JP4652432B2 - 加熱発泡シートおよび充填発泡部材 - Google Patents
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Description
例えば、射出成形や押出成形によって特定形状の発泡性材料を成形して、110〜190℃で発泡することにより、このような発泡体を、形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、例えば、全組成物100重量部に対してゴム30〜42重量部を含む組成物を、所定形状に成形して、140〜170℃で発泡することにより、発泡体を、形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、例えば、突出領域を有するいびつな形状の中空室に、発泡性基材を発泡させて中空室を遮断するための中空室遮断具を設け、その中空室遮断具には、発泡性基材を支持する2枚のホルダプレートを備えて、発泡性基材を、中空室の突出領域において2枚のホルダプレートにより両側面から支持し、中空室の突出領域以外の領域において1枚のホルダプレートにより片側面から支持し、その後、発泡性基材を発泡させることにより、中空室の突出領域に、発泡体を充填することが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
一方、特許文献3および4に記載されるような発泡体ガイドや2枚のホルダプレートを用いれば、内部空間に上記した突出空間がある場合でも、突出空間に発泡体を充填することができる。しかし、突出空間に発泡体を充填するための格別の部材が必要となり、複雑な構成となり、かつ、製造コストの上昇を招くという不具合がある。
また、本発明の充填発泡部材では、前記加熱発泡シートに装着され、中空部材の内部空間に固定可能な固定部材をさらに備えることが好適である。
加熱発泡材料には、主成分としてのポリマーと、そのポリマーを発泡させるための発泡剤とが含まれる。ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリケトンなどの樹脂、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)などのゴムなどが挙げられる。好ましくは、エチレン・酢酸ビニル共重合体が用いられる。エチレン・酢酸ビニル共重合体を用いることにより、発泡倍率を高くすることができる。また、これらポリマーのなかでも、その融点が、60〜120℃、さらには、80〜100℃のものが好ましく選択される。融点が、60℃未満であると、ポリマー自身に粘着性が発現し、常温でも取扱いがしにくくなる場合があり、120℃を超えると、加工温度を高くする必要があり、加工中に発泡剤が分解してしまうおそれがある。なお、融点は、DSC(示差走査型熱量計)により求められる。
また、発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤や有機系発泡剤が挙げられる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
また、有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ系化合物、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロトリメチルトリアミンなどのニトロソ系化合物、例えば、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジド系化合物、例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系化合物、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物などが挙げられる。
これら発泡剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、発泡剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、ポリマー100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは、10〜30重量部である。
架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生して分子間または分子内に架橋結合を形成させるラジカル発生剤が挙げられる。より具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン、ターシャリブチルパーオキシケトン、ターシャリブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物などが挙げられる。
これら架橋剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、架橋剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、ポリマー100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは、0.5〜7重量部である。
発泡助剤としては、特に制限されないが、例えば、発泡剤の種類に応じて適宜公知の発泡助剤を選択することができ、より具体的には、例えば、尿素を主成分とする尿素系化合物、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物、例えば、サリチル酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩などが挙げられる。好ましくは、高級脂肪酸金属塩が用いられる。
