JP5567288B2 - 脱臭剤の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、家庭ゴミや排水処理工程で発生する汚泥等のゴミ類を焼却処理して得られた焼却灰を脱臭剤として利用する技術に関するものである。本発明は、特に、焼却灰が含有する各種金属を難溶性金属含有物質に変化させるとともに焼却灰に含有される金属含有物質の有する触媒能と吸着能を賦活させることにより悪臭ガス中に含まれる臭気成分の分解と吸着除去を行なうものである。本発明は、焼却灰を安全性と触媒活性、脱臭作用を増加させて焼却灰を脱臭剤として資源化する新規な方法に関する。
従来、各種の悪臭発生源を脱臭する技術は数多く知られている。悪臭の原因を究明するため、各種の確認テストを行ったところ、公知の脱臭用材はアンモニアやアミン類の脱臭には効果があるものの、メルカプタン類に対する脱臭性能が弱いため、臭気が残存することが判明している。悪臭は多種多様に存在し、これに対処する方法としては、他の香りを発散させ悪臭と混合させてマスキングしてしまう方法と、吸着剤により悪臭を吸着除去する方法、悪臭を熱等により分解させる方法等があり、原理的には吸着除去が簡便であり優れた脱臭効果を発揮する。
既知の脱臭方法としては、例えば、活性炭を用いる方法がある(特許文献1参照)。この方法は、脱臭効果は高いが処理剤としての活性炭は高価であるため、ランニングコストが高くなり好ましくない。また、継続して大量に用いるには入手先および量の確保が容易ではないことがある。さらに、使用後には活性炭は廃棄物となってしまうという問題がある。他の吸着剤としてのゼオライトや含水ケイ酸粘土鉱物は、天然に産出される鉱石の一種で、主成分はSiO2、Ai23、CaO、Na2O等からなり、結晶孔中の水分を加熱、減圧等により容易に放出し、その空になった結晶孔内に様々な分子を取り込み吸着する性能があり、脱臭効果を発揮する(特許文献2参照)。しかしながら、ゼオライトも活性炭の場合と同様、高価であるため、ランニングコストが高くなり好ましくない。また、含イオウ化合物による臭気を効率的に除去する有効に欠ける問題があり、使用後のゼオライトは廃棄物として処分しなければならない。
人間や動物の排泄物に対する脱臭用材としては、例えば、繊維素系物質又は繊維素系物質成形部材に硫酸第一鉄を含有させ該硫酸第一鉄を塩基性硫酸第二鉄に酸化させた第一脱臭用材と、塩基性物質を繊維素系物質に含有させた第二脱臭用材とから成る脱臭用材が提案されている(特許文献3参照)。この脱臭用材は、繊維素系物質に硫酸第一鉄を含浸させ、化学的脱臭を行うことにより悪臭を除去することを目的としたものであって、排泄物の脱臭にかなりの効果を挙げているが、排泄物や他の悪臭成分を嗅覚閾値(人間の臭気を感じる濃度値)以下の無臭状態にまで臭気を分解させることは困難であった。
また、排水処理工程等より発生する汚泥の焼却により得られる汚泥焼却灰を脱臭剤とする脱臭技術としては、例えば、排水処理工程等より発生する汚泥の焼却により得られた汚泥焼却灰を脱臭剤とし、特に含イオウ化合物を含む臭気ガスを脱臭する方法があり、汚泥を750℃以上で焼却して得られるSiO2、Al23、CaO、MgOを主成分とする汚泥焼却灰により脱臭する(特許文献4参照)また、他の焼却灰を利用した脱臭剤としては、汚泥焼却灰と酸水溶液とを接触させて得た酸処理物を成形し、次いで乾燥した多孔質粒状成形体を有効成分とする調湿材料又は脱臭剤(特許文献5参照)が提案されている。
特開平9−215735号公報 特開2008−154915号公報 特開平11−253540号公報 特開平11−128662号公報 特開2004−136189号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて家庭から排出されるゴミや、排水処理工程等より発生する汚泥等を焼却処理する際に発生する焼却灰が脱臭作用を有することに基づき、脱臭作用効果についてさらに研究を重ねることにより本発明を完成するに至った。
家庭ゴミや汚泥の焼却灰は、これまで一部をセメント原料として活用されている以外は、他の固体廃棄物と同様に埋め立て処分されていたが、本発明は、この処分に困っていた廃棄物を脱臭剤として利用することにより、廃棄物を有効に利用することとなり、しかも悪臭問題をも同時に解決する産業廃棄物の再利用化を可能としたものである。
