JP4656778B2 - フェライト用酸化鉄およびMn−Zn系フェライトの製造方法 - Google Patents

フェライト用酸化鉄およびMn−Zn系フェライトの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フェライト原料用酸化鉄およびそれを用いたMn−Zn系フェライトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Mn−Zn系フェライトは、スイッチング電源、ノイズフィルターおよびチョークコイルなどに使用され、近年の電子部品の高性能化に伴い、その磁気特性の向上が求められている。例えば、ノイズフィルターに使用されるフェライトコアでは、初透磁率が周波数:10kHz において 10000以上のものが求められるようになっている。
【0003】
このフェライトコアは、一度に何万個という数量を生産する、大量生産で製造されるのが通例であり、基本的には、このような大きな単位における全量が規格値を満足することが必要である。従って、製造された全コアの初透磁率の平均値が高いことも重要であるが、各ロット毎の特性のばらつきを低減することも極めて重要である。さらに、製造方法としてより簡便なプロセスを持ち、しかも低コストでの製造が可能であることも要望されている。
【0004】
フェライトコアの製造は、原料を混合後に仮焼してから、粉砕および必要に応じて造粒したのち、所定の形状に成形し、この成形体を焼成炉内に装入して焼成を行うことが、一般的である。これらの工程において、最初の原料混合工程は、各原料粉が均一に混合されるように、特にMn−Zn系フェライトのように特性ばらつきが製造工程に敏感な材質の場合、ボールミルやアトリクションミル等を使用した、水による湿式混合が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、製造工程の簡便さや生産性、またはコストからみると、振動ミル等を使用した乾式混合に大きな利点があるが、Mn−Zn系フェライトなどを製造する場合、最終コアの特性ばらつきが湿式混合に比べて大きくなるという欠点があることから、湿式混合が採用されていた。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、原料の混合を乾式で行った場合にあっても、フェライトにおいて高透磁率特性が均一に発現されるフェライト原料用酸化鉄を提供するとともに、該酸化鉄を用いて、製造工程の簡便さ、生産性並びにコスト面で有利である乾式混合を用いた、高い初透磁率が均一に発現できるMn−Zn系フェライトの製造を確立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、初透磁率が周波数:1kHz において5000以上を有するような、高い初透磁率をもつMn−Zn系フェライトを製造する場合、乾式混合を用いた簡便な製造工程において、どのような原料酸化鉄を使用すれば最終コアでの特性ばらつきが低減できるのかについて、鋭意研究を重ねた。すなわち、高透磁率Mn−Zn系フェライトの初透磁率がばらつく原因となる不純物の種類とその限界量を特定すること、例えば従来の原料酸化鉄の代表的な製造方法である結晶精製法のように、全ての不純物を一律に低減するのではなく、逆に必要なら添加することを含めて、不純物について検討を行った。その結果、原料酸化鉄中のMn量およびS量を規制するとともに、B(ホウ素)量を一定の範囲内に抑制すると好適な結果が得られることを見出し、この発明を完成するに到った。
【0008】
この発明は、
Mn:0.15〜2.5 質量%および
S:S04 2- として0.060 〜0.2 質量%を含有するフェライト用酸化鉄であって、Bの混入量を8質量ppm 以下に抑制したことを特徴とするフェライト原料用酸化鉄である。
【0009】
また、この発明は、上記のフェライト原料用酸化鉄と、Mn源およびZn源とを乾式混合してから、仮焼後、成形、そして焼成することを特徴とするMn−Zn系フェライトの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明について具体的に説明する。
