JP5259547B2 - 加熱発泡シートおよび発泡充填部材 - Google Patents
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Description
このような発泡体は、例えば、押出成形やカレンダー成形によって、シート状に成形した後、加工することにより得られる発泡シートを、加熱し、発泡することで得ることができる(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載されるような、通常の押出成形により成形された加熱発泡シートでは、ダイ内部での、ポリマーの流れ方の差により、加熱発泡時には、加熱発泡シートの各部分間(例えば、押出方向に直交する幅方向の中央部と両端部)において、発泡量が異なり、均一な発泡を確保することが困難である。
そこで、本発明の目的は、全方向に均一に発泡する加熱発泡シート、さらには、その加熱発泡シートを備える発泡充填部材を提供することにある。
また、本発明の加熱発泡シートは、等方性を有することを特徴としている。
また、本発明の発泡充填部材は、上記した加熱発泡シートと、前記加熱発泡シートに装着され、中空部材の内部空間に固定可能な固定部材とを備えていることを特徴としている。
加熱発泡材料には、少なくとも、主成分としてのポリマーと、そのポリマーを発泡させるための発泡剤とが含有されている。
ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリケトンなどの樹脂、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)などのゴムなどが挙げられる。
また、これらポリマーのなかでも、その融点が、60〜120℃、さらには、80〜100℃のものが好ましく選択される。融点が、60℃未満であると、ポリマー自身に粘着性が発現し、常温でも取扱いがしにくくなる場合があり、120℃を超えると、加工温度を高くする必要があり、加工中に発泡剤が分解してしまうおそれがある。なお、融点は、DSC(示差走査型熱量計)により求められる。
また、発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤や有機系発泡剤などが挙げられる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
また、有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ系化合物、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロトリメチルトリアミンなどのニトロソ系化合物、例えば、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジド系化合物、例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系化合物、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物などが挙げられる。
これら発泡剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、発泡剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、ポリマー100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは、10〜30重量部である。
架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生して分子間または分子内に架橋結合を形成させるラジカル発生剤が挙げられる。より具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン、ターシャリブチルパーオキシケトン、ターシャリブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物などが挙げられる。
これら架橋剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、架橋剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、ポリマー100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは、0.5〜7重量部である。
発泡助剤としては、特に制限されないが、例えば、発泡剤の種類に応じて適宜公知の発泡助剤を選択することができ、より具体的には、例えば、尿素を主成分とする尿素系化合物、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物、例えば、サリチル酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩などが挙げられる。好ましくは、高級脂肪酸金属塩が用いられる。
