灰の酸処理物を、簡便に且つガス吸着性や調湿性を低下させないように、粒状化するという課題が残されていた。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−77506号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平10−245250号公報
【0014】
【特許文献3】
特開2000−263012号公報
【0015】
【特許文献4】
特開2002−79081号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、汚泥焼却灰の再資源化の更なる進展を図るべく、該焼却灰の酸処理物を粒状化して、調湿材料や悪臭吸着剤等に適用することのできる多孔質粒状成形体の製造方法、それにより得られる多孔質粒状成形体及びその用途を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成すべく鋭意研究した結果、汚泥焼却灰と酸水溶液とを接触させた後、成形し、乾燥処理することにより、該焼却灰の酸処理物を、外部からバインダーを加えることなく、好適に粒状化できること、得られる多孔質粒状成形体は、外部からのバインダーによるガス吸着性や調湿性の低下を招くことなく、該酸処理物をそのまま乾燥して得られる多孔質粉体と同様の調湿作用及び脱臭作用を有しており、調湿材料や脱臭剤として好適に使用できること等を見出した。本発明は、かかる新たな諸知見に基づいて、完成に至ったものである。
【0018】
即ち、本発明は、以下の多孔質粒状成形体の製造方法、それにより得られる多孔質粒状成形体及びその用途に係るものである。
【0019】
1.汚泥焼却灰と酸水溶液とを接触させて得た酸処理物を成形し、次いで乾燥することを特徴とする多孔質粒状成形体の製造方法。
【0020】
2.汚泥焼却灰が、下水汚泥焼却灰である上記項1に記載の多孔質粒状成形体の製造方法。
【0021】
3.酸水溶液が、硫酸水溶液、塩酸水溶液又は硝酸水溶液である上記項1に記載の多孔質粒状成形体の製造方法。
【0022】
4.汚泥焼却灰と酸水溶液とを接触後、中和剤により中和処理をする上記項1に記載の多孔質粒状成形体の製造方法。
【0023】
5.中和剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム又は消石灰である上記項4に記載の多孔質粒状成形体の製造方法。
【0024】
6.成形が、押出成形である上記項1に記載の多孔質粒状成形体の製造方法。
【0025】
7.上記項1に記載の製造方法により得られる多孔質粒状成形体。
【0026】
8.粒状成形体の粒径が、3〜90mmの範囲である上記項7に記載の多孔質粒状成形体。
【0027】
9.上記項7に記載の多孔質粒状成形体を有効成分とする調湿材料。
【0028】
10.上記項7に記載の多孔質粒状成形体を有効成分とする脱臭剤。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の多孔質粒状成形体は、下水汚泥焼却灰等の汚泥焼却灰と酸水溶液とを接触させて得られる酸処理物を、成形して粒状化し、次いで乾燥することにより、容易に得ることができる。
【0030】
得られる粒状成形体は、上記酸処理物を、成形することなくそのまま乾燥して得られる多孔質粉体と同様に、多孔質の粒状体であり、この粒状体は、通常、そのBET比表面積が6.5m2/g以上のものである。
【0031】
即ち、本発明の多孔質粒状成形体は、シリカ、燐酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄等を主成分とする汚泥焼却灰に、酸水溶液を添加、接触せしめることにより、汚泥焼却灰に含有される酸可溶性成分が溶解分離され、多孔質化されたものを、成形したものである。
【0032】
上記酸処理によって溶解したシリカ成分は、その一部から活性珪酸ゲルと言われる非晶質珪酸ゲルが生成され、又その表面には親水性のシラノール基が生じていると考えられ、これらにより調湿性(吸放湿性)や悪臭ガスの吸着除去効果が発揮されるものと推定される。また、このような酸処理物は、その乾燥前に成形することにより、非晶質珪酸ゲルを含む酸可溶性成分がバインダーとして作用して、外部よりバインダーを何ら加えることなく汚泥焼却灰の酸処理物が好適に粒状化されるものと考えられる。
