以上の例では、吸湿部120において除湿対象空気116から吸湿し、この吸湿した水分を、放熱器103で加熱した高温の循環空気110を放湿部121に供給することによって放湿させ、この放湿させた水分を含んだ高湿の循環空気110を吸熱器105において冷却して水分を飽和させるとことにより除湿するようにしている。したがって吸湿部120において除湿対象空気116から水分を吸湿した際に発生する吸着熱および、放熱器103において加えられた熱は、すべて吹出口113から放出されることになるので、吹出口113からは除湿はされているが温度の高い空気が吹出していたため、夏場などには不快感があった。また、循環空気110を放熱器103、放湿部121、吸熱器105に循環させる循環経路111を密閉性よく本体101内に形成する必要があり、装置構成が複雑化するという問題点があった。そして循環経路111の密閉度が低い場合には、除湿対象空気116と循環空気110との湿度移行が発生して除湿効率が低下するという問題点があった。
本発明は上記課題を解決するものであり、吹出口113から温度を低く抑えしかも除湿された空気を吹出し、利用者が供給空気を温度が低く除湿のされた空気か温度が高く除湿された空気かを任意に選択できる除湿装置を提供し、また、循環経路111のない単純な構成で、効率の良い除湿が行える除湿装置を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本発明が講じた第1の課題解決手段は、本体(101)に、冷媒(117)を圧縮する圧縮機(102)と前記冷媒(117)が供給空気に対して放熱する放熱器(103)と前記冷媒(117)が膨張する膨張機構(104)と前記冷媒(117)が供給空気から吸熱する吸熱器(105)とを有するヒートポンプ(118)と、供給空気から吸湿する吸湿部(120)および供給空気に放湿する放湿部(121)を有する吸放湿手段(119)とを備え、除湿対象空気(116)を前記放熱器(103)、前記放湿部(121)、前記吸熱器(105)、前記吸湿部(120)の順に供給し前記本体(101)外に吹出す風路と、前記本体(101)で発生する余熱を前記本体(101)外に放出する風路とを分離する分離手段(12)を備えたものである。
この第1の手段では、除湿対象空気(116)を、放熱器(103)においてヒートポンプ(118)の放熱により加熱し、次に放湿部(121)において吸放湿手段(119)の放湿により加湿し、次に吸熱器(105)においてヒートポンプ(118)の吸熱により冷却し、次に吸湿部(120)において吸放湿手段(119)の吸湿により除湿する。これにより放湿部(121)には加熱された低い相対湿度の除湿対象空気(116)が供給され、吸湿部(120)には冷却された高い相対湿度の除湿対象空気(116)が供給される。したがって吸湿部(120)に供給される除湿対象空気(116)と放湿部(121)に供給される除湿対象空気(116)との相対湿度の差が拡大して吸放湿手段(119)の吸放湿量が増加することになる。さらに、除湿対象空気(116)を放熱器(103)、放湿部(121)、吸熱器(105)、吸湿部(120)の順に供給し本体(101)外に吹出す風路と、本体(101)で発生する余熱を本体(101)外に放出する風路とを分離する分離手段(12)を備えている。これにより、本体(101)内部で発生した余熱は分離手段(12)により分離されて放出されるので、除湿対象空気(116)は余熱の影響による温度上昇が抑えられる。
また、本発明が講じた第2の課題解決手段は、上記第1の課題解決手段において、除湿対象空気(116)を放熱器(103)、放湿部(121)、吸熱器(105)、吸湿部(120)の順に供給し本体(101)外に吹出す第1吹出口(1)と、本体(101)で発生する余熱を本体(101)外に放出する第2吹出口(2)を設ける構造としたものである。
この手段では、除湿対象空気(116)を本体(101)外に吹出す第1吹出口(1)と、本体(101)で発生する余熱を本体(101)外に放出する第2吹出口(2)を設ける構造としている。これにより、本体(101)内部で発生した余熱が第2吹出口(2)から放出されるので、第1吹出口(1)から吹出す空気は余熱による温度上昇が抑えられる。
また、本発明が講じた第3の課題解決手段は、上記第2の課題解決手段において、放熱器(103)から発生する余熱を第2吹出口(2)から本体(101)外に放出する構成としたものである。
この手段では、放熱器(103)から発生する余熱を第2吹出口(2)から本体(101)外に放出する構成としている。これにより、放熱器(103)で放出する熱量の内、放湿部(121)に必要な熱量以外の余熱が第2吹出口(2)から放出されるので、第1吹出口(1)から吹出す空気は前記余熱による温度上昇が抑えられる。
また、本発明が講じた第4の課題解決手段は、上記第2または第3の課題解決手段において、吸放湿手段(119)から発生する余熱を第2吹出口(2)から本体(101)外に放出する構成としたものである。
この手段では、吸放湿手段(119)から発生する余熱を第2吹出口(2)から本体(101)外に放出する構成としている。これにより、吸放湿手段(119)の吸湿部(120)で吸湿する際に発生する熱を第2吹出口(2)から放出するので、第1吹出口(1)から吹出す空気は前記熱の影響による温度上昇を抑えられる。
また、本発明が講じた第5の課題解決手段は、上記第2、第3または第4の課題解決手段において、第1吹出口(1)からの吹出し温度が、第2吹出口(2)からの吹出し温度より低温となる構成としたものである。
この手段では、第1吹出口(1)からの吹出し温度が、第2吹出口(2)からの吹出し温度より低温となる構成としている。これにより、第1吹出口(1)からの吹出し温度と第2吹出口(2)からの吹出し温度に温度差が生じる。
また、本発明が講じた第6の課題解決手段は、上記第2、第3、第4または第5の課題解決手段において、第1吹出口(1)から吹出す空気が、除湿対象空気(116)より低温となるよう構成としたものである。
この手段では、第1吹出口(1)から吹出す空気が、除湿対象空気(116)より低温となるよう構成としている。これにより、第1吹出口(1)からの吹出し温度と除湿対象空気(116)の温度に温度差が生じる。
また、本発明が講じた第7の課題解決手段は、上記第2、第3、第4、第5または第6の課題解決手段において、第1吹出口(1)から吹出す空気流量が第2吹出口(2)から吹出す空気流量より多くなる構成としたものである。
この手段では、第1吹出口(1)から吹出す空気流量が第2吹出口(2)から吹出す空気流量より多くなる構成としている。これにより、第1吹出口(1)からの風量と第2吹出口(2)からの風量とに風量差が生じ、しかも第1吹出口(1)からの風量が多くなる。
また、本発明が講じた第8の課題解決手段は、上記第2、第3、第4、第5または第6の課題解決手段において、第2吹出口(2)から吹出す空気流量が、第1吹出口(1)から吹出す空気流量より多くなる構成としたものである。
この手段では、第2吹出口から吹出す空気流量が、第1吹出口(1)から吹出す空気流量より多くなる構成としている。これにより、本体(101)内で発生する余熱がより多く本体(101)外に放出されることになる。
