JP4662089B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車など始動時に高い電力を必要とする電動機械において、その電源に利用できる非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シート状の集電体と、該集電体上に一様な厚さで形成され、リチウムイオンを放出できる正極活物質より主としてなる正極活物質層とから構成されている正極と、該正極から放出された該リチウムイオンを吸蔵および放出できる負極活物質より構成されている負極と、該正極と該負極との間で該リチウムイオンを移動させる電解質とを備えるリチウム二次電池がある。
【0003】
このようなリチウム二次電池は3V以上の高い電圧を発生することができるため、種々の電源に利用されている。中でも、負極活物質にカーボン材料が用いられているとともに、カーボネート系の有機物を溶媒とする非水電解液が電解質に用いられている非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池とも呼ばれている)は、良好なサイクル特性と、高い安全性とを有するため、携帯電話やビデオカメラなどの携帯用電子機器の電源に多く用いられている。
【0004】
ところで、自動車などの動力機械では、その始動時や馬力を上げるときに高い動力エネルギーを必要とし、例えば、電気自動車は、その発進時や加速時に特に高い電力を必要とする。このように始動時や馬力を上げるときに高い電力を必要とする動力機械においては、数秒ないし10秒程度の時間だけでもその高い電力を供給できる電源が求められている。
【0005】
この要求に対して、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池が、良好なサイクル特性と、高い安全性とを有するとして、その電源に利用することが検討されている。
しかしながら、このような非水電解質二次電池では、電極における電池反応が活物質内部へのリチウムイオンの拡散を伴うために大きな電池反応速度を得ることが難しく、また、その電極間を移動するリチウムイオンの移動速度はそれほど大きくないなどの理由により、大きな電流を出力し続けることが難しい。
【0006】
従来の非水電解質二次電池では、以上のような理由により、高々10秒の時間と言えども、3V以上の電圧で高電流を出力させることが難しく、先の要求で求められている高い電力を容易に出力できなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、少なくとも10秒の間、3V以上の電圧で高電流を出力させることが容易にできる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
シート状の集電体と、該集電体上に形成され、リチウムイオンを放出できる正極活物質より主としてなる正極活物質層とから構成されている正極と、該正極から放出された該リチウムイオンを吸蔵および放出できる負極活物質より構成されている負極と、該正極と該負極との間で該リチウムイオンを移動させる非水電解質とを備える非水電解質二次電池においては、非水電解質に接している正極活物質層の表面で電池反応が最も高密度に起こっている。
【0009】
従って、正極活物質層の表面積を大きくすることにより、単位時間当たりの電池反応の反応量を増加させることができ、その結果として、電池が出力可能な電流の大きさを大きくすることができる。その表面積が小さすぎると、大きな電流を出力できなくなってしまう。
しかしながら、正極活物質層の表面積は無制限に大きくできる訳でなく、限られた電池容積で占めることのできる正極の体積は限られており、正極活物質層の表面積を大きくするにはその層の厚みを小さくしなければならない。このときに正極活物質層の表面積を必要以上に大きくすると、電池の構成における集電体、集電リード、セパレータの割合がそれぞれ増え、その結果、電極の活物質の割合が減少する。そのため、電池の重量が増加して電池のエネルギー密度が低下するだけでなく、高電流を流すことが難しくなってしまう。
【0010】
そこで、本発明者は、同一の正極活物質層の表面積において、高い電流を出力できる電極の構造について検討を行った。そして、放電容量の30%を充電した後に、放電を開始してから10秒後の該電圧が3Vとなるように定電流で放電させたときの放電率を最大放電率(Rmax;単位C)として、正極活物質層の電池容量1Ah当たりの最適な表面積を鋭意研究した。
【0011】
その結果、正極活物質層の電池容量1Ah当たりの表面積が20Rmax未満であると、正極活物質の量に対して導電材、結着剤およびリード材料の量の割合が大きくなって、正極活物質層の単位面積あたりの最大電流値が低下し、目的の最大電流値が得られなくなることがわかった。一方、正極活物質層の電池容量1Ah当たりの表面積が75Rmaxを超えると、電池の重量が大きくなってエネルギー密度が低下し、少なくとも10秒の間、3V以上の電圧で高電流を出力させることができなくなることがわかった。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0012】
