JP4661069B2 - 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、種結晶または基板を用いて形成される単結晶または塊状結晶からなる第13族金属窒化物結晶の製造方法および該製造方法を用いた半導体デバイスの製造方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)に代表される第13族金属の窒化物は、発光ダイオード、レーザダイオード、高周波対応の電子デバイス等で使用される物質として有用である。現在、公知の方法で製造されるGaN結晶サイズは10mm程度であり(応用物理第71巻 第5号 p548(2002))、半導体デバイスへの応用は不十分である。実用的なGaN結晶の製造方法としては、サファイア基板または炭化珪素等のような基板上にMOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法により気相エピタキシャル成長を行う方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、上記方法では、格子定数および熱膨張係数の異なる異種基板上にGaN結晶をエピタキシャル成長させるため、得られたGaN結晶には多くの格子欠陥が存在する。そのような格子欠陥が多く存在するGaN結晶を用いた場合、電子素子の動作に悪影響を与え、青色レーザ等の応用分野で用いるためには満足すべき性能を発現することはできない。このため、近年、基板上に成長したGaNの結晶の品質の改善、GaNの塊状単結晶の製造技術の確立が強く望まれている。
現在、気相法によるヘテロエピタキシャルGaN結晶成長法では、GaN結晶の欠陥濃度を減らすために、複雑かつ長い工程が必要とされる。このため、最近では、GaNの単結晶化について精力的な研究がなされており、高温、高圧下で窒素とGaを反応させる高圧法(非特許文献2参照)、GaとNaN3とを昇圧下で反応させる方法(非特許文献3) 、フラックス成長法(非特許文献4参照)などが提案されている。一方、溶融塩中で電極 にしたGa表面で窒素イオンを酸化させてGaNを生成させようとの試みがなされているが(第29回溶融塩化学討論会要旨集(1997) p11)、工業化に至るプロセスは確立されていない。さらに、アモノサーマル法によるGaNの合成法(非特許文献5参照)も報告されているが、結晶サイズと格子欠陥数などに問題があり、工業化されるに至っていない。
J. Appl. Phys. 37 (1998) 309頁 J. Crystal Growth 178 (1977) 174頁 J. Crystal Growth 218 (2000) 712頁 応用物理 第71巻 第5 号(2002)548頁 Acta Physica Polonica A Vol.88 (1995) 137頁
上記のように、気相法による基板上へのヘテロエピタキシャル結晶成長法では格子欠陥の少ない第13族金属の窒化物結晶は得られない。さらに、他の高圧を用いる方法では装置が大掛かりとなり、経済性は低い。さらに、超臨界状態のアンモニアを使うアモノサーマル法では装置や使う材料が非常に高価である。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、低圧または常圧で良質のGaN結晶等の第13族金属窒化物結晶の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明のもう一つの目的は、前記製造方法を用いた発光ダイオード、レーザダイオード、高周波対応の電子デバイスなどの半導体デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、工業的に利用可能であり、さらに経済的な方法により、半導体デバイスに応用可能な結晶サイズを有し、かつ高品質な金属窒化物結晶を成長させる方法につき鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、以下の第13族金属窒化物結晶の製造方法により達成される。
(1) 基板と該基板と隣接する相との界面に形成される液層に、周期表第13族金属(以下「第13族金属」という)原子を含有するイオン供給する物質と窒素原子を含有するイオン供給する物質とから第13族金属原子を含有するイオン及び窒素原子を含有するイオンを連続的に供給し、前記液層内でこれらのイオンを反応させて前記基板上に第13族金属窒化物結晶を形成することを特徴とする第13族金属窒化物結晶の製造方法(ここで、前記液層は溶融塩からなる液層であり、また、前記基板と隣接する相は、第13族金属、前記窒素原子を含有するイオン供給する物質、前記溶融塩から蒸発した気体、不活性ガスの少なくともいずれかからなる相である)。以下では、第13族金属原子を含有するイオンを供給する物質を第13族金属イオン供給物質といい、窒素原子を含有するイオンを供給する物質を窒素イオン供給物質という。
(2) 前記基板と隣接する相が、液体Ga、固体Al、気体の塩化ガリウム、不活性ガス、Li3Nと溶融塩との混合物、または第13族金属と固体のLi3Nからなる相であることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3) 前記基板と隣接する相が、第13族金属からなることを特徴とする(1)または(2)に記載の製造方法。
(4) 前記窒素イオン供給物質を第13族金属を通過させて前記液層に供給することを特徴とする(3)に記載の製造方法。
