JP2973022B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

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JP2973022B2 JP2266640A JP26664090A JP2973022B2 JP 2973022 B2 JP2973022 B2 JP 2973022B2 JP 2266640 A JP2266640 A JP 2266640A JP 26664090 A JP26664090 A JP 26664090A JP 2973022 B2 JP2973022 B2 JP 2973022B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は空気入りラジアルタイヤの改良に関し、さら
に詳しくはウエット性(排水性)および耐偏摩耗性を損
なうことなく、騒音性(パターンノイズ)を改良した空
気入りラジアルタイヤに関する。
〔従来の技術〕
一般に、空気入りラジアルタイヤは、第6図に示すよ
うに、トレッド表面Tに、タイヤ周方向にエンドレスに
延びる複数の主溝1とタイヤ幅方向に延びる複数のサブ
溝とを配置し、これによって多数のブロック5,6を区分
したブロックパターンを形成しており、このブロックパ
ターンによって操縦性などの改良を図っている。
しかしながら、このようなブロックパターンを有する
空気入りラジアルタイヤでは、近年問題となっているよ
うな800〜1000Hz付近の高周波音域におけるパターンノ
イズの低減を図れないばかりでなく、使用中の摩耗によ
りブロック剛性が急激に変化するため偏摩耗が生じた
り、ウエット性が低下してしまうという問題があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、パターンノイズの発生原因がサブ溝内に空
気が流入することによるエアーボリューム(気柱共鳴)
などであることにかんがみなされたものであって、ウエ
ット性および耐偏摩耗性を損なうことなく、特に800〜1
000Hz付近の高周波音域におけるパターンノイズを改良
した空気入りラジアルタイヤの提供を目的とするもので
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、トレッド表面に、タイヤ周方向へ延びる複
数の主溝を配置すると共に、該主溝と交わる複数のサブ
溝をタイヤ幅方向に配置して複数のブロック列を区分し
てなる空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ブロック
列の少なくとも一つに位置するサブ溝の溝底形状を、該
サブ溝の長手方向断面において表面が滑らかに湾曲した
凸形状となし、この凸形状のサブ溝最深部からの高さH
およびサブ溝最深部の前記主溝の底からの高さBを、そ
れぞれ、H=1.0〜2.0mm、B≦(3−H)mmとしたこと
を特徴とするものである。
このように本発明では、サブ溝の溝底形状を表面が滑
らかに湾曲した凸形状としたために、ブロック剛性の急
激な変化に起因する耐偏摩耗性の悪化を防止しかつウエ
ット性の低下を最小限に抑えつつ騒音性を改良すること
が可能となる。
以下、図に基づき本発明の空気入りラジアルタイヤに
ついて詳細に説明する。
第1図は本発明の空気入りラジアルタイヤのブロック
パターンの一例を示す平面視説明図、第2図は第1図に
おけるA−A線断面説明図である。第1図および第2図
において、本発明の空気入りラジアルタイヤのトレッド
表面Tには、4本の主溝1がタイヤ幅方向に所定間隔を
置いてタイヤ周方向にエンドレスに配置され、また、主
溝1と交わる方向、すなわちタイヤ幅方向に複数のサブ
溝2が配置されており、これによりトレッド表面Tはセ
ンターブロック列3およびショルダーブロック列4に区
分されている。各ブロック列3,4には複数のブロック5,6
が形成されている。
ここで、主溝1はその溝幅が通常7〜10mm、深さが通
常7〜9mmの範囲に設定されている。サブ溝2の溝幅及
び深さは、主溝1よりも小さく設定される。
なお、サブ溝2は第1図に示したように主溝1に対し
矢筈状に傾斜させてもよいが、主溝1と直交させて配置
することも可能である。
上述の構成からなる本発明の空気入りラジアルタイヤ
においては、第3図(a)および(b)に示すように、
少なくともセンターブロック列3のブロック5に位置す
るサブ溝2の溝底2′の形状を、サブ溝2の長手方向断
面において表面が滑らかに湾曲した凸形状8となし、こ
の凸形状8のサブ溝最深部からの高さHおよサブ溝最深
部の主溝1の底からの高さBを、それぞれ、H=1.0〜
2.0mm、B≦(3−H)mmとしている。
第10図にタイヤサイズ215/65 R15の空気入りラジアル
タイヤについてB=1mmとし、Hを種々変えて常法によ
り高周波音性能およびウエット性能を評価した結果を示
す。第10図中、aはウエット性能を、bは高周波音性能
をそれぞれ表わす。第10図から、凸形状8の高さHが1.
