JP4652622B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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- B60C11/03—Tread patterns
- B60C11/0318—Tread patterns irregular patterns with particular pitch sequence
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッド面にタイヤ周方向に延びる複数の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数の横溝を有し、縦溝と横溝とで囲まれたブロックを有するタイヤにおいて、タイヤ1回転中のブロックの周方向ピッチ長を変化させることによって、タイヤ走行時に発生するトレッドパターンノイズを低減させる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
トレッド面にタイヤ周方向に延びる複数の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数の横溝を有し、縦溝と横溝とで囲まれたブロックを有する従来の空気入りタイヤでは、接地時にタイヤのパターンによって生じる騒音を低減させるために、縦溝深さは周方向に亘り同じ深さで、ブロックの周方向ピッチ長の異なる複数種類のピッチ長を周上で配置するいわゆるバリアブルピッチ配置法のトレッドパターンが採用されている。
【0003】
しかしながら、バリアブルピッチ配置法によって、トレッドパターンノイズを低減させるには、ブロックの周方向ピッチ長の差を大きく変化させないと、騒音低減効果が充分発揮できない。その結果、ブロックの周方向ピッチ長の大小によるブロックの法線方向の剛性に大小が生じ、タイヤ接地時にブロックの周方向ピッチ長の小さいブロックはブロックの周方向ピッチ長の大きいブロックよりも動き易くブロックの周方向ピッチ長の大きいブロックよりも早く摩耗が進行してトレッド面に偏摩耗が発生する。
【0004】
従来、バリアブルピッチ配置法において、騒音発生や偏摩耗を防止するため各種の提案がなされているが、トレッドパターンノイズと偏摩耗の両者を同時に充分に改善する発明は提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の課題は、トレッド面にタイヤ周方向に延びる複数の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数の横溝を有し、前記縦溝と前記横溝とで囲まれ、タイヤ周方向に少なくとも2種類の異なる周方向ピッチ長で配列された複数のブロックを有するいわゆるバリアブルピッチ配置法によるトレッドパターンを有する空気入りタイヤにおいて、トレッドパターンノイズを低減させると共に、ブロックの周方向ピッチ長の大きさによる偏摩耗を低減することである。
従って、本発明の目的はトレッドパターンノイズを低減させると共に、ブロックの周方向ピッチ長の大小差による偏摩耗を低減した空気入りタイヤを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明は、トレッド面にタイヤ周方向に延びる複数の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数の横溝を有し、前記縦溝と前記横溝とで囲まれ、タイヤ周方向に少なくとも2種類の異なる周方向ピッチ長で配列された複数のブロックを有する空気入りタイヤにおいて、
上記タイヤ周方向に同列に配列された各ブロックにそれぞれ隣接している縦溝の少なくとも片側の溝深さを、それぞれのブロックの周方向ピッチ長に対応させて少なくとも2種類の異なる溝深さで構成し、
相対的にピッチ長が大きなブロックに隣接する縦溝の溝深さを、ピッチ長が小さいブロックに隣接する縦溝の溝深さより深くした縦溝の配列要素を備えたことを特徴としている。
【0007】
例えば、タイヤ周方向に同列に配列された各ブロックのピッチ長が2種類の場合、ブロックの周方向ピッチ長が大きなブロックに隣接する縦溝の少なくとも片側の溝深さをブロックの周方向ピッチ長が小さいブロックに隣接する縦溝の溝深さよりも深くする。ピッチ長が大、中、小3種類ある場合、ピッチ長が大、中、小3のブロックに隣接する縦溝の少なくとも片側の溝深さをピッチ長の大、中、小の順に最大深さ、中間深さ、最小深さとする。
