JP4660982B2 - 水素供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質反応により水素を生成し、水素消費装置に水素を供給する水素供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料電池に水素を供給する装置として、炭化水素化合物を改質して水素リッチガスを生成する改質器が知られている。改質器では、高温での触媒反応(水蒸気改質反応)により炭化水素化合物を含む改質原料を改質して水素を発生させる。この水蒸気改質反応のためには、改質器を高温に維持する必要がある。改質器を高温に維持する方法として、燃料電池から排出される未反応の燃料ガス(水素を含有するオフガス)を燃焼させて、この燃焼熱を利用して改質器を加熱する方法が提案されている。
【0003】
このような改質器として、例えば特開平11−343101号公報に記載の改質器がある。この改質器は、隔壁で分離された燃焼室と改質室とからなり、隔壁を介して燃焼室と改質室との間で熱交換が行われるように構成されている。そして、燃料(オフガス)を燃焼室で燃焼させた燃焼熱で改質室を加熱し、改質室内の改質触媒により改質室を流れる改質原料が水素を含むガス(改質ガス)に改質される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報記載の改質器では、改質室に充填された改質触媒は、燃焼室における燃焼熱によって隔壁を介して間接的に加熱されるために熱抵抗が大きく、昇温が遅れて改質反応の始動が遅れる。また、燃焼室では、始動時において、燃焼ガス中の未燃焼成分等の有害成分が未浄化のまま大気中に排出されるという問題がある。さらに、熱交換器で必要伝熱量を確保するためには、大きな伝熱面および大きな体格が必要となり、搭載スペースが限られる車両用として用いる場合には不利となる。
【0005】
また、水蒸気改質は高濃度の水素ガスが得られ有利であるが、吸熱反応であるため外部加熱が必要となる。しかし、従来の熱交換器構成では、上述のように熱補給が不十分なものとなる。このため、改質原料に空気を添加し、改質器で水蒸気改質反応と部分酸化反応(発熱反応)を起こさせて上記吸熱反応に熱補給する、いわゆる併用改質が知られている。
【0006】
しかし、部分酸化反応は空気中の酸素と燃料の反応を目的とするものであり、空気中の窒素ガスは生成された水素ガス濃度を単に希釈することとなる。この低濃度水素ガスは燃料電池の発電効率を低下させる。また、燃料改質流路のガス流量が増加するとともに流動損失が増し、酸素供給のための送気動力が増加するという欠点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、改質原料を改質して水素消費装置に水素を供給する水素供給装置において、改質反応の始動性を向上させることを目的とする。また、大気中に排出される有害成分を削減すること、装置の小型化を図ることを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、水素消費装置(60)に供給する水素を生成する水素供給装置であって、改質原料が通過する低温流体通路(A)と、燃焼ガスを発生させる燃焼ガス供給部(70)が設けられた高温流体通路(B)と、触媒反応により改質原料を水素に改質する改質部(40)と、低温流体通路(A)における改質部(40)の上流側に配置され、改質原料を加熱する蒸発部(20)とを備え、改質部(40)は、回転軸(25)を中心に回転駆動される改質部回転蓄熱体(41)を有しており、改質部回転蓄熱体(41)は回転することにより、低温流体通路(A)と高温流体通路(B)とを交互に移動し、高温流体通路(B)にて燃焼ガスの燃焼熱を受け取り、蒸発部(20)は、回転軸(25)を中心に回転駆動される蒸発部回転蓄熱体(21)を有しており、蒸発部回転蓄熱体(21)は回転することにより、低温流体通路(A)と高温流体通路(B)とを交互に移動し、燃焼ガスの燃焼熱を改質原料に伝えることを特徴としている。
【0009】
このような構成により、改質部(40)を高温流体の熱により直接的に加熱することができ、効率よく昇温させることができ、高応答性を実現できる。これにより、改質触媒を速やかに改質反応開始温度まで昇温でき、始動時において早期に改質反応を立ち上げることができる。
【0010】
また、回転式熱交換器では、隔壁を介して熱交換を行うのではなく、伝熱面自体を直接的に加熱するため、単位面積当たりの伝熱量が大きい。このため、熱交換効率を高めることができるとともに、必要伝熱量を確保するのに大きな伝熱面を必要としない。このため、装置の小型化を図ることができる。
また、蒸発部(20)にも改質部(40)と同様の回転式熱交換器を用いることで、効率よく高温流体通路(B)の高温流体の熱を低温流体通路(A)を流れるガスに伝えることができ、高応答性を実現できる。これによっても、始動時において早期に改質反応を立ち上げることができる。
【0011】
また、改質部回転蓄熱体(41)は、請求項2に記載の発明のように、軸方向に多数の貫通孔(41a)が形成されるともに、その貫通孔(41a)の開放側の端面が2つの領域に区画されており、一方の領域は低温流体通路(A)に位置し、他方の領域は高温流体通路(B)に位置しており、一方の領域に形成されている貫通孔(41a)には第1改質原料が通過し、他方の領域に形成されている貫通孔(41a)には燃焼ガスが通過するように構成することができる。なお、請求項2でいう燃焼ガスは、触媒燃焼前のオフガスを含む。
【0012】
また、請求項3に記載の発明では、貫通孔(41a)の表面には、改質触媒が坦持されていることを特徴としている。これにより、改質触媒を高温流体通路(B)にて直接的に加熱することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、燃焼ガス供給部(70)には、水素消費装置(60)にて消費されなかった水素を含むオフガスがオフガス供給路(61)を介して供給され、オフガスの燃焼により燃焼ガスが生成されることを特徴としている。
【0014】
このように、水素供給装置(50)から排出されるオフガスを燃焼させ、この燃焼熱を、改質原料の加熱・気化や改質部(40)における吸熱反応(水蒸気改質反応)の補熱量として回収することで、装置の高効率化を図ることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、燃焼ガス供給部(70)には、燃焼用燃料を供給する燃焼用燃料供給部(72)と、燃焼用燃料を燃焼させる着火手段(75)とが設けられており、燃焼用燃料の燃焼により燃焼ガスが生成されることを特徴としている。
【0016】
このような構成により、水素供給装置の始動時において、燃焼用燃料(始動用燃料)を火炎燃焼させることで、改質システムの各構成要素(熱交換部や改質部)を加熱し、速やかに改質反応開始温度まで昇温させることができる。これにより、改質反応開始までの始動時間を短縮することが可能となる。また、オフガスが供給されるオフガス供給部と始動暖気用の燃焼部とを一体構成することで、小型化を図ることができる。
【0019】
また、蒸発部回転蓄熱体(21)は、請求項に記載の発明のように、軸方向に多数の貫通孔(21a)が形成されるともに、その貫通孔(21a)の開放側の端面が2つの領域に区画されており、一方の領域は低温流体通路(A)に位置し、他方の領域は高温流体通路(B)に位置しており、一方の領域に形成されている貫通孔(21a)には第1改質原料が通過し、他方の領域に形成されている貫通孔(21a)には燃焼ガスが通過するように構成することができる。
【0020】
また、請求項に記載の発明では、蒸発部回転蓄熱体(21)の貫通孔(21a)には酸化触媒が坦持されていることを特徴としている。これにより、オフガスが蒸発部(20)を通過する際に触媒燃焼させて燃焼ガスを生成することができ、この燃焼ガスの燃焼熱を利用することができる。
【0021】
