JP5118864B2 - 調湿及びガス吸着材料及びその製造方法 - Google Patents
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天然の稚内層珪質頁岩に由来する調湿機能に加え、トルエンに対する吸着後の脱離が抑制されたガス吸着性能を併せ持つ調湿及びガス吸着材料であって、上記アルカリ性化合物が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩及び珪酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、該アルカリ性化合物で処理された珪質頁岩は、窒素吸着法で測定した細孔径分布において、細孔直径が3.0nm以下の領域に上記天然の稚内層珪質頁岩にはないピークを出現して2つの領域にピークを有し、この出現したピーク以外のもう一つのピークが、(1)細孔直径が10〜13nmの範囲の領域にあり、かつ、平均細孔直径が11〜14nmの範囲にあるか、(2)細孔直径が4.5〜6nmの範囲の領域にあり、かつ、平均細孔直径が4.5〜5.5nmの範囲にあることを特徴とする調湿及びガス吸着材料である。
本発明の第1の調湿及びガス吸着材料は、窒素吸着法で測定した細孔径分布において、細孔直径が10〜13nmの範囲と3.0nm以下に2つのピークを有し、かつ、平均細孔直径が11〜14nmの範囲にある珪質頁岩を含んでなることを特徴とする。上記構成を有する本発明の第1の調湿及びガス吸着材料は、珪質頁岩が本来有する調湿機能を維持した状態で、トルエンに代表される疎水性ガスであるVOCガス吸着性能が向上しており、しかも、その吸着性能は、該ガス吸着性能と競争的に起こる水分吸着の影響を受けにくい、という効果が得られる細孔構造を有するものとなる。すなわち、本発明の第1の調湿及びガス吸着材料を構成する珪質頁岩では、図1及び2に示したように、細孔直径が10〜13nmの範囲にピークを形成する細孔径分布を有するため、珪質頁岩が本来有する高い吸放湿が維持されたものと考えられる。その一方で、本発明の第1の調湿及びガス吸着材料を構成する珪質頁岩は、本来の珪質頁岩では現れることのなかったピークが細孔直径3.0nm以下の範囲にある細孔径分布を持つ。そして、上記のような極めて微細な孔が新たに形成された細孔径分布を有する珪質頁岩を用いてトルエンの吸着試験を行うと、トルエンの吸着量が明らかに増大することを確認した。さらに、吸着したトルエンの脱離試験を行ったところ、アルカリ処理をしない原石の珪質頁岩に比較してトルエンの吸着量が多い一方、脱離するトルエン量は少ないことがわかった。本発明者らは、上記のことから、本発明の第1の調湿及びガス吸着材料を構成する珪質頁岩の表面は、図3に模式的に示したように、珪質頁岩が本来有する細孔の径を維持した状態で、さらに極微細な孔が形成された状態となっているものと推測している。そして、珪質頁岩に新たに形成された、この極微細な孔によって、珪質頁岩が本来有している細孔の場合のように水分吸着の影響を受けることなく、トルエンのような疎水性ガスを安定的に吸着できたものと考えている。
本発明の第2の調湿及びガス吸着材料は、窒素吸着法で測定した細孔径分布において、細孔直径が4.5〜6nmの範囲と3.0nm以下に2つのピークを有し、かつ、平均細孔直径が4.5〜5.5nmの範囲にある珪質頁岩を含んでなることを特徴とする(図4参照)。本発明の第2の調湿及びガス吸着材料は、珪質頁岩が本来有する極めて優れた調湿機能は低減するものの、一般的な珪藻土程度の調湿機能を十分に示し、トルエンのような疎水性ガスに対するガス吸着性能が格段に向上した細孔構造を有するものとなる。