すなわち、本発明の非水電解質二次電池は、シート状の集電体と、該集電体上に形成され、リチウムイオンを放出できる正極活物質より主としてなる正極活物質層とから構成されている正極と、該正極から放出された該リチウムイオンを吸蔵および放出できる負極活質より構成されている負極と、該正極と該負極との間で該リチウムイオンを移動させる非水電解質とを備え、該正極及び該負極の端子間に少なくとも3Vの電圧を生じさせることのできる非水電解質二次電池において、放電容量の30%を充電した後に、放電を開始してから10秒後の該電圧が3Vとなるように定電流で放電させたときの放電率を最大放電率(Rmax;単位C)とすると、前記正極活物質層の電池容量1Ah当たりの表面積が20Rmax〜75Rmax(単位cm /Ah)にあることを特徴とする。
【0013】
この本発明の非水電解質二次電池では、正極活物質層の電池容量1Ah当たりの表面積が、上述の不具合が生じない20Rmax〜75Rmaxに限定されているため、少なくとも10秒の間、3V以上の電圧で高電流を出力させることが容易にできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の非水電解質二次電池では、コイン型電池、ボタン型電池、円筒型電池及び角型電池等の公知の電池構造をとることができる。
正極には公知の正極活物質を用いることができる。リチウムと遷移金属との複合酸化物は、その電気抵抗が低く、リチウムイオンの拡散性能に優れ、高い充放電効率と良好な充放電サイクル特性とが得られるため、本正極活物質に好ましい材料である。リチウムマンガン酸化物は、マンガンの資源が豊富であることから低コスト化を図ることができる上でも特に好ましい。
【0015】
また、負極には公知の負極活物質を用いることができるが、負極活物質は主として炭素からなることが好ましい。中でも結晶性の高い天然黒鉛や人造黒鉛などからなるものを用いることが好ましい。このような結晶性の高い炭素材を用いることにより、負極のリチウムイオンの受け渡し効率を向上させることができる。
負極も、正極と同様に、シート状の集電体と、この集電体上に一様な厚さで形成され、主として負極活物質より構成されている負極活物質層とからなることが好ましい。
【0016】
非水電解質にも公知のものを用いることができるが、特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの高誘電率の主溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの低粘性の副溶媒との混合有機溶媒に、支持電解質としてLiPF6 やLiBF4、LiAsF6、LiN(SO2CF33、LiC(SO2CF32などのリチウム塩を溶解させたものを用いることが好ましい。また、副溶媒として、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びブチルラクトンなどを用いてもよい。
【0017】
本発明の非水電解質二次電池においては、最大放電率が12C以上であることが好ましい。このような非水電解質二次電池は、自動車など高い動力エネルギーが必要とされる動力機械に用いることができる。
また、10Cで連続的に放電させたときの容量としては、0.2Cの低電流を流した時の容量の50%以上を確保することが好ましい。
【0018】
電気自動車などの動力機械では、10C以上で連続して作動させることが多い。容量性能をこのようにさらに限定することにより、少なくとも3分の間は、高電圧で高電流を出力することができ、高いエネルギーを供給できるようになる。
本発明の非水電解質二次電池では、前記正極活物質層の形態を次のように数値的に限定することが好ましい。
【0019】
正極活物質層は、40〜70μmの層の厚さを有することが好ましい。その厚さが40μm未満であると、10Cでの放電において、0.2Cの低電流を流した時の容量の50%以上の容量を確保することが難しくなり、70μmを超えると、最大電流を12C以上にすることが難しくなる。
正極活物質は、1〜19μmの2次粒子径を有することが好ましい。1μm未満の2次粒子径を合成することは技術的に難しく、また、仮にその正極活物質を容易に合成できたとしても、粒子どうしの接合点数、および粒子と集電体との接合点数が多くなり、バインダで電極形状を保持することが困難となって、集電体上に正極活物質層を形成することが難しくなる。また、その二次粒子径が19μmを超えると、正極活物質層でのリチウムイオンの拡散経路が長くなってしまう。それゆえ、最大電流を12C以上にすることが難しくなるとともに、その放電後に50%以上の容量を確保することが難しくなる。
【0020】
正極活物質層は、28〜38%の空隙率を有することが好ましい。正極活物質層で拡散するリチウムイオンは、その空隙に侵入している非水電解液を移動することができ、非水電解液中での移動のしやすさは正極活物質内でのものより大きい。その空隙率が、28%未満であると、リチウムイオンを正極活物質層において十分な拡散速度で拡散させることが難しくなる。その結果、10Cでの放電において、0.2Cの低電流を流した時の容量の50%以上の容量を確保することが難しくなる。一方、その空隙率が38%を超えると、正極活物質層の電気抵抗が大きくなって高電流を出力することが難しくなり、10Cでの放電において、0.2Cの低電流を流した時の容量の50%以上の容量を確保することが難しくなる。
【0021】
正極活物質層は、20Ω・cm以下のシート抵抗を有することが好ましい。そのシート抵抗が20Ω・cmを超えると、正極活物質層での抵抗により10Cでの放電において50%以上の容量を確保することが難しくなる。