また、本発明が講じた第9の課題解決手段は、上記第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段において、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気の混合または分離を切り替える切替手段(6)を備えたものである。
この手段では、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気の混合または分離を切り替える切替手段(6)を備えている。これにより、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気を混合するか分離するかを切替可能となる。
また、本発明が講じた第10の課題解決手段は、上記第9の課題解決手段において、切替手段(6)は手動で切り替え可能な構造としたものである。
この手段では、切替手段(6)は手動で切り替え可能な構造としている。これにより、利用者が好みに応じて、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気を混合するか分離するかを切替えることができるようになる。
また、本発明が講じた第11の課題解決手段は、上記第9の課題解決手段において、切替手段(6)は、除湿対象空間(4)の温度と湿度の両方またはどちらか一方の値により自動で切り替わる構造としたものである。
この手段では、切替手段は、除湿対象空間(4)の温度と湿度の両方またはどちらか一方の値により自動で切り替わる構造としている。これにより、除湿対象空間(4)の温度および湿度から最適な運転モードを判断し、自動で第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気を混合するか分離するかを切替えることができるようになる。
また、本発明が講じた第12の課題解決手段は、上記第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10または第11の課題解決手段において、第2吹出口(2)から吹出す空気を非除湿対象空間(13)に供給する構成としたものである。
この手段では、第2吹出口から吹出す空気を非除湿対象空間(13)に供給する構成としている。これにより、本体(101)内部で発生した余熱を非除湿対象空間(13)に放出することになる。
また、本発明が講じた第13の課題解決手段は、上記第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11または第12の課題解決手段において、第2吹出口(2)から吹出す空気を除湿対象空間(4)から取り入れる構成としたものである。
この手段では、第2吹出口(2)から吹出す空気を除湿対象空間(4)から取り入れる構成としている。これにより、安定した温度の除湿対象空間(4)の空気を余熱を放出するために使用できることになる。
また、本発明が講じた第14の課題解決手段は、上記第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11または第12の課題解決手段において、第2吹出口(2)から吹出す空気を非除湿対象空間(13)から取り入れる構成としたものである。
この手段では、第2吹出口(2)から吹出す空気を非除湿対象空間(13)から取り入れる構成としている。これにより、第2吹出口(2)からの吹出し空気を除湿対象空間(4)に吹出す場合には、非除湿対象空間(13)からの空気を除湿対象空間(4)に取り入れることになり、また、第2吹出口(2)からの吹出し空気を非除湿対象空間(13)に吹出す場合には、除湿対象空間(4)の空気を使用せずに本体(101)内部の余熱を放出できることになる。
また、本発明が講じた第15の課題解決手段は、上記第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13または第14の課題解決手段において、第1吹出口(1)から吹出す空気を除湿対象空間(4)から取り入れる構成としたものである。
この手段では、第1吹出口(1)から吹出す空気を除湿対象空間(4)から取り入れる構成としている。これにより、安定した温度の除湿対象空間(4)の空気を除湿対象空気(116)として使用できることになる。
また、本発明が講じた第16の課題解決手段は、上記第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13または第14の課題解決手段において、非除湿対象空間(13)からの空気を除湿対象空気(116)とし、第1吹出口(1)から吹出す空気を非除湿対象空間(13)から取り入れる構成としたものである。
この手段では、第1吹出口(1)から吹出す空気を非除湿対象空間(13)から取り入れる構成としている。これにより、非除湿対象空間(13)からの空気を除湿対象空気(116)とし除湿した後、除湿対象空間(4)に取り入れることになる。
また、本発明が講じた第17の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15または第16の課題解決手段において、冷媒(117)が放熱器(103)において超臨界圧力にて放熱を行う構成としたものである。
この手段では、冷媒(117)が放熱器(103)において超臨界圧力にて放熱を行う。即ち、ヒートポンプ(118)が、冷媒(117)が放熱器(103)において凝縮しない超臨界サイクルとして動作する。この超臨界サイクルでは放熱器(103)における冷媒温度が比較的高温となり、放熱器(103)において加熱される除湿対象空気(116)の温度も高温となる。これにより放湿部(121)に供給される除湿対象空気(116)の相対湿度が更に低下するので、吸湿部(120)に供給される除湿対象空気(116)との相対湿度の差が拡大し、吸放湿手段(119)の吸放湿量が更に増加することになる。
また、本発明が講じた第18の課題解決手段は、上記第17の課題解決手段において、
冷媒(117)として二酸化炭素を用いたものである。
この手段では、冷媒(117)として二酸化炭素が用いられる。二酸化炭素は、その物性から臨界圧力よりも高い圧力まで圧縮され、放熱器(103)において凝縮しない超臨界サイクルとして動作する。この超臨界サイクルでは放熱器(103)における冷媒温度が比較的高温となり、放熱器(103)において加熱される除湿対象空気(116)の温度も高温となる。これにより放湿部(121)に供給される除湿対象空気(116)の相対湿度が更に低下するので、吸湿部(120)に供給される除湿対象空気(116)との相対湿度の差が拡大し、吸放湿手段(119)の吸放湿量が更に増加することになる。