【0033】
また、上記酸処理を行うことによって、吸放湿作用及び悪臭吸着作用を発揮する主に10nm以下の細孔容積特に6nm以下の細孔容積が大幅に増加することによっても調湿効果や悪臭ガスの吸着除去効果が発揮されるものと推定される。ここで、細孔容積は、細孔径分布から求めることができる。
【0034】
本発明の多孔質粒状成形体である粒状体の製造に当たっては、先ず、汚泥焼却灰特に下水汚泥焼却灰に、酸水溶液を、添加して接触せしめる。
【0035】
本発明で使用する原料焼却灰としては、下水処理場で発生する汚泥を焼却したものの他に、し尿、家庭用雑排水、産業用排水処理等によって発生した汚泥の焼却灰も含まれる。これらは、一般に処理場で含水率60〜90重量%程度まで脱水処理されたものを焼却したものであり、本発明はこれらの焼却灰をいずれも使用できる。特に、下水処理場で発生する汚泥量は年々下水道の普及とともに増加しているところ、その再資源化に有用である。
【0036】
また、焼却灰には、高分子凝集剤を使用した汚泥を焼却したものと、石灰系凝集剤を使用した汚泥を焼却したものがあるが、減容化対策から最近では高分子凝集剤を使用したものが多い。本発明においては両者とも利用可能であるが、石灰系凝集剤を使用した場合は中和塩類(塩化カルシウム等)が多量に生成されるため、あまり好ましくない。焼却灰の形態は、酸添加により十分な溶解反応が行われ、最終的に均質な多孔質粒状体が得られれば良く特に制限はされない。また、ペレット状、板状、錠剤状等に成形されたものでも酸添加による接触処理は可能であり、使用できる。
【0037】
汚泥焼却灰に添加される酸水溶液としては、硫酸水溶液、塩酸水溶液、硝酸水溶液等の鉱酸を用いることが好ましい。硫酸水溶液、塩酸水溶液又は硝酸水溶液としては、市販品や、金属精錬工業等から発生する廃硫酸、廃塩酸、廃硝酸等の水溶液を使用することもできる。使用する酸水溶液の濃度としては、通常、0.1〜13規定程度とするのが適当である。
【0038】
また、汚泥焼却灰に添加される酸水溶液の添加量としては、100%の硫酸、塩酸、硝酸等に換算して0.5重量%以上、好ましくは4.0〜25重量%添加するのがよい。0.5重量%未満では、溶解反応が十分でないため、得られる多孔質粉体の調湿性能及び悪臭ガス吸着性能が劣る。また、25重量%を超えて添加すると、乾燥後に表面が固くなり多孔質化が阻害されて対象ガスの種類によっては吸着性能が低下する場合があり、又本発明の粒状成形体を解砕して粉体化して用いる場合には、乾燥後の硬度が大きいため解砕の手間が大きくなるので、好ましくない。この時の酸水溶液の添加量としては、焼却灰に対して酸水溶液20重量%程度以上、好ましくは30重量%程度以上であれば良く、又添加処理時の温度は10〜90℃程度が好ましい。
【0039】
汚泥焼却灰に、酸水溶液を添加して混合又は混練することにより、焼却灰表面が浸漬状態になり、焼却灰中に含有されている酸可溶性成分が溶解除去されて、酸処理物が多孔質化する。焼却灰の酸水溶液中の浸漬時間としては、通常、酸水溶液添加後、0.1時間〜10日程度、好ましくは、0.1時間〜1日程度とするのが適当である。
【0040】
酸水溶液を添加後のpHを2以下にすると、吸放湿性能は向上するものの、得られた粒状成形体を解砕して粉体とする場合の粉砕性が低下し、又成形に係る製造設備の耐酸性対策が必要となるが、これらの問題は、上記添加後中和処理を行うことにより、解消できる。従って、得られる粒状成形体を、そのまま使用する場合、特に、硬度5kg以上の粒状成形体を求める場合には、中和処理をしない方が良い。
【0041】
また、この中和処理により、得られる多孔質粒状成形体を弱アルカリ性にすることにより、カビの発生を長期間に渡って抑制することも可能になる。
【0042】
上記中和処理は、汚泥焼却灰に酸水溶液を添加し接触処理した後、中和剤を添加してpHを5.5〜9.0程度にすることにより行われる。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、消石灰、アンモニア、CaCO3を主成分とするライムストーン(石灰岩)、コーラルサンド等のアルカリ性薬剤を挙げることができる。好ましい中和剤は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、消石灰等である。