正極活物質層は、その表面積に対して8〜16mg/cm2の重量密度を有することが好ましい。その重量密度が、8mg/cm2未満であると、その電池反応を十分な反応量で行わせることが難しくなり、高電流を出力することが難しくなる。一方、その重量密度が、16mg/cm2を超えると、最大電流を12C以上にすることが難しくなるとともに、10Cでの放電において、0.2Cの低電流を流した時の容量の50%以上の容量を確保することが難しくなる。
【0022】
正極活物質と負極活物質との重量比(正極活物質の重量/負極活物質の重量)が1.8〜2.9にあることが好ましい。それらの重量比をこの範囲内にとることにより、これらのいずれかの活物質に無駄が生じることなく、高電圧及び高電流を出力させることができ、高い放電容量を得ることができる。すなわち、正極活物質と負極活物質とをバランスよく用いることにより、電池のエネルギー密度及び出力密度を向上させることができる。
【0023】
さらに、正極および負極の活物質内でリチウムイオンの拡散速度は、充電時には正極で速く、負極では遅くなり、逆に放電時には正極では遅く、負極では速くなる。そのため、正極活物質と負極活物質との重量比をこの範囲に限定することにより、正極および負極での拡散速度のバランスが取れ、より高い電流を流すことが可能となる。
【0024】
ところで、正極活物質にリチウムマンガン酸化物を用いた非水電解質二次電池では、充放電サイクルが多数繰り返されると、Liが頻繁に電極に出入りすることで、電極活物質の結晶構造が変化することがある。こうした電極活物質の結晶構造の変化に伴って、電極の導電性が低下したり、Mnが電解液へ溶出したりすることがある。こうしたことは、高温下で電池が使用されたときに起こりやすく、電池のサイクル特性や保存特性を低下させる原因となる。特に、電極活物質の比表面積が大きい電池や、電極活物質層の厚さが小さい電池では、電解液との反応面積が大きくなるため、Mnの電解液への溶出量が多くなり、この問題がより顕著に現れる。
【0025】
本発明者らは、前述のように正極活物質層の厚さを40〜70μmに限定したとき、適切な比表面積を有する正極活物質を用いることで、負荷特性と高温でのサイクル特性とを向上させることができることを見出した。
すなわち、前記正極活物質は、0.3〜1.2m2 /gの比表面積を有することが好ましい。正極活物質の比表面積が0.3m2 /g未満であると、優れた負荷特性を得ることが難しくなる。一方、正極活物質の比表面積が1.2m2 /gを超えると、優れた高温サイクル特性を得ることが難しくなる。
【0026】
また、正極活物質にスピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物を用いる場合、そのリチウムマンガン酸化物にさらにリチウムやMn以外の陽イオンとなりうる元素を添加した正極活物質を用いることにより、電池の高温でのサイクル特性を向上させることができることを見出した。さらには、そのリチウムマンガン酸化物のMnを、Mn以外の陽イオン元素で置換することにより、電池の高温でのサイクル特性をさらに確実に向上させることができることを見出した。
【0027】
すなわち、前記正極活物質は、LiMnYMeZ(4±σ)(MeはMn以外の陽イオンになりうる元素)の組成式で表され、かつ(1+Z)/Y>1.05/1.95を満たすことが好ましい。ここでMeは、LiMn24のスピネル構造を構成するMnに置換されたものであることがさらに好ましい。
上記のように正極活物質の比表面積及び組成を限定することにより、電解液との反応によるMnの腐食及び溶出の抑制、並びに3価のMnとOの結合間で起こるヤンテラー歪みの分断を行うことができる。その結果、高温下でのサイクル特性及び保存特性が向上すると考えられる。
【0028】
また、上記のように正極活物質の組成を限定する場合、前記Meは、Liと、IIAからIIIB属の元素との少なくとも一種であることが好ましく、さらには前記Meは、Li、Al、Ni及びCoの少なくとも1種であることが好ましい。このように正極活物質の組成をさらに限定することにより、電解液との反応によるMnの腐食及び溶出の抑制、並びに3価のMnとOの結合間で起こるヤンテラー歪みの分断をさらに効果的に行うことができる。その結果、高温下でのサイクル特性及び保存特性がより一層向上する。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例の非水電解質二次電池Aは、図1にその構造を概略的に示すように、シート状の集電体10aと、集電体10a上に形成され、リチウムイオンを放出できる正極活物質より主としてなる正極活物質層10bとから構成されている正極10と、正極10から放出されたリチウムイオンを吸蔵および放出できる負極活物質より構成されている負極20と、正極10と負極20との間でリチウムイオンを移動させる非水電解液30とを備える円筒型電池である。
【0030】
正極10は、アルミニウムよりなる厚さ15μmのシート状の正極集電体10aと、主としてリチウムマンガン酸化物(Li1.05Mn1.954)よりなる正極活物質層10bとから構成されており、この正極活物質層10bは、正極集電体10aの両側の表面上に45μmの厚さで一様に形成されている。また、その空隙率は32.4%であり、シート抵抗は20Ω・cmである。このシート抵抗は4端子法で測定されたものである。さらに、その重量密度は、その表面積に対して11.5mg/cm2である。この正極10は次のようにして成形したものである。
【0031】
先ず、正極活物質として、二次粒子径が6.5μmにあるLi1.05Mn1.954粉末を用意した。この二次粒子径はレーザー回折法により測定した値である。また、導電材としてグラファイト粉末(ロンザ社製KS−15)を用意した。結着剤としてポリビニリデンフロライド(PVDF)を用意した。分散溶媒としてN−メチル−2ピロリドン(NMP)を用意した。