また、始動時等に燃焼ガス供給部(70)で発生した燃焼ガス中には不完全燃焼等により有害ガスが含まれるが、燃焼ガスは蒸発部(20)を通過する際に酸化触媒により触媒燃焼する。従って、始動用燃料と空気との混合割合を適切に調整して火炎燃焼させ、さらに蒸発部(20)にて燃焼ガス中の有害成分を触媒燃焼させることによって、燃焼ガスを完全酸化反応(完全燃焼)させることができる。これにより、燃焼ガス中の有害ガスを十分に清浄化させた上で、外部に排出することができる。
【0022】
また、請求項に記載の発明では、改質部回転蓄熱体(41)および蒸発部回転蓄熱体(21)は、必要加熱温度に応じて回転数を調整されることを特徴としている。これにより、回転蓄熱体(21、41)の温度を適温に調整し、改質原料の加熱温度や改質触媒の加熱温度を調整することができる。
【0023】
また、請求項に記載の発明では、改質部回転蓄熱体(41)の回転軸と蒸発部回転蓄熱体(21)の回転軸は、同一であることを特徴としている。これにより、2つの回転蓄熱体(21、41)を単一の駆動装置で駆動することが可能となり、装置の小型化、高効率化を図ることができる。
【0024】
また、蒸発部(20)は、改質原料気化のために例えば300〜400℃程度となっている必要があり、改質部(40)は改質反応のために例えば400〜700℃程度と、蒸発部(20)より高温になっている必要がある。
【0025】
そこで、請求項10に記載の発明では、蒸発部(20)は、高温流体通路(B)において改質部(40)の下流側に配置されていることを特徴としている。これにより、高温流体通路(B)では、高温流体が改質部(40)を通過した後に蒸発部(20)を通過するため、改質部(40)の方が優先的に加熱され、触媒反応に必要な温度序列に応じて効率よく急速に加熱できる。
【0026】
また、請求項11に記載の発明では、低温流体通路(A)における蒸発部(20)の上流側に配置され、少なくとも水を含む第1の改質原料を供給する第1改質原料供給部(10)と、低温流体通路(A)における熱交換部(20)の下流側に配置され、少なくとも水素化合物を含む第2の改質原料を供給し、第1の改質原料と第2改質原料とを混合して改質原料を生成する第2改質原料供給部(30)とを備えることを特徴としている。
【0027】
このように、改質原料の供給源を分離して、改質燃料を蒸発部(20)の下流側に供給することで、回転式熱交換器に生ずるガス漏れにおいて、改質燃料が未反応のまま有害ガスとして外部に排出されることを防止できる。また、第2改質原料供給部(30)にて生成された改質原料の一部は、改質部(40)で高温流体通路(B)に移送されるが、この改質原料中の有害ガスは高温流体通路(B)において蒸発部(20)で酸化反応(触媒燃焼)により十分浄化された後、外部に排出される。また、この酸化反応に伴う発熱は改質原料の加熱源として利用できる。
【0028】
また、請求項12に記載の発明では、水素消費装置(60)に供給する水素を生成する水素供給装置であって、改質原料が通過する低温流体通路(A)と、燃焼ガスを発生させる燃焼ガス供給部(70)が設けられた高温流体通路(B)と、改質原料を加熱する蒸発部(20)と、触媒反応により改質原料を水素に改質する改質部(40)と、低温流体通路(A)における蒸発部(20)の上流側に改質原料を供給する改質原料供給部(10)とを備え、蒸発部(20)および改質部(40)は、回転軸(25)を中心に回転駆動される1つの回転蓄熱体(201)を共有しており、回転蓄熱体(201)は回転することにより、低温流体通路(A)と高温流体通路(B)とを交互に移動し、高温流体通路(B)にて燃焼ガスの燃焼熱を受け取り、高温流体通路(B)における回転蓄熱体(201)の下流側には、排気浄化手段(80)が設けられており、排気浄化手段(80)は、多数の貫流孔を有するとともに、貫流孔に酸化触媒が添着された排気浄化体(81)を備えており、排気浄化手段(80)は、排気浄化体(81)の上流側に設けられた吸着体(86)を備えていることを特徴としている。
【0029】
このように、蒸発部(20)の回転蓄熱体と改質部(40)の回転蓄熱体を一体構成することにより、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
ところで、低温流体通路(A)における蒸発部(20)の上流側で改質燃料を供給する場合には、回転蓄熱式熱交換器の構造上、低温流体通路(A)から高温流体通路(B)への改質燃料のガス漏れが発生する。そこで、高温流体通路(B)における回転蓄熱体(201)の下流側に排気浄化手段(80)を設けることで、改質燃料を回転蓄熱式熱交換器の上流側で供給することで発生する有害ガスの外部排出を防止することができる。
また、排気浄化手段(80)は、多数の貫流孔を有するとともに、貫流孔に酸化触媒が添着された排気浄化体(81)を設けることで、酸化触媒によって余剰の酸素と改質原料中の未反応成分(HC等)との酸化反応が促進され、有害成分は浄化された上で排気される。
また、排気浄化手段(80)が排気浄化体(81)の上流側に設けられた吸着体(86)を備えていることで、排気触媒体(81)に担持された触媒が活性温度に達する前であっても、吸着体により有害成分を保持することができ、有害成分が外部に排出されることを防ぐことができる。また、高温時には有害成分が吸着体から脱離し、吸着体を再生できる。
【0030】
また、回転蓄熱体(201)は、請求項13に記載の発明のように、軸方向に多数の貫通孔(a)が形成されるともに、その貫通孔(a)の開放側の端面が2つの領域に区画されており、一方の領域は低温流体通路(A)に位置し、他方の領域は高温流体通路(B)に位置しており、一方の領域に形成されている貫通孔(a)には第1改質原料が通過し、他方の領域に形成されている貫通孔(a)には燃焼ガスが通過するように構成することができる。
【0031】
また、請求項14に記載の発明では、回転蓄熱体(201)の低温流体通路(A)における上流側部位(Lh)は蒸発部(20)に対応し、下流側部位(Lr)は改質部(40)に対応していることを特徴としている。このような構成により、同一の回転蓄熱体(201)の上流部で改質原料を加熱気化し、下流部で改質反応により水素リッチガスを生成することができる。
【0032】
また、請求項15に記載の発明では、回転蓄熱体(201)の低温流体通路(A)における下流側部位(Lr)には改質触媒が担持されていることを特徴としている。これにより、回転蓄熱体(201)の下流部において改質原料を水素リッチガスに改質することができる。
【0033】
また、請求項16に記載の発明では、回転蓄熱体(201)の低温流体通路(A)における上流側部位(Lh)には酸化触媒が担持されていることを特徴としている。これにより、回転蓄熱体(201)の上流側において、触媒燃焼による燃焼熱により改質原料を加熱気化することができる。
【0034】
また、請求項17に記載の発明では、回転蓄熱体(201)における同一部位が、蒸発部(20)および改質部(40)の双方に対応していることを特徴としている。このような構成により、回転蓄熱体(201)における同一部位にて、改質原料を加熱気化するとともに、水素リッチガスに改質することができる。
【0035】
また、請求項18に記載の発明では、回転蓄熱体(201)には、酸化触媒および改質触媒とを混合した混合触媒が担持されていることを特徴としている。これにより、回転蓄熱体(201)における同一部位において、触媒燃焼による改質原料の加熱気化と、改質反応による水素リッチガスの生成を行うことができる。
【0039】
また、請求項19に記載の発明では、排気浄化手段(80)は、排気浄化体(81)を加熱する加熱手段(82)を備えていること特徴としている。これにより、排気浄化体(81)に担持された触媒を活性温度以上に加熱することができ、低温始動時においても有害成分を浄化して排出することができる。
【0041】
また、請求項20に記載の発明のように、上記各請求項に記載の水素供給装置は、燃料電池に水素を供給するものとして好適に用いることができる。
