JP3777106B2 - 直交周波数分割多重変調回路 - Google Patents

直交周波数分割多重変調回路 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重変調回路に係り、特に、MMAC(マルチメディア モバイル アクセス コミニュケーション システム)の高速無線LAN(ローカル エリア ネットワーク)や地上波デジタル放送等のデジタル無線方式に用いられ、サンプリングレートの次数を比較的大きくした場合であっても、補間回路部の回路規模が大きくならない直交周波数分割多重変調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、放送の分野においては、これまでの地上波アナログ放送に代わって、良好な放送品質を有し、多くの放送チャネルの送信を可能にした地上波デジタル放送が脚光を浴びるようになってきた。そして、既に欧米各国においては本放送が開始されているが、日本においても間もなく実用化が見込まれている。
【0003】
欧州や日本における地上波デジタル放送においては、放送信号に直交周波数分割多重(OFDM)変調方式が採用されており、地上波デジタル放送を送信する地上波デジタル放送送信機においては、直交周波数分割多重変調信号を形成する直交周波数分割多重変調回路が用いられている。
【0004】
従来、地上波デジタル放送受信機に用いられている直交周波数分割多重変調回路には、デジタル変調信号をN個のサブキャリアでマッピングして逆フーリエ変換を行う逆フーリエ変換(IFFT)回路と、逆フーリエ変換回路の出力信号をサンプリング周波数のn(複数)倍のサンプリング周波数レートで補間する補間回路とを備えている。
【0005】
ここで、図15は、かかる既知の直交周波数分割多重変調回路の構成の一例を示すブロック図であり、図16は、図15に図示された直交周波数分割多重変調回路の各部に得られる周波数スペクトラム(信号波形)図である。
【0006】
図15に示されるように、この直交周波数分割多重変調回路は、デジタル変調器51と、シリアル−パラレル変換器(S/P)52と、逆フーリエ変換器(IFFT)53と、パラレル−シリアル変換器(P/S)54と、不要信号除去部(GL除去)55と、有限インパルス応答(FIR)低域通過型フィルタ(LPF)からなる同相(I)信号補間器55Iと、有限インパルス応答(FIR)低域通過型フィルタ(LPF)からなる直交(Q)信号補間器55Qと、同相(I)乗算器56Iと、直交(Q)信号乗算器56Qと、局部発振器57と、90°移相器(90°)58と、加算器59と、デジタル−アナログ変換器(D/A)60と、入力端子Siと、出力端子Soとからなる。なお、以下の説明には、同相信号をI信号といい、直交信号をQ信号という。
【0007】
そして、デジタル変調器51は、入力端がデジタルデータ入力端子Siに接続され、出力端がシリアル−パラレル変換器52の入力端に接続される。シリアル−パラレル変換器52は、それぞれの出力端が対応する逆フーリエ変換器53の各入力端に接続される。逆フーリエ変換器53は、それぞれの出力端が対応するパラレル−シリアル変換器54の各入力端に接続される。パラレル−シリアル変換器54は、出力端が不要信号除去部55の入力端に接続される。不要信号除去部55は、一方の出力端がI信号補間器55Iの入力端に接続され、他方の出力端がQ信号補間器55Qに接続される。I信号乗算器56Iは、第1入力端がI信号補間器55Iの出力端に接続され、第2入力端が局部発振器57の出力端に接続され、出力端が加算器49の第1入力端に接続される。Q信号補間器55Qは、第1入力端がQ信号補間器55Qの出力端に接続され、第2入力端が90°移相器58を通して局部発振器57の出力端に接続され、出力端が加算器49の第2入力端に接続される。デジタル−アナログ変換器60は、入力端が加算器59の出力端に接続され、出力端が信号出力端子Soに接続される。
【0008】
前記構成による直交周波数分割多重変調回路の動作を、図16に図示の信号波形図を併用して説明する。
【0009】
図15に図示されていないデータ発生源からデジタルデータが出力されると、このデジタルデータは、入力端子Siを通してデジタル変調器51に供給され、デジタル変調器51においてサンプリング周波数fsを用いた四相位相シフトキーイング(QPSK)等のデジタル変調が行われ、デジタル変調器51から入力デジタルデータと同相の同相デジタル変調信号(I)及び入力デジタルデータと90°の位相差を持つ直交デジタル変調信号(Q)が出力される。次に、同相デジタル変調信号及び直交デジタル変調信号は、それぞれシリアル−パラレル変換器52においてシリアル−パラレル変換され、変換された同相パラレル信号及び直交パラレル信号として逆フーリエ変換器53に供給される。逆フーリエ変換器53は、供給された同相パラレル信号及び直交パラレル信号をそれぞれN(複数)個のサブキャリアにマッピングして逆フーリエ変換を行い、各N個の同相逆フーリエ変換信号及び直交逆フーリエ変換信号を出力する。次いで、各N個の同相逆フーリエ変換信号及び直交逆フーリエ変換信号は、それぞれ、パラレル−シリアル変換器54においてパラレル−シリアル変換され、変換された同相シリアル信号及び直交シリアル信号が不要信号除去部55に供給される。不要信号除去部55は、供給された同相シリアル信号及び直交シリアル信号中に含まれる不要信号を除去し、図11の第1段目に示すような信号スペクトルを有する同相シリアル信号(I)及び直交シリアル信号(Q)となり、同相シリアル信号はI信号補間器55Iに、直交シリアル信号はQ信号補間器55Qにそれぞれ供給される。
【0010】
この場合、I信号補間器55I及びQ信号補間器55Qは、それぞれ、有限インパルス応答(FIR)デジタルフィルタからなり、サンプリング周波数fsにレート次数n(複数で、例えば4)を乗算したサンプリング周波数n・fsによる補間を行い、図11の第2段目に示されるような周波数スペクトラムを持った補間信号を形成する。その後、これらの補間信号は、図11の第2段目の示されるような有限インパルス応答(FIR)デジタル低域通過型フィルタの低域通過特性によって中間の3つの周波数スペクトラムを持った補間信号が除去され、図11の第2段目の示されるような両端の周波数スペクトラムを持った信号だけが抽出され、それぞれI信号乗算器56I及びQ信号乗算器56Qに供給される。
【0011】
I信号乗算器56Iは、I信号補間器55Iの出力信号が供給されるとともに、局部発振器57からサンプリング周波数fsの局部発振信号が供給され、それらの信号を乗算する。また、Q信号乗算器56Qは、Q信号乗算器56Qの出力信号が供給されるとともに、局部発振器57のサンプリング周波数fsの局部発振信号を90°移相器58により90°移相させた直交局部発振信号が供給され、それらの信号を乗算する。その結果、各乗算出力として図11の第4段目に示されるような周波数スペクトラムを持った信号が得られる。これらの信号は、加算器59で加算された後、デジタル−アナログ変換器60に供給されてデジタル−アナログ変換され、アナログ変調信号として信号出力端子Soに供給される。
【0012】
ここで、図17は、I信号補間器55I及びQ信号補間器55Qに用いられる有限インパルス応答(FIR)デジタルフィルタの基本回路例を示す回路図である。
【0013】
図17に示されるように、この有限インパルス応答(FIR)デジタル低域通過型フィルタ55I、55Qは、入力端子Fiと、出力端子Foと、8個の遅延部611 乃至618 と、9個の乗算部621 乃至629 と、9個の乗算係数発生部631 乃至639 と、加算部64とを備え、それらは図17に図示されるように相互接続されている。
【0014】
