JP2000277317A - 高透磁率Mn−Znフェライト原料酸化鉄および高透磁率Mn−Znフェライト - Google Patents
高透磁率Mn−Znフェライト原料酸化鉄および高透磁率Mn−ZnフェライトInfo
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Abstract
工程で製造が可能であり、しかも高透磁率特性に有害な
成分の含有量が少ない、極めて優れた高透磁率特性を有
する高透磁率Mn−Znフェライト原料酸化鉄およびこ
のような酸化鉄を用いた高透磁率Mn−Znフェライト
を提供すること。 【解決手段】 塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼
により、SiO2の含有量が0.01重量%以下、Pの
含有量が0.002重量%以下、不溶性Caの含有量が
0.003重量%以下の高透磁率Mn−Znフェライト
原料酸化鉄を得る。この酸化鉄を用いて製造されたMn
−Znフェライトは、10kHz、25℃における交流
初透磁率が10000以上である。
Description
nフェライト原料酸化鉄および高透磁率Mn−Znフェ
ライトに関する。
含有量の少ない酸化鉄を用いて製造されるが、中でもノ
イズフィルターやチョークコイルなどに好んで用いられ
る材料は高い透磁率を得るために、特に不純物含有量が
低いことが求められている。
面を塩酸酸洗した排液から塩酸を回収する際に副生する
酸化鉄が利用されるため、鋼板中の不純物や工業用水中
の不純物等が多量に混入している。この不純物を除去し
て高透磁率Mn−Znフェライト原料に用いることがで
きる組成とするため、各種技術が提案されている。
は、特開平7−176420号公報にも記載されている
ように結晶精製法が知られている。この方法は、硫酸鉄
や塩化鉄の水溶液から硫酸鉄や塩化鉄の結晶を晶出さ
せ、この結晶を酸化させて酸化鉄とする。しかし、この
方法では、不純物の一部が結晶中に混入するため、一回
の晶出では必ずしも十分ではなく、晶出結晶を不純物を
含まない水に溶解して再度晶出させる等の処理を繰り返
す必要が生じる。また、結晶晶出時の偏析を利用してい
るため、不純物の種類により偏析度が異なり、偏析度の
小さい不純物を低減しようとすると、何度も再溶解・再
晶出を繰り返さなければならない。この方法は再溶解・
再晶出の回数を増やせば原理的に全ての種類の不純物を
必要なだけ低減することができるという利点はあるが、
当然コストが莫大なものになってしまう。現実的には一
部の不純物が残存したまま適当な回数で打ち切ることに
なるが、それでも製造工程が煩雑でコストが高いという
欠点は完全には解消されていない。
特性に有害な不純物とそうでないものがあり、必ずしも
全ての種類の不純物を低減させる必要はない。
iO2を挙げることができ、これを低減する方法は従来
より各種のものが提案されている。例えば、特公昭50
−17360号公報には、400〜800℃で副生した
酸化鉄をアンモニア水で洗浄することによりSiO2を
低減する方法が、特公昭61−31056号公報には、
塩酸酸洗排液を高温ガスと接触させてSiO2を熱重縮
合させた後、高分子凝集剤を添加して凝集SiO2を濾
過分離する方法が、特公平7−42118号公報には、
塩酸酸洗排液にAl等の金属を添加した後アルカリ液の
添加によりpHを上げ、晶出した添加金属の水酸化物に
SiO2を吸着させ、さらに凝集剤を加えて水酸化物と
SiO2を共沈させる方法がそれぞれ開示されている。
り、例えば上記特開平7−176420号公報ではPの
有害性に着目し、塩化鉄溶液に硝酸を加えて煮沸した
後、軟鋼板を溶解させてpHを上げ、生成した不純物を
濾過分離することにより、Pのみを優先的に除去するこ
とが示されている。この方法により酸化鉄中のPを0.
