JP2006156712A - 基板収納搬送容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリーンルーム内の基板がエアー等に曝露する局所的清浄環境で用いられる基板収納搬送容器において、搬送時の振動や、蓋体が開いて容器本体内の密閉状態が解除される場合であっても、外部空気の巻き込み発生を有効に防止し、収納された基板への容器外からの異物付着や分子汚染等を防ぐ。
【解決手段】 基板1を収納するとともに当該基板1を出し入れするための開口部を有した容器本体2と、その開口部を密閉可能に覆う蓋体と、少なくとも前記蓋体が開いて前記容器本体2内の密閉状態とその解除されるタイミングに対応して当該容器本体2内の陽圧化を行う陽圧化手段5,7,8とを備えて、基板収納搬送容器を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】 基板1を収納するとともに当該基板1を出し入れするための開口部を有した容器本体2と、その開口部を密閉可能に覆う蓋体と、少なくとも前記蓋体が開いて前記容器本体2内の密閉状態とその解除されるタイミングに対応して当該容器本体2内の陽圧化を行う陽圧化手段5,7,8とを備えて、基板収納搬送容器を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリコン等の半導体ウエハやガラスパネル等といった、主にクリーンルーム内で処理される基板を収納搬送するための基板収納搬送容器に関するものである。
近年、半導体装置や液晶表示装置等の製造工程では、ミニエンバイロメント(Mini Environment)と呼ばれるクリーンルーム内の局所的清浄環境が用いられている。ミニエンバイロメントとは、クリーンルーム全体を超高清浄化するのではなく、シリコンウエハやガラスパネル等の基板を密封された基板収納搬送容器に収納して工程内および工程間搬送することにより、基板が接触するエアー等の環境の局所だけを超高清浄化するシステムである。このようなミニエンバイロメント対応のクリーンルームは、半導体装置や液晶表示装置やプラズマ表示装置等の製造工程の他にも、製薬、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、医療関係等の分野でも利用可能であると考えられる。
ところで、ミニエンバイロメントにおいて用いられる基板収納搬送容器としては、200mm径まではSMIF(Standard Mechanical InterFace)ポッドが、300mm径からはFOUP(Front Opening Unified Pod)が広く用いられている。これらの基板収納搬送容器では、例えば図6または図7に示すように、シリコンウエハ等の基板を出し入れするための開口部を有した容器本体(ウエハキャリア)31と、その開口部を密閉可能に覆う蓋体(キャリアドア)32とを備えて構成されている。また、このような基板収納搬送容器の中には、例えば図7または図8に示すように、分子汚染除去機能を有したケミカルフィルタ33と、送風機構である電動ファン34とを備え、容器本体内にてケミカルフィルタ33を介して空気循環させることにより、基板収納搬送時における容器本体内の清浄度を高く維持し得るように構成されたものもある(例えば、特許文献1〜5参照)。
しかしながら、上述した従来の基板収納搬送容器では、ISOクリーン度クラス7以下の低クラス環境(一般事務室レベル)で用いると、キャリアドア開時の巻き込みによって、収納している基板に異物付着や分子汚染等といった悪影響が生じる。すなわち、ウエハキャリア31の開口部を密閉するキャリアドア32を開ける際に、そのキャリアドア32が開いた容積分の瞬間的な内部差圧が発生し、ウエハキャリア31の内部が負圧状態となるので、外部空気の巻き込みが発生してしまうのである。このことは、容器本体内で空気循環を行うものにおいても全く同様である。また、容器搬送時にも容器に大きな振動(>1G)が加わると容器の凹みひずみにより、負圧状態になってパッキンのシール性が破れ汚染エアーが流入することが知られている。
図9は、基板収納搬送容器がSMIFポッドである場合にドア開時の負圧状態の説明図である。図例によれば、従来のSMIFポッドでは、キャリアドア32が開くタイミングに合わせて、ウエハキャリア31内が負圧状態になってしまうことがわかる(図中における「ラッチ開〜ドア開タイミング」参照)。このことは、容器本体内で空気循環を行う場合においても全く同様である。図10は、ファンON/OFF時の負圧状態の説明図である。図例のように、電動ファン34の動作ON時は陽圧に、OFF時は負圧状態になることがわかっている。