さて、フェライト原料用の酸化鉄は、従来は薄鋼板表面を塩酸酸洗した排液から塩酸を回収する際に副生する酸化鉄が利用されるため、鋼板中の不純物や工業用水中の不純物等が多量に混入していることから、この不純物を除去してフェライト原料に用いることができる組成とするため、種々の技術が提案されている。
【0011】
まず、結晶精製法は、例えば特開平7−176420号公報に記載されるように、硫酸鉄や塩化鉄の水溶液から硫酸鉄や塩化鉄の結晶を晶出させ、この結晶を酸化させて酸化鉄とするものである。しかし、この方法では、不純物の一部が結晶中に混入するため、一回の晶出では必ずしも十分ではなく、不純物を含まない水に晶出結晶を溶解して再度晶出させる等の処理を繰り返す必要が生じる。また、結晶晶出時の偏析を利用しているため、不純物の種類により偏析度が異なり、偏析度の小さい不純物を低減しようとすると、何度も再溶解・再晶出を繰り返さなければならない。この方法は再溶解・再晶出の回数を増やせば原理的に全ての種類の不純物を必要なだけ低減することができるという利点はあるが、当然コストが莫大なものになってしまう。現実的には一部の不純物が残存したまま適当な回数で打ち切ることになるが、それでも製造工程が煩雑でコストが高いという欠点は完全には解消されない。
【0012】
しかし、酸化鉄中の不純物には、フェライトの特性に有害な不純物とそうでないものがあり、必ずしも全ての種類の不純物を低減させる必要はない。むしろ最初から含有されていた方がよい物もある。すなわち、上述したように、Mn−Zn系フェライトの初透磁率のばらつきを抑えるには、酸化鉄中の不純物としてBを抑制することが必要十分条件となるのである。
【0013】
そこで、この発明に係るフェライト原料用酸化鉄は、塩化鉄水溶液の噴霧焙焼や流動焙焼などの比較的簡便な焙焼法により製造が可能である組成、すなわちMnの含有量が0.05質量%以上 2.5質量%以下、Sの含有量が SO4 2-イオンとして0.06質量%以上0.2 質量%以下であり、Bの含有量を8重量ppm 以下に抑制する、組成に規制した。
このように、この発明では、結晶精製法のように高コストで製造された酸化鉄ではなく、比較的安価に量産可能な塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼により製造された酸化鉄を対象とすることが可能になった。
【0014】
ここで、酸化鉄のMnやS、そしてBは、前記の噴霧焙焼または流動焙焼により塩酸回収を行う際、鋼板の塩酸酸洗排液に溶解しているMnやSO4 2- イオン、そしてBが水の蒸発により酸化鉄に移行したものである。
まず、Mnが酸化鉄中でどのような存在形態となっているかは、その含有が微量なので解析できていないが、酸化鉄粒子の内部にMn−Zn系フェライトと同じスピネル構造のマンガンフェライトのような形で結晶格子中に取り込まれているものと推測される。従って、水に対して不溶性であるために、酸化鉄製造工程の最終水洗工程にても除去しにくく、通常の焙焼法であれば、特開平7−176420号公報に記載されたように、 0.1から0.3 質量%含まれることになる。
【0015】
これに対して、SO4 2- イオンは可溶性であるから、必要であれば最終工程で水洗してやれば含有量は0.02〜0.03質量%程度まで低減できる。
【0016】
また、Bは、Mnと同じく水に対して不溶性のため、酸化鉄製造工程の最終水洗工程にても除去しにくく、鋼板の塩酸酸洗排液中のBがそのまま残留する。
【0017】
このようにMnが 0.1から0.3 質量%、SO4 2- イオンが0.02〜0.03質量%程度含有される酸化鉄を原料としてMn−Zn系フェライトを製造する際、原料の混合を湿式で行う場合は問題が少ないが、乾式混合法による場合は、初透磁率の平均値は湿式の場合と同程度を実現できても、そのばらつきが大きくなることが問題であるのは既に述べたとおりである。
【0018】