(5) 前記第13族金属イオン供給物質を電気化学的なアノード溶解により前記液層に供給することを特徴とする(3)または(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6) 前記液層が前記イオン供給物質の一方を含有し、該液層に前記イオン供給物質の他方を気相から供給して、前記液層に溶解させて反応を行うことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7) 前記イオン供給物質の一方を溶解した液体を基板表面に供給することにより前記液層を膜状に形成し、該膜状の液層中で前記イオン供給物質の他方と反応させることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8) 前記イオン供給物質を生成するために、電気化学反応を少なくとも一部の反応として用いることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9) 前記窒素イオン供給物質を生成するために、溶融塩中に窒素ガスとアルカリ金属または窒素化合物を導入することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10) 前記第13族金属イオン供給物質として、第13族金属とハロゲンガスとを溶融塩中で反応させたもの、または第13族金属のハロゲン化物を溶融塩中に溶解させたものを用いることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(11) 前記溶融塩として、第13族金属よりイオン化傾向が高い金属塩を用いることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12) 前記溶融塩として、アルカリ金属塩を用いることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13) 前記溶融塩として、金属ハロゲン化物を用いることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14) アノード室とカソード室内で前記両イオン供給物質を別々に生成することを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
本発明のもう一つの目的は、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の製造方法により第13金属窒化物結晶を製造する工程を有する半導体デバイスの製造方法により達成される。
本発明の製造方法は、基板表面と該基板表面に隣接する化合物からなる相との界面に形成される液層、好ましくは溶融塩からなる層に対して、第13族金属イオン供給物質と、窒素イオン供給物質とを連続的に供給して反応させることにより、厚膜状またはバルク状の結晶を効率よく作製できる。これにより本発明によれば、従来技術のような高温、高圧工程を経ることなく、かつ反応容器もシリカガラス等の安価な容器を用いて、半導体デバイスに応用するのに十分なサイズを有する第13族金属窒化物結晶を製造できる。
本発明の半導体デバイスの製造方法は、本発明の第13族金属窒化物結晶を製造する工程を有する。これにより本発明によれば、高周波対応可能な半導体デバイスを製造することができ、産業的に大きなメリットがある。
以下に、本発明の第13族金属窒化物結晶の製造方法およびその製造方法を用いた半導体デバイスの製造方法について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において「基板表面」とは、基板表面のほか、形成された第13族金属化合物結晶表面も含まれる。
[第13金属窒化物結晶の製造方法]
本発明の製造方法は、第13族金属イオン供給物質と窒素イオン供給物質とを基板と該基板と隣接する化合物からなる相との界面の間に形成される液層に供給し、両イオン供給物質から供給される第13族金属原子を含有するイオンと窒素原子を含有するイオンとを前記液層内で反応させることにより、厚膜状またはバルク状の第13族金属窒化物の結晶を成長させることができる。
本発明で用いられる基板は、表面上に液層を形成でき、かつ該液層で第13族金属窒化物結晶を成長させることが可能であれば特に限定されない。例えば、サファイア、シリカ、ZnO、BeOどの金属酸化物、SiC、Siなどの珪素含有物、GaN、InGaN、AlGaN等の13族金属窒化物の平板状のもの、あるいは棒状の種結晶を基板として用いることができる。中でもサファイア、ZnO、GaN、AlNを基板として用いることが好ましい。また、棒状の種結晶を用いた場合には、最初に前記液相を種結晶部分のみで作製し、主に水平方向に結晶成長を行い、その後、垂直方向に結晶成長を行うことによってバルク状の結晶を作製することもできる。
本発明で用いられる基板と隣接する化合物からなる相としては、例えば、液体のGaや固体のAlからなる相、気体の塩化ガリウム、溶融塩から蒸発した気体や不活性ガスである窒素やアルゴンからなる相、また、窒素イオン供給物質である固体状のLi3Nや、Li3Nの小塊と溶融塩との混合物からなる相などが挙げられ、中でも良質な第13金属窒化物結晶を得る観点からは第13族金属や固体のLi3Nからなる相を用いることが好ましい。
本発明において、基板と該基板に隣接する化合物との界面に形成される液層は、第13族金属イオン供給物質と窒素イオン供給物質から供給される第13族金属原子を含有するイオンと窒素原子を含有するイオンとを反応させ、膜状またはバルク状の第13族金属窒化物を生成し得るものであれば特に制限されないが、イオン性の融体である溶融塩を用いることが好ましい。