【0042】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0043】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を適用した第1実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1は本第1実施形態の水素供給装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は水素供給装置の各構成要素の配置関係を示す概念図である。本第1実施形態の水素供給装置は、水素消費装置としての燃料電池60に水素を供給するように構成されている。
【0044】
図1、図2に示すように、本第1実施形態の水素供給装置は、第1改質原料供給部10、蒸発部(熱交換蒸発部)20、第2改質原料供給部30、改質部(熱交換改質部)40、CO除去部52、燃焼ガス供給部(オフガス供給部)70等を備えている。また、水素供給装置には、ハウジング1によって、改質原料が通過する低温流体通路(改質原料通路)Aと、燃焼ガスが通過する高温流体通路(燃焼ガス通路)Bとが並行して形成されている。低温流体通路Aと高温流体通路Bはそれぞれ独立しており、蒸発部20および改質部40を介して熱の授受が行われる。
【0045】
低温流体通路Aでは、第1改質原料供給部10で供給された第1の改質原料(水と空気との混合気)が蒸発部20で加熱・気化(蒸発)され、第2改質原料供給部30にて第2の改質原料(改質燃料)が混合され、水および空気、改質燃料からなる改質原料が生成される。改質原料は、改質部40にてH2およびCOを含む改質ガスに改質され、CO除去部52にてCOが除去された後、水素リッチガスとして燃料電池60に供給される。
【0046】
燃料電池60には、水素とともに空気(酸素)が供給されるように構成されており、水素と酸素との化学反応により発電する。燃料電池60では、発電に用いられなかった未反応水素を含んだオフガスが排出される。
【0047】
高温流体通路Bでは、オフガスがオフガス導入経路61を介して燃焼ガス供給部70に供給され、燃焼する。改質部40では、オフガスの燃焼熱により改質触媒が加熱される。蒸発部20では、オフガスの燃焼熱が低温流体通路Aを流れる第1改質原料に伝えられる。なお、本実施形態では、改質燃料としてガソリンや灯油といった液体石油系燃料を用いている。
【0048】
図2に示すように低温流体通路Aの最上流部には、第1改質原料(水および空気)を供給する第1改質原料供給部10が配置されている。第1改質原料供給部10には、水流量制御弁11、空気流量制御弁12、噴霧ノズル13、混合室14が設けられている。水流量制御弁11および空気流量制御弁12にて流量制御された水および空気は、噴霧ノズル13から混合室14に噴霧され、水と空気との混合気が生成する。
【0049】
低温流体通路Aにおける第1改質原料供給部20の下流側には、熱交換部(蒸発部)20が配置されている。本第1実施形態の蒸発部20は回転式熱交換器である。
【0050】
図3は蒸発部(熱交換部)20の分解斜視図である。図3に示すように、蒸発部20には、熱エネルギを蓄える蒸発部回転蓄熱体(マトリクス)21と、マトリクス21と密着してガス漏れを防止する一対のガスシール22と、マトリクス21を回転駆動する駆動用モータ23が設けられている。
【0051】
マトリクス21は、コージェライト等の耐熱性セラミックからなる円盤形状に形成されている。マトリクス21は、軸方向に多数の貫通孔(セル)21aが形成されたハニカム構造となっている。マトリクス21におけるガスシール22と接触する外周側面部21bは、セメントコーティングされるか、あるいはソリッド状のセラミックリングが固着されることによって、シール面が形成されている。
【0052】
図4は、回転蓄熱体21を構成するセル形状の例を示している。図4(a)は矩形形状セル、図4(b)は三角形状セルであり、それぞれの表面には酸化触媒(白金、パラジウム等の単体あるいは混合物)24が添着(坦持)されている。これにより、高温流体通路Bに供給される燃料電池50のオフガスを触媒燃焼させることができる。
【0053】
マトリクス21は、回転軸25とハウジング1側に設けられた軸受け26によって支持されている。回転軸25は、マトリクス21の中心部に設けられたソリッド状のハブ21dに固着されている。マトリクス21は電動モータ23により回転駆動される。マトリクス21の外周面にはリングギア21cが設けられている。電動モータ23からの回転力は、電動モータ23の回転軸に固定されたピニオン23aを介して、リングギア21cに伝えられる。摺動部位である軸受け26は高温雰囲気で用いられるため、高温無潤滑材料(硬質カーボン材等)によって形成されている。
【0054】
ガスシール22は、例えばステンレスのような耐熱性金属やセラミックから形成されている。ガスシール22は、円筒状フランジ22aと、その中心を径方向に通るクロスアーム22bとが一体化して構成されている。マトリクス21の外周側面部21bと接触するガスシール22のシール面22cには、マトリクス21およびガスシール22の摩耗を少なくするため、摩擦係数の低い高温無潤滑材料層(図示せず)がコーティング等によって形成されている。
【0055】
低温流体通路Aを流れる高圧の改質原料が高温流体通路Bに漏れないように、マトリクス21とハウジング1との間にガスシール22を介在させることでシールしている。ガスシール22は、シール面22cでマトリクス21を軸方向の両側から挟んだ状態でハウジング1に固定されている。マトリクス21は、ガスシール22のクロスアーム22bにて2つの領域に区画される。
【0056】
図2に示すようにマトリクス21は、並行する低温流体通路Aと高温流体通路Bの双方を横断するように配置されている。このとき、ガスシール22のクロスアーム22bで区画された一方の領域は低温流体通路Aに位置し、他方の領域は高温流体通路Bに位置する。マトリクス21は回転軸25を中心にガスシール22の間を摺動回転し、第1改質原料が通過する低温流体通路Aとオフガス(燃焼ガス)が通過する高温流体通路Bとを交互に移動する。
【0057】
マトリクス21は、高温流体通路Bにおいて貫通孔21aを通過する燃焼ガスから熱を受け取った後、低温流体通路Aに移動して貫通孔21aを通過する第1改質原料に熱を伝えて加熱・気化させる。このとき、マトリクス21の回転速度を制御することで、高温流体通路Bから低温流体通路Aへの伝熱速度を調整することができる。すなわち、マトリクス21の回転速度を上げることで伝熱速度を上げることができ、回転速度を下げることで伝熱速度を下げることができる。
【0058】
蒸発部20の下流側には、第2改質原料供給部30が設けられている。第2改質原料供給部30には、燃料流量制御弁31、噴霧ノズル32、混合部33が設けられている。第2改質原料供給部30では、燃料流量制御弁31にて流量制御された第2の改質原料である改質燃料が噴霧ノズル32より混合室33内に噴射される。これにより、第2改質原料が蒸発部20を通過して気化・蒸発した第1改質原料と混合・気化する。
【0059】
第2改質原料供給部30の下流側には改質部40が設けられている。改質部40では、蒸発部20による加熱で気化した改質原料を改質し、H2とCOを含んだ改質ガスを生成する。本第1実施形態の改質部40では、部分酸化改質(発熱反応)と水蒸気改質(吸熱反応)とが併用される。
【0060】
図5は改質部40の分解斜視図である。図5に示すように、改質部40は蒸発部20と同様な構成を持つ回転式熱交換器である。改質部49では、図3で示した蒸発部20に比較して、電動モータ23、リングギア21c等の回転駆動用の機構が省略されている点で異なる。また、改質部40では、改質部回転蓄熱体41の貫通孔41aに、改質反応のための改質触媒(酸化ニッケル、酸化銅、白金、パラジウム等の単体あるいは混合物)が添着(坦持)されている。
【0061】