そこで、原料を乾式混合した場合にあっても、得られるフェライトの初透磁率のばらつきが低減できる、酸化鉄原料を種々検討した結果、先に示したように酸化鉄中のMn量およびS量(SO4 2- イオンで換算)を規制した上でB量が制限することが有効であるのを見出したのである。
【0019】
すなわち、酸化鉄中に含まれるMn量を0.15〜2.5 質量%の範囲としたのは、0.15質量%未満であると、乾式混合法によって均一に混合することが難しくなり、一方2.5 質量%をこえると、Mnの偏析によって初透磁率のばらつきが大きくなるからである。
【0020】
また、酸化鉄中に含まれるS量をS04 2- として0.060 〜0.2 質量%の範囲としたのは、0.060 質量%未満では、乾式混合法によって均一に混合することが難しくなり、一方0.2 質量%をこえると、初透磁率の値が低下したり、そのばらつきが大きくなるからである。
【0021】
一方、Bの混入量を8質量ppm 以下に抑制するのは、結晶粒成長を均一にし、初透磁率のばらつきを抑えるためである。
【0022】
なお、酸化鉄中のMn量は、使用する廃塩酸液に塩化マンガン等の形態で添加することにより制御できる。また、S量は同じく硫酸鉄の形態で添加することや、最終水洗工程での水洗時間等を調節することによって制御できる。さらに、B量は、焙焼に用いる鋼板の塩酸酸洗排液の中でB量の少ない液を選択することにより調整することができる。
【0023】
ここに、原料を乾式混合した場合に、酸化鉄中のMn量およびS量、そしてB量が、最終フェライトコアでの初透磁率のばらつきに影響を与える原因については、未だ明確になってはいないが、Mnが酸化鉄中でMnFe2O4 のスピネルの形で予め含有されていることと、 SO4 2-イオンの何らかの作用とにより、後から添加、混合される酸化マンガンおよび酸化亜鉛との反応性が変化し、仮焼から焼成までの過程で結晶成長の均一性を高めているものと推測される。
【0024】
なお、Mn−Zn系フェライト中の微量成分のうちBの影響について、例えば文献「フェライト」 (平賀ら、丸善, 1986)の92頁において、結晶組織を不均一にして高透磁率の発現を阻害するので50ppm 以下にしておかなければならない、ことが記載されている。しかしながら、Mnと SO4 2-イオンを、この発明に従う範囲で含有する場合に、Bの影響が具体的にどの程度の量から始まるのかは、前記文献において不明であった。すなわち、上記した範囲のMnおよび SO4 2-イオンを含有する場合に、Bの混入量を8ppm 以下に抑制すれば最終フェライトコアでの初透磁率のばらつきを低減できることは、今回新たに見出されたものである。
【0025】
以上の酸化鉄を原料として、さらにMn源およびZn源とを乾式混合してから、仮焼後、成形、そして焼成することによって、高い初透磁率が均一に発現されるMn−Zn系フェライトを得ることができる。この発明におけるMn−Zn系フェライトの基本成分Fe2O3, MnO, ZnO は初透磁率をどの程度にとるか、室温付近で磁気異方性と磁歪が小さいことによるピーク(セカンダリーピーク) 、キュリー点をどの程度に設定するか、という観点から組成範囲を限定すればよい。
【0026】
通常、磁気異方性定数、磁歪定数が小さく、室温から 120℃程度の範囲の動作温度において、初透磁率が高く正の温度係数を持つことが要求されることから、 Fe2O3, MnO および ZnOの組成範囲を次のようにすることが好ましい。
MnO : 20 〜30mol%
ZnO : 18 〜25mol%
Fe2O3 : 残部
すなわち、MnO が 20mol%未満または30mol%を越えるか、あるいはZnO が18mol%未満または25mol%を越えると、スピネルの化学組成の変化により初透磁率が大幅に低下する。
【0027】
なお、 MnO, ZnO 原料としては、酸化物だけでなく焼成により、この形態に変わることのできる炭酸塩などの化合物を使用することができる。