本発明の第3の調湿及びガス吸着材料は、窒素吸着法で測定した細孔径分布において、細孔直径が8.5〜10nmの範囲にピークを有し、かつ、平均細孔直径が8.5〜9.5nmの範囲にあり、かつ、その細孔内の少なくとも一部に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩及び珪酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ性化合物が担持されている珪質頁岩を含んでなることを特徴とする。本発明の第3の調湿及びガス吸着材料は、珪質頁岩が本来有する極めて優れた調湿機能と、塩基性ガスに対する吸着力を有し、さらに、硫化水素やメルカプタンのような硫黄系の酸性ガスに対する吸着能力が向上したものとなる。本発明の第3の調湿及びガス吸着材料は、珪質頁岩が本来有する細孔構造が全く損なわれていないので、硫化水素やメルカプタンのような硫黄系の酸性ガスに対する吸着能力と同時に、従来と同様に、アンモニアガスのような水溶性のガスに対して高い吸着性能を示す。
本発明で使用する珪質頁岩は、結晶化による硬質化が進んだシリカ系の天然無機材料であり、各地で産出されるが、本発明で規定する細孔径分布を実現でき、細孔構造を損なうことなくアルカリ性化合物を担持できるものであれば、いずれのものも使用できる。珪質頁岩の中でも、稚内層珪質頁岩は、特に高い調湿機能と塩基性ガスに対する吸着機能を有するため、本発明に好適である。稚内層珪質頁岩は、同じ層でも圧力のかかり方などの影響があり、採取場所によっても、また、産地によっても異なるが、比表面積が80m2/g以上、具体的には例えば、120m2/g程度であり、細孔容積が0.3cm3/g程度、平均細孔直径が90Å(9nm)程度の、ナノ単位の極めて微細な孔を多数有するものであり、最大吸湿率が15質量%以上、より優れたものでは、25質量%程度の極めて高い水分吸収能力と、該水分を自立的に放湿する能力を示すものである。
本発明の調湿及びガス吸着材料は、その用途によっても異なるが、前述したようにしてアルカリ処理した珪質頁岩を粒状物のまま、または、該珪質頁岩を単独で造粒した造粒物として、各種の建材として、或いは、ガス吸着装置など充填するガス吸着剤として使用することができる。これに限らず、アルカリ処理した珪質頁岩にバインダーを加えて0.1〜30mm程度の造粒物としたり、珪質頁岩にバインダーを加えて成形後に焼成して焼成物として用いることもできる。
本発明で規定する珪質頁岩の窒素吸着法で測定した細孔径分布について説明する。本発明では、珪質頁岩の細孔径分布及び比表面積は、液体窒素温度(77K)下において、窒素ガスを吸着させるBET法(気相吸着法)により測定した。具体的には、高速・比表面積・細孔分布測定装置(商品名 NOVA2200e、ユアサアイオニクス製)を用いて測定した。窒素吸着法を適用した当該装置で直接測定されるのは、細孔に吸着される窒素ガスの容量であるが、細孔構造について種々の仮定を設けた上で、この測定値を用いて解析することで細孔径分布を求めている。例えば、本発明では、細孔は全て円筒形であると仮定している。また、細孔径分布を表現する方法は種々のものがあるが、本発明では、細孔径分布をヒストグラムで表している。具体的には、横軸上に、細孔直径を20Å(2nm)毎に区分し、その区間内における総細孔容量(ml/g)を算出し、これを縦軸にプロットして細孔径分布を表している。したがって、細孔径分布ヒストグラムに現れたピークは、その細孔直径領域に、同様の孔径を有する孔が多数存在していることを意味するものであり、細孔径分布ヒストグラムによれば、対象物の細孔構造が明確に表現される。本発明を説明するために用いた細孔径分布は、全て細孔径分布ヒストグラムで示したものである。なお、横軸は対数目盛りで細孔直径(Å)を示しており、縦軸は、20Å(2nm)毎の区分内における細孔容積(cm3/g)を棒グラフで示している。