本発明の目的は、微粉状に粉砕処理した焼却灰をチタンの酸化物と混合し、低酸素雰囲気または還元雰囲気において加熱することにより脱臭剤を簡便な方法により製造することである。また、本発明の目的は、各種臭気ガス、特に含イオウ化合物を含む臭気ガスを脱臭する脱臭剤を製造し提供することにより、多量の臭気ガスによる悪臭問題を解決することを可能とする新しい技術を提供することである。
また、本発明の目的は、長期的な視点に基づき、焼却により中間処理された焼却灰を再生利用できる資源の確保をするためのリサイクル技術の一つとして、実用化された脱臭剤を製造するものであり、焼却灰を資源化する新規な方法を提供しようとするものである。また、本発明の目的は、焼却により中間処理された焼却灰をさらに高温で熱分解させて、減容し、高温溶融し冷却してスラグ化する従来の技術に代替するものであり、焼成灰を300℃前後の低温度で熱処理して触媒作用および脱臭作用を発揮する脱臭剤を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
本発明は下記の焼成灰とチタンの酸化物から脱臭剤を製造する方法からなる。
(1)都市ゴミの焼却から発生する焼却灰を100から300メッシュの微粒子に粉砕処理し、その微粉状に粉砕処理した焼却灰をチタンの酸化物と混合し、酸素濃度6%以下である低酸素雰囲気または還元雰囲気において300〜900℃の雰囲気温度で加熱することを特徴とする脱臭剤の製造方法。
)チタンの酸化物が、酸化チタンおよびチタンの複合酸化物から選ばれた1種以上の化合物である上記()に記載の脱臭剤の製造方法。
)焼却灰に対し、チタンとして0.0001〜0.01重量%のチタンの酸化物を混合し接触させる上記(1)または(2)に記載の脱臭剤の製造方法。
また、本発明は、上記の方法により製造された脱臭剤およびその使用方法からなる。
)上記(1)、(2)または(3)に記載の方法により焼却灰から製造されたことを特徴とする脱臭剤。
)上記()に記載の脱臭剤を、悪臭発生物質に混合またはその表面に散布して悪臭を軽減することを特徴とする脱臭方法。
本発明は、人間及び動物の排泄物及び体臭の脱臭、生活排水及び集合排水や腐敗食品の脱臭、その他、微生物による分解腐敗臭に対し優れた脱臭効果を示す脱臭用材を製造し提供するものであり、特に、家庭ゴミや汚泥焼却灰を用いて脱臭することができる。本発明の脱臭剤により、大量の臭気ガスが継続して発生する場所においても完全な脱臭が可能となった。本発明は、地域住民の環境衛生の向上に寄与するものであり、従来の高価な吸着脱臭剤は不必要となり、廉価かつ大量入手と量の確保容易な焼却灰を原料とする脱臭剤に係るものであり、特に、含イオウ化合物を含む臭気ガスの脱臭効果にも優れている。また、原料である焼却灰は大量に入手することが容易であるため、原料の欠乏により脱臭剤の生産がストップする等による悪臭公害を発生させる危険がほぼ無くなった。また、本発明は、産業廃棄物として多量に排出され処理が困難となる汚泥焼却灰を積極的に利用するものでもあり、環境浄化、資源のリサイクル・有効利用に役立つという効果をも生み出すことができる。
本発明は、微粉状に粉砕処理した焼却灰をチタンの酸化物と混合し、低酸素雰囲気または還元雰囲気において加熱して、焼却灰の触媒能と吸着能を賦活することにより、焼却灰に優れた脱臭剤としての特性を付与するものである。
〔脱臭剤の脱臭作用〕
本発明で製造された脱臭剤は、各種の臭気ガス中の臭気物質を吸着除去できるが、特に含イオウ化合物に対して吸着除去の効果が高い。含イオウ化合物の具体例としては、硫化水素、二酸化イオウ(いわゆる亜硫酸ガス)、三酸化イオウ(無水硫酸)等のイオウ酸化物類、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、フェニルメルカプタン等のメルカプタン類、ジメチルスルフィド(硫化メチル)等のスルフィド類、ジメチルジスルフィド(二硫化メチル)等のジスルフィド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、チオフェン、テトラヒドロチオフェン等の複素環化合物類、アリルイソチオシアネート等のイソチオシアネート類等が挙げられる。