この発明のMn−Zn系フェライトは、以上の基本組成を有するが、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化スズおよび酸化モリブデンのうち少なくとも一種を添加してもよい。このようなMn−Zn系フェライトとしては、
Fe2O3-ZnO-MnO-CaO-SiO2
Fe2O3-ZnO-MnO-CaO-Bi2O3
Fe2O3-ZnO-MnO-CaO-In2O3
Fe2O3-ZnO-MnO-CaO-TiO2
Fe2O3-ZnO-MnO-CaO-SiO2-Ta2O5
Fe2O3-ZnO-MnO-CaO-SiO2-Nb2O5Bi2O3
等が例示されるが、もとよりこれらの例に限定されるものではない。
【0028】
上記の組成において、CaO およびSiO2は粒界に偏析することによってMn−Zn系フェライトの低損失化に寄与し、Bi2O3, In2O3およびV2O5は低融点化合物として結晶成長を促進し高透磁率化に寄与する。 また、TiO2およびSnO2は結晶内部を高抵抗化することにより、そしてTa2O5 やNb2O5 は粒界を高抵抗化することにより、低損失化に寄与する。さらに、MoO3は均一な粒成長に寄与する。以上の観点から、酸化カルシウムの含有量は、 CaO換算として50〜1000質量ppm,二酸化ケイ素の含有量はSiO2換算として50〜200 質量ppm である。さらに、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化スズおよび酸化モリブデン等の含有量は、それぞれBi2O3, In2O3, Ta2O5, Nb2O5, TiO2, SnO2, MoO3に換算して、合計で3000質量ppm 程度以下であることが好ましい。
【0029】
なお、基本成分であるMnO ,ZnO およびFe2O3 の含有量は、MnO ,ZnO およびFe2O3 の合計量に対する mol%で示し、Na,B,P,CaO ,SiO2,Bi2O3 ,In2O3 ,Ta2O5 ,Nb2O5 ,TiO2,SnO2および MoO3 などの含有量は、Mn−Zn系フェライト中の質量ppm で示す。
【0030】
また、上記のフェライト原料用酸化鉄を、Mn源およびZn源と乾式混合してから、仮焼後、成形、そして焼成することによって、Mn−Zn系フェライトを製造することができる。
すなわち、上記した原料酸化鉄粉は、最終的に所望するフェライトの組成となるように、MnやZnなどの金属酸化物と粉砕混合する。この混合は、機械的に行うものであり、ここでは乾式での混合が可能であることは上述のとおりである。このとき、Ni、MgおよびCuなどの金属酸化物を添加してもかまわない。
【0031】
次いで、粉砕混合を終えた混合酸化物は、空気、窒素、あるいはそれらの混合ガス、又は、炭化水素燃料の燃焼排ガスなどの雰囲気中、最高700 〜1100℃で加熱することで仮焼する。仮焼には、ロータリーキルンなどを使用できる。
【0032】
仮焼した混合酸化物は、粉砕と同時に微量添加物を混合し、さらに、成形の後焼成する。この混合時、磁気特性向上のために、SiO2、CaO 、Bi2O3 ,In2O3 ,Nb2O5 ,TiO2,SnO2および MoO3 などの酸化物粉末を微量添加する。これら、微量添加物の添加量は、所望する磁気特性によって異なる。なお、V、Zr、Cr、Co、AlおよびMgの酸化物などを添加してもよい。こうして得られた混合粉砕粉は、通常、0.3 〜2μm程度の平均粒径に調整する。
【0033】
混合粉砕粉末には、通常、0.1 〜1質量%程度のポリビニルアルコール(PVA)に代表される成形助剤や0.01〜1質量%程度のステアリン酸亜鉛に代表される潤滑剤を混合し、−30mesh程度に造粒を行い、成形原料とする。
【0034】
成形原料は、例えば、10〜200MPa程度の圧力で所望の形状に金型成形する。かくして得られた成形体は、大気または窒素、あるいはそれらの混合ガス中で、最高1200〜1350℃程度で保持して焼成する。
【0035】
【実施例】