ドア開時の負圧状態については、例えばエンクロージャー側の差圧を巻き込みが無い程度までブリージングフィルターを会して自動開閉装置への設置後に陽圧に上げたり、キャリアドア32を開ける速度を低速化したり、その速度変化をS字カーブ化したりすることで、キャリアドア32を開ける際の速度制御の最適化を図り、これにより外部空気の巻き込みを防ぐようにする、といったことも考えられる。ところが、このようなエンクロージャー側の陽圧化は、差圧を取れない測定器等では用いられないので、必ずしも全ての場合に適用できない。また、速度制御の最適化は、一般的にはドア開閉処理の遅延を招くため、収納された基板に対する生産性が低下することが懸念され、必ずしも好ましいとはいえない。
また、基板収納搬送容器の搬送時の負圧状態については、キャリアドア32が開口部を密閉する際のシール性を上げたり、容器の強度を上げて振動時に凹みや歪み等が発生しないように容器の肉厚を厚くしたり、振動を伴う一般環境での搬送にはラミネート袋で二重シールする等の対策をしている。このような対策は、一般の低クラス環境で全て問題ない訳では無いので運用上の制約を付けることが必要である。
また、基板収納搬送容器の搬送時の負圧状態については、キャリアドア32が開口部を密閉する際のシール性を上げたり、容器の強度を上げて振動時に凹みや歪み等が発生しないように容器の肉厚を厚くしたり、振動を伴う一般環境での搬送にはラミネート袋で二重シールする等の対策をしている。このような対策は、一般の低クラス環境で全て問題ない訳では無いので運用上の制約を付けることが必要である。
そこで、本発明は、低クラス環境の外部空気の巻き込み発生を有効に防止し、容器外からの異物付着や分子汚染等を防ぐことのできる基板収納搬送容器を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出された基板収納搬送容器で、基板を収納するとともに当該基板を出し入れするための開口部を有した容器本体と、前記開口部を密閉可能に覆う蓋体と、少なくとも前記蓋体が開いて前記容器本体内の密閉状態が解除されるタイミングに対応して当該容器本体内の陽圧化を行う陽圧化手段とを備えることを特徴とする。
上記構成の基板収納搬送容器において、陽圧化手段が行う「陽圧化」とは容器本体内を陽圧状態にすることをいい、「陽圧」とは容器本体内の内圧が外部空気の圧力(例えば、クリーンルーム内の環境圧)よりも大きいことをいう。また、「密閉状態が解除されるタイミングに対応して」とは、密閉状態の解除時点には容器本体内の陽圧化が完了していることを意味する。さらに、「少なくとも」とあることから、常時陽圧化を行うようにしてもよいし、必要な場合(上記タイミングに対応する場合)にのみ陽圧化を行うようにしてもよい。
このような構成の基板収納搬送容器によれば、容器本体内の密閉状態が解除されるタイミングに対応して当該容器本体内が陽圧化されるので、蓋体が開いて容器本体内の密閉状態が解除されても、その容器本体内が負圧状態となってしまうことがない。すなわち、蓋体が開いても、それによって容器本体内への外部空気の巻き込みが発生してしまうことがない。
本発明の基板収納搬送容器は、蓋体が開いて容器本体内の密閉状態が解除されても、また搬送中に振動等が加わっても、それによって容器本体内への外部空気の巻き込みが発生してしまうことがないので、容器本体内が密閉状態のときのみならず、密閉状態が解除された場合においても、容器本体内の清浄度を高く維持することができ、収納している基板に容器外からの異物付着や分子汚染等といった悪影響が生じてしまうのを有効に防止することができる。
以下、図面に基づき本発明に係る基板収納搬送容器について説明する。
〔第1の実施の形態〕
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態における基板収納搬送容器の概略構成例を示す模式図である。
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態における基板収納搬送容器の概略構成例を示す模式図である。
ここで説明する基板収納搬送容器は、SMIFポッドやFOUP等のように、例えば半導体装置の製造工程にて用いられ、その製造工程での処理対象物であるシリコンウエハ等の基板1を収納するものである。さらに詳しくは、複数枚の基板1を収納するとともに当該基板1を出し入れするための開口部を有した容器本体2と、その開口部を密閉可能に覆う蓋体(ただし不図示)とを備えており、蓋体が容器本体2内を密封することにより、低クラス環境を搬送しミニエンバイロメントに対応し、基板が空気等に触れる環境のみ局所的清浄環境を実現するものである。