また、本発明により焼却灰から製造された脱臭剤は、含イオウ化合物以外の臭気物質も吸着除去出来る。臭気物質の具体例としては、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ピリジン等の含窒素化合物、プロピオン酸等の脂肪酸類が挙げられる。
これら含イオウ化合物やその他の臭気物質は、例えば、パルプ製造での蒸解工程より発生する臭気ガスとして、あるいは、各種家畜の飼育時の家畜糞尿臭として、継続して、大量に発生し悪臭の原因となり、環境問題の観点からも脱臭方法の確立が急務であった。本発明の脱臭剤はこうした環境問題の解消に適したものである。
本発明により製造された脱臭剤は、公知の脱臭剤から選ばれた1種以上と併用して脱臭効果を向上させることができる。併用可能な脱臭剤の具体例としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、酸性白土、活性白土、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化第二鉄、金、銀、白金等の貴金属類等が挙げられる。
[焼却灰]
本発明が原料とする焼却灰としては、都市ごみの一般焼却灰が典型的な例であるが、各種の金属化合物を含む焼却灰であれば利用することができ、焼却灰の他の例としては、活性汚泥、下水汚泥、消化汚泥等の汚泥類の焼却灰、産業廃棄物の焼却灰を挙げることができるが、有害なダイオキシン類を含有しない焼却灰であることが望ましい。焼却灰にはカドミウム、鉛、六価クロムのような有害物質が含有されている場合があり、しかも、有害物質の種類、含有量は常に変動しているが、本発明はそれらに対応した確実な処理方法であるとも言える。
焼却灰には、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、塩素、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、ホウ素等の元素のほかに未燃カーボンCが含まれており、金属や非金属の化合物から成る混合物である。表1に焼却灰の含有される金属の種類と含有量の季節変動を示す。焼却灰含有金属の中では、アルミニウム、ケイ素、塩素、カルシウム、鉄の含有量が大きな値を示している。
このように焼却灰の中には、典型元素が多く、遷移元素は少ない。遷移金属のチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛等は酸素との結合が強すぎて金属酸化物となってしまうため、反応(燃焼)系は酸素量を6%以下に減らした低酸素状態あるいは還元状態の空間で加熱処理することにより触媒が製造できる。遷移金属酸化物は酸化反応に活性を示すものと、脱水素反応に活性を示すものに分けられ、例えば、Fe23、Cr23は水素分子が存在していても金属状態に還元されないので脱水素に対して良い触媒となる。焼却灰中のCrはCrO3として水に溶け易い化合物の形態で存在するので、水素との反応によりCr(OH)3となり、またCr(OH)3の燃焼工程により、安定不溶化のCr23となる。一方、SiO2、Al23、MgO等の典型金属酸化物は反応分子と酸塩基相互作用をし、反応分子にプロトンを与えたり、反応分子からプロトンを引き抜いたりして分子を活性化する。本発明の脱臭剤は、主成分として、酸化鉄(Fe34)、チタンの酸化物(TiO等)、酸化カリウム(K2O)、アルミナ(Al23)、酸化カルシウム(CaO)、シリカ(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)等を含んでいる。
[焼却灰を微粉状に粉砕処理すること]
焼却灰は、反応器内での粒子の外表面積が大きいほど活性が大きくなるので粒径は小さいほどよい。焼却灰を脱臭剤として利用するには、焼却灰の金属成分を難溶性金属化合物に変えることが必要であり、また、触媒性能および吸着性能を高くするためには金属成分の比表面を広げるために焼却灰を微粉砕にしなければならない。また、焼却灰を微粉化することにより生成した金属化合物の表面積が大きくなり触媒活性が大となり、添加するチタンの酸化物との反応性、ならびに、焼却灰の重金属類を含む異種金属化合物の混合物間あるいは添加するチタンの酸化物との相互分解・反応が良好となる。本発明の脱臭剤の製造方法において、焼却灰の表面積を拡大する粉砕処理工程、好ましくは100〜300メッシュ、さらに好ましくは150〜200メッシュの微粒子に粉砕処理する粉砕処理工程を還元反応処理工程の前に設けることが好適である。
