JP2006021982A - 多孔質材料の製造法 - Google Patents

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将明 河野
Soji Kodama
総治 児玉
Yasuo Mizota
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Abstract

【課題】10μm以下である酵母などの物質を捕捉できない珪藻土の欠点を改善するため、珪藻土にシリカを修飾させ、比表面積の向上と微細な細孔を有するシリカ修飾多孔質体の製造する方法を提供する。
【解決手段】珪藻土をアルカリ溶液に浸積し、珪藻土よりシリカを溶出させた混合溶液に室温で鉱酸を添加することで得るシリカ修飾多孔質材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、非晶質シリカを修飾された珪藻土材料の製造法に関するものである。得られるシリカ修飾多孔質材料は、ビールの安定化処理剤やろ過助剤、触媒や酵素などの各種機能性材料担体、吸着剤などに用いられる。
珪藻土は、ビール工場などの醸造分野において醸造液から酵母などを分離する醸造用のろ過助剤や触媒、吸着の各種機能性材料担体としてとして用いられてきた。例えば、ビール濾過という固液分離工程において、ろ過助剤はろ材の目詰まり防止、ろ液の清澄性の向上、ろ過抵抗の低減を目的として用いられる。
醸造用ろ過助剤の珪藻土は一般に物質の大きさが10〜100μm程度のろ過には有効であるが、10μm以下である酵母などのろ過は物質が通過し捕捉することができなかった。
そのためビールの製造過程では10μm以下の酵母やタンパク質を取り除くためにシリカゲルが使用され、次いで珪藻土などでろ過された後、瓶などに詰められて製品となる。
無機多孔質材料の一つであるシリカゲルは、一般に、気相噴霧法、ゾルゲル法や沈殿法等の各種方法で製造することができ、比較的簡便に製造できることから多くの研究がなされている。
その結果、無機多孔質材料を各種用途に適用した場合、その性能は無機多孔質材料を形成するのに用いた材料自体が有する細孔径や表面積などの特性が対象とする物質との親和性やろ過性能、吸着性能などの特性に大きく影響されることが明らかになってきた。
例えば、ろ過助剤としての無機多孔質材料は有機分離材料に比べて、耐熱性や化学的安定性であるため適用範囲が広がり分離精製、食品工業、化学工業、医療用機器等の分野で注目されるようになり各種無機多孔体が種々に検討されている。
しかしながら、醸造分野において酵母や粕を含んだ珪藻土濾過廃材は産業廃棄物として埋め立て処分されており、廃棄物処理の問題から廃棄量の低減化が求められている。
本発明は、ビールの安定化処理剤や触媒や酵素などの各種機能性材料担体や液体用分離材料、吸着剤などの用途に好適に用い得る高比表面積と均一な細孔を有し種々の細孔径分布を有するシリカ修飾多孔質材料の製造する方法を提供する。
本発明は、高比表面積で均一な細孔を有するシリカ修飾多孔質材料の研究を重ねた結果、珪素質の原料を用い、珪素質部分を溶解させ、鉱酸により珪素質原料表面にシリカを修飾させることで微細な細孔と高表面積を有するシリカ修飾多孔質材料が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明をするに至った。
即ち、本発明は、室温から100℃以下の温度において珪藻土をアルカリ溶液に浸積し、珪藻土よりシリカを溶解させ、混合溶液に室温で鉱酸を添加しpHを4〜12で調製することで珪藻土表面にシリカを修飾させることを特徴とする多孔質材料の製造法に関するものである。
本発明で用いる珪素質の原料は、珪藻土、ろう石、カオリナイト、パーライト、酸性白土などの鉱物でありシリカ成分が含まれていることが好ましい。
原料由来のシリカ源に限らず、ケイ素アルコキシド、水ガラス、ケイ酸塩化合物のようなケイ素源を利用しても良い。
シリカ原料の溶解に用いるアルカリ溶液は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液が安価であり、処理後、中和洗浄によって除去しやすいことが望ましい。
さらに、珪藻土と混合するアルカリ溶液の重量比は、溶液が珪藻土に吸収されるため1対5以上であることが望ましい。好ましくは1対10〜30でより好ましくは、1対10〜20である。1対5以下では混合溶液において十分な流動性が得られず、反応性は低下する。また、1対30以上では、後述の鉱酸の添加量が多くなりコストが高くなり無駄であり、また、廃液量が多くなることの問題がある。
さらに、アルカリ溶液により珪藻土の溶解量は、珪藻土の形状を保持するために50重量%以下が望ましい。
pHを調製するために用いる鉱酸は、アルカリ溶液中に撹拌しながら添加する。用いる鉱酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などの酸であり、工業的に一般に用いられているものであり、いずれの酸を用いても構わないが、価格、廃液量を考慮すると硫酸が好ましい。
鉱酸によりpH値を調製することで珪藻土表面に修飾させるシリカの比表面積を制御するため、pHは4〜12の範囲が好ましい。より好ましくは、pHは4〜7である。pHが4未満では鉱酸により生成したシリカの再熔解が起こり、所定の材料が得られない。また、pHが7より上では鉱酸によるシリカの生成量が少なく収率が低下する。
使用する反応容器は、ガラス容器ではそれからアルカリ成分の溶解、ステンレス容器では鉱酸による腐食の原因となるため、プラスチック製、テフロン製の容器が好ましい。
本発明の製造法は、珪藻土を溶解させること、鉱酸により珪藻土表面にシリカを修飾させることことに分けられる。まず、所定量の珪藻土とアルカリ溶液を反応容器内に投入し、室温〜100℃の温度で撹拌しながら珪藻土を溶解させ、その後、室温〜60℃の温度で鉱酸を加え珪藻土にシリカを修飾させる。その際、容器内の溶液の粘性が上昇するが撹拌することで改善される。所定のpHに調整後、30分以上静置し熟成させる。熟成後は固液分離しpHが中性になるまで水洗し乾燥させる。
焼成の温度としては、空気中で300〜800℃程度で行うことが好ましく、300℃以下では珪藻土に含まれる有機物のような不純物が分解しない。また、800℃を超える場合はシリカ粒子が結晶成長し表面積が低下する。
本発明により製造された多孔質材料は、液体用分離材料、触媒担体、酵素担持多孔体、吸着剤や充填材として化学的安定性や毒性が少ない無機多孔体であるため適用範囲が広がり分離精製、食品工業、化学工業、医療用機器等の分野で使用用途が広がる効果がある。
発明を実施するため最良の形態
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
シリカ修飾多孔質材料の性能は以下に示す方法により評価した。
(1)アルカリ溶液に対する珪藻土の溶解量
アルカリ浸積時間を変化させることで溶解した量は、浸積前重量と浸積後重量の差をシリカ溶解量として評価した。
シリカ溶解量(%)=100×{(浸積前重量−浸積後重量)/浸積前重量}
(2)BET比表面積測定
BET比表面積測定装置を用い、150℃で十分に加熱脱気した試料について、窒素ガスを吸着させる多点法により比表面積を求めた。
(3)細孔径分布測定
細孔径の測定にはガス吸着装置を用いて相対圧0.1〜0.9の範囲における窒素の吸着により測定した。
反応容器に珪藻土10gと1規定水酸化ナトリウム溶液200mlを入れ、60℃に加温して珪藻土と水酸化ナトリウム溶液を2時間接触させることで珪藻土からシリカ成分を溶解させ、次いで室温まで冷却し、3規定濃度の硫酸をpHが5になるまで撹拌しながら添加し、シリカを珪藻土表面に修飾させ24時間熟成させた。その後、ろ液のpHが7になるまで水洗し110℃で乾燥してシリカ修飾多孔質材料を得た。得られた多孔質材料の溶解量並びに特性を表1に、ガス吸着による細孔分布を図1に、さらに焼成温度による表面積の変化を図2に示す。
反応容器に珪藻土10gと1規定水酸化ナトリウム溶液200mlを入れ、60℃に加温して珪藻土と水酸化ナトリウム溶液を4時間接触させることで珪藻土からシリカ成分を溶解させ、その後、実施例1と同様の操作によってシリカ修飾多孔質材料を得た。得られたシリカ修飾多孔質材料の溶解量並びに特性を表1に、ガス吸着による細孔分布を図1に、さらに焼成温度による表面積の変化を図2に示す。
比較例3
反応容器に珪藻土10gと1規定水酸化ナトリウム溶液50mlを入れ、60℃に加温して珪藻土と水酸化ナトリウム溶液を4時間接触させることで珪藻土からシリカ成分を溶解させ、次いで室温まで冷却し、3規定濃度の硫酸を添加したところ溶液がゲル化したので操作を中断した。よって比較例として原料珪藻土の特性値を表1に実施例とともに示す。また、ガス吸着による細孔分布を図1に、さらに焼成温度による表面積の変化を図2に示す。
Figure 2006021982
本発明のシリカ修飾多孔質材料の製造法によれば、珪藻土からアルカリ溶液と接触させシリカを溶解させた後、鉱酸で珪藻土表面にシリカを修飾させるために、得られるシリカ修飾多孔質材料は珪藻土の細孔径とシリカ修飾による微細な細孔を有し、種々の表面積を有するシリカ修飾多孔質材料を容易に製造することができ、ビールの安定化処理剤やろ過助剤、触媒や酵素などの各種機能性材料担体、吸着剤などの各種目的に応じて優れた特性を発揮する多孔質材料の形成が可能となり広範な応用分野に適用できる。
珪藻土原料とシリカ修飾多孔質材料の焼成温度と比表面積の相関図 シリカ修飾多孔質材料と珪藻土原料のガス吸着法による細孔径分布図