本発明では、珪質頁岩の水蒸気吸脱着特性は、全自動水蒸気吸着量測定装置(Hydrosorb1000、ユアサアイオニクス製)を用いて測定した。具体的には、真空下、150℃にて絶乾した一定量の測定試料を導入し、測定系内の温度を25℃に保持し、水蒸気圧を変化させて平衡状態に達したときの導入水蒸気の体積変化から測定試料の吸着水量を求める方法(定容法)によって測定した。本発明で使用した水蒸気吸着量は、絶乾状態の試料の重量(mg)に対する吸着水量(g)の割合を示す。なお、本発明で言う「最大吸湿率」は、測定対象物を150℃のオーブンに入れ72時間保持した後に測定する対象物の絶乾質量と、その後、25℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽に入れ48時間保持した後に再度測定する対象物の質量との質量増加率により得られる値を示す。
<トルエン>
トルエンの吸着量の測定は、従来より行われている吸着破過試験によって行った。具体的には、測定対象の粉砕した珪質頁岩をガラス管内に充填し、この吸着材充填層に、一定温度、一定湿度、一定濃度、一定流量のトルエン含有の汚染ガスを含む流体を流し、トルエンの吸着量を求めた。この際、前記した通り、珪質頁岩に対するトルエンの吸着は、珪質頁岩が持つ細孔径分布によっては相対湿度に影響を受けることが明らかとなったので、通常の吸着破過試験装置に改良を加えて、一定の湿度下におけるトルエンの吸着量が測定できるようにした。
容積が1,000mlのテドラーバック中に測定対象の珪質頁岩を特定量入れ、テドラーバック内のメチルメルカプタンのガス濃度がほぼ特定の濃度となるように調整した。吸着率を算出するために、この状態でメチルメルカプタンのガス濃度を測定した。この状態で一定時間保持した後、メチルメルカプタンのガス濃度を測定して、ガス吸着率を求めた。メチルメルカプタンのガス濃度の測定は、該当する濃度のガス検知管(光明理化学工業(株)製)を用いて測定した。具体的には、濃度に適した検知管を手動ポンプにセットし、検知管内にテドラーバック内から採取したガスサンプルを吸引導入し、検知管内の薬剤が色変化した目盛を読み取ることで濃度を測定した。
容積が1,000mlのテドラーバック中に測定対象の珪質頁岩を特定量入れ、テドラーバック内の硫化水素のガス濃度がほぼ特定の濃度となるように調整した。吸着率を算出するために、この状態で硫化水素のガス濃度を測定した。この状態で一定時間保持した後、硫化水素のガス濃度を測定して、ガス吸着率を求めた。硫化水素のガス濃度の測定は、該当する濃度のガス検知管(光明理化学工業(株)製)を用いて測定した。具体的には、濃度に適した検知管を手動ポンプにセットし、該検知管内にテドラーバック内から採取したガスサンプルを吸引導入し、検知管内の薬剤が色変化した目盛を読み取ることで濃度を測定した。
<第1及び第2の調湿及びガス吸着材料>
先ず、アルカリ処理によって細孔径分布を変化させた珪質頁岩を主成分とする本発明の第1及び第2の調湿及びガス吸着材料について説明する。
