JP4658138B2 - 初期信号を目的信号に変換するための信号変換器および初期信号を目的信号に変換するための方法 - Google Patents

初期信号を目的信号に変換するための信号変換器および初期信号を目的信号に変換するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、初期信号を目的信号に変換するための信号変換器および方法に関し、特に、本発明は、電気通信または高周波技術におけるデジタル信号処理コンポーネントを使用して採用することができるような初期信号を目的信号に変換するための信号変換器および方法に関する。
電気通信において、現在の周波数(現在の周波数)からより高い送信周波数(目標周波数)へ信号をシフトさせるためには、主にミキサが使用される。そのようなシフトのためには、例えば送信器において、いくつかの異なる可能性が考えられる。まず、低い帯域幅Blowを有する信号は、大きな帯域幅B内で異なる中心周波数にシフトする場合がある。この中心周波数が長期間に渡って一定であれば、それは、より大きな周波数帯域内でサブバンドを選択するにすぎないことを意味している。そのような手順は、「チューニング」と称される。信号がシフトすることになる中心周波数が比較的高速に変化する場合には、そのようなシステムは、周波数ホッピングシステムまたはスペクトラム拡散システムと称される。別の方法として、同様に大きな帯域B内において、いくつかの送信信号が、比較的低い帯域幅Blowで周波数マルチプレクサにおいて並列的に放出されてもよい。
送信器におけるこれらの手順と同様に、各受信器もこれに従って実施されることになる。これは、送信信号の中心周波数がより長期間に渡って一定の場合に、大きな帯域幅Bのサブバンドが選択されることを意味する。そして、所定の中心周波数にチューニングが行われる。周波数ホッピングシステムの場合にように中心周波数が比較的高速に変化する場合には、受信器においても、送信信号の中心周波数の高速な時間的変化が生じざるを得ない。いくつかの送信信号が周波数マルチプレクサにおいて並列的に送信された場合には、より大きな帯域幅B内でそれらの周波数多重化された信号の並列的な受信が起こらざるを得ない。
従来、上述のチューニングシステムおよび周波数ホッピングシステムのために、アナログまたはデジタルミキサが使用され、1つのシングルミキサステージでデジタルミキシングが従来行われていた。アナログミキサにおいて、回路技術において高コストとなり、目標周波数への正確なミキシングに関しては、非常に精密なミキサ部材が必要であり、製造すべき送信器のコストを大きく増加させるものである。デジタルミキサに関して注意すべきなのは、ある点においては、信号が自由に選択可能なランダムな目標周波数に対してミキシングされることになる場合には、回路工学的な(または各計算能力的な)点からみて高いコストが必要である。
数個の周波数サブバンドの並列送信および受信のために、OFDM方式(直交周波数分割多重)および関連のマルチキャリアまたはマルチトーン偏重方式が、それぞれさらに頻繁に使用される。特に数個の個々の周波数サブバンドを有する大きな周波数帯域から少数の周波数サブバンドだけが必要な場合には、フーリエ変換を使用することにより、部分的にかなりの計算オーバーヘッドを要する。
ここで、従来のミキサは、図24Aに示すようなミキサ装置2400と同様のやり方で実施される。この場合、本ミキサ装置2400は、ダウンコンバートに関する。しかしながら、一般性を制限することなく、図24Aに示すミキサ装置の構成に対応する仕組みがアップコンバートのために使用されてもよい。そのようなミキサ装置を図24Bに示す。
図24Aのミキサ装置2400は、ミキサ2402と、低域通過フィルタ2404と、ダウンサンプラー2406とを備えている。ミキサ2402は、ミキシングされるべき信号2410を受信するための入力2408を含む。さらに、ミキサ2402は、現在の周波数から目標周波数へ変換された信号2414を出力するための出力2412を含み、当該信号2414は、入力2416を介して低域通過フィルタ2404へ供給される。さらに、低域通過フィルタ2404は、周波数変換されて低域通過フィルタリングされた信号2420を出力するための出力2418を含み、信号2420は、入力2422を介してダウンサンプラー2406へ供給される。ダウンサンプラー2406は、ダウンサンプリングされた信号2426を出力するための出力2424を含み、同時に、出力信号2426は、ミキサ装置2400によって出力される出力信号である。図24Bにおいて、ミキサ2402、低域通過フィルタ2404、およびダウンサンプラー2406に対応する構成要素が示されており、この場合に、図24Bに係る相互接続において、アップコンバータ2400aが用いられる。これに関して、構成要素の順序は、ダウンサンプラー2406に対応するアップコンバートのためのアップサンプラー2406aが低域通過フィルタ2404の前段に接続され、かつ後段にミキサ2402が接続されるように変更されている。図24Bに示すミキサ2400aの機能は、より詳細に以下に説明するミキサ装置2400の機能と同様に説明することができる。図24Bに示すミキサ2400aは、図24Aのミキサ装置2400の信号に対する効果を打ち消すように実施される。
2つの時間離散信号値の間隔を規定する第1のサンプリング周波数に基づく初期信号2410である、現在の周波数を有する入力信号2410が図24Aのミキサ装置2400へ供給されると、ミキサ2402は、現在の周波数を中間周波数に変換する。この中間周波数から、中間周波信号2414が結果として生じる。この中間周波信号2414において、初期信号2410が存在する周波数(すなわち、現在の周波数)のみが中間周波数に変換され、サンプリング周波数は、ミキサ2402によって変化しない。現在の周波数とサンプリング周波数を適切に選択することによって、計算能力的または回路工学的な観点から簡素なやり方で、中間周波数を有する中間周波信号2414に対するミキシングが実現される。例えば、現在の周波数と中間周波数との間のスペクトル間隔が、大きさにおいてサンプリング周波数の4分の1である場合、ミキシングは、値1,i,−1,および−iによる乗算、あるいは、初期信号2410の各実部または虚部の値の否定および初期信号2410の初期信号値の実部および虚部の値の交換によって行われる。計算能力的またはハードウェア技術に関して容易に実施されるようなそのような手法は、例えば、マーヴィン・E・フレーキング(Marvin E. Frerking)著、「通信システムにおけるデジタル信号処理(Signal Processing in Communication Systems)」、クルーワー・アカデミック・パブリッシャー(Kluwer Academic Publishers)に開示されている。
ここにおいて、中間周波信号2414を第1のサンプリング周波数で低域通過フィルタリングすることが、低域通過フィルタ2404によって行われ、この結果、低域通過フィルタリングされた第1のサンプリング周波数に基づく中間周波信号2402が得られる。その後、ダウンサンプラー2406によって、低域通過フィルタリングされた中間周波信号2402のダウンサンプリングが行われ、この結果、信号をスペクトル変換することなく、サンプリング周波数の低減が生じる。
計算能力または回路工学の観点から容易に実現されるようなそのようなミキサ2402の手法が有する欠点は、現在の周波数とサンプリング周波数との間の所定の関係によって、現在の周波数前後のサンプリング周波数の4分の1のスペクトル間隔で配置される中間周波数しか得られない場合があるという点である。これは、計算能力または回路工学の観点から効率的に実現されるようなミキサ2402の適用可能性を縮小するものである。現在の周波数に対するサンプリング周波数の4分の1以外の他の間隔を備える中間周波数も取得する場合には、初期信号2410の個々の初期信号値と回転複素ポインタ(rotating complex pointer)
Figure 0004658138
との乗算が必要である。ここで、kは初期信号値の実行指数であり、fCは所望の中心周波数(すなわち、中間周波数)であり、fSは信号のサンプリング周波数である。しかしながら、考慮すべきなのは、初期信号値と回転複素ポインタとを乗算する場合に、純実数または純虚数の乗算係数を使用すべきであるばかりでなく、使用される乗算係数は実部および虚部を備えるということである。これにより、計算能力および回路工学の観点から効率的な上述の解決策が使用されない場合がある。しかしながら、計算能力および回路工学の観点から効率的なやり方で、現在の周波数から任意の中間周波数までの初期信号値のミキシングを行う可能性を提供するミキサが望まれている。
さらに、ダウンサンプリングと同様な考え方を、アップサンプリングを使用するスペクトルミキシングのために実現してもよい。この考え方に基づく周波数変換器または信号変換器を、図25に図示される信号変換器2500によって示す。図25に示す信号変換器2500は、互いに異なる初期信号をアップサンプリングして実質的にスペクトル変換する可能性をさらに備える。この場合に、アップサンプリングされてスペクトル変換された初期信号が通常の目的信号にマージされる。
そのような機能を提供するために、信号変換器2500は、第1の初期信号xplus[k]を受信するための第1の入力2502と、第2の初期信号xzero[k]を受信するための第2の初期信号入力2504と、第3の初期信号xminus[k]を受信するための第3の初期信号入力2506とを備える。さらに、信号変換器2500は、信号変換器に対して値0を提供するための複数のゼロ入力2508を備える。加えて、信号変換器2500は、第1のマルチプレクサ2510と、第2のマルチプレクサ2512と、第3のマルチプレクサ2514と、第4のマルチプレクサ2516と、第5のマルチプレクサ2518と、第6のマルチプレクサ2520とを備える。加えて、信号変換器2500は、第1のデマルチプレクサ2522と、第2のデマルチプレクサ2524と、第3のデマルチプレクサ2526とを備える。さらに、信号変換器2500は、第1の低域通過フィルタLP1と、第2の低域通過フィルタLP2と、第3の低域通過フィルタLP3とを含む。最後に、信号変換器2500は、第4のマルチプレクサ2516の出力信号2530と、第5のマルチプレクサ2518の出力信号2532と、第6のマルチプレクサ2520の出力信号2534とを加算して目的信号y[m]を提供するための加算器2528を含む。それ以外に、信号変換器2500は、第1の処理手段2536と、第2の処理手段2538と、第3の処理手段2540とを備える。各処理手段2536,2538,および2540は、入力信号を複素乗算係数で複素乗算するために実施される4つの部分処理手段2542を備える。
信号変換器2500は、第1のマルチプレクサによって、第1の初期信号xplus[k]のサンプリング値からなるシーケンスおよび3つの連続するゼロ値のシーケンスが第1の低域通過フィルタLP1の入力へ供給されるように相互接続される。第1の低域通過フィルタLP1の出力は、第1のデマルチプレクサ2522に接続される。第1のデマルチプレクサ2522は、第1の低域通過フィルタLP1から受信された低域通過フィルタリングされた信号を時系列でまず第1の処理手段2536の第1の部分処理手段へ、その後に第2の部分手段、そして第3の部分処理手段、最後に第4の部分処理手段に割り当てるように実施される。ここで、第1の部分処理手段は、信号値を係数1で乗算するように実施され、これは、回路工学上、信号は第1の部分処理手段では変わらないままであるということによって特に実施される。第2の部分処理手段は、信号を複素値jで乗算するように実施され、第3の部分処理手段は、信号の否定を行うように実施される。さらに、第4の部分処理手段は、信号値を係数−jで複素乗算するように実施される。さらに、第4のマルチプレクサ2516は、時間的に続く順序で、まず第1の部分処理手段によって処理された信号、その後に第2の部分処理手段によって処理された信号、その後に第3の部分処理手段によって処理された信号、最後に第4の部分処理手段によって処理された信号が第4のマルチプレクサ2516の出力信号2530に対して多重化されるように、第1の処理手段2536に接続される。第1の処理分岐における第1のマルチプレクサ2510と、第1の低域通過フィルタLP1と、第1のデマルチプレクサ2522と、第1の処理手段2536と、第4のマルチプレクサ2516との上述の相互接続と同様に、第2のマルチプレクサ2512と、第2の低域通過フィルタLP2と、第2のデマルチプレクサ2524と、第2の処理手段2538と、第5のマルチプレクサ2518とが相互接続される。しかしながら、第1の処理分岐2544における相互接続とは対照的に、第2の処理分岐2546においては、第2の初期信号xzero[k]が第2の低域通過フィルタLP2に対して多重化され、第2の処理手段2538の各部分処理手段は、係数1で乗算を行うように実施される。言い換えれば、これは、第2の処理手段2538の部分処理手段において、信号の変更を行う必要がないという意味である。よって、第2の処理手段2538は、冗長であるとみなされてもよく、第1の処理分岐2544と第3の処理分岐2548とにおける信号処理をよりよく理解することができるようにするために図示を明確にするという理由で、図25に示されているに過ぎない。
第1の処理分岐2544における構成要素の相互接続と同様に、第3の処理分岐2548における構成要素の相互接続を説明することができる。ここで、第3のマルチプレクサ2514によって、第3の初期信号xminus[k]の値または3つの連続するゼロ値のうちの1つのうちのいずれかが、第3の低域通過フィルタLP3へ供給される。ここで、第3の低域通過フィルタLP3によって出力された信号は、第3のデマルチプレクサ2526によって、第3の処理手段2540の第1、第2、第3、または第4の部分処理手段上に置かれる。ここで、第1の部分処理手段は、値1で乗算するように実施され、第2の部分処理手段は、値−jで乗算するように実施され、第3の部分処理手段は、信号値の否定を行うように実施され、第4の部分処理手段は、信号値を値jで乗算するように実施される。さらに、第1、第2、第3、または第4の部分処理手段の出力値は、第6のマルチプレクサ2520によって、第6のマルチプレクサ2520の出力2536に対して順次多重化される。
そのような信号変換器2500の動作のモードは、以下のように説明できよう。まず、第1の初期信号xplus[k]が、第1の入力2502に与えられ、第1の初期信号xplus[k]の値と3つの連続するゼロ値(すなわち、値0)とからなるシーケンスが第1の処理分岐2544内の第1の低域通過フィルタLP1へ供給されるように、第1のマルチプレクサ2510によって多重化される。ここで、第1のマルチプレクサ2510は、通常、第1の初期信号のサンプリングレートの4倍に相当するクロックまたは多重化レートを備える。これにより、第1の初期信号の各サンプル間に、3つのゼロが挿入され、これにより信号のアップサンプリングが行われる。第1の処理分岐2544の第1の低域通過フィルタLP1において、例えば、FIRフィルタ規則に基づいて、アップサンプリングによって生じたイメージ周波数を抑制するために、アップサンプリングされた信号の低域通過フィルタリングが行われる。低域通過フィルタリングされたアップサンプリング済みの信号は、第1のデマルチプレクサ2522へ供給され、第1のデマルチプレクサ2522は、高いサンプリング周波数、すなわち、初期信号のサンプリング周波数に比べて4倍のサンプリング周波数を使用して、第1の処理手段2536の部分処理手段2542に対して、低域通過フィルタリングされた信号を供給する。第1の処理手段2536の個々の部分処理手段2542において、当該部分処理手段に供給された信号が乗算係数で乗算される。ここで、個々の部分処理手段における乗算係数は、第1のデマルチプレクサ2522と、部分処理手段2542の下流に下流接続された第4のマルチプレクサ2516とによる低域通過フィルタリングされた信号の分割を考慮して、アップコンバートされたフィルタリング済みの信号に対応する信号が第4のマルチプレクサ2516の出力2530において生じるように選ばれる。ここで、低域通過フィルタリングされた信号と、第4のマルチプレクサ2516の出力2530におけるアップコンバートされた低域通過フィルタリング済みの信号との間のスペクトル間隔は、高サンプリング周波数、すなわち、第1の初期信号xplus[k]のサンプリング周波数の4倍の、4分の1である。
第2の初期信号xzero[k]のアナログ処理が、第2の処理経路2546においてさらに行われ、そこでは、同様に、第2のマルチプレクサ2512によって、ゼロ値の挿入と、第2の初期信号xzero[k]のアップサンプリングとが行われる。このアップサンプリングされた信号は、アップサンプリングから生じたイメージ周波数を除去するために、第2の低域通過フィルタLP2へ供給される。以下、同様に、第2のデマルチプレクサ2524によって、低域通過フィルタリングされた信号が部分処理手段へ分割され、信号値が値1で重み付けされる。既に説明したように、第2のデマルチプレクサ2524の機能および第5のマルチプレクサ2518の機能に関するそのような動作は、低域通過フィルタリングされた信号を第5のマルチプレクサ2518の出力2532に直接「結合すること」に相当する。