【0008】
上記構成を採った本発明の空気入りタイヤでは、タイヤ周方向において、縦溝深さが周方向に亘り同じ深さで、ピッチ長の異なる複数種類のピッチを周上で配置したいわゆる従来技術のバリアブルピッチ配置法を採ったタイヤに比較して、ピッチ長の大小によるブロックの法線方向の剛性差が小さくなり、タイヤ接地時にブロックの周方向ピッチ長の大小によって生じる動きの差が小さくなり、ブロックの周方向ピッチ長の小さいブロックとブロックの周方向ピッチ長の大きいブロックとの摩耗速度差が小さくなり、その結果、トレッド面の偏摩耗が改善される。また、バリアブルピッチ配置法によるトレッドパターンノイズ低減効果も発揮させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に基づき説明する。図1は本発明に係る空気入りタイヤの一実施形態を示すトレッドパターンの概略展開図である。図2は図1におけるタイヤ回転軸に沿ったトレッド断面概略図で図2(a)は図1のA−A破線に沿ったトレッド断面概略図、図2(b)は図1のB−B破線に沿ったトレッド断面概略図、図2(c)は図1のC−C破線に沿ったトレッド断面概略図である。図3は各縦溝及び横溝の深さを示す概略図で、図3(a)は図1における縦溝及び横溝のタイヤ周方向Rに沿ったトレッド断面位置(破線I−I、II−II、III−III、IV−IV、V−V、VI−VI、VII−VII、VIII−VIII、IX−IX)を示す図で、図3(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)はそれぞれ上記断面位置(破線I−I、II−II、III−III、IV−IV、V−V、VI−VI、VII−VII、VIII−VIII、IX−IX)における断面概略図である。
【0010】
図1において、Rはタイヤ周方向、1はタイヤトレッド面、2はタイヤトレッド面1をタイヤ周方向Rに連なる縦溝、3はタイヤ幅方向に延びる横溝、4は縦溝2と横溝3とで囲まれたブロック、P1、P2、P3はそれぞれ最大ピッチ長を有するブロック411、中間ピッチ長を有する412、最小ピッチ長を有する413のタイヤ周方向Rに沿ったピッチ、CLはタイヤ赤道ライン、図2におけるd1、d2、d3はそれぞれ図1のA−A破線、B−B破線、C−C破線に沿ったトレッド断面における縦溝深さである。
【0011】
なお、本実施形態においては、縦溝2が4本配列されていて、タイヤ幅方向に5箇所ブロック4が配され、図1の前記A−A破線に沿ったブロック421、431、441、451のタイヤ周方向Rに沿ったピッチ長は何れもブロック411のピッチP1と同じ、前記B−B破線に沿ったブロック422、432、442、452のタイヤ周方向Rに沿ったピッチ長は何れもブロック412のピッチP2と同じ、前記C−C破線に沿ったブロック423、433、443、453のタイヤ周方向Rに沿ったピッチ長は何れもブロック413のピッチP3と同じで、タイヤ幅方向の5箇所のブロックともタイヤ周方向Rに同列に配列された各ブロックのピッチ長が3種類配されている。(図1ではブロック411、412、413以外のブロックの符号P1、P2、P3は省略している。)
【0012】
また、図2に示すように前記A−A破線に沿った縦溝21A、22A、23A、24Aの溝深さは何れもd1、前記B−B破線に沿った縦溝21B、22B、23B、24Bの溝深さは何れもd2、前記C−C破線に沿った縦溝21C、22C、23C、24Cの溝深さは何れもd3である。
【0013】
図1に示すように、タイヤ周方向Rに沿ったピッチ長は前記A−A破線に沿ったブロック411、421、431、441、451のP1が最大、前記C−C破線に沿ったブロック413、423、433、443、453のP3が最小、前記B−B破線に沿ったブロック412、422、432、442、452のP2がその中間となっている。また、図2に示すように縦溝深さは前記A−A破線に沿った縦溝21A、22A、23A、24Aの溝深さd1が最深、前記C−C破線に沿った縦溝21C、22C、23C、24Cの溝深さd3が最浅、前記B−B破線に沿った縦溝21B、22B、23B、24Bの溝深さd2がその中間となっている。