【0032】
これらLi1.05Mn1.954粉末及び炭素粉末をPVDFとともにNMPに加え、よく混ぜ合わせてスラリー様の正極用合剤を得た。ここでは、Li1.05Mn1.954粉末、炭素粉末及びPVDFを87:10:3の重量比で配合した。この正極用合剤を、正極集電体10aの両側の表面上にコンマコータ法により塗布した後、高温槽で十分に乾燥させ、正極活物質層10bを形成した。この正極活物質層10bをプレス処理して所定の密度にし、正極10を得た。
【0033】
負極20は、負極活物質にカーボン材料が用いられているもので、銅箔よりなる負極集電体20a(厚さ10μm)と、主としてカーボン材料よりなる負極活物質層20bとから構成されている。負極活物質層20bは、負極集電体20aの両側の表面上に34μmの厚さで一様に形成されている。この負極20は次のようにして成形したものである。
【0034】
先ず、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)粉末を用意し、このMCMBをPVDFとともにNMPに加え、よく混ぜ合わせてスラリー様の負極用合剤を得た。ここでは、正極活物質と負極活物質との重量比(Li1.05Mn1.954粉末の重量/MCMB粉末の重量)が2.4となるように、4.1mg/cm2のMCMB粉末を用いた。また、MCMB粉末とPVDFとを95:5の重量比で配合した。この負極用合剤を負極集電体20aの両側の表面上にコンマコータ法により塗布した後、高温槽で十分に乾燥させて負極活物質層20bを形成し、負極20を得た。
【0035】
以上で得られた正極10及び負極20をさらに10Paの減圧下において120℃で8時間加熱して、それらの電極中の水分をほぼ完全に除去した後、それらの電極を間にポリエチレンよりなるセパレータ40(東燃タピルス社製)を挟んで巻回し、円柱状の巻回電極体を形成した。
また、非水電解液30には、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比30:70で混合した溶媒に、支持塩としてLiPF6 を1mol/l溶解させたものを用いた。
【0036】
先に得た巻回電極体を電池缶50aに挿入した後、非水電解液30を電池缶50aに注ぎ入れ、巻回電極体を非水電解液30に浸し、最後に正極端子52を備えた蓋部50bを取り付けて図1に示される非水電解質二次電池Aを完成した。
この非水電解質二次電池Aは、10.9Ahの放電容量をもち、正極10及び負極20の端子間に3.0〜4.2Vの電圧を生じさせることができる。
【0037】
この非水電解質二次電池Aの正極活物質層の表面積は、10200cmであり、1Ah当たりの面積に換算すると935cm/Ahとなる。また、この電池では、放電容量の30%を充電した後に、放電を開始してから10秒後の該電圧が3Vとなるように定電流で放電させたとき、その最大電流値は264Aであり、この値は最大放電率の値に換算すると24Cに相当する。従って、正極活物質層の表面積の値は、図2に示されるその1Ah当たりの表面積(cm/Ah)および最大放電率Rmax(C)の関係を表す直線グラフの傾きから、39Rmaxと表すことができる。
【0038】
なお、本実施例では、最大電流値を次のようにして測定した。
先ず、放電深度(DOD)が70%となるようにして、放電容量の30%を充電した。続いて、1/3C、1C、3C、6C、12C及び24Cの各放電率でそれぞれ放電を行った。放電を開始してから10秒後に、各放電における電圧をそれぞれ測定した。放電率と10秒後の電圧とが直線関係にあることを利用し、これらの測定値から、放電を開始してから10秒後に電圧が3Vとなる電流値、すなわち最大電流値を求めた。
【0039】
また、充電をCC−CV、4.2Vの電圧、並びに1Cの充電率で2.5時間行った後、0.2Cおよび10Cの放電率で3Vまで放電をおこなった。その結果、10Cで放電させたときの容量は、0.2Cの低電流を流した時の容量の90%であった。また、このときの出力密度の値は1600W/kgであった。
(実施例2)
本実施例の非水電解質二次電池Bは、次の形態及び特性を有する他は実施例1と同じ電池である。
【0040】
この非水電解質二次電池Bの正極活物質層の表面積は、6700cm2にあり、1Ah当たりの面積に換算すると838cm2である。この電池の最大電流値は、実施例1と同様にして測定した結果、268Aであることがわかった。この値は最大放電率の値に換算すると33Cに相当する。従って、正極活物質層の表面積の値は、図2に示されるその1Ah当たりの表面積(cm2/Ah)および最大放電率Rmax(C)の関係を表す直線グラフの傾きから、25Rmaxと表すことができる。
【0041】
また、正極活物質層のシート抵抗は0.6Ω・cmである。出力密度の値は2200W/kgである。また、10Cで放電させたときの容量は、0.2Cの低電流を流した時の容量の92%であった。
(実施例3)
本実施例の非水電解質二次電池Cは、次の形態及び特性を有する他は実施例1と同じ電池である。
【0042】
この非水電解質二次電池Cの正極活物質層の表面積は、400〜680cm2にあり、1Ah当たりの面積に換算すると432〜730cm2である。この電池の最大電流値は、実施例1と同様にして測定した結果、8〜12.4Aであることがわかった。この値は最大放電率の値に換算すると8.6〜13.4Cに相当する。従って、正極活物質層の表面積の値は、図2に示されるその1Ah当たりの表面積(cm2/Ah)および最大放電率Rmax(C)の関係を表す直線グラフの傾きから、62.5Rmaxと表すことができる。