上述のように、改質部40は独自の駆動機構を備えていないが、改質部40の回転軸が蒸発部20の回転軸25と同軸となるように構成されている。このような構成により、蒸発部20に設けられた電動モータ23によって、蒸発部20の回転蓄熱体20とともに改質部40の回転蓄熱体41が回転駆動される。改質部40の回転蓄熱体41も回転速度を制御することで、蒸発部20と同様に高温流体通路Bから低温流体通路Aへの伝熱速度を調整することができる。
【0062】
図2に示すように、改質部40のマトリクス41も蒸発部20と同様に、並行する低温流体通路Aと高温流体通路Bの双方を横断するように配置されている。このとき、低温流体通路Aと高温流体通路Bにおけるガスの流れは逆方向になっているため、低温流体通路Aでは蒸発部20が上流側となって、蒸発部20→改質部40の順にガスが流れる。高温流体通路Bでは改質部40が上流側となって、改質部40→蒸発部20の順にガスが流れる。
【0063】
改質部40の下流側には、改質部40を通過したガスの温度を検出することで、改質部40の改質触媒温度を間接的に検出する温度センサ(温度検出手段)50が設けられている。温度センサ50の下流側には、改質ガスの温度をCOの除去に必要な温度に冷却するための冷却部51と、冷却部51にて冷却された改質ガスからCOを除去して水素リッチガスを生成するCO除去部52が設けられている。
【0064】
高温流体通路Bにおける蒸発部20の上流側には、蒸発部20を加熱するための燃焼ガス供給部(オフガス供給部)70が設けられている。燃焼ガス供給部70には、オフガス流量制御弁71、燃料流量制御弁(燃焼用燃料供給部)72、オフエア流量制御弁73、噴霧ノズル74、点火プラグ(着火手段)75、混合・燃焼室76が設けられている。燃焼ガス供給部70には、燃料電池60から排出される未反応の水素を含むオフガスがオフガス供給路71を介して供給される。さらに燃焼ガス供給部70には、燃料電池50から排出される未反応の酸素を含むオフエアが、オフエア供給路52を介して供給される。
【0065】
オフガスおよびオフエアは噴霧ノズル74から混合・燃焼室76に噴霧され、オフガス混合気となる。オフガス混合気は、改質部40→蒸発部20の順に供給され、改質部40および蒸発部20にて触媒燃焼を生ずる。この燃焼ガスの燃焼熱で回転蓄熱体41、21が加熱される。
【0066】
水素供給装置の始動時には、オフガスに代えて、燃料流量制御弁にて流量制御された始動用燃料(燃焼用燃料)を燃焼室76に噴霧し、点火プラグ75にて着火して火炎燃焼を生じさせ、燃焼ガスを生成するように構成されている。なお、本第1実施形態では、始動用燃料として改質燃料と同じ液体石油系燃料を用いている。
【0067】
図6は、水素供給装置の制御系を示している。図6に示すように、本第1実施形態の水素供給装置には、各種制御を行う制御部(ECU)80が設けられている。制御部80には、温度センサ50にて検出した温度信号が入力され、駆動用モータ23や各流量制御弁11、12、31、71、72、73、点火プラグ75に制御信号を出力するように構成されている。
【0068】
以下、上記構成の水素供給装置の作動について説明する。まず、水素供給装置の始動時について説明する。改質部40において改質反応が開始するためには、改質部40に供給される改質原料が蒸発・気化しており、かつ改質部40の改質触媒が改質反応を開始可能な所定温度まで昇温している必要がある。
【0069】
そこで、まず燃焼ガス供給部70の燃焼室76にて始動用燃料と空気との混合気を生成し、点火プラグ75にて着火して火炎燃焼させる。この火炎燃焼により生成した燃焼ガスは、高温流体通路Bを流れて改質部40→蒸発部20の順に貫流する。これにより、回転蓄熱体41、21のうち高温流体通路Bに位置する部位が燃焼ガスにより加熱される。第1改質原料供給部10では空気を供給しておく。
【0070】
改質部40では、回転蓄熱体41に設けられた改質触媒が直接的に加熱される。蒸発部20では、回転蓄熱体21が回転することで、燃焼ガスにて加熱された部位が低温流体通路Aに移動し、低温流体通路Aを流れる空気が加熱される。この加熱空気が低温流体通路Aを流れることにより、蒸発部20の下流側の各構成要素が急速に暖気される。
【0071】
また、蒸発部20は、改質原料気化のために例えば300〜400℃程度となっている必要があり、改質部40は改質反応のために例えば400〜700℃程度と、蒸発部20より高温になっている必要がある。高温流体通路Bでは、高温ガス(高温流体)が改質部40を通過した後に蒸発部20を通過するため、改質部40の方が優先的に加熱され、触媒反応に必要な温度序列に応じて効率よく急速に加熱できる。
【0072】
このとき、燃焼ガス供給部70で発生した燃焼ガスには不完全燃焼等により有害ガスが含まれるが、燃焼ガスは回転蓄熱体41、21を通過する際に、触媒燃焼(触媒酸化反応)する。従って、始動用燃料と空気との混合割合を適切に調整して火炎燃焼させ、さらに改質部40および蒸発部20にて燃焼ガス中の有害成分を触媒燃焼させることによって、燃焼ガスを完全酸化反応(完全燃焼)させることができる。これにより、燃焼ガス中の有害ガスを十分に清浄化させた上で、外部に排出することができる。
【0073】
燃焼ガスの燃焼熱により、蒸発部20、改質部40、CO除去部52(シフト部、浄化部)といった改質システムの各構成要素が急速に暖気(予熱)される。そして、温度センサ50にて検出した改質部40の温度が所定改質反応開始温度に到達した場合に、改質触媒を含めた改質システムの構成要素が改質反応を開始することができる温度に到達したと判断して、燃焼ガス供給部70での始動用燃料の供給を中断して火炎燃焼を停止する。
【0074】
なお、所定改質反応開始温度は改質燃料の種類等に応じて任意に設定できるが、本第1実施形態のように改質燃料として石油系燃料を用いる場合には300℃〜400℃と設定することができる。
【0075】
各構成要素の暖気が完了すると、第1改質原料供給部10にて第1改質原料(水および空気の混合気)の供給が開始される。第1改質原料は蒸発部20にて加熱・気化され、第2改質原料供給部30にて第2改質原料(改質燃料)が混合・気化され、水および空気、改質燃料とからなる改質原料が生成される。
【0076】
気化された改質原料は、改質部40にてH2とCOを含む改質ガスに改質される。改質ガスは、冷却部51にて冷却された後、CO除去部52にてCOが除去され、燃料電池60に供給される。
【0077】
燃料電池60では、水素と酸素との化学反応により発電するとともに、未反応水素を含むオフガスと未反応の酸素を含むオフエアが排出される。オフガスはオフガス導入経路61を介して、オフエアはオフエア導入経路52を介して高温流体通路Bの燃焼ガス供給部70に導入され、オフガス混合気となる。オフガス混合気は、改質部40および蒸発部20に供給され、回転蓄熱体41、21を通過する際に触媒燃焼を開始する。この触媒燃焼によって発生した燃焼ガスの燃焼熱により、改質部40では改質触媒が直接的に加熱される。蒸発部20では燃焼熱は回転蓄熱体21に蓄えられ、回転蓄熱体21が回転移動することにより、低温流体通路Aを通過する第1改質原料を加熱・気化する。
【0078】
このように、オフガスの触媒燃焼による熱により、改質部40の改質触媒を加熱するとともに、改質原料を加熱して気化することができる。これにより、蒸発部20、改質部40の加熱は、始動用燃料の火炎燃焼による加熱からオフガス燃焼による加熱に切り替わり、水素供給装置は自立運転を開始することができる。
【0079】
次に、燃料電池60における負荷が変動した場合には、燃料電池60での負荷変動に応じて改質原料の供給量を調整して、燃料電池60への水素供給量を調整する。水素供給装置において水素供給量を増加させた場合には、改質部40の改質反応に伴う吸熱量増加により改質部40の温度が低下するため、改質部40の加熱量を増加させる必要がある。
【0080】
ところが、水素供給装置の水素供給量増加に伴う燃料電池60のオフガス排出量増加には、タイムラグがある。このため、水素供給装置での水素供給量を急速に増加させた場合には、オフガス燃焼による燃焼熱が不足する場合がある。このような場合には、一時的に燃焼ガス供給部70にて始動用燃料を噴霧して点火プラグ75で着火することで、火炎燃焼による燃焼熱を利用して熱補給することができる。これにより、常に適温下で改質反応を促進することができる。