【0043】
中和処理は、例えば、薬注ポンプを用いて中和剤溶液を注入する方法、中和剤の粉体を投入する方法等の方法により、行うことができる。これらの方法の内、薬注ポンプを用いる場合には、被処理液のpH値をpH測定センサーで検出して、薬注ポンプによる薬注量又は薬注時間を制御する方法を採用することができる。
【0044】
次に、汚泥焼却灰に、酸水溶液を添加した混合物乃至混練物を、必要に応じて中和した後、成形する。成形方法は、特に限定されないが、押出成形、圧縮成形、転動成形、振動成形、混合成形、流動成形、解砕成形等の方法を採用でき、特に押出成形によることが、好適である。また、押出成形は、半乾式低水分造粒機(ディスクペレッター)、スクリュー型成形機、ペレットミル型成形機等の成形機を用いて行うのが、好ましい。特に、半乾式低水分造粒機が最適である。
【0045】
上記成形後は、適宜、乾燥処理することにより、目的の多孔質粒状成形体が得られる。乾燥処理は、通常、上記成形物をそのまま乾燥することにより、行われる。但し、必要ならば、粒状成形体を一旦水洗後濾過してから、乾燥することもできる。
【0046】
乾燥機としては、特に制限はないが、例えば、回転ドラム式乾燥機、パドル式乾燥機、流動層式乾燥機、気流乾燥機、遠心薄膜式乾燥機等が挙げられ、下水処理場で現状使用している乾燥機でも十分に対応可能である。また、乾燥温度は、90〜300℃が好ましい。
【0047】
乾燥後の含水率は、5重量%以下が好ましく、絶乾状態が特に優れた効果を示す。即ち、乾燥が不十分では細孔容積が減少すると共に水分の吸放湿性能(調湿性能)、悪臭ガスの吸着性能が低下する。
【0048】
ここで、含水率は、「下水試験方法(1997年度版)第4章第6節蒸発残留物及び含水率」に準拠して、試料を105〜110℃で2時間乾燥後の重量の乾燥前の重量に対する百分率で表される。
【0049】
上記乾燥処理により得られる多孔質粒状成形体の粒径は、通常、3〜90mm程度、特に3〜30mm程度の範囲である。
【0050】
本明細書において、「粒径」は、JIS Z 8801−1に規定されるふるいにかけ、粒状成形体が通過する最大のふるいのよび径を指すものとする。
【0051】
例えば、押出成形により製造された成形体において、成形時のダイスの孔径を3〜30mm程度、成形体の長さをダイスの孔径の2〜3倍程度としたものが、粒径3〜90mm程度となる。
【0052】
上記により得られた本発明の多孔質粒状体は、必要に応じて、解砕して粉体としてから、使用してもよい。
【0053】
本発明の粒状成形体は、多孔質であるため、吸湿性が高く又放湿性も良好であり、調湿材料として好適に利用することができる。また、本発明の多孔質粒状成形体は、細孔空隙への吸着等により、特に、アンモニア、アミン類等の塩基性悪臭ガス、硫化水素、メルカプタン類等の酸性悪臭ガス、アセトアルデヒド等の中性悪臭ガス、ホルムアルデヒド、VOCガス等についても吸着することが出来るため悪臭の除去も可能な材料である。
【0054】
従って、本発明の多孔質粒状成形体は、調湿材料、脱臭剤としては勿論、現在求められている調湿機能、脱臭機能の両者を兼ね備えた材料としても利用できる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。また、各例において、下水汚泥焼却灰としては、高分子凝集剤を添加後脱水した汚泥を、流動床型焼却炉にて焼却したものを使用した。
【0056】
実施例1〜5及び比較例1〜2
実施例1〜3として、攪拌容器に、下水汚泥焼却灰100重量部を入れ、これに4.5N塩酸水溶液50重量部を添加し、約3分間混練後、水酸化カルシウム粉末(特級試薬)を5重量%添加して中和した。この中和物を、半乾式低水分造粒機(「ディスクペレッターF−5」、商品名、不二パウダル社製)を用いて、押出成形して、粒状成形体を得た。粒状成形体の粒度は、円形のディスク・ダイ孔径(φ)及びカット長さで、φ3mm、カット長さ7mm(実施例1)、φ5mm、カット長さ10mm(実施例2)及びφ8mm、カット長さ16mm(実施例3)とした。得られた各粒状成形体を、100℃の気流乾燥器(棚式)に入れ、24時間保持し、乾燥して、多孔質粒状成形体を得た。