[チタンの酸化物]
原材料として、焼却灰にチタンの酸化物を添加する。
一般に、触媒には金属触媒、金属酸化物触媒等がある。金属元素の中の遷移金属である鉄、コバルト、ニッケル、銅および白金属であるルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金は水素分子を解離して、水素原子にして活性化を高める。普通、水素分子を解離するエネルギーは約450キロジュールのエネルギーがないと解離されないが水素原子はニッケル、ロジウム、白金等の表面上では、室温で容易に解離してニッケル、ロジウム、白金上に吸着する。この解離をさせる原動力は金属表面の水素原子に対する化学親和力である。解離した水素原子は反応性に富み、金属表面に近づいてくる炭化水素(エチレンやプロピレン等)に付加したり、炭素と酸素の化合物等有機化合物に付加して水素化生成物をつくる。また、白金属や鉄、コバルト、ニッケルは炭化水素のC−H結合をも解離して水素化分解も行う。このように触媒は金属分子を活性のある金属原子にして、化学反応を熱源にたよらず、促進する力をもっている。
本発明の触媒能と吸着能の賦活化された焼却灰からなる脱臭剤を製造する原材料としては焼却灰とチタンの酸化物を主要成分とするものである。チタンの酸化物としては、例えば、酸化チタン、チタン酸塩またはチタン複合酸化物としてチタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉄、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸アルミニウム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム等を含むチタン複合酸化物等を挙げることができる。また、チタン鉱石として知られている、イルメナイト、ゲイキ石、バイロファン石等の粉砕物を特別な処理を施すことなく用いることができる。
焼却灰には上記チタンの酸化物をチタンとして0.0001〜0.01重量%、好適には0.0005〜0.005重量%、さらに好適には0.001〜0.005重量%添加混合し加熱処理することにより、燃焼灰に含有される金属化合物間との反応が生起されて本発明の脱臭剤(触媒能と吸着能の賦活化された焼却灰)が製造される。
[焼却灰とチタンの酸化物を混合すること]
一般家庭廃棄物、下水汚泥、産業廃棄物等の焼却灰の再焼却に先だってチタンの酸化物を上記の範囲から選択した量を添加し、チタンの含有量を調整する。再焼成する時には、原料焼却灰に含まれるチタン(チタンの酸化物)量の確認が必要で、原料焼却灰に含まれるチタン(チタンの酸化物)量を勘案して添加するチタンの酸化物の量を決めて、再焼却時に粉体状のチタンの酸化物を添加して焼却する。そうすることにより、チタンの酸化物の触媒作用で、重金属類を含む異種金属化合物の混合物である焼却灰を300℃前後の低い温度で効率よく相互分解・反応させ、重金属類を難溶性金属化合物に変化させるとともに触媒能と吸着能を賦活化させて脱臭剤に再加工することができる。
[低酸素雰囲気または還元雰囲気において加熱すること]
通常、焼却灰は金属もしくは非金属元素の酸化物の混合体であり、場合によっては毒性物質の発生もあり得るため、酸化反応を極力小さくし、金属酸化物を金属状態に近づけると同時に共存する金属類間の反応を促進するために不活性ガス雰囲気下、低酸素雰囲気下または還元雰囲気下に加熱することが好適である。チタンの酸化物の存在下に低酸素雰囲気または還元雰囲気においては、焼却灰から触媒を製造する工程において、焼却灰中に含まれる有害物質の除去または無害化することができる。
通常、焼却灰からダイオキシン類を分解除去するには、ダイオキシン類の完全な分解を考慮して、処理温度は雰囲気温度900℃前後とすることが好適であるとされている。炉内温度800〜900℃で処理する加熱処理工程を設けて、焼却灰の含水率を短時間で低減(2%以下)する場合には、同時に排ガス中のダイオキシン類の熱分解を行ってもよい。しかし、この乾燥工程は必ずしも必要ではなく、ダイオキシン類の除去を次の還元加熱工程と同時に行なうほうが好ましい。