第1の処理経路2544および第2の処理経路2546における信号処理の機能と同様に、第3の処理分岐2548における第3の初期信号xminus[k]の処理が行われる。ここで、第3のマルチプレクサ2514によって、第3の初期信号がアップサンプリングされ、第3の初期信号の各サンプル間に3つのゼロ値が挿入される。このようにアップサンプリングされた第3の初期信号は、アップサンプリングによって生じたイメージ周波数を抑制するために、第3の低域通過フィルタLP3において低域通過フィルタリングされる。第1の処理分岐2544における第1のデマルチプレクサ2522と、第1の処理手段2536と、第4のマルチプレクサ2516の機能と同様に、第3のデマルチプレクサ2526と、第3の処理手段2540と、第6のマルチプレクサ2520とによって、第3の低域通過フィルタLP3によって低域通過フィルタリングされた信号のスペクトル変換が行われる。第3の処理手段2540の個々の部分処理手段において乗算係数1,−j,−1,およびjがこの順序で使用されることによって、第6のマルチプレクサ2520の出力2534に与えられた信号は、第3の低域通過フィルタLP3の出力に与えられるような(高い)サンプリング周波数の4分の1でダウンコンバートされた信号に相当する。下流の加算手段2528によって、第4のマルチプレクサ2516の出力2530に与えられた(アップコンバートされた)信号と、第5のマルチプレクサ2518の出力2532に与えられた信号と、第6のマルチプレクサ2520の出力2534に与えられた(ダウンコンバートされた)信号とが加算される。このことから、第1(高)、第2(中)、および第3(低)の周波数帯域上で情報を同時に送出する可能性のある目的信号y[m]が結果として得られる。ここで、第1の周波数帯域には第1の初期信号xplus[k]の情報が、第2の周波数帯域には第2の初期信号xzero[k]の情報が、第3の周波数帯域には第3の初期信号xminus[k]の情報が含まれる。
マーヴィン・E・フレーキング(Marvin E. Frerking)著、「通信システムにおけるデジタル信号処理(Signal Processing in Communication Systems)」、クルーワー・アカデミック・パブリッシャー(Kluwer Academic Publishers)
そのような信号変換器2500の有する利点は、このように、比較的廉価なやり方で、第1の処理手段2536と、第2の処理手段2538と、第3の処理手段2540とを使用することによって、効率的なスペクトル変換を行うことができることである。しかしながら、信号変換器2500の欠点は、実現のためには、図25に示したように、9つという数多くのマルチプレクサおよびデマルチプレクサを必要とすることである。よって、図25に示すような回路構成は、高い配線上のコストと、集積回路上の多くの空間とを要するので、このような信号変換器の製造コストが増加する。
本発明の目的は、要求されるコストが従来技術に対して低い信号変換器および信号を変換するための方法を提供することである。
本発明は、請求項1に記載の信号変換器および請求項17に記載の信号を変換するための方法によって達成される。
本発明は、初期信号を目的信号に変換するための信号変換器を提供し、本信号変換器は、
初期信号をコピーして複数のコピーされた初期信号を取得するための手段であって、コピーされた初期信号は、処理分岐へ分岐信号として与えられる手段と、
第1の処理規則に従って第1の分岐信号を処理して第1の処理済みの分岐信号を取得するための第1の処理分岐における第1の分岐処理手段と、
第2の処理規則に従って第2の分岐信号を処理して第2の処理済みの分岐信号を取得するための第2の処理分岐における手段であって、第2の処理規則は、第1の処理規則とは異なり、第1の処理規則および第2の処理規則は、コピーされた初期信号の低域通過多相フィルタリングを引き起こすように実施される第2の分岐処理手段と、
目的信号を取得するために、第1の処理済みの分岐信号と、その後に第2の処理済みの分岐信号とを連続的に選択するための選択手段とを備える。
さらに、本発明は、初期信号を目的信号に変換するための方法を提供し、本方法は、
初期信号をコピーして複数のコピーされた初期信号を取得するステップであって、コピーされた初期信号は、処理分岐へ分岐信号として与えられるステップと、
第1の処理分岐内の第1の分岐処理手段において、第1の処理規則に従って第1の分岐信号を処理して第1の処理済みの分岐信号を取得するステップと、
第2の処理分岐内の第2の分岐処理手段において、第2の処理規則に従って第2の分岐信号を処理して第2の処理済みの分岐信号を取得し、第2の処理規則は第1の処理規則とは異なり、第1の処理規則および第2の処理規則は、コピーされた初期信号の低域通過多相フィルタリングを引き起こすように実施されるステップと、
目的信号を取得するために、選択手段内の第1の処理済みの分岐信号と、その後に第2の処理済みの分岐信号とを連続的に選択するステップとを含む。
本発明は、従来技術に対して廉価な信号変換器と、従来技術に対して廉価な信号を変換するための方法とが、初期信号をコピーするための手段を用いて初期信号をコピーすることにより、複数のコピーされた初期信号が生じることによって提供されるという知見に基づくものである。その後、コピーされた初期信号のうちの第1のものが、第1の処理規則に従って第1の処理分岐において処理されて、第1の処理済みの分岐信号を取得する。さらに、第2のコピーされた初期信号が、第2の処理規則に従って第2の処理分岐内の第2の処理手段によって処理される。ここで、第1の処理規則および第2の処理規則が、両処理規則によって低域通過フィルタリングが実現されるように実施される場合には、これは、初期信号のアップサンプリングにおいて生じるイメージ周波数を除去するための上述の低域通過フィルタリングに相当する。さらに、第1の処理規則および第2の処理規則によって多相フィルタリングが行われるように、第1の処理規則および第2の処理規則が互いに結合される場合には、低域通過フィルタに対するコストは、従来技術でありうるようなコストよりも少ないだろう。このため、例えば、第1の処理規則は、第1の多相のフィルタリングを行うように実施されてもよく、第2の処理規則は、第2の多相のフィルタリングを行うように実施される。ここで、2つの多相のフィルタリングは、従来技術よりも低いクロック周波数で行うことが可能である。さらに、第1の処理手段または第2の処理手段は、追加の処理動作を行うように実施されてもよい。ここで、追加の処理動作は、否定、複素左回転動作または複素右回転動作を含む。これによって、アップサンプリングの他に、スペクトル変換器によって、(アップサンプリングされた)初期信号を目的信号にスペクトル変換することが可能である。その後、第1の処理手段から生じた第1の処理済みの分岐信号と第2の処理手段から生じた第2の処理済みの分岐信号とのマージングが、出力において最初に存在する(高い)サンプリング周波数を有する信号を順次選択するための選択手段において行われてもよい。このためには、選択手段は、目的信号の結果のサンプリングクロックに対応するクロックによって制御されることになる。
よって、本発明は、初期信号をコピーして、信号変換器の(好ましくは並列的に配列された)処理分岐内の数個のコピーされた初期信号を使用することによって、従来の信号変換器と比較して、信号変換器をより廉価で実現可能であるという利点を有する。特に、多相フィルタリングにおいてコピーすることとコピーされた信号を使用することとによって、ゼロを初期信号の信号ストリームに挿入することを防止して、アップサンプリングされた初期信号が得られる。この場合、従来技術において必要だった「ゼロ」を挿入するためのマルチプレクサを省略することができ、これにより、廉価な信号変換器の実現に対して既に第1の貢献が行われる。さらに、低域通過フィルタを数個の多相フィルタに分割することによって、従来技術と比較してより低い周波数でフィルタリングを実現することができ、これにより、より廉価な信号変換器の実現に対する第2の貢献が提供される。これは、特に、多相フィルタ構成における処理の並列化から生じるものである。
さらに、各処理分岐において、低域通過フィルタリング動作に加えて、初期信号のスペクトル変換を生じさせるようなさらなる処理動作が行われてもよい。例えば、1,j,−1,および−jの乗算係数での乗算と同様に、4つの処理分岐がある場合に、各処理分岐において、他の乗算係数での乗算が行われ、それによって、サンプリング周波数の4分の1の正方向の周波数シフトが最終的に実現される。また、代わりに、乗算係数の対応する選択によって、負の周波数シフトが実現されてもよい。4つの処理分岐を使用して既に4つの多相サブフィルタが4つの処理手段によって実現されているということによって、例えば、低域通過フィルタリングされた信号を数個の部分処理手段に分割するためのデマルチプレクサを必要としないというように、計算能力的なオーバーヘッドをさらに減少させることができる。むしろ、処理分岐内の分岐信号を直接使用してもよい。ここで、各分岐信号を異なる乗算係数で同時に重み付けしてもよく、その結果、最終的に周波数シフト(正または負方向)が生じる。好ましくは、そのような処理動作は、複素乗算係数による(複素)乗算を行わなくてもよいということによって実現される。上述の乗算係数で乗算すべき複素信号が実部および虚部という形式で既に存在する場合には、例えば−1での乗算を、通常2値で現れる信号値の否定(すなわち、符号の反転)によって行ってもよい。代わりに、複素値jでの乗算において、虚部の否定と共に基本的に実部/虚部交換が行われるべきであるような、複素左回転動作を行ってもよい。これは、計算能力または回路工学の観点から、単純な「再配線」またはメモリ内の現在の信号の実部または虚部の再順序付けによって実現される。これと同様に、複素係数−jでの乗算においても、複素右回転動作を行ってもよく、そのような動作は、同様に、実部の否定と共に実部/虚部交換によって行われる。
また、さらに対応して接続された信号変換器が、上述の(第1の)信号変換器に並列的に接続されてもよい。ここで、第1の信号変換器の出力信号は、第2の変換器の出力信号と合計されて、総出力信号を取得することとなる。そのような仕組みによって、例えば、第1の信号変換器の低域通過フィルタ特性が、第2の変換器の低域通過フィルタ特性に対応する。さらに、第1の信号変換器において第1の(複素)回転動作を生じさせる乗算係数のセットは、第2の信号変換器において第2の(複素)回転動作を生じさせる乗算係数のセットと異なってもよい。並列的に接続された2つの個々の信号変換器を有するそのような信号変換器の有する利点は、技術的に廉価に実現可能な回路の構築によって既に、信号変換器が周波数マルチプレクサを変換して第1の初期信号を第1の目的信号に、第2の初期信号を第2の目的信号にすることができることであり、ここで、例えば、第1の初期信号の初期周波数は、第2の初期信号の初期周波数に対応し、第1の目的信号の目的周波数は、第2の目的信号の目的周波数に対応しない。
また、上述のように、第3の信号変換器が第1および第2の信号変換器に対して並列に接続されてもよく、その結果、そのような信号変換器の設計および使用の自由度が増加する。
本発明のさらなる実施形態によれば、信号変換器は、第2の初期信号をコピーして、複数のコピーされた第2の初期信号を取得するための手段をさらに含んでもよい。加えて、信号変換器は、各処理分岐において分岐加算器を含んでもよく、分岐加算器は、複数のコピーされた第2の初期信号のうちの1つまたは複数のコピーされた第2の初期信号から派生した信号を当該分岐内のコピーされた初期信号またはコピーされた初期信号から派生した信号に加算して加算信号を取得するように実施され、分岐加算器は、さらに、当該分岐のための処理規則に従って加算信号を処理するように配置されている。このように実施された信号変換器は、信号変換器の実現に必要な技術的労力をさらに削減するという利点を提供する。第1の初期信号および第2の初期信号の処理およびマージに関して、(2つの処理分岐構成を備える)並列的に設置された2つの信号変換器は必要ないが、既に分岐加算器によって、第1または第2の初期信号に基づく信号のマージは可能である。その後、マージされた信号の後続処理は、並列的に配置された分岐処理手段を有するたった1つの処理分岐構成において行われ、これにより、上記の2つの別個の信号変換器の並列配列とは対照的に、技術的なコストをさらに削減することができる。さらに、分岐加算器は、コピーされた第2の初期信号から派生した信号が複素数平面において右または左回転された第2の初期信号に相当するように実施されてもよい。これにより、第1の初期信号と第2の初期信号とをマージすることに加えて、第2の初期信号を個別に重み付けできるという利点が提供され、この結果、このような信号変換器の柔軟性が高まる。
さらに、分岐加算器を備えるこのような信号変換器は、第3の初期信号をコピーして複数の第3の初期信号を取得するための手段を含んでもよい。ここで、分岐加算器は、各処理分岐において、複数のコピーされた第3の初期信号のうちの1つまたはコピーされた初期信号を有し、複数のコピーされた第3の初期信号から派生した信号、コピーされた初期信号から派生した信号、コピーされた第2の初期信号、コピーされた第2の初期信号から派生した信号、または加算信号を加算して、さらなる加算信号を提供するように実施されてもよく、分岐加算器は、当該処理分岐のための処理規則に従ってさらなる加算信号を処理するように配置される。このように実施された信号変換器は、第3の初期信号を使用する可能性により、さらに自由度が高まり、よって、信号変換器の使用分野の柔軟性が高まる。
また、さらに、上述のような2つの信号変換器は、カスケード接続に配置することができ、その結果、信号変換器のカスケード配列によって使用されるであろう周波数または周波数帯域が増大することになる。
以下において、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
本発明の好ましい実施形態の以下の明細書において、互いに異なる図面において示される類似の要素について、類似または同様の参照番号が使用され、これらの要素の繰り返しの説明は省略される。
図1Aは、進歩性を有する信号変換器100の第1の実施形態を示す。ここで、信号変換器100は、第1の初期信号xplus[k]を印加するための第1の初期入力2502と、第2の初期信号xzero[k]を印加するための第2の初期入力2504と、第3の初期信号xminus[k]を印加するための第3の初期入力2506とを備える。さらに、信号変換器は、複数のコピーされた(第1の)初期信号104a〜104dを取得するために、第1の初期信号xplus[k]をコピーするための手段102を有する第1の副変換器101を備える。加えて、信号コピー器は、4つの入力および4つの出力を含む第1セットの分岐処理手段106を備える。分岐処理手段106の群の4つの出力は、マルチプレクサ2516を介して、マルチプレクサ2516の出力2530に多重化される。ここで、第1群の分岐処理手段106は、第1の処理分岐110における第1の分岐処理手段と、第2の処理分岐112における第2の分岐処理手段と、第3の処理分岐114における第3の分岐処理手段と、第4の処理分岐116における第4の分岐処理手段とを含む。これらの分岐処理手段のそれぞれは、フィルタリング、特に低域通過フィルタリング用の手段118と、重み付け用の手段120とを含む。フィルタリング用の手段118は、第1群の分岐処理手段106の個々または全部の手段118によって、低域通過特性が実現されるように実施される。言い換えれば、これは、フィルタリング用の手段118によって、例えば多相フィルタが実現されることを意味し、第1の処理分岐110内のフィルタリング用の手段は、位相0を有する多相サブフィルタを含み、第2の処理分岐112内のフィルタリング用の手段は、位相1を有する多相サブフィルタを含み、第3の処理分岐114内のフィルタリング用の手段は、位相2を有する多相サブフィルタを含み、第4の処理分岐116内のフィルタリング用の手段は、位相3を有する多相サブフィルタを含む。さらに、乗算用の手段120は、第1の処理分岐の信号を乗算係数1で乗算するように(または上記に実施されるように、「直接接続」であってもよい)実施される。第2の処理分岐112内の乗算用の手段は、(純虚数)乗算係数jでの複素乗算の結果を決定するように実施され、第3の処理分岐114内の乗算用の手段は、否定を行うように実施される。さらに、第4の処理分岐116内の乗算用の手段は、(純虚数)乗算係数−jでの乗算の結果を行うように実施される。