また、ここで説明する基板収納搬送容器では、基板収納時における容器本体2内の清浄度を高く維持するために、いわゆる環境ボックス3が容器本体2に付設されている。この環境ボックス3は、分子汚染除去機能を有したケミカルフィルタ4と、送風機構である電動ファン5と、容器本体2内の空間と連通するための連通口6と、電動ファン5を駆動するための二次電池として機能する電源装置および運転制御基板(ただし、いずれも不図示)とを備えている。運転制御基板は、電源装置に内蔵されたものであってもよい。そして、電動ファン5の運転・停止のタイミングや回転数等が運転制御基板によって制御されるようになっている。これにより、環境ボックス3は、電動ファン5を運転して気流を生じさせ、容器本体2内の空気循環を行うようになっている。
ただし、環境ボックス3は、単に容器本体2の内気循環を行うものではなく、その内気循環を行うための機能に加えて、本実施形態における特徴的な構成として、吸い込み口7と、逆止弁8と、フィルタ9とを備えている。
吸い込み口7は、環境ボックス3の外気を取り入れるためのものである。すなわち、吸い込み口7は、環境ボックス3内および容器本体2内への外気供給口となるものである。
逆止弁8は、吸い込み口7で取り入れた外気の逆流(環境ボックス3外への流出)を防ぐためのものである。この逆止弁8の構造自体については、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその説明を省略する。
フィルタ9は、例えばエア清浄化用のケミカルフィルタからなるもので、吸い込み口7で取り入れた外気から気中汚染物質を除去するためのものである。気中汚染物質としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等の有機物、アンモニア(NH3)や酸等のイオン成分が挙げられる。
これら吸い込み口7、逆止弁8およびフィルタ9を介した外気の取り入れは、電動ファン5が動作することによって行われる。つまり、電動ファン5が動作すると、吸い込み口7から外気が取り入れられることになる。ただし、このとき、吸い込み口7には逆止弁8が設けられている。そのため、吸い込み口7から外気を取り入れると、環境ボックス3内および容器本体2内は、陽圧化されることになる。ここで、「陽圧化」とは、環境ボックス3内および容器本体2内、特に容器本体2内を陽圧状態にすることをいう。また、「陽圧」とは、容器本体2内の内圧が外部空気の圧力(例えば、クリーンルーム内の環境圧)よりも大きいことをいう。ただし、その大きさの違いは、微差であってもよい。
このように電動ファン5、吸い込み口7および逆止弁8は、容器本体2内の陽圧化を行うための、本発明における陽圧化手段として機能するものである。なお、電動ファン5は、本来環境ボックス3が備えているものを利用することが考えられるが、それとは別に新たに配設されたものであってもよい。
続いて、以上のように構成された基板収納搬送容器の処理動作例について説明する。
一般に、基板収納搬送容器は、容器本体2内への基板1の出し入れのための蓋体の開閉が、当該基板収納搬送容器が自動開閉装置上にセットされた状態で行われる。自動開閉装置は、半導体装置の製造処理装置等に付随して設置されたもので、基板収納搬送容器の蓋体の開閉を自動的に行うものである。なお、自動開閉装置の詳細については、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその説明を省略する。
このことから、基板収納搬送容器では、自動開閉装置上にセットされると、少なくとも蓋体が開いて容器本体2内の密閉状態が解除されるタイミングに対応して、運転制御基板が電動ファン5を動作させて、容器本体2内の陽圧化を行う。ここで、「密閉状態が解除されるタイミングに対応して」とは、密閉状態の解除時点には容器本体2内の陽圧化が完了していることを意味する。さらに、「少なくとも」とあることから、上記タイミングを含んで、常時陽圧化を行っているものとする。つまり、容器本体2内の陽圧化は、自動開閉装置上へのセットに関係なく常時行っているのである。ただし、例えば接点の導通有無を検出することにより、自動開閉装置上にセットされたことを検出可能であれば、基板収納搬送容器が自動開閉装置上にセットされた時点で、運転制御基板が電動ファン5の動作を開始して、容器本体2内の陽圧化の度合いを変化させることも考えられる。さらには、例えば接点の導通を介して基板収納搬送容器と自動開閉装置との間での信号授受が可能であれば、蓋体を開ける旨の信号に応じて運転制御基板が電動ファン5の動作を開始して容器本体2内を陽圧化し、その後自動開閉装置が基板収納搬送容器の蓋体を開けるようにしても構わない。