上記溶融塩は、第13族金属イオン供給物質と窒素イオン供給物質から供給される第13族金属原子を含有するイオンと窒素原子を含有するイオンとの反応の進行を阻害しないものであれば特に制限なく、例えば、ハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、アルカリ金属との窒化物、イオウ化物等が挙げられるが、両イオン供給物質となる化合物を溶解可能なものが好ましい。また上記溶融塩は、第13族金属イオンとの交換反応や、窒素イオンの生成反応に供されるような化合物であることが好ましい。そのような観点から、上記溶融塩は、第13族金属よりイオン化傾向が高い金属塩であることが望ましく、好ましくはLi、Na、Kなどのアルカリ金属塩またはMg、Ca、Srなどのアルカリ土類金属塩であり、より好ましくはアルカリ金属塩であり、特にLi塩またはNa塩であることが好ましい。さらに、上記溶融塩は、LiCl、KCl、NaCl、CaCl2、BaCl2、CsCl、LiBr、KBr、CsBrなどの金属ハロゲン化物であることも好ましく、第13族金属イオンと錯体を形成する観点からLiCl、KCl、NaCl、CsClおよびそれらの混合塩のいずれかであることがさらに好ましい 。
上記溶融塩に水等の不純物が含まれている場合、反応性気体を吹き込んで予め溶融塩を精製しておくことが望ましい。反応性気体としては、例えば、塩化水素、ヨウ化水素、臭化水素、塩化アンモニウム、塩素、ヨウ素などを挙げることができ、塩化物の溶融塩に対しては、特に塩化水素を用いることが好ましい。
本発明では、前記液層は基板と該基板に隣接する化合物との界面に形成される。例えば、液層が溶融塩からなる層であり、基板と隣接する化合物が第13族金属である場合には、サファイア等の基板と溶融塩中の第13族金属の界面の間に、表面張力を利用して薄膜状の溶融塩を侵入させることにより、溶融塩からなる液層を形成できる。
第13族金属がGaのような低融点の液体である場合には、Ga金属の表面に基板を置くと、基板表面と液体Ga金属の間に溶融塩が入り込み、薄膜状の溶融塩からなる液層を形成できる。この状態で、Ga金属をアノードにすれば、液層中にGa金属が容易にイオンとなって溶出する。また、液層中に窒素イオン供給物質を供給する場合、窒素イオン供給物質を液体Ga金属側から液体Ga金属を通過させて液層中に溶け込ませて供給すると、窒素イオンを含んだ溶融塩の密度が液体Ga金属よりも小さいため、液体Ga金属の中で粒状となってGa金属中を上昇して液層(薄膜状の溶融塩)に達する。このようにして両イオンを液層中で反応させることができる。
本発明において、第13族金属イオン供給物質と窒素イオン供給物質から供給される第13族金属原子を含有するイオンと窒素原子を含有するイオンとの反応は、前記液層内で行われるが、該反応は溶融塩中で行われることが好ましい。両イオンの反応温度は、通常100〜1000℃程度であり、好ましくは300〜600℃程度である。
第13族金属としてAlを用いる場合、上記の反応温度ではAlは固体である。この場合には、Alに多数の細孔を開けておくと窒素イオン供給物質を含有する溶融塩をAlの下面から液層(薄膜状の溶融塩)に供給できる。
本発明の製造方法で用いられる第13イオン供給物質としては、周期表第13族(IIIB族)の金属を含む全ての化合物が挙げられるが、中でもAlイオン、Gaイオン、Inイオンを供給する化合物であることが好ましい。これらのイオン供給物質は単独または複数を組み合わせて用いることができる。
第13族金属イオン供給物質は、溶融塩に溶解させたものを用いることができる。溶融塩に溶解させたイオン供給物質を用いると、反応速度を促進できるため好ましい。 また、ドーピングが目的の元素としは、第13金属以外の物質でも、溶融塩に溶解するものであれば、これらのプロセスの中で同時に添加することができる。
また、第13族金属イオン供給物質として、第13族金属とハロゲンガスを溶融塩中で反応させたもの、または第13族金属のハロゲン化物を用いることもできる。第13族金属とハロゲンガスの反応物または第13族金属のハロゲン化物としては、例えば、GaClx、AlClx、InClx(但し、x=1〜3であり、xの値は生成温度による)が挙げられる。
第13族金属イオン供給物質を生成させる方法としては、電気化学反応による方法、金属単体とハロゲンガスを反応させる方法、第13族金属塩を反応系に導入する方法などを例示できるが、Li3N等の粉末は吸湿性があり、原料として用いると水分等を含みやすいため、反応系外からの水分等の不純物の混入を防ぐ観点から、Li3Nをあらかじめるつぼなどで加熱溶融した後に固化したもの、あるいは本発明では中でも少なくとも一部の反応として電気化学反応による方法を用いることが好ましい。電気化学反応の電流強度、電流供給時間などの諸条件は使用するイオン供給物質に応じて適宜決定することができる。
本発明で用いる窒素イオン供給物質として、上述したアルカリ金属またはアルカリ土類金属と窒素ガスとを溶融塩中で反応させたものを用いることができる。また、窒素原子を含有する金属化合物の溶融塩を使用する場合以外は、通常、溶融塩中に窒素ガス、またはアンモニア、メチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アミンなどの窒素化合物が用いられ、特に窒素ガスをアルカリ金属と溶融塩中で反応させて用いることが好ましい。一方、上記溶融塩が窒素原子を含有する化合物、例えばLi3Nである場合には、窒素イオン供給物質としてそのまま用いることもできるが、液体のLi3Nは極めて活性で適当な容器がないこと等、安定性の観点から塩化物等の他の溶融塩に溶解させて用いることが好ましい。
本発明において、第13族金属イオンと窒素イオンとの液層への供給は、第13族金属を通過させて行うことが好ましい。また、窒素イオン供給物質がバルクの浴中にある場合には、窒素イオン供給物質を第13族金属を通過させて液層に供給するとともに、第13族金属イオン供給物質を電気化学的なアノード溶解しながら、基板を溶解した第13族金属界面上で移動させて供給することにより、それぞれのイオン供給物質が基板と第13族金属との間に形成される薄膜状の液層内で第13族金属原子を含有するイオンと窒素原子を含有するイオンを供給し、これらのイオンを反応させることができ、その結果、第13族金属窒化物結晶の成長が起こる。