これと同様に、第2の副信号変換器130が、第2の初期信号xzero[k]を変換するために設置される。特に、第2の副信号変換器130は、第2の初期信号xzero[k]をコピーして複数のコピーされた第2の初期信号を得るための手段132を含む。さらに、第2の副信号変換器は、分岐処理手段の群134を含む。第2群の分岐処理手段134の各分岐処理手段は、フィルタリング用の手段118と、乗算用の手段120とを含む。ここで、フィルタリング用の手段118は、位相0、位相1、位相2、および位相3の多相サブフィルタを伴う多相構成で実施される。処理手段の第2の群の個々の多相サブフィルタは、処理手段の第1の群の各(すなわち、同様に指定された)多相サブフィルタと対応している。特に、第1群の分岐処理手段106をフィルタリングするための手段118によって提供されるフィルタ特性(例えば、低域通過フィルタ特性)は、第2の信号変換器130の分岐処理手段の第2の群134をフィルタリングするための手段118のフィルタ特性と対応している。そして、特に、第2群の分岐処理手段134の位相0の多相フィルタ(例えば、FIRフィルタとして実施)のフィルタ係数は、分岐処理手段106の第1の群の位相0の多相サブフィルタ(例えば、同様にFIRフィルタとして実施)のフィルタ係数と同一である。分岐処理手段の各群における位相1の第2の多相サブフィルタ、位相2の第3の多相サブフィルタ、および位相3の第4の多相サブフィルタのフィルタ係数についても同様である。さらに、第2群の分岐処理手段134は、重み付け用の手段120を含み、ここで、図1Aに示す例において、重み付け用の手段120は、第2群の分岐処理手段において実施されて、処理分岐内で処理されるべき信号を乗算係数1で乗算する。上述の実施によれば、乗算係数1によるこの乗算は、多相サブフィルタからそれぞれ生じる信号を直接使用することによって行われる。第2群の分岐処理手段134によって決定された個々の信号は、以降、マルチプレクサ2518によってマルチプレクサ出力2532に対して順次乗算される。
これと同様に、図1Aにおいて、信号変換器100の第3の副信号変換器140が、第2の副信号変換器130および第1の副信号変換器101と相互接続される。ここで、第3の副信号変換器140は、第3の初期信号xminus[k]を受信するための入力2506と、複数のコピーされた第3の初期信号を取得するためのコピー用の第3の手段142と、第3群の分岐処理手段144と、第3群の分岐処理手段144によって処理された分岐信号を第3のマルチプレクサ2520の出力2534に対して多重化するための第3のマルチプレクサ2520とを含む。ここで、第3群の分岐処理手段144は、フィルタリング用の手段118と、乗算用の手段120とを含む。第3群の分岐処理手段144のフィルタリング用の手段118は、上述したように、位相0の第1の多相サブフィルタ、位相1の第2の多相サブフィルタ、位相2の第3の多相サブフィルタ、および位相3の第4の多相サブフィルタを有する多相構成で設置される。さらに、重み付け用の手段120が、第1の処理分岐において処理すべき信号を1という乗算係数で重み付けするために実施されてもよい。この重み付けは、例えば、上述したように、信号を「直接接続」することによって行われてもよい。さらに、第3群144の第2の処理分岐における重み付け用の手段120が、当該処理分岐において処理すべき信号の重み付けを−jという(純虚数)乗算係数で乗算するために実施される。位相2の第3の多相サブフィルタを含む第3の処理分岐における重み付け用の手段120が、第3の処理分岐内で処理すべき信号の否定を行うために実施される。最後に、位相3の第4の多相サブフィルタを含む第4の処理分岐における重み付け用の手段120が、第4の処理分岐において処理すべき信号を複素係数jで乗算するために実施される。
最後に、信号変換器100は、出力信号y[m]を取得するために、第1のマルチプレクサ2516の出力2530において与えられた信号に、第2のマルチプレクサ2518の出力2532において与えられた信号と、第3のマルチプレクサ2520の出力2534において与えられた信号とを加算するための加算器160を含む。そして、この加算は、サンプルで行われる。すなわち、出力2530において与えられた信号の第1の値と、第1の値が同時に与えられる第2のマルチプレクサ2518の出力2532において与えられた信号の第2の値と、第1の値と同時に与えられる第3のマルチプレクサ2520の出力2534において与えられた信号の第3の値とが、それぞれ加算されて、出力信号y[m]の値を得る。
例えば図25に信号変換器2500によって示されるような従来の信号変換器とは対照的に、図1Aに示される信号変換器の構成がソフトウェア・ソリューションとして実施される場合には、図1Aに示される信号変換器100が回路工学または計算能力的な観点から必要とするコストはより少ないものとなる。対応する初期信号と同一の複数のコピーされた初期信号をコピーするための手段102,132,および142が提供され、かつ各群の分岐処理手段のフィルタリング用の手段118が多相フィルタ構成として実施されていることによって、従来技術に比較して計算能力的なコストの削減が既に達成されている。なぜなら、図25に示す参照番号2510,2512,および2514が付されたマルチプレクサは省略されてもよいからである。さらに、多相フィルタ構成によって低域通過フィルタLP1、LP2、およびLP3を効率的に実現することも可能である。特に、多相フィルタ構成に関するコピー用の手段の組み合わせは、従来技術に比較して大幅なコストの削減に寄与することになる。対応する群の分岐処理手段における個々の処理分岐において、既に4つの副信号が存在するので、各副信号は、重み付け用または乗算用の手段120によって重み付けまたは乗算される。ここで、互いに異なる乗算または重み付け係数をそれぞれ選択することによって、分岐処理手段の群内部の個々の処理分岐において、上述のように、乗算または重み付けの形式の複素回転動作が純虚数係数jおよび−jを使用して行われる。特に、(4つの異なる)乗算係数による乗算を多相フィルタ構成に組み合わせることによって、図25に示す信号変換器2500と比較して、参照番号2522,2524,および2526によって示されるデマルチプレクサを省略できるようにして、必要なコストのさらなる削減を実現することができる。以降の相互接続構成、特に、参照番号2516,2518,および2520によって示されるマルチプレクサの使用と加算用の手段2528を使用する加算動作とは、図25に示す信号変換器2500に対応している。結論として、図1Aに示すような相互接続構成によって、3つのマルチプレクサおよび3つのデマルチプレクサの省略と、低域通過フィルタの回路工学的により好ましい実現とによって、従来の信号変換器2500に比較して、信号変換器100にとって技術的に必要な要件の大幅な削減が可能であるということがいえるだろう。さらに、信号変換器の実現にかかるコストがこのように少ないことによって、図1Aに示す回路構成による信号変換器に対して図25に示す従来の信号変換器2500と同じクロックレートが与えられる場合に、信号変換の加速化を行うことができる。しかしながら、代わりに、信号変換器100は、従来の信号変換器2500よりも低いクロックレートで動作してもよく、これは、コスト節約、したがってコスト削減効果を有する。
図1Bは、進歩性を有する信号変換器150のさらなる実施形態を示す。信号変換器150は、信号変換器150に第1の初期入力xplus[k]を与えるための第1の初期入力2502と、信号変換器150に第2の初期入力xzero[k]を与えるための第2の初期入力2504と、信号変換器150に第3の初期入力xminus[k]を与えるための第3の初期入力2506とを備える。さらに、信号変換器150は、複数のコピーされた初期信号104a〜d(初期信号xplus[k]と同一)を初期信号xplus[k]から生成するために、コピー用の手段102を含む。各コピーされた初期信号104a〜dは、以降、図1Aに示しかつ参照番号110,112,114,116で示される第1、第2、第3、および第4の処理分岐と同様に、4つの処理分岐のうちの1つに与えられる。さらに、各処理分岐においては、分岐処理手段の群が配置され、分岐処理手段のこの群は、図1Aに示すフィルタリング用、特に低域通過フィルタリング用の手段118に実質的に対応する。特に、ここでも、図1Aの多相構成と同様に、位相0、位相1、位相2、および位相3の多相サブフィルタを伴う多相構成が実施される。各処理分岐110,112,114,および116において処理された各信号は、図1Aに示すマルチプレクサ2530と同様に、マルチプレクサ2516によって、その出力信号2530上に実質的に多重化される。しかしながら、信号変換器150に関して、マルチプレクサ2516の出力2530は、信号変換器150の信号出力y[m]に対応している。
さらに、各コピーされた初期信号104a〜104dは、(例えば、複素)乗算係数での乗算用の手段によって重み付けされる。一例として、第1のコピーされた初期信号104aは、係数1で乗算される(または単に「直接接続」されている)。第2の副信号104bは、jという乗算係数で乗算するための手段によって乗算される。第3のコピーされた初期信号104cは、−1という乗算係数で乗算され、第4のコピーされた初期信号104dは、−jという(純虚数)複素乗算係数で乗算される。よって、4つのコピーされた初期信号104a〜104dのこのような乗算は、図1Aに示す乗算用の手段101によって実現されるように、初期信号の乗算に対応する。そのような乗算されコピーされた初期信号104a〜104dは、図1Aにおける分岐処理手段106の第1の群と同様に、今度はさらに分岐処理手段へ供給される。しかしながら、図1Bに示す信号変換器150によれば、分岐処理手段の群は、位相0、位相1、位相2、および位相3の多相サブフィルタを有する多相フィルタ構成によって図1Aに示されているようなフィルタリング用の複数の手段118を含むに過ぎず、乗算または重み付けのための各手段120は、信号変換器150には含まれていない。図1Bにおけるフィルタ係数の機能および分布の個々の多相サブフィルタへの分配は、図1Aにおけるフィルタ係数の機能および分布の個々の多相サブフィルタへの分配に対応している。
図1Aに示す信号変換器100の構成とは対照的に、図1Bに示す信号変換器150の構成において、第2のマルチプレクサ2518および第3のマルチプレクサ2520の出力信号を加算するための加算手段2528は省略されている。しかしながら、1つのマルチプレクサ2516のみを有する構成は、(第1の)初期信号xplus[k]と第2の初期信号xzero[k]とのマージを行うことになる一応用において使用される。この場合に、信号変換器150は、第2の初期信号xzero[k]から複数のコピーされた第2の初期信号を取得するために、コピー用のさらなる手段132を備える。これらの第2の初期信号は、ここで同様に、処理分岐110,112,114,および116のうちの1つにそれぞれ与えられる。この供給は、同様に、重み付け手段を使用して行われ、重み付け手段は、処理分岐へ与えられるような重み付け係数で各コピーされた第2の初期信号を重み付けするように実施される。図1Bにおいて、1という重み付け係数でのこのような重み付けは、すべてのコピーされた第2の初期信号に対して行われており、これは、上述の「直接接続」によって効率的に行われてもよい。重み付けされたコピーされた第2の初期信号には、各処理分岐110,112,114,および116内の分岐加算器によって、各分岐における重み付けされたコピーされた初期信号104a〜104dが加算されて、加算信号が取得される。対応する分岐加算器152の結果が、処理分岐110,112,114,および116のうちの1つにおける位相0、位相1、位相2、および位相3の多相サブフィルタの各1つに置かれる。フィルタリング前の加算のそのような「予想(anticipation)」は、線形システム用の規則の適用によって可能である。同じく、同様の方法で、例えば、図1Bに示す第3の初期信号xminus[k]は、第2の初期信号xzero[k]および第1の初期信号xplus[k]で処理される。このため、第3の初期信号xminus[k]をコピーするための第3の手段142が、処理分岐110,112,114,および116のうちの各1つに与えられるような複数の第3のコピーされた初期信号を提供するために必要となる。対応する処理分岐において、重み付け係数を使用した重み付けが行われ、ここで、重み付けされたコピー済みの第3の初期信号には、それぞれ、対応する重み付けされたコピー済みの第2の初期信号または重み付けされたコピー済みの第1の初期信号104a〜104dが加算される。図1Bにおいて、この目的のため、それぞれの処理分岐において、2つの分岐加算器が示されている。しかしながら、これらの分岐加算器が3つの入力および1つの出力を備える場合には、各分岐当たり単一の分岐加算器152を使用する加算を行うことも可能である。さらに、互いに異なる処理分岐におけるコピーされた初期信号に対して対応する重み付け係数を選択することにより、初期信号が正または負の周波数シフトすることになるかどうか、または与えられた初期信号の周波数シフトが生じないことになるかどうかが影響を受ける。重み付けまたは乗算係数の選択に関して、図1Aおよび図25に関する実施は共に当てはまる。さらに、さらなる初期信号を同様に出力信号y[m]にマージしてもよく、この場合に注意すべきなのは、データ損失を生じさせないようにするために、スペクトルがシフトされた2つの信号が目的信号内で重ならないようにするということである。この目的のために、3つの初期信号のみが同一の初期周波数を備えることが必要で、そして、出力信号y[m]において3つの初期信号が互いに異なるスペクトル帯域へシフトするように、各初期信号は、正方向に周波数シフトしなければならないか、周波数シフトしなくてもよいか、または負方向に周波数シフトしなければならないかのいずれかである。よって、さらなる初期信号が目的信号にマージされることになる場合には、さらなる初期信号は、第1の3つの初期信号とは異なる初期周波数を備えることが必要である。
図1Bに示す信号変換器150の構成によって、図1Aに示す信号変換器100の構成とは対照的に、技術的に必要な要件の削減を達成することができる。これは、特に、分岐処理手段の単一の群のみ、すなわち、位相0、位相1、位相2、および位相3の多相サブフィルタを有する多相構成をフィルタリングするための手段118のみが必要であるということから生じる。よって、図1Aに示すような多相サブフィルタの各2重または3重の実施はもはや必要なく、実現すべき信号変換器の構成が簡素化される。さらに、図1Bに示すような単一のマルチプレクサのみを備えればよいので、数個のマルチプレクサを備えることを省略することができる。これにより、さらに要件が削減される。状況を悪化させるものとして、4つの加算手段を備えなければならないが、注意すべきなのは、加算手段はマルチプレクサよりも技術的に実現がより容易であり、よって、図1Aの回路と比較して、全体として要件が削減された回路が可能であるということである。この技術的な簡素化は、特に、ここにおいて提案されている信号変換器はより低いクロックレートで動作できるので、マルチプレクサをクロック制御するための従来の変換器で必要であった高いクロックレートを省略可能であるということからから生じている。
さらに、図1Aおよび1Bに示す信号変換器100および150は、カスケードされていてもよく、その場合に、各カスケード段階の間に好ましくはサンプルレート変換が導入される。これにより、以下の利点が提供される。すなわち、第1の段階によって、正および負の周波数シフトと「中立の(neutral)」周波数変換(すなわち、信号を他の周波数帯域へスペクトルシフトすることのない周波数変換)とを考慮して、例えば3つの周波数帯域が実現され、サンプリングレート変換によってさらなる周波数シフトが他のシフト間隔で行われ、その場合に、9つの取得可能な周波数帯域がそのような2段階のカスケードで実現される。そのようなカスケードされた信号変換器によって取得されるような周波数の手法を図2に示す。
この場合、さらに注意すべきなのは、複素ベースバンド信号の「デジタルミキシング」という用語は、ベースバンド信号を回転複素ポインタ
Figure 0004658138
で乗算することであり、ここで、kは複素ベースバンド信号(または入力信号)のサンプルの現行の指標であり、fcは所望の新しいキャリア(すなわち、中心)周波数であり、fSはサンプリング周波数である。fc=0または±fS/4という特殊な場合が選択される場合には、回転複素ポインタは、±1および±jという値のみを取る。複素入力信号がIおよびQ成分に存在する場合には、これらの乗算は、否定と当該2つの成分の多重化とによって非常に簡単に実現される。例えば、−jでの乗算とは、I(出力信号)=Q(入力信号)およびQ(出力信号)=−I(入力信号)を意味する。上記原則で、中心周波数fC=0,fC=+fS/4およびfC=−fS/4を有する3つの周波数サブバンドに対するミキシングを実現することができる。
図2に示す周波数分布を使用して、数個の信号変換器をカスケードすることにより生じうるアップコンバートおよびダウンコンバートをより詳細に説明する。この接続において、注意すべきなのは、ダウンコンバートは図示の目的のためだけのものであるが、進歩的な手法はおおむねアップコンバートに関するものであるということである。
アップコンバートのために実現が簡単な上述のようなデジタルミキシングを使用することができるようにするために、ここで、先に詳述したミキサのカスケード接続を行ってもよく、カスケードされたミキサの2つ目をミキシングする前に、サンプリング周波数の変換が行われる。そのようなカスケードされたミキサについて、例えば第1のミキサ段階において、第1の(低)サンプリング周波数fS1を有する入力信号が、第1のミキサによって、中心周波数fC1=0,fC1=+fS1/4=+f1またはfC1=−fS1/4=−f1に導入される。
