JP5245155B2 - 酵素を内包した無機マイクロカプセル、その製造方法及び使用 - Google Patents

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本発明は、酵素を内包する無機マイクロカプセル、その製造方法およびその固定化酵素としての利用に関する。
酵素は穏和な条件下で高収率、高選択率で生成物を与える産業的にも有用な触媒材料である。しかしながら、生体物質でもあり、通常の環境中や反応環境中での安定性は高くない。また、産業用触媒として酵素を用いる場合は、反応原料や生成物からの有効な分離、回収は重要な課題である。さらに、様々な不純物を含有する混合原料を用いた場合は、不純物による触媒活性の失活という問題も重要となる。そのため、酵素を実用的に用いる場合の多くで、何らかの担体に酵素を固定化した「固定化酵素」が用いられて来ている(非特許文献1)。
固定化された酵素や固定化法に関しては、多くの研究成果が発表されている。酵素固定化の方法としては大きく3つに分類することができ、「担持結合型」、「架橋型」、および「包括型」に分けることができる。また、最も活発に試みられているのは「担持結合型」で、担体に対しての結合様式で分類し、物理的吸着法、イオン結合法、共有結合法、生化学的特異結合法がある。また「架橋型」とは、酵素を何らかの架橋剤で架橋してマトリックスを形成するものである。一方、「包括型」とは酵素を固体マトリックスの持つ内部空間に取り込むことにより固定化する方法である。この包括法においては固体マトリックスの素材で大別することができる。有機系の素材では、天然高分子や人工高分子、あるいはミセル、リポソーム等の不安定な有機物の集合体を用いるものが多い。人工の有機高分子に関しては、ポリスチレンをベースとし、架橋性官能基を側鎖に有する高分子に酵素を固定化したもの(特許文献1)、ポリスルホン中空多孔質膜中へ酵素を固定化したもの(特許文献2)、中空セルロース繊維の内腔表面へ固定化したもの(特許文献3)、人工ポリマーの中空体あるいは多孔体へ酵素を固定化したもの(特許文献4)、ゲル形成能を有するセルロース等の高分子体へ固定化したもの(特許文献5)、ポリビニルアルコール等の水溶性皮膜形成物質へ固定化したもの(特許文献6)、架橋化ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン・ブロックポリマーへ固定したもの(特許文献7)、ビニルエステル、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド等の中空粒子へ固定化したもの(特許文献8)等を挙げることができる。また、有機物と無機物複合素材では、シリコーン樹脂に酵素を担持させたもの(特許文献9)もある。
一方、無機系の素材に担持や固定化させる研究も多い。例えば、セラミック多孔質中空状の繊維中へ固定化したもの(特許文献10)、中空状多孔質ガラス繊維へ固定化したもの(特許文献11)、中空状のガラス繊維にアミノプロピルシラン基を導入しての酵素の固定化(特許文献12)等がある。シリカや関連するケイ酸塩への固定化やそれによる応用研究は特に盛んであり(非特許文献2)、シリカ微粒子へ酵素を担持してバイオアッセイへの利用する(特許文献13)、多孔性シリカモノリスへの固定化(特許文献14)、シリカ表面へ化学結合させた酵素固定(特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18)、ルチノイド酵素のシリカへの担持することにより反応を良好に進行させる(特許文献19)、多孔性無機材料をスプレー乾燥して得られたシリカのミクロスフェアーへの酵素担持(特許文献20)、ゾルゲル法による酵素類のシリカ等への固定化(特許文献21)等の研究がある。さらに、メソポーラスシリカ等の規則性細孔を持ったシリカ類の合成技術の発展を受けて、メソポーラスシリカ多孔体への担持・固定化(特許文献22)、FSM等のメソポーラスシリカに固定化された酵素・超安定化(特許文献23)、細孔径が60nm以上のマクロ孔への酵素の担持(特許文献24)等の技術がある。しかしながら、中空性のシリカやケイ酸塩材料への固定化の例は少なく、すでに中空構造が出来上
がったシラスバルーンやマイクロバルーンへの酵素の吸着による固定化(特許文献25)の例があるに止まっていた。最近になり、タンパク質や核酸をシリカ等の中空粒子中へ粒子合成時に同時に封入する技術が報告されたが(特許文献26)、内包されたタンパク質の具体的な応用例はない。合成段階で、酵素を中空粒子内へ封入できれば、粒子が壊れない限り、内包された酵素は外部への脱離することはなく、酵素の応用の可能性が飛躍的に向上すると期待されるにもかかわらず、未だ、そのような研究は十分になされていないのが現状であった。