反応雰囲気の調整には通常不活性ガスが使用される、例えば、窒素(N2)ガスを循環使用する。不活性ガスとして窒素(N2)ガスを使用すると、窒素ガスの分子量は28であり、その熱的特性(熱容量、熱伝導度、伝熱係数等)は、分子量が29の空気とほとんど差がないので、両者の乾燥特性には変わりがない。加熱機から乾燥装置へ送りこまれるガスの温度、湿度は常に一定でないと安定した運転が保持できないので、加熱器へのリターンも温度条件が一定となるよう、ガスの熱交換を行う熱回収器をつけることが好適である。
本発明の脱臭剤(触媒能と吸着能の賦活化された焼却灰)を製造するには、焼却灰とチタンの酸化物を混合した後、低酸素雰囲気または還元雰囲気で加熱することにより行なうが、これは、雰囲気による酸化反応を極力小さくし、金属酸化物を金属状態に近づけると同時に共存する金属類間の反応を促進することを目的とする。本発明の触媒製造方法において、被処理焼却灰の表面積を拡大する粉砕処理工程、好ましくは100〜300メッシュの微粒子に粉砕処理する粉砕処理工程を還元反応処理工程の前に設けることが好適である。還元反応処理工程においては、好ましくは焼却灰温度約250℃〜600℃(炉内温度300〜900℃)に、時間20分〜40分維持することにより焼却灰中の金属類とチタンの酸化物との反応が進行する。焼却灰とチタンの酸化物を加熱処理した後に、安定化処理工程を設けることにより、生成した触媒の活性を賦活させ安定化することが好適である。この安定化反応処理工程においては、好ましくは処理温度200℃〜450℃に、時間40分〜60分維持することにより行なわれる。
以上説明した方法により製造された本発明の脱臭剤の成分、組成は明らかではないが、主成分としてはチタン複合金属や酸化鉄、アルミナ、カルシウム、シリカ、マグネシウム等を含有する難溶性の化合物からなるものと考えられる。本発明により製造された脱臭剤の金属類の溶出試験を行ったところ表2の結果を得た。カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、水銀およびセレン化合物の溶出はほとんど無いことが判明した。
焼却灰には種々の元素が含有されているが、本発明では原子、分子、結晶の面から化合物を解離し、触媒の活性力と元素の性質の相乗効果により再生資源とすることができる。本発明にとって得られた脱臭剤を利用するに当たっては、公知の脱臭装置あるいは脱臭方法を用いることができる。脱臭剤を適用するには、例えば、容器内に充填した汚泥焼却灰に臭気ガスを通気し脱臭する、悪臭発生物質に添加混合する、また、悪臭発生物質の表面に散布することを挙げることができる。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[脱臭剤の製造]
本実施例では、焼却灰サンプルとしてストーカ炉方式の焼却場および流動床炉方式の焼却場より採取したものを使用して脱臭剤を製造した。本発明の脱臭剤の製造装置は、焼却灰再資源化プラントシステムの還元反応設備、安定化反応設備、排煙処理設備等の設備からなる。
(1)受入・供給設備:受入れ:原灰受入ピット100m3、供給:灰クレーン13ton/h、受入れホッパー10m3、フィーダ15ton/h
(2)選別設備:粒度選別:振動篩(スクリーン網目50mm、粒度50mm以上除外、粒度50mm以下次工程へ)鉄分選別:磁選機〔鉄分除外(比較的粗大な鉄分)〕
(3)破砕処理:粒度100メッシュ以下に破砕
(4)還元反応設備:雰囲気温度約900℃、焼却灰温度約600℃、処理時間約40分、添加剤(チタンの複合酸化物)、酸素濃度約6%、加熱源(A重油)
主反応:有機塩素化合物の脱塩素化;灰中のダイオキシン類分解、有機塩素化合物の熱分解;炉内のダイオキシン類分解;重金属化合物とチタンの複合酸化との反応、触媒活性の付与
(5)破砕・粉砕設備:破砕設備:粒度10〜20mm以下、鉄分選別:鉄分除去(比較的微細な鉄分)、粉砕処理:粒度150メッシュ(95%)
(6)安定化反応設備:処理温度約200℃、処理時間約60分、酸素濃度約6% 加熱源(廃熱利用)