0mm未満の場合には騒音低減効果が少なく、2.0mmを越え
る場合にはウエット性が著しく低下することが判る。
このような構成とすることによって、サブ溝2の溝ボ
リウムが効率的に減少するため、ブロック剛性の変化に
よる耐偏摩耗性の悪化を防止し、かつウエット性の低下
を最少限に抑えつつ、高周波音圧レベルを全域において
1〜3dB低減させることが可能となる。
なお、第4図に示したように、凸形状8は、ショルダ
ーブロック列4のブロック6に位置するサブ溝2の溝底
2′に設けることもでき、さらに第5図に示したよう
に、センターブロック列3のブロック5とショルダーブ
ロック列4のブロック6の両者に位置するサブ溝2の溝
底2′に設けることもできる。
また、凸形状8は、前述したように表面が滑らかに湾
曲したいわゆるアール(曲面)を持った表面形状をして
いるが、この湾曲面は単一のアールでも複数のアールか
らなっていてもよい。複数のアールからなる場合には、
それぞれのアールの中心方向は同一でありかつ隣接アー
ル間の継ぎ目は稜線がでないように滑らかとなってい
る。これは、アールによって中心方向が逆であったり稜
線があったりすると、サブ溝内でのエアーの流れが乱
れ、騒音低減効果が低下するからである。
サブ溝の溝底2′のタイヤ幅方向断面形状を第6図に
示すように平坦状とする代わりに、第7図〜第9図に示
すように凸形状として溝ボリュームを減少させた場合、
すなわち、第7図ではブロック5の幅方向両側端部の溝
底2′に表面が角張った凸部7を設けており、第8図で
はブロック5の幅方向中央部の溝底2′に表面が角張っ
た凸部7を設けており、第9図ではブロック5の幅方向
一端から他端に亘る溝底2′に逆V字状の凸部7を設け
ている場合には、800〜1000Hz付近の高周波音域におけ
るパターンノイズの低減を図れないばかりでなく、使用
中の摩耗によりブロック剛性が急激に変化するため偏摩
耗が生じたり、ウエット性が低下してしまう。
次に、実施例により本発明の空気入りラジアルタイヤ
の構成および効果についてさらに詳細に説明する。
実施例1 タイヤサイズ215/65 R15の乗用車用ラジアルタイヤの
トレッド表面に対し、上述の第1図、第2図に示したブ
ロックパターンを形成し、このラジアルタイヤについて
の騒音性、ウエット性の評価を行なった。
すなわち、各主溝1の深さ:8.0mm、溝幅:8.5mm、各サ
ブ溝2の深さ:6〜2mm、溝幅:3.5mm、サブ溝底の凸形状
を第3図ないし第5図の態様とし、夫々H:1.0mm、B:1.0
mmとすることによって、3種類の本発明タイヤI〜III
を得た。
また、比較のために、第6図のサブ溝底形状(H=
0、B=1.0mm)を有する比較タイヤaを得た。
これら4種類のラジアルタイヤについて、下記条件に
より実車テストを行い、騒音性およびウエット性の評価
を行った。
これらの結果を第1表に示す。
評価方法: [騒音性] 一般路面を時速40km/h、60km/h、40km/hで走行したと
き、および惰行走行から時速100km/hに加速して走行し
たときに、夫々発生する高周波音の音圧レベルを、テス
トドライバー5名によるフィーリングテストにより10点
法により評価した。この結果を比較タイヤaを100とし
た指数で表わす。数値が大きいほど音圧レベルが低いこ
とを示す。
[ウエット性] 水深5.0mmの湿潤路面を設けた半径100mの旋回コース
を走行しながら、その走行速度を徐々に増加した場合
に、限界横加速度になるときの走行速度(限界速度)を
測定し、評価した。この結果を比較タイヤaを100とし
た指数で表わす。数値が大きいほどウエット性が優れて
いることを示す。
第1表の結果から明らかなように、本発明タイヤI〜
IIIは、比較タイヤaに比較して、ウエット性を実質的
に確保したまま、音圧レベルが低減し騒音性が改良され
ていることが判る。
また、上記の本発明タイヤIIIおよび比較タイヤaに
ついて、使用リム:15×6.5JJ、空気圧:2.10kg/cm2、荷
重400kgの条件下に、室内におけるドラム上で、速度20
〜120km/hの範囲で変化させて走行したときに、各走行
速度にて発生する周波数1000Hzの高周波音の音圧レベル
を測定し、この結果を第11図にプロットした。第11図