また、本発明が講じた第19の課題解決手段は、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17または第18の課題解決手段において、吸放湿手段(119)を、ハニカムローター(108)に担持された吸着剤(107)が、吸湿部(120)において除湿対象空気(116)から水分を吸着するとともに放湿部(121)において除湿対象空気(116)へ水分を脱着するように前記ハニカムローター(108)を配し、前記ハニカムローター(108)の回転によって、前記吸湿部(120)における水分吸着と前記放湿部(121)における水分脱着を繰り返すように構成したものである。
この手段では、吸放湿手段(119)として吸着剤(107)が担持されたハニカムローター(108)が設けられる。吸着剤(107)は、吸湿部(120)において吸熱器(105)で冷却された高い相対湿度の除湿対象空気(116)と接触するとともに放湿部(121)において放熱器(103)で加熱された低い相対湿度の除湿対象空気(116)と接触する。そしてハニカムローター(108)の回転に伴い、吸湿部(120)および放湿部(121)における各々の除湿対象空気(116)との接触を繰り返す。吸着剤(107)は晒される空気の相対湿度が高ければ多くの水分を保持でき、晒される空気の相対湿度が低くなると保持可能な水分量が減少する特性を持つので、吸湿部(120)に供給される除湿対象空気(116)と放湿部(121)に供給される除湿対象空気(116)との相対湿度の差によって除湿対象空気(116)からの水分吸着と除湿対象空気(116)への水分脱着を繰り返すことになる。
本願発明は、かかる構成とすることにより以下に記載されるような効果を奏するものである。
(イ)本願の第1の発明にかかる除湿装置によれば、除湿対象空気(116)を、放熱器(103)においてヒートポンプ(118)の放熱により加熱し、次に放湿部(121)において吸放湿手段(119)の放湿により加湿し、次に吸熱器(105)においてヒートポンプ(118)の吸熱により冷却し、次に吸湿部(120)において吸放湿手段(119)の吸湿により除湿することによって、吸湿部(120)に供給される除湿対象空気(116)と放湿部(121)に供給される除湿対象空気(116)との相対湿度差を拡大し、循環経路(111)を設けない単純な構成で吸放湿手段(119)の吸放湿量を増加することができる。さらに、除湿対象空気(116)を放熱器(103)、放湿部(121)、吸熱器(105)、吸湿部(120)の順に供給し本体(101)外に吹出す風路と、本体(101)で発生する余熱を本体(101)外に放出する風路とを分離する分離手段(12)を備えていることにより、本体(101)内部で発生した余熱は分離手段(12)により分離されて放出されるので、除湿対象空気(116)は余熱の影響による温度上昇が抑えられ吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
(ロ)本願の第2の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)に記載した効果に加えて、除湿対象空気(116)を本体(101)外に吹出す第1吹出口(1)と、本体(101)内で発生する余熱を本体(101)外に放出する第2吹出口(2)を設ける構造とすることによって、本体(101)内部で発生した余熱が第2吹出口(2)から放出されるので、第1吹出口(1)から吹出す空気は余熱による温度上昇を抑えることとなり、吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
(ハ)また、本願の第3の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)または(ロ)に記載した効果に加えて、放熱器から発生する余熱を第2吹出口(2)から本体(101)外に放出する構成としていることによって、放熱器(103)で放出する熱量の内、放湿部(121)に必要な熱量以外の余熱が第2吹出口(2)から放出されるので、第1吹出口(1)から吹出す空気は前記余熱による温度上昇を抑えることとなり、第1吹出口(1)からの吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
(ニ)また、本願の第4の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)または(ハ)に記載した効果に加えて、吸放湿手段(119)から発生する余熱を第2吹出口(2)から本体(101)外に放出する構成としていることによって、吸放湿手段(119)の吸湿部(120)で吸湿する際に発生する熱を第2吹出口(2)から放出するので、第1吹出口(1)から吹出す空気は前記熱による温度上昇を抑えることとなり、第1吹出口(1)からの吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
(ホ)また、本願の第5の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)または(ニ)に記載した効果に加えて、第1吹出口(1)からの吹出し温度が、第2吹出口(2)からの吹出し温度より低温となる構成としていることにより、第1吹出口(1)からの吹出し温度と第2吹出口(2)からの吹出し温度に温度差が生じ、しかも第1吹出口(1)からの吹出し温度がより低温であるので、第1吹出口(1)からの吹出し風に冷風感を持たせることができ、快適に感じる除湿装置を提供することができる。
(ヘ)また、本願の第6の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)または(ホ)に記載した効果に加えて、第1吹出口(1)から吹出す空気が、除湿対象空気(116)より低温となるよう構成としていることにより、第1吹出口(1)からの吹出し温度と除湿対象空気(116)の温度に温度差が生じ、しかも第1吹出口(1)からの吹出し温度がより低温であるので、第1吹出口(1)からの吹出し風にさらに冷風感を持たせることができ、快適に感じる除湿装置を提供することができる。
(ト)また、本願の第7の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)または(ヘ)に記載した効果に加えて、第1吹出口(1)から吹出す空気流量が第2吹出口(2)から吹出す空気流量より多くなる構成としていることにより、第1吹出口(1)からの風量と第2吹出口(2)からの風量とに風量差が生じ、しかも第1吹出口(1)からの風量を多くなるので、第1吹出口(1)からの吹出し風に風速感をもたせた除湿装置を提供することができる。
(チ)また、本願の第8の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)または(ヘ)に記載した効果に加えて、第2吹出口(2)から吹出す空気流量が、第1吹出口(1)から吹出す空気流量より多くなる構成としていることにより、本体(101)内で発生する余熱がより多く本体(101)外に放出されることになるので、第1吹出口(1)から吹出す空気は、より本体内で発生する余熱の影響を受けにくくなり、より第1吹出口(1)からの吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