【0081】
また、改質原料中の空気の混合割合を増加させることで、改質部40における部分酸化反応(発熱反応)の割合を増加させ、改質部40での発熱量を増加させることができる。これによっても、オフガス燃焼の燃焼熱の不足を補うことができる。
【0082】
さらに、回転蓄熱体41、21の回転を速めることによっても、高温流体通路Bから低温流体通路Aへの伝熱速度を速くすることができる。これによっても、オフガス燃焼の燃焼熱の不足を補うことができる。
【0083】
なお、燃料電池60における負荷増加の伴う改質部40の温度低下は、温度センサ41にて直接的に検出することができる。あるいは燃料電池60が例えば車両走行用モータの駆動電源として用いられている場合には、アクセル開度に基づいて燃料電池60の負荷変動を予測し、改質部40の温度変化を予測するように構成してもよい。
【0084】
水素供給装置から燃料電池60への水素の供給を停止する場合には、改質燃料と水の供給を停止し、次に空気の供給を停止する。この間、改質原料通路A内に残存する可燃混合気は、燃料ガス通路Bにおいて蒸発部20内またはその表面部での触媒燃焼により燃焼完結するので、エミッションの排出を抑制することができる。
【0085】
ところで、本第1実施形態の蒸発部20および改質部40のように回転式熱交換器を用いた場合、蒸発部20や改質部40において高圧の低温流体通路Aから低圧の高温流体通路Bへのガス漏れが発生する。ガス漏れは、回転蓄熱体21、41とガスシール22、42との間からの直接的なシール漏れと、回転蓄熱体21、41にトラップされ移送されることに起因する移送漏れがある。すなわち、蒸発部20や改質部40におけるガス漏れは、低温流体通路Aと高温流体通路Bとの圧力差と回転蓄熱体21、41とガスシール22、42との当接面における隙間に比例する隙間漏れ量と、ガスシール22、42のクロスアーム22b、42bと回転蓄熱体21、41の貫通孔21a、41aによって形成される空間移動容積(回転蓄熱体の回転に伴う移動)による移送漏れ量(キャリーオーバーロス)との合計になる。
【0086】
このうちシール面からの隙間漏れは、機構の改善である程度は抑制できる。しかしながら、回転蓄熱体21、41にトラップされることによる移送漏れは、回転式熱交換器の構造上、これ以上低減することができない。
【0087】
この結果、蒸発部20では、低温流体通路Aを流れる改質原料が高温流体通路Bを流れる排気ガス中に混入し、例えば未燃焼の改質燃料が有害ガスとなって排出されるという問題が生ずる。
【0088】
そこで、本第1実施形態では、複数種の改質原料の供給源を分割し、改質原料は蒸発部20の下流側で供給することで、回転蓄熱式蒸発部20を通過させないように構成している。このような構成により、低温流体通路A側で蒸発部20を通過するのは改質燃料を含まない第1改質原料(水と空気)のみとなるため、高温流体通路Bへの漏洩ガス中に有害成分を含まない。第1改質原料は蒸発部20を通過して高温に加熱され、蒸発部20の下流側にて第2改質原料(液体の改質燃料)を加熱気化・混合して、水および空気、改質燃料からなる改質原料を生成する。
【0089】
また、第2改質原料供給部30にて生成された改質原料の一部は、改質部40の回転蓄熱体41にトラップされて高温流体通路Bに移送されることとなる。ガス漏れした改質原料は蒸発部20に流れ、改質原料中の有害ガス(未燃燃料)は回転蓄熱体21で酸化反応(触媒燃焼)により十分浄化された後、外部に排出される。また、回転蓄熱体21での酸化反応に伴う発熱は改質原料の加熱源として利用できる。
【0090】
以上、本第1実施形態の水素供給装置の構成によれば、改質部40を回転式熱交換器40を用いることで、高温流体の熱により改質触媒を直接的に加熱して熱補給することができ、改質触媒を効率よく昇温させることができる。これにより、改質触媒を速やかに改質反応開始温度まで昇温でき、始動時において早期に改質反応を立ち上げることができる。燃料電池10の負荷変動時においても高応答性を実現できる。
【0091】
また、蒸発部20にも同様の回転式熱交換器を用いることで、効率よく高温流体通路Bの高温ガス(高温流体)の熱を低温流体通路Aを流れる低温ガス(低温流体)に伝えることができる。これによっても、始動時において早期に改質反応を立ち上げることができ、燃料電池60の負荷変動時においても高応答性を実現できる。
【0092】
このように回転式熱交換器では、隔壁を介して高温流体と低温流体の間の熱交換を行うのではなく、高温流体で加熱された伝熱面自体で低温流体を加熱するため、単位面積当たりの伝熱量が大きい。このため、熱交換効率を高めることができるとともに、必要伝熱量を確保するのに大きな伝熱面を必要としない。従って、始動時における改質反応早期立ち上げや燃料電池10の負荷変動時における高応答性を実現でき、装置の小型化を図ることができる。
【0093】
また、必要加熱温度に応じて回転蓄熱体21、41の回転速度を制御することで、回転蓄熱体21、41の温度を適温に調整し、改質原料の加熱温度や改質触媒の加熱温度を調整することができる。
【0094】
また、本第1実施形態のように、蒸発部20の回転蓄熱体21と改質部40の回転蓄熱体41を同軸構成とすることで、2つの回転蓄熱体21、41を単一の駆動装置23で駆動することが可能となり、装置の小型化、高効率化を図ることができる。
【0095】
また、本第1実施形態の水素供給装置のように、改質原料の供給源を分離して、水と空気を蒸発部20の上流側に供給し、改質燃料を蒸発部20の下流側に供給することで、回転式熱交換器に生ずるガス漏れにおいて、改質燃料が未反応のまま有害ガスとして外部に排出されることを防止できる。
【0096】
また、本第1実施形態の水素供給装置では、オフガス供給部と始動用燃焼部とを一体化しているため、これによっても装置全体の小型化を図ることができる。
【0097】
また、水素供給装置の始動時には、始動用燃料を火炎燃焼させ、回転蓄熱体21を加熱することにより、改質システムの各構成要素(蒸発部20や改質部40)を加熱し、速やかに改質反応開始温度まで昇温させることができる。これにより、改質反応開始までの始動時間を短縮することが可能となる。
【0098】
また、蒸発部20内のオフガス燃焼処理に伴う発熱量を、改質原料の加熱・気化に利用し、改質部40における吸熱反応(水蒸気改質反応)の補熱量として回収することで、装置の高効率化を図ることができる。
【0099】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して第2改質原料供給部30の構成が異なるものである。上記第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0100】
上記第1実施形態のように第2改質原料(改質燃料)を蒸発部20の下流側に供給する場合、第2改質原料供給部30から改質部40までの距離が短いため、第1改質原料と第2改質原料とを短時間で効率よく混合する必要がある。そこで、本第2実施形態の第2改質原料供給部30では、第1改質原料と第2改質原料とを効率よく混合させるための混合部(混合室)33を設けている。
【0101】
図7(a)は第2改質原料供給部30の拡大断面を示しており、図7(b)は(a)のX−X断面を示している。図7(a)(b)に示すように混合室33は下流側が開口した円筒形状となっている。混合室33には、外周面の複数箇所(本実施形態では3箇所)を内側に切り欠くことで、混合室内に第1改質原料(水と空気の混合気)を導入する流入孔33aと、第1改質原料に渦流を発生させる案内板33bが形成されている。
【0102】
このような構成により、第1改質原料は混合室33の側面接線方向から混合室33内に流入する。ここで、噴霧ノズル32より混合室33内に第2の改質原料である改質燃料が噴射することで、第1改質原料に第2改質原料が混合される。このとき、第1改質原料は混合室33内で渦流を形成しているので、第2改質原料の拡散を促進し、第1改質原料と第2改質原料とを短時間で効率よく速やかに混合することができる。