その後、例えば係数4による第2の(より高い)サンプリング周波数fS2へのアップサンプリング(すなわち、サンプリング周波数増加)が行われる。ここで、fS2サンプルの生成の一部は、各fS1サンプル後に「0」値(サンプル)を挿入すること(すなわち、この例においては、fS2=4*fS1で、3つの「0」値の挿入)であるのが好ましい。以降、第1のサンプリング周波数fS1の倍数におけるそのスペクトルイメージ(すなわち、アップサンプリングの結果生じたそのスペクトルイメージ周波数)ではなく、アップサンプリングされたfS1信号のみを保管するために、低域通過フィルタリングが行われる。その後、再びデジタルミキシングを今度は中心周波数fC2=0,fC2=+fS2/4=+f2またはfC2=−fS2/4=−f2に対して行う。全体で、このように、現在の周波数における信号に基づいて、現在の周波数f0に関する9つの互いに異なる中心周波数fCが取得される。
C=f0−f2−f1
C=f0−f2+0,
C=f0−f2+f1
C=f0−f1
C=f0
C=f0+f1
C=f0+f2−f1
C=f0+f2,および
C=f0+f2+f1
このような周波数分布を、一例として図2に示す。
ここで、ミキサは、例えば、現在の周波数f0202、すなわち、中心周波数fc=f0の信号を中心周波数fc=f0−f1に第1のミキシング204によってミキシングすることができる。その後、アップサンプリングの後、サンプリング周波数の上昇が起こり、その結果、中心周波数fc=f0+f2−f1を有する目標周波数210に対する中心周波数fc=f0−f1の中間周波数内に現在ある信号のミキシング208が行われる。
図2にかかる図から、さらなるミキサがカスケード接続されてもよいことがわかるだろう。これにより、3段階ミキサ配列が実現される場合には、現在の周波数を有する信号を例えば27個の中心周波数にシフトすることができ、4段階ミキサ配列が実現される場合には、現在の周波数を有する信号を81個の中心周波数にシフトすることができる。ここで、そのようなカスケードはランダムに継続してもよく、その場合、取得可能な中心周波数の数は、項3xによって示され、xはカスケードされたミキサの数である。
送信器におけるアップコンバートと同様に、受信器におけるダウンコンバートが回転複素ポインタ
Figure 0004658138
によって行われる。送信器におけるのと同様に、fc=0および±fS/4について、IおよびQ成分を否定および多重化することによってダウンコンバートが達成される。このように、同様に、3つの周波数サブバンドが取得される。送信機におけるミキサ段階のカスケードと同様に、図1Aおよび図1Bに示す周波数変換器のように、ここでもミキサのカスケードが行われてもよく、これにより、計算能力的または回路工学的に容易に分離されるような周波数帯域の数が増加される。例えば、受信器入力におけるサンプリング周波数がfS2に等しいと仮定すると、受信信号の中心周波数は、
C=f0−f2−f1
C=f0−f2+0,
C=f0−f2+f1
C=f0−f1
C=f0
C=f0+f1
C=f0+f2−f1
C=f0+f2,または
C=f0+f2+f1である。
全体で9つの周波数サブバンドが分離される。これらの中心周波数のすべては、それぞれ0または±fS2/4=±f2による周波数変換によって、それぞれ中心周波数fC=0またはfC=±fS1/4=±f1に変換される。
周波数変換中に、周波数変換器において、(より高い)サンプリング周波数fS2から(より低い)サンプリング周波数fS1へのダウンサンプリングが同時に行われてもよく、この場合に、上述の例と同様に、より低いサンプリング周波数は、fS1=fS2/4である。ここで、好ましくは、ダウンサンプリングにおける結果のイメージ周波数をマスクするために、高いサンプリング周波数fS2にある信号は、周波数変換器内の重み付け用の手段において低域通過フィルタリングされる。その後、再び、0または±fS1/4=±f1でのミキシングが行われてもよく、最終的には、信号は中心周波数f0にあるようになる。例えば、図2の中心周波数210によって示すように、受信信号が中心周波数fC=f0+f2−f1にある。第1の周波数変換器によって、ミキシング208と逆の変換が行われ、信号は、fC=f0−f1の中心周波数206に適用される。周波数変換と同時に、周波数変換器において、上述のように、再びダウンサンプリングが行われる。fC=f0−f1の中心周波数204においてこのようにダウンサンプリングされた信号は、ミキシング204と逆のミキシングにおいて、第2のミキサに対応する周波数変換器によって、fC=f0の中心周波数202に変換される。
高いサンプリング周波数を有する受信信号は、周波数変換機におけるサンプルレートの削減によって、現在の周波数から現在の周波数の4分の1に変換される。現在の周波数が高いサンプリング周波数の4分の1になるスペクトル変換がさらに生じる場合には、サンプリングレート削減の後、現在の周波数の4分の1への削減とは別に、スペクトル変換のオフセット方向により、第1の周波数変換機の出力信号がサンプリング周波数の16分の1に減少または増大する結果となる。
上述の実施と同様に、対応する数のミキサ段階または周波数変換器段階がそれぞれカスケードされる場合には、9つ以上の周波数サブバンド(例えば、27個、81個のサブバンド)が上述のように受信または分離される。
以下に、計算能力または回路工学の観点から容易に実現する周波数シフトの数学的な基本を、より詳細に説明する。連続範囲において、周波数シフトは、以下の式の適用によって実現される。
Figure 0004658138
これは、正方向の周波数シフトF(j(ω−ω0))に対応する。離散時間範囲への変換は、以下の通りである。
Figure 0004658138
特に、fS/4の周波数シフト(Π/2の回転に対応)の場合をより詳細に検討する。
fについて、上記の式のfS/4が置換され、fSは、サンプリング周波数であり(すなわち、スペクトルは「正の」方向へシフトされる)、fS=1/TSを使用して、次式が得られる。
Figure 0004658138
入力信号について、f[n]=i[n]+j*q[n]が当てはまる場合には、指数関数式についてのオイラーの公式を使用して(すなわち、ejnπ/2=cos(nΠ/2)+j*sin(nΠ/2))、y[n]の実部および虚部の項が得られる。
Re{y[n]}=i[n]*cos(nΠ/2)−q[n]*sin(nΠ/2)
Im{y[n]}=i[n]*sin(nΠ/2)+q[n]*cos(nΠ/2)
正方向の周波数シフト(すなわち、出力信号のより高い周波数へ向かう入力信号の周波数シフト)について、引数は正であり、負方向の周波数シフト(すなわち、入力信号の周波数が出力信号の周波数よりも高い)において、サインおよびコサイン関数の引数は負である。互いに異なる時間指標値nについてのcos(nΠ/2)およびsin(nΠ/2)の項の値の対の表形式の図を図3に示す。ここで、サインおよびコサイン関数についての上述の項が、正または負の周波数シフトについてそれぞれ列挙されており、時間指標として、値n=0,1,2,および3が基本として使用されている。
図3に示す表および上記式に基づいて、入力信号f[n]をfS/4だけ周波数シフトさせると、図4の表形式の図に示すように、複素入力信号i[n]+j*q[n]という結果となる。これでわかるように、すべての奇数指標についての正および負のシフトの実部および虚部についての各値は、符号のみが異なる。これ以外に注意すべきなのは、すべての奇数の時間指標では、入力信号f[n]の虚部の値q[n]は、出力信号y[n]の実部の値に直接的または否定的な形式のいずれかで割り当てられるということである。さらに、各奇数の時間指標について、入力信号f[n]の実部の値i[n]は、対応する時間指標nの出力信号y[n]の虚部の値に直接的または否定的な形式のいずれかで割り当てられる。よって、ミキサの出力信号y[n]の実部および虚部の値は、複素値乗算係数での入力信号f[n]の複素乗算の結果値とみなすことができる。
そのような乗算は、例えば、図5に示すような乗算装置500によって実現することができる。そのような乗算装置500は、乗算要素502と、乗算制御手段504と、乗算係数c0,c1,c2,およびc3を伴う乗算係数レジスタ506とを含む。第1の乗算係数セット510a(係数c0=1,c1=−i,c2=−1,c3=i)は、負の周波数シフトに対応し、第2の乗算係数セット510b(係数c0=1,c1=1,c2=1,c3=1)は、周波数シフトが生じないミキシングに対応し、第3の乗算係数セット510c(係数c0=1,c1=i,c2=−1,c3=−i)は、正の周波数シフトを伴うミキシングに対応している。さらに、n=−3,−2,−1,0,1,2,3,4,5,…である入力信号x[n]がミキサ500に供給される。その結果、ミキサ500は、n=−3,−2,−1,0,…である出力値y[n]を出力する。
図5に示すミキサ500の機能は、以下のように説明される。まず、所望の周波数シフトに従って(例えば、図5に図示しないミキサ500の制御入力における制御信号を使用して、周波数シフトの方向を設定してもよい)、乗算係数セット510のうちの1つを乗算係数レジスタ506にロードして、使用された乗算係数セットを乗算係数制御手段508の助けを借りて記憶する。例えば、ミキサ500がサンプリング周波数の4分の1の正の周波数シフトを行うことになっている場合には、係数セット510cがレジスタ504にロードされる。ここで、周波数シフトを行うために、例えば値x[0]の入力値が乗算器502にロードされて、乗算器において係数c0=1で乗算され、そこから結果y[0]が得られる。乗算係数c0=1の乗算においては、複素信号入力値x[0]の実部および虚部の否定または交換は生じない。このことは、図4の表の対応する行に示されており、そこにおいて、時間指標0についての正の周波数シフトにおける実部および虚部が示されており、実部および虚部の変化はない。
次の成分として、後続の入力値x[1]が乗算器502にロードされ、乗算係数c1(=i)で乗算される。このことから、出力信号値が生じ(すなわち、値y[1])、この場合、図4の正の周波数シフトについての時間指標n=1に対応する行に示すように、入力値の実部が出力値の虚部に関連付けられており、入力値の虚部は否定されて出力値の実部に関連付けられている。
これと同様に、乗算器502において、次の後続の信号入力値x[2]の乗算係数c2(=−1)での乗算と、同様に後続の信号入力値x[3]の乗算係数c3(=−i)での乗算とが行われる。このことから、それに対応して、正の周波数シフトについての列における割り当てに従って、対応する出力値y[n]の実部および虚部について図4に示す値が、n=2および3について生じる。
後続の信号入力値は、レジスタ506に記憶された乗算係数を使用して、上述の乗算の周期的な反復により、対応する信号出力値y[n]に変換される。言い換えれば、入力信号xが基礎としているサンプリング周波数の4分の1の正の周波数シフトが純実数または純虚数乗算係数での乗算によって行われるといえるだろう(この場合、乗算係数は、例えば値1と等しい大きさを有するのが好ましい)。これにより、同様に、実部および虚部の値の交換および/または対応する値の否定によってのみ乗算を行うことができるという簡素化につながる。乗算自体はもはや必要ではなく、乗算結果は、むしろ、これら否定または交換ステップによって決定される。
負の周波数シフトに関しては、ミキサ500の使用を同様に行い、この場合、今度は乗算係数セット510aがレジスタ506にロードされることになる。同様に、ミキシングが行われ、乗算係数セット510bがレジスタ506にロードされる場合には、周波数シフトは行われない。なぜならば、ここでは、信号入力値xが乗算の中立的な成分で(すなわち、値1で)乗算されるだけだからである。よって、出力信号値yに対する入力信号値xの値は変化しない。
以下において、システム全体を明確にするために、アップサンプリングおよび周波数割り当ての両方をより詳細に説明することになるが、それ自体は、例えば送信器において見受けられると共に、本送信器に適した受信器の対応する実施においても見受けられる。また、ここで注意すべきなのは、進歩的な概念は、主に送信器、すなわちアップコンバータを参照していることである。しかしながら、ダウンサンプリングの説明は、システム全体をより理解するのに寄与するものであり、ダウンサンプリングのより詳細な説明は、こういった理由でここに含まれている。
アップサンプリングを説明するために、ミキサは、図6に示すように、アップサンプリングブロック600として図示される。ここで、アップサンプリングブロック600は、入力インターフェース602を備え、これを介して、アップサンプリングブロック600は、I成分602aおよびQ成分602bという形式で存在する複素入力データを受信する。この複素入力データは、例えば、インパルス形成器(図示せず)によって出力され、これが、入力データまたは入力データストリームそれぞれが図6において「impulseformer_out」という用語で示されている理由である。さらに、アップサンプリングブロック600は、アップサンプリングされたデータを出力するための出力インターフェース604を含み、ここで、出力インターフェース604は、第1の成分I’604aと、第2の成分Q’604bとを含む。出力データまたは出力データストリームはそれぞれアップサンプリングされたデータであるので、このデータストリームも「upsampling_out」によって示されている。周波数割り当てを可能にするため、すなわち、データストリーム「impulseformer_out」の中心周波数をデータストリーム「upsampling_out」の中心周波数へ周波数シフトすることを可能にするため、アップサンプリングブロック600において、パラメータfs_shift_1およびfs_shift_2が、図2の周波数f1(=fs_shift_1)および周波数f2(=fs_shift_2)に対応して使用される。
入力データストリームimpulseformer_outに関して、さらに注意すべきなのは、これは、例えば、IまたはQ成分毎に8ビットのワード幅、B_Clock_16のデータレート(すなわち、出力データストリームのデータレートの16分の1)を備えることである。ここで、入力データのデータタイプは、複素値であるとみなされることになる。さらに出力データストリームupsampling_outに関して注意すべきなのは、そのワード幅が、例えばIまたはQ成分毎に6ビットであるということである。これ以外に、出力データストリームupsampling_outは、ここにおいて考慮しているアップサンプリングブロック600の最速データレートまたはクロック周波数それぞれを定義するB_Clockというデータレートを備える。これ以外に、出力データストリームupsampling_outのデータのデータタイプは、複素データタイプとみなされていることになる。
外部から、2つの使用済みの周波数パラメータfs_shift_1およびfs_shift_2が、アップサンプリングブロック600へ転送される。これらは、生成されたベースバンド信号(すなわち、入力データストリームimpulseformer_outに含まれる信号のベースバンド信号)を、[−B_Clock_16,0,B_Clock_16]の中間周波数にB_Clock_4のサンプリングレート(パラメータfs_shift_1)で変換するか、または[−B_Clock_4,0,B_Clock_4]の中間周波数にB_Clockのサンプリングレート(パラメータfs_shift_2)で変換するかを決定する。ここで、サンプリングレートB_Clock_4は、B_Clockのサンプリングレートまたはサンプリングクロックそれぞれの4分の1を示す。
図7は、図6に示すアップサンプリングブロック600の詳細なブロック図を示す。アップサンプリングブロック600は、ミキサとして示されている。ミキサ600は、第1の多相フィルタ702と、第1のミキサ704と、第2の多相フィルタ706と、第2のミキサ708と、第1のパラメータセット710と、第2のパラメータセット712とを含む。第1の多相フィルタ702は、入力データストリームimpulseformer_outを受信するための入力を含み、これはすなわち、参照番号602または参照番号|1|によって示されている。第1の多相フィルタ(例えば、FIRフィルタとして実施される)の入力は、ミキサ600の入力602へ直接接続される。さらに、第1の多相フィルタは、ポートFIR_poly_1_out|2|を介して第1のミキサ704に接続されている。さらに、第1のミキサ704は、ポートfs_4_mixer_1_out|3|を介して第2の多相フィルタ706の入力に接続されている。第2の多相フィルタ706は、ポートFIR_poly_2_out|4|を介して第2のミキサ708の入力に接続される出力をさらに備える。さらに、第2のミキサ708は、ポートupsampling_out|5|を介してミキサ600の出力インターフェース604に接続される出力を備える。このポートは、アップサンプリングブロック600全体の出力を形成し、次のより高次の階層レベルへ直接接続される。さらに、ミキサ600は、第1のミキサ704に関連付けられた第1の係数セット710と、第2のミキサ708に関連付けられた第2の係数セット712とを含む。第1の係数セット710の係数fs_shift_1および第2の係数セット712の係数fs_shift_2は、それに対応して、fs_4_mixer_1(すなわち、第1のミキサ704)またはfs_4_mixer_2(すなわち、第2のミキサ708)というそれぞれ2つのブロックへ渡されるだけである。さらなるパラメータは、ミキサ600のこの実施形態には含まれていない。