ハンマークラッシャーにて粉砕した粒径1〜2mmの稚内層珪質頁岩を、100℃加熱条件下、4%の水酸化ナトリウム水溶液100ml中にて、静置または攪拌の状態で浸積させ、その浸積時間を30分から4時間と変化させたときの、珪質頁岩の細孔構造を検討した。図7に4%の水酸化ナトリウム水溶液中で4時間、100℃、静置で浸積したときの細孔径分布ヒストグラムを示す。細孔径分布ヒストグラムは、前記した方法で測定し、得られたものである。上記のアルカリ改質処理により、珪質頁岩のシリカ成分が溶出することで細孔が拡大し、平均細孔直径は100Åほど大きくなった。また、図8に、4%の水酸化ナトリウム水溶液の浸積時間(静置条件下)に対する珪質頁岩の比表面積と平均細孔直径の変化を示す。図中に、処理時間0として示した未処理の珪質頁岩の場合と比較すると、4%水酸化ナトリウム水溶液で改質処理を行ったときの珪質頁岩の比表面積は、処理時間の増加とともに減少し、平均細孔直径は増加した。
ハンマークラッシャーにて粉砕した粒径1〜2mmの稚内層珪質頁岩を、100℃加熱条件下、8%の水酸化ナトリウム水溶液100ml中にて、静置または攪拌の状態で2時間浸積させ、珪質頁岩の細孔構造を検討した。このときの細孔径分布ヒストグラムを図4に示した。細孔径分布は100Å(10nm)付近の細孔が消失し、50Å(5nm)以下の細孔の割合が増加した。特に、25Å(2.5nm)以下に、珪質頁岩原石の細孔径分布ヒストグラムでは見られなかった微細孔が出現して、30Å(3.0nm)以下の範囲にピークが現れた。図5に、上記した100℃加熱下における8%の水酸化ナトリウム水溶液の浸積時間(静置条件)に対する珪質頁岩の比表面積と平均細孔直径の変化を示した。珪質頁岩原石と比較すると、8%改質処理を行ったときの珪質頁岩の比表面積は、処理時間の増加とともに減少し、平均細孔直径は増加した。この珪質頁岩は、本発明の第2の調湿及びガス吸着材料を構成する珪質頁岩に該当するものである。
ハンマークラッシャーにて粉砕した粒径1〜2mmの稚内層珪質頁岩を、100℃加熱条件下、6%の水酸化ナトリウム水溶液100ml中にて、静置した状態で1時間浸積させ、珪質頁岩の細孔構造を検討した。このときの細孔径分布ヒストグラムを図1に示した。図1に示したように、上記の処理をした珪質頁岩の細孔径分布では、珪質頁岩のもつ100Å(10nm)付近の細孔が少し減少し、さらに、先に述べた8%水酸化ナトリウム処理の場合と同様に、50Å(5nm)以下の細孔の割合が増加した。図2に、6%の水酸化ナトリウム水溶液の浸積時間(静置条件下)に対する珪質頁岩の比表面積と平均細孔直径の変化を示した。珪質頁岩原石と比較すると、比表面積は処理時間に対してほとんど変化しなかったが、平均細孔直径は2時間で140Åまで拡大し、その後一定となった。この珪質頁岩は、本発明の第1の調湿及びガス吸着材料を構成する珪質頁岩に該当するものである。
図9に、4%、6%及び8%のそれぞれの濃度の水酸化ナトリウム水溶液で処理した珪質頁岩の水蒸気吸着等温線を、珪質頁岩原石の場合と比較して示した。水蒸気吸着等温線は、前記した珪質頁岩の水蒸気吸脱着特性を測定する方法によって得られた値を用いて描いた。この結果、図9に示されているように、水分の吸放湿に適した100Å(10nm)付近の細孔が著しく減少した、本発明の第2の調湿及びガス吸着材料を構成する珪質頁岩に該当する8%水酸化ナトリウム処理をした珪質頁岩の水分吸着性能は低い値を示した。したがって、本発明の第2の調湿及びガス吸着材料は、吸放湿機能の点では、他のものと比べて十分なものではなかった。しかし、本発明の第2の調湿及びガス吸着材料は、前記したように、トルエンの吸脱着機能の点では、原石に比べて格段に向上していることが確認された。したがって、例えば、トルエンのような疎水性ガスに対する吸着材などとして特に有用である。
[珪質頁岩のアルカリ性化合物による処理]