【0043】
なお、この正極活物質層は、正極集電体の両側の表面上に35〜75μmの厚さで一様に形成されており、そのシート抵抗は10Ω・cmである。出力密度の値は608〜960W/kgである。また、10Cで放電させたときの容量は、0.2Cの低電流を流した時の容量の7〜83%であった。
(比較例1)
本比較例の非水電解質二次電池Dは、次の正極の形態及び特性を有する他は実施例1と同じ電池である。
【0044】
この非水電解質二次電池Dの正極活物質層の表面積は、486〜842cm2にあり、1Ah当たりの面積に換算すると525〜910cm2である。この電池の最大電流値は、実施例1と同様にして測定した結果、7.2〜10.6Aであることがわかった。この値は最大放電率の値に換算すると7.8〜11.5Cに相当する。従って、正極活物質層の表面積の値は、図2に示されるその1Ah当たりの表面積(cm2/Ah)および最大放電率Rmax(C)の関係を表す直線グラフの傾きから、77Rmaxと表すことができる。
【0045】
なお、比較例1の正極活物質層は、正極集電体の両側の表面上に45〜125μmの厚さで一様に形成されており、そのシート抵抗は20Ω・cmである。比較例1の正極活物質層の厚さは45〜125μmの厚さで、上記の実施例3の正極活物質層の厚さ35〜75μmと比べて厚く、シート抵抗も10Ω・cmと比べて高いことから、非水電解質二次電池Dの正極活物質層の表面積は前記したように77Rmaxと表すことができる。
[各非水電解質二次電池の電池特性の評価]図2より、上記の実施例の各非水電解質二次電池では、比較例1の非水電解質二次電池Dと正極活物質層を同じ表面積として比較したときに、いずれも高い最大放電率が得られることがわかる。従って、上記の各実施例の非水電解質二次電池では、少なくとも10秒の間、3V以上の電圧で高電流を出力させることが容易にできる。
[正極活物質層の厚さの電池特性への影響]正極活物質層の厚さが異なる電極を用い、18650サイズの電池を作製した。この電池の容量は約1Ahである。各電池の正極活物質層の厚さには、図3でプロットされている5種類の値をそれぞれとった。
【0046】
これらの電池を用い、実施例1で最大電流値を測定した方法と同じようにして各電池の最大電流値を求めた。また、充電をCC−CV、4.2Vの電圧、並びに1Cの充電率で2.5時間行った後、0.2Cおよび10Cの放電率で3Vまで放電をおこなった。
図3に、各電池の正極活物質層の厚さと、最大放電率、および10Cでの容量との関係を示した。なお、10Cでの放電容量の値を0.2Cでの放電容量に対する比で示した。
【0047】
図3より、正極活物質層の厚さが40〜70μmにある電池においては、最大放電率が12C以上となり、かつ、10Cで放電させたときの容量が、0.2Cの低電流を流した時の容量の50%以上であることがわかる。
[正極活物質の二次粒子径の電池特性への影響]
正極活物質層に用いられている正極活物質の二次粒子径が異なる他は、実施例1の非水電解質二次電池と同じ電池を作製した。各電池の正極活物質の二次粒子径には、図4でプロットされている4種類の値をそれぞれとった。
【0048】
これらの電池を用い、実施例1で最大電流値を測定した方法と同じようにして各電池の最大電流値を測定し、最大放電率を求めた。図4にその結果を示す。この図より、正極活物質層に用いられている正極活物質の二次粒子径が1〜19μmにある電池においては、12C以上の最大放電率が得られることがわかる。
[正極活物質層の空隙率の電池特性への影響]
正極活物質層の空隙率が異なる他は、実施例1の非水電解質二次電池と同じ電池を作製した。各電池の正極活物質層の空隙率には、図5でプロットされている4種類の値をそれぞれとった。
【0049】
充電をCC−CV、4.2Vの電圧、並びに1Cの充電率で2.5時間行った後、0.2Cおよび10Cの放電率で3Vまで放電をおこなった。図5に、各電池の正極活物質層の空隙率と、10Cでの放電容量比との関係を示した。図5より、正極活物質層の空隙率が28〜38%にある電池においては、10Cで放電させたときの容量が、0.2Cの低電流を流した時の容量の50%以上であることがわかる。
[正極活物質層のシート抵抗による電池特性への影響]
正極活物質層のシート抵抗が異なる他は、実施例1の非水電解質二次電池と同じ電池を作製した。各電池の正極活物質層のシート抵抗には、図6でプロットされている5種類の値をそれぞれとった。
【0050】
これらの電池を用い、実施例1で最大電流値を測定した方法と同じようにして各電池の最大電流値を測定し、最大放電率を求めた。図6にその結果を示す。この図より、正極活物質層のシート抵抗が20Ω・cm以下にある電池で、12C以上の最大放電率が得られることがわかる。
[正極活物質と負極活物質との重量比の電池特性への影響]
正極活物質と負極活物質との重量比(Li1.05Mn1.954粉末の重量/MCMB粉末の重量)が異なる他は、実施例1の非水電解質二次電池と同じ電池を6種類作製した。各電池の正極活物質と負極活物質との重量比には、図7でプロットされている6種類の値をそれぞれとった。
【0051】
これらの電池を用い、実施例1で最大電流値を測定した方法と同じようにして各電池の最大電流値を測定し、最大放電率を求めた。図7にその結果を示す。この図より、正極活物質と負極活物質との重量比が1.8〜2.9にある電池で、12C以上の最大放電率が得られることがわかる。なお、このときの充電容量は180〜330mAh/gであった。