このように、本実施形態における基板収納搬送容器では、常時、容器本体2内の陽圧化を行うので、蓋体が開いて容器本体2内の密閉状態が解除されても、その容器本体2内が負圧状態となってしまうことがない。すなわち、蓋体が開いても、それによって容器本体2内への外部空気の巻き込みが発生してしまうことがない。
したがって、本実施形態の基板収納搬送容器によれば、蓋体が開いて容器本体2内の密閉状態が解除されても、それによって容器本体2内への外部空気の巻き込みが発生してしまうことがないので、容器本体2内が密閉状態のときのみならず、密閉状態が解除された場合においても、容器本体2内の清浄度を高く維持することができ、収納している基板1に容器外からの異物付着や分子汚染等といった悪影響が生じてしまうのを有効に防止することができる。しかも、容器本体2内への外部空気の巻き込みが発生しないので、蓋体を開ける際にその速度を低速化したり速度変化をS字カーブ化したりする必要もない。そのためその開閉処理の遅延を招くことがなく、収納された基板1に対する処理の生産性低下も回避し得るようになる。
さらに、容器本体2内の陽圧化を常時行うので、蓋体が開いて容器本体2内の密閉状態が解除されたときのみならず、例えば、台風や気象変動あるいはクリーンルーム運転時のトラブル等があってクリーンルーム内に気圧変動が生じたときや、基板収納搬送容器の手動または自動搬送時の振動により、いわゆる容器の呼吸が生じたとき、その他外部環境が低クラスになったときであっても、容器本体2内への外部空気の巻き込みが発生しないので、容器本体2内のクリーン度の維持が容易であり、収納された基板1への異物付着や分子汚染等を有効に防止し得るようになる。
次に、以上のような本実施形態の基板収納搬送容器の変形例について説明する。図2は、第1実施形態における基板収納搬送容器の変形例を示す模式図である。
上述した実施形態では、図2(a)に示すように、吸い込み口7で取り入れた外気が容器本体2内で内気循環する場合を例に挙げたが(図中矢印参照)、基板収納搬送容器は、例えば図2(b)に示すように、吸い込み口7で取り入れた外気が容器本体2内を循環せずに、当該容器本体2外へ排出される構成とすることも考えられる(図中矢印参照)。その場合、容器本体2には、環境ボックス3内と連通する連通口6に代わって、その外部を連通する排出口10を設けておく。この排出口10は、電動ファン5およびケミカルフィルタ4から極力遠い位置に設けることが望ましい。また、排出口10は、吸い込み口7よりも小さい口径か、あるいは吸い込み口7に付設されたフィルタ9よりも通気抵抗の大きなフィルタ(ただし不図示)が付設されているものとする。なお、排出口10は、一つのみであっても、図例のような複数(例えば二つ)であってもよい。
このような構成の基板収納搬送容器においても、電動ファン5が動作すると、吸い込み口7から外気が取り入れられることになる。ただし、このとき、口径または通気抵抗の関係により、排出口10からの空気排出量は、吸い込み口7からの空気取り入れ量よりも小さくなる。そのため、吸い込み口7から外気を取り入れると、環境ボックス3内および容器本体2内、特に容器本体2内は、陽圧化されることになるのである。
したがって、例えば図2(b)に示す構成の基板収納搬送容器であっても、陽圧化によって容器本体2内への外部空気の巻き込みが生じなくなるので、上述した容器本体2内で内気循環する場合と全く同様に、容器本体2内の清浄度を高く維持することができる。
なお、上述した各例では、容器本体2に付設された環境ボックス3が、電動ファン5を駆動するための二次電池および運転制御基板を備えている場合を例に挙げて説明したが、電動ファン5への電源供給源および運転制御基板は、例えば基板収納搬送容器がセットされる自動開閉装置上に設けられていてもよい。また、運転制御基板は、電動ファン5に対する動作指示をシーケンシャルに与えるシーケンサであってもよい。さらに、この場合、基板収納搬送容器との通信が可能であれば、シーケンサが基板収納搬送容器または自動開閉装置以外の箇所に設けられていてもよい。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。ただし、ここでは、上述した第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。ただし、ここでは、上述した第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図3は、第2実施形態における基板収納搬送容器の概略構成例を示す模式図である。図3(a)に示すように、ここで説明する基板収納搬送容器11は、パージポート12を有している。パージポート12は、一つでも複数個でもよい。なお、第1実施形態で説明した環境ボックス3の有無は問わないが、吸い込み口7、逆止弁8およびフィルタ9については備えていないものとする。