ハンマークラッシャーで粉砕した粒径が0.5〜1.5mmの稚内層珪質頁岩を100gの、液温が30℃(常温)の、2%珪酸ナトリウム(ソーダ水ガラス)水溶液500g中に、5時間浸漬させた。その後、30℃の条件下(常温)で7日間乾燥させて、珪質頁岩原石に珪酸ナトリウムを担持させた。上記で使用した珪質頁岩原石は、比表面積が149.0m2/g、平均細孔直径が94Å(9.4nm)、最大吸湿率は20%であった。珪酸ナトリウム水溶液中に浸漬する時間を変え、その後、それぞれ乾燥して得られた珪質頁岩について、比表面積、平均細孔直径及び最大吸湿率を測定したところ、図6に示したように殆ど変化しないことを確認した。また、細孔径分布も殆ど変化しないことを確認した(不図示)。
(メチルメルカプタンガスの吸着試験)
容積が1,000mlのテドラーバック中に測定対象の珪質頁岩をそれぞれ10g入れ、テドラーバック内のメチルメルカプタンのガス濃度を3.5ppm程度となるようにした。この状態で、初期におけるテドラーバック中のメチルメルカプタンのガス濃度を測定した。その後、この状態で4時間保持して吸着試験を行った。試験開始から1時間経過時と、4時間経過時に、メチルメルカプタンのガス濃度を測定した。メチルメルカプタンのガス濃度の測定は、前記したようにしてガス検知管を用いて測定した。得られた測定結果を表4に示した。また、初期(3.5ppm)と4時間経過時のメチルメルカプタンガスの濃度の差から、上記で処理した珪質頁岩におけるメチルメルカプタンガスの吸着率を算出し、これを以下の基準で評価した。測定値及び評価結果を表4に示した。
・評価基準
○:メチルメルカプタンガスの吸着率が、90%以上である。
△:メチルメルカプタンガスの吸着率が、45%以上90%未満である。
×:メチルメルカプタンガスの吸着率が、45%未満で原石と変わらない。
容積が1,000mlのテドラーバック中に測定対象の珪質頁岩を10g入れ、テドラーバック内の硫化水素のガス濃度を20ppm程度となるようにした。この状態で、初期におけるテドラーバック中の硫化水素のガス濃度を測定した。その後、この状態で1時間保持して吸着試験を行った。試験開始から30分経過時と、1時間経過時に、硫化水素のガス濃度をそれぞれ測定した。硫化水素のガス濃度の測定は、前記したようにしてガス検知管を用いて測定した。測定手段は、検知管を手動ポンプにセットし、検知管内に50mlのテドラーバッグ内試料ガスをポンプで検知管内へ吸引導入することで、検知管内の薬剤と該ガスが反応し、薬剤の色が変化する。濃度はその検知管表面に記されている目盛りより、簡単に見積もられる。また、初期(20ppm)と1時間経過時の硫化水素ガスの濃度の差から、上記で処理した珪質頁岩における硫化水素ガスの吸着率を算出し、これを以下の基準で評価した。測定値及び評価結果を表5に示した。
・評価基準
○:硫化水素ガスの吸着率が、90%以上である。
△:硫化水素ガスの吸着率が、40%を超えて90%未満である。
×:硫化水素ガスの吸着率が、40%以下である。
第3の調湿及びガス吸着材料を構成するアルカリ性化合物が担持されてなる珪質頁岩について調湿性試験を行った。前記で得た2%の水酸化ナトリウム水溶液で浸漬処理した珪質頁岩について、浸漬時間による細孔構造の違いについて確認する試験を行った。その結果を表6に示した。その結果、表6に示したように、珪質頁岩を水酸化ナトリウム水溶液で一定時間処理したとしても、比表面積、平均細孔直径及び細孔容量の変化は抑えられていることが確認された。このことは、珪質頁岩自体が有する調湿性及び塩基性ガス吸着性については何ら損なわれないことを意味している。したがって、本発明の調湿及びガス吸着性材料は、珪質頁岩自体が有する調湿性及び塩基性ガス吸着性に加えて、硫化水素やメチルメルカプタンなどの酸性ガスに対する吸着機能が付与されたものとなる。