(リ)また、本願の第9の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)または(チ)に記載した効果に加えて、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気が混合可能な構成とし、混合または分離を切り替える切替手段(6)を備えていることにより、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気を混合するか分離するかを切替可能となり、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気が混合し温度が高く湿度の低い空気を得るモードと、温度上昇が少ない空気と、余熱を含む空気を分離するモードを選択可能となり、使い勝手の良い除湿装置を提供することができる。
(ヌ)また、本願の第10の発明にかかる除湿装置によれば、上記(リ)に記載した効果に加えて、切替手段(6)は手動で切り替え可能な構造とすることにより、利用者が好みに応じて、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気を混合するか分離するかを切替えることができるようになるので、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気が混合し温度が高く湿度の低い空気を得るモードと、温度上昇が少ない空気と、余熱を含む空気を分離するモードの選択を利用者が自由に切替え可能となり、使い勝手の良い除湿装置を提供することができる。
(ル)また、本願の第11の発明にかかる除湿装置によれば、上記(リ)に記載した効果に加えて、切替手段(6)は、除湿対象空間(4)の温度と湿度の両方またはどちらか一方の値により自動で切り替わる構造としていることにより、除湿対象空間(4)の温度および湿度から最適な運転モードを判断し、自動で第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気を混合するか分離するかを切替えることができるようになるので、第1吹出口(1)から吹出す空気と第2吹出口(2)から吹出す空気が混合し温度が高く湿度の低い空気を得るモードと、温度上昇が少ない空気と、余熱を含む空気を分離するモードの選択に関して、つねに快適なモードでの運転が可能な除湿装置を提供することができる。
(ヲ)また、本願の第12の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)、(ヌ)または(ル)に記載した効果に加えて、第2吹出口(2)から吹出す空気を非除湿対象空間(13)に供給する構成とすることにより、本体(101)内部で発生した余熱を非除湿対象空間(13)に放出することになるので、第1吹出口(1)からの吹出し温度を低く抑えられた空気のみを除湿対象空間(4)に供給することができるので除湿対象空間(4)の温度上昇を抑えることができる除湿装置を提供することができる。
(ワ)また、本願の第13の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)、(ヌ)、(ル)または(ヲ)に記載した効果に加えて、第2吹出口(2)から吹出す空気を除湿対象空間(4)から取り入れる構成とすることにより、安定した温度の除湿対象空間(4)の空気を余熱を放出するために使用できることになるので、余熱の放出効率が良くなり、第1吹出口(1)から吹出す空気は余熱の影響を受けにくくなり、吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
(カ)また、本願の第14の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)、(ヌ)、(ル)または(ヲ)に記載した効果に加えて、第2吹出口(2)から吹出す空気を非除湿対象空間(13)から取り入れる構成とすることにより、第2吹出口(2)からの吹出し空気を除湿対象空間(4)に吹出す場合には、非除湿対象空間(13)からの空気を除湿対象空間(4)に取り入れることになるので、除湿と同時に換気もできる除湿装置を提供することができ、また、第2吹出口(2)からの吹出し空気を非除湿対象空間(13)に吹出す場合には、除湿対象空間(4)の空気を使用せずに本体(101)内部の余熱を放出できることになるので、除湿対象空間(4)への除湿対象空間(4)以外からの空気の流入を無くすことができ、空気の授受による熱ロスをなくした除湿装置を提供することができる。
(ヨ)また、本願の第15の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)、(ヌ)、(ル)、(ヲ)、(ワ)または(カ)に記載した効果に加えて、第1吹出口(1)から吹出す空気を除湿対象空間(4)から取り入れる構成とすることにより、安定した温度の除湿対象空間(4)の空気を除湿対象空気(116)として使用できることになるので、非除湿対象空間(13)の温度の影響を受けることなく、除湿を行うことができ、また、第1吹出口(1)から温度を抑えた吹出し空気を吹出すことのできる除湿装置を提供することができる。
(タ)また、本願の第16の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)、(ヌ)、(ル)、(ヲ)、(ワ)または(カ)に記載した効果に加えて、非除湿対象空間(13)からの空気を除湿対象空気(116)とし、第1吹出口(1)から吹出す空気を非除湿対象空間(13)から取り入れる構成とすることにより、非除湿対象空間(13)からの空気を除湿対象空気(116)とし除湿した後、除湿対象空間(4)に取り入れることになるので、除湿と同時に換気もできる除湿装置を提供することができる。
(レ)また、本願の第17の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)、(ヌ)、(ル)、(ヲ)、(ワ)、(カ)、(ヨ)または(タ)に記載した効果に加えて、冷媒(117)が放熱器(103)において超臨界圧力にて放熱を行う構成とすることによって、放熱器(103)において除湿対象空気(116)を更に高温に加熱し、放湿部(121)に供給される除湿対象空気(116)と吸湿部(120)に供給される除湿対象空気(116)との相対湿度差を拡大することができる。これにより吸放湿手段(119)の吸放湿量を増加して更に効率の良い除湿を行うことができる。
(ソ)また、本願の第18の発明にかかる除湿装置によれば、上記(レ)に記載した効果に加えて、冷媒(117)として二酸化炭素を用いる構成とすることによって、放熱器(103)において除湿対象空気(116)を更に高温に加熱し、放湿部(121)に供給される除湿対象空気(116)と吸湿部(120)に供給される除湿対象空気(116)との相対湿度差を拡大することができる。これにより吸放湿手段(119)の吸放湿量を増加して更に効率の良い除湿を行うことができる。