なお、図17に図示の有限インパルス応答(FIR)デジタル低域通過型フィルタは、タップ(信号段)の段数が8タップのものとして示されているが、サンプリング周波数n・fsとしてレート次数4の4・fsにした場合、実際のタップの段数は50タップまたはそれ以上になる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前記既知の直交周波数分割多重変調回路は、I信号補間器55I及びQ信号補間器55Qに用いられる有限インパルス応答(FIR)デジタル低域通過型フィルタのレート次数nを、4のように大きい次数にした場合、その次数の大きさに応じて有限インパルス応答(FIR)デジタル低域通過型フィルタの遮断特性を急峻なものにする必要がある。そして、このような急峻な遮断特性を有する有限インパルス応答(FIR)デジタル低域通過型フィルタは、そのタップ数が前述のように50タップまたはそれ以上になり、直交周波数分割多重変調回路のロジック回路部の回路規模が大きくなり、ロジック回路部の占有容積が増大して、直交周波数分割多重変調回路の製造コストが上昇してしまうことになる。
【0016】
これに対し、直交周波数分割多重変調回路において、ロジック回路部の回路規模が大きくなり、ロジック回路部の占有容積の増大するのを防ぐために、I信号補間器及びQ信号補間器をデジタル信号遅延回路と無限インパルス応答(IIR)デジタルフィルタとによって構成した直交周波数分割多重変調回路が本願発明者によって提案されている。
【0017】
この提案による直交周波数分割多重変調回路は、I信号補間器及びQ信号補間器に無限インパルス応答(IIR)デジタルフィルタを用いたことにより、ロジック回路部の回路規模が大きくなり、ロジック回路部の占有容積が増大するのを防ぐことが可能なものであるが、既知の直交周波数分割多重変調回路との互換性を確保することができないものである。
【0018】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、補間器に無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタを有する第1及び第2補間器を用いてロジック回路部の回路規模の増大を防ぎ、周波数シフタを用いて既知の回路との互換性の確保を図ることができる直交周波数分割多重変調回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の直交周波数分割多重変調回路は、デジタル変調信号を、ゼロ周波数を帯域中心としたN個のサブキャリアにマッピングして逆フーリエ変換を行ってN個の逆フーリエ変換信号を出力する逆フーリエ変換段と、N個の逆フーリエ変換信号をサンプリング周波数の1/2だけ高周波数側に周波数シフトする周波数シフタと、周波数シフタの出力信号を次数2で補間する第1補間器と、第1補間器の出力補間信号を次数2で補間する第2補間器とを有し、第1補間器及び第2補間器は、入力信号を90°移相する無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタと、入力信号を無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタの信号遅延分だけ遅延するデジタル遅延回路とを備えた主構成を具備する。
【0020】
前記主構成によれば、N個の逆フーリエ変換信号を補間する場合、始めに無限インパルス応答(IIR)デジタル全域通過型フィルタを有する第1補間器で次数2の信号補間を行い、次に無限インパルス応答(IIR)デジタル全域通過型フィルタを有する第2補間器で次数2の信号補間を行っているので、それぞれの無限インパルス応答(IIR)デジタル全域通過型フィルタの遮断特性を急峻にする必要がなくなり、無限インパルス応答(IIR)デジタル全域通過型フィルタのタップの段数を、既知の補間回路に用いている有限インパルス応答(FIR)デジタル低域通過型フィルタのタップの段数よりも大幅に少なくすることができ、それにより、ロジック回路部の回路規模が大きくなることがなく、ロジック回路部の占有容積が比較的小さくなり、直交周波数分割多重変調回路の製造コストの低減が可能になる。また、第1補間器の前にサンプリング周波数の1/2だけ高周波側に周波数シフトする周波数シフタを設け、ベースバンド信号を中間周波信号に周波数シフトしているので、第1補間器に中間周波信号が供給され、既知の回路との互換性を確保することができる。
【0021】
また、前記主構成において第1補間器と第2補間器との間に入力信号をサンプリング周波数の1/2だけ高周波側に周波数シフトする第2周波数シフタを接続した構成にすることができる。
【0022】
このような構成にすれば、第2補間器の出力側に直交変調器を接続することなしに、第1補間器及び第2補間器の各入力側においてそれぞれ所要の周波数シフトが行われる。
【0023】
さらに、前記主構成において第2補間器の出力側にI信号とQ信号を直交変調する直交変調器を接続した構成にすることができる。
【0024】
このような構成にすれば、第2補間器の入力側に第2周波数シフタを接続しなくても、第1補間器の入力側と第2補間器の出力側においてそれぞれ所要の周波数シフトが行われる。
【0025】
また、前記主構成における周波数シフタ及び第2周波数シフタは、サンプリング周波数の1/2の乗算信号を発生する発振器と、乗算信号から直交乗算信号を形成する移相器と、I信号とQ信号に対する乗算信号と直交乗算信号の複素積和信号を形成する複素乗算器とによって構成している。
【0026】
このような構成にすれば、複素乗算器をそれぞれ2つのスイッチと位相反転器とからなる著しく簡素化した構成のものにすることができ、それにより消費電力を低減させることができる。
【0027】
さらに、前記主構成における無限インパルス応答デジタルフィルタは、縦続接続された3以上の任意の整数n段の信号処理部がそれぞれ第1遅延部、第2遅延部、加算部、乗算部、乗算係数発生部を有し、サンプリング周波数の1/4を中心とする信号帯域内に生じる位相勾配数がn−1になるように各部の定数を設定した第1構成にすることができる。
【0028】
このような第1構成によれば、1個の無限インパルス応答デジタルフィルタから出力されるQ信号とデジタル信号遅延回路から出力されるI信号との位相差を、所要周波数帯域内において僅かな変化範囲内に納めることができ、前記主構成で得られる機能に加え、変換特性を良好にすることができる。
【0029】
さらに、前記第1構成において、縦続接続されたn段の信号処理部は、出力側から奇数段目の信号処理部を第1遅延部及び第2遅延部だけで構成した第2構成にすることが好適である。
【0030】
このような第2構成によれば、縦続接続されたn段の信号処理部における出力側から奇数段目の信号処理部の加算部、乗算部、乗算係数発生部をそれぞれ省き、第1遅延部及び第2遅延部だけで構成しているので、加算部、乗算部、乗算係数発生部を省いた分だけ構成部品点数が削減されて簡単な回路構成になり、それにより占有容積がより小さくなり、消費電力をより低減させることが可能になる。
【0031】
また、前記第1構成において、縦続接続されたn段の信号処理部は、無限インパルス応答デジタルフィルタの出力を次数2で間引いて出力する場合、無限インパルス応答デジタルフィルタの動作周波数をサンプリング周波数の1/2に選び、かつ、縦続接続されたn段の信号処理部を出力側から偶数段目の信号処理部だけで構成した第3構成にすることが好ましい。
【0032】
このような第3構成によれば、縦続接続されたn段の信号処理部における出力側から奇数段目の信号処理部の全部を省き、出力側から偶数段目の信号処理部だけで構成しているので、奇数段目の信号処理部を省いた分だけ構成部品点数が多量に削減されてさらに簡単な回路構成になり、それによって占有容積が大幅に小さくなり、消費電力を大幅に低減させることが可能になる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0034】