中、αは比較タイヤaを、βは本発明タイヤIIIをそれ
ぞれ表わす。
第11図の結果から明らかなように、本発明タイヤIII
は、高周波音圧レベルが全域において1〜3dB低減して
いる。
実施例2 実施例1において、サブ溝底の凸形状を第3図(a)
の態様とし、HおよびBを夫々第2表に示したように変
更して、5種類のタイヤ(本発明タイヤIV〜VI、比較タ
イヤI〜II)を得た。
これらのタイヤについて、実施例1と同様に、騒音性
およびウエット性の評価を行った結果を第2表に併せて
示す。
第2表の結果から明らかなように、高さHおよび高さ
Bが、B≦(3−H)mmの関係を満たさない場合には
(比較タイヤI〜II)、タイヤのウエット性の低下が著
しくなることが判る。
実施例3 実施例1において、サブ溝底の凸形状を第3図および
第6図ないし第9図の態様とし、HおよびBをそれぞれ
第3表(a)および第3表(b)に示したように変更し
て、10種類のタイヤ(本発明タイヤVII〜VIII、比較タ
イヤb〜i)を得た。
これらのタイヤについて、実施例1と同様に、騒音性
およびウエット性の評価を行った結果を第3表(a)お
よび第3表(b)に併せて示す。
第3表の結果から明らかなように、サブ溝の溝底形状
が凸形状であっても、それがなめらかなアールを持たな
い場合には、本発明の効果を得ることができない。
〔発明の効果〕
以上、詳細に説明したように本発明によれば、ブロッ
ク列の少なくとも一つに位置するサブ溝の溝底形状を、
該サブ溝の長手方向断面において表面が滑らかに湾曲し
た凸形状となし、この凸形状のサブ溝最深部からの高さ
Hおよびサブ溝最深部の前記主溝の底からの高さBを、
それぞれ、H=1.0〜2.0mm、B≦(3−H)mmとしたた
めに、サブ溝の溝ボリウムが効率的に減少するので、ブ
ロック剛性の低下による耐偏摩耗性の悪化を防止し、か
つウエット性の低下を最少限に抑えつつ、パターンノイ
ズ、特に高周波音圧レベルを全域において1〜3dB低減
させることができる。
したがって、本発明の空気入りラジアルタイヤによれ
ば、タイヤのウエット性および耐偏摩耗性などを犠牲に
することなく、騒音を効果的に抑制することができ、と
くに高速走行に供する乗用車用ラジアルタイヤとしての
すぐれた性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の空気入りラジアルタイヤのブロックパ
ターンの一例を示す平面視説明図、第2図は第1図にお
けるA−A線断面説明図、第3図(a)は本発明の空気
入りラジアルタイヤの一例を示すトレッドの一部断面説
明図、第3図(b)は第3図(a)におけるブロック部
分の拡大断面説明図、第4図および第5図は本発明の空
気入りラジアルタイヤの他の例を示すトレッドの一部断
面説明図、第6図ないし第9図は比較のための空気入り
ラジアルタイヤの一例を示すトレッドの一部断面説明
図、第10図はサブ溝の凸形状のサブ溝溝底ブロック端か
らの高さHと高周波音性能指数およびウエット性能指数
との関係を示す説明図、第11図はタイヤの走行速度と周
波数1000Hzの高周波音の音圧レベルとの関係を示す説明
図である。 T……トレッド表面、1……主溝、2……サブ溝、3…
…ブロック列、4……ブロック列、5……ブロック、6
……ブロック、8……凸形状。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド表面に、タイヤ周方向へ延びる複
    数の主溝を配置すると共に、該主溝と交わる複数のサブ
    溝をタイヤ幅方向に配置して複数のブロック列を区分し
    てなる空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ブロック
    列の少なくとも一つに位置するサブ溝の溝底形状を、該
    サブ溝の長手方向断面において表面が滑らかに湾曲した
    凸形状となし、この凸形状のサブ溝最深部からの高さH
    およびサブ溝最深部の前記主溝の底からの高さBを、そ
    れぞれ、H=1.0〜2.0mm、B≦(3−H)mmとした空気
    入りラジアルタイヤ。
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