本発明において、第13族金属原子を含有するイオンと窒素原子を含有するイオンとの反応は、基板または第13族金属窒化物結晶と第13族金属との間に形成される薄い液層内で行うが、一般に第13族金属窒化物の結晶成長において、窒素原子が入り難い場合が多く、窒素イオン供給物質が過剰に存在していた方が高品質の結晶が得られる場合が多いため好ましい。また、前記反応は、第13族金属イオン供給物質と窒素イオン供給物質とを非化学両論組成比で混合させて行うこともできる。例えば、GaCl3:Li3N=1:2で行うことができる。
また、本発明では、第13族金属原子を含有するイオンと窒素原子を含有するイオンとの反応は、第13族金属イオン供給物質と窒素イオン供給物質とを溶解した溶液を基板表面上に供給し、該基板表面上で膜状の液層を形成し、該膜状の液層内で反応させることもできる。
また本発明で電気化学的な反応を一部に用いる場合には、両イオンの反応は、アノード室とカソード室とが隔膜により分離され、前記イオン供給物質を別々に生成する状態で行うことが好ましい。また、アノード室と前記カソード室とを別に設けられた部屋で反応を制御しながら独立して上記反応を行い、窒化物の単結晶を別室で成長させることもできる。
本発明の製造方法により得られる第13族金属窒化物結晶は、単独金属のナイトライド(例えば、GaN、AlN、InN)または合成組成のナイトライド(例えば、GaInN、GaAlN)であり、特にGaNの結晶製造方法として好適に用いることができる。第13金属窒化物の結晶成長は、種結晶を用いてまたは基板上に結晶を成長させることにより行うことが好ましい。
次に、本発明の製造方法を図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
図1(a)および(b)は、本発明で用いられる第13族金属窒化物結晶成長のための製造装置の構成例を示す図である。図2は、溶融塩の精製装置の概略説明図であり、結晶成長に用いられる溶融塩は、あらかじめこの装置により精製(主として脱水)される。図3(a)〜(c)および図4は、本発明で用いられる図1とは別の態様の第13族金属窒化物結晶成長のための製造装置の構成例を示す図である。さらに、これらの装置を組み合わせたいくつかの装置も本発明の範囲内である。
塩化物等の溶融塩は、一般に吸湿性が強く、多くの水分を含んでいる。水が溶融塩中に含まれると、電解セル中でGaの酸化物を形成してしまうため好ましくない。また、溶融塩に水分が含まれていると、セルに石英ガラス等が使用されている場合には、失透して破損するため石英ガラスは使用できない。
そこで、図2に示すような試料密封型の前処理装置(溶融塩、熱技術の基礎、(株)アグネ技術センター発行p266参照)を用いて、予め水、 その他の不純物を取り除いておくことが好ましい。
図2に示すように、精製しようとする金属塩を精製容器20中に入れ、真空下またはガス排出口21から精製容器20内を真空に引きながら、塩精製装置用電気炉25の温度を昇温させ、その後、アルゴンガス等の不活性ガスまたは塩化水素ガス等の反応性ガス雰囲気に切り替えて金属塩を溶融させる。その後、溶融状態の金属塩に、塩化水素ガス等の反応性ガスをガス導入管22から約1時間以上吹き込み、多孔質フィルター23を介して金属塩中でパブリングを行う。処理後は、ガス導入管22側を減圧し、場合によっては真空またはガス排出口21側に不活性ガスを用いて圧力をかけると、溶融塩は試料溜め24に溜まる。冷却後、真空状態にして試料溜め24の上部を封じ切ることで、精製試料を真空封入して保存できる。なお、溶融塩中に上記方法では除去できない重金属等が含まれている場合には、この塩をさらにゾーンメルト法によって精製することが好ましい。
図1(a)に示すように、電解セルの石英製容器1中に精製した3元共晶塩LiCl−KCl−CsCl等の低融点をもつ溶融塩を入れる。Ga金属表面から浴中にGaイオン供給物質を溶解するときに偏りがないようにするため、アノード室15の底部にはGa金属6を入れ、Ga金属6中にカーボン電極棒2を電解浴15を介さずに直接差し込む。なお、連続的に電解を行い、結晶を成長させる場合には、Ga金属6をセル外部から供給できるようにすればよい。
基板4は、例えばサファイア基板等を用いることができ、石英等の基板支持棒3の先端に固定されて、基板4の底面がGa金属6と溶融塩との界面と一致するように配置される。このように配置することにより、Ga金属6と基板4の間に溶融塩薄膜5を形成できる。また、基板4は、溶融塩薄膜5の厚さと薄膜内におけるイオンの濃度分布を改善するために、基板回転機構19により回転可能とし、また場合によっては基板の水平方向の位置を移動できるようにすることが好ましい。また、基板回転機構19により回転しながら低速で上に持ち上げることによりバルク状のGaNを引き上げることができる。
溶融塩薄膜5へのイオンの供給は、GaイオンはGa金属6のアノード溶解により溶融塩薄膜5に直接供給される。一方、窒素イオンは、カソード室16で作製され、連結管9からGa金属6中に供給される。なお、基板4の外に出ている部分のGa金属は、適当な石英等の絶縁体8で表面を覆っておくことが好ましい。窒素イオンを含む溶融塩7は、小さな粒状となってGa金属6中を上昇し、溶融塩薄膜5に到達し、窒素イオン供給物質から供給される窒素原子を含有するイオンとGaイオン供給物質から供給されるGa原子を含有するイオンとが反応する。
カソード室16には、タングステンのリード線にNiでロウ付けされた網状タングステン電極12とガス導入管10が設置されており、網状タングステン電極12の下から窒素ガス11が吹き込まれる。網状タングステン電極12で析出した金属リチウムは、窒素と反応して窒化リチウムとなり、溶融塩に溶解された状態でカソード室16の上部に溜まる。カソード室16の上部に設けられた採取口13から吸い込まれた窒素イオンを含む溶融塩7は、ピストン14によって連絡管9を通ってアノード側のGa金属6中に供給される。
反応としては、上記の溶融塩であれば、アノード室15では、電気化学反応によりGa金属と溶融塩との間では以下の反応(1)が起こる。