005重量%以下にすれば、1kHz、25℃において
9300以上の交流初期透磁率が得られることが開示さ
れている。
電子部品の高特性化のニーズはさらに高まり、透磁率も
10kHzで10000以上あるいは15000以上と
いった従来では考えられない値のものが求められるよう
になっており、本発明者の実験によればMn−Znフェ
ライトに用いる酸化鉄のSiO2およびPの量を低減さ
せることだけでは、10kHz、25℃での初期透磁率
が10000以上という特に高い透磁率を得ることが困
難であることが判明した。
であって、コストが高い製造方法によらずに簡易な製造
工程で製造が可能であり、しかも高透磁率特性に有害な
成分の含有量が少ない、極めて優れた高透磁率特性を有
する高透磁率Mn−Znフェライト原料酸化鉄およびこ
のような酸化鉄を用いた高透磁率Mn−Znフェライト
を提供することを目的とする。
z、25℃での初期透磁率が10000以上という極め
て高い透磁率を得るために、SiO2およびP以外にど
のような不純物を低減する必要があるのか鋭意研究を重
ねた。その結果、10kHz、25℃で10000以上
という高い透磁率を得るためには、原料酸化鉄のSiO
2およびPの量を低減することに加え、さらに不溶性C
aを低減する必要があることを見出した。
際、文献(電子材料シリーズ フェライト 丸善株式会
社 昭和61年 P45〜47)にも記載されているよ
うに、焼結助剤または粒界高抵抗化のためにCaが0.
005〜0.02%程度添加される。また、このように
Caを添加することは特開平10−50512号公報に
も記載されている。ここで疑問となることは、このよう
に元々原料酸化鉄中に含まれる以上のCaが後から添加
されるにもかかわらず、なぜ原料酸化鉄中のCaを低減
させることにより透磁率が向上するのかという点であ
る。
果、原料酸化鉄中のCaのうち、水または酸化鉄を溶解
しない程度の弱酸水溶液もしくはアルカリ水溶液に溶解
するCaは透磁率に大きな影響を及ぼさないものの、こ
れらに溶解しないCaが高透磁率を得るために極めて有
害であり、これら溶媒に溶解しないCaを0.003重
量%以下にする必要があることを突き止めた。
程度の弱酸水溶液もしくはアルカリ水溶液に溶解しない
Caとは、酸化鉄粉末をこれら溶媒中に投入しスラリー
状にした後濾別・脱水しても、酸化鉄中から上記溶媒中
に移行しないCaのことを指し、以後これを不溶性Ca
と呼ぶ。また、逆に酸化鉄中から溶媒中に移行するCa
を可溶性Caと呼び、可溶性Caと不溶性Caとの合計
を全Caと呼ぶ。
であり、以下の(1)〜(5)を提供するものである。 (1)塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼により製
造された高透磁率Mn−Znフェライト原料酸化鉄であ
って、SiO2の含有量が0.01重量%以下、Pの含
有量が0.002重量%以下、不溶性Caの含有量が
0.003重量%以下であることを特徴とする高透磁率
Mn−Znフェライト原料酸化鉄。
焙焼により製造された高透磁率Mn−Znフェライト原
料酸化鉄であって、SiO2の含有量が0.01重量%
以下、Pの含有量が0.002重量%以下、不溶性Ca
の含有量が0.003重量%以下であり、かつ全Ca含
有量が不溶性Caの含有量以上、0.015重量%以下
であることを特徴とする高透磁率Mn−Znフェライト
原料酸化鉄。
焙焼により製造された酸化鉄を用いて製造された高透磁
率Mn−Znフェライトであって、前記酸化鉄は、Si
O2の含有量が0.01重量%以下、Pの含有量が0.
002重量%以下、不溶性Caの含有量が0.003重
量%以下であることを特徴とする高透磁率Mn−Znフ
ェライト。
焙焼により製造された酸化鉄を用いて製造された高透磁
率Mn−Znフェライトであって、前記酸化鉄は、Si
O2の含有量が0.01重量%以下、Pの含有量が0.