(ツ)また、本願の第19の発明にかかる除湿装置によれば、上記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)、(ヌ)、(ル)、(ヲ)、(ワ)、(カ)、(ヨ)、(タ)、(レ)または(ソ)に記載した効果に加えて、吸放湿手段(119)を、ハニカムローター(108)に担持された吸着剤(107)が、吸湿部(120)において除湿対象空気(116)から水分を吸着するとともに放湿部(121)において除湿対象空気(116)へ水分を脱着するようにハニカムローター(108)を配し、ハニカムローター(108)の回転により、吸湿部(120)における水分吸着と放湿部(121)における水分脱着を繰り返すように構成することによって、ハニカムローター(108)の回転という簡単な操作で、吸湿部(120)における吸着剤(107)の水分吸着と、放湿部(121)における吸着剤(107)の水分脱着を容易に繰り返すことができ、除湿装置を安価に構成することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、従来の例と同一の構成要素については同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかる除湿装置の概略構成を示した図である。図1に示すように、除湿装置の本体101内に、圧縮機102、放熱器103、膨張機構104、吸熱器105を配管接続した冷媒回路106と、供給空気から吸湿する吸湿部120および供給空気に対して放湿する放湿部121を有する吸放湿手段119を設け、冷媒回路106内に冷媒117を充填している。また、本体101には吸込口112と第1吹出口1および第2吹出口2を開口し、送風ファン3の運転によって、除湿対象空間4から除湿対象空気116と放熱対象空気5を吸込口112より本体101内に供給する構成としている。そして、本体101内に供給された除湿対象空気116が、放熱器103、放湿部121、吸熱器105、吸湿部120に順に供給されて吹出口113より本体101外部に流出し、また、放熱対象空気5が放熱器103および吸湿部120に供給されて、第2吹出口2より本体101外部に流出するように風路を形成している。さらに、第2吹出口2には切替手段6を設け、第1吹出口1から流出する空気と第2吹出口2から流出する空気の混合または分離の切替えを可能にしている。そして、圧縮機102により冷媒117を圧縮することによって、冷媒117が、放熱器103、膨張機構104、吸熱器105の順に冷媒回路106内を循環し、放熱器103に供給される除湿対象空気116および放熱対象空気5に対して放熱するとともに吸熱器105に供給される除湿対象空気116から吸熱することによってヒートポンプ118を作動させる構成となっている。ここで、放熱器103は冷凍サイクルにおける、いわゆる凝縮器であり、吸熱器105は、いわゆる蒸発器である。
図2は、吸放湿手段119の詳細構成を示した図である。吸放湿手段119は、吸着剤107が担持された軸方向に通風可能な円筒状のハニカムローター108を備えており、このハニカムローター108を回動自在に回転軸7で支持している。そして、ハニカムローター108の外周にギア8を形成し、このギア8と回転駆動する駆動モーター9の歯車部10にベルト11を巻装している。また、吸湿部120に供給される除湿対象空気116と放湿部121に供給される除湿対象空気116の相互流通を抑制するように風路を仕切っており、駆動モーター9を駆動するとベルト11を介してギア8に駆動力が伝達してハニカムローター108が回転することになる。このハニカムローター108の回転によって吸着剤107は、吸湿部120における除湿対象空気116との接触と放湿部121における除湿対象空気116との接触を繰り返すことになる。この吸着剤107は、晒される空気の相対湿度が高ければ多くの水分を保持でき、相対湿度が低くなると保持可能な水分量が減少する特性を有しているので、相対湿度の異なる複数の空気との接触を繰り返せば、各々の相対湿度における吸着剤107の保持可能な水分量の差に応じて水分の吸脱着が行われることになる。ここで、吸湿部120で吸着剤107と接触する除湿対象空気116は、吸熱器105において冷媒117の吸熱により冷却された高い相対湿度の空気であり、放湿部121で吸着剤107と接触する除湿対象空気116は、放熱器103において冷媒117の放熱により加熱された低い相対湿度の空気であるので、この相対湿度の差によって、吸着剤107の吸脱着作用が為されて吸放湿手段119が作動することになるのである。次に除湿装置の動作を説明する。
図3は、図1に示した除湿装置の冷媒117の状態変化を示すモリエル線図(圧力−エンタルピ線図)である。図3に示した点A、点B、点C、点Dを矢符で結んだサイクルは、冷媒回路106内を循環する冷媒117の状態変化を示しており、冷媒117は圧縮機102において圧縮されることにより圧力とエンタルピが上昇して点Aから点Bの状態変化を行い、放熱器103において供給される除湿対象空気116および放熱対象空気5に対して放熱することによりエンタルピが減少して点Bから点Cの状態となる。次に膨張機構104において膨張して減圧することにより圧力が低下して点Cから点Dの状態変化を行い、吸熱器105において供給される除湿対象空気116から吸熱することによりエンタルピが増加して点Dから点Aの状態に戻る。このような冷媒117の状態変化により、吸熱器105において吸熱し、放熱器103において放熱するヒートポンプ118が動作し、この時、点Bと点Cのエンタルピ差に冷媒117の循環量を乗じた値が放熱器103における放熱量、点Aと点D(点C)のエンタルピ差に冷媒117の循環量を乗じた値が吸熱器105における吸熱量となり、放熱量と吸熱量の差、即ち点Bと点Aのエンタルピ差に冷媒117の循環量を乗じた値が圧縮機102の圧縮仕事量になる。
図4は、図1に示した除湿装置における除湿対象空気116の状態変化を示す湿り空気線図である。図4に示した湿り空気線図において、まず、点aの状態の除湿対象空気116が放熱器103に供給され、冷媒117の放熱により加熱されて点bの状態となる。点bの状態となった除湿対象空気116は、次に放湿部121に供給されてハニカムローター108に担持された吸着剤107が保有している水分を脱着することにより加湿されて、湿度が上昇するとともに温度が低下して点cの状態となる。点cの状態となった除湿対象空気116は、点aの状態の冷却対象空気2とともに吸熱器105に供給され、冷媒117の吸熱により露点温度以下まで冷却されて点dの飽和状態となる。この時に飽和した水分は凝縮水としてタンク122に回収される。点dの飽和状態となった除湿対象空気116は、吸湿部120に供給され、吸着剤107に水分を吸着されることによって除湿されて湿度が低下するとともに温度が上昇し、点eの状態の乾燥空気となって装置外部に排出される。以上の除湿対象空気116の状態変化において、吸熱器105において回収される凝縮水の量は、点cと点dの絶対湿度差に除湿対象空気116の重量換算風量を乗じた値となり、放湿部121における放湿量は、点cと点bの絶対湿度差に除湿対象空気116の重量換算風量を乗じた値となる。また、吸湿部120における吸湿量は、除湿対象空気116の重量換算風量に点dと点eの絶対湿度差を乗じた値となる。