特開2007-236317 特開平01-312993 特許第1228339号 特許第2794749号 特開平03-83583 特許2598674号 特開昭62-115295 特許第1425875号 特開2005-278489 特許第1748445号 特開昭61-141645 特開昭61-141645 特開2006-105803 特開2005-121551 特開平02-46282 特開平02-200183 特開平02-163097 特開昭61-254190 特表2003-522532 特開平01-264978 特開昭58-194748 特開2001-46100 特開2000-139459 特開平01-85089 特許第1107668号 特開2007-015990 D. E. De Vos, I. F. J. Vankelecom, P.A. Jacobs Eds. ChiralCatalyst Immobilization and Recycling, Vol 5. pp. 97, Wiley-VCH, Weinheim, 2000. 総説:R. A. Sheldon RA, ADVANCED SYNTHESIS & CATALYSIS, 349 (8-9): 1289, 2007; M.T. Reetz, ADVANCED MATERIALS 9 (12): 943 (1997)
本発明は、マイクロカプセル内に水に溶解又は分散可能な酵素を内包させる技術、およびそうして合成された酵素内包マイクロカプセルの応用技術を提供するものである。
上記のような観点から、触媒活性を持った酵素のマイクロカプセル内への直接内包化について検討した結果、無機マイクロカプセルの原料となる水溶性化合物と水に溶解ないし分散可能な酵素を含む内水相を用いてW/Oエマルジョンを形成させ、適切な沈殿剤を含んだ外水相を用いて無機マイクロカプセルを合成することにより、酵素を活性型で直接内包化することに成功した(図1)。また、その固体粉体を用いて、酵素が行う触媒反応を検討し、良好に酵素反応が進行することを見出し、本発明に至った。
本発明は、以下の酵素を内包した無機マイクロカプセル、その製造方法及び使用を提供するものである。
項1.
活性型の酵素を無機マイクロカプセルに内包してなり、無機マイクロカプセルがシリカおよびケイ酸塩からなる群から選ばれるいずれかにより構成されている、酵素内包型無機マイクロカプセル。
項2.
酵素が、古細菌から得られる耐熱性酵素群である、項1に記載の酵素内包型無機マイク
ロカプセル。
項3.
酵素の分子量が6万以上である、項1に記載の酵素内包型無機マイクロカプセル。
項4.
前記酵素が加水分解酵素である、項1に記載のマイクロカプセル。
項5.
無機マイクロカプセルが、シリカおよびケイ酸塩からなる群から選ばれるいずれかにより構成されている、項1に記載のマイクロカプセル。
項6.
マイクロカプセル固体の原料となる水溶性無機材料と酵素を含む内水相粒子を油相中に分散してなるW/Oエマルジョンに沈殿剤水溶液を作用させることを特徴とする、酵素を無機マイクロカプセルに内包してなる酵素内包型無機マイクロカプセルの製造方法。
項7.
項1〜5のいずれかに記載の酵素内包型無機マイクロカプセルの、基質を酵素反応させるための使用。
本特許の無機マイクロカプセルは、活性型酵素を長期間保存することができ、また、酵素を失活あるいは阻害させる等の酵素活性に悪影響を与える外部環境からの何らかの作用から、酵素を守ることができる。さらに、酵素反応中に共存する酵素やその活性に対し悪影響を与える化合物等から、マイクロカプセルへの内包化によって酵素を守ることができる。さらに、マイクロカプセルの殻中の細孔を通り抜けることができる基質のみを酵素反応により転化させることもできる。
酵素を含んだマイクロカプセルは、既存のマイクロカプセル合成を改良することで合成することができる。合成されるマイクロカプセルの無機素材は、多孔質のマイクロカプセル体が得られるものならば特に限定されないが、シリカ、ケイ酸塩等を挙げることができる。ケイ酸塩としては、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。
マイクロカプセルの合成は、以下のように行うことができる。
すなわち、マイクロカプセル固体の原料となる水溶性無機材料を溶かした水相に、酵素を溶解ないし分散させる(図1の内水相)。水に溶解しない酵素についても水に分散することができる。なお、酵素の分子量は、通常3000以上、好ましくは5000以上、より好ましくは1万以上、さらに好ましくは2万以上、特に6万以上である。酵素は、2量体又は多量体を形成するものが好ましい。酵素の分子量があまりに小さいと、マイクロカプセルが形成される前に酵素が拡散して内包できなくなる。