002重量%以下、不溶性Caの含有量が0.003重
量%以下であり、かつ全Ca含有量が不溶性Caの含有
量以上、0.015重量%以下であることを特徴とする
高透磁率Mn−Znフェライト。
Mn−Znフェライトにおいて、10kHz、25℃で
の交流初透磁率が10000以上であることを特徴とす
る高透磁率Mn−Znフェライト。
ような存在形態となっているかについては、含有量が極
微量なので解析できていないが、不溶性Caは酸化鉄粒
子の内部にMn−Znフェライトと同じスピネル構造の
カルシウムフェライトのような形で結晶格子中に取り込
まれたものと推測され、可溶性Caは酸化鉄粒子の表面
近傍にCaO、Ca(OH)2、CaCl2のような状
態で単に付着または固溶しているものと推測される。
されるCaは当然、可溶性Caであり、磁気特性にはあ
まり影響を及ぼさず、焼結の促進や粒界の高抵抗化に有
効な作用を及ぼす。
までは拡散せず、結晶のMn−Znフェライトと同じス
ピネル構造を保ったまま結晶中に残留し、磁壁移動を妨
げることにより透磁率を劣化させるものと推測される。
を低減させなければならない理由も推測することができ
る。SiO2は上記文献にも記載されているように、粒
界高抵抗化と焼結促進効果を有する。SiO2の高い酸
化鉄を用いてMn−Znフェライトを製造すると、異常
粒成長を起こして粗大粒が発生し特性が劣化することは
周知の事実である。Pも微量で異常粒成長を引き起こす
不純物として知られている。すなわち、粒成長を促進す
る不純物がある量以上含まれていると結晶粒成長が速す
ぎて、可溶性Caのように本来粒界に拡散していくべき
不純物も結晶粒内に一部とりこまれてしまい、磁壁移動
を妨げて透磁率の劣化を引き起こす。
てを所定値以下に低減することが、高透磁率特性を発揮
するために必要なことが理解できる。
物の種類と限界量を特定することにより、結晶精製法の
ようにコストをかけて全ての不純物を一律に低減する必
要をなくしたものであり、高透磁率特性に特に有害な特
定の不純物のみを重点的に除去するかまたはそれらが混
入する原因を排除する等の方法により、簡易に高透磁率
Mn−Znフェライト用原料酸化鉄およびそれを用いた
高透磁率Mn−Znフェライトを得るものである。
明する。本発明に係る高透磁率Mn−Znフェライト原
料酸化鉄は、塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼に
より製造され、SiO2の含有量が0.01重量%以
下、Pの含有量が0.002重量%以下、不溶性Caの
含有量が0.003重量%以下である。
に高コストで製造された酸化鉄ではなく、比較的安価に
量産可能な塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼によ
り製造された酸化鉄を対象とする。
焙焼または流動焙焼により塩酸回収を行う際、鋼板の塩
酸酸洗排液に溶解しているCaが水の蒸発により酸化鉄
に移行したものである。さらに遡って塩酸酸洗排液中の
Caの由来を調べた結果、大部分は噴霧焙焼または流動
焙焼の排ガス中のHClガスを吸収して回収塩酸を生成
する際、吸収水として使用される工業用水中のCaに由
来していることが判明した。
ているCaと酸化鉄中の不溶性Caおよび可溶性Caと
の関係についても研究した結果、塩酸酸洗排液中から酸
化鉄へ移行する不溶性Caと可溶性Caの比率は主とし
て焙焼温度により影響を受け、焙焼温度が高ければ不溶
性Caの比率が高く、低ければ可溶性Caの比率が高く
なることを見出した。そして、焙焼条件にもよるが、概
ね塩酸酸洗排液中の全Caのうち20〜70%程度が不
溶性Caとして酸化鉄中に移行し、残部が可溶性Caと
して移行する。ただし、この焙焼温度は、残留Clレベ
ルや圧縮密度、平均粒径といった粉体特性にも影響する
ため、必ずしも条件を自由に選択することはできない。
は、特公昭50−17360号公報にも記載されている
ように、酸化鉄をアンモニア水またはアンモニアと塩化
アンモニウムの混合水溶液で洗浄する方法が知られてい
る。しかし、この方法は可溶性Caを低減するのみで不
溶性Caを低減することはできず、かつアンモニア等の
溶媒コストや洗浄後の排水処理のコストもかかり、高価
なものとなる。
は、回収塩酸を生成する際の吸収水の一部または全部に
Caが除去されたイオン交換水を用いることである。こ
の方法によれば、塩酸酸洗排液中のCaが減少し、酸化
鉄に移行するCaが減少し、同一焙焼条件ならば不溶性
Caも減少する。
と残留Caがほとんど0のイオン交換水との混合比率を
制御すれば、残留Clレベルや粉体特性から制約された
特定の焙焼温度に対し、不溶性Caを高透磁率MnZn
フェライト原料酸化鉄として必要なレベルに制御するこ
とができる。なお、イオン交換水の代わりに蒸留法等に
よりCa等のイオンを除去した水を用いても同じことで
ある。
中の不溶性Caの量を0.003重量%以下に制御す
る。0.003重量%以下であれば、この酸化鉄を用い
て製造したMn−Znフェライトの磁壁移動を妨げず、
10kHz、25℃での交流初透磁率が10000以上
という良好な高透磁率特性を得ることが可能である。一
方、0.003重量%を超えるとフェライトの磁壁移動
を妨げるようになり高透磁率特性を低下させる。
以下が好ましく、さらには0.001重量%が好まし
い。不溶性Caが0.002重量%であれば他の不純物
を適切に調整することにより、製造されたフェライトの
10kHz、25℃での交流初透磁率を13000以上
という極めて高い値を得ることが可能となり、0.00
1重量%以下では15000以上というさらに高い値を
得ることが可能となる。
は透磁率特性にあまり影響を及ぼさないが、現実的な焙
焼条件下では、全Caが増加すると不溶性Caも増加し
てしまうこと、および可溶性Caといえどもあまり含有
量が多くなるとフェライト製造時に粒界に拡散しきれな
くなるおそれがあることから、高透磁率特性を得る観点
からは、事実上全Ca含有量は0.015重量%程度が
限界である。したがって、好ましい範囲として全Ca含
有量を0.015重量%と規定した。
よびPの含有量は、それぞれ0.01重量%以下、0.