Claims (5)

  1. 珪藻土とアルカリ溶液を混合し室温から110℃でアルカリ溶液に浸して珪藻土の形状を維持し、かつ、その表面を溶解させ、その珪藻土およびアルカリ溶液の混合液中に鉱酸を加えてpH=4〜12にすることで、珪藻土表面をシリカ修飾させるものであり、得られた多孔質材料は高比表面積と均一な細孔を有することを特徴とするシリカ修飾多孔質材料の製造法。
  2. 珪藻土より溶解させるシリカ量は珪藻土に対し0〜50重量%であり、かつ、溶解後も珪藻土の形状を維持していることを特徴とする請求項1記載の製造法。
  3. 珪藻土より溶解したシリカを鉱酸によりpHを4〜12に調製し珪藻土表面に非晶質シリカを修飾させることを特徴とする請求項1記載のシリカ修飾多孔質材料の製方法。
  4. 上記シリカ修飾多孔質材料の表面積が100〜250m/gであり、メソ細孔が1〜30nmであることを特徴とする請求項1記載のシリカ修飾多孔質材料の製造法。
  5. 上記乾燥後のシリカ修飾多孔質材料を300℃以上の温度で空気雰囲気中において焼成した請求項1記載の製造法。
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JP2008221125A (ja) * 2007-03-13 2008-09-25 Hokkaido Univ 調湿及びガス吸着材料及びその製造方法
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