図1は、本発明による直交周波数分割多重変調回路の第1の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図であり、補間次数2の補間器を2つ縦続接続したことにより、補間次数4の信号補間を行っている例を示すものである。
【0035】
図1に示されるように、第1の実施の形態の直交周波数分割多重変調回路は、デジタル変調器1と、シリアル−パラレル変換器(S/P)2と、逆フーリエ変換器(IFFT)3と、パラレル−シリアル変換器(P/S)4と、周波数シフタ5と、不要信号除去部(GL除去)6と、第1補間器7と、第2補間器8と、直交変調器9と、加算器10と、デジタル−アナログ変換部(D/A)11と、入力端子Siと、出力端子Soとからなる。
【0036】
この場合、周波数シフタ5は、複素乗算器(クロスプロダクト演算器)12と、局部発振器13と、270°移相器14とからなる。なお、270°移相器14は、90°移相器であってもよい。第1補間器7は、90°移相器を構成する第1無限インパルス応答(IIR)デジタル全域通過型フィルタ(図示記号90°)71 と、第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ71 の信号遅延と同じ信号遅延を与える第1デジタル遅延器(図示記号DL)72 と、90°移相器を構成する第2無限インパルス応答(IIR)デジタル全域通過型フィルタ(90°)73 と、第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ73 の信号遅延と同じ信号遅延を与える第2デジタル遅延器(DL)74 と、180°移相器(図示記号180°)75 と、第1の1回路2接点スイッチ76 と第2の1回路2接点スイッチ77 とからなる。第2補間器8は、90°移相器を構成する第1無限インパルス応答(IIR)デジタル全域通過型フィルタ(90°)81 と、第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ81 の信号遅延と同じ信号遅延を与える第1デジタル遅延器(DL)82 と、90°移相器を構成する第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ(90°)83 と、第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ83 の信号遅延と同じ信号遅延を与える第2デジタル遅延器(DL)84 と、180°移相器(180°)85 と、第1の1回路2接点スイッチ86 と第2の1回路2接点スイッチ87 とからなる。直交変調器9は、I信号乗算器15Iと、Q信号乗算器15Qと、局部発振器16と、90°移相器17とからなる。
【0037】
そして、デジタル変調器1は、入力端が入力端子Siに接続され、出力端がシリアル−パラレル変換器2の入力端に接続される。シリアル−パラレル変換器2は、それぞれの出力端が対応する逆フーリエ変換器3の各入力端に接続される。逆フーリエ変換器3は、それぞれの出力端が対応するパラレル−シリアル変換器4の各入力端に接続される。
【0038】
周波数シフタ5において、複素乗算器12は、I信号入力端がパラレル−シリアル変換器4のI信号出力端に接続され、Q信号入力端がパラレル−シリアル変換器4のQ信号出力端に接続され、乗算信号入力端が局部発振器13の出力端に接続され、直交乗算信号入力端が270°移相器14を通して局部発振器13の出力端に接続され、I信号出力端が不要信号除去部6のI信号入力端に接続され、Q信号出力端が不要信号除去部6のQ信号入力端に接続される。不要信号除去部6は、I信号出力端が第1補間器7のI信号入力端に接続され、Q信号出力端が第1補間器7のQ信号入力端に接続される。
【0039】
第1補間器7において、第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ71 は、入力がI信号入力端に接続され、出力が第1のスイッチ76 の一方の固定接点に接続される。第1デジタル遅延器72 は、入力がQ信号入力端に接続され、出力が第1のスイッチ76 の他方の固定接点に接続される。第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ73 は、入力がQ信号入力端に接続され、出力が180°移相器75 の入力に接続される。180°移相器75 は、出力が第2のスイッチ77 の一方の固定接点に接続される。第2デジタル遅延器74 は、入力がI信号入力端に接続され、出力が第2のスイッチ77 の他方の固定接点に接続される。
【0040】
また、第2補間器8において、第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ81 は、入力が第2のスイッチ77 の可動接点に接続され、出力が第1のスイッチ86 の一方の固定接点に接続される。第1デジタル遅延器82 は、入力が第1のスイッチ76 の可動接点に接続され、出力が第1のスイッチ86 の他方の固定接点に接続される。第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ83 は、入力が第1のスイッチ76 の可動接点に接続され、出力が180°移相器85 の入力に接続される。180°移相器85 は、出力が第2のスイッチ87 の一方の固定接点に接続される。第2デジタル遅延器84 は、入力が第2のスイッチ77 の可動接点に接続され、出力が第2のスイッチ87 の他方の固定接点に接続される。
【0041】
直交変調器9において、I信号乗算器15Iは、第1入力端が第2のスイッチ87 の可動接点に接続され、第2入力端が局部発振器16の出力端に接続され、出力端が加算器10の第1入力端に接続される。Q信号乗算器15Qは、第1入力端が第1のスイッチ86 の可動接点に接続され、第2入力端が90°移相器17を通して局部発振器16の出力端に接続され、出力端が加算器10の第2入力端に接続される。加算器10は、出力端がデジタル−アナログ変換器11の入力端に接続され、デジタル−アナログ変換器11は、出力端が出力端子Soに接続される。
【0042】
次に、図2は、図1に図示された直交周波数分割多重変調回路の各部に得られる信号波形(周波数スペクトラム)図である。
【0043】
図2において、第1段目の信号波形Eはパラレル−シリアル変換器4の出力信号波形、第2段目の信号波形Lは周波数シフタ5の出力信号波形、第3段目の信号波形Fは第1補間器7の出力信号波形、第4段目の信号波形Gは第2補間器8の出力信号波形、第5段目の信号波形Hは直交変調器9の出力信号波形である。
【0044】
前記構成を有する第1の実施の形態の直交周波数分割多重変調回路の動作を、図2に図示の信号波形図を併用して説明する。
【0045】
いま、データ発生源(図示なし)から出力されたデジタルデータが入力端子Siに印加されると、そのデジタルデータがデジタル変調器1に供給される。デジタル変調器1は、供給されたデジタルデータをサンプリング周波数fsによって四相位相シフトキーイング(QPSK)等のデジタル変調を行い、そのI信号出力端から入力デジタルデータと同相の同相デジタル変調信号(I)を出力し、そのQ信号出力端から入力デジタルデータと90°の位相差を持つ直交デジタル変調信号(Q)を出力する。これらの同相デジタル変調信号及び直交デジタル変調信号は、それぞれシリアル−パラレル変換器2においてシリアル−パラレル変換され、同相パラレル信号及び直交パラレル信号として逆フーリエ変換器3に供給される。逆フーリエ変換器3は、供給された同相パラレル信号及び直交パラレル信号をそれぞれ複数個のサブキャリアにマッピングするとともに、ヌル(0)となる複数個のサブキャリアも加え、複数(N)点の逆フーリエ変換を行い、それぞれN個の同相逆フーリエ変換信号及び直交逆フーリエ変換信号を出力する。得られたN個の同相逆フーリエ変換信号及び直交逆フーリエ変換信号は、パラレル−シリアル変換器4においてそれぞれパラレル−シリアル変換され、図2の第1段目に信号波形Eとして示されるように、ゼロ周波数を帯域中心としている同相シリアル信号及び直交シリアル信号として出力される。同相シリアル信号及び直交シリアル信号は周波数シフタ5に供給される。