【0057】
また、実施例4〜5として、攪拌容器に、下水汚泥焼却灰100重量部を入れ、これに9.6N塩酸水溶液35重量部を添加し、約3分間混練後、これを半乾式低水分造粒機(「ディスクペレッターF−5」、商品名、不二パウダル社製)を用いて、押出成形して、粒状成形体を得た。粒状成形体の粒度は、円形のディスク・ダイ孔径(φ)及びカット長さで、φ3mm、カット長さ7mm(実施例4)及びφ8mm、カット長さ16mm(実施例5)とした。得られた各粒状成形体を、100℃の気流乾燥器(棚式)に入れ、24時間保持し、乾燥して、多孔質粒状成形体を得た。
【0058】
また、比較例1〜2として、攪拌容器に、下水汚泥焼却灰100重量部を入れ、これに4.5N塩酸水溶液50重量部を添加し、約3分間混練後、水酸化カルシウム粉末(特級試薬)を5重量%添加して中和した。この中和物を、110℃の気流乾燥器(棚式)に入れ、18時間保持し、乾燥し、ブレンダーで解砕して、多孔質粉体を得た。
【0059】
この多孔質粉体100重量部に、ポリビニルアルコール(PVA)5重量%水溶液を30重量部添加し、回分式ニーダーミキサー(「KDHJ−10」、商品名、不二パウダル社製)にて混練後、これを半乾式低水分造粒機(「ディスクペレッターF−5」、商品名、不二パウダル社製)を用いて、押出成形して、造粒物である粒状成形体を得た。粒状成形体の粒度は、円形のディスク・ダイ孔径(φ)及びカット長さで、φ5mm、カット長さ10mmとした(比較例1)。また、多孔質粉体90重量部に、ベントナイト(「クニゲルVII」、商品名、クニミネ社製)10重量部と水32重量部とを添加、混練後、同様にして、φ5mm、カット長さ10mmの粒状成形体を得た(比較例2)。得られた各粒状成形体を、100℃の気流乾燥器(棚式)に入れ、24時間保持し、乾燥して、多孔質粒状成形体を得た。
【0060】
上記で得た各粒状成形体の硬度を、デジタル硬度計(商品名「デジタルフォースゲージDPS−50」、(株)イマダ製)により、測定した結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示すように、汚泥焼却灰の酸処理物を押出成形して得られた実施例1〜5の多孔質粒状成形体は、該酸処理物を乾燥して得た多孔質粉体にバインダーとしてPVAやベントナイトを添加後押出成形して得た該粉体の造粒物である比較例1〜2の粒状成形体に比して、硬度が高いことが明らかである。また、実施例1〜5の比較から、酸の添加量を増加させることにより、硬度がより高くなることも明らかである。
【0063】
実施例6〜10及び比較例3
実施例1〜5で得た各多孔質粒状成形体について、吸放湿試験を行った。即ち、φ5cmのシャーレに入れた試料約3gを、相対湿度(RH)50%に設定した恒温恒湿槽(「LHL−113」、商品名、タバイエスペック社製)内に静置し、秤量値が一定になったところで、相対湿度90%に設定を変更し、水分吸着量がほぼ平衡に達する24時間吸湿後に秤量し、単位重量当たりの水分吸着量を求め、これを吸湿過程での吸湿量(g/kg)とした。
【0064】
次に、吸湿試験後の試料を上記槽内に入れた状態で相対湿度50%に設定を変更し、24時間放湿後に秤量し、単位重量当たりの水分吸着量(g/kg)を求め、これを吸湿過程での吸湿量より差し引き、放湿過程での放湿量(g/kg)とした。この放湿過程での放湿量を、実際の調湿性能の指標とすることができる。
【0065】
また、比較例3として、比較例1及び2の造粒前の多孔質粉体について、同様に、吸放湿試験を行った。
【0066】
上記吸放湿試験の結果を、表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
表2に示すように、本発明の多孔質粒状成形体は、造粒していない多孔質粉体に比して、ほぼ遜色のない吸放湿性能を示すことが判った。
【0069】
実施例11〜12及び比較例4
実施例1〜2で得た各多孔質粒状成形体及び比較例1で得た多孔質粉体の造粒物について、代表的な悪臭ガスであり、台所の生ゴミ、トイレ等で多く発生すると言われている、メチルメルカプタンガスの吸着試験を、以下のようにして行った。
【0070】
