JP4660954B2 - アイソレータからの物品排出装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、外部から隔離されて滅菌された内部空間を有するアイソレータに係り、特に、このアイソレータから外部へ物品を排出するアイソレータからの物品排出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外部から隔離されて滅菌された内部空間を有するアイソレータ内に、医薬品や食品等の製造設備を設置し、無菌環境内で前記製品の製造を行うことが、近年広く行われている。
【0003】
前記のように無菌雰囲気のアイソレータ内で物品の製造その他の処理を行った後、このアイソレータ内から外部の無菌でない雰囲気中に物品を排出しなければならない。このようにアイソレータから物品を排出する場合に、菌等の汚染物質が外部からアイソレータ内に侵入することを防止する必要がある。そこで、従来は、アイソレータの排出口付近を、内部側から外部側へ向けて常時大風量のエアを噴射することにより、外部雰囲気の侵入を阻止するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
アイソレータ内から物品を排出する場合に、従来のようにアイソレータの内部側から外部側へ向けて常に大風量のエアを噴射する構成では、風量の消費が大きく無駄なエネルギーを使うという問題があった。また、排出口付近で、エアの巻き込みが起こるおそれがあり、アイソレータ内の無菌性の維持に不安があるという問題もあった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、エネルギーのロスが少なく、しかも、無菌性を向上させることができるアイソレータからの物品排出装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるアイソレータからの物品排出装置は、内部に無菌空間を有する第1アイソレータと、この第1アイソレータと連通口を介して接続された第2アイソレータと、第1アイソレータ内の物品を第2アイソレータに搬送し、さらに第2アイソレータの排出口から外部に排出する搬送手段と、前記連通口を開閉するシール機能を備えた第1シャッターと、前記排出口を僅かに隙間を有する状態で閉鎖可能な第2シャッターと、第2アイソレータに接続された給気ブロアと、前記第1シャッター、第2シャッターの開閉および給気ブロアの風量を制御して前記第2アイソレータ内を外部の雰囲気と比較して陽圧に維持する制御手段とを備え、前記第1アイソレータから物品を外部に排出する際には、第1シャッターを開放して、第2シャッターが前記排出口を僅かに隙間を有する状態で閉じるとともに、前記給気ブロアを小風量で運転している第2アイソレータに物品を移動終了後、第1シャッターを閉じて、第2シャッターを開放するとともに、給気ブロアを大風量で運転しつつ、第2アイソレータから物品を排出するようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る物品排出装置により物品が排出されるアイソレータを示すもので、第1アイソレータ2と第2アイソレータ4とが連結されて構成されている。
【0008】
第1アイソレータ2は、外部から隔離された内部空間2Aを有しており、この内部空間2Aが図示しない滅菌ガス供給装置によって滅菌される。この第1アイソレータ2の内部は作業空間になっており、内部に搬入された物品6に所定の処理を行う。第1アイソレータ2には図示しない給気ブロアおよび排気ブロアが設けられており、これらブロアからの給気量および排気量を制御することにより、外部の雰囲気(アイソレータ2、4が設置されているクリーンルームの雰囲気)と比較して40Pa陽圧に維持されている。
【0009】
第1アイソレータ2に連結された第2アイソレータ4は、その内部空間4Aが連通口8を介して第1アイソレータ2の内部空間2Aに連通している。第2アイソレータ4の内部は、前記第1アイソレータ2で処理された物品6を外部に排出する搬出空間になっており、その物品6を排出口10から外部に排出する。第2アイソレータ4には、インバータ付きの給気ブロア12が設けられており、この給気ブロア12からHEPAフィルタ14を介してエアを供給することにより、内部空間4Aが外部の雰囲気と比較して40Pa陽圧に維持されている。
【0010】
前記第1アイソレータ2と第2アイソレータ4との間の連通口8は、第1シャッター16によって開閉される。第1シャッター16は第2アイソレータ4内に設けられており、図示しない昇降機構によって前記連通口8を閉鎖する下降位置と連通口8を開放する上方位置との間で昇降される。また、第1シャッター16の前面(連通口8側を向いた面)には、第2アイソレータ4の内壁面に密着してシールするシール部材18が取り付けられており、押圧機構(シリンダ)19の作動によって第1シャッター16を前進させてシール部材18を壁面に押し付けることにより、連通口8を完全に密閉することができる。
【0011】