(実施例4−1)
本実施例では、本発明の非水電解質二次電池の負荷特性と高温でのサイクル特性とをさらに向上させるために、前記正極活物質を構成するリチウムマンガン酸化物について、以下のようにマンガンをリチウムで置換することを検討した。
【0052】
先ず、Liの原料としてLiOH・H2 Oを用意し、Mnの原料として酢酸Mnを用意した。さらに、LiとMnとを架橋するためにクエン酸を用意した。これら各材料を、Li及びMnのモル比で見た仕込の組成比(Li/Mn)が1.1/1.9となるように秤量して純水中に溶解させることにより、Li及びMnを含む水溶液を得た。なお、この水溶液の調製では、Liの濃度が0.80mol/Lとなり、Mnの濃度が1.38mol/Lとなり、またクエン酸の濃度が1.19mol/Lとなるようにした。
【0053】
こうして得られた水溶液を500Pa程度の減圧下において、120℃で加熱して水及び酢酸を蒸発させ、LiとMnとがクエン酸により架橋された乾燥物を得た。
次いで、この乾燥物を400℃で4時間予備焼成を行った後、800〜950℃の焼成温度で焼成を行って、リチウムマンガン酸化物を合成した。その結果、比表面積が0.3〜1.2m2 /gの範囲にあって、かつ2次粒子径が5〜15μmの範囲にある正極活物質が得られた。この正極活物質について、ICP分析により組成を調べた結果、リチウムとマンガンの含有比率(Li/Mn)が1.1/1.9であることが分かった。この含有比率は、出発原料の組成と良く一致している。これらの正極活物質の電池特性を比較するために、次のように正極を作製した。
【0054】
先ず、正極活物質と、導電剤であるグラファイト粉と、結着剤であるPVDFとを86:10:4の重量比で混合した後、適量のNMPを加えて混練し、スラリー状の正極合剤を得た。次いで、正極集電体としてAl箔上を用意し、この正極集電体上に正極合剤を一様な厚さで塗布して、正極活物質層を形成した。この正極活物質層をロールプレスによって圧縮を行い、正極を完成した。なお、この正極の作製では、正極活物質層の密度が2.85g/cm3 なるように正極合剤の塗布量を調整した。
【0055】
この正極の作製方法により、正極活物質層の厚さが55μm、65μm及び75μmの正極をそれぞれ3種類作製した。
一方、負極については、次のようにして作製した。
先ず、負極活物質である天然黒鉛と、結着剤であるPVDFとを92.5:7.5の重量比で混合した後、適量のNMPを加えて混練し、スラリー状の負極合剤を得た。次いで、負極集電体としてCu箔を用意し、この負極集電体上に負極合剤を塗布して、負極活物質層を形成した。この負極活物質層をロールプレスによって圧縮を行い、電極を完成した。なお、この負極の作製では、正極活物質と負極活物質との電極表面に対する単位面積当たりの重量比が、24:10となるように負極合剤の塗布量を調整した。
【0056】
セパレータには、25μmのポリエチレン製の微孔フィルムを用意した。また、非水電解液には、エチレンカーボネートとジメトキシエタンとを同じ体積比率で混合して得た有機溶媒に、LiPF6 を1M溶解して調製したものを用意した。
以上の正極、負極及びセパレータを、正極と負極の間にセパレータが挟まれるよ
うに互いに重ね合わせて巻回して巻回電極体を形成した。この巻回電極体を電池缶(サイズ;φ18mm、高さ65mm)に挿入した後、非水電解液を電池缶に注ぎ入れ、巻回電極体を非水電解液に浸し、最後に正極端子を備えた蓋部を取り付けて、図1に示したようなスパイラル状の円筒型非水電解質二次電池Aを完成した。
【0057】
こうして正極の正極活物質層の厚さが異なる3種類の非水電解質二次電池を作製した。なお、これら非水電解質二次電池の各正極の表面積は、電極の膜厚によりそれぞれ756cm2、675cm2 、540cm2 となった。これらの非水電解質二次電池の負荷特性を、次の条件で充放電試験を行って評価した。
この充放電試験では、CC−CV、4.2Vの電圧でかつ1Cの充電率で充電を2.5時間行った後、0.5C及び10Cの各放電率で定電流でそれぞれ3Vまで放電を行った。
【0058】
上記で作製された各電池について、上記各条件で充放電を行ったときの放電容量をそれぞれ測定した。その測定結果を表1に示す。なお、表1には、10Cの放電率で放電を行ったときの放電容量(以下、10C放電容量と称する)と、0.5Cの放電率で放電を行ったときの放電容量(以下、0.5C放電容量と称する)との放電容量比(10C放電容量/0.5C放電容量)を示した。
【0059】
表1より、正極の正極活物質層の厚さが75μmの電池(No.1〜No.3)では、正極活物質の比表面積が1.2m2 /g以下になると、10C放電容量が、0.5C放電容量の60%程度より低くなってしまうことがわかる。特に、正極活物質の比表面積が0.8m2 /gより小さくなると、10C放電容量が、0.5C放電容量の50%以下に低下してしまうことがわかる。
【0060】
それに対し、正極活物質層の厚さが65μmの電池(No.4)では、正極活物質の比表面積が0.3m2 /g以上にあれば、10C放電容量が0.5C放電容量の80%よりも大きいことがわかる。特に、正極活物質層の厚さが55μmの電池(No.5〜No.9)では、正極活物質の比表面積が0.3m2 /g以上にあれば、10C放電容量が0.5C放電容量の90%以上にあることがわかる。
【0061】