水溶性無機素材としては、ケイ酸ないしチタン酸の場合にはアルカリ金属塩が例示され
る。
沈殿剤としては、無機マイクロカプセルを構成する材料がシリカである場合には、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられる。
酵素は、マイクロカプセル固体の原料となる水溶性無機材料の水溶液のpHが中性〜アルカリ性であるので、特に限定されないが、中性ないしアルカリ性の水溶液中で比較的に安定に存在できるものが好ましい。例えばシリカ、ケイ酸塩などは3分前後で十分マイクロカプセルが形成されるため、この程度の時間安定に存在すればよいので、広範囲の酵素を活性型で内包することができる。酵素の添加量は、溶解ないし分散する範囲、および酵素としての活性が十分に発現できる範囲であれば特に限定されない。そして、この酵素を含有した水相を、エマルジョンを安定化させる非イオン系界面活性剤を含んだ油相に加え、乳化される。この際に用いる非イオン系界面活性剤は、乳化エマルジョンを安定できるものならば特に限定されないが、例えば、Tween80やSpan80などのようなTween類やSpan類をあげることができる。乳化の方法は特に限定されないが、ホモジェナイザー等を用い十分にエマルジョンを形成させればよい。この乳化液を、上述の外水相(図1における外水相)に加え、マイクロカプセルを得る。この外水相の成分としてはマイクロカプセルを与えるものならば特に限定されないが、シリカのマイクロカプセルの場合は、炭酸水素アンモニウムや炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムを用いることができる。ケイ酸塩のマイクロカプセルでは、塩となる金属を含むハロゲン化物等を用いることができる。例えば、ケイ酸カルシウムのマイクロカプセルの場合は、塩化カルシウムを用いることができる。
この際、外水相の種類によってマイクロカプセルの形状等が左右されるだけでなく、酵素が良好に内包されるかについても影響を受ける。例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムを用いた場合は、良好にシリカのマイクロカプセル内に酵素を内包できる。こうして得られたマイクロカプセルに酵素が直接内包される。マイクロカプセルの殻には、ナノメーターサイズの細孔が存在するが、酵素はそのような狭い細孔を通じて外部に放出されることはない。こうして得られた酵素内包マイクロカプセルは、電子顕微鏡(図3、5)により球状の粒子が形成されていることを確認でき、また酵素を内包していることは当該酵素が行う触媒反応への活性を持つこと等により確認することができる。
内包できる酵素の具体例としては、アミノ酸関連酵素、糖質加水分解酵素(グルコシダーゼ、エンドグルカネース)、脂質関連酵素、DNA関連酵素等、あるいは、プロテアーゼ
、リパーゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、グリコシダーゼなどの加水分解酵素、異性化酵素、酸化還元酵素、転移酵素、リアーゼ、リガーゼなどが挙げられる。酵素は、アルカリ条件下で無機マイクロカプセルの製造時に酵素活性を保持するために、耐熱性酵素であるのが好ましい。例えば、酵素は特に限定されないが、強アルカリ性の水溶液であるケイ酸のアルカリ金属塩を溶かした内水相中で数分程度比較的安定に存在できるものが好ましい。この酵素をこの水溶液中に混入させておかなくてはならない最低の時間は、水相と油相とのエマルジョンを形成させる時間であり、数分程度(例えば2〜3分)と見込まれる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1:内包シリカ・マイクロカプセルの合成−1
酵素は、Pyrococcusfuriosus 由来の耐熱性ベータグルコシダーゼ(BGL)をKengen,S.W., らの方法(Eur. J. Biochem. Vol. 213, pp305-312, (1993))で調製し、電気泳動的に
純度98%以上になるまで精製した。本酵素BGLは、高温下でセロビオースを加水分解し
てグルコースを生成する糖質加水分解酵素であり、木質系バイオマスからのバイオエタノール製造に必須の酵素である。
水ガラス3号(14.94g、ケイ素含有量72mmol)の水溶液に、精製酵素の水溶液(0.527mg/ml(Tris-HCl 緩衝液50 mM,pH8.0)) 7mlを加え、水溶液の全体積を18mlとした溶液(図1の内水相)を、溶液調製後すぐに、Tween85(0.75g:混合物のためモル数は不明)