以上の動作において、理想状態では、放湿部121の出口空気状態を示す点cは、吸湿部120の入口空気状態を示す点dと同一の相対湿度である点c'に近づき、吸湿部120の出口空気状態を示す点eは、放湿部121の入口空気状態を示す点bと同一の相対湿度である点e'に近づく。したがって点dの相対湿度を上昇させ、点bの相対湿度を低下させること、即ち、点dで示した吸湿部120への供給空気と点bで示した放湿部121への供給空気との相対湿度差を拡大することが吸放湿量を高めることになり、結果的に除湿効率が向上することになるのである。また、除湿対象空気116の重量換算風量に点aと点bのエンタルピ差を乗じた値が放熱器103における放熱量、点cと点dのエンタルピ差に除湿対象空気116の重量換算風量を乗じた値と点aと点dのエンタルピ差に冷却対象空気2の重量換算風量を乗じた値との加算値が吸熱器105における吸熱量となり、この放熱器103における放熱量および吸熱器105における吸熱量は、図2の冷媒117の状態変化から得られる放熱量および吸熱量と等しくなる。従って、放熱器103において除湿対象空気116のみでは不足する冷媒117の放熱分を放熱対象空気5が補うことによって点dを飽和空気線上でさらに低い温度まで下げることができ、点eの温度も下げることができる。すなわち放熱器103が放熱する熱のうち、放湿部120の水分放出に使われる熱以外の熱は余熱となる。また、吸湿部120に放熱対象空気5を流入させることにより吸湿部120における水分吸着量を増加させることができるので、放湿部121ではより多くの水分を放出できるようになる。一方、吸湿部120に流入する放熱対象空気5は水分を吸湿部120に吸着される際に吸着熱を与えられる。この吸着熱も余熱となる。(つまり除湿対象空気116の除湿に必要のない熱や除湿によって発生した熱がすべて余熱となる。)これら放熱器103および吸湿部120において余熱を与えられた放熱対象空気5は、第2吹出口2から吹出す構造としているので、第1吹出口から吹出す空気にその熱の影響を及ぼすことがない。このように、本体101外に吹出す風路と、本体101で発生する余熱を本体101外に放出する風路とを分離する分離手段12として第1吹出口1および第2吹出口2を設けることにより実現している。すなわち、放熱器103からの余熱および吸放湿手段119からの余熱を第2吹出口2から吹出すことにより温度を下げた風を第1吹出口1から分離して吹出すことができる。このように構成することにより、第1吹出口1から吹出す風は第2吹出口2から吹出す風よりも温度を低く抑えることができ、また点aの状態の除湿対象空気116よりも低い温度で第1吹出口より空気を吹出すことができる。
また、このように余熱を吹出す第2吹出口2と温度を低く抑えた空気を吹出す第1吹出口1を分けることにより、利用者がスポット的に冷風感がほしい時には、第1吹出口1からの空気を供給することによりこれが可能となる。しかも第1吹出口1から吹出す空気は除湿もなされているので、さらに清涼感を味わうことができる。
また、第1吹出口1に設置されている送風ファン3および第2吹出口2に配置されている送風ファン3の出力を調整、もしくは各風路内の圧力損失を調整することにより、第1吹出口1から吹出す空気を第2吹出口2から吹出す空気より多く吹出す構成とした場合、利用者は比較的温度の低い第1吹出口1からの空気を多く得ることができるので、体感的に冷風感を得やすくなる。
また、第1吹出口1に設置されている送風ファン3および第2吹出口2に配置されている送風ファン3の出力を調整、もしくは各風路内の圧力損失を調整することにより、第2吹出口2から吹出す空気を第1吹出口1から吹出す空気より多く吹出す構成とした場合、放熱対象空気5を増加させることができるので、本体内で余熱を効率的に第2吹出口2から放出し、図4中の点dを飽和空気線上でさらに下げることとなり、第1吹出口1からの流出空気をさらに低温にすることができる。利用者はさらに温度の低い第1吹出口1からの空気を得ることができるので、冷風感を得やすくなる。
また、上記、第1吹出口1から流出する空気と第2吹出口2から流出する空気を混合して吹出すモードと分離して吹出すモードを切替可能な切替手段6を設けているので、温度が高く除湿された空気が必要な場合、例えば衣類乾燥時、などには切替手段6を操作するだけで、必要な空気を供給することができる。切替手段6は第1吹出口1から吹出す空気と第2吹出口2から吹出す空気の混合と分離を切り替えられれば良く、例えばダンパー構造をなし、風路を遮蔽または開放することにより空気の混合と分離を切り替え可能な構造をしている。
切替手段6を手動で切り替え可能な構造とした場合には、利用者は好きなときに第1吹出口1から冷風を得るために、切替手段6を操作することができ、使い勝手のよい除湿装置とすることができる。
切替手段6を除湿対象空間4の温度、湿度の一方もしくは両方の値により自動で切替可能とすることもできる。この場合、除湿対象空気116の吸込口112の近傍に除湿対象空間4の温度を検出する温度検出手段(図示せず、サーミスター等の温度センサ等)および除湿対象空間4の湿度を検出する湿度検出手段(図示せず、高分子湿度センサ等の湿度センサ)を配置し、これらの検出手段の検出値により切替手段6の第1吹出口1からの空気と第2吹出口2からの空気の分離と混合を切り替える動作を制御する構造となっている。これにより、例えば、除湿対象空間4の温度が高い場合(夏場など)では切替手段6を分離する方向に動作させ、第1吹出口1からの冷風を得られるようにし、除湿対象空間4の温度が低い場合(冬場など)や湿度が高い場合(衣類乾燥など)では、切替手段6を混合する方向に動作させ、温度が高く除湿された吹出し空気を得られるようにしている。このように自動で判断して切替手段6を動作できるので、使い勝手のよい除湿装置とすることができる。さらに、上記の手動切替と自動切換えを併用するように構成してもよく、この場合、利用者によって手動と自動を選択可能とし、よりきめこまやかな制御が可能となり、使い勝手のよい除湿装置とすることができる。
また、除湿対象空間4から除湿対象空気116を本体101内部に取り入れ、第1吹出口1および第2吹出口2から流出する空気を除湿対象空間4に戻す構成としている。これにより除湿対象空気11は吸込口112から流入し、第1吹出口1から流出するまでに温度を下げて流出するので、除湿対象空間4の温度より低い温度で吹出すことができる。また、除湿対象空間4は室内であることが多く室外に比べると比較的温度が安定している。それゆえ除湿対象空間4の空気を除湿対象空気116として利用することにより第1吹出口1から吹出す空気も安定的に低温の空気を供給できる。さらに上述のように安定した温度の除湿対象空間4の空気を放熱対象空気5として利用することにより、本体101内の余熱(放熱器103、吸放湿手段119等から放熱)を効率よく放熱対象空気5に与えることができ、第1吹出口1から吹出す空気に余熱があたえる影響を少なくすることができる。