これらの結果から、正極活物質層の厚さを40〜70μmにする場合、比表面積が0.3m2 /g以上の正極活物質を用いれば、高負荷での放電容量が大きくなり、負荷特性に優れる非水電解質二次電池が得られることがわかる。
一方、正極の正極活物質層の厚さが55μmの電池(No.5〜No.9)について、それらの電池の高温でのサイクル特性を、次の条件でそれぞれ充放電試験を行って評価した。
【0062】
この充放電試験では、60℃の恒温槽内で、正極面積当たり1.1mA/cm2 の定電流で4.2Vまで充電を行った後、正極面積当たり1.1mA/cm2の定電流で3Vまで放電を行った。この充放電を100サイクル行った。
この充放電試験において、初期サイクル(1回目)での放電容量(C1)と、100サイクルでの放電容量(C100)とをそれぞれ測定した。その測定結果を表1に併せて示す。なお、表1には、{C100/(C1×99)}×100/100サイクル(%/サイクル)の値(劣化率)を示した。
【0063】
【表1】
Figure 0004662089
表1より、No.5〜No.9の各電池の劣化率を比較すると、正極活物質の比表面積が低くなるにしたがって劣化率が低下し、サイクル特性が向上していることがわかる。特に、正極活物質の比表面積が1.2m2 /g以下の電池(No.5〜No.8)では、比表面積が1.4m2 /gの電池(No.9)よりも優れたサイクル特性が得られることがわかる。
【0064】
従って、正極活物質層の厚さを40〜70μmにする場合、正極活物質の比表面積を0.3〜1.2m2 /gに限定することにより、非水電解質二次電池の負荷特性及び高温でのサイクル特性を向上させることが容易に可能なことがわかる。
(実施例4−2)
実施例4−1の非水電解質二次電池では、LiMn24のスピネル構造において、LiがMnの16d位置の一部に置換された構造を有していると考えられる。そこで、そのリチウムの置換量と電池特性の関係を評価するため、次のようにLiとMnの組成比が異なるリチウムマンガン酸化物をそれぞれ合成して正極活物質を調製した。
【0065】
本実施例では、Li及びMnのモル比で見た各原料の仕込み組成比(Li/Mn)が1.05/1.95と、1.15/1.85となるように2種類の前記水溶液をそれぞれ調製した他は、実施例4と同様にして2種類の正極活物質を調製した。これらの正極活物質の組成をICP分析により組成を調べた結果、LiのMnに対する組成比(Li/Mn)が1.05/1.85と、1.15/1.85とであることがわかり、原料の仕込み組成と一致していることが分かった。また、それらの正極活物質は、双方とも0.4m2 /gの比表面積を有し、かつ10μmの2次粒子径を有することもわかった。
【0066】
これら2種類の正極活物質を用い、実施例4と同様にして、正極活物質層の厚さが55μmであるスパイラル状の円筒型非水電解質二次電池を2種類作製した。
これらの非水電解質二次電池について、実施例4と同様に、60℃の恒温槽内で充放電試験を行い、初期サイクル(1回目)での放電容量(C1)と、100サイクルでの放電容量(C100)とをそれぞれ測定した。その測定結果を表1に併せて示す。
【0067】
表1において、No.6、No.10及びNo.11の各電池の劣化率を比較すると、同じ比表面積の正極活物質を用いた電池においては、LiのMnに対する組成比(Li/Mn)が増加するにしたがって劣化率が低下し、高温でのサイクル特性が向上していることがわかる。特に、その組成比(Li/Mn)が1.05/1.95を超えた電池(No.6及びNo.11)では、組成比(Li/Mn)が1.05/1.95の電池(No.10)に比べて劣化率が低くなることがわかる。
【0068】
LiのMnに対する組成比(Li/Mn)が1.05/1.95を超える非水電解質二次電池は、その正極活物質の組成式をLiMnYMeZ(4±σ)で表すと、MeはLiであり、かつ(1+Z)/Y>1.05/1.95を満たすものである。こうした条件を満たす非水電解質二次電池では、極めて優れたサイクル特性が得られることがわかる。
(実施例5)
本発明の非水電解質二次電池の高温でのサイクル特性をさらに向上させるために、前記正極活物質を構成するリチウムマンガン酸化物について、以下のようにマンガンをリチウム以外の陽イオンになりうる元素(以下、陽イオン元素と称する)で置換することを検討した。
【0069】
本実施例では、リチウムマンガン酸化物の組成式をLiMnYMeZ(4±σ)で表すと、Meをリチウム及び陽イオン元素とし、かつZ=1(Li)+0.5(陽イオン元素)とした。
正極活物質の調製では、陽イオン元素としてAl、Cu、Ni及びCoを用い、各原料のLi、Mn及び陽イオン元素で見た仕込み組成比(Li:Mn:陽イオン元素)が1.1:1.85:0.05となるように前記水溶液をそれぞれ調製した他は、実施例4と同様にして、使用した陽イオン元素が異なる4種類の正極活物質を調製した。これらの正極活物質の組成をICP分析により組成を調べた結果、いずれもLiとMnと陽イオン元素との組成比(Li:Mn:陽イオン元素)が1.1:0.05:1.85であることがわかり、原料の仕込み組成と一致していることが分かった。すなわち、Meは、Liと陽イオンとであって、その組成比Zは、Liの0.1と陽イオン元素の0.05を足し合わせたものである。
【0070】
また、これらの正極活物質は、いずれも0.4m2 /gの比表面積を有し、かつ10μmの2次粒子径を有することもわかった。
これらの正極活物質を用い、実施例4と同様にして、正極活物質層の厚さが55μmであるスパイラル状の円筒型非水電解質二次電池を4種類作製した。