【0046】
周波数シフタ5は、複素乗算器11において供給されるI信号とQ信号に対して同じく供給される乗算信号と直交乗算信号の複素積和信号を形成し、周波数をサンプリング周波数fsの1/2、すなわちfs/2だけ高周波側にシフトした図2の第2段目に示すような信号波形Lを有する同相シリアル信号と直交シリアル信号を形成し、次続の不要信号除去部6に供給する。不要信号除去部6は、供給された同相シリアル信号と直交シリアル信号の中の不要な信号成分を除去し、第1補間器7に供給する。
【0047】
第1補間器7は、同相シリアル信号及び直交シリアル信号(各サンプリング周波数fs)が供給されると、その同相シリアル信号及び直交シリアル信号に対して次数2の信号補間を行い、サンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsの同相シリアル補間信号及び直交シリアル補間信号が出力され、第2補間器8に供給される。このとき、第1補間器7においては、信号変化が滑らかになるような信号補間が行われるので、図2の第3段目の信号波形Fに示されるように、サンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsで出力しても、周波数1.5fsを中心とする周波数帯域内に高調波が発生することがない。
【0048】
次に、第2補間器8は、第1補間器7から同相シリアル信号及び直交シリアル信号(各サンプリング周波数2fs)が供給されると、その同相シリアル信号及び直交シリアル信号に対して次数2の信号補間を行い、サンプリング周波数2fsの2倍の周波数4fsの同相シリアル補間信号及び直交シリアル補間信号が出力され、直交変調器9に供給される。このときも、第2補間器8においては、信号変化が滑らかになるような信号補間が行われるので、図2の第4段目の信号波形Gに示されるように、サンプリング周波数fsの4倍の周波数4fsで出力しても、周波数2.5fsを中心とする周波数帯域内に高調波が発生することがない。
【0049】
次いで、直交変調器9において、I信号乗算器15Iは、サンプリング周波数4fsの同相シリアル補間信号と、サンプリング周波数fsの1/2の周波数fs/2の同相発振信号とを乗算する。また、Q信号乗算器15Qは、サンプリング周波数4fsの直交シリアル補間信号と、サンプリング周波数fsの1/2の周波数fs/2の直交発振信号とを乗算する。これらの乗算によって得られた同相シリアル補間信号及び直交シリアル補間信号は、元の同相シリアル補間信号及び直交シリアル補間信号と比べて、図2の第5段目の信号波形Hに示されるように、直交周波数分割多重(OFDM)変調信号の中心周波数がfs/2だけ高周波側にシフトされた周波数fsになり、4fsのサンプリング周波数で出力される。
【0050】
続いて、加算器10は、直交変調器9から出力された同相シリアル補間信号及び直交シリアル補間信号を加算し、加算したシリアル補間信号をデジタル−アナログ変換器11に供給する。デジタル−アナログ変換器11は、加算したシリアル補間信号をアナログ信号に変換し、出力端子Soに供給する。その結果、出力端子Soからは、直交周波数分割多重(OFDM)変調された信号成分を持ち、かつ、次数4で信号補間されたシリアル補間信号が出力される。
【0051】
次に、第1補間器7において、90°移相器を構成する第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ71 と、第1デジタル遅延器72 と、第1の1回路2接点スイッチ76 とによって、入力される直交シリアル信号の補間信号、すなわち直交シリアル補間信号を発生させる動作経緯について説明する。
【0052】
Q信号はI信号に対して90°の位相遅れを持った信号であることは明らかであるので、I信号の位相を90°だけ遅らせれば、その信号はQ信号と同じ位相状態になる。そこで、この第1の実施の形態では、同相シリアル信号を第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ71 を通すことによって90°だけ位相を遅らせ、同時に、直交シリアル信号を第1デジタル遅延器72 で第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ71 で生じる群遅延時間分だけ遅延させることにより、同相シリアル信号を直交シリアル信号と同じ位相状態にしている。このとき、第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ71 を後述するような構成にすれば、第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ71 から出力されるシリアル信号は、第1デジタル遅延器72 から出力されるシリアル信号の時間補間を行った信号になり、第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ71 の出力信号及び第1デジタル遅延器72 の出力信号がサンプリング周波数fsの信号になる。これらの信号は第1のスイッチ76 に供給され、その可動接点をサンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsで切換えると、第1のスイッチ56 から次数2で補間された直交シリアル補間信号が出力される。
【0053】
次に、第1補間器7において、90°移相器を構成する第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ73 と、第2デジタル遅延器74 と、180°移相器75 と、第2のスイッチ77 とにより、同相シリアル信号に対する補間信号、すなわち同相シリアル補間信号を得る動作経緯について説明する。
【0054】
I信号はQ信号に対して90°の位相進みを持った信号であることは明らかであり、Q信号に対して270°の位相遅れを持った信号であるので、I信号の位相を270°だけ遅らせれば、I信号はQ信号と同じ位相状態になる。そこで、この第1の実施の形態では、直交シリアル信号を第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ73 を通すことにより90°だけ位相を遅らせ、さらに、180°移相器55 を通すことにより180°位相を遅らせ、全体で270°の位相を遅れを形成している。なお、位相を180°遅らせることは、信号極性(符号)を反転させることと等価であるので、180°移相器75 は、デジタル信号極性(符号)を反転させるインバータで構成することが可能である。
【0055】
一方、同相シリアル信号については、第2デジタル遅延器74 を通して第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ73 で生じる群遅延時間分だけ遅延させ、同相シリアル信号を直交シリアル信号と同じ位相状態にしている。このとき、第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ73 を後述するような構成にすれば、第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ73 から出力されるシリアル信号は、第2デジタル遅延器74 から出力されるシリアル信号を時間補間した信号になる。これらの信号を第2のスイッチ77 に供給し、その可動接点をサンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsで切換えると、第2のスイッチ77 から次数2で補間された同相シリアル補間信号が出力される。