さらに、加熱発泡材料には、その目的および用途によって、得られる発泡体の物性に影響を与えない範囲において、例えば、安定剤、補強材、充填剤、軟化剤、滑剤や、さらには必要に応じて、例えば、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
加熱発泡材料は、その粘度が、好ましくは、100〜10000Pa・s(100℃)として調製される。
図1は、本発明の加熱発泡シートを成形するための押出成形機の一実施形態の概略構成図を示す。
次に、図1を参照して、押出成形機1を用いて、加熱発泡シート14を押出成形により成形する方法について説明する。
動力部2は、図示しないが、通常、減速機、モーターなどを備えている。動力部2では、モーターの回転数を減速機で制御し、後述のスクリューに駆動力を与える。
シリンダー4は、水平方向に延びる円筒形状をなし、図示しないが、その内部にスクリューを備えている。なお、スクリューは、一本(単軸)でもよく、二本(二軸)備えることもできる。
ダイ5は、シリンダー4の押出方向下流側端部に装備されている。ダイ5には、図2(a)に示すように、加熱発泡材料を所定形状に形成するための吐出口6が形成されている。吐出口6は、円環形状(リング形状)に形成されており、具体的には、その内径IDが、例えば、30〜150mmであり、その外径ODが、例えば、31〜155mmであり、その隙間(内径と外径との間の間隔)Sが、例えば、1〜5mmの円環形状に形成されている。
カッタ7の刃先は、吐出口6の下流側において、押出方向に投影したときに、吐出口6の一部を直径方向に横切るように、吐出口6と重なって配置されている。具体的には、カッタ7の刃先は、押出方向に投影したときに、吐出口6の上端部、下端部および側端部のいずれか(図1では上端部)と重なるように、配置されている。
ホッパー3に投入された加熱発泡材料は、シリンダー4で加熱され、スクリューによって溶融混練されながら、ダイ5の吐出口6から円筒状に押し出され、円筒状成形品12として成形される(押出工程)。
押出工程において、シリンダー4の温度は、例えば、40〜110℃、好ましくは、60〜100℃である。また、ダイ5の温度は、例えば、60〜110℃、好ましくは、80〜100℃である。また、加熱発泡材料の押出速度は、例えば、0.5〜2.0m/分、好ましくは、0.7〜1.7m/分である。
これによって、円筒状成形品12は、断面円環状の上端部が切断されることにより、その上端部から周方向に伸長されることなく(幅方向に等方性を有するように)、対称に開かれて、シート状成形品13として形成される(シート形成工程)。
これによって、加熱発泡シート14は、シート状成形品13として得ることができる。つまり、加熱発泡シート14は、まず、等方性部分である円環形状の吐出口6から押し出されて、長手方向において等方性となる円筒状成形品12として成形される。次いで、加熱発泡シート14は、円筒状成形品12が、カッタ7によりシート形状に形成されて、周方向(シート形状では幅方向)に等方性となるシート状成形品13として形成される。
そして、上記の方法によれば、等方性を有する加熱発泡シート14を、簡易かつ生産効率よく製造することができる。
なお、縦横比は、以下の手順に従って測定される。まず、加熱発泡シート14を略矩形状に切り出して試験片とし、試験片の一辺(a辺とする。以下同じ。)の長さ(La)およびその一辺と直交する他の一辺(b辺とする。以下同じ。)の長さ(Lb)をそれぞれ測定する。
a辺の伸長率=La’/La
b辺の伸長率=Lb’/Lb
そして、a辺の伸長率とb辺の伸長率とを対比し、大きな値の伸長率を小さな値の伸長率で除することで、縦横比を算出する。すなわち、a辺の伸長率の方がb辺の伸長率よりも大きな値となる場合、次式により縦横比を算出する。
なお、試験片を正方形状(例えば、50mm×50mm)に切り出すことにより、縦横比を簡便に算出することができる。
また、加熱発泡シート14の厚みは、例えば、1〜5mm、好ましくは、2〜4mmである。
また、上記の方法では、押出工程およびシート形成工程を順次実施したが、それら押出工程およびシート形成工程を同時に実施することもできる。
そして、図2(b)に示すダイ5が装備される押出成形機1によって、加熱発泡材料を押出成形すれば、加熱発泡材料は、吐出口6の等方性部分である円弧部分16から連続的に押し出される一方、不連続部分15では、加熱発泡材料の押し出しが阻止される。そのため、加熱発泡材料は、不連続部分15から対称に開かれて、直接シート形状に成形される。
また、図2(a)に示すダイ5に代替して、図2(c)に示す馬蹄形状(略U字形状)の吐出口6が形成されるダイ5を、押出成形機1に装備することもできる。すなわち、図2(c)に示す吐出口6は、上方に向かって開放される半円弧部分17と、その両端部から連続して上方に向かって直線的に延び、上端を有する直線部分18とを備えている。