パージポート12は、基板収納搬送容器11の蓋体を開くための自動開閉装置13が有するガス供給機構14に接続され、そのガス供給機構14からのガス供給を受けるためのものである。ガス供給機構14から供給されるガスとしては、例えばN2ガスまたはCDA(クリーンドライエア)が挙げられる。すなわち、パージポート12へのガス供給は、自動開閉装置13で使用しているN2ガスまたはCDAのラインから分岐ラインを取ることで、容易に実現することができる。
ただし、パージポート12は、基板収納搬送容器11が自動開閉装置13へセットされた時にのみ、ガス供給機構14からのガス供給を受け付け、他の時にはガス供給や容器本体内からのガスリーク等が生じないようにすべく、開閉弁15を有している。この開閉弁15の構造としては、図3(b)に示すように、自動開閉装置13のガス供給口16と嵌合するとボール15aが押されてガスの経路ができるプランジャ機構15bと、ガス供給口16との嵌合の際のガスリークを防止するOリング15cとから構成されたものが考えられるが、他の公知技術によって構成されたものであっても構わない。なお、自動開閉装置13のガス供給口16には、ガス供給機構14から供給されるガスを浄化するためのフィルタ16aが設けられていることが望ましい。
このような構成の基板収納搬送容器11においても、自動開閉装置13へのセット時に、パージポート12を介してガス供給機構14からのガス供給を受けるため、容器本体内が陽圧化されることになる。つまり、パージポート12は、容器本体内の陽圧化を行うための、本発明における陽圧化手段として機能するものである。
したがって、パージポート12を自動開閉装置13のガス供給機構14と接続させることにより、本実施形態の基板収納搬送容器においても、第1実施形態の場合と同様に、陽圧化によって容器本体内への外部空気の巻き込みが生じなくなるので、容器本体内の清浄度を高く維持できるようになるのである。
なお、ガス供給機構14からのガス供給は、少なくとも蓋体が開いて容器本体内の密閉状態が解除されるタイミングに対応して行えばよく、常時行うようにしても構わない。特定のタイミングのみ供給する場合には、基板収納搬送容器の自動開閉装置13へのセットや当該基板収納搬送容器の蓋体開閉等をセンサ検出することで、特定のタイミングであるか否かを判断し、その判断結果に基づいてガス供給機構14におけるバルブを切り換えるようにすればよい。
また、本実施形態の基板収納搬送容器では、ガス供給機構14からの供給ガスを利用して容器本体内の陽圧化を行う。これに対して、自動開閉装置13では、容器本体内を所定環境にする目的で、ガス供給機構14を有していることが多い。したがって、容器本体内の陽圧化を行う場合であっても、ガス供給タイミングのシーケンスを従来の場合と変更するだけで、当該陽圧化を自動開閉装置13における既存の機能を流用して行うことが可能となる。
さらに、本実施形態の基板収納搬送容器では、パージポート12が開閉弁15を有しているため、一旦容器本体内へのガス供給を行えば、その後は当該容器本体内の陽圧状態が保たれる。したがって、蓋体が開いて容器本体内の密閉状態が解除されたときのみならず、例えば、台風や気象変動あるいはクリーンルーム運転時のトラブル等があってクリーンルーム内に気圧変動が生じたときや、基板収納搬送容器の手動または自動搬送時の振動により、いわゆる容器の呼吸が生じたとき、その他外部環境が低クラスになったときであっても、容器本体内への外部空気の巻き込みが発生しないので、容器本体内のクリーン度の維持が容易であり、収納された基板への異物付着や分子汚染等を有効に防止し得るようになる。
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。ただし、ここでも、上述した第1または第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。ただし、ここでも、上述した第1または第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