をn−ヘキサンに溶かし全体積を36mlとした溶液(図1の油相)と混合し、ホモジュナイザーを用いて回転数約8000回転で乳化させる。この乳化処理を1分行ったのち、塩化ア
ンモニウム(20.21g、378mmol)を水に溶解させ全体積を126mlとした溶液(図1の外
水相)に加えた。約10分撹拌(回転数:約400回転)の後にろ別し、300mlの脱イオン水で3回洗浄処理し、80℃で12時間乾燥させて、酵素内包シリカ・マイクロカプセルを得た(約3.9g)。このサンプルをサンプル−1とする。サンプル−1の窒素の吸脱着等温線と
MP法によるミクロ孔分布を図2に示す。IUPACの分類によるI型等温線であり、シリカ中の細孔は2nm以下のミクロ孔で、ピーク細孔径は1.2nmであることがわかった。
また、この結果より算出したBET比表面積は、471m2/gであった。また、得られたマイ
クロカプセルの電子顕微鏡像を図3に載せる。酵素反応使用後のマイクロカプセルも合わせて載せるが、酵素反応に用いることによって、壊れていることは無いことが確認できた。
実施例2:内包シリカ・マイクロカプセルの合成−2
水ガラス3号(14.94g、ケイ素含有量72mmol)の水溶液に、実施例1と同じ酵素水溶
液を7ml加え、水溶液の全体積を18mlとした溶液(図1の内水相)を、溶液調製後すぐ
に、Tween85(0.75g:混合物のためモル数は不明)をn−ヘキサンに溶かし全体積を36
mlとした溶液(図1の油相)と混合し、ホモジュナイザーを用いて回転数約8000回転で乳化させる。この乳化処理を30秒行ったのち、塩化アンモニウム(20.21g、378mmol)を水に溶解させ全体積を126mlとした溶液(図1の外水相)に加えた。後の処理は、実
施例と同じ方法で行い、酵素内包シリカ・マイクロカプセルを得た(約3.8g)。このサ
ンプルをサンプル−2とする。サンプル−2の窒素の吸脱着等温線とMP法によるミクロ孔分布を図4に示す。IUPACの分類によるI型等温線であり、シリカ中の細孔は2nm以下のミクロ孔で、ピーク細孔径は1.1nmであることがわかった。また、この結果より
算出したBET比表面積は、469m2/gであった。また、得られたマイクロカプセルの電子
顕微鏡像を図5に載せる。酵素反応使用後のマイクロカプセルも合わせて載せるが、酵素反応に用いることによって、壊れていることは無いことが確認できた。
実施例3:加温下での内包シリカ・マイクロカプセルの合成−1
水ガラス3号(29.88g、ケイ素含有量144mmol)の水溶液に、精製酵素の水溶液(3.88mg/ml(Tris-HCl 緩衝液50 mM,pH8.0)) 2mlを加え、水溶液の全体積を36mlとした溶液
(図1の内水相)を、溶液調製後すぐに、Tween85(1.50g:混合物のためモル数は不明
)をn−ヘキサンに溶かし全体積を72mlとした溶液(図1の油相)と混合し、ホモジュナイザーを用いて回転数約8200回転で乳化させる。この乳化処理を60秒行った後、このエマルジョンを、ウォーターバスを用いて60℃に加温して塩化アンモニウム(40.42g
、756mmol)を水に溶解させ全体積を252mlとした溶液(図1の外水相)に加えた。約10分撹拌(回転数:約400回転)の後にろ別し、500mlの脱イオン水で3回洗浄処理し、80℃で12時間乾燥させて、酵素内包シリカ・マイクロカプセルを得た(約8.00g)。このサンプルをサンプル−3とする。サンプル−3の窒素の吸脱着等温線、およびBJH法によるメソ細孔分布を図6に示す。IUPACの分類によるI型とIV型等温線の中間の等温線であった。シリカ殻中に存在するメソ孔のピーク細孔径は3.28nmであり、算出されるBET比表面積は347m2/gであった。また、得られたマイクロカプセルの電子顕微鏡像を図7に
載せる。酵素反応使用後のマイクロカプセルも合わせて載せるが、酵素反応に用いること
によっても、ほとんど壊れていないことが確認できた。
実施例4:加温下での内包シリカ・マイクロカプセルの合成−2
精製酵素の水溶液(3.88mg/ml(Tris-HCl緩衝液50 mM,pH8.0))を6ml用いる以外は、実
施例3と同様の方法で、酵素内包シリカ・マイクロカプセルを得た(約7.86g)。このサンプルをサンプル−4とする。サンプル−4の窒素の吸脱着等温線、およびBJH法によるメソ細孔分布を図8に示す。IUPACの分類によるI型とIV型等温線の中間の等温線であった。シリカ殻中に存在するメソ孔のピーク細孔径は3.28nmであり、算出されるBET比表面積は364m2/gであった。また、得られたマイクロカプセルの電子顕微鏡像を図9