【0056】
このように、第1補間器7からは、補間次数2で補間された同相シリアル補間信号及び直交シリアル補間信号が出力される。
【0057】
この後、第2補間器8の動作は、そのサンプリング周波数が第1補間器7のサンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsである点が異なるだけで、その他の動作は第1補間器7の動作と同じである。このため、第2補間器8の動作については、これ以上の説明は行わない。
【0058】
次いで、図3は、第1の実施の形態において用いられる無限インパルス応答(IIR)デジタル全域通過型フィルタ(以下、これをIIRフィルタという)71 、73 、81 、83 の具体的構成の一例を示す回路図であり、図4は、IIRフィルタ71 、73 、81 、83 の位相の変化状態を説明するための説明図である。図5は、IIRフィルタ71 、73 、81 、83 においてその周波数通過帯域内に発生する位相勾配数を変化させたときの位相の変化状態を示す特性図であり、図6は、図5に図示されたIIRフィルタ71 、73 、81 、83 における周波数通過帯域内の位相差の変化状態を示す特性図である。図7は、IIRフィルタ71 、73 、81 、83 において、位相勾配数をパラメータとしたときの群遅延の変化状態を示す特性図であり、図8は、IIRフィルタ71 、73 、81 、83 において、発生する位相勾配数と信号処理段におけるタップ段数とを決めたとき、乗算係数発生部に設定される係数値の一例を示す一覧表である。図9は、位相勾配数に1を加えた数を係数の数とした場合に、乗算係数発生部に設定される係数値を示す一覧表である。図10は、位相勾配mに対してm+1係数の数を有する場合、図3に図示されたIIRフィルタ71 、73 、81 、83 から奇数番目のタップ段を省略したIIRフィルタ71 、73 、81 、83 の具体的構成の一例を間引き部ともに示した回路図である。
【0059】
図3乃至図10を用い、90°移相器として示されたIIRフィルタ71 、73 、81 、83 タについて説明する。
【0060】
図3に示されるように、各IIRフィルタは、入力端子Fiと、出力端子Foと、出力端子Fo側から入力端子Fi側に順番に接続された8つのタップ段181 乃至188 と、共通加算器189 とを備えている。この場合、各タップ段181 乃至188 は、それぞれ、第1遅延部1811乃至1881と、第2遅延部1812乃至1882と、加算部1813乃至1883と、乗算部1814乃至1884と、乗算係数発生部1815乃至1885とからなり、各タップ段181 乃至188 において、それぞれの第1遅延部1811乃至1881、第2遅延部1812乃至1882、加算部1813乃至1883、乗算部1814乃至1884、乗算係数発生部1815乃至1885は、図3に図示されるように相互接続されている。
【0061】
次に、図4は、各IIRフィルタの出力位相の変化状態を示すもので、デジタル信号遅延器の出力位相の変化状態とともに示すものである。
【0062】
図4において、縦軸は位相、横軸は周波数であり、実線はIIRフィルタの位相の変化状態であり、一点鎖線はデジタル信号遅延器72 、74 、82 、84 の位相の変化状態である。
【0063】
図4に示されるように、サンプリング周波数fsの1/4の周波数fs/4を中心とする信号帯域(点線で示す範囲)内において、デジタル信号遅延器の位相の変化状態は、信号帯域の下限周波数値から上限周波数値に向うに従って位相値が直線的に変化し、位相値が−2πにまで達すると位相値が0に跳躍し、上限周波数値に向うに従って再び位相値が直線的に変化する。これに対し、IIRフィルタの位相の変化状態も、信号帯域の下限周波数値から上限周波数値に向うに従って位相値がデジタル信号遅延回路と同じ位相勾配で直線的に変化し、位相値が−2πにまで達すると位相値0に跳躍し、上限周波数値に向うに従って再び位相値が直線的に変化するもので、IIRフィルタの位相値とデジタル信号遅延器の位相値との間の位相差は、信号帯域内で常時−(π/2)、すなわち−90°を保っている。
【0064】
この場合、位相勾配は、周波数変化に対する位相変化の割合を表しているもので、周波数が0からfsまでの間に−2π毎の位相変化が何回発生するかによって定義される。例えば、周波数が0からfsまでの間の累積位相が−6πであれば、位相勾配は3になる。
【0065】
なお、位相勾配は、その定義から群遅延時間でもあり、サンプリング時間を単位とした遅延時間である。例えば、位相勾配が3であれば、群遅延は3クロックとなる。
【0066】
次いで、図5は、各IIRフィルタにおいて、周波数帯域内に発生する位相勾配数を変化させた場合の位相の変化状態を示す。
【0067】
図5において、縦軸は度(deg)で表した位相、横軸はラジアン(rad)で表した周波数(2πラジアンがサンプリング周波数に対応する)であり、実線はIIRフィルタの位相勾配数を5にした場合の位相の変化状態、点線はIIRフィルタの位相勾配数を7にした場合の位相の変化状態である。
【0068】
図5に示されるように、IIRフィルタを構成している各第1遅延部1811乃至1881及び第2遅延部1812乃至1882のそれぞれの遅延定数z-1、各乗算係数発生部1815乃至1885のそれぞれの係数C1 乃至C8 を適宜選択することにより、IIRフィルタの位相の変化状態は、デジタル信号の周波数帯域(0.1π乃至0.9πラジアン)内で略直線状態になり、全周波数帯域(0乃至2πラジアン)で位相勾配数が5または7となるような変化状態になる。
【0069】
続く、図6は、IIRフィルタの信号帯域内におけるIIRフィルタの位相とデジタル信号遅延器の位相との差を表す位相差の変化状態を示す特性図である。
【0070】
図6において、縦軸は度(deg)で表した位相差、横軸はラジアン(rad)で表した周波数であり、曲線AはIIRフィルタの位相勾配数を5にしたときの位相差の変化状態、曲線BはIIRフィルタの位相勾配数を7にしたときの位相差の変化状態である。
【0071】
図6に図示の曲線A及び曲線Bに示されるように、デジタル信号の周波数帯域(0.1π乃至0.9πラジアン)内において、IIRフィルタは、5つまたは7つの位相差変化部分があるものの、それらの位相差が−90°の近傍の範囲内に収まっている。
【0072】
続いて、図7は、各IIRフィルタにおいて、位相勾配数をパラメータとしたときの群遅延の変化状態を示す特性図である。
【0073】
図7において、縦軸はサンプル数(sample)を基準として表した群遅延、横軸はラジアン(rad)で表した周波数であり、曲線A3乃至A8はIIRフィルタの位相勾配数をそれぞれ3乃至8にしたときの群遅延の変化状態である。
【0074】
図7に図示された曲線A3乃至A8に示されるように、デジタル信号の周波数帯域(0.1π乃至0.9πラジアン)内において、IIRフィルタの群遅延の変化状態は、位相勾配数が3から8に増えるに従って変化状態が順次小さくなるものの、全体的にその変化状態は限られた範囲内に収まっている。
【0075】
このような特性を持つIIRフィルタとして、その位相勾配数が例えば3以上になるように、第1遅延部1811乃至1881及び第2遅延部1812乃至1882のそれぞれの遅延定数z-1、各乗算係数発生部1815乃至1885のそれぞれの係数C1 乃至C8 を選択すれば、デジタル信号の周波数帯域内においてIIRフィルタから出力されるQ信号とデジタル信号遅延器から出力されるI信号との位相差をほぼ90°にすることができ、Q信号とI信号の群遅延が殆ど同じになる。
【0076】
