JP7348476B2 - 凍結乾燥製剤製造システム - Google Patents
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Description
上記各移載機が設けられた無菌室と凍結乾燥機の凍結乾燥室との間にはそれぞれシャッタ手段が設けられており、例えば第1移載機によって第1凍結乾燥室内に容器を搬出入する際には第1シャッタ手段が開放されることになる。他方、第1移載機の無菌室と第1凍結乾燥室とを除染する際や他の第2凍結乾燥機を使用する際には上記第1シャッタ手段は第1凍結乾燥室を密封することになる。
そして上記充填機が設けられた無菌室や移載機が設けられた無菌室は、一般に除染ガス(過酸化水素ガスなど)によって除染が行われ、また凍結乾燥機の凍結乾燥室内は蒸気による滅菌(SIP)が行われている。蒸気による滅菌の際には、蒸気による滅菌を開始することにより凍結乾燥機の温度が上昇してから滅菌を終了して凍結乾燥機の温度が常温に戻るのに、通常は20時間程度を要していた。また上記除染ガスを用いた無菌室の除染には3~8時間程度を要し、さらに凍結乾燥機による薬液の粉末化には1.5~2日程度を必要としていた。
また凍結乾燥機の稼働中すなわち薬液の凍結乾燥中にはシャッタ手段の表面温度が低下することになる。この状態で凍結乾燥機に隣接する無菌室の除染を行うとシャッタ手段の表面に除染ガスが結露してこれが残留するおそれがある。そのため、凍結乾燥機による凍結乾燥中もシャッタ手段に隣接する無菌室の除染を行うことができなかった。
上記第1凍結乾燥機の滅菌中および稼働中に第1移載機の無菌室の除染を行うことができないと、コンタミネーションの問題から、いままで使用していた第1薬液と異なる第2薬液については上記第1移載機の無菌室を通路として用いることができず、その結果、凍結乾燥製剤製造システムの稼働率が低くなっていた。
本発明はそのような事情に鑑み、従来に比較して稼働率を高くすることが可能な凍結乾燥製剤製造システムを提供するものである。
上記各移載機の無菌室と凍結乾燥室との間にそれぞれ断熱室を区画形成して、各断熱室を第1開口部を介して移載機の無菌室に連通させるとともに、第2開口部を介して凍結乾燥室に連通させ、かつ上記第1開口部を開閉する第1シャッタ手段と第2開口部を開閉する第2シャッタ手段とが設けられ、
上記凍結乾燥機による凍結乾燥運転中または凍結乾燥室内の滅菌中は、上記第1シャッタ手段および第2シャッタ手段により第1開口部および第2開口部が閉鎖されて上記断熱室に断熱空間が形成され、上記凍結乾燥機による凍結乾燥運転中または凍結乾燥室内の滅菌中に無菌室を除染可能となっていることを特徴とするものである。
したがって凍結乾燥機の稼働中に第2シャッタ手段の表面温度が低下し、あるいは凍結乾燥機の滅菌中に第2シャッタ手段の表面温度が上昇しても、上記断熱空間により第1シャッタ手段の表面温度の変化を抑制することができるので、凍結乾燥機の使用状態の如何に拘らず上記移載機の無菌室の除染が可能となる。
その結果、1台の凍結乾燥機が滅菌され又は稼働されている最中であっても、当該凍結乾燥機に隣接する移載機の無菌室を除染することができ、したがって異なる薬液が充填された容器を当該無菌室内を通過させることが可能となるので、凍結乾燥製剤製造システムの稼働率の向上を図ることができる。
上記凍結乾燥製剤製造システム1は薬液処理工場に設けられた設備設置室3に設置され、該凍結乾燥製剤製造システム1は、その処理順序に従って、空のバイアル2を供給する供給機M1と、上記バイアル2を洗浄する洗浄機M2と、洗浄されたバイアル2を加熱滅菌する加熱滅菌機M3と、加熱滅菌されたバイアル2をエアにより冷却する冷却機M4と、上記バイアル2に薬液を充填するとともに当該バイアル2にゴム栓を半打栓する充填・半打栓機M5とを備えている。
図示実施例では、上記凍結乾燥製剤製造システム1はさらにバイアル2の搬送方向に沿って直列に配置した4台の凍結乾燥機4A~4Dと、それぞれの凍結乾燥機4A~4Dが備える凍結乾燥室5(図2参照)内へバイアル2の搬出入を行う移載機M6A~M6Dとを備えており、上記充填・半打栓機M5によって薬液が充填されたバイアル2は、4台の移載機M6A~M6Dのうちの所定の移載機によって、対応するいずれかの凍結乾燥機4A~4Dの凍結乾燥室5内に搬入されるようになっている。
上記凍結乾燥製剤製造システム1を構成する上述した各処理機間は搬送コンベヤCによって連結されており、バイアル2は各搬送コンベヤCによって上流側の処理機から下流側の処理機へ受け渡されるようになっている。このとき上記各処理機は搬送コンベヤCに対して直列に配列されており、上述したように4台の移載機M6A~M6Dおよび凍結乾燥機4A~4Dも搬送コンベヤCに対して直列に配列されている。