【0103】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図8に基づいて説明する。図8に示すように、本第3実施形態は上記第1実施形態に比較して、第1改質原料供給部10に燃料流量制御弁15、点火プラグ16、燃焼室17を設けた点が異なるものである。
上記第1実施形態と同様の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
上記のように、本第3実施形態の水素供給装置では、第1改質原料供給部10に、始動用燃料の流量制御を行う制御弁15と、始動用燃料に着火して火炎燃焼させるための点火プラグ16と、火炎燃焼を維持するための燃焼室35が設けられている。
【0105】
このような構成により、水素供給装置の始動時に、燃焼ガス供給部70での火炎燃焼に加えて、第1改質原料供給部10でも火炎燃焼を生じさせることができる。これにより、高温流体通路Bでは燃焼ガス供給部70における火炎燃焼の燃焼熱により加熱し、低温流体通路Aでは第1改質原料供給部10における火炎燃焼の燃料熱により加熱することができる。回転蓄熱体21、41は停止状態で加熱することもできる。これにより、蒸発部20および改質部40を急速に加熱することができ、改質反応の立ち上げをさらに速やかに行うことが可能となる。
【0106】
また、燃料電池60の負荷変動時にも、一時的に第1改質原料供給部10にて火炎燃焼を生じさせることで、オフガスの燃焼熱の不足分を速やかに補うことができる。
【0107】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図9に基づいて説明する。図9に示すように、本第4実施形態は上記第1実施形態に比較して、第2改質原料供給部30に点火プラグ34を設けた点が異なるものである。
【0108】
このような構成により、水素供給装置の始動時に、燃焼ガス供給部70での火炎燃焼に加えて、第2改質原料供給部30でも火炎燃焼を生じさせることができる。これにより、改質部40を急速に加熱することができ、改質反応の立ち上げをさらに速やかに行うことが可能となる。
【0109】
また、燃料電池60の負荷変動時にも、一時的に第2改質原料供給部30にて火炎燃焼を生じさせることで、オフガスの燃焼熱の不足分を速やかに補うことができる。
【0110】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を図10、図11に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第1実施形態に比較して、蒸発部および改質部の回転蓄熱体を一体的に構成し、さらに、高温流体通路Bの回転蓄熱体下流側に排気浄化部が設けられている点が異なるものである。上記第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0111】
図10は、本第5実施形態の水素供給装置の各構成要素の配置関係を示す概念図である。図10に示すように、本第5実施形態では、改質原料を加熱蒸発させる蒸発部20と改質反応により水素リッチガスを生成する改質部40は、同一の回転蓄熱体201を共有している。
【0112】
また、第1改質原料供給部10には、改質原料の流量制御を行う燃料流量制御弁15が設けられている。本第5実施形態では、上記各実施形態において蒸発部20下流側に設けられていた第2改質原料供給部30は廃止され、蒸発部20上流側の第1改質原料供給部10にてすべての改質燃料が供給されるように構成されている。
【0113】
図11は本第5実施形態における蒸発部20および改質部40の分解斜視図である。図11に示すように、本第5実施形態の蒸発部20および改質部40には、熱エネルギを蓄える回転蓄熱体(マトリクス)201と、マトリクス201と密着してガス漏れを防止する一対のガスシール22と、マトリクス201を回転駆動する駆動用モータ23が設けられている。本第5実施形態の回転蓄熱体201は、上記各実施形態では個別に設けた蒸発部20および改質部40の回転蓄熱体を一体化構成したものである。
【0114】
本第5実施形態の回転蓄熱体201は、低温流体通路Aにおける上流側(図10中のLh)が蒸発部20となっており、下流側(図10中のLr)が改質部40となっている。
【0115】
マトリクス201は、軸方向に多数の貫通孔(セル)201aが形成されたハニカム構造となっている。蒸発部20では、回転蓄熱体201の貫通孔201a表面に酸化触媒(白金、パラジウム等の単体あるいは混合物)が添着(坦持)されている。また、改質部40では、回転蓄熱体201の貫通孔201a表面に、改質反応のための改質触媒(酸化ニッケル、酸化銅、白金、パラジウム等の単体あるいは混合物)が添着されている。
【0116】
ところで、本第5実施形態のように、低温流体通路Aにおける蒸発部20の上流側で改質燃料を供給する場合には、回転蓄熱式熱交換器の構造上、低温流体通路Aから高温流体通路Bへの改質燃料のガス漏れが発生する。すなわち、回転蓄熱体201の回転に伴うガスの移送漏れ、各流体通路A、Bの圧力差に伴うシール漏れが発生する。この結果、改質燃料が未反応のまま有害ガスとして排気ガスとともに外部に排出されるという問題がある。
【0117】
そこで、本第5実施形態の水素供給装置では、高温流体通路Bにおける回転蓄熱体201の下流側に排気浄化部(排気浄化手段)80が設けられている。排気浄化部80には、浄化触媒体81と、浄化触媒体81を加熱する電気式ヒータ(加熱手段)82が設けられている。
【0118】
浄化触媒体81は、多数の貫流孔を有するハニカム形状となっている。浄化触媒体81は、セラミック、金属材料等から構成されている。浄化触媒体81の貫流孔(担体)表面には、酸化触媒(白金、パラジウム等の単体あるいは混合物)が添着(坦持)されている。
【0119】
電気式ヒータ82は、正電極83、負電極84を備え、通電により発熱するように構成されている。なお、正電極83とケーシング1との間は、絶縁体85により絶縁されている。排気触媒体81に担持された触媒は、所定の活性温度(例えば200〜300℃)に達しないと触媒作用を発揮しないため、低温始動時には、排気触媒体81はヒータ82により活性温度以上に加熱される。また、通常運転時には、排気触媒体81は高温流体通路Bを流れる高温流体により活性温度以上に維持される。
【0120】
以下、上記構成の水素供給装置の作動について説明する。まず、水素供給装置の始動時について説明する。燃焼ガス供給部70の燃焼室76にて始動用燃料と空気との混合気を火炎燃焼させる。これにより生成した燃焼ガスは、高温流体通路Bを流れて回転蓄熱体201を貫流する。これにより、回転蓄熱体201のうち高温流体通路Bに位置する部位が燃焼ガスにより加熱される。
【0121】
改質原料供給部10では空気を供給しておく。回転蓄熱体201が回転することで、燃焼ガスにて加熱された部位が低温流体通路Aに移動し、低温流体通路Aを流れる空気が加熱される。この加熱空気が低温流体通路Aを流れることで、各構成要素が急速に暖気される。
【0122】
排気浄化部80では、ヒータ82に通電して排気浄化体81を加熱しておく。
これにより、排気浄化体81に担持された触媒は急速に活性温度以上に加熱される。燃焼ガス供給部70で発生した燃焼ガスには不完全燃焼等により有害ガスが含まれるが、有害ガスは浄化触媒体81を通過する際に浄化される。これにより、水素供給装置の始動時には、燃焼ガス供給部70で発生した燃焼ガス中の有害ガスを十分に清浄化させた上で外部に排出することができる。
【0123】