製造した脱臭剤中のダイオキシン類濃度を測定したところ、「毒性等量」は「0.000」であった。また、生成物の重金属溶出性の評価実験を行ったところ、重金属類の溶出はほとんど認められなかった。
[脱臭剤の製造]
焼却灰サンプルはストーカ炉方式の焼却場より採取したものを使用した。実施例1と同様にして本発明の脱臭剤を製造した。焼却灰化から脱臭剤を製造する再資源化プラントシステムは、乾燥処理設備、還元反応設備、安定化処理設備を有し、実施例1の設備に乾燥処理設備を付属させたものである。酸素量は3%に設定して、酸素媒体による反応を抑制した。還元的雰囲気内では、特に有害元素等は酸素よりも硫黄と反応しやすく、ケイ酸塩類は逆に硫黄よりも酸素と反応しやすい。
(1)ダイオキシン類分解処理 乾燥処理工程 処理 炉内温度800〜900℃ 効果 焼却灰の含水率低減(2%以下)
排ガス中のダイオキシン類の熱分解 粉砕処理工程 処理 乾燥焼却灰を粒度100メッシュ以下に粉砕 効果 焼却灰の表面積増大による反応速度向上及び安定化
(2)一次反応処理工程(還元処理工程)
処理: 添加剤(主成分:酸化チタン)を混入 炉内酸素濃度3% 、排煙処理設備:排ガス急冷装置+バグファイルタ、 効果: 焼却灰中のダイオキシン類の脱塩素化および熱分解
、重金属溶出防止
実施例1で製造した脱臭剤を用い、家畜糞尿臭の脱臭効果を試験した。養鶏場の鶏糞1kgに、本発明の脱臭剤を20g添加し撹拌して均一に混合した後、約10分間経過後の鶏糞の匂いを5人の被験者により測定した。脱臭前後における嗅覚臭気の変化を調べたところ5人の被験者は全て鶏糞のにおいは完全に消失したと判断した。比較例として、150メッシュに粉砕した焼却灰により鶏糞を同様に処理したところ、被験者全員が臭気は僅かに減少したと判断したに過ぎなかった。
実施例3と同様の脱臭剤を用意し、一般家庭用便所から抽出した臭気ガスを本発明の脱臭剤を充填したカラムを通した後に臭気をテストしたところ、臭気は完全に除去されていた。カラムに充填した脱臭剤は長期間に亘ってその性能を維持した。
本実施例では、悪臭ガスである台所の生ゴミから発生する臭気を軽減する試験を行なった。台所で発生した生ゴミを30Lのビニール袋にいっぱいに収納して1週間放置した後、ビニール袋の口から本発明の脱臭剤を200g振りかけて、20分経過した後の臭い嗅いだところ、悪臭は殆ど感じられなかった。
本発明は、焼却灰にチタンの酸化物類、例えば酸化チタン、チタンの複合酸化物を添加し加熱処理する簡単な反応により有用な脱臭剤を製造することを可能とするものである。特に、本発明では、入手が容易な酸化チタンなどと焼却灰との反応により簡便に脱臭剤を製造することが可能である。また、本発明は、排出されたごみを可能なかぎり資源化し、再利用を行った後、衛生的な状態で処理、処分することができる。本発明の脱臭剤は、被脱臭物を選ばず、さまざまな種類の悪臭に適用できる、また、極めて安価に製造することができるので、低廉なコストで病院環境をはじめとする環境改善することができる素材として有用である。また、本発明により、低酸素雰囲気または還元雰囲気において、加熱下にチタンの酸化物と接触反応させることで、300℃前後の低温度で焼却灰に含有される金属化合物類を難溶性金属化合物に変化させ、有機塩素化合物(ダイオキシン類など)を分解する脱塩素処理が実現された。

Claims (5)

  1. 都市ゴミの焼却から発生する焼却灰を100から300メッシュの微粒子に粉砕処理し、その微粉状に粉砕処理した焼却灰をチタンの酸化物と混合し、酸素濃度6%以下である低酸素雰囲気または還元雰囲気において300〜900℃の雰囲気温度で加熱することを特徴とする脱臭剤の製造方法。
  2. チタンの酸化物が、酸化チタンおよびチタンの複合酸化物から選ばれた1種以上の化合物である請求項に記載の脱臭剤の製造方法。
  3. 焼却灰に対し、チタンとして0.0001〜0.01重量%のチタンの酸化物を混合し接触させる請求項1または2に記載の脱臭剤の製造方法。
  4. 請求項1、2または3に記載の方法により焼却灰から製造されたことを特徴とする脱臭剤。
  5. 請求項に記載の脱臭剤を、悪臭発生物質に混合またはその表面に散布して悪臭を軽減することを特徴とする脱臭方法。
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