そして上記搬送コンベヤCは隣接する無菌室間を通過してバイアル2を搬送することができるようになっているが、各無菌室間は、搬送コンベヤCとバイアル2の通過を許容するだけの小さな開口で相互に連通されている。なお、必要に応じて、各開口を開閉するシャッタ手段を設ければ、各無菌室R5、R7A~R7Dを別個に除染することが可能となる。
また図示しないが、各移載機M6A~M6Dは凍結乾燥機5内に昇降棚8上のバイアル2を搬送コンベヤC上に搬出する移載手段を備えており、当該移載手段と上記移載手段7A~7Dとによってバイアル2の凍結乾燥室5内への搬出入を行うことができるようになっている。
なお、上述した昇降棚8を備える凍結乾燥機4A~4Dや移載機M6A~M6Dは従来すでに公知であるので、その詳細な説明は省略する。また上記記載では、充填・半打栓機M5は無菌室R5内に設けられと記載され、また各移載機M6A~M6Dもそれぞれ無菌室R7A~R7D内に設けられていると記載されているが、当該記載はそれら処理機の全てが無菌室内に設けられているという意味ではなく、主要構成部分が無菌室内に設けられていればよい。
図示実施例では、各シャッタ手段14、15は上記各開口部12、13を開閉するシャッタ14a、15aと、各シャッタを昇降させるシリンダ14b、15bとによって構成してあるが、かかる構成に限定されるものではない。
さらに上記給気手段18には過酸化水素を供給する除染手段22を設けてあり、必要なタイミングで各無菌室や断熱室に除染ガスを供給してそれらの内部を除染することができるようにしてある。
そして、清浄な空気をHEPAフィルタを介して断熱室に供給することで外部の雰囲気に対して陽圧に維持し、断熱室の無菌状態を維持することも可能である。これによりシャッタ14a、15aを開放した際に、改めて無菌室を除染する必要がなく、即時に次の動作に移行することが可能となる。
この際には、先ず各シャッタ手段14、15により各断熱室11A~11Dの開口部12、13を閉鎖し、次に無菌室R5、無菌室R7A~R7Dおよび断熱室11A~11D内を除染し、さらに凍結乾燥機4A~4Dの各凍結乾燥室5内を滅菌する。なお、各シャッタ手段14、15により各断熱室を閉鎖する前にシール手段の除染を行うこともできる。
図2に示す無菌室R7Aおよび断熱室11Aについては、開閉弁16、17を開放するとともに除染手段22を起動し、さらに給気手段18と排気手段19とを適宜に制御することにより、除染手段22から無菌室R7Aと断熱室11Aとに除染ガスを供給することによりこれらを除染することができる。また凍結乾燥機4Aの凍結乾燥室5内についても蒸気による滅菌(SIP)を行うことができる。これと同様にして、その他の無菌室R5および無菌室R7B~R7Dと断熱室11B~11Bとを除染することができ、さらに凍結乾燥機4B~4Dの各凍結乾燥室5内についても滅菌を行うことができる。
この状態となると、空のバイアル2が供給機M1から洗浄機M2、加熱滅菌機M3、冷却機M4を介して充填・半打栓機M5に供給され、該充填・半打栓機M5によって空のバイアル2に薬液Aが充填された後、該バイアル2にゴム栓が半打栓される。そして上記充填・半打栓機M5によって半打栓されたバイアル2は無菌室R7A内に搬入され、さらに移載機M6Aの移載手段7Aによって凍結乾燥室5内の昇降棚8上に順次供給される。
上記昇降棚8上に全てのバイアル2が収容されたら、当該凍結乾燥機4Aの第1シャッタ手段14と第2シャッタ手段15とが閉じられ、半打栓されたバイアル2内の薬液Aは凍結乾燥室5内で凍結乾燥されて粉末化される。
この際、薬液Aの凍結乾燥を実行している凍結乾燥機4Aの凍結乾燥室5を開閉する第2シャッタ手段15は、凍結乾燥室5の冷気、例えは-40℃の冷気によって冷却されて低温となっているが、上記第2シャッタ手段15に隣接する断熱室11Aは第1シャッタ手段14と第2シャッタ手段15とによって密閉状態となって断熱空間を形成しているので、第2シャッタ手段15が低温となっていても第1シャッタ手段14が低温となることが抑制される。
これにより第1シャッタ手段14に隣接する無菌室R7Aが冷却されることがないので、上記無菌室R7A~R7D内の除染を行う際に、冷却による悪影響を防止することができる。換言すれば、凍結乾燥機4Aが稼働中であっても、無菌室R7A~R7D内の除染を行うことが可能となる。
そして上記昇降棚8上に全てのバイアル2が収容されたら、当該凍結乾燥機4Bの第1シャッタ手段14と第2シャッタ手段15とが閉じられ、半打栓されたバイアル2内の薬液Bが凍結乾燥される。