さらに注意すべきなのは、参照番号|1|で示されたデータストリームは、IおよびQ成分毎に8ビットのワード幅を有するデータを備え、ここで、B_Clock_16のデータレート(すなわち、クロックB_Clockの16分の1)のデータが第1の多相フィルタ702へ供給される。これ以外に、第1の多相フィルタへ供給されるデータは、複素値データタイプを備える。第1の多相フィルタ702(好ましくはFIRフィルタとして実施される)において、例えばB_Clock_16からB_Clock_4へのサンプリングクロックの上昇が行われ、これは、サンプリングクロックの4倍動作に対応する。これにより、参照番号|2|で示された信号FIR_poly_1_outは、ワード幅も成分毎に8ビットであり、データタイプも複素値としてみなされることになり、かつデータレートが今やB_Clock_4に上昇している、すなわち、最大クロックB_Clockの4分の1であるということによって、自身を他と区別する。
第1のミキサ704において、パラメータfs_shift_1についてのパラメータセット710を使用して周波数変換が行われ、ここで、参照番号|2|で示された信号の中心周波数と、参照番号|3|で示された信号の中心周波数との差は、サンプリングクロックレートB_Clock_4の4分の1に対応している。よって、参照番号|3|の信号は、信号FIR_poly_1_outよりも高い中間周波数にシフトしたことに注意すべきだろう。ここで、fs_4_mixer_1_outのワード幅は成分毎に8ビットであり、データタイプは複素値化されており、データレートはB_Clock_4である。
さらに、第2の多相フィルタ706(例えば、同様にFIRフィルタを含む)において、参照番号|4|で示された信号FIR_poly_2_outがB_Clockのサンプリングレートまたはデータレート(すなわち、ミキサ600において達成可能な最大サンプリングレート)を備えるように、さらなるアップサンプリングが行われる。ここで、信号FIR_poly_2_outのワード幅も、IおよびQ成分毎に8ビットであり、この信号のデータタイプも、複素値化されている。その後、供給されたサンプリング周波数の4分の1での周波数シフトを伴うミキサでもある第2のミキサ708によって、参照番号|4|によっても示されている信号FIR_poly_2_outの周波数変換が、参照番号|5|によって示されている信号upsampling_outに対して行われる。ここで、パラメータセット712を使用して、例えば、周波数シフトが行われるべき方向を示す。信号upsampling_outは、例えば外部のアップサンプリングフィルタによって予め定められた、IおよびQ成分毎の6ビットのワード幅を備えている。信号upsampling_outのデータレートはB_Clockであり、データタイプは同様に複素値化されている。
以下において、ブロックFIR_poly_1(すなわち、第1の多相フィルタ702)およびブロックFIR_poly_2(すなわち、第2の多相フィルタ706)の基本的機能をより詳細に説明する。これらの各ブロックは、本実施形態において、信号帯域幅を同時に整備することを伴う、サンプリングレートの4倍化を生じさせる。係数4によって信号をアップサンプリングするために、各入力サンプル間にゼロが挿入されることになる(「ゼロ挿入」)。そして結果生じた「ゼロ挿入された」シーケンスは、入力サンプリングレートの倍数でイメージスペクトルを抑圧するために、低域通過フィルタを通じて送出される。原則に従って、ここでは、すべての使用フィルタは実数、すなわち、実数値の係数を備える。フィルタリングされるべき複素データは、常に2つの並列の同等のフィルタを通じて送出され、特に、それぞれ実数値のみを備えるI成分(すなわち、信号の実部)とQ成分(すなわち、信号の虚部)とに信号を分割することは、この場合明らかに簡素化される。なぜならば、実数値の入力信号に実数値のフィルタ係数を乗算することは、複素値の入力値に複素値のフィルタ係数を乗算することよりも計算能力的に遥かに容易だからである。
フィルタリングすべき入力信号またはスペクトルのなんらかの既知の特性を使用して、計算上のオーバーヘッドをさらに最小限に抑えるようにしてもよい。特に、多相の実施と、多相の実施のサブフィルタの対称性の使用によって、以下により詳細に説明するような利点を使用することができる。
入力シーケンスは、上述のように、全ての4番目の数字に0とは異なる値を備えるだけであるため、好ましくは、多相の実装が使用される。「タップ付き遅延線(tapped delay line)」構成におけるFIRフィルタを仮定する場合には、各出力値の計算については、L/R係数のみが使用される(L=FIRフィルタ長、R=アップサンプリング係数)。使用される係数は、正確にR個の出力値の後で周期的に繰り返す。したがって、そのようなFIRフィルタは、長さL/RのR個のサブフィルタに分割される。そして、対応するフィルタの出力は、正確な順序でより高いレートのデータストリームに対して多重化されればよい。さらに、注意すべきなのは、例えばソフトウェアツールであるMATLABの「intfilt」という関数でFIRフィルタを実現すると、第2のサブフィルタについて通常の係数構成になるということである(すなわち、第2のサブフィルタは、偶数長と、軸対称とを備える)。さらに、第4のサブフィルタは、単一の遅延要素にほぼ変換してもよいと考えられ、このことは以下により詳細に示すとおりである。
第1の多相フィルタ702または第2の多相フィルタ706のような多相フィルタの具体的な実現のブロック図は、図8の例のように示される。そのような多相フィルタは、入力と、第1のFIRフィルタM12と、第2のFIRフィルタM7と、第3のFIRフィルタM8と、遅延要素M30と、4対1マルチプレクサM10と、出力とを含む。第1のFIRフィルタM12と、第2のFIRフィルタM7と、第3のFIRフィルタM8と、遅延要素M30とは、それぞれ、入力と、出力とを備え、ここで、4つの上述の各要素の入力は、多相フィルタの入力に接続される。4対1マルチプレクサM10は、4つの入力と、1つの出力とを備え、ここで、4つの各入力は、FIRフィルタM12、M7、M8のうちの1つの1つの出力か、または遅延要素M30の出力に接続される。さらに、4対1マルチプレクサM10の出力は、多相フィルタの出力に接続される。各多相フィルタ702または706へその入力を介して与えられる入力データストリームは、4つのFIRフィルタに(すなわち、サブフィルタ4を1つの遅延要素に変換した後は、3つのFIRフィルタM12,M7,およびM8のみに)並列的に入力され、その後、再び4対1マルチプレクサM10によって多重化される。この並列化によって、多相フィルタの入力と多相フィルタの出力との間の4という係数によるポートレートの変更が達成される。
第1の多相フィルタ、すなわち、図7に示す多相フィルタFIR_poly_1に関して図8に示す構成を使用する場合、これは、データレートのB_Clock_16からB_Clock_4への上昇を意味する。第2の多相フィルタ706、すなわち、図7に示すフィルタFIR_poly_2に関して図8に示す構成を使用する場合、これはB_Clock_4からB_Clockへのデータレート上昇を意味する。そのようなフィルタ、特にフィルタ係数は、例えばソフトウェアツールMATLABのコマンドcoeff=intfilt(4,6,2/3)を使用して作成できるということに、さらに注意すべきだろう。
図9は、ソフトウェアツールMATLABで上述のコマンドを使用して取得されるようなフィルタ係数a0〜a46の表形式の図を示す。個々のサブフィルタ、すなわち、第1のFIRフィルタM12、第2のFIRフィルタM7、第3のFIRフィルタM8、および遅延要素には、図9に示すフィルタ係数a0〜a46の係数セットの互いに異なる係数が割り当てられる。例えば、係数a0,a4,a8,a12,…が第1のFIRフィルタM12に割り当てられる。これは、同様に、MATLABコマンドcoeff1=coeff(1:4:end)を使用して行うことができる。また、例えばMATLABコマンドcoeff2=coeff(2:4:end)を使用して可能となるので、係数a1,a5,a9,a13,…が第2のFIRフィルタM7に割り当てられる。また、例えばMATLABコマンドcoeff3=coeff(3:4:end)を使用して可能となるので、係数a2,a6,a10,114,…が第3のFIRフィルタM8に割り当てられる。また、例えばMATLABコマンドcoeff4=coeff(4:4:end)を使用して可能となるので、係数a3,a7,a11,a15,…が第4のFIRフィルタ(以下の理由のため遅延要素に変換されてもよい)に割り当てられる。
図9の表形式の図からわかるように、第4のサブフィルタに割り当てられる係数は、ほぼ1の値を備えるa23以外はほぼ値0を備える。この理由から、第4のサブフィルタの係数セットcoeff4が、数字6(MATLABカウントにおける係数セットの第6の要素)においてのみほぼ1の値(a23参照)によって占められているので、ほぼ値0を有する係数を無視して、第4のサブフィルタを遅延構成に変更することができる。したがって、このブロックは、delay=5の遅延要素に置き換えられてもよく、これは、5つの要素による入力値のシフトに対応する。さらに、第2のFIRフィルタM7に関連する係数セットcoeff2は、軸対称の構成と偶数長とを備え、これにより、このFIRフィルタは、乗算数を少なくとも半分にするために短縮化することができる。
以下において、第1のミキサ704および第2のミキサ706の設定を、図7に示すブロックfs_4_mixer_1およびfs_4_mixer_2に対応してより詳細に説明する。原則的には、ミキサは、信号をスペクトル範囲においてある周波数だけアップコンバートまたはダウンコンバートすることに注意すべきだろう。ここで、シフトは、常にサンプリング周波数に関連している。fS/4ミキサは、例えば、サンプリング周波数の正確に25%だけ入力信号をシフトさせ、周波数範囲内でシフトされたこの信号を出力信号として出力する。複素ミキシング、すなわち、複素信号のミキシングは、複素回転項による乗算によって行われ、
dt[n]=exp[i*2*Π*Δf/fs*n]
式中、i=(−1)の平方根
である。
周波数シフトがΔf=fS/4の場合、そのようなfS/4ミキサは、ベクトル[1;i;−1;−i]を使用して単純な乗算器に変換される。これは、図5の例として既に示した。よって、第1、第5、第9…の入力値は常に1で乗算され、第2、第6、第10…の入力値は常にiで乗算されるといえるだろう。そして、第3、第7、第11…の入力値は常に−1で乗算され、第4、第8、第12…の入力値は常に−iで乗算される。そのような乗算は、正の周波数シフトという結果となる。
上記のように、fS/4ミキシングは、4つの単純な動作によって実現される。多相フィルタと同様に、図7に第1のミキサ704および第2のミキサ708として示すようなそのようなミキサブロックは、出力データレートの4分の1で内部動作する。そのように実施されたミキサを図10に示す。そのようなミキサは、入力として示されているミキサ入力と、1対4デマルチプレクサM13と、第1の乗算要素M19と、第2の乗算要素M18と、第3の乗算要素M17と、第4の乗算要素M21と、4対1マルチプレクサM14と、図10に出力によって示されている出力とを含む。
1対4デマルチプレクサM13は、入力に接続される入力を含む。さらに、1対4デマルチプレクサは、4つの出力を含む。乗算要素M19、M18、M17、およびM21は、それぞれ、1つの入力と、1つの出力とを含む。乗算要素それぞれ1つの入力は、1対4デマルチプレクサM13の他の出力に接続されている。4対1マルチプレクサM14は、4つの入力を含み、ここで、それぞれ、4対1マルチプレクサM14の入力のうちの1つが乗算要素のうちの1つの他の出力に接続されている。さらに、4対1マルチプレクサM14の出力は、出力に接続されている。
図10に示すそのようなミキサがその入力において信号を受信すると、この信号は、4つの連続信号値のブロックにそれぞれ分割され、ここで1つの信号値が乗算要素M19,M18、M17およびM21のうちの他の1つに割り当てられる。これらの乗算要素において、より詳細に以下に説明する乗算が行われ、ここで、乗算結果は、乗算要素の出力を介して4対1マルチプレクサM14へ供給され、供給された値からシリアルデータストリームを生成し、これが出力を介して出力される。
ミキサにその入力を介して供給された値は、好ましくは複素データ値であり、ここで、各乗算要素M19,M18、M17、およびM21には、複素データ値が1対4デマルチプレクサM13を通じて供給される。乗算のために、各乗算要素において、乗算係数を使用した乗算が行われ、ここで、乗算係数は、例えば上述のベクトル[1;i;−1;−i]に対応している。例えば、第1の乗算要素M19において上述のベクトルの第1の係数での乗算が行われる場合には(すなわち、1という係数で)、これは、第1の乗算要素M19の出力において直接に、第1の乗算要素の入力において与えられた値が出力されることを意味する。例えば、第2の乗算要素M18において第2の係数での(すなわち、iでの)乗算が行われる場合には、これは、第2の乗算要素M18の出力において、以下の場合に対応する値が与えられることを意味する。
出力=−imag(入力)+i*real(入力)
式中、imag(入力)は、入力値の虚部を示し、real(入力)は、入力値の実部を示す。
例えば、第3の乗算要素において上述のベクトルの第3の係数での(すなわち、−1での)乗算が行われる場合には、これは、第3の乗算要素M17の出力において、入力に対して与えられる値に関して以下の場合を前提とする値が与えられることを意味する。
出力=−real(入力)−i*imag(入力)
さらに第4の乗算要素M21において乗算係数として第4の係数を使用して(すなわち、−1を使用して)乗算が行われる場合には、これは、第4の乗算要素M21の出力において値が出力されることを意味し、この値は、第4の乗算要素の入力において与えられる値を考慮して、以下のような場合である。
出力=imag(入力)−i*real(入力)
第1のミキサに供給される図7に示すパラメータ値fs_shift_1のデフォルトか、第2のミキサ708に供給されるパラメータ値fs_shift_2を伴う第2のパラメータセット712によっては、個々の定数を示す特殊なベクトルが選択される。例えば、fs_shift_x(ここで、x=1または2)が−1に選ばれる、すなわち、負の周波数シフトが行われることになる場合には、以下の係数シーケンス:[1,−i,−1,i]を備えるベクトルを選択することになる。
パラメータfs_shift_xが0に選ばれる、すなわち、ミキサ内で周波数シフトが生じないことになる場合には、係数シーケンス[1,1,1,1]を伴う係数ベクトルが選択されることになり、パラメータfs_shift_xが1に選ばれる(すなわち、正の周波数シフトが行われることになる)場合には、係数シーケンス[1,i,−1,−i]を伴うベクトルが選択されることになる。上記説明から、第1のパラメータセット710および第2のパラメータセット712は、互いに異なる目標周波数が達成されることになるように、互いに異なるように選択される。
ダウンサンプリングは、例えば、受信器内において高い現在の周波数から低い目標周波数へ周波数変換が行われるため、以下において、ダウンサンプリングをより詳細に説明する。これに関して、図11Aは、例えば受信器において使用されるようなミキサ段階のブロック図を示す。ミキサ段階1100は、入力と、第1のミキサM1と、第2のミキサM15と、第3のミキサM12とを含み、第1のミキサレベル0‐2‐1において並列に配列されている。さらに、ミキサ1100は、第1のダウンサンプリング多相フィルタM8と、第2のダウンサンプリング多相フィルタM13と、第3のダウンサンプリング多相フィルタM14と、第4のミキサM16と、第5のミキサM18と、第6のミキサ17と、第7のミキサM19と、第8のミキサM21と、第9のミキサ20と、第10のミキサM22と、第11のミキサM24と、第12のミキサ23とを含む。加えて、ミキサ1100は、第4のダウンサンプリング多相フィルタM25と、第5のダウンサンプリング多相フィルタM26と、第6のダウンサンプリング多相フィルタM27と、第7のダウンサンプリング多相フィルタM28と、第8のダウンサンプリング多相フィルタM29と、第9のダウンサンプリング多相フィルタM30と、第10のダウンサンプリング多相フィルタM31と、第11のダウンサンプリング多相フィルタM32と、第12のダウンサンプリング多相フィルタM33とをさらに含む。
さらに、ミキサ1100は、第1の出力output_fs1_m1_fs2_m1と、第2の出力output_fs1_0_fs2_m1と、第3の出力output_fs1_1_fs2_m1と、第4の出力output_fs1_m1_fs2_0と、第5の出力output_fs1_0_fs2_0と、第6の出力output_fs1_1_fs2_0と、第7の出力output_fs1_m1_fs2_1と、第8の出力output_fs1_0_fs2_1と、第9の出力output_fs1_1_fs2_1とを含む。