これらの非水電解質二次電池について、実施例4と同様に、60℃の恒温槽内で充放電試験を行い、初期サイクル(1回目)での放電容量(C1)と、100サイクルでの放電容量(C100)とをそれぞれ測定した。その測定結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 0004662089
表2より、No.12〜No.15の各電池では、40%未満の低い劣化率が得られていることがわかる。従って、陽イオンを添加することにより劣化率が低下し、高温でのサイクル特性が向上していることがわかる。このように高温での特性が向上したのは、正極活物質の調製においてAl、Cu、Ni及びCoを添加したことにより、MnとOとの結合が強いリチウムマンガン酸化物が合成されたことが考えられる。Al、Cu、Ni及びCoは、いずれもIIAからIIIB属の元素である。
【0072】
また、No.12〜No.15の各電池の劣化率を比較すると、No.13〜No.15の各電池では、30%程度又はそれより低い劣化率が得られることがわかる。この結果より、Li、Al、Ni、Coを添加した正極活物質を用いることにより、さらに低い劣化率が得られ、高温でのサイクル特性が特に向上することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の非水電解質二次電池を概略的に示す要部断面図である。
【図2】 実施例1〜3及び比較例1の各非水電解質二次電池において、正極活物質層の1Ah当たりの表面積と最大放電率Rmaxとの関係をそれぞれ示すグラフである。
【図3】 本実施例の非水電解質二次電池において、正極活物質層の厚さと、最大電流値、および10Cでの容量との関係を示すグラフである。
【図4】 本実施例の非水電解質二次電池において、正極活物質の二次粒子径と最大放電率との関係を示すグラフである。
【図5】 本実施例の非水電解質二次電池において、正極活物質層の空隙率と、10Cでの放電容量比との関係を示すグラフである。
【図6】 本実施例の非水電解質二次電池において、正極活物質層のシート抵抗と最大放電率との関係を示すグラフである。
【図7】 本実施例の非水電解質二次電池において、正極活物質と負極活物質との重量比と最大放電率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10:正極 10a:集電体 10b:正極活物質層
20:負極
30:非水電解液

Claims (12)

  1. シート状の集電体と、該集電体上に形成され、リチウムイオンを放出できる正極活物質より主としてなる正極活物質層とから構成されている正極と、該正極から放出された該リチウムイオンを吸蔵および放出できる負極活物質より構成されている負極と、該正極と該負極との間で該リチウムイオンを移動させる非水電解質とを備え、該正極及び該負極の端子間に少なくとも3Vの電圧を生じさせることのできる非水電解質二次電池において、
    放電容量の30%を充電した後に、放電を開始してから10秒後の該電圧が3Vとなるように定電流で放電させたときの放電率を最大放電率(Rmax;単位C)とすると、前記正極活物質層の電池容量1Ah当たりの表面積が20Rmax〜75Rmax(単位cm /Ah)にあることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記最大放電率は12C以上である請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記正極活物質層は、40〜70μmの厚さを有する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記正極活物質は、1〜19μmの2次粒子径を有する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記正極活物質層は、28〜38%の空隙率を有する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記正極活物質層は、20Ω・cm以下のシート抵抗を有する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記正極活物質層は、前記表面積に対して8〜16mg/cm2の重量密度を有する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  8. 前記正極活物質と前記負極活物質との重量比が1.8〜2.9にある請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  9. 前記正極活物質は、0.3〜1.2m2/gの比表面積を有する請求項3に記載の非水電解質二次電池。
  10. 前記正極活物質は、LiMnYMeZO(4±σ)(MeはMn以外の陽イオンになりうる元素)の組成式で表され、かつ(1+Z)/Y>1.05/1.95を満たす請求項1〜8のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  11. 前記Meは、Liと、IIAからIIIB属の元素との少なくとも一種である請求項10に記載の非水電解質二次電池。
  12. 前記Meは、Li、Al、Ni及びCoの少なくとも1種である請求項11に記載の非水電解質二次電池。
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