図4は、第3実施形態における基板収納搬送容器の概略構成例を示す模式図である。図例のように、ここで説明する基板収納搬送容器は、上述した第1実施形態の場合と環境ボックス20が異なる。本実施形態における環境ボックス20は、第1実施形態で説明した吸い込み口7、逆止弁8およびフィルタ9に代わって、ボンベ21と、バルブ22と、コントローラ23と、逃がし弁24とを備えている。
ボンベ21は、圧縮ガスまたは液化ガスが充填されているもので、容器本体2内へのガスの供給源となるものである。このボンベ21からの供給ガスとしては、LPGやN2ガス等が考えられるが、用途(製造工程の種類等)に応じて変更しても構わない。また、ボンベ21の容量は、製造工程における一工程の最長の搬送時間や処理時間等を考慮し、その時間内はガス供給を継続し得るようなものとすることが考えられる。なお、ボンベ21は、交換可能なカートリッジ式のものとすることが望ましい。
バルブ22は、例えば電磁バルブからなるもので、ボンベ21内のガスの容器本体2内への供給/非供給を切り換えるためのものである。
コントローラ23は、バルブ22を駆動することで、当該バルブ22に対してガス供給/非供給を切り換えを指示するものである。この切り換え指示は、図示しない外気との差圧センサや蓋体の開閉センサ等による検出結果に基づいて行えばよい。
逃がし弁24は、環境ボックス20内のガスを外部へリークさせることにより、容器本体2内の陽圧状態の圧力調整を行うためのものである。具体的には、所定圧以上になったらガスをリークさせるメカ的なものや、コントローラ23でコントロールするソフトリークバルブ等によって実現することが考えられる。なお、逃がし弁24は、必須ではなく備えてなくともよい。
このような構成の基板収納搬送容器では、少なくとも蓋体が開いて容器本体2内の密閉状態が解除されるタイミングに対応して、コントローラ23がバルブ22を駆動し、ボンベ21内のガスを環境ボックス20内を通じて容器本体2内に供給する。これにより、容器本体2内は、陽圧化されることになる。つまり、少なくともボンベ21およびバルブ22は、容器本体2内の陽圧化を行うための、本発明における陽圧化手段として機能するものである。
したがって、ボンベ21内のガスを容器本体2内に供給することにより、本実施形態の基板収納搬送容器においても、第1または第2実施形態の場合と同様に、陽圧化によって容器本体2内への外部空気の巻き込みが生じなくなるので、容器本体2内の清浄度を高く維持できるようになるのである。
なお、ボンベ21からのガス供給は、少なくとも蓋体が開いて容器本体2内の密閉状態が解除されるタイミングに対応して行えばよいことから、常時行うようにすることが考えられる。ただし、ボンベ21には容量の制限があることから、蓋体が開くタイミングに限定して、ガス供給を行うようにしてもよい。蓋体が開くタイミングに限定すれば、ボンベ21内のガス消費量を抑制できるので、ボンベ21交換等の手間を極力小さくすることが可能になるからである。
また、本実施形態で説明したように、逃がし弁24を設けておけば、ボンベ21からのガス供給を利用して容器本体2内の陽圧化を行う場合であっても、その陽圧状態における圧力の適切化が図れるようになるため、容器本体2内の環境を所望の状態に管理する上で非常に好適なものとなる。
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。ただし、ここでも、上述した第1〜第3実施形態との相違点についてのみ説明する。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。ただし、ここでも、上述した第1〜第3実施形態との相違点についてのみ説明する。
図5は、第4実施形態における基板収納搬送容器の概略構成例を示す模式図である。図例のように、ここで説明する基板収納搬送容器は、環境ボックス25に、温調機構26と、コントローラ27と、ヒートシンク28と、逃がし弁24とを備えている。このうち、逃がし弁24は、第3実施形態の場合と同様のものである。
温調機構26は、容器本体2内の温度を可変させるためのものである。具体的には、例えば電圧を印加すると発熱する電熱抵抗部によって実現することが考えられるが、他の公知技術を用いて実現されたものであってもよい。また、温調機構26は、温度に加えて湿度も可変させるためのものであってもよい。
コントローラ27は、温調機構26を駆動して、その温調機構26による加熱/冷却状態等を制御するものである。この制御は、図示しないバイメタル等の温度センサによる検出結果に基づいて行えばよい。
ヒートシンク28は、容器本体2内の熱を吸収して外部へ逃がすためのものである。すなわち、温調機構26による温度可変を補助するためのものである。なお、ヒートシンク28は、必ずしも必須の構成ではない。