溶融塩中では、GaCl3は錯イオンを形成すると考えられ、これがGa原子を含有するイオン(Ga(III)イオン)となる。
また、カソード室16では、上記の溶融塩であれば、電気化学反応によりLiが生成され、溶融塩中に吹き込まれている窒素ガスと以下の反応(2)が起こる。
なお、溶融塩中にNaが含まれている場合には、電解反応でLiよりもNaが先に析出することになるが、この場合は、Liの代わりにNaがGaNの生成に関与することになる。また、反応(2)において、窒素と未反応のLi金属の量が増えると、セルのガラスと反応してセルが破損するので、カソード室16の電極はネット状として析出した微小なLi金属と直ちに反応してLi3Nを生じるようにすることが好ましい。生成したLi3Nは、溶融塩中ではLi+イオンと窒素原子を含有するイオンであるN3-になり得る。
上記の反応(1)および(2)において、アノード室15とカソード室16における生成物は、それぞれGaCl3とLi3Nであり、これらの生成物は溶融塩中で溶解していることが好ましい。すなわち、前記生成物は、固体として析出しない濃度に制御されていることが好ましく、イオンとして溶解していることがさらに好ましい。また、アノード室15とカソード室16を分離した状態で電解反応が安定して進むように、それぞれの生成物が互いに混合せず、しかもLiイオンがアノード室15からカソード室16にマイグレーションできるように多孔質隔膜17を設けることが好ましい。
溶融塩薄膜5中においては、下記の反応(3)により上記のGaイオン供給物質から供給されるGa原子を含有するイオンと窒素イオン供給物質から供給される窒素原子を含有するイオンとが反応してGaNを生成する。反応(3)において、Li3N のLiはGaNを生成した後に元の溶融塩に戻る。
結局、総括反応としては下記反応(4)となり、Gaメタルと窒素ガスからGaNが生成することになる。
本発明の反応において、電気化学的反応以外の方法を用いる場合、電気化学的反応によりアノード室15で生成されるGaCl3とカソード室16で生成されるLi3Nを外部から溶融塩中に供給できる。但し、粉体で直接供給するような場合には不純物が入り込む可能性が高いため、この場合には溶融塩に投入する前または後に精製工程を行うことが好ましい。高純度のイオン供給物質用の化合物を溶融塩中で生成するためには、外部から導入する元素としては、ガス状の元素、例えば塩素、窒素等が好ましく、溶融塩中に保持したGa金属、Li金属と反応させてGaCl3、Li3Nをそれぞれ生成させることが好ましい。つまり、第13族金属窒化物結晶を成長させるために必要なイオン性の反応源は、溶融塩の中で生成することが好ましく、結晶の成長に合わせて、その生成量を時間的に制御できることがさらに好ましい。
また、一般にGaNの結晶成長においては窒素原子が入り難い場合が多く、しばしば上記反応(3)で、窒素イオン供給物質が過剰に存在していた方が高品質の結晶が得られる場合が多い。そこで、例えば、図1a)で、アノード室15のカーボン電極棒2を複数本使用し、何本かをGa金属6中に直接挿入し、もう残りをアノード室15の溶融塩中に挿入して、Ga金属6の溶解量を制御することが好ましい。この場合、溶融塩中にあるカーボン電極棒2からは、塩素が発生する。この場合、溶融塩薄膜5内でバルクの厚膜にならずにアノード室15に拡散していった不要な微粉状のGaNがある場合、アノード室15でこのようにして塩素を発生させることで分解するといった効果を持たせることもできる。
図1(b)は、図1(a)において、Ga金属のアノード溶解の代わりに溶融塩にGaのハロゲン化合物44を溶かしたものを導入管43から溶融塩薄膜5へ、溶融Ga金属45中において供給可能としたものであり、アノード室15側の反応としては、溶融Ga金属45中で塩素ガスが発生している。また、これらの製造方法でサファイア基板の代わりにZnO基板やGaN基板を用いることもできる。
結晶成長用セル1内の温度は、図1(a)および(b)に示すように、電解セル用電気炉18により、通常250〜1000℃程度に維持される。結晶成長用セル1内の温度や温度分布等は、使用される溶融塩の系、アノード、カソードでの反応生成物の濃度、成長したGaN単結晶の品質等により最適な条件が選ばれるが、Si等の単結晶引き上げ装置のように微妙な温度分布やそれらの温度を精密に制御する必要はない。また、場合によっては、アノード、カソードの温度は別々に制御してもよく、このようにして、GaN単結晶の連続的な成長が行われる。
上記製造装置は、図1(a)および(b)に示すように、通常、電解セル用電気炉18内に設置されるが、生成したGaNの解離圧は、生成の自由エネルギーから計算すると650℃で1気圧となり、一般には、大気圧で650℃以上の温度になると分解が始まるといわれている。しかし、本発明であれば、溶融塩中で大気圧750℃の温度であってもGaNがGa金属と窒素ガス等に分解することはない。また、アノード室15で生成されるGaCl3は、単独では蒸気圧の高い物質であるが、昇圧することなく大気圧でも溶融塩中で安定して存在する。これは、生成されるGaCl3が溶融塩中で溶解して錯イオンを形成して、安定したGaイオンとなり得るためであると推定される。また、こうした溶融塩は、GaNも極わずかではあるが溶解するため、結晶成長の固液界面において、再溶解、再結晶を繰り返し、結晶の高品質化に極めて重要な役割を果たす。したがって、溶融塩の系もGaNに対してできるだけ大きな溶解度を持つものが好ましい。さらに、低融点の溶融塩を適宜選択すれば、GaNの成長速度、結晶品質等を考慮しながらアノード反応、カソード反応、または結晶成長の温度を十分広い範囲で、またそれらを独立して制御することも可能となる。