に載せる。酵素反応使用後のマイクロカプセルも合わせて載せるが、酵素反応に用いることによっても、ほとんど壊れていないことが確認できた。
実施例5:酵素内包シリカ・マイクロカプセル(実施例1および2)の酵素活性測定
得られた酵素内包シリカ・マイクロカプセル25mgを1mlの水に懸濁させ、5,000rpmで遠
心分離の後、水溶液部分を取り除く、この操作を4回繰り返し可溶性成分(可溶化酵素を含む)を完全に除去する。このシリカ・マイクロカプセル25mgに1%セロビオース(基質)を含む酢酸ナトリウム水溶液1mlを加え50℃で1時間加熱攪拌し、内包された本酵素によりセロビオースが加水分解されて生じるグルコースを、グルコース定量キット(グルコーステストワコー(和光純薬工業))で測定することで、酵素内包シリカ・マイクロカプセルの酵素活性とした。1時間反応後、サンプル−1およびサンプル−2から、それぞれ、0.008%および0.014%のグルコースが検出された。
本酵素水溶液の標準活性値から、シリカ・マイクロカプセル1g当たり、それぞれ0.0032 mgおよび0.0057 mgの酵素が内包されていることが分かった。
実施例6:酵素内包シリカ・マイクロカプセル(実施例3および4)の酵素活性測定
高温下(60℃)で酵素内包シリカ・マイクロカプセルを調製し、高温(80度)で乾燥させた場合(実施例3および4)、本酵素水溶液の標準活性値から、シリカ・マイクロカプセル、サンプル−3およびサンプル−4の1g当たり、それぞれ0.0010 mgおよび0.0041 mgの酵素が内包されていることが分かった。
また、本内包酵素の最適温度は85℃以上であったことから、耐熱性酵素であるという本酵素の重要な性質は失われていない、すなわち内包されることで本酵素の大きな機能的変化はなかったことが解った。
本特許で新しく調製され、見いだされた材料の応用は、種々想定されるが、例えば以下のような応用が考えられる。酵素はその高い触媒活性や微小濃度の物質への高いセンシング能により、今後、ますます工業や産業分野、あるいは環境分析やバイオ分析、バイオアッセイ等への応用が期待されている。今回の方法は、酵素の安定化に対し高い一般性を有するものであり、上記分野への応用の際に、長期安定性や不純物および酵素阻害剤の影響による活性低下の抑制等に有効であり、酵素産業の多くの分野で適応されると期待できる。特に、酵素をシリカ・マイクロカプセルに内包固定化し反応系から酵素を取り出すことで、貴重な酵素の簡便な回収が可能になる。さらに、酵素反応後期においては、生成物による酵素活性の阻害が頻繁に観察されるが、シリカ・マイクロカプセルで酵素を内包することで、生成物阻害剤を取り除くことも可能になり、酵素反応効率の向上も期待できる。また、中空粒子の破砕により内包された酵素が放出されることによるドラッグデリバリーシステムや、他のバイオテクノロジーへの応用展開も期待できる。
酵素を直接内包化した無機マイクロカプセルの合成法の概念図 サンプル−1の窒素の吸脱着等温線(左)とMP法によるミクロ細孔分布(右) サンプル−1の酵素反応使用前(左)と使用後(右)の電子顕微鏡像 サンプル−2の窒素の吸脱着等温線(左)とMP法によるミクロ細孔分布(右) サンプル−1の酵素反応使用前(左)と使用後(右)の電子顕微鏡像 サンプル−3の窒素の吸脱着等温線(左)とBJH法によるミクロ細孔分布(右) サンプル−3の酵素反応使用前(左)と使用後(右)の電子顕微鏡像 サンプル−4の窒素の吸脱着等温線(左)とBJH法によるミクロ細孔分布(右) サンプル−4の酵素反応使用前(左)と使用後(右)の電子顕微鏡像

Claims (4)

  1. 活性型のPyrococcus furisus由来のベータグルコシダーゼを無機マイクロカプセルに内包してなり、無機マイクロカプセルがシリカおよびケイ酸塩からなる群から選ばれるいずれかにより構成されている、酵素内包型無機マイクロカプセル。
  2. 無機マイクロカプセルが、シリカおよびケイ酸塩からなる群から選ばれるいずれかにより構成されている、請求項1に記載のマイクロカプセル。
  3. マイクロカプセル固体の原料となる水溶性無機材料とPyrococcus furisus由来のベータグルコシダーゼを含む内水相粒子を油相中に分散してなるW/Oエマルジョンに沈殿剤水溶液を作用させることを特徴とする、Pyrococcus furisus由来のベータグルコシダーゼを無機マイクロカプセルに内包してなる酵素内包型無機マイクロカプセルの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の酵素内包型無機マイクロカプセルの、基質を酵素反応させるための使用。
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