そして、図2(c)に示すダイ5が装備される押出成形機1によって、加熱発泡材料を押出成形すれば、加熱発泡材料は、吐出口6の等方性部分である半円弧部分17、および、直線部分18から、連続的に押し出される。そのため、加熱発泡材料は、直線部分18から対称に開かれて、直接シート形状に成形される。
なお、直線部分18から押し出された部分は、加熱発泡材料の流れが部分的に異なるため、半円弧部分17と比べて異方性となる。しかし、シリンダー4から直線部分18までの距離と、シリンダー4から半円弧部分17までの距離との差が小さいため、直線部分18から押し出された部分であっても、160℃で20分加熱した場合の縦横比は、1.5以下であり、本発明の加熱発泡シートとして用いることができる。
なお、発泡により形成される発泡体は、その密度(発泡体の重量(g)/発泡体の体積(cm3))が、例えば、0.03〜0.3g/cm3、好ましくは、0.05〜0.1g/cm3であり、発泡時の体積発泡倍率が、3倍以上、好ましくは、10〜20倍である。
そのような中空部材として、自動車のピラーを例示することができ、加熱発泡シート14から、発泡充填部材を作製して、ピラーの内部空間に取り付けた後、発泡させれば、発泡体により、ピラーの補強を十分に図りつつ、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを有効に防止することができる。
次に、加熱発泡シート14を備える発泡充填部材20を、加熱して発泡させることにより、ピラー23の内部空間を充填する方法を、図3を参照して、説明する。
この発泡充填部材20は、図3に示すように、加熱発泡シート14と、加熱発泡シート14に装着され、中空部材としてのピラー23の内部空間に固定可能な固定部材としてのクリップ19とを備えている。
発泡充填部材20は、ピラー23の中空空間に対応して、打ち抜きなどの加工により、適宜の形状に切り出された加熱発泡シート14に、クリップ19を嵌め込むことにより作製する。
ピラー23は、断面略凹状のインナパネル22およびアウタパネル21から構成されている。
また、上記の説明においては、発泡充填部材20は、加熱発泡シート14とクリップ19とを備えているが、本発明の発泡充填部材20は、これに制限されず、例えば、クリップ19を取り付けずに、加熱発泡シート14のみから形成してもよい。
ポリマーとしてエチレン・酢酸ビニル共重合体(エバフレックスEV460、融点84℃、MFR2.5、酢酸ビニル含量19%、三井・デュポンポリケミカル製)100重量部を、加圧式ニーダーを用いて、90℃で5分間、回転数20rpmで混練した。次いで、架橋剤としてジクミルパーオキサイド(パークミルD−40MBK、ジクミルパーオキサイド含量40%、シリカおよびEPDM含量60%、日本油脂製)5重量部、発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(セルマイクSX、分解温度160℃、三協化成製)20重量部、滑剤としてステアリン酸1重量部を配合して、さらに、90℃で5分間混練して、加熱発泡材料を調製した。
実施例2〜4、比較例1
成形条件を表1に示す成形条件にした以外は、実施例1と同様に加熱発泡シート14を作製した。
図2(a)に示すダイ5に代替して、図4に示すように、矩形扁平状の吐出口が形成されたTダイ25を装備した押出成形機1により、表1に示す成形条件で成形した以外は、実施例1と同様に加熱発泡シート14を作製した。
比較例3
図1に示す押出成形機1に代替して、図5に示すカレンダーロール装置を用いて、表2に示す圧延条件(カレンダーロールの表面温度およびカレンダーロールの回転速度)で圧延し、成形した以外は、実施例1と同様に加熱発泡シート14を作製した。
得られた加熱発泡シートの中央部および端部から、50mm×50mmの正方形状に、それぞれ切り出して、試験片を得た。これらの試験片を160℃で20分間加熱し、発泡させて、縦横比を算出した。中央部および端部の縦横比の結果を表3に示す。なお、発泡倍率についても表3に併記する。
5 ダイ
6 吐出口
8 コンベヤー
12 円筒状成形品
13 シート状成形品
14 加熱発泡シート
19 クリップ
20 発泡充填部材
Claims (2)
- ポリマーおよび発泡剤を含む加熱発泡材料を、略円弧形状の等方性部分を含む等方性含有形状に押出成形することにより成形される加熱発泡シートであって、押出方向と、前記押出方向に直交する幅方向とにおいて等方性を有し、160℃で20分加熱した場合の縦横比が1.5以下であることを特徴とする、加熱発泡シート。
- 請求項1に記載の加熱発泡シートと、
前記加熱発泡シートに装着され、中空部材の内部空間に固定可能な固定部材と
を備えていることを特徴とする、発泡充填部材。
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