【0014】
また、図3において、横溝3は全てその長手方向に亘って同一深さ(図示せず)で、破線2BL−II、2BL−IV、2BL−VI、2BL−VIIIは縦溝2の溝底である。
図3に示すように本実施形態のタイヤにおいて、タイヤ周方向Rに延びる縦溝2はタイヤ幅方向中央部ブロック4C、タイヤ幅方向中間部ブロック4M、タイヤ幅方向肩部ブロック4Sの何れのブロック列においても各ブロックに隣接する縦溝深さは各ブロックの周方向ピッチ長の大小に応じて変化していて、当該ブロックの周方向ピッチ長が最大のブロックに隣接する縦溝は深さが最も深く、当該ブロックの周方向ピッチ長が最小のブロックに隣接する縦溝は深さが最も浅く、当該ブロックの周方向ピッチ長が中間のブロックに隣接する縦溝は深さがその中間となっている。
【0015】
なお、図1〜図3に示す本実施形態のタイヤの場合、タイヤ幅方向肩部ブロック4Sとタイヤ幅方向中間部ブロック4Mとで挟まれた縦溝2の溝深さはタイヤ幅方向肩部ブロック4Sのタイヤ赤道ライン側の縦溝の溝深さ、タイヤ幅方向中間部ブロック4Mとタイヤ幅方向中央部ブロック4Cとで挟まれた縦溝2の溝深さはタイヤ幅方向中間部ブロック4Mのタイヤ赤道ライン側の縦溝の溝深さで、各ブロックにそれぞれ隣接している少なくとも片側の縦溝の溝深さが、タイヤ赤道ライン側の縦溝の溝深さとしている。
【0016】
本発明は前記のように、従来技術のバリアブルピッチ配置法を採ったタイヤに比較して、ピッチ長の大小によるブロックの法線方向の剛性差が小さくなるようにブロックに隣接する縦溝深さを変更することが重要であり、図1に示す例のように肩部のブロック列とその隣のブロック列で周方向長さが異なるブロックが重なる部分がある場合においては、偏摩耗を防止する上で、どちらのブロック列のブロックの剛性差を少なくすれば効果的かを判断することによって、選択する。図1の場合は、偏摩耗の発生し易い肩部のブロック列においてブロックの大小による剛性差を少なくするのが望ましいので、肩部のブロック列のタイヤ赤道ライン側の縦溝の溝深さを肩部のブロック列の周方向ピッチ長に対応させて変化させている。
【0017】
本発明では、相対的にピッチ長が大きなブロックに隣接する縦溝の溝深さを、ピッチ長が小さいブロックに隣接する縦溝の溝深さより深くした縦溝の配列要素を備えていれば本発明の効果が得られ、例えば、ブロックの周方向ピッチ長が4種類あって、その内、周方向ピッチ長の最大のブロックに隣接している少なくとも片側の縦溝の溝深さと周方向ピッチ長の最小のブロックに隣接している少なくとも片側の縦溝の溝深さのみを変更して残りのブロックの周方向ピッチ長のブロックに隣接している縦溝の溝深さは変更しない構成とした場合も偏摩耗が改善される。
【0018】
なお、本発明では、それぞれのブロックの周方向ピッチ長に対応させて少なくとも2種類の異なる溝深さで構成し、相対的にピッチ長が大きなブロックに隣接する縦溝の少なくとも片側の溝深さを、ピッチ長が小さいブロックに隣接する縦溝の溝深さより深くする構成を、タイヤ幅方向の全ての位置におけるブロックのタイヤ周方向列に適用する以外に、タイヤ幅方向におけるブロックのタイヤ周方向列の偏摩耗の発生し易い列、例えば肩部のみのブロック列に適用させる構成を採ることもできる。
【0019】
本実施形態のタイヤでは、上記のようにバリアブルピッチ配置法のブロック配置を採っているが、前記ブロックの周方向ピッチ長が大きなブロック程、当該ブロックに隣接する縦溝の少なくとも片側の溝深さが、前記ブロックの周方向ピッチ長が小さいブロックに隣接する縦溝の溝深さよりも深い構成としているので、ブロックの周方向ピッチ長の大小によるブロックの法線方向の剛性差がブロックに隣接する縦溝深さがタイヤ周方向で不変の従来技術のバリアブルピッチ配置法に比べて少なくなる。
その結果、本実施形態のタイヤでは、トレッドパターンノイズを低減させると共に、ブロックの周方向ピッチ長の大きさによる偏摩耗を低減することができる。