上述のミキサ1100のすべての構成(入力および出力output_…)はそれぞれ、1つの入力と、1つの出力とを含む。第1のミキサM1、第2のミキサM15、および第3のミキサM12の入力は、信号Net27を介してミキサ1100の入力に接続される。第1のミキサM1の出力は、信号Net1を介して第1のダウンサンプリング多相フィルタM8の入力に接続される。第1の多相フィルタM8の出力は、信号Net12を介して第4のミキサM16、第5のミキサM18、および第6のミキサM17の入力に接続される。第4のミキサM16の出力は、信号Net18を介して第4のダウンサンプリング多相フィルタM25の入力に結合され、第4のダウンサンプリング多相フィルタM25の出力は、信号Net28を介してミキサ1100の第1の出力に接続される。第5のミキサM18の出力は、信号Net19を介して第5のダウンサンプリング多相フィルタM26の入力に接続され、第5のダウンサンプリング多相フィルタM26の出力は、信号Net29を介してミキサ1100の第2の出力に接続される。第6のミキサM17の出力は、信号Net20を介して第6のダウンサンプリング多相フィルタM27の入力に接続され、第6のダウンサンプリング多相フィルタM27の出力は、信号Net30を介してミキサ1100の第3の出力に接続される。
第2のミキサの出力は、信号Net16を介して第2のダウンサンプリング多相フィルタM13の入力に接続される。第2のダウンサンプリング多相フィルタM13の出力は、信号Net13を介して第7のミキサM19、第8のミキサM21、および第9のミキサM20の入力に接続される。第7のミキサM19の出力は、信号Net21を介して第7のダウンサンプリング多相フィルタM28の入力に接続され、第7のダウンサンプリング多相フィルタM28の出力は、信号Net31を介して第4の出力に接続される。第8のミキサM21の出力は、信号Net22を介して第8のダウンサンプリング多相フィルタM29の入力に接続され、第8のダウンサンプリング多相フィルタM29の出力は、信号Net32を介して第5の出力に接続される。第9のミキサM20の出力は、信号Net23を介して第9のダウンサンプリング多相フィルタM30の入力に接続され、第9のダウンサンプリング多相フィルタM30の出力は、信号Net33を介して第6の出力に接続される。
第3のミキサM12は、信号Net16を介して第3のダウンサンプリング多相フィルタM14の入力に接続される。第3のダウンサンプリング多相フィルタM14の出力は、信号Net15を介して第10のミキサM22、第11のミキサM24、および第12のミキサM23の入力に接続される。第10のミキサM22の出力は、信号Net24を介して第10のダウンサンプリング多相フィルタM31に接続され、第10のダウンサンプリング多相フィルタM31の出力は、信号Net34を介して第7の出力に接続される。第11のミキサM24の出力は、信号Net25を介して第11のダウンサンプリング多相フィルタM32の入力に接続され、第11のダウンサンプリング多相フィルタM32の出力は、信号Net35を介して第8の出力に接続される。第12のミキサM23の出力は、信号Net26を介して第12のダウンサンプリング多相フィルタM33の入力に接続され、第12のダウンサンプリング多相フィルタM33の出力は、信号Net36を介して第9の出力に接続される。
さらに、ミキサ1100の出力は、以下の成分に接続される。
output_fs1_m1_fs2_m1は、第4のダウンサンプリング多相フィルタM25の出力に接続
output_fs1_0_fs2_m1は、第5のダウンサンプリング多相フィルタM26の出力に接続
output_fs1_1_fs2_m1は、第6のダウンサンプリング多相フィルタM27の出力に接続
output_fs1_m1_fs2_0は、第7のダウンサンプリング多相フィルタM28の出力に接続
output_fs1_0_fs2_0は、第8のダウンサンプリング多相フィルタM29の出力に接続
output_fs1_1_fs2_0は、第9のダウンサンプリング多相フィルタM30の出力に接続
output_fs1_m1_fs2_1は、第10のダウンサンプリング多相フィルタM31の出力に接続
output_fs1_0_fs2_1は、第11のダウンサンプリング多相フィルタM32の出力に接続
output_fs1_1_fs2_1は、第12のダウンサンプリング多相フィルタM33の出力に接続。
図7のミキサと同様に、図11Aに示すミキサ1100においても、3つの互いに異なるクロック周波数が使用される。まず、入力において受信された信号は、B_Clockのサンプリング周波数に基づいており、ここで、第1のミキサM1、第2のミキサM15、および第3のミキサM12は、サンプリング周波数B_Clockを使用して動作する。以下において、レベル0‐2‐2において、すなわち、第1のダウンサンプリング多相フィルタM8、第2のダウンサンプリング多相フィルタM13、および第3のダウンサンプリング多相フィルタM14を通じて、サンプリングレートが新しいサンプリングレートであるB_Clock_4に削減され、これは、サンプリングレートB_Clockの4分の1に相当する。これは、第4から第12のミキサが、B_Clock_4のサンプリングレートで動作することを意味する。以下において、第4から第12のダウンサンプリング多相フィルタによってこれもまた、サンプリングレートが新しいサンプリングレートであるB_Clock_16にさらに削減される。すなわち、第4〜第12のミキサにおいて使用されるサンプリングレートを4分の1にすることが行われ、これは入力に与えられる信号のサンプリング周波数の16分の1に相当する。
図11Aに示すミキサ構成1100によって、ミキサ1100の入力において受信された信号から、同時に9つの周波数サブバンドが抽出される。この目的を達成するためには、レベル0‐2‐1の3つのミキサがそれぞれ互いに異なるミキシング性能に設定されることが必要である。例えば、第1のミキサM1はダウンコンバート(下方ミキシング)に設定され、第2のミキサM15は中立周波数変換(すなわち、周波数シフトなし)に設定され、第3のミキサM12はアップコンバート(上方ミキシング)に設定される。さらに、サンプリングレートB_Clock_4で動作するこれらのミキサ(特に第4〜第12のミキサ)は、それぞれ3つのミキサにグループ化されるべきである。ここで、各ミキサ群は、構成レベル0‐2‐2のダウンサンプリング多相フィルタのうちの1つに下流接続されている。ミキサ群の3つのミキサ(すなわち、例えば、第4、第5、第6のミキサ)はそれぞれ互いに異なるように設定されなければならず、例えば、第4のミキサは再びダウンコンバージョンを行い、第5のミキサは周波数変換を行わず、第6のミキサはアップコンバージョンを行うように設定される。これは、第7から第9のミキサの群および第10から第12のミキサの群についても当てはまる。
そのようなカスケードまたは並列接続されたミキサの配列によって、例えば図2に示すように、ミキサ1100の入力に与えられる信号から同時に9つの周波数帯域が取り出される。このような並列およびカスケードの配列の利点は、特に、一方で、計算能力的または回路工学に関して実施しやすい構成によって、複数の周波数サブバンドをそれぞれ同時に決定または受信されることにある。
図11Aに出力信号として図示されるような個々の周波数サブバンドに対してデータが提供される場合に、適切に相関されていれば、個々の周波数帯域上に互いに異なる帯域の数個の信号が送信されてもよい。ここで、図11Bは、9つの相関器0‐4‐1‐1から0‐4‐1‐9を示し、図11Aに示すミキサ1100の対応する出力信号を表す。ここで、対応する出力信号output_fs1_m1_fs2_m1からoutput_fs1_1_fs2_1は、入力信号input_fs1_m1_fs2_m1からinput_fs1_m1_fs2_0としてみなされることになる。各相関器0‐4‐1‐1から0‐4‐1‐9は、1つの入力と、17個の出力とを有し、ここで、各出力は、他の出力信号とは異なる出力信号output1からoutput150を出力する。そのような設定によって、例えば、150個の基準シーケンスが、150個の送信器によって9つの使用可能な周波数帯域に分散される。1つの周波数帯域上での送信器の個々の基準シーケンスの分散は、この場合、相関によって行われ、ここで、取得された150個の相関信号を後に使用して、例えば150個の追従バーストの位置が大まかに決定される。
150個の送信器が存在するうちで1つの周波数帯域のみが存在する場合には、個々の送信器を識別することができるためには、150個の互いに異なる基準シーケンスが必要だろう。送信器は9つの互いに異なる周波数帯域に分散されているので、理論的には
Figure 0004658138
17個のシーケンスのみが必要となろう。ここで、6つの周波数帯域はそれぞれ、17個の送信器を含み、3つの周波数帯域(相関器0‐4‐1‐3、0‐4‐1‐6、および0‐4‐1‐9によって占有)はそれぞれ、16個の送信器のみを含む。
周波数帯域が17個または16個の送信器それぞれついて同一の基準シーケンスを有すると仮定すると、そのような送信の場合のシミュレーションにおいて、以下の問題が生じる。
2つの取得バーストが互いに重ならずにノイズなしで送信され、当該2つの取得バーストは、2つの互いに異なる周波数帯域に存在したが、同一の基準シーケンスを有していた。当該2つの周波数帯域の特定の選択で、あるシーケンスとの相関において、送信された第2のバーストのピークが誤って検出された。これらはまさに、2つの回転パラメータfs_shift_1またはfs_shift_2のうちの1つが一致する周波数帯域であり、周波数帯域のイメージスペクトルが他の関連する周波数帯域の領域において充分に抑制されていないような場合である。
共通の回転パラメータを有しない3つの周波数帯域をそれぞれマージする2つの可能性があるので、このため、誤った検出が生じることなく同一のシーケンスを使用してもよい(図11Cおよび図11D参照)。
すなわち、17個のシーケンスの代わりに、150/3=50個のシーケンスが必要である。
同じシーケンスが以下のシーケンストリプルに与えられてもよい。
・1(fs_shift_1=−1,fs_shift_2=−1),6(fs_shift_1=0,fs_shift_2=1),8(fs_shift_1=1,fs_shift_2=0)(図11Cの最上部の副図を参照)または、
・2(fs_shift_1=−1,fs_shift_2=0),4(fs_shift_1=0,fs_shift_2=−1),9(fs_shift_1=1,fs_shift_2=1)(図11Cの中央部の副図を参照)または、
・3(fs_shift_1=−1,fs_shift_2=1),5(fs_shift_1=0,fs_shift_2=0),7(fs_shift_1=−1,fs_shift_2=−1)(図11Cの最下部の副図を参照)
または、代わりに、同じシーケンスが以下の周波数トリプルに与えられてもよい。
・1(fs_shift_1=−1,fs_shift_2=−1),5(fs_shift_1=0,fs_shift_2=0),9(fs_shift_1=1,fs_shift_2=1)(図11Dの最上部の副図を参照)または、
・3(fs_shift_1=−1,fs_shift_2=1),4(fs_shift_1=0,fs_shift_2=−1),8(fs_shift_1=1,fs_shift_2=0)(図11Dの中央部の副図を参照)または、
・2(fs_shift_1=−1,fs_shift_2=0),6(fs_shift_1=0,fs_shift_2=1),7(fs_shift_1=−1,fs_shift_2=−1)(図11Dの最下部の副図を参照)
このように、2つの図11Cおよび図11Dは、同一のシーケンスでの3つの周波数をそれぞれ占有する2つの可能性を示す。図11Bの相関器においては、同一の相関シーケンスをブロック0‐4‐1‐1から0‐4‐1‐3またはブロック0‐4‐1‐4から0‐4‐1‐6、またはブロック0‐4‐1‐7から0‐4‐1‐9においてそれぞれ使用するために、第2の可能性が選択された。互いに異なる相関シーケンスにおける入力信号は例外として、ブロック0‐4‐1‐1から0‐4‐1‐9の設定は同一である。一致したフィルタ後に相関が行われるので、2値の場合の相関シーケンスは、係数1および−1を有するだけである。4値の場合には、係数は、1+j,−1+j,1−j,および−1−jである。両方の場合において、相関シーケンスは、サンプリングクロックB_clock_48でなければならない。
図12は、図11Aに示す信号のワード幅、データレート、およびデータタイプの表形式の図を示しており、ここで注意すべきなのは、対応する信号のワード幅は、使用されたハードウェア構成要素によって決定されるということである(tbd=未決定)。すべての信号の信号値について、複素データタイプが想定される。
まず、ミキサ1100からサンプリングクロックB_clockで受信された信号は、それに対応して、パラメータfs_shift_2を使用して、サンプリング周波数fSの4分の1でダウンコンバートされるか、周波数変換はされないか、またはサンプリング周波数fSの4分の1でアップコンバートされ(すなわち、パラメータ値fs_shift_2=−1,0,1)、それにより、3つの互いに異なる信号が得られる。パラメータfs_shift_2のより正確な定義は上述した。信号Net1から、図11Aのブロック図に示すように、入力信号Net27がfs_shift_2=−1とミキシングされ、信号Net17がfs_shift_2=0とミキシングされ、信号Net16がfs_shift_2=1とミキシングされる。これら3つの信号は、個別に低域通過フィルタリングされてダウンサンプリングされることにより、サンプルクロックB_clock_4を有する3つの信号が得られる。
その後、これらの信号は、再びパラメータfs_shift_1(すなわち、パラメータ値fs_shift_1=−1,0,1)を使用してそれぞれ周波数変換され、ここで、変換された周波数のオフセットは新しいサンプリング周波数の4分の1(正および負方向)か、または0に等しい。ここで、入力信号Net12、Net13、およびNet15は、図13の表に従って、パラメータfs_shift_1でミキシングされて、出力信号Net18,Net19,Net20,Net21,Net22,Net23,Net24,Net25,およびNet26を取得する。最後に、9つの結果信号が低域通過フィルタリングおよびダウンサンプリングされて、そして第1から第9の出力を介してB_clock_16のサンプルクロックで与えられる。
以下において、レベル0‐2‐1のミキサとダウンサンプリング多相フィルタとを例にとって、図11Aに示すレベル0‐2‐2のダウンサンプリング多相フィルタを使用して、ミキサの機能を同様に簡単に説明する。レベル0‐2‐1のミキサは、送信器内で生じたサンプリング周波数の正確に25%分の各与えられた信号のシフトを打ち消す。複素ミキシングは、複素回転項での乗算によって行われ、これは、
dt[n]=exp[j*2*Π*Δf/fs*n]
式中、j=(−1)の平方根
である。
Δf=−fS/4のミキサによって、このベクトルは、[1;−j;−1;j]に縮小される。これは、第1、第5、第9、…の入力値は常に1で乗算され、第2、第6、第10、…の入力値は常に−jで乗算され、第3、第7、第11、…の入力値は常に−1で乗算され、第4、第8、第12、…の入力値は常にjで乗算されることを意味する。上記説明からわかるように、この−fS/4ミキシングは、4つの単純な演算によって実現される。多相フィルタと同様に、このブロックは、出力データレートの4分の1で内部的に動作する。そのようなfS/4ミキサの設定および機能は、図10およびそれに対応する説明において既により詳述している。上記のようなミキサが、パラメータfs_shift_1およびfs_shift_2と、サンプリングレートの変換が適切に選ばれる場合の受信器におけるミキシングのために使用される。
以下の段落では、図11Aに示すレベル0‐2‐2のダウンサンプリング多相フィルタの具体的な変換をより詳細に説明する。レベル0‐2‐2のこれらのダウンサンプリング多相フィルタによって、まず、信号のクロックB_clock_4へのダウンサンプリングと、第2の−fS/4ミキシングの後のクロックB_clock_16へのダウンサンプリングとが実現される。本実施形態にある係数4によるダウンサンプリング動作によって、それぞれ与えられた信号を低域通過フィルタリングして、生じたイメージスペクトルを抑制して各第4のサンプルのみ通過するようにする。基本的には、ダウンサンプリング多相フィルタの設定は、図8に示すアップサンプリングが行われる多相フィルタの設定に対応している。ここで、いくつかの詳細についてより詳述する。この目的のために、図11Aに示すレベル0‐2‐2で使用されるようなダウンサンプリング多相フィルタの構成例のブロック図を図14に示す。