さらに上述した薬液A、Bの場合と同様にして、薬液A、Bと異なる種類の薬液を他の凍結乾燥機4C、4Dに供給して凍結乾燥させることができることは明らかである。
そして無菌室R5および無菌室R7A~R7D内の除染が終了したら、凍結乾燥機4Aのシャッタ手段14、15が開放されるとともに移載機M6Aが起動されて、凍結乾燥室5内の昇降棚8上のバイアル2が搬送コンベヤCに搬出される。この際、前述したようにバイアル2のゴム栓は移載機M6Aによって凍結乾燥室5内から搬出される際に完全に打栓され、さらに凍結乾燥室5内から搬出されたバイアル2は搬送コンベヤCによって下流側に搬送され、巻締・ラベラ機M7によってアルミキャップが巻締めされるとともにラベルが貼着され、さらに製剤集積機M8によって集積される。
このようにして凍結乾燥機4Aを滅菌している最中に、凍結乾燥機4Bから薬液Bが凍結乾燥されたバイアル2を搬出する際には、上記無菌室R5および無菌室R7A~R7D内の除染が必要となるが、この際においても凍結乾燥機4Aに対応する無菌室R7Aを形成する第1シャッタ手段14が高温となるのが抑制されるので、上記無菌室R7A~R7D内の除染を行う際に、高温による悪影響を防止することができる。
このように本実施例においては、各凍結乾燥機4A~4Dに断熱室11A~11Dを設けているので、各凍結乾燥機4A~4Dの凍結乾燥運転や滅菌の状態に拘らずに無菌室R7A~R7D内の除染を行うことができ、したがって凍結乾燥製剤製造システム1の稼働率の向上を図ることができる。また、断熱室内に空気を吹き込むことで第2シャッタ手段15の温度低下や温度上昇を促進させることができるので、より短時間での運用を行うことが可能となる。
上記1台の移載機M6は自動又は手動で4台の凍結乾燥機4A~4Dの配置方向に沿って移動可能となっており、各凍結乾燥機4A~4Dのいずれかの前面位置で停止させることにより、当該移載機M6の移載手段7によって各凍結乾燥機へのバイアル2の搬出入を行わせることができるようにしてある。
上記移載手段7は移載機M6の移動に伴って各凍結乾燥機4A~4Dに対応した4つの無菌室R7A~R7D内を移動することになるが、上記移載手段7には図示しないジャバラを連結してあり、当該ジャバラによって移載手段7が移動しても全ての無菌室R7A~R7D内の密封状態を維持することができるようにしてある。なお、無菌室R7A~R7D内の密封状態を維持する手段としてはジャバラに限定されるものではなく、適宜の構成のものを使用することができる。
その他の構成は上記第1実施例と同様に構成してあり、同一又は相当部分には図1と同一の符号を付して示してある。
上記構成の第2実施例においても、第1実施例と同等の作用効果を得ることができる。
4A~4D 凍結乾燥機 5 凍結乾燥室
11A~11D 断熱室 14 第1シャッタ手段
15 第2シャッタ手段 18 給気手段
19 排気手段 22 除染手段
C 搬送コンベヤ M5 充填・半打栓機
M6、M6A~M6D 移載機 R5、R7A~R7D 無菌室
Claims (2)
- 無菌室内に設けられて容器に薬液を充填する充填機と、凍結乾燥室に搬入された容器内の薬液を凍結乾燥する凍結乾燥機と、無菌室内に設けられて上記充填機によって薬液が充填された容器を上記凍結乾燥室に搬出入する移載機とを備え、上記凍結乾燥機が複数設けられて容器の搬送方向に直列に配置された凍結乾燥製剤製造システムにおいて、
上記各移載機の無菌室と凍結乾燥室との間にそれぞれ断熱室を区画形成して、各断熱室を第1開口部を介して移載機の無菌室に連通させるとともに、第2開口部を介して凍結乾燥室に連通させ、かつ上記第1開口部を開閉する第1シャッタ手段と第2開口部を開閉する第2シャッタ手段とが設けられ、
上記凍結乾燥機による凍結乾燥運転中または凍結乾燥室内の滅菌中は、上記第1シャッタ手段および第2シャッタ手段により第1開口部および第2開口部が閉鎖されて上記断熱室に断熱空間が形成され、上記凍結乾燥機による凍結乾燥運転中または凍結乾燥室内の滅菌中に無菌室を除染可能となっていることを特徴とする凍結乾燥製剤製造システム。 - 上記各断熱室内に清浄な空気を供給する給気手段と、断熱室内の空気を排気する排気手段とが設けられ、上記第1シャッタ手段および第2シャッタ手段が閉鎖された際に、上記給気手段により清浄な空気が供給されて断熱室内が外部の雰囲気に対して陽圧に維持されることを特徴とする請求項1に記載の凍結乾燥製剤製造システム。
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