002重量%以下とする。SiO2およびPがこの範囲
を超えると、異常粒成長が生じて高透磁率特性が劣化す
る。
ような酸化鉄原料を用いて常法に従って製造される。す
なわち、以上のような酸化鉄原料に対し、所定量の酸化
マンガン原料および酸化亜鉛原料を混合し、仮焼し、成
形し、焼成することにより所定形状のMn−Znフェラ
イトを得ることができる。このようにして製造されたM
n−Znフェライトは、使用する酸化鉄原料のSi
O2、P、および不溶性Caの量を上述のように極微量
としたことにより、上述したように10kHz、25℃
で10000以上という極めて高い透磁率を得ることが
できる。また、不溶性Caを0.002重量%以下、さ
らには0.001重量%とすることにより、上述したよ
うに、透磁率を13000、さらには15000という
極めて高い値とすることが可能となる。
化鉄原料は、どの不純物が有害であるかの知見が必ずし
も十分でないまま、全不純物をできるだけ低減させてき
た。また、特開平7−176420号公報に開示された
技術では、Pが高透磁率特性に有害であることを知見
し、Pを重点的に低減して高透磁率を得ることができる
としている。しかし、近年の電子部品の高特性化のニー
ズはさらに高まり、透磁率も10kHzで10000以
上あるいは15000以上といった従来では考えられな
い値がものが求められるようになっており、従来技術で
は対応することができなくなりつつあった。
ライトに用いる酸化鉄原料中の効果を系統的に調査する
ことにより真に有害な不純物の種類と限界量を明らかに
することにより、簡易な製造方法により有害不純物のみ
を限界量以下に低減せしめた新規な酸化鉄、およびそれ
を用いた安価で高特性のMn−Znフェライトを提供す
ることができる。
n−Znフェライト用酸化鉄を製造した。この設備は、
噴霧焙焼炉1と、その後流側に配置され、噴霧焙焼炉1
からのガスに水を供給して塩酸を回収する塩酸吸収塔2
と、酸洗ライン3からの排液を脱珪・脱リンする脱珪・
脱リン装置5とを有している。
有量が20ppmの工業用水と残留Caが実質的に存在
しない(Tr.の)イオン交換水を1:2の比率で混合
した水に切り換えて回収塩酸を製造した。それを酸洗ラ
イン3に送り、鋼板4の表面を酸洗後、戻ってきた廃酸
に脱珪・脱リン装置5により脱珪および脱リン処理を施
した。脱珪および脱リン処理の方法は特に限定されずど
のような方法であってもよいが、水酸化金属共沈法(特
公平7−42118号公報参照)が簡易で効率的なの
で、ここでは、その水酸化金属共沈法を用いた。なお、
特公平7−42118号公報にはPについては記載され
ていないが、この技術は脱珪と脱リンとが同時に行われ
るものである。この公報の実施例1、ケース1と同様の
方法でAlを添加し、廃酸を生成した後、噴霧焙焼炉1
で700℃で焙焼して酸化鉄を得た(実施例1)。この
際の酸化鉄中の不純物は、SiO2=0.005重量
%、P=0.001重量%、全Ca=0.007%であ
った。この酸化鉄を10倍重量のイオン交換水中に投入
・撹拌した後、濾過・乾燥して不溶性Ca量を測定した
ところ、不溶性Ca=0.002重量%であった。さら
に特公昭50−17260号公報の実施例1に従ってア
ンモニア水の洗浄も行ってみたが、不溶性Ca=0.0
02重量%と同じ値を示した。
加量および焙焼温度を変化させ、実施例1と同様の方法
で種々の不純物含有量の酸化鉄を製造した(実施例2〜
8、比較例1〜8)。この際の不純物含有量を実施例1
も含めて表1に示す。なお、Ca含有量は工業用水とイ
オン交換水の比率を変えることにより変化させ、SiO
2およびP含有量は、特公平7−42118号公報の実
施例1、ケース1の方法に従ってAl量を変えることに
より変化させた。また表2中における各不純物の量はp
pmで表示してある。
対し、Mn3O4、ZnOを、Fe2O3:MnO:Z
nOのモル比が52.5:25.5:22.0になるよ
うに混合した後、大気中で950℃、1時間の仮焼を施
した。この仮焼粉に添加物としてSiO2を100pp
m、CaOを150ppm添加し、湿式ボールミルで2
時間粉砕混合した後、バインダーとして原料に対して2
重量%のポリビニルアルコールを加え、スプレードライ
ヤーで造粒し、50メッシュ篩にて整粒した顆粒を圧縮
成形機で外径16.8mm、内径8.5mm、高さ5.