図14は、入力と、1対4デマルチプレクサ0‐2‐2‐1(シリアルパラレル変換器)と、第1のFIRフィルタ0‐2‐2‐2と、第2のFIRフィルタ0‐2‐2‐3と、第3のFIRフィルタ0‐2‐2‐4と、第4のFIRフィルタ0‐2‐2‐5と、加算器0‐2‐2‐6と、出力とを備えるダウンサンプリング多相フィルタ1400を示す。各FIRフィルタ0‐2‐2‐2〜0‐2‐2‐5は、それぞれ、1つの入力と、1つの出力とを含む。1対4デマルチプレクサ0‐2‐2‐1の入力は、信号Net6を介してダウンサンプリング多相フィルタ1400の入力に接続される。デマルチプレクサM4の第1の出力は、信号Net8を介して第1のFIRフィルタM14の入力に接続される。デマルチプレクサM4の第2の出力は、信号Net9を介して第2のFIRフィルタM8に接続される。デマルチプレクサM4の第3の出力は、信号Net10を介して第3のFIRフィルタM7に接続され、デマルチプレクサM4の第4の出力は、信号Net11を介して第4のFIRフィルタM12の入力に接続される。さらに、加算器M5の第1の入力は、信号Net12を介して第1のFIRフィルタM14の出力に接続され、加算器M5の第2の入力は、信号Net14を介して第2のFIRフィルタM8に接続され、加算器M5の第3の入力は、第3のFIRフィルタM7の出力に接続され、加算器M5の第4の入力は、信号Net13を介して第4のFIRフィルタM12の出力に接続される。加えて、加算器M5の出力は、信号Net7を介してダウンサンプリング多相フィルタ1400の出力に接続される。
図14からわかるように、レベル0‐2‐2において必要な低域通過フィルタは、多相の手法の助けを借りて実施される。長さLを有するFIRフィルタを長さL/RのR個のサブフィルタに分割してもよい。ここで、LはFIRフィルタ長を示し、Rは信号のアップサンプリング係数を示す。この目的を達成するために、ダウンサンプリング多相フィルタ1400へその入力を介して供給される信号は、デマルチプレクサM4においてR=4の並列信号ストリームに分割され、適用されたサンプルクロックは4分の1にされる(すなわち、例えば、サンプルクロックB_clockからB_clock_4に、またはB_clock_4からB_clock_16にそれぞれされる)。個々の信号ストリーム(すなわち、信号Net8〜Net11)は、それぞれ、長さL/4のFIRフィルタを使用してフィルタリングされて、その結果は信号Net12〜Net15を介して加算器M5へ送信される。加算器M5において、信号Net12〜Net15の信号値が合計される。
図14に示す信号のワード幅、データレート、およびデータタイプは、図15の表形式の図から取ることができる。ここで、ワード幅は、使用するハードウェア構成要素に依存する(特に、受信器のフロントエンドにおいて使用されるアナログ/デジタル変換器のワード幅)。この理由から、ワード幅は、ハードウェア構成要素の使用に依存して定義されるべきだといえるだろう(すなわち、「ワード幅」列に、指定tbdを挿入)。データレートに関しては、図14に示すダウンサンプリング多相フィルタが、図8に示すフィルタと逆に動作することによって、信号Net7〜Net15のサンプリングレートに対する信号Net6のサンプリングレートの削減を説明しているといえるだろう。データタイプに関しては、注意すべきなのは、図示の各信号は、複素信号とみなされるべきであるということである。
個々のフィルタ(すなわち、第1のフィルタM14、第2のFIRフィルタM8、第3のFIRフィルタM7、および第4のFIRフィルタM12)についてのフィルタ係数の選択に関しては、図8に示すフィルタに関する実施を参照する。ここでは、特に、フィルタ係数が図9の表形式の図に従って選択される。さらに、第4のFIRフィルタM12は、上述の理由のため、5つのサンプルの遅延を伴う遅延要素として同様に選択されてもよい(すなわち、第4のFIRフィルタM12は、5つの要素による受信入力値のシフトのみが生じるように実施されてもよい)。さらに、第2のFIRフィルタM8は、乗算数を少なくとも半分にするために、軸対称構成および偶数フィルタ長に基づいて縮小化されてもよい。
次の節では、サンプリングレートを削減(すなわち、ダウンコンバート)する進歩的な手法のさらなる実施形態をより詳細に説明することとする。この目的を達成するために、一例として、レート係数4によるサンプリングレートの削減と6つの係数(a0,a1,a2,a3,a4,およびa5)を有するFIRフィルタを使用するフィルタリングが選択される。入力シーケンスとして、信号値シーケンスx9,x8,x7,x6,x5,x4,x3,x2,x1,およびx0が使用され、ここで、x0は、第1の受信信号または第1のサンプルである。
図16には、6つの係数を有するFIRフィルタを使用した場合のフィルタ係数への入力データの時間割り当てが示されている。ここで、フィルタ出力は、FIRフィルタ規則によれば、出力値FIR_out=a0*x5+a1*x4+a2*x3+a3*x2+a2+…という結果となる。推定サンプリング削減係数R)4の場合に、図16の表形式の図中の影を付した背景の値の対のみが、サンプリングレートの削減後に使用され、他はすべて廃棄される。
影を付した背景を伴う行が抽出されると、入力値とフィルタ係数とのリンクの他の図が示される。そのような図は、図17に与えられている。2つの右列、すなわち、フィルタ係数a0−a5が入力される列には、今、異なる構成の係数が含まれている。FIRフィルタの典型的な構成が結果として生じ、多相構成において実施される。個々の各多相(「SUB FIRフィルタ」)は、元のフィルタの係数からなる。ここで、割り当ては以下の手法から行われる。
多相「1」:a0+i*レート係数
多相「2」:a1+i*レート係数
多相「3」:a2+i*レート係数

多相「レート係数」:a(レート係数-1)+i*レート係数
式中、i=0,1,…
上記の例において、R=4のレート係数を用いているが、これは、フィルタ係数a0およびa4を多相1へ割り当て、フィルタ係数a1およびa5を多相2へ割り当て、フィルタ係数a2および値0を多相3へ割り当て、フィルタ係数a3および値0を多相4へ割り当てることを意味する。FIRフィルタの係数の数が整数のレート係数で割り切れない場合には、多相3および4において行われたのと同様に、失われた係数は値0に置き換えられる。
そのような多相フィルタ構成を、後続のサンプリングレート削減を伴うサンプリング周波数の4分の1の周波数シフトのために効果的に使用してもよい。図18は、ミキサ1800のブロック図を示し、ここで、係数R=4による後続のサンプリングレート削減を伴う複素信号の周波数シフトの主要な機能が示されている。ミキサ1800は、fS/4ミキサ1802と、第1の低域通過フィルタ1804と、第2の低域通過フィルタ1806と、サンプリングレート削減部1808とを含む。fS/4ミキサ1802は、信号のI成分を受信するための第1の入力Iと、信号のQ成分を受信するための第2の入力Qとを含み、ここで、信号のQ成分は、信号のI成分と直交している。さらに、fS/4ミキサ1802は、混合信号のI1成分を出力するための第1の出力と、混合信号のQ1成分を出力するための第1の出力とを含む。
さらに、第1の低域通過フィルタ1804は、周波数変換された信号のI1成分を受信するための入力と、低域通過フィルタリングされかつ周波数変換された信号のI2成分を出力するための出力とを備える。第2の低域通過フィルタ1806は、周波数変換された信号のI1成分を受信するための入力と、低域通過フィルタリングされた混合信号のQ2成分を出力するための出力とを含む。サンプリングレート削減部1808は、低域通過フィルタリングされた混合信号のI2成分を受信するための第1の入力と、低域通過フィルタリングされた混合信号のQ2成分を受信するための第2の入力とを含む。さらに、サンプリングレート削減手段1808は、サンプリングレートが削減されかつ低域通過フィルタリングされた混合信号のI3成分を出力するための第1の出力と、サンプリングレートが削減されかつ低域通過フィルタリングされた混合信号のQ3成分を出力するための第2の出力とを含む。
図18に示すミキサ1800の機能をより詳細に以下に説明する。ここで、以下の実施は、図18に示すブロック1810の機能を実現する多相フィルタに関する。ここで、実現すべき多相フィルタによって、第1の低域通過フィルタ1804の機能と、第2の低域通過フィルタ1806の機能と、サンプリングレート削減手段1808の機能とが提供されることになる。ここで、図示の2つの低域通過フィルタは同一であると仮定する。
図17に示す値をミキサ1802に対する(複素)入力データx(=i+jq)(すなわち、I成分およびQ成分)として使用する場合には、例えば、第1の低域通過フィルタ1804の多相構成によって、図19における図に従って、図17に示す入力値の実部(i)および虚部の値(q)の割り当てが生じる。入力信号xから生じた実部および虚部の値iおよびqを、成分I1およびQ1を使用して周波数変換された信号に割り当てることは、ミキサ1802によって行われ、ミキサ1802は、否定および/または入力信号xの実部および虚部の値の周波数変換された信号I1およびQ1との交換を行う。さらに注意すべきなのは、正の周波数シフトについて図4の表形式の図に列挙されたように、図19の表に示す値は実部の値に対応しているということである。図19による表形式の図は、第1の低域通過フィルタ1804が4倍多相構成で実施された場合の、4つの異なる多相への値の割り当てを表している。図19の図は、fS/4シフトされた信号の多相構成を有する実部が入力信号としてどのように計算されるかを示している。ここで、フィルタリングされかつダウンサンプリングされた出力信号I3を取得するために、個々の多相部分フィルタ(polyphase1〜polyphasse4)の対応するフィルタ係数a0〜a5で重み付けされた実部または虚部の値はそれぞれ合計される。
上記実施と同様に、第2の低域通過フィルタ1806に関しても多相構成が使用される場合には、実部iおよび虚部qを伴う図17に示す複素入力データxのように、個々のサンプルxの実部および虚部の多相への割り当てが、図20に示すように結果として生じる。ここで、図20に示す値は、正の周波数シフトを伴う図4に示す概略の実部の値に対応している。さらに、個々の多相サブフィルタ(polyphase1〜polyphasse4)の対応するフィルタ係数a0〜a5で重み付けされた実部または虚部は、フィルタリングされかつダウンサンプリングされた出力信号Q3を得るために、それぞれ合計される。
フィルタの各入力データxをよく見てみると、図19および図20の表からのiおよびqの値により明らかなように、すべての時間の点において、すなわち、すべての時間指標nにおいて、多相は、iまたはqデータでのみ多相が「与えられる」ことは明確である。個々の多相は独立しているので、同じ手段が使用されてもよい。図18に示すミキサ1800の実部および虚部の計算のためには、対応する多相結果のみを合計すればよい。そのような実施によって、入力値を(低域通過)フィルタa0〜a5のフィルタ係数でフィルタリングして、4つの多相結果の合計をすることによってダウンサンプリングを同時に行うことにより、低域通過フィルタリングおよびダウンサンプリングを行って、最終結果を形成してもよい。
図18に示すミキサ1800によれば、第1の低域通過フィルタおよびサンプラーの機能または第2の低域通過フィルタ1806およびサンプリングレート変換器1808の機能をそれぞれ含む2つの多相フィルタを使用することにより、回路構成の明確な簡素化が実現される。したがって、例えば、図18に示すようなI3成分が、図19における図に従って個々の多相の個々の結果を合計することから実現されてもよく、図18に示すミキサ1800のQ3成分が、図20における合計に従って個々の多相の部分的な結果を合計することから実現されてもよい。
繰り返し参照するために、ここで注意すべきなのは、入力データxの符号は、アップストリームミキサから来るということである。図18において、I1およびQ1成分からなるデータストリームは、低域通過フィルタに対する入力信号として使用されなければならないだろう。特に、これは、図19および図20に示す多相である多相2(im)、多相3(re)、多相3(im)、および多相4(re)の符号に関連する。ミキサが存在しない場合には、符号は省略されるか、または他の周波数シフトが選択され、多相2(im)および多相4(im)の行と、多相2(re)および多相4(re)の行における符号が交換される。これらの符号は、対応する多相自身に含まれる。これは、2つの周波数シフトのうちの1つが常に選択される場合、すなわち、対応する係数は否定される場合には特に興味深い。
図21は、入力信号値xの個々の実部の値iと虚部の値qとの否定を示し、異なる多相フィルタ(すなわち、実部用の多相フィルタと虚部用の多相フィルタ)の個々の多相に対する実部および虚部の値の再順序付けが同時に行われる。以下において、FIRフィルタの多相は、POLY_FIR_1,…,によって示されており、ここで、第1の多相、すなわち、POLY_FIR_1の結果が、フィルタ係数a0およびa4で重み付けされた入力信号の合計として生じる。第2から第4の多相についても、上述の実施が当てはまる。多相フィルタの出力は、RE/IMAG_P_OUT_1…4によって示されている。フィルタの入力は、実部および虚部によって表されている。
S/4シフトを考慮した場合の多相構成の一般的な手法を図22に示す。ここで、実部および虚部の値を個別の多相に割り当てることが示される。さらに、RE_P_OUT_1…4およびIM_P_OUT_1…4によって示される個々の多相の結果の指定を定義する。多相フィルタの図22に規定する結果に基づいて、3つの可能性が考えられる。
―周波数シフトなし、
―正方向の周波数シフト、および
―負方向の周波数シフト。
周波数シフトが行われない場合には、例えば図18に示すミキサ1800のI3成分である、結果(ダウンサンプリングされた)信号の実部が、RE_P_OUT_1,RE_P_OUT_2,RE_P_OUT_3,およびRE_P_OUT_4という多相の結果の合計により得られる。これに対応して、例えば図18に示すミキサ1800のQ3成分である、(ダウンサンプリングされた)信号の虚部が、IM_P_OUT_1,IM_P_OUT_2,IM_P_OUT_3,IM_P_OUT_4という結果の合計によって得られる。
正方向の周波数シフトが選択される場合には、実部(すなわち、I3成分)は、RE_P_OUT_1,IM_P_OUT_2,−RE_P_OUT_3,および−IM_P_OUT_4という多相の結果の合計により決定され、虚部(すなわち、Q3成分)は、IM_P_OUT_1,−RE_P_OUT_2,−IM_P_OUT_3,およびRE_P_OUT_4という多相の結果の合計により得られる。負方向の周波数シフトが望まれる場合には、実部は、RE_P_OUT_1,−IM_P_OUT_2,−RE_P_OUT_3,およびIM_P_OUT_4という多相の結果の合計によって決定され、虚部は、IM_P_OUT_1,RE_P_OUT_2,−IM_P_OUT_3,および−RE_P_OUT_4という多相の結果の合計によって決定される。
正方向の周波数シフト、負方向の周波数シフト、および周波数シフトなしの実現のために合計されるべき多相結果の外観を図23に示す。
これにより、対応する否定および再順序付けの可能性を有する多相フィルタ構成によって既に、図18に示すミキサ1800のすべての機能、特に周波数ミキシング、低域通過フィルタリング、およびダウンサンプリングを提供するミキサが実現されることがわかるだろう。これにより、否定および再順序付けを行うことが可能になり、任意の順序での低域通過フィルタリングを実現するためのフィルタ係数を使用する重み付けも可能になり、さらなる柔軟性と、そしてミキサの適用可能性のさらなる向上とが生じる結果となる。さらに、このような柔軟性が加わることによって、回路設計または計算能力の複雑さの簡素化も実現される。個々のステップの順序に対する厳格な遵守は必要なく、むしろ、fS/4ミキシングの回路工学または計算能力的な観点で、より効率的な実施が可能となる。
条件によっては、信号のスペクトル変換の進歩的な方法をハードウェアまたはソフトウェアで実施することができる。この実施は、デジタル記憶媒体上で行われてもよく、特に、対応する方法が行われるように、電気的に読み出し可能な制御信号を有するフレキシブルディスクまたはCD上で行われてもよい。一般的に、本発明は、コンピュータ上で実行される場合にこの進歩的な方法を行うための機械読み出し可能なキャリア上にプログラムコードが記憶されたコンピュータプログラム製品において構成される。言い換えれば、本発明は、コンピュータ上で実行される場合に本方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムとして実現される。
分散的(マルチパス)チャンネルまたは非理想的なシンボルタイミングまたは非理想的なフレーム同期がある場合でも、信号が互いに影響を及ぼしあわない直交送信が実現されるべきである。これらの要件に基づくと、OFDM方法(OFDM=直交周波数分割多重)は、本件では適用できない。さらに、そのような信号の生成は、必要なフィルタ係数の数とフィルタのクロックレートとを特に考慮すると、あまり複雑でない構成で可能であるべきである。