次に、図8は、IIRフィルタにおいて、発生する位相勾配数とタップ段数とを決めたとき、乗算係数発生部に設定される係数値の一例を示す一覧表である。
【0077】
図8において、最も左側の欄が位相勾配数(表では位相勾配と表記している)、次の欄がタップ段数(表では係数の数と表記している)、その次の欄が乗算係数発生部に設定される係数値(表では図2の乗算係数発生部に図示された係数C1 、C2 、… …、C8 と表記しており、図3に図示されていない9番目及び10番目のタップ段の各乗算係数発生部の係数をC9 、C10と表記している)である。
【0078】
図8に示されるように、最上段の構成例では、位相勾配が4、係数の数が5のとき、係数C1 が2.5×10-7に、係数C2 が−0.4×10-1に、係数C3 が−9.1×10-7に、係数C4 が−9.3×10-2に、係数C5 が−3.2×10-6にそれぞれ設定される。同じように、第2段以降の構成例においても、位相勾配、係数の数に応じて、係数の数に合致した数の各係数C1 乃至C10がそれぞれ図示の値に設定される。
【0079】
ところで、図8に示される各係数C1 乃至C10の係数値を見ると、位相勾配が4で係数の数が5のとき、位相勾配が6で係数の数が7のとき、位相勾配が8で係数の数が9のときのそれぞれにおいて、奇数番目の係数C1 、C3 、C5 、C7 、C9 の係数値は、指数を含む数値が10-6、10-7、10-8、10-9であって、有効桁を5桁としたときこれらの数値を含む各係数値は実質的に0になる。
【0080】
次いで、図9は、図8に示された位相勾配数に1を加えた数を係数の数とした場合に、乗算係数発生部に設定される係数値を示す一覧表である。
【0081】
図9において、最も左側の欄が位相勾配、次の欄が係数の数、その次の欄が係数C1 、C2 、… …、C9 であって、位相勾配と係数の数との間に、位相勾配がmであるとき、係数の数がm+1となる組み合わせの各係数C1 、C2 、… …、C9 の係数値を示したものである。
【0082】
図9に示されるように、位相勾配がmで、係数の数がそれより1つ多いm+1となる組み合わせ、位相勾配が2乃至8で、それに対応した係数の数が3乃至9のものにおいては、奇数番目の係数C1 、C3 、C5 、C7 、C9 のいずれの係数値も、指数を含む数値が10-5、10-6、10-7、10-8、10-9であって、これらの数値を含む各係数値は実質的に0になる。
【0083】
位相勾配と係数の数がこのような関係にあり、それにより乗算係数発生部の係数が0になれば、その乗算係数発生部から出力される係数0を乗算する乗算部の乗算出力データが0になるとともに、乗算部に入力される加算部の出力データも不要になり、係数が0になる乗算係数発生部を有するタップ段、すなわち図3に点線によって囲まれている奇数番目のタップ段181 、183 、185 、187 等においては、それぞれ、加算部1813、1833、1853、1873等、乗算部1814、1834、1854、1874等、乗算係数発生部1815、1835、1855、1875等を設ける必要がなく、これらを省略することが可能になる。
【0084】
ここで、図10は、図1に図示の90°移相器として用いられるIIRフィルタの第2構成例を示す回路図である。
【0085】
第2構成例のIIRフィルタは、図8に図示された係数値の関係を満たしているもので、位相勾配をmに、係数の数をm+1に設定した場合のものであり、図3に図示されたIIRフィルタから奇数番目のタップ段181 、183 、185 、187 における加算部1813、1833、1853、1873、乗算部1818、1834、1854、1874及び乗算係数発生部1815、1835、1855、1875を省略しているものである。
【0086】
また、図11は、同じく図1に図示の90°移相器として用いられるIIRフィルタの第3構成例を示す回路図である。
【0087】
第3構成例のIIRフィルタは、図9に図示された係数値の関係を満たしているもので、図3に図示されたIIRフィルタから奇数番目のタップ段181 、183 、185 、187 の全てを省略しているものである。
【0088】
図3に図示されたIIRフィルタと、図10に図示されたIIRフィルタとを比較すると、明らかに前者に比べて後者は、回路素子が削減されているので、電力消費を達成できる。また、図11に図示されたIIRフィルタも同様である。
【0089】
このように、第1の実施の形態の直交周波数分割多重変調回路によれば、補間器として、第1及び第2のIIRフィルタ71 、73 を備えた第1補間器7と、第1及び第2のIIRフィルタ81 、83 を備えた第2補間器8とを用いて補間次数4の信号補間を行うことができる。そして、これらのIIRフィルタ71 、73 、81 、83 は、そのタップ段数が4タップ段程度のもので足りるので、全体的にロジック回路部の回路規模を、既知のロジック回路部の回路規模に比べて大幅に小型化することができ、直交周波数分割多重変調回路の消費電力を既知のものに比べて大きく低減することができる。
【0090】
ところで、第1の実施の形態においては、第1補間器7及び第2補間器8に用いられる第1及び第2のIIRフィルタ71 、73 、81 、83 として、タップ(信号段)段数が4タップ段のものを用いた例を挙げて説明したが、本発明に用いられる第1及び第2のIIRフィルタ71 、73 、81 、83 はタップ段数は4タップのものに限られるものでなく、第1及び第2のIIRフィルタ71 、73 、81 、83 で必要とする位相特性に応じて適宜タップ段数を変更することができる。
【0091】
例えば、第1及び第2のIIRフィルタ71 、73 、81 、83 として、その周波数帯域が0.05乃至0.45fsであり、周波数帯域内の位相リップルが±0.5°以内の周波数選択特性を有するものを必要とする場合には、タップ段数を5つにし、乗算係数発生部の各係数C2 、C4 、C6 、C8 、C10を、例えば、C2 =−4.9×10-1、C4 =−1.1×10-1、C6 =−4.0×10-2、C8 =−1.7×10-2、C10=−6.1×10-3に設定する。
【0092】
これに対し、第1及び第2のIIRフィルタ71 、73 、81 、83 として、その周波数帯域がやや狭い0.1乃至0.4fsであり、周波数帯域内の位相リップルが±1.5°以内の周波数選択特性を有するもので足りる場合には、タップ段数を3つにし、乗算係数発生部の各係数C2 、C4 、C6 を、例えば、C2 =−4.6×10-1、C4 =−7.1×10-2、C6 =−1.3×10-2に設定すればよい。
【0093】
また、図12(a)乃至(c)は、第1の実施の形態の直交周波数分割多重変調回路に用いられる周波数シフタ5の複素乗算器12の具体的内容を示す説明図であって、(a)はその入出力信号を表し、(b)は入出力信号とサンプリングポイントとの関連を表し、(c)は等価回路を表すものであり、図1に示される構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0094】
図12(a)は、複素乗算器12にそれぞれ入出力される入力I信号SI と入力Q信号SQ 及び乗算信号LI と直交乗算信号LQ と、出力I信号S’I 及び出力Q信号S’Q との間の関係を示すものである。この例においては、ベースバンド信号の供給により、入力I信号SI と入力Q信号SQ のサンプリング周波数はfsであるので、出力I信号S’I と出力Q信号S’Q は、後述するように出力I信号S’I の中の入力Q信号SQ 及び出力Q信号S’Q の中の入力I信号SI をそれぞれゼロにすることが可能になるので、次のように表される。
【0095】
S’I =SI ×LI 、S’Q =SQ ×LI