図3(a)〜(c)は、本発明の別の実施態様で用いられる装置を示した概略説明図である。電気炉35によって300〜1000℃の適当な温度に加熱された反応器34において、窒素原子を含有するイオン3-を形成する化合物Li3Nを含んだ溶融塩を、基板支持台31で支えられ、緩い傾斜をもったサファイア基板26の表面に供給管28から供給する。基板26は、緩やかな傾斜を有するため、溶融塩は表面をゆっくり流れて、気相と基板表面との間に溶融塩薄膜27を形成する。このような状態でGa原子を含有するイオンを形成する化合物を供給すればよい。例えば、気体のGaCl3を供給管29から反応室34内に供給すると、GaCl3は溶融塩への溶解度が高いため、容易に溶融塩薄膜27中に溶解し、前記反応(3)により基板26側でGaNが成長する。膜にならなかった微粉状のGaNは、溶融塩とともに溶融塩容器32に溜められ、また、溶融塩に溶けなかったGaCl3は、排気口33から系外に出される。このようにして連続的にGaNの結晶成長がなされる。
図3(b)は、図3(a)と考え方は同じであるが、さらにバルク結晶の成長が容易になるように工夫した本発明の別の実施態様で用いられる結晶成長装置の概略説明図である。電気炉35によって300〜1000℃の適当な温度に加熱された反応器34において、例えば、窒素原子を含有するイオン3-を形成する化合物Li3Nは、マグネシアや高融点金属であるタングステン等の容器46の中に固体の状態45で置かれ、基板4との間で挟まれた溶融塩薄膜27と接している。この場合、溶融塩薄膜の厚さは通常3mm以下、好ましくは1mm以下、さらに好ましくは300μm以下とする。こうした固体のLi3Nは、予めマグネシアやタングステンの坩堝等で、融点(813℃)以上で溶解した後に成形したものをそのまま用いるか、あるいはこれを適当な大きさに砕いて容器46に入れて用いる。溶解に当たっては、分解が起こらないように数気圧の窒素雰囲気で溶解することが好ましい。
窒素イオン供給物質45(Li3N)の密度は約1.3であり、一般的に溶融塩よりも軽いため、前記化合物45(Li3N)が容器46から飛び出さないようにするために、容器46の上に化合物固定治具47としてタングステン等の高融点金属等の網をかけておくことが好ましい。また、このようにすることで前記化合物45(Li3N)が消費されても、溶融塩薄膜27の厚みは、実質的に化合物固定治具47と基板4の位置で決まるため、一定に保つことが容易となる。本発明においては、基板4と隣接する化合物からなる相との間に、このような化合物45(Li3N)を固定したり、あるいは溶融塩薄膜27の物理的な厚みを定めたりするための化合物固定治具47が配置されていてもよい。この場合、両イオンどうしは化合物固定治具47をそれぞれ独立に通過した後、基板4と化合物固定治具47で形成される溶融塩薄膜27中で反応することになる。
固体のLi3Nは、アルカリハライド塩化物等には、0.5〜1%程度溶解するため、基板4と固体窒素イオン供給物質をつくる化合物Li3N45との間に挟まれた溶融塩薄膜27中には、Li3Nが飽和溶解度近くまで溶解する。なお、Li3Nの融点以上に温度を上げて、Li3Nをそのまま窒素イオン供給物質としてもよいが、液体状のLi3N等の窒素源供給として作用する化合物は一般に反応性が極めて強く、安定に使える容器の材料に適当なものがないため、通常は固体温度の範囲で扱うのが好ましい。したがって、容器および溶融塩の温度は、この固体窒素イオン供給物質を形成する化合物Li3Nの融点よりも低い温度に設定するのが好ましい。このような状態でGa原子を含有するイオンを形成する化合物を供給する。例えば、気体のGaCl3を供給管29から反応室34内に供給すると、GaCl3は溶融塩への溶解度が高いために容易に溶融塩44に溶解しGa(III)イオンとなり、さらに、溶融塩薄膜27に移動し、溶融塩が塩化物であれば、(3)式による反応で基板側にGaNが成長する。固体の窒素イオン供給物質をつくる化合物45の消耗と基板上のGaNの成長に合わせて、基板支持棒3に回転機構や昇降機構(図示せず)を設けておけば、バルク状のGaNを基板上に成長させることができる。
図3(c)は、図3(b)とほぼ同じであるが、バルク結晶の成長が容易になるように工夫した本発明の別の態様の結晶成長装置を示した概略図である。窒素原子を含有するイオンN3-を供給する固体の化合物、例えば前記化合物45(Li3N)を通過するように供給管49を通し、溶融塩に溶かしたGaCl3を溶融塩薄膜27に供給するように工夫したものである。なお、GaCl3の供給管49には、溶融塩ではなく、Gaイオン供給物質48(例えば、気体のGaCl3)を通し、溶融塩薄膜27の部分でGaイオン(Ga(III)イオン)を生成するようにしてもよい。この場合も、溶融塩が塩化物であれば、反応(3)により基板側にGaNが成長する。固体の窒素イオン供給物質となる化合物45の消耗に合わせて、基板支持棒3に回転機構または昇降機構(図示せず)を設けておけば、バルク状のGaNを基板4上に成長させることができる。
図4は、本発明の別の態様の装置を示した概略図である。電気炉35によって300〜1000℃の適当な温度に加熱された反応器34において、Ga金属源であるGaCl3と窒素源Li3NまたはLi3Nを含んだ溶融塩をそれぞれ供給管36、37から基板支持台39で支えられたサファイア基板26の表面に供給する。基板支持台39は回転できるようになっており、基板26は適当な速度で回転するため、気相と基板26表面の間には溶融塩薄膜が形成され、 反応(3)による反応により基板26側にGaNが成長する。膜にならなかった微粉状のGaNは、溶融塩とともに反応容器34の底部に溶融塩容器42に溜められ。また、雰囲気は、ガスの導入口40および排気口41を使って制御されるが、通常は、窒素等が雰囲気のガスとして使われる。このようにして連続的にGaNの結晶成長がなされる。
[半導体デバイスの製造方法]
本発明の製造方法は、半導体デバイスの製造方法における第13族金属窒化物結晶を製造する工程に用いることができる。その他の工程における原料、製造条件および装置は一般的な半導体デバイスの製造方法で用いられる原料、条件および装置をそのまま適用できる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