さらに、加熱発泡材料には、その目的および用途によって、得られる発泡体の物性に影響を与えない範囲において、例えば、安定剤、補強材、充填剤、軟化剤、滑剤や、さらには必要に応じて、例えば、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
加熱発泡材料は、その粘度が、好ましくは、100〜10000Pa・s(120℃)として調製される。
そして、加熱発泡シートは、上記により調製した加熱発泡材料を、延伸によりシート状に成形することにより得ることができる。
図1は、本発明の加熱発泡シートを製造するためのカレンダーロール装置の一実施形態の概略構成図を示す。なお、図1において、紙面上側を「上側」、紙面下側を「下側」、紙面左側(一方側)を「左側」、紙面右側(他方側)を「右側」とする。
図1において、このカレンダーロール装置1は、第1カレンダーロール11と、第1カレンダーロール11の水平方向右側においてこの第1カレンダーロール11と対向するように隣接配置される第2カレンダーロール12と、第2カレンダーロール12の垂直方向下側においてこの第2カレンダーロール12と対向するように隣接配置される第3カレンダーロール13と、第3カレンダーロール13の垂直方向下側においてこの第3カレンダーロール13と対向するように隣接配置される第4カレンダーロール14と、第4カレンダーロール14の水平方向右側においてこの第4カレンダーロール14と間隔を隔てて配置される引取ロール15とを備えている。これら複数のカレンダーロール(第1カレンダーロール11、第2カレンダーロール12、第3カレンダーロール13および第4カレンダーロール14)は、逆L字形に配置されている。
第2カレンダーロール12は、第1カレンダーロール11と同一直径および同一幅の金属製のロールからなり、反時計方向に回転可能に配設されている。この第2カレンダーロール12は、その回転速度が、第1カレンダーロール11の回転速度に対して、同一またはそれ以上に設定されている。すなわち、第2カレンダーロール12の回転速度は、第1カレンダーロール11の回転速度を100%としたときに、それに対して、例えば、100〜150%、好ましくは、105〜120%の回転速度に設定されている。より具体的には、第2カレンダーロール12の回転速度は、1〜10m/min、好ましくは、2.1〜6m/minの範囲に設定されている。また、この第2カレンダーロール12は、図示しない熱源により加熱されており、その表面温度は、発泡剤の分解温度未満の温度に設定され、ポリマーの融点以上で、その融点より30℃高い温度以下、好ましくは、20℃高い温度以下の範囲に設定されている。すなわち、第2カレンダーロール12は、第1カレンダーロール11の表面温度を100%としたときに、それに対して、例えば、90〜110%、好ましくは、実質的に等温に設定されている。より具体的には、第2カレンダーロール12の表面温度は、80〜110℃、好ましくは、85〜100℃の範囲に設定されている。
まず、第1カレンダーロール11および第2カレンダーロール12のニップ部分の上方において、第1カレンダーロール11と第2カレンダーロール12との間に加熱発泡材料2を投入する。
次いで、第1カレンダーロール11と第2カレンダーロール12との間に投入された加熱発泡材料2は、第1カレンダーロール11と第2カレンダーロール12とのニップ部分において、それらの回転によって、垂直方向下側に搬送されながら圧延され、それら第1カレンダーロール11と第2カレンダーロール12とのニップ部分から送り出される。
次いで、第1カレンダーロール11および第2カレンダーロール12のニップ部分から送り出された加熱発泡材料2は、第2カレンダーロール12の表面に転写される。
次いで、第2カレンダーロール12および第3カレンダーロール13のニップ部分から送り出された加熱発泡材料2は、第2カレンダーロール12の表面から剥離して、第3カレンダーロール13の表面に転写される。
次いで、第3カレンダーロール13と第4カレンダーロール14とのニップ部分から送り出された加熱発泡材料2は、第3カレンダーロール13の表面から剥離して、第4カレンダーロール14の表面に転写される。
引取ロール15に引き取られた加熱発泡シート3の最終的な厚みは、例えば、1〜20mm、好ましくは、1.5〜10mmである。
このようにして得られた加熱発泡シート3は、図2に試験片として示すように、例えば、ポリマーの融点以上の温度、より具体的には、100〜130℃の範囲から選択される任意の温度で、20分加熱した場合に、一方向、すなわち、複数のカレンダーロールの軸方向(以下、この軸方向を「伸長方向A」という場合がある。)に、伸長する。また、加熱発泡シート3は、上記した温度において、加熱により、伸長方向Aにおいて伸長するのに対して、加熱発泡シート3の搬送方向、すなわち、圧延方向(以下、この圧延方向を「収縮方向B」という場合がある。)において、収縮する。
L2(mm):伸長方向Aにおける加熱後の加熱発泡シート3の長さ(mm)
L1(mm):伸長方向Aにおける加熱前の加熱発泡シート3の長さ(mm)
また、加熱発泡シート3は、図4に試験片として示すように、例えば、発泡剤の分解温度以上の温度、より具体的には、160〜220℃の範囲の温度で加熱することにより、収縮方向Bに対して、伸長方向Aに大きく伸長しながら、発泡する。
次に、得られた加熱発泡シート3を備える充填発泡部材4を、加熱して発泡させることにより、ピラー6の内部空間7を充填する方法を、図3を参照して、説明する。
この充填発泡部材4は、図3に示すように、加熱発泡シート3と、加熱発泡シート3に装着され、中空部材としてのピラー6の内部空間7に固定可能な固定部材としてのクリップ5とを備えている。
充填発泡部材4は、中空部材6の中空空間7に対応して、打ち抜きなどの加工により、適宜の形状に切り出された加熱発泡シート3に、クリップ5の固定部24を嵌め込むことにより作製する。