図5は本実施形態の冷媒回路に充填する冷媒として二酸化炭素を用いた場合の冷媒117の状態変化を示すモリエル線図(圧力−エンタルピ線図)である。図5に示した点A、点B、点C、点Dを矢符で結んだサイクルは、冷媒回路106内を循環する冷媒117としての二酸化炭素の状態変化を示している。二酸化炭素冷媒は、圧縮機102において臨界圧力よりも高い超臨界圧力まで圧縮されて点Aから点Bの状態変化を行い、次に、放熱器103において供給される除湿対象空気116に対して放熱するが、超臨界状態であるため放熱しても凝縮せずに温度が下がって点Bから点Cの状態となる。そして膨張機構104において膨張して減圧することにより圧力が低下して点Cから点Dの状態変化を行い、吸熱器105において供給される除湿対象空気116および冷却対象空気2から吸熱することによりエンタルピが増加して点Dから点Aの状態に戻る。二酸化炭素に例示される超臨界圧力で放熱する冷媒をヒートポンプ118の作動流体として用いた場合は、圧縮後の放熱器103における温度が高温となるのが特徴である。このため、放熱器103において加熱される除湿対象空気116の温度も高くなり、より低い相対湿度の状態で放湿部121に供給されるので、吸湿部120に供給される除湿対象空気116との相対湿度の差が拡大することになる。この相対湿度の差の拡大によって吸放湿手段119の吸放湿量が増加し、除湿効率が更に向上することになるのである。
以上、説明した構成および動作により、本実施形態の除湿装置は以下の効果を奏するものである。
除湿対象空気116を、放熱器103においてヒートポンプ118の放熱により加熱し、次に放湿部121において吸放湿手段119の放湿により加湿し、次に吸熱器105においてヒートポンプ118の吸熱により冷却し、次に吸湿部120において吸放湿手段119の吸湿により除湿することによって、吸湿部120に供給される除湿対象空気116と放湿部121に供給される除湿対象空気116との相対湿度差を拡大し、循環経路111を設けない単純な構成で吸放湿手段119の吸放湿量を増加することができる。さらに、本体101外に吹出す第1吹出口1と、本体101内で発生する余熱を本体101外に放出する第2吹出口2を設ける構造とすることによって、本体101内部で発生した余熱が第2吹出口2から放出されるので、第1吹出口1から吹出す空気は余熱の影響を受けにくくなり、吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
また、放熱器103から発生する余熱を第2吹出口2から本体101外に放出する構成としていることによって、放熱器103で放出する熱量の内、放湿部120に必要な熱量以外の余熱が第2吹出口2から放出されるので、第1吹出口1から吹出す空気は前記余熱の影響を受けにくくなり、第1吹出口1からの吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
また、吸放湿手段119から発生する余熱を第2吹出口2から本体101外に放出する構成としていることによって、吸放湿手段119の吸湿部120で吸湿する際に発生する熱を第2吹出口2から放出するので、第1吹出口1から吹出す空気は前記熱の影響を受けにくくなり、第1吹出口1からの吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
また、第1吹出口1からの吹出し温度が、第2吹出口2からの吹出し温度より低温となる構成としていることにより、第1吹出口1からの吹出し温度と第2吹出口2からの吹出し温度に温度差が生じ、しかも第1吹出口1からの吹出し温度がより低温であるので、第1吹出口1からの吹出し風に冷風感を持たせることができ、快適に感じる除湿装置を提供することができる。
また、第1吹出口1から吹出す空気が、除湿対象空気116より低温となるよう構成としていることにより、第1吹出口1からの吹出し温度と除湿対象空気116の温度に温度差が生じ、しかも第1吹出口1からの吹出し温度がより低温であるので、第1吹出口1からの吹出し風にさらに冷風感を持たせることができ、快適に感じる除湿装置を提供することができる。
また、第1吹出口1から吹出す空気流量が第2吹出口2から吹出す空気流量より多くなる構成とした場合には、第1吹出口1からの風量と第2吹出口2からの風量とに風量差が生じ、しかも第1吹出口1からの風量が多くなるので、第1吹出口1からの吹出し風に風速感をもたせた除湿装置を提供することができる。
また、第2吹出口2から吹出す空気流量が、第1吹出口1から吹出す空気流量より多くなる構成とした場合には、本体101内で発生する余熱がより多く本体101外に放出されることになるので、第1吹出口1から吹出す空気は、より本体101内で発生する余熱の影響を受けにくくなり、より第1吹出口1からの吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
また、第1吹出口1から吹出す空気と第2吹出口2から吹出す空気が混合可能な構成とし、混合または分離を切り替える切替手段6を備えていることにより、第1吹出口1から吹出す空気と第2吹出口2から吹出す空気を混合するか分離するかを切替可能となり、第1吹出口1から吹出す空気と第2吹出口2から吹出す空気が混合し温度が高く湿度の低い空気を得るモードと、温度上昇が少ない空気と、余熱を含む空気を分離するモードを選択可能となり、使い勝手の良い除湿装置を提供することができる。
また、切替手段6は手動で切り替え可能な構造とすることにより、利用者が好みに応じて、第1吹出口1から吹出す空気と第2吹出口2から吹出す空気を混合するか分離するかを切替えることができるようになるので、第1吹出口1から吹出す空気と第2吹出口2から吹出す空気が混合し温度が高く湿度の低い空気を得るモードと、温度上昇が少ない空気と、余熱を含む空気を分離するモードの選択を利用者が自由に切替え可能となり、使い勝手の良い除湿装置を提供することができる。
また、切替手段6は、除湿対象空間4の温度と湿度の両方またはどちらか一方の値により自動で切り替わる構造としていることにより、除湿対象空間4の温度および湿度から最適な運転モードを判断し、自動で第1吹出口1から吹出す空気と第2吹出口2から吹出す空気を混合するか分離するかを切替えることができるようになるので、第1吹出口1から吹出す空気と第2吹出口2から吹出す空気が混合し温度が高く湿度の低い空気を得るモードと、温度上昇が少ない空気と、余熱を含む空気を分離するモードの選択に関して、つねに快適なモードでの運転が可能な除湿装置を提供することができる。
また、第2吹出口2から吹出す空気を除湿対象空間4から取り入れる構成とした場合には、安定した温度の除湿対象空間4の空気を余熱を放出するために使用できることになるので、余熱の放出効率が良くなり、第1吹出口1から吹出す空気は余熱の影響を受けにくくなり、吹出し温度を低く抑えた除湿装置を提供することができる。
また、第1吹出口1から吹出す空気を除湿対象空間4から取り入れる構成とした場合には、安定した温度の除湿対象空間4の空気を除湿対象空気として使用できることになるので、非除湿対象空間13の温度の影響を受けることなく、除湿を行うことができ、また、第1吹出口1から温度を抑えた吹出し空気を吹出すことのできる除湿装置を提供することができる。