図1に示す装置で、基板4にサファイアを用いてGaNの薄膜を成長させた。溶融塩としては、図2に示される装置を用いて精製した融点約265℃のLiCl−KCl−CsCl3元共晶塩(51/20/29モル%)約60gを用いた。LiCl−KCl−CsCl3元系の各塩は、それぞれ単独で図2で示される装置を用いて塩を精製した後、サンプルを秤量して混合塩とした。
図1の電解反応セル1中の温度は約400℃とし、電解とサファイア基板4上へのGaNの薄膜結晶成長とを行った。電解条件は、定電流法で行い、電流100mA、アノード−カソード間の電圧約3〜4V(うち電解浴中での電圧降下約1〜1.5V)、カソード室8のタングステン網電極(面積約10cm2)へ供給する窒素ガス量は30ml/分とした。カソード室16では、Li窒素ガスが反応してLi3Nが生成された。生成したLi3Nは、浴(カソード室16)に溶解している状態で、浴(カソード室16)の採取口13から取り込まれ、手動式のピストン14によって連絡管9を通り、アノード室15の下部にある溶融Ga金属6の中に押し込まれる。密度差によりLi3Nが溶解されている浴(アノード室15)では、Li3Nが細かな粒状の液滴となって溶融Ga金属中を上昇し、サファイア基板4と溶融Ga金属6の界面にできている薄い浴(溶融塩薄膜5)に達する。一方、アノード室15では、溶融Ga金属6の中に直接差し込まれたカーボン電極2に通電され、Ga金属6はアノード溶解してGaCl3となって薄膜状の溶融塩5の中に溶出し、カソード側から供給されたLi3Nと反応してGaN結晶薄膜がサファイア基板4上に成長する。Ga金属6の表面の外周部は、絶縁体8で覆われているため、電極として働いている面積はサファイア基板4の面積とほぼ同じ約0.5cm2である。最初に、アノード室15ではカーボン電極2で浴中にある部分にのみ通電して、電極電流100mAで一定時間流したところ、カソード室16は10数分で薄い黄色味を帯びた透明塩となった。その後、カソード室16側におけるLi3Nの溶解度を超えないように電流を50mAに調整し、アノード室15側では、溶融Ga金属6に通電して約1時間電解を続けた。その間、手動式のピストン14を動かしてカソード室16側の生成物Li3Nをアノード室15のGa金属6中に移動させた。
電解反応セル1を壊して生成物を取り出し、EDAXで分析した。サファイア基板上では、表面張力で曲面となっているGaメタルとの接触部の外側付近に同心円状に付着物があることが観察された。図5(a)にSEM像、図5(b)にEDXの分析結果を示す。 図5(a)のSEM像には、密度の低い薄膜が形成されたことが分かる。また図5(b)のEDX分析のチャートから、基板サファイアに由来すると思われるアルミニウムと酸素のほか、弱いながらもGaが検出され、GaNの粗膜が形成されたことが推測される。
なお、気相成長で作製した高い結晶性を有する緻密なGaN薄膜に対するEDXの分析結果を図7に示したが、実施例1では窒素の検出感度が低かったため、窒素を示すピーク値は図7の場合と比較して低く、チャート上では記載されていないが、バックグラウンドよりは高い数値が得られている。
以上のことから、本実施例ではサファイア基板上に不完全な密度の低いGaNの薄膜が形成されたものと考えられる。
(実施例2)
電解セルの構造及び装置は実施例1と同一とした。電解条件は、定電流法で行い、電流100mAとしたが、本実施例では、最初にアノード室15側の浴中にあるカーボン電極棒2に電流を流して塩素を発生させ、塩素を系外に排出した。このようにして、200クーロンになるまでLi3Nをカソード室16に蓄積した。この状態で電圧は約4Vまで上昇した。カソード室16のLi3Nの濃度は、計算上は約0.03%であるが、このLi3N濃度は、塩での飽和溶解度約0.6%の約1/20の濃度である。次いで、この状態のまま電流を20mAまで下げて、アノード室15側の電極をGaメタルに通電するようにした。同時に、カソード室16側の浴を手動式のピストン14により溶融Ga金属6の中に押し込むようにした。このようにして、約1時間電解を続けた。サファイア基板4上では、実施例1と同様に、表面張力で曲面となっているGaメタルとの接触部の外側付近に同心円状に付着物があることが観察された。
図6(a)にSEM像、図6(b)にEDXの分析結果を示す。 図6(a)のSEM 像には、実施例1の薄膜よりも高い密度をもった薄膜が形成されたことが推測できる。また、図6(b)のEDX分析のチャートからは、Gaと窒素が検出され、これらのピークは実施例1の薄膜よりも、遙かに高くなっている。また、この場合もサファイア基板に由来すると思われるアルミニウムと酸素のピークが観察された。窒素イオン供給物質の濃度を上げたことにより、生成したGaNの薄膜の密度は、実施例1よりも高くなったものと推測される。
実施例1および2では、サファイア基板4は回転しておらず、また、カソード室15側のピストン14も手動であり、断続的に電解浴をアノード室15に送ったため、サファイア基板4とGa金属6との間の溶融塩膜の厚さやそれぞれのイオン濃度が十分には制御されておらず、また、サファイア基板4全体に薄膜は形成されていないが、サファイア基板4の位置やサファイア基板4の回転を導入し、あるいはイオン濃度の最適化等を進めていけば、高品質のGaN膜が得られることが推測できる。
本発明の第13族金属窒化物結晶の製造方法は、安価な容器を用いて簡単に半導体デバイスに応用するのに十分なサイズを有する第13族金属窒化物結晶の製造方法として利用でき、特にこれまでに製造が困難とされていた周波対応可能な半導体デバイスの製造方法として利用することができ、産業的に大きなメリットがある。