図12(b)は、複素乗算器12において、乗算信号LI の振幅が正負ピーク値になったときにサンプリングが実行され、直交乗算信号LQ の振幅がゼロ値になったときにサンプリングが実行されたときの出力I信号S’I 及び出力Q信号S’Q の値を示すもので、出力I信号S’I としては、サンプリングポイントが到来する度に、SI 、−SI 、… …が順次出力され、一方、出力Q信号S’Q としては、サンプリングポイントが到来する度に、SQ 、−SQ 、… …が順次出力される。
【0096】
図12(c)は、図12(b)に示されるようなサンプリング条件でサンプリングが実行されたときの複素乗算器12が呈する等価回路である。この等価回路は、2つの1回路2接点を有するスイッチ18I 、18Q と、2つの位相反転器(符号逆転器)19I 、19Q とからなるもので、スイッチ18I 、18Q 及び位相反転器19I 、19Q は、図12(c)に図示されるように相互接続されている。
【0097】
この等価回路の動作は、図12(c)から明らかなように、最初のサンプリング実行時点には、スイッチ18I 、18Q の可動接点が上側の固定接点に接続され、それにより出力I信号S’I として入力I信号SI が、出力Q信号S’Q として入力Q信号SQ がそれぞれ出力される。次のサンプリング実行時点には、スイッチ16I 、16Q の可動接点が下側の固定接点に接続され、それにより出力I信号S’I として位相反転器19I で位相反転(符号逆転)された入力I信号−SI が、出力Q信号S’Q として位相反転器19Q で位相反転(符号逆転)された入力Q信号−SQ がそれぞれ出力される。その次のサンプリング実行時点には、スイッチ18I 、18Q の可動接点が再び上側の固定接点に接続され、それにより出力I信号S’I として入力I信号SI が、出力Q信号S’Q として入力Q信号SQ がそれぞれ出力され、以下、サンプリング実行時点が到来する度に、前記動作が繰り返し実行される。
【0098】
このように、第1の実施の形態の直交周波数分割多重変調回路に用いられる周波数シフタ5は、複素乗算器12に入力される入力I信号SI 、入力Q信号SQ のサンプリング周波数fsに対して乗算信号LI 、直交乗算信号LQ の周波数をfs/2に選び、かつ、サンプリングポイントを乗算信号LI の正負ピーク値、直交乗算信号LQ のゼロ値にそれぞれ選ぶことにより、複素乗算器12の構成を著しく簡素化し、その構成部品点数を大幅に削減させるとともに、複素乗算器12の消費電力を半減させることができる。
【0099】
次に、図13は、本発明による直交周波数分割多重変調回路の第2の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図であり、補間次数2の補間器を2つ用いて補間次数4の周波数補間を行っている例を示すものである。なお、図13において、図1に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0100】
図13に示すように、第2の実施の形態は、第1の実施の形態における第1補間器7と第2補間器8との間に第2の周波数シフタ20が接続され、その代わりに直交変調器9が省略されているもので、それ以外の構成は、第1の実施の形態の構成と同じである。
【0101】
この場合、第2の周波数シフタ20は、複素乗算器(クロスプロダクト演算器)21と、局部発振器22と、90°移相器23とからなっている。なお、90°移相器23は、270°移相器であってもよい。
【0102】
そして、周波数シフタ20において、複素乗算器21は、I信号入力端が第1補間器7のI信号出力端に接続され、Q信号入力端が第1補間器7のQ信号出力端に接続され、乗算信号入力端が局部発振器22の出力端に接続され、直交乗算信号入力端が90°移相器23を通して局部発振器22の出力端に接続され、I信号出力端が第2補間器7のI信号入力端に接続され、Q信号出力端が第2補間器7のQ信号入力端に接続される。第2補間器7は、I信号出力端が加算器10のI信号入力端に接続され、Q信号出力端が加算器10のQ信号入力端に接続される。
【0103】
また、図14は、図13に図示された第2の実施の形態の直交周波数分割多重変調回路の各部に得られる信号波形(周波数スペクトラム)図であって、図2に図示された信号波形(周波数スペクトラム)に対応するものである。
【0104】
第2の実施の形態におけるデジタル変調器1の入力端から第1補間器7の出力端に至るまでの動作経緯は、既に述べた第1の実施の形態における同部分の動作経緯と同じであって、図14における第1段目、第2段目、第3段目の信号波形E、L、Fと、図2における第1段目、第2段目、第3段目の信号波形E、L、Fとは同じである。その後で、第2の実施の形態は、第1補間器7から出力されるI信号とQ信号が周波数シフタ20に供給され、図14の第4段目の信号波形Jに示されるように、周波数シフタ20においてI信号とQ信号の周波数がそれぞれサンプリング周波数fsの半分の周波数fs/2だけ高周波側にシフトされ、第2補間器8に供給される。第2補間器8は、第1の実施の形態の第2補間器8で行われているように、供給されたI信号とQ信号に対して次数2による信号補間を行い、図14の第5段目の信号波形Kに示されるような補間I信号及び補間Q信号を出力する。この場合、第2補間器8の出力側に得られる信号波形Kは、図2の第5段目の信号波形Kと同じであって、第1の実施の形態において用いていた直交変調器9を省くことができるものである。
【0105】
この場合、第2の実施の形態においては、第1補間器7及び第2補間器8において信号変化が滑らかになるような信号補間を行っているので、図14に第5段目に図示された信号波形Kに示されるように、サンプリング周波数fsの4倍の周波数4fsで出力したとしても、周波数3fsを中心とする周波数帯域内に高調波が発生しない。
【0106】
なお、第2の実施の形態におけるその他の動作は、第1の実施の形態における対応する動作と同じであるので、第2の実施の形態におけるその他の動作についてはこれ以上の説明を省略する。また、第2の実施の形態により得られる作用効果は、第1の実施の形態により得られる作用効果と殆ど同じであるので、第2の実施の形態の作用効果についても、これ以上の説明を省略する。
【0107】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、N個の逆フーリエ変換信号を補間する場合、始めにIIRフィルタを有する第1補間器で補間し、次にIIRフィルタを有する第2補間器で補間するようにしたので、それぞれのIIRフィルタの遮断特性を急峻にする必要がなくなり、IIRフィルタのタップの段数を、既知の補間回路に用いている有限インパルス応答(FIR)デジタル低域通過型フィルタのタップの段数よりも大幅に少なくすることができ、ロジック回路部の回路規模が大きくならないことから、ロジック回路部の占有容積を比較的小さくして、直交周波数分割多重変調回路の製造コストを低減することが可能になるという効果があり、それに加え、第1補間器の前にサンプリング周波数の1/2だけ高周波側に周波数シフトする周波数シフタを設け、ベースバンド信号を中間周波信号に周波数シフトしているので、第1補間器に中間周波信号が供給され、既知の回路との互換性の確保が図れるという効果がある。
【0108】
また、請求項2に記載の発明によれば、第2補間器の出力側に直交変調器を接続することなしに、第1補間器及び第2補間器の各入力側においてそれぞれ所要の周波数シフトを行うことができるという効果がある。
【0109】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、第2補間器の入力側に第2周波数シフタを接続しなくても、第1補間器の入力側と第2補間器の出力側においてそれぞれ所要の周波数シフトを行うことができるという効果がある。
【0110】