4mmのリング状コアに成形し、これを1360℃で酸
素分圧5%の雰囲気中で焼成した。得られた焼結体の1
0kHz、25℃での交流初透磁率を測定した。その結
果を表1に示す。
よびCaがともに低いほど透磁率特性が良くなり、酸化
鉄のSiO2の含有量が0.01重量%(100pp
m)以下、Pの含有量が0.002重量%(20pp
m)以下、不溶性Caの含有量が0.003重量%(3
0ppm)以下の条件を全て満たす実施例1〜8におい
て、10kHz、25℃における交流初透磁率が100
00を超えた。その中でも酸化鉄の不純物が特に少な
く、不溶性Caが10ppmの実施例2において150
00を超える交流初透磁率が得られた。また、SiO2
の含有量50ppm、Pの含有量が10ppmで、不溶
性Caが20ppmの実施例1において13000を超
える交流初透磁率が得られた。これに対して、酸化鉄の
SiO2の含有量が0.01重量%以下、Pの含有量が
0.002重量%以下、不溶性Caの含有量が0.00
3重量%以下のいずれかを満たさない比較例1〜8は、
10kHz、25℃における交流初透磁率が10000
未満であった。
Mn−Znフェライトの高透磁率特性に悪影響を及ぼす
不純物とその限界量が明らかとなり、コストが高い製造
方法によらずに簡易な製造工程で製造が可能であり、し
かも高透磁率特性に有害な成分の含有量が少ない、極め
て優れた高透磁率特性を有する高透磁率Mn−Znフェ
ライト原料酸化鉄およびこのような酸化鉄を用いた高透
磁率Mn−Znフェライトを得ることができる。
図。
Claims (5)
- 【請求項1】 塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼
により製造された高透磁率Mn−Znフェライト原料酸
化鉄であって、SiO2の含有量が0.01重量%以
下、Pの含有量が0.002重量%以下、不溶性Caの
含有量が0.003重量%以下であることを特徴とする
高透磁率Mn−Znフェライト原料酸化鉄。 - 【請求項2】 塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼
により製造された高透磁率Mn−Znフェライト原料酸
化鉄であって、SiO2の含有量が0.01重量%以
下、Pの含有量が0.002重量%以下、不溶性Caの
含有量が0.003重量%以下であり、かつ全Ca含有
量が不溶性Caの含有量以上、0.015重量%以下で
あることを特徴とする高透磁率Mn−Znフェライト原
料酸化鉄。 - 【請求項3】 塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼
により製造された酸化鉄を用いて製造された高透磁率M
n−Znフェライトであって、前記酸化鉄は、SiO2
の含有量が0.01重量%以下、Pの含有量が0.00
2重量%以下、不溶性Caの含有量が0.003重量%
以下であることを特徴とする高透磁率Mn−Znフェラ
イト。 - 【請求項4】 塩化鉄水溶液の噴霧焙焼または流動焙焼
により製造された酸化鉄を用いて製造された高透磁率M
n−Znフェライトであって、前記酸化鉄は、SiO2
の含有量が0.01重量%以下、Pの含有量が0.00
2重量%以下、不溶性Caの含有量が0.003重量%
以下であり、かつ全Ca含有量が不溶性Caの含有量以
上、0.015重量%以下であることを特徴とする高透
磁率Mn−Znフェライト。 - 【請求項5】 10kHz、25℃での交流初透磁率が
10000以上であることを特徴とする請求項3または
請求項4に記載の高透磁率Mn−Znフェライト。
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JP2006263630A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Jfe Chemical Corp | 脱酸素剤用鉄粉及びその製造方法 |
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- 1999-03-23 JP JP07724899A patent/JP3633823B2/ja not_active Expired - Fee Related
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