このような構成の基板収納搬送容器では、少なくとも蓋体が開いて容器本体2内の密閉状態が解除されるタイミングに対応して、コントローラ27が温調機構26を駆動して、容器本体2内の温度を可変させる。これにより。容器本体2内では、例えば温調機構26による加熱で内気の等容変化が生じて内圧が上昇する、といった現象が発生する。つまり、内圧の上昇に伴って陽圧化されることになる。このことから、温調機構26は、容器本体2内の陽圧化を行うための、本発明における陽圧化手段として機能するものであると言える。
したがって、温調機構26が容器本体2内の温度を可変させることにより、本実施形態の基板収納搬送容器においても、第1〜第3実施形態の場合と同様に、陽圧化によって容器本体2内への外部空気の巻き込みが生じなくなるので、容器本体2内の清浄度を高く維持できるようになるのである。
ところで、本実施形態で説明した温調機構26は、第3実施形態で説明した構成と組み合わせて用いることもできる。第3実施形態で説明したように、ボンベ21からのガス供給を利用して陽圧化を行うと、容器本体2内で断熱膨張が生じ、当該容器本体2内の陽圧化に伴って、当該容器本体2内にて温度の低下が発生し得る。そのため、容器本体2内の環境が所望状態から外れてしまうことも考えられる。このような場合であっても、温調機構26を備えていれば、センサによる検出結果を監視することで、容器本体2内の温度または湿度を所望の状態に保つことが可能となる。
また、容器本体2内における体積変化に関する体膨張率αは、α=(dV/dθ)/V0で表される。ここで、Vは体積、θは温度、V0は0度における体積である。この式より、容器本体2内の温度変化に対応した当該容器本体2の内圧の変化、すなわち両者の関係が一義的に定まる。したがって、温調機構26を第3実施形態で説明した構成と組み合わせれば、ボンベ21からのガス供給と温調機構26による温度変化とのどちらを利用して容器本体2内の陽圧化を行うかを任意に選択し得るとともに、上述した両者の関係に基づいてどちらを選択すべきかを予めコントローラ23,27にプログラミングしておくことも可能となる。
なお、上述した第1〜第4実施形態では、本発明の好適な実施具体例を説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することは可能である。例えば、本発明における陽圧化手段として、第1〜第4実施形態で説明したものを適宜組み合わせて構成する、といったことも考えられる。
1…基板、2…容器本体、3…環境ボックス、4…ケミカルフィルタ、5…電動ファン、6…連通口、7…吸い込み口、8…逆止弁、9…フィルタ、10…排出口、11…基板収納搬送容器、12…パージポート、13…自動開閉装置、14…ガス供給機構、15…開閉弁、16…ガス供給口、20,25…環境ボックス、21…ボンベ、22…バルブ、23…コントローラ、24…逃がし弁、26…温調機構、27…コントローラ、28…ヒートシンク
Claims (5)
- 基板を収納するとともに当該基板を出し入れするための開口部を有した容器本体と、
前記開口部を密閉可能に覆う蓋体と、
少なくとも前記蓋体が開いて前記容器本体内の密閉状態が解除されるタイミングに対応して当該容器本体内の陽圧化を行う陽圧化手段と
を備えることを特徴とする基板収納搬送容器。 - 前記陽圧化手段は、
前記容器本体の外気を取り入れるための吸い込み口と、
前記吸い込み口に設けられた逆止弁と、
前記吸い込み口から取り入れた外気を前記容器本体内に圧送する送風機構と
を備えてなることを特徴とする請求項1記載の基板収納搬送容器。 - 前記陽圧化手段は、
前記蓋体を開くための自動開閉装置が有するガス供給機構に接続され、前記自動開閉装置へのセット時にのみ前記ガス供給機構からのガス供給を受け付ける開閉弁を有したパージポート
を備えてなることを特徴とする請求項1記載の基板収納搬送容器。 - 前記陽圧化手段は、
ガスの供給源となるボンベと、
前記ボンベからのガスの前記容器本体内への供給/非供給を切り換えるバルブと
を備えてなることを特徴とする請求項1記載の基板収納搬送容器。 - 前記陽圧化手段は、
前記容器本体内の温度または温度と湿度との両方を可変させる温調機構
を備えてなることを特徴とする請求項1記載の基板収納搬送容器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2004
- 2004-11-30 JP JP2004345303A patent/JP2006156712A/ja active Pending
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