各構成要素の暖気終了後、改質原料供給部10にて改質原料(水、改質燃料、空気の混合気)の供給が開始される。液状の水、改質燃料は、空気流を利用する噴霧ノズル13により微細流の混合気流となって回転蓄熱体201に流入する。回転蓄熱体201における上流部の蒸発部20では、高温流体通路Bより受け取った熱により改質原料を加熱気化する。回転蓄熱体201における下流部の改質部40では、水蒸気改質あるいは水蒸気改質と部分酸化改質との併用改質(オートサーマル改質)反応により、水素リッチガスが生成する。
【0124】
このとき、蒸発部20および改質部40では、回転蓄熱体201の回転に伴う移送漏れと各流体通路A、Bの圧力差に伴うシール漏れにより、低温流体通路Aから高温流体通路Bに未反応の改質燃料が漏れる。回転蓄熱体201の下流側に配置された排気触媒体81では、余剰空気中の酸素と改質燃料中の未反応成分(HC等の燃料ガス、CO、メタン等)との酸化反応が促進される。これにより、未燃ガス等の有害成分は浄化された上で排気される。
【0125】
改質部40にて生成された改質ガスは、燃料電池60に供給される。燃料電池60では、未反応水素を含むオフガスと未反応の酸素を含むオフエアが排出される。オフガス、オフエアは燃焼ガス供給部70に導入され、オフガス混合気となる。オフガス混合気は、改質部40および蒸発部20に供給され、回転蓄熱体201を通過する際に触媒燃焼を開始する。この燃焼熱により、改質部40では改質触媒が直接的に加熱される。蒸発部20では燃焼熱は回転蓄熱体201に蓄えられ、回転蓄熱体201が回転移動することにより、低温流体通路Aを通過する改質原料を加熱・気化する。
【0126】
これにより、蒸発部20、改質部40の加熱は、始動用燃料の火炎燃焼による加熱からオフガス燃焼による加熱に切り替わり、水素供給装置は自立運転を開始することができる。また、排気触媒体81に担持された触媒は、定常運転時には高温流体通路Bを貫流する高温ガスにより活性温度以上に加熱されるので、ヒータ82による加熱が不要となる。
【0127】
以上、本第5実施形態の構成のように、蒸発部20および改質部40の回転蓄熱体を一体構成することで、装置の小型化を図ることができる。また、熱交換器下流側の改質原料供給部を廃止して、改質燃料を熱交換器上流側で供給することで、装置の小型化を図ることができるとともに、改質燃料を熱交換器で直接加熱することができ、熱交換効率を向上させることができる。さらに、高温流体通路Bにおける回転蓄熱体201下流側に排気浄化部80を設けることで、改質燃料を回転蓄熱式熱交換器の上流側で供給することによって発生する有害ガスの外部排出を防止することができる。
【0128】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図12に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第5実施形態に比較して排気浄化部80における排気触媒体81の上流側に吸着体が設けられている点で異なるものである。上記第5実施形態と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
図12は、本第6実施形態の水素供給装置の各構成要素の配置関係を示す概念図である。図12に示すように、本第6実施形態では、排気浄化部80における排気触媒体81に上流側に吸着体86が設けられている。吸着体86は、多数の貫流孔が形成されているとともに、細孔(吸着孔)を有している。吸着体86としては、例えばゼオライトを用いることができる。
【0130】
このような構成により、水素供給装置は始動時において以下のように作動する。まず、始動直後の低温下であって、排気触媒体81に担持された触媒が活性温度に達していないときには、高温流体通路B中の有害成分は吸着体86に吸着される。その後、ヒータ82により排気触媒体81が活性温度以上に加熱される。
【0131】
貫流する燃焼ガスにより吸着体86が加熱され所定の脱離温度以上に達すると、吸着体86に吸着されていた有害成分が吸着体86から脱離する。これにより、吸着体86は再生される。吸着体86より脱離した有害成分は、活性状態の排気触媒体81にて酸化反応し、浄化された上で外部に排出される。
【0132】
以上、本第6実施形態のように排気浄化部80に吸着体86を設けることで、排気触媒体81に担持された触媒が活性温度に達していなくても、吸着体86で有害成分を保持でき、有害成分が外部に排出されることを防ぐことができる。また、高温時には有害成分が吸着体86から脱離し、吸着体86を再生できる。
【0133】
また、本第6実施形態の排気浄化部80では、上記第5実施形態と同様に排気触媒体81を加熱するヒータ(加熱手段)82を設けたが、吸着体86を設けることで、触媒が活性温度に到達するまでの間は吸着体86で有害成分を保持できるので、第6実施形態の構成においてヒータ82を省略することもできる。
【0134】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、蒸発部20の回転蓄熱体21と改質部の回転蓄熱体41を同軸上に配置したが、これに限らず、それぞれの回転蓄熱体21、41が固有の回転軸を持つように構成してもよい。この場合には、蒸発部20と改質部40のそれぞれに駆動用モータ等の駆動機構を設ける。このような構成によれば、蒸発部20および改質部40でそれぞれ必要加熱温度に応じて、回転蓄熱体21、41を個別に回転数制御することができる。
【0135】
また、上記各実施形態では、改質燃料としてガソリン、軽油等の液状石油系燃料を用いたが、これに限らず、改質燃料としてメタノール、天然ガス等の各種炭化水素化合物を用いることができ、さらに例えばアンモニアのような炭素を含まない水素化合物を用いることもできる。
【0136】
また、上記第5、第6実施形態では、回転蓄熱体201の異なる部位に酸化触媒と改質触媒を担持したが、これに限らず、酸化触媒と改質触媒とを混合した混合触媒を、回転蓄熱体201の全表面に担持するように構成することもできる。
【0137】
また、上記第5、第6実施形態の回転蓄熱体201における低温流体通路A上流部は、触媒を担持せず、高温流体通路B→低温流体通路Aの熱の移動のみを行うように構成することもできる。
【0138】
また、上記第5、第6実施形態の回転蓄熱体201は、実質的に一体構成となっていればよい。従って、1個の回転蓄熱体から構成してもよく、複数個の回転蓄熱体を積層して構成してもよい。例えば、酸化触媒と改質触媒を回転蓄熱体の異なる部位に担持する場合には、2個の回転蓄熱体を用意し、それぞれ酸化触媒、改質触媒を担持した後、これらを組み合わせて一体構成とすることができる。
【0139】
また、混合室14内の水噴霧はガス相に限らず、液滴粒子でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の水素供給装置のブロック図である。
【図2】図1の水素供給装置の概念図である。
【図3】図1の水素供給装置の熱交換部の分解斜視図である。
【図4】図3の熱交換部の拡大断面図である。
【図5】図1の水素供給装置の改質部の分解斜視図である。
【図6】図1の水素供給装置の制御系の説明図である。
【図7】第2実施形態の第2改質原料供給部の拡大断面図である。
【図8】第3実施形態の水素供給装置の概念図である。
【図9】第4実施形態の水素供給装置の概念図である。
【図10】第5実施形態の水素供給装置の概念図である。
【図11】図10の水素供給装置の蒸発部および改質部の分解斜視図である。
【図12】第6実施形態の水素供給装置の概念図である。
【符号の説明】
10…第1改質原料供給部、20…熱交換部(蒸発器)、30…第2改質原料供給部、40…改質部、70…燃料電池、70…燃焼ガス供給部(オフガス供給部)、80…排気浄化部、A…低温流体通路(改質原料通路)、B…高温流体通路(燃焼ガス通路)。

Claims (20)

  1. 水素消費装置(60)に供給する水素を生成する水素供給装置であって、
    改質原料が通過する低温流体通路(A)と、
    燃焼ガスを発生させる燃焼ガス供給部(70)が設けられた高温流体通路(B)と、
    触媒反応により前記改質原料を水素に改質する改質部(40)と