また、冷媒117が放熱器103において超臨界圧力にて放熱を行う構成とすることによって、放熱器103において除湿対象空気116を更に高温に加熱し、放湿部121に供給される除湿対象空気116と吸湿部120に供給される除湿対象空気116との相対湿度差を拡大することができる。これにより吸放湿手段119の吸放湿量を増加して更に効率の良い除湿を行うことができる。
また、放熱器103において除湿対象空気116を更に高温に加熱し、放湿部121に供給される除湿対象空気116と吸湿部120に供給される除湿対象空気116との相対湿度差を拡大することができる。これにより吸放湿手段119の吸放湿量を増加して更に効率の良い除湿を行うことができる。
また、吸放湿手段119を、ハニカムローター108に担持された吸着剤107が、吸湿部120において除湿対象空気116から水分を吸着するとともに放湿部121において除湿対象空気116へ水分を脱着するようにハニカムローター108を配し、ハニカムローター108の回転により、吸湿部120における水分吸着と放湿部121における水分脱着を繰り返すように構成することによって、ハニカムローター108の回転という簡単な操作で、吸湿部120における吸着剤107の水分吸着と、放湿部121における吸着剤107の水分脱着を容易に繰り返すことができ、除湿装置を安価に構成することができる。
図6は、本実施形態において放熱対象空気116を非除湿対象空間13から取り入れ、第2吹出口2から吹出す空気を非除湿対象空間13に供給する場合の除湿装置について概略構成を示した図である。図6に示すように非除湿対象空間13から取り入れ、放熱器103および吸放湿手段119の余熱を与えられた放熱対象空気5は、第2吹出口2から再び非除湿対象空間13に吹出される。これにより、本体101内で発生する余熱はすべて非除湿対象空間13の空気により処理されるため、除湿対象空気116に余熱の影響を及ぼすことがない。一方、除湿対象空間4から本体101内に取り入れた除湿対象空気116は放熱器103、放湿部121、吸熱器105、吸湿部120を経て温度および絶対湿度を下げられて第1吹出口1から除湿対象空間4に戻される。このように構成することにより、第1吹出口1からの冷風のみを除湿対象空間4で循環することができるので、除湿対象空間4を冷却しながら、しかも除湿できる空調機として除湿装置を構成することができる。さらに除湿対象空間4と非除湿対象空間13の間で空気の授受がなく、熱ロスの少ない除湿装置とすることができる。また、図示していないが、第2吹出口2から吹出す空気を除湿対象空間4に供給した場合、非除湿対象空間13の空気を除湿対象空間4に取り入れることが可能となり、換気のできる空調機として除湿装置を構成することができる。
以上、説明した構成および動作により、本実施形態の除湿装置は以下の効果を奏するものである。
第2吹出口2から吹出す空気を非除湿対象空間13に供給する構成とすることにより、本体101内部で発生した余熱を非除湿対象空間13に放出することになるので、第1吹出口1からの吹出し温度を低く抑えられた空気のみを除湿対象空間4に供給することができるので除湿対象空間4の温度上昇を抑えることができる除湿装置を提供することができる。
また、第2吹出口2から吹出す空気を非除湿対象空間13から取り入れる構成とすることにより、第2吹出口2からの吹出し空気を除湿対象空間4に吹出す場合には、非除湿対象空間13からの空気を除湿対象空間4に取り入れることになるので、除湿と同時に換気もできる除湿装置を提供することができ、また、第2吹出口2からの吹出し空気を非除湿対象空間13に吹出す場合には、除湿対象空間4の空気を使用せずに本体101内部の余熱を放出できることになるので、除湿対象空間4への除湿対象空間4以外からの空気の流入を無くすことができる除湿装置を提供することができる。
図7は、本実施形態において放熱対象空気5を除湿対象空間4から取り入れ、第2吹出口2から吹出す空気を非除湿対象空間13に供給し、除湿対象空気11を非除湿対象空間13から取り入れ、第1吹出口1から吹出す空気を除湿対象空間4に供給する場合の除湿装置について概略構成を示した図である。図7に示すように除湿対象空間4から取り入れ、放熱器103および吸放湿手段119からの余熱を与えられた放熱対象空気5は第2吹出口2から非除湿対象空間13に供給される。一方、非除湿対象空間13から本体101内に取り入れられた除湿対象空気116は放熱器103、放湿部121、吸熱器105、吸湿部120を経て温度を下げられるとともに絶対湿度を低下された空気が第1吹出口1から除湿対象空間4に供給される。これにより、除湿対象空間4と非除湿対象空間13の空気を交換しながら除湿対象空気116を除湿、冷却できるので、換気と冷房と除湿のできる空調機として除湿装置を構成することができる。また、比較的温度の安定している除湿対象空間4の空気を放熱対象空気5として利用できるので、本体101内の余熱の放出を効率よく行えるので、第1吹出口1から吹出す空気に本体101内の余熱の影響を及ぼすことがない。よって、さらに温度を低く押えた空気を第1吹出口1から除湿対象空間4に供給することができる。
以上、説明した構成および動作により、本実施形態の除湿装置は以下の効果を奏するものである。
第1吹出口1から吹出す空気を非除湿対象空間13から取り入れる構成とすることにより、非除湿対象空間13からの空気を除湿対象空気11とし除湿した後、除湿対象空間4に取り入れることになるので、除湿と同時に換気もできる除湿装置を提供することができる。
このように、本発明によれば、第1吹出口1から温度を低く抑えた空気を吹出し、利用者が供給空気を温度が低く除湿のされた空気か温度が高く除湿された空気かを任意に選択できる除湿装置を提供し、また、循環経路111のない単純な構成で、効率の良い除湿が行える除湿装置を提供することができる。
なお、本実施形態のハニカムローター108に担持する吸着剤107としては、吸湿性があってハニカムローター108に担持でき、さらに水分脱着のためにある程度の耐熱性がある物質であれば良く、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機質の吸着型吸湿剤、有機高分子電解質(イオン交換樹脂)などの吸湿剤、塩化リチウムなどの吸収型吸湿剤等を用いることができる。さらに吸着剤107は1種類に限るものではなく、上述した吸着剤107の2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、本実施形態の冷媒回路106に充填する冷媒117としては、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等を用いることができる。
また、切替手段は第1吹出口1に配置されていてもよく、作用効果に差異はない。
また、本実施の形態では第1吹出口1および第2吹出口2はそれぞれ1個ずつ設けているが、複数個設けることもでき、作用効果に差異はない。
また、吸湿部120からの余熱、放熱器103からの余熱に関して説明してきたが、その他の、送風ファン3のモーター(図示せず)、圧縮機102、電装基盤(図示せず)などからの排熱も第2吹出口2から放出する構成としてもよく、作用効果に差異はない。