前記第2アイソレータ4に設けられた排出口10は、第2のシャッター20によって開閉される。この第2シャッター20は、図示しない昇降機構によって前記排出口10を閉鎖する下降位置と開放する上方位置との間で昇降される。また、第2シャッター20の前面には第2アイソレータ4の外壁面に密着してシールするシール部材21が取り付けられており、押圧機構(シリンダ)23の作動により、第2シャッター20が前進するとシール部材21が前記外壁面に密着して前記排出口10を密封する。
【0012】
この第2シャッター20は、第2アイソレータ4内を滅菌するときには、前記シリンダ23の作動によってシール部材21を排出口10の周囲に密着させて内部を密封するが、生産運転を行うときには、シリンダ23を作動させず、排出口10を閉鎖した際にも、第2アイソレータ4の外壁面に対して僅かな隙間を有した状態にして、完全には密封しないようになっている。
【0013】
第1アイソレータ2内から、第2アイソレータ4内および第2アイソレータ4の外部に渡って搬送コンベヤ22が設置されている。この搬送コンベヤ22は、前記第1シャッター16および第2シャッター20と干渉しないように、第1アイソレータ2内の部分22A、第2アイソレータ4内の部分22Bおよび第2アイソレータ4の外部に配置された部分22Cに分割されており、これら搬送コンベヤ各部22A、22B、22C間を順次受け渡しつつ、第1アイソレータ2内の物品6を第2アイソレータ4に搬入し、さらに前記排出口10から第2アイソレータ4の外部に排出する。
【0014】
前記第1シャッター16と第2シャッター20の開閉および給気ブロア12の作動を制御する制御装置24が設けられている(図2参照)。この制御装置24は、第1アイソレータ2から第2アイソレータ4へ、そして第2アイソレータ4の外部への物品6の移動のタイミングに合わせて、演算制御部26が第1シャッター指令部28および第2シャッター指令部30に指令を送り、第1シャッター16および第2シャッター20をそれぞれ開閉する。
【0015】
また、制御装置24の記憶部32には、第2シャッター20が閉じたときに給気ブロア12を小風量で運転する第1運転モード34と、第2シャッター20が開放したときに給気ブロア12を大風量で運転する第2運転モード36の二つの運転モードが記憶されており、第2シャッター20の開閉のタイミングに合わせて、演算制御部26が指令部38に信号を送り、給気ブロア12の運転を切り換えるようになっている。この実施の形態では、小風量の運転モードでは、給気ブロア12の能力の10%程度で運転し、大風量モードでは、給気ブロア12の運転能力の70%程度で運転するように設定している。
【0016】
第2アイソレータ4内の圧力は圧力センサ40により検出されており、小風量の運転時には、給気ブロア12をその能力の10%程度で運転しつつ、第2アイソレータ4内に配置されたこの圧力センサ40からの検出値によって周波数を制御し、前記圧力(外部に対して40Pa陽圧)に維持している。なお、この実施の形態では、大風量モードで運転しているときには、圧力制御は行わないので、圧力センサ40からの検出値はフィードバックしていない。但し、圧力センサ40からの検出値をフィードバックして、大風量モードでの運転も制御するようにしても良い。
【0017】
前記構成に係るアイソレータの動作について説明する。先ず、第1アイソレータ2内に物品6が存在している状態から説明する。この時点では、第1シャッター16はシリンダ19の作動により密閉した状態になっている。また、第2シャッター20は、シリンダ23を作動させず隙間を有する状態で閉じている。そして第2アイソレータ4に接続された給気ブロア12は小風量で運転している。第1アイソレータ2内は外部から遮断されており、図示しない給気ブロアおよび排気ブロアの運転により給気および排気を行って、前記40Paの陽圧に制御されている。また、第2アイソレータ4は、給気ブロア12が能力の10%程度で運転されて内部にエアが供給されるとともに、排出口10を閉じている第2シャッター20の隙間からエアが放出されており、圧力センサ40の検出値をフィードバックすることによって、前記第1アイソレータ2の内部と同様の40Paの陽圧に制御されている。
【0018】
次に、第2シャッター20は前記のように隙間を有する状態で閉じたまま、第1シャッター16をシリンダ19によって開放する。そして、搬送コンベヤ22(22A、22B)によって、物品6を第1アイソレータ2から第2アイソレータ4へと搬送する。この物品6の移動中も、第2アイソレータ4の給気ブロア12は小風量で運転している。
【0019】
物品6が第2アイソレータ4内へ移動すると、第1シャッター16も、再びシリンダ19の作動により密閉した状態で閉じる。この時点でも、給気ブロア12は小風量のまま運転をしている。
【0020】
第2アイソレータ4内の物品6を外部に排出するときには、第1シャッター16は密閉した状態のまま、第2シャッター20を開放するとともに、給気ブロア12を大風量運転モードに切り換えその能力の70%程度で運転する。搬送コンベヤ22(22B、22C)によって第2アイソレータ4から物品6を排出中、大風量の運転を継続して排出口10から大量のエアを吹き出しているので、第2シャッター20が開放していても、排出口10から外部の汚染物質等が侵入することはない。