また、請求項4に記載の発明によれば、複素乗算器をそれぞれ2つのスイッチと位相反転器とからなる著しく簡素化した構成のものにすることができ、それにより消費電力を低減させることができるという効果がある。
【0111】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、1個の無限インパルス応答デジタルフィルタから出力されるQ信号とデジタル信号遅延回路から出力されるI信号との位相差を、所要周波数帯域内において僅かな変化範囲内に納めることができ、請求項1に記載の発明で得られる機効果に加えて、良好な変換特性が得られるという効果がある。
【0112】
また、請求項6に記載の発明によれば、縦続接続されたn段の信号処理部における出力側から奇数段目の信号処理部の加算部、乗算部、乗算係数発生部をそれぞれ省き、第1遅延部及び第2遅延部だけで構成しているので、加算部、乗算部、乗算係数発生部を省いた分だけ構成部品点数が削減されて簡単な回路構成になり、占有容積がより小さくなって、消費電力をより低減させることができるという効果がある。
【0113】
さらに、請求項7に記載の発明によれば、縦続接続されたn段の信号処理部における出力側から奇数段目の信号処理部の全部を省き、出力側から偶数段目の信号処理部だけで構成しているので、奇数段目の信号処理部を省いた分だけ構成部品点数が多量に削減されてさらに簡単な回路構成になり、占有容積が大幅に小さくなて、消費電力を大幅に低減させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による直交周波数分割多重変調回路の第1の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に図示された直交周波数分割多重変調回路の各部に得られる信号波形(周波数スペクトラム)図である。
【図3】第1の実施の形態に用いられるIIRフィルタの具体的構成の一例を示す回路図である。
【図4】IIRフィルタにおける位相の変化状態を説明する説明図である。
【図5】IIRフィルタにおいてその周波数通過帯域内に発生する位相勾配数を変化させたときの位相の変化状態を示す特性図である。
【図6】図5に図示のIIRフィルタにおける周波数通過帯域内の位相差の変化状態を示す特性図である。
【図7】IIRフィルタにおいて位相勾配数をパラメータとしたときの群遅延の変化状態を示す特性図である。
【図8】IIRフィルタにおいて発生する位相勾配数と信号処理段のタップ段数とを決めたとき、乗算係数発生部に設定される係数値の一例を示す一覧表である。
【図9】図8において位相勾配数に1を加えた数を係数の数とした場合に、乗算係数発生部に設定される係数値を示す一覧表である。
【図10】第1の実施の形態に用いられるIIRフィルタの第2構成例を示す回路図である。
【図11】第1の実施の形態に用いられるIIRフィルタの第3構成例を示す回路図である。
【図12】第1の実施の形態の直交周波数分割多重変調回路に用いられる周波数シフタの複素乗算器の具体的内容を示す説明図である。
【図13】本発明による直交周波数分割多重変調回路の第2の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【図14】図13に図示された直交周波数分割多重変調回路の各部に得られる信号波形(周波数スペクトラム)図である。
【図15】既知の直交周波数分割多重変調回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図16】図15に図示の直交周波数分割多重変調回路の各部に得られる周波数スペクトラム(信号波形)図である。
【図17】I信号補間器及びQ信号補間器に用いられる有限インパルス応答(FIR)デジタルフィルタの基本回路例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 デジタル変調器
2 シリアル−パラレル変換器(S/P)
3 逆フーリエ変換器(IFFT)
4 パラレル−シリアル変換器(P/S)
5、20 周波数シフタ
6 不要信号除去部(GL除去)
7 第1補間器
1 、81 第1無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ(90°)
2 、82 第1デジタル遅延器(DL)
3 、83 第2無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタ(90°)
4 、84 第2デジタル遅延器(DL)
5 、85 180°移相器(180°)
6 、86 第1の1回路2接点スイッチ
7 、87 第2の1回路2接点スイッチ
8 第2補間器
9 直交変調器
10 加算器
11 デジタル−アナログ変換部(D/A)
12、21 複素乗算器(クロスプロダクト演算器)
13、22 局部発振器
14 270°移相器
15I I信号乗算器
15Q Q信号乗算器
16 局部発振器
17、23 90°移相器
18I、18Q スイッチ
19I、19Q 位相反転器(符号逆転器)

Claims (7)

  1. デジタル変調信号を、ゼロ周波数を帯域中心としたN個のサブキャリアにマッピングして逆フーリエ変換を行ってN個の逆フーリエ変換信号を出力する逆フーリエ変換段と、前記N個の逆フーリエ変換信号をサンプリング周波数の1/2だけ高周波側に周波数シフトする周波数シフタと、前記周波数シフタの出力信号を次数2で補間する第1補間器と、前記第1補間器の出力補間信号を次数2で補間する第2補間器とを有し、前記第1補間器及び前記第2補間器は、入力信号を90°移相する無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタと、前記入力信号を前記無限インパルス応答デジタル全域通過型フィルタの信号遅延分だけ遅延するデジタル遅延回路とを備えていることを特徴とする直交周波数分割多重変調回路。
  2. 前記第1補間器と前記第2補間器との間に入力信号をサンプリング周波数の1/2だけ高周波側に周波数シフトする第2周波数シフタを接続したことを特徴とする請求項1に記載の直交周波数分割多重変調回路。
  3. 前記第2補間器の出力側に同相信号と直交信号を直交変調する直交変調器が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の直交周波数分割多重変調回路。
  4. 前記周波数シフタ及び前記第2周波数シフタは、サンプリング周波数の1/2の乗算信号を発生する発振器と、前記乗算信号から直交乗算信号を形成する移相器と、前記同相信号と前記直交信号に対する前記乗算信号と前記直交乗算信号の複素積和信号を形成する複素乗算器とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の直交周波数分割多重信号変調回路。
  5. 前記無限インパルス応答デジタルフィルタは、縦続接続された3以上の任意の整数n段の信号処理部がそれぞれ第1遅延部、第2遅延部、加算部、乗算部、乗算係数発生部を有し、前記サンプリング周波数の1/4を中心とする信号帯域内に生じる位相勾配数がn−1になるように前記各部の定数を設定したことを特徴とする請求項1に記載の直交周波数分割多重信号変調回路。
  6. 前記縦続接続されたn段の信号処理部は、出力側から奇数段目の信号処理部を第1遅延部及び第2遅延部だけで構成していることを特徴とする請求項5に記載の直交周波数分割多重信号変調回路。
  7. 前記無限インパルス応答デジタルフィルタの出力を次数2で間引いて出力する場合は、前記無限インパルス応答デジタルフィルタの動作周波数を前記サンプリング周波数の1/2に選び、かつ、前記縦続接続されたn段の信号処理部を出力側から偶数段目の信号処理部だけで構成していることを特徴とする請求項5に記載の直交周波数分割多重信号変調回路。
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