【0020】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の空気入りタイヤの実施例について詳細に説明する。図1に示すトレッドパターンの概略展開図を有し、図2及び図3に示す縦溝及び横溝構造を有するタイヤサイズ11R22.5 144/141Lのタイヤで、表1に示すタイヤ外径、トレッド幅、ピッチ数、ピッチ長、ブロック長さ、ブロック幅、溝深さを有する本発明の実施例1のタイヤと比較例1として表1に示すように縦溝深さがタイヤ周方向Rの全長に亘って一定である点のみが実施例1と異なるタイヤを作成してタイヤ走行時の騒音評価と摩耗評価を実施した。
【0021】
【表1】
【0022】
騒音評価は室内台上ドラム試験機で、JASO−C606試験法に基づき、空気圧760KPa、荷重2725kgで、走行速度を時速20kmから時速10kmずつ段階的に増して最高速度120kmまで走行させて騒音を測定してオーバーオールレベルの平均値で評価を行い、比較例1を100として表示した。数値が小さい程、騒音レベルが良好である。
【0023】
摩耗評価は車両の前輪(操舵軸)に装着してタイヤ1本当たり2800kgの荷重で一般舗装路を50000km走行し、偏摩耗性は最大ブロックと最小ブロックとの摩耗量の差を比較し、比較例1を100として表示した。数値が小さい程、偏摩耗性が良好である。また、摩耗速度は前記50000km走行後、全ブロックの摩耗量を走行距離で除し比較例1を100として表示した。数値が小さい程、摩速度が遅く良好である。
【0024】
評価結果を表2に示す。
【表2】
【0025】
表2に示すように本発明の実施例1のタイヤは比較例1のタイヤに比較して騒音、偏摩耗、摩耗速度の何れの評価においても優れている。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、トレッド面にタイヤ周方向に延びる複数の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数の横溝を有し、前記縦溝と前記横溝とで囲まれ、タイヤ周方向に少なくとも2種類の異なる周方向ピッチ長で配列された複数のブロックを有する空気入りタイヤにおいて、
上記タイヤ周方向に同列に配列された各ブロックにそれぞれ隣接している縦溝の少なくとも片側の溝深さを、それぞれのブロックの周方向ピッチ長に対応させて少なくとも2種類の異なる溝深さで構成し、
相対的にピッチ長が大きなブロックに隣接する縦溝の溝深さを、ピッチ長が小さいブロックに隣接する縦溝の溝深さより深くした縦溝の配列要素を備えたことを特徴としている空気入りタイヤであるため、トレッドパターンノイズを低減させると共に、ブロックの周方向ピッチ長の大きさによる偏摩耗の低減を図ることができると共に、タイヤの偏摩耗防止を図ることができる空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気入りタイヤの一実施形態を示すトレッドパターンの概略展開図である。
【図2】図2は図1におけるタイヤ回転軸に沿ったトレッド断面概略図で図2(a)は図1のA−A破線に沿ったトレッド断面概略図、図2(b)は図1のB−B破線に沿ったトレッド断面概略図、図2(c)は図1のC−C破線に沿ったトレッド断面概略図である。
【図3】図3は各縦溝及び横溝の深さを示す概略図である。
【符号の説明】
1 タイヤトレッド面
2 縦溝
3 横溝
4 ブロック
411 ブロック
412 ブロック
413 ブロック
P1 最大ピッチ
P2 中間ピッチ
P3 最小ピッチ
d1 最大縦溝深さ
d2 中間縦溝深さ
d3 最小縦溝深さ
Claims (1)
- トレッド面にタイヤ周方向に延びる複数の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数の横溝を有し、前記縦溝と前記横溝とで囲まれ、タイヤ周方向に少なくとも2種類の異なる周方向ピッチ長で配列された複数のブロックを有する空気入りタイヤにおいて、
上記タイヤ周方向に同列に配列された各ブロックにそれぞれ隣接している縦溝の少なくとも片側の溝深さを、それぞれのブロックの周方向ピッチ長に対応させて少なくとも2種類の異なる溝深さで構成し、
相対的にピッチ長が大きなブロックに隣接する縦溝の溝深さを、ピッチ長が小さいブロックに隣接する縦溝の溝深さより深くした
縦溝の配列要素を備えたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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