そのようなタスクの(従来の)解決策を図25に示した。例えば、3重FDM信号(FDM=周波数分割多重)が必要な場合には、デジタルfS/4ミキシングという特定の特性を使用してもよく、ここで、fSはサンプリング周波数をあらわす。fS/4ミキシングに関するさらなる詳細は、上記説明から引用することができる。3つの信号が共に多重化される場合には、まず各信号を元のサンプリング周波数fS,1から新しいサンプリング周波数fS,2=4×fS,1へアップサンプリングすることが必要である。この目的のために、3つのゼロが各サンプルの後に3つの各信号に挿入される。ここで、信号xplus[k]が+fS,2/4という中心周波数にミキシングされ、信号xzero[k]が中心周波数0にミキシングされ、信号xminus[k]が−fS,2/4という中心周波数にミキシングされると仮定する。そのような配置を図25に示す。ゼロ挿入の後、低域通過フィルタによる元の信号のイメージ周波数の廃棄が行われる。この低域通過フィルタの下流には、fS/4ミキサが配置され、信号を所望の中心周波数にミキシングする(例えば、信号xzero[k]については、ミキシングなし)。最後に、3つ(アップサンプルされ、低域通過フィルタリングされ、かつミキシングされた)信号が追加される。これにより、出力信号y[m]が生じ、そのサンプリング周波数は、元の信号の4倍のサンプリング周波数に対応する。本発明によって、そのような構成において、簡素化が実現される。アップサンプリング部において3つのゼロを各有効なサンプルの後で挿入することに基づいて、低域通過フィルタが4つの位相の多相構成に分離される。これらの全フィルタ(すなわち、多相構成のこのような位相)は、平均して、元の低域通過フィルタ長の4分の1を備えており、元のサンプリング周波数fs,1のクロックレートと並行して動作される。多相構成の個々の位相の出力信号は、その後、特定の定数(1またはj、あるいは−1または−j)で乗算されて、fS/4ミキサを取得した後に、fS/4ミキサによって取得される出力信号が(時間)多重化されて加算される。そのような信号変換構成を図1Aに示す。図1Aに示す構成の検討および線形システム用の単純な規則の適用による開示によれば、(乗算係数1,j,−1,または−jを有する)乗算器および多相フィルタの位置は入れ替わってもよい。さらにわかったことは、ある時点において、例えば3つの位相0フィルタのすべてのうちの1つの出力が出力信号y[m]に常に合計され、次の時点で、位相1フィルタの3つの信号すべてが合計され、位相2フィルタの3つの出力信号すべてと最終的に位相3フィルタのすべての出力値がある時点で合計されるということである。これにより、信号変換器の構成が図1Bに示すような結果となるように、多相フィルタの前に合計機能を置いてもよいことになる。
図1Bに示す構成は、複雑性に関して、3つの低域通過フィルタの代わりに1つの低域通過フィルタに対応する4つの多相フィルタのみが必要であるという利点を提供する。ここで、注意すべきなのは、係数1,j,−1,および−jでの乗算は、交換または多重化および否定によって簡単な手法で行うことができるということであり、よって、実際の乗算の実行は必要ない。
例えば、図1Aおよび図1Bに示すような単純なアップサンプリングフィルタfS/4ミキシング合計部そのままで、最大3つの信号の周波数多重を行うことができる。数個のそのような構成がカスケード接続される場合には、例えば、第1の段階の出力y[m]が例えば信号xplus[m]という第2の段階の入力になる場合に、最大3×3=9個の信号の周波数多重手法が生成される。この場合、従来の実施に係る3×3+3=12個の低域通過フィルタに代わって、4つの低域通過フィルタに対応して4×3=16個の多相フィルタのみが必要になる。明らかなように、乱数(例えば、3以上)個のそのようなアップサンプリングフィルタfS/4ミキサ合計段階をカスケード接続して、周波数多重手法における信号数を増加させてもよい。
図1Aは、進歩性を有する信号変換器の第1の実施形態のブロック図を示す。 図1Bは、進歩性を有する信号変換器の第2の実施形態のブロック図を示す。 図2は、数個の信号変換器のカスケード接続で取得可能な目標周波数の図を示す。 図3は、進歩性を有する手法に係る、正または負の周波数シフトにおいて生じるようなコサインおよびサイン関数の値を示す表形式の図を示す。 図4は、図5に示す手法に係る、信号入力値の乗算における実部および虚部の値を示す表形式の図を示す。 図5は、乗算係数のセットを使用する信号値の乗算の手法を示すブロック図を示す。 図6は、進歩性を有する手法に関して使用されるようなアップサンプラーのブロック図を示す。 図7は、図6に示すブロックの詳細な図解を表すブロック図を示す。 図8は、図7に示すブロックの詳細な図解表すブロック図を示す。 図9は、図8に示すブロックの一実施形態に係るフィルタ係数を示す表形式の図を示す。 図10は、図7のブロックの詳細な図解を表すブロック図を示す。 図11Aは、ミキサをダウンミキサ(ダウンコンバータ)として使用する場合のミキサの一実施形態を表すブロック図を示す。 図11Bは、数個の相関器を使用する図11Aに示すミキサの出力の想定される使用状態のブロック図を示す。 図11Cは、図11Bに示す相関器の使用における周波数の想定される一占有状況を現す図を示す。 図11Dは、図11Bに示す相関器の使用における周波数の想定される一占有状況を表すさらなる図を示す。 図12は、図11Aに示す信号のワード幅、データレート、およびデータタイプを示す表形式の図である。 図13は、指定されたパラメータを使用して図11Aに示すブロックの入力信号をブロックの出力信号へ変換することを示す表形式の図である。 図14は、図11Aに示すブロックの詳細な構成を表すブロック図を示す。 図15は、図14に表す信号のワード幅、データレート、およびデータタイプを示す表形式の図である。 図16は、時間経過におけるフィルタ係数に対する信号値の割り当てを示す表形式の図である。 図17は、多相フィルタの互いに異なる多相に対する信号値の割り当てを示す表形式の図である。 図18は、本発明のさらなる一実施形態のブロック図である。 図19は、多相フィルタの互いに異なる多相に対する信号値の各実部または虚部の割り当てを示す表形式の図である。 図20は、多相フィルタの多相に対する信号値の実部および虚部の割り当てを示す表形式の図である。 図21は、多相フィルタの個々の多相に対する信号値の実部および虚部の割り当てを示す表形式の図である。 図22は、各多相フィルタに対する実部および虚部の値と、多相フィルタからの結果とを示す表形式の図である。 図23は、正または負の方向の周波数シフトを考慮するか、または周波数シフトを防止する多相フィルタの出力信号の実部および虚部の値に対する計算規則を示す表形式の図である。 図24Aは、アップコンバートおよびダウンコンバートのための従来の信号変換器のブロック図を示す。 図24Bは、アップコンバートおよびダウンコンバートのための従来の信号変換器のブロック図を示す。 図25は、従来の信号変換器のブロック図を示す。

Claims (9)

  1. 初期信号(xplus[k])を目的信号(y[m])に変換するための信号コンバータ(100;150)であって、
    初期信号(xplus[k])をコピーして4つのコピーされた初期信号(104a〜104d)を取得するためのコピー装置(102)であって、4つのコピーされた初期信号のそれぞれは、4つの処理分岐(110,112,114,116)の1つに分岐信号として与えられるコピー装置を含み、
    分岐信号は、実部と虚部とを有する複素信号であり、
    第1の処理規則に従って第1の分岐信号(104a)を処理して第1の処理された分岐信号を取得するための、第1の処理分岐(110)内の第1の分岐処理装置と、
    第2の処理規則に従って複素左回転動作を用いて、第2の分岐信号(104b)を処理して第2の処理された分岐信号を取得するための、第2の処理分岐(112)内の第2の分岐処理装置と、
    第3の処理規則に従って否定を用いて、第3の分岐信号(104c)を処理して第3の処理された分岐信号を取得するための、第3の処理分岐(114)内の第3の分岐処理装置と、
    第4の処理規則に従って複素右回転動作を用いて、第4の分岐信号(104d)を処理して第4の処理された分岐信号を取得するための、第4の処理分岐(116)内の第4の分岐処理装置とを含み、
    第1、第2、第3および第4の処理規則は、分岐信号の低域通過多相フィルタリングをさせるように構成されており、
    さらに、複素左回転動作または複素右回転動作は、実部または虚部の否定を伴う実部/虚部交換動作を含み、
    目的信号が初期信号の4倍のサンプリングレートを有するように、順次、第1の処理された分岐信号を選択し、次に第2の処理された分岐信号を選択し、次に第3の処理された分岐信号を選択し、次に第4の処理された分岐信号を選択して目的信号を得るための選択装置(2516)を含む、信号コンバータ。
  2. 初期信号(xminus[k])を目的信号(y[m])に変換するための信号コンバータ(100;150)であって、
    初期信号(xminus[k])をコピーして4つのコピーされた初期信号を取得するためのコピー装置(142)であって、4つのコピーされた初期信号のそれぞれは、4つの処理分岐の1つに分岐信号として与えられるコピー装置を含み、
    分岐信号は、実部と虚部とを有する複素信号であり、
    第1の処理規則に従って第1の分岐信号を処理して第1の処理された分岐信号を取得するための、第1の処理分岐内の第1の分岐処理装置と、
    第2の処理規則に従って複素右回転動作を用いて、第2の分岐信号を処理して第2の処理された分岐信号を取得するための、第2の処理分岐内の第2の分岐処理装置と、
    第3の処理規則に従って否定を用いて、第3の分岐信号を処理して第3の処理された分岐信号を取得するための、第3の処理分岐内の第3の分岐処理装置と、
    第4の処理規則に従って複素左回転動作を用いて、第4の分岐信号を処理して第4の処理された分岐信号を取得するための、第4の処理分岐内の第4の分岐処理装置とを含み、
    第1、第2、第3および第4の処理規則は、分岐信号の低域通過多相フィルタリングをさせるように構成されており、
    さらに、複素左回転動作または複素右回転動作は、実部または虚部の否定を伴う実部/虚部交換動作を含み、
    目的信号が初期信号の4倍のサンプリングレートを有するように、順次、第1の処理された分岐信号を選択し、次に第2の処理された分岐信号を選択し、次に第3の処理された分岐信号を選択し、次に第4の処理された分岐信号を選択して目的信号を得るための選択装置(2520)を含む、信号コンバータ。
  3. 第2の初期信号(xzero[k])をコピーして複数のコピーされた第2の初期信号を取得するためのさらなる装置(132)と、
    各処理分岐(110,112,114,116)内の分岐加算器(152)とをさらに備え、分岐加算器(152)は、複数のコピーされた第2の初期信号のうちの1つまたは複数の重み付けされたコピーされた第2の初期信号の1つを、処理分岐内のコピーされた初期信号(104a,104b,104c,104d)または重み付けされたコピーされた初期信号(xplus[k])に加算して加算信号を取得するように構成され、分岐加算器(152)は、当該処理分岐のための処理規則に従って加算信号を処理するようにさらに配置される、請求項1または請求項2のいずれかに記載の信号コンバータ(150)。
  4. 第3の初期信号(xminus[k])をコピーして複数のコピーされた第3の初期信号を取得するための第3のコピー装置(142)をさらに備え、各分岐加算器(152)は、複数のコピーされた第3の初期信号のうちの1つまたは重み付けされたコピーされた第3の初期信号を、コピーされた初期信号、重み付けされたコピーされた初期信号、コピーされた第2の初期信号、重み付けされたコピーされた第2の初期信号、または加算信号に加算して、さらなる加算信号を提供するように構成され、分岐加算器は、当該分岐のための処理規則に従ってさらなる加算信号を処理するように配置される、請求項3に記載の信号コンバータ(150)。
  5. 第2の初期信号(xzero[k])をコピーして4つのコピーされた第2の初期信号を取得するためのさらなるコピー装置(132)であって、4つのコピーされた第2の初期信号のそれぞれは、経路信号として重み付け経路に与えられる、さらなるコピー装置と、
    第1の重み付け規則に従って第1の経路信号を重み付けして第1の重み付けされた経路信号を取得するための、第1の重み付け経路における第1の経路重み付け装置と、
    第2の重み付け規則に従って第2の経路信号を重み付けして第2の重み付けされた経路信号を取得するための、第2の重み付け経路における第2の経路重み付け装置と、
    第3の重み付け規則に従って第3の経路信号を重み付けして第3の重み付けされた経路信号を取得するための、第3の重み付け経路における第3の経路重み付け装置と、
    第4の重み付け規則に従って第4の経路信号を重み付けして第4の重み付けされた経路信号を取得するための、第4の重み付け経路における第4の経路重み付け装置とを含み、
    重み付け規則は互いに異なり、
    第2の初期信号(xzero[k])の4倍のサンプリングレートを有するさらなる目的信号(2532)を得るために、順次、第1の重み付けされた経路信号を選択し、次に第2の重み付けされた経路信号を選択し、次に第3の重み付けされた経路信号を選択し、次に第4の重み付けされた経路信号を選択するためのさらなる選択装置と、
    出力信号(y[m])を供給するために目的信号(2530)とさらなる目的信号(2532)とを合計するための装置(2528)とを含む、請求項1または請求項2に記載の信号コンバータ(100)。
  6. 第2、第3および第4の経路重み付け規則は、否定、複素左回転動作または複素右回転動作を含む、請求項5に記載の信号コンバータ(100)。
  7. 初期信号(xplus[k])を目的信号(y[m])に変換するための方法であって、
    初期信号(xplus[k])をコピー(102)して4つのコピーされた初期信号(104a〜104d)を取得するステップであって、4つのコピーされた初期信号のそれぞれは、4つの処理分岐(110,112,114,116)の1つに分岐信号として与えられるステップを含み、
    分岐信号は、実部と虚部とを有する複素信号であり、
    第1の処理分岐(110)内の第1の分岐処理装置において、第1の処理規則に従って第1の分岐信号(104a)を処理して第1の処理された分岐信号を取得するステップと、
    第2の処理分岐(112)内の第2の分岐処理装置において、第2の処理規則に従って複素左回転動作を用いて、第2の分岐信号(104b)を処理して第2の処理された分岐信号を取得するステップと、
    第3の処理分岐(114)内の第3の分岐処理装置において、第3の処理規則に従って否定を用いて、第3の分岐信号(104c)を処理して第3の処理された分岐信号を取得するステップと、
    第4の処理分岐(116)内の第4の分岐処理装置において、第4の処理規則に従って複素右回転動作を用いて、第4の分岐信号(104d)を処理して第4の処理された分岐信号を取得するステップとを含み、
    第1、第2、第3および第4の処理規則は、分岐信号の低域通過多相フィルタリングをさせるように構成されており、
    さらに、複素左回転動作または複素右回転動作は、実部または虚部の否定を伴う実部/虚部交換動作を含み、
    選択装置(2516)において、目的信号が初期信号の4倍のサンプリングレートを有するように、順次、第1の処理された分岐信号を選択し、次に第2の処理された分岐信号を選択し、次に第3の処理された分岐信号を選択し、次に第4の処理された分岐信号を選択して目的信号を得るステップを含む、方法。
  8. 初期信号(xminus[k])を目的信号(y[m])に変換するための方法であって、
    初期信号(xminus[k])をコピー(142)して4つのコピーされた初期信号を取得するステップであって、4つのコピーされた初期信号のそれぞれは、4つの処理分岐の1つに分岐信号として与えられるステップを含み、
    分岐信号は、実部と虚部とを有する複素信号であり、
    第1の処理分岐内の第1の分岐処理装置において、第1の処理規則に従って第1の分岐信号を処理して第1の処理された分岐信号を取得するステップと、
    第2の処理分岐内の第2の分岐処理装置において、第2の処理規則に従って複素右回転動作を用いて、第2の分岐信号を処理して第2の処理された分岐信号を取得するステップと、
    第3の処理分岐内の第3の分岐処理装置において、第3の処理規則に従って否定を用いて、第3の分岐信号を処理して第3の処理された分岐信号を取得するステップと、
    第4の処理分岐内の第4の分岐処理装置において、第4の処理規則に従って複素左回転動作を用いて、第4の分岐信号を処理して第4の処理された分岐信号を取得するステップとを含み、
    第1、第2、第3および第4の処理規則は、分岐信号の低域通過多相フィルタリングをさせるように構成されており、
    さらに、複素左回転動作または複素右回転動作は、実部または虚部の否定を伴う実部/虚部交換動作を含み、
    選択装置(2520)において、目的信号が初期信号の4倍のサンプリングレートを有するように、順次、第1の処理された分岐信号を選択し、次に第2の処理された分岐信号を選択し、次に第3の処理された分岐信号を選択し、次に第4の処理された分岐信号を選択して目的信号を得るステップを含む、方法。
  9. コンピュータ上において、請求項7または請求項8の方法を実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
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