インナパネル16は、下側に凹み、正断面視略凹状をなすインナ凹部18と、右側フランジ部31と、左側フランジ部32とを一体的に備えている。
アウタパネル17は、インナパネル16のインナ凹部18の右端部分および中央部分と上下方向に対向して、上側に膨出し、正断面視略凹状をなすアウタ凹部19と、アウタ凹部19の左側端部から左側に向かって連続して延びる、平板状をなす平板部20と、右側フランジ部33と、左側フランジ部34とを備えている。このインナパネル16の右側フランジ部31とアウタパネル17の右側フランジ部33とを対向当接させて、溶接により接合し、かつ、インナパネル16の左側フランジ部32とアウタパネル17の左側フランジ部34とを対向当接させて、溶接により接合する。これによって、ピラー6の中空空間7が、閉断面として形成される。なお、このようなピラー6は、より具体的には、自動車の車両ボディのフロントピラー、サイドピラーあるいはリヤピラーとして用いられる。
そして、この方法では、まず、図3(a)に示すように、ピラー6の内部空間7において、充填発泡部材4を、加熱発泡シート3の伸長方向Aが突出空間9に向かうように、主空間8に配置する。
また、上記した加熱発泡シート3は、カレンダー成形で延伸しているが、延伸の方法は特に制限されず、押出成形機により押し出したシート状の加熱発泡材料2を、そのまま引取ロールで引き取るようにして延伸してもよい。
ポリマーとしてエチレン・酢酸ビニル共重合体(エバフレックスEV460、融点84℃、MFR2.5、酢酸ビニル含量19%、三井・デュポンポリケミカル社製)100重量部を、加圧式ニーダーを用いて、90℃5分間、回転数20min−1で混練した。次いで、架橋剤としてジクミルパーオキサイド(パークミルD−40MBK、ジクミルパーオキサイド含量40%、シリカおよびEPDM含量60%、日本油脂社製)5重量部、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(セルマイクSX、分解温度160℃、三協化成社製)20重量部、滑剤としてステアリン酸1重量部を配合して、さらに、90℃5分間混練して、加熱発泡材料を調製した。
(伸長率)
得られた加熱発泡シートから、図2に示すように、100mm×100mmの正方形状に切り出して、試験片を得た。この試験片を120℃で20分間加熱して、伸長率を算出した。
得られた加熱発泡シートから、図4に示すように、50mm×50mmの正方形状に切り出して、試験片を得た。この試験片を160℃で20分間加熱して、発泡および架橋させることにより得られた発泡体の伸長方向における長さ(充填距離X(mm))を算出した。なお、上記した温度により加熱すると、加熱発泡シートは、収縮方向に対して伸長方向に、大きく伸長しながら発泡した。
得られた加熱発泡シートから、30mm×30mmの正方形状に切り出して、試験片を得た。この試験片を160℃で20分間加熱して、下記式により、発泡倍率を算出した。
発泡倍率=(発泡前の密度)/(発泡後の密度)
(充填発泡部材の作製)
得られた加熱発泡シートから、図6に示すように、15mm×75mmの矩形状に切り出した後、その右端部にクリップ用孔(φ5mm)を形成することにより、試験片を得た。この試験片のクリップ用孔に、6,6−ナイロン製のクリップの固定部(φ5mm)を装着して、充填発泡部材を作製した。
(充填性)
まず、図5(a)に示すように、閉断面として、10mm×70mmの主空間と、7mm×20mmの突出空間とを備えるモデルピラーを作製した。
次いで、上記で作製した充填発泡部材を、加熱発泡シートの伸長方向がモデルピラーの両端部の対向方向に沿うように、クリップの取付部をインナーピラーに固定することにより、主空間に配置した。なお、充填発泡部材は、加熱発泡シートの左側端部が、突出空間にわずかに臨むように、配置した。
2 加熱発泡材料
3 加熱発泡シート
4 充填発泡部材
5 クリップ
6 ピラー
7 内部空間
11 第1カレンダーロール
12 第2カレンダーロール
13 第3カレンダーロール
14 第4カレンダーロール
15 引取ロール
Claims (4)
- 加熱発泡材料をカレンダー成形で延伸することにより成形される加熱発泡シートであって、
前記加熱発泡材料は、主成分として、ポリマーと、前記ポリマーの融点以上で分解する発泡剤とを含み、
前記カレンダー成形では、
ニップ部分が形成されるように隣接する複数のカレンダーロールが用いられ、
複数の前記カレンダーロールの表面温度は、前記発泡剤の分解温度未満であるとともに、前記ポリマーの融点以上、その融点より30℃高い温度以下に設定されており、
前記加熱発泡シートは、100〜130℃で20分加熱した場合に一方向に伸長し、その伸長方向における伸長率が、5〜50%であることを特徴とする、加熱発泡シート。 - 前記カレンダー成形では、
ニップ部分が形成されるように隣接する複数のカレンダーロールと、
加熱発泡材料の搬送方向において、最下流側に配置されるカレンダーロールに対して、間隔を隔てて下流側に配置される引取ロールとが用いられ、
互いに隣接する前記カレンダーロール間においては、上流側に配置されるカレンダーロールの回転速度に対して下流側に配置されるカレンダーロールの回転速度が、同一またはそれ以上に設定され、最下流側に配置されるカレンダーロールの回転速度に対して前記引取ロールの回転速度が、同一またはそれ以上に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱発泡シート。 - 請求項1または2に記載の加熱発泡シートを備えることを特徴とする、充填発泡部材。
- 前記加熱発泡シートに装着され、中空部材の内部空間に固定可能な固定部材をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の充填発泡部材。
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