【0021】
第2アイソレータ4から物品6の搬出が終了すると、第1シャッター16は密閉したまま、第2シャッター20を隙間を有する状態で閉鎖するとともに、給気ブロア12を小風量モードでの運転に切り換える。給気ブロア12をその能力の10%程度の能力で運転して第2アイソレータ4の内部空間4Aにエアを吹き出すと、排出口10を閉じている第2シャッター20と第2アイソレータ4の外壁との間の隙間からエアが第2アイソレータ4の外部に流れ出す。このときの第2アイソレータ4内の圧力は圧力センサ40によって検出されており、この検出値に応じて給気ブロア12の運転周波数を制御して、第2アイソレータ4内の圧力を前記40Paの陽圧に維持する。
【0022】
第2アイソレータ4から物品6を排出するとき以外の、第1シャッター16および第2シャッター20の両者が閉じているとき(第1シャッター16はシリンダ19により密閉し、第2シャッター20は隙間を有する状態で閉じている)には、給気ブロア12が小風量で運転され、第2アイソレータ4内から排出口10を通ってエアが流れ出しているので、外部の雰囲気がこの第2アイソレータ4内に入り込むことがなく、無菌状態を維持することができる。例えば、生産運転中に第2シャッター20をシール部材21により密封する構成にすると、開放時に外部の雰囲気にさらされたシャッター20の内面が閉鎖時に排気口10の内部側に位置してしまうので、外部雰囲気が第2アイソレータ4内を回ってしまうが、この実施の形態に係る構成では、第2シャッター20のシール部材21を密着させず、隙間を空けて常にエアを内部から外部に向けて流すようにしているので、外部雰囲気にさらされたシャッター20内面の汚染が第2アイソレータ4内に入ることを防止することができる。また、このときには、給気ブロア12が小風量の運転をしているので、従来のように常に大風量で排出口10からエアを吹き出している構成に比べて大幅にエネルギーを低減することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、内部に無菌空間を有する第1アイソレータと、この第1アイソレータと連通口を介して接続された第2アイソレータと、第1アイソレータ内の物品を第2アイソレータに搬送し、さらに第2アイソレータの排出口から外部に排出する搬送手段と、前記連通口を開閉するシール機能を備えた第1シャッターと、前記排出口を僅かに隙間を有する状態で閉鎖可能な第2シャッターと、第2アイソレータに接続された給気ブロアと、前記第1シャッター、第2シャッターの開閉および給気ブロアの風量を制御して前記第2アイソレータ内を外部の雰囲気と比較して陽圧に維持する制御手段とを備え、前記第1アイソレータから物品を外部に排出する際には、第1シャッターを開放して、第2シャッターが前記排出口を僅かに隙間を有する状態で閉じるとともに、前記給気ブロアを小風量で運転している第2アイソレータに物品を移動終了後、第1シャッターを閉じて、第2シャッターを開放するとともに、給気ブロアを大風量で運転しつつ、第2アイソレータから物品を排出するようにしたので、アイソレータ内の無菌性を確実に維持することができる。また、従来と比べて風量の消費が少なくなるので、省エネルギー効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る物品排出装置により物品が排出されるアイソレータの構成を示す縦断面図である。
【図2】前記アイソレータの物品排出装置の制御を行う制御装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 第1アイソレータ
4 第2アイソレータ
6 物品
8 連通口
10 排出口
12 給気ブロア
16 第1シャッター
18 シール部材
20 第2シャッター
26 制御手段(制御装置)
Claims (1)
- 内部に無菌空間を有する第1アイソレータと、この第1アイソレータと連通口を介して接続された第2アイソレータと、第1アイソレータ内の物品を第2アイソレータに搬送し、さらに第2アイソレータの排出口から外部に排出する搬送手段と、前記連通口を開閉するシール機能を備えた第1シャッターと、前記排出口を僅かに隙間を有する状態で閉鎖可能な第2シャッターと、第2アイソレータに接続された給気ブロアと、前記第1シャッター、第2シャッターの開閉および給気ブロアの風量を制御して前記第2アイソレータ内を外部の雰囲気と比較して陽圧に維持する制御手段とを備え、
前記第1アイソレータから物品を外部に排出する際には、第1シャッターを開放して、第2シャッターが前記排出口を僅かに隙間を有する状態で閉じるとともに、前記給気ブロアを小風量で運転している第2アイソレータに物品を移動終了後、第1シャッターを閉じて、第2シャッターを開放するとともに、給気ブロアを大風量で運転しつつ、第2アイソレータから物品を排出することを特徴とするアイソレータからの物品排出装置。
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