    低温流体通路(A)における前記改質部(40)の上流側に配置され、前記改質原料を加熱する蒸発部(20)とを備え、
    前記改質部(40)は、回転軸(25)を中心に回転駆動される改質部回転蓄熱体(41)を有しており、前記改質部回転蓄熱体(41)は回転することにより、前記低温流体通路(A)と前記高温流体通路(B)とを交互に移動し、前記高温流体通路(B)にて前記燃焼ガスの燃焼熱を受け取り、
    前記蒸発部(20)は、回転軸(25)を中心に回転駆動される蒸発部回転蓄熱体(21)を有しており、前記蒸発部回転蓄熱体(21)は回転することにより、前記低温流体通路(A)と前記高温流体通路(B)とを交互に移動し、前記燃焼ガスの燃焼熱を前記改質原料に伝えることを特徴とする水素供給装置。
  2. 前記改質部回転蓄熱体(41)は、軸方向に多数の貫通孔(41a)が形成されるともに、その貫通孔(41a)の開放側の端面が2つの領域に区画されており、
    一方の領域は前記低温流体通路(A)に位置し、他方の領域は前記高温流体通路(B)に位置しており、
    前記一方の領域に形成されている前記貫通孔(41a)には前記第1改質原料が通過し、前記他方の領域に形成されている前記貫通孔(41a)には前記燃焼ガスが通過するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の水素供給装置。
  3. 前記貫通孔(41a)の表面には、改質触媒が坦持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素供給装置。
  4. 前記燃焼ガス供給部(70)には、前記水素消費装置(60)にて消費されなかった水素を含むオフガスがオフガス供給路(61)を介して供給され、
    前記オフガスの燃焼により前記燃焼ガスが生成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の水素供給装置。
  5. 前記燃焼ガス供給部(70)には、燃焼用燃料を供給する燃焼用燃料供給部(72)と、前記燃焼用燃料を燃焼させる着火手段(75)とが設けられており、
    前記燃焼用燃料の燃焼により前記燃焼ガスが生成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の水素供給装置。
  6. 前記蒸発部回転蓄熱体(21)は、軸方向に多数の貫通孔(21a)が形成されるともに、その貫通孔(21a)の開放側の端面が2つの領域に区画されており、
    一方の領域は前記低温流体通路(A)に位置し、他方の領域は前記高温流体通路(B)に位置しており、
    前記一方の領域に形成されている前記貫通孔(21a)には前記第1改質原料が通過し、前記他方の領域に形成されている前記貫通孔(21a)には前記燃焼ガスが通過するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の水素供給装置。
  7. 前記蒸発部回転蓄熱体(21)の貫通孔(21a)には酸化触媒が坦持されていることを特徴とする請求項に記載の水素供給装置。
  8. 前記改質部回転蓄熱体(41)および前記蒸発部回転蓄熱体(21)は、必要加熱温度に応じて回転数を調整されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の水素供給装置。
  9. 前記改質部回転蓄熱体(41)の回転軸と前記蒸発部回転蓄熱体(21)の回転軸は、同一であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の水素供給装置。
  10. 前記蒸発部(20)は、前記高温流体通路(B)において前記改質部(40)の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の水素供給装置。
  11. 前記低温流体通路(A)における前記蒸発部(20)の上流側に配置され、少なくとも水を含む第1の改質原料を供給する第1改質原料供給部(10)と、
    前記低温流体通路(A)における前記熱交換部(20)の下流側に配置され、少なくとも水素化合物を含む第2の改質原料を供給し、前記第1の改質原料と前記第2改質原料とを混合して前記改質原料を生成する第2改質原料供給部(30)とを備えることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の水素供給装置。
  12. 水素消費装置(60)に供給する水素を生成する水素供給装置であって、
    改質原料が通過する低温流体通路(A)と、
    燃焼ガスを発生させる燃焼ガス供給部(70)が設けられた高温流体通路(B)と、
    前記改質原料を加熱する蒸発部(20)と、
    触媒反応により前記改質原料を水素に改質する改質部(40)と、
    前記低温流体通路(A)における前記蒸発部(20)の上流側に前記改質原料を供給する改質原料供給部(10)とを備え、
    前記蒸発部(20)および前記改質部(40)は、回転軸(25)を中心に回転駆動される1つの回転蓄熱体(201)を共有しており、前記回転蓄熱体(201)は回転することにより、前記低温流体通路(A)と前記高温流体通路(B)とを交互に移動し、前記高温流体通路(B)にて前記燃焼ガスの燃焼熱を受け取り、
    前記高温流体通路(B)における前記回転蓄熱体(201)の下流側には、排気浄化手段(80)が設けられており、
    前記排気浄化手段(80)は、多数の貫流孔を有するとともに、前記貫流孔に酸化触媒が添着された排気浄化体(81)を備えており、
    前記排気浄化手段(80)は、前記排気浄化体(81)の上流側に設けられた吸着体(86)を備えていることを特徴とする水素供給装置。
  13. 前記回転蓄熱体(201)は、軸方向に多数の貫通孔(a)が形成されるともに、その貫通孔(a)の開放側の端面が2つの領域に区画されており、
    一方の領域は前記低温流体通路(A)に位置し、他方の領域は前記高温流体通路(B)に位置しており、
    前記一方の領域に形成されている前記貫通孔(a)には前記第1改質原料が通過し、前記他方の領域に形成されている前記貫通孔(a)には前記燃焼ガスが通過するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の水素供給装置。
  14. 前記回転蓄熱体(201)の前記低温流体通路(A)における上流側部位(Lh)は前記蒸発部(20)に対応し、下流側部位(Lr)は前記改質部(40)に対応していることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の水素供給装置。
  15. 前記回転蓄熱体(201)の前記低温流体通路(A)における下流側部位(Lr)には改質触媒が担持されていることを特徴とする請求項14に記載の水素供給装置。
  16. 前記回転蓄熱体(201)の前記低温流体通路(A)における上流側部位(Lh)には酸化触媒が担持されていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の水素供給装置。
  17. 前記回転蓄熱体(201)における同一部位が、前記蒸発部(20)および前記改質部(40)の双方に対応していることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の水素供給装置。
  18. 前記回転蓄熱体(201)には、酸化触媒および改質触媒とを混合した混合触媒が担持されていることを特徴とする請求項17に記載の水素供給装置。
  19. 前記排気浄化手段(80)は、前記排気浄化体(81)を加熱する加熱手段(82)を備えていること特徴とする請求項12ないし18のいずれか1つに記載の水素供給装置。
  20. 前記水素消費装置(60)は燃料電池であることを特徴とする請求項1ないし19のいずれか1つに記載の水素供給装置。
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