5%珪酸ナトリウムで浸漬処理する以外は前記したと同様にして珪質頁岩の原石をアルカリ処理した。その後、850℃の温度で1時間焼成して焼成物を得た。そして、得られた焼成物を用いて前記したと同様にメチルメルカプタンガスと硫化水素ガスのガス吸着試験を同様の方法で行った。この結果、いずれも、吸着率が90%以上であった。また、その最大吸湿量は、浸漬前の珪質頁岩の原石と同様に20%であり、高い吸湿性を維持していた。
Claims (5)
- 窒素吸着法で測定した細孔径分布において細孔直径70〜120Å(7〜12nm)に1つのピークを有するシャープな細孔径分布を持ち、その細孔容積が0.1〜0.4ml/gの範囲にあり、平均細孔直径が90Å(9nm)の微細な孔を多数有する、相対湿度90%で、1gあたり25%以上の水分吸収能力と、該水分を自立的に放湿できる吸放湿特性を持つ天然の稚内層珪質頁岩を、アルカリ性化合物による処理を施して細孔分布を変化させたものを主成分として含んでおり、
天然の稚内層珪質頁岩に由来する調湿機能に加え、トルエンに対する吸着後の脱離が抑制されたガス吸着性能を併せ持つ調湿及びガス吸着材料であって、上記アルカリ性化合物が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩及び珪酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、該アルカリ性化合物で処理された珪質頁岩は、窒素吸着法で測定した細孔径分布において、細孔直径が3.0nm以下の領域に上記天然の稚内層珪質頁岩にはないピークを出現して2つの領域にピークを有し、この出現したピーク以外のもう一つのピークが、(1)細孔直径が10〜13nmの範囲の領域にあり、かつ、平均細孔直径が11〜14nmの範囲にあるか、(2)細孔直径が4.5〜6nmの範囲の領域にあり、かつ、平均細孔直径が4.5〜5.5nmの範囲にあることを特徴とする調湿及びガス吸着材料。 - アルカリ性化合物による処理を施す珪質頁岩が、700〜1,000℃の範囲の焼成温度で焼成されている請求項1に記載の調湿及びガス吸着材料。
- 請求項1又は2に記載の調湿及びガス吸着材料の製造方法であって、窒素吸着法で測定した細孔径分布において細孔直径70〜120Å(7〜12nm)に1つのピークを有するシャープな細孔径分布を持ち、その細孔容積が0.1〜0.4ml/gの範囲にあり、平均細孔直径が90Å(9nm)の微細な孔を多数有する、相対湿度90%で、1gあたり25%以上の水分吸収能力と、該水分を自立的に放湿できる吸放湿特性を持つ天然の稚内層珪質頁岩の粉末を、アルカリ性化合物の1.3〜2.5モル/リットル濃度の水溶液で煮沸する工程を有し、該工程で珪質頁岩の細孔径分布を変化させて、窒素吸着法で測定した細孔径分布において、細孔直径が3.0nm以下の領域に、上記天然の稚内層珪質頁岩にはないピークを出現させて、2つの領域にピークを有し、出現したピーク以外のもう一つのピークが、(1)細孔直径が10〜13nmの範囲の領域にあり、かつ、平均細孔直径が11〜14nmの範囲にあるか、(2)細孔直径が4.5〜6nmの範囲の領域にあり、かつ、平均細孔直径が4.5〜5.5nmの範囲にある珪質頁岩とすることを特徴とする調湿及びガス吸着材料の製造方法。
- アルカリ性化合物が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである請求項3に記載の調湿及びガス吸着材料の製造方法。
- アルカリ性化合物による処理を施す珪質頁岩が、700〜1,000℃の範囲の焼成温度で焼成されている請求項3又は4に記載の調湿及びガス吸着材料の製造方法。
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