種々の量のBが混入した、塩酸を用いた鋼板酸洗廃液を原料として、スクラップ(製鉄所内発生の冷延鋼板スクラップ片)を理論消費量の5倍以上で充填したバッチ式の溶解槽において、充填物を温度90℃で2.5 時間撹拝して、原料中の遊離塩酸を中和するとともに、Fe3+をFe2+に還元してpHを2.7 に調整した。次に、液をスクラップ材と分離した後、酸化槽内で液温を70〜80℃に保ちながら、1.5〜2時間の間、空気を液中に分散させた。同時に、アンモニア水を添加し、空気酸化によるpH低下を防止あるいは任意のpH値にコントロールして溶液中のFe分の2〜4質量%を沈澱として析出するようにした。さらに、高分子凝集剤を撹拝添加後、静置して沈降分離し、清澄液を得た。最後に、この清澄な塩化鉄水溶液を噴霧焙焼炉で焙焼し、酸化鉄を得た。
【0036】
以上の一連の過程において、最初の鋼板塩酸廃液に塩化マンガンと硫酸鉄を予め混合し、得られた酸化鉄で種々のMn量、SO4 2- イオン量及びB量を含有する酸化鉄を得た。酸化鉄中のMn量、SO4 2- イオン量及びB量を、表1および2に示す。
【0037】
次いで、この酸化鉄を用いて、Mn−Zn系フェライトを作製した。すなわち、各成分の原料酸化物を振動ミルで10分間乾式混合した後、 925℃で3時間仮焼した。この基本原料に、表1および2に示す量の副成分をそれぞれ添加し、ボールミルで8時間粉砕し、成形加工によって焼成後に外径31mm、内径19mm、高さ8mmとなる多数のリング状成形体を製作した。次いで、これらリング状成形体を、焼成台板(300mm×300 mm)上に縦および横に各9列、5段積み(合計405 個)で並べて載置し、この台板を連続式焼成炉内に装入して、保持時間1350℃で2時間の焼成を酸素濃度の制御下に行った。フェライト中のMnO 、ZnO 、SiO2およびCaO 量を表1および2に示す。
【0038】
かくして得られたフェライトコアについて、その特性ばらつきを評価するために、各台板に載置した全コア 405個の10kHz,25℃における比初透磁率(μi /μ0 )の平均値xと標準偏差sを測定した。ばらつきの程度として変動係数s/x をそれぞれ計算した。その結果を表1および2に併記した。尚、比初透磁率(μi/μ0 )は、初透磁率μi を真空の透磁率μ0 で除した値である。
【0039】
【表1】
Figure 0004656778
【0040】
【表2】
Figure 0004656778
【0041】
表1および2から、比初透磁率の平均値は酸化鉄中のMn量、 SO4 2-イオン量およびB量に関わらず5000以上の高い値になっているが、この発明に従う発明例では、比初透磁率に対してその変動係数が10%以内の範囲になっており、極めてばらつきの少ない優れた高透磁率材となっていることがわかる。これらは酸化鉄中のMn含有量が0.15質量%以上 2.5質量%以下、S含有量が SO4 2-イオンとして0.060 質量%以上0.2 質量%以下、そしてB量が8重量ppm 以下の範囲で実現できることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、原料の混合をコストおよび生産性に劣る湿式混合によらずに、簡易かつ短時間で終了する乾式で行った場合にあっても、フェライトにおいて高い初透磁率が均一に発現されるフェライト原料用の酸化鉄が提供されるから、該酸化鉄を用いて、製造工程の簡便さ、生産性並びにコスト面で有利である乾式混合を用いた、高い透磁率が均一に発現されるMn−Zn系フェライトの製造を確立することができ、また高い初透磁率が均一に発現されるMn−Zn系フェライトを安価に提供できる。

Claims (2)

  1. Mn:0.15〜2.5 質量%および
    S:S04 2- として0.060 〜0.2 質量%を含有するフェライト用酸化鉄であって、Bの混入量を8質量ppm 以下に抑制したことを特徴とするフェライト原料用酸化鉄。
  2. 請求項1に記載のフェライト原料用酸化鉄と、Mn源およびZn源とを乾式混合してから、仮焼後、成形、そして焼成することを特徴とするMn−Zn系フェライトの製造方法。
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