本発明の第13族金属窒化物の結晶の製造で用いる好適な結晶成長装置を示す概略説明図である。 本発明で用いられる溶融塩の精製装置の一実施態様を示す概略説明図である。 本発明の別の実施態様で用いられる結晶成長装置の概略説明図((a)〜(c))である。 本発明の別の実施態様で用いられる結晶成長装置の概略説明図である。 実施例1で得られたサファイア基板上に成長したGaN薄膜のSEM像(a)およびEDXデータ(b)である。 実施例2で得られたサファイア基板上に成長したGaN薄膜のSEM像(a)、およびEDXデータ(b)である。 気相成長で作製したGaN薄膜のEDXデータである。
1 電解セルの石英製容器
2 カーボン電極棒
3 基板支持棒
4 基板
5 溶融塩薄膜
6 Ga金属
7 窒素イオン供給物質を含む溶融塩
8 絶縁体
9 連絡管
10 ガス導入管
11 窒素ガス
12 網状タングステン電極
13 採取口
14 ピストン
15 アノード室(電解浴)
16 カソード室(電解浴)
17 多孔質隔膜
18 電解セル用電気炉
19 基板回転機構
20 塩精製用反応ガス
21 ガス排出口
22 ガス導入管
23 多孔質フィルター
24 試料溜め
25 塩精製装置用電気炉
26 基板
27 溶融塩薄膜
28 供給管
29 Gaイオン供給物質の供給管
30 Gaイオン供給物質
31 基板支持台
32 溶融塩容器
33 排気口
34 反応器
35 電気炉
36 溶融塩に溶けたGa金属供給物質の供給管
37 溶融塩に溶けた窒素イオン供給物質の供給管
38 溶融塩薄膜
39 基板支持台
40 ガス導入管
41 ガス排気口
42 溶融塩容器
43 容器
44 溶融塩
45 窒素イオン供給物質
46 窒素イオン供給物質の容器
47 窒素イオン供給物質の固定治具
48 Gaイオン供給物質
49 Gaイオン供給物質の供給管

Claims (17)

  1. 基板と該基板と隣接する相との界面に形成される液層に、周期表第13族金属(以下「第13族金属」という)原子を含有するイオン供給する物質と窒素原子を含有するイオン供給する物質とから第13族金属原子を含有するイオン及び窒素原子を含有するイオンを連続的に供給し、前記液層内でこれらのイオンを反応させて前記基板上に第13族金属窒化物結晶を形成することを特徴とする第13族金属窒化物結晶の製造方法(ここで、前記液層は溶融塩からなる液層であり、また、前記基板と隣接する相は、第13族金属、前記窒素原子を含有するイオン供給する物質、前記溶融塩から蒸発した気体、不活性ガスの少なくともいずれかからなる相である)。
  2. 前記基板と隣接する相が、液体Ga、固体Al、気体の塩化ガリウム、不活性ガス、Li3Nと溶融塩との混合物、または第13族金属と固体のLi3Nからなる相であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記基板と隣接する相が、第13族金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記窒素原子を含有するイオン供給する物質を第13族金属を通過させて前記液層に供給することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記第13族金属原子を含有するイオン供給する物質を電気化学的なアノード溶解により前記液層に供給することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記液層が前記イオン供給する物質の一方を含有し、該液層に前記イオン供給する物質の他方を気相から供給して、前記液層に溶解させて反応を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記イオン供給する物質の一方を溶解した液体を基板表面に供給することにより前記液層を膜状に形成し、該膜状の液層中で前記イオン供給する物質の他方と反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記イオン供給する物質を生成するために、電気化学反応を少なくとも一部の反応として用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記窒素原子を含有するイオン供給する物質を生成するために、溶融塩中に窒素ガスとアルカリ金属または窒素化合物を導入することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記第13族金属原子を含有するイオンを供給する物質として、第13族金属とハロゲンガスとを溶融塩中で反応させたもの、または第13族金属のハロゲン化物を溶融塩中に溶解させたものを用いることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記溶融塩として、第13族金属よりイオン化傾向が高い金属塩を用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 前記溶融塩として、アルカリ金属塩を用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 前記溶融塩として、金属ハロゲン化物を用いることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. アノード室とカソード室内で前記両イオン供給する物質を別々に生成することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 前記液層が薄膜であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の製造方法。
  16. 前記液層の厚さが3mm以下であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
  17. 前記液層の厚さが300μm以下であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
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