上記吸着試験は、20℃の恒温室において、各試料を20mlのガラス製バイアル瓶に0.1gずつ入れておき、これにメチルメルカプタン濃度20ppmに調整した標準ガスを充填し、その後、吸着直後、2分後、5分後のガス濃度を、ガスクロマトグラフ−質量分析計(「HP5973MSD」、商品名、ヒューレットパッカード社製)及びヘッドスペースサンプラー(「HP7694」、商品名、ヒューレットパッカード社製)を用いて、バイアル瓶中の残留ガスの定量分析を行った。また、定量分析では、ブランクガスの測定も行い、各時間におけるガス吸着除去率(%)を下記式により、算出した。
【0071】
ガス吸着除去率(%)=[(ブランクガス濃度(ppm)−残留ガス濃度(ppm))/ブランクガス濃度(ppm)]×100
試験結果を、表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
表3より、本発明の多孔質粒状成形体は、優れた悪臭ガスの吸着除去性能を示すことが判る。メチルメルカプタンガスは、悪臭防止法における特定悪臭物質であり、メチルメルカプタンガスの臭気強度5が0.2ppmに相当することから、今回の設定濃度はその約100倍であるにもかかわらず、本発明の多孔質粒状成形体は、例えば、5分後の吸着除去率は、比較例1のPVAをバインダーとして用いた多孔質粉末の造粒物に比して、約2倍という顕著な吸着除去性能を有することが判った。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の如き顕著な効果が奏される。
【0075】
(1)汚泥焼却灰に酸水溶液を添加後、成形し、乾燥処理するといった簡便な処理により、バインダーを使用することなく、該焼却灰の酸処理物を粒状化でき、調湿材料や悪臭吸着材料等として使用可能な多孔質粒状成形体を、容易に得ることができる。
【0076】
従って、一旦多孔質粉体を調製してから、造粒するという従来方法に比べて、バインダーが不要であること、乾燥処理が一度でよいため乾燥コストが低いこと、工程減、製造設備の簡素化によるコスト低減も図れること、必要ならば解砕して多孔質粉末として利用することもできること等の優れた効果が得られる。
【0077】
(2)従って、本発明は、特に、廃棄物として大量に排出される下水汚泥焼却灰等の汚泥焼却灰に、多孔質化という付加価値を付けることにより非常に安い製造コストで、建築材料等の幅広い材料に適用が可能となり、汚泥焼却灰のリサイクルを促進して、汚泥焼却灰の再資源化処理量の更なる増加に大きく寄与し、又優れた調湿機能、脱臭機能の両者を兼ね備えた安価な材料を提供するものである。
Claims (8)
- 汚泥焼却灰に、外部よりバインダーを加えることなく、硫酸水溶液、塩酸水溶液又は硝酸水溶液を、100%の硫酸、塩酸又は硝酸に換算して0.5〜25重量%となる量であって且つ添加量として20重量%以上の量添加して、接触させた後、中和剤により中和処理をして得た処理物を成形し、次いで乾燥することを特徴とする多孔質粒状成形体の製造方法。
- 汚泥焼却灰が、下水汚泥焼却灰である請求項1に記載の多孔質粒状成形体の製造方法。
- 中和剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム又は消石灰である請求項1に記載の多孔質粒状成形体の製造方法。
- 成形が、押出成形である請求項1に記載の多孔質粒状成形体の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法により得られる多孔質粒状成形体。
- 粒状成形体の粒径が、3〜90mmの範囲である請求項5に記載の多孔質粒状成形体。
- 請求項5に記載の多孔質粒状成形体を有効成分とする調湿材料。
- 請求項5に記載の多孔質粒状成形体を有効成分とする脱臭剤。
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JP2002302632A JP4013053B2 (ja) | 2002-10-17 | 2002-10-17 | 多孔質粒状成形体の製造方法、多孔質粒状成形体及びその用途 |
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Publications (2)
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