JP2005097586A - 充填発泡用組成物、充填発泡部材および充填用発泡体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 発泡性ポリマー、発泡剤および塩基性酸化物を、塩基性酸化物が、発泡剤100重量部に対して、0.05〜70重量部となるように配合して、充填発泡用組成物を調製する。得られた充填発泡用組成物に、取付部材を装着して、中空部材の内部空間に取り付けるための充填発泡部材を作製する。そして、充填発泡部材を中空部材の内部空間に取り付けて、加熱により、発泡させて、充填用発泡体を形成する。
【選択図】 図1
Description
このような発泡体としては、各種の樹脂やゴムからなるポリマーの発泡体が用いられており、例えば、中空部材の内部空間に、発泡前のこれらのプリフォームを設置して、その後、中空部材の焼付塗装時の加熱などによって、プリフォームを発泡および架橋させることにより、中空部材の内部空間において発泡体を形成し、この発泡体によって内部空間を隙間なく充填するようにしている。
また、ジエン系合成ゴム成分100重量部に対し、無機系充填材50〜200重量部、熱分解型発泡剤1〜50重量部および有機過酸化物2〜10重量部を配合した車体補強用架橋発泡体が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
そして、このような不要部分や不良品は、焼却や埋め立てなどにより処分している。
そのため、特許文献1に記載される空隙充填材固定具では、空隙充填材を保持する基台と、基台から突出した支持脚と、その支持脚の先端に延設される逆止片とを備えて、内部空間に基台を配置して、その基台により空隙充填材を保持する一方、逆止片を中空部材に係合させることにより、中空部材の内部空間において、空隙充填剤と中空部材の内周面とを間隔を隔てて配置できるように、つまり、空隙充填材が防錆処理前の中空部材の内周面と直接接触しないように対策されている。
また、不要部分や不良品をリサイクルすれば、歩留りがよく、コストメリットがある。しかし、これら不要部分や不良品をリサイクルする場合には、オリジナル材料を混練したときの熱履歴に加えて、再度、混練して成形するときの熱履歴が付与されるため、このようなリサイクル材料を使用した場合には、オリジナル材料を使用した場合に比べて、その後の発泡において、発泡倍率が低下するという不具合がある。
本発明の目的は、防錆性に優れ、不要部分や不良品を再度使用しても、発泡倍率の低下が少ない、充填発泡用組成物、その充填発泡用組成物が用いられる充填発泡部材、および、その充填発泡用組成物を発泡させることにより得られる充填用発泡体を提供することにある。
また、本発明の充填発泡用組成物は、さらに、有機過酸化物を含むことが好適である。 また、本発明の充填発泡用組成物は、前記発泡剤が、スルホニルヒドラジド化合物または/およびアゾ化合物を含むことが好適である。
また、本発明の充填発泡部材は、前記充填発泡用組成物と、前記充填発泡用組成物に装着され、中空部材の内部空間に取り付け可能な取付部材とを備えることを特徴としている。
また、充填発泡用組成物の混練成形時に、発泡剤が一部分解して酸を生成しても、その酸を塩基性酸化物により中和することができる。そのため、一旦成形した充填発泡用組成物の不要部分や不良品を再度使用しても、有機過酸化物のラジカル分解の減少が少なく、十分な発泡倍率を得ることができる。
本発明において、発泡性ポリマーは、特に限定されず、公知の発泡性ポリマーが用いられる。発泡性ポリマーとしては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリケトンなどの樹脂、例えば、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)などのゴムなどが挙げられる。好ましくは、エチレン・酢酸ビニル共重合体が用いられる。エチレン・酢酸ビニル共重合体を用いることにより、発泡倍率を高くすることができる。これら発泡性ポリマーは、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
本発明において、スルホニルヒドラジド化合物としては、分子内に少なくとも1つの−SO2−NHNH2基を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、p,p−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテル、ベンゼン−1,3−ジスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジドなどが挙げられる。好ましくは、発泡性および安全性の観点から、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が挙げられる。
上記した発泡剤は1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
しかし、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンは、変異原生の観点より使用を抑制したい要求がある。また、炭酸水素ナトリウムは、分解して炭酸ガスを生ずるが、炭酸ガスは、発泡性ポリマーに対する浸透性が良好で、高発泡倍率で発泡させることが困難である。また、熱膨張マイクロバルーンは、発泡性ポリマーに対して多量に添加する必要があるが、多量に添加すると、ガスを封入している外殻に起因して粘度が上昇し、高発泡倍率で発泡させることが困難である。
発泡剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、発泡性ポリマー100重量部に対して、10〜30重量部、好ましくは、15〜25重量部である。発泡剤の配合量がこれより少ないと、中空部材の内部空間を充填するために大きな形状が必要となり、取り付け作業などの作業性が低下する場合がある。また、発泡剤の配合量がこれより多いと、配合量に対応した発泡倍率が得られず、コストデメリットを生ずる場合がある。
塩基性酸化物の配合量は、特に限定されないが、例えば、発泡剤100重量部に対して、0.05〜70重量部、好ましくは、0.1〜50重量部である。塩基性酸化物の発泡剤に対する配合量がこれより少ないと、発泡剤の分解により生成する酸を中和する効果が少なく、また、塩基性酸化物の発泡剤に対する配合量がこれより多いと、発泡剤の分解温度を過度に低下させてしまい、発泡および架橋のタイミングがずれ、却って発泡倍率が低下する。
また、本発明の充填発泡用組成物には、発泡倍率を高めるために、好ましくは、有機過酸化物を含有させる。
充填材としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ケイ酸およびその塩類、マイカ、クレー、タルク、雲母粉、ベントナイト、シリカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーン、アルミナ、アルミニウムシリケート、アルミニウム粉、カーボンブラック、アセチレンブラック、亜鉛華などが挙げられる。これら充填材は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。なお、充填材の配合量は、その目的および用途により、適宜選択することができる。充填材を配合することにより、補強効果の向上を図ることができる。
その他の架橋剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物類、セレン、酸化マグネシウム、一酸化鉛、酸化亜鉛、p−キノンジオキシムおよびp,p’-ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム類、p−ジニトロソベンジンなどのニトロソ化合物類、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン−ホルムアルデヒド縮合物などの樹脂類、安息香酸アンモニウムなどのアンモニウム塩類などが挙げられる。これら架橋剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。なお、その他の架橋剤の配合量は、その目的および用途により、適宜選択することができる。
そして、本発明の充填発泡用組成物は、上記した各成分を、上記した配合量において配合し、特に限定されないが、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機などによって、発泡剤の分解が少ない温度条件下で、混練して、混練物として調製することができる。
混練物の成形は、特に限定されないが、例えば、混練物を、ペレタイザーなどによってペレット化し、このペレットを発泡剤の分解が少ない温度条件下で、射出成形機または押出成形機などによって所定形状に成形するか、あるいは、カレンダー成形やプレス成形によって、直接、所定形状に成形すればよい。
このようにして得られる本発明の充填用発泡体は、その密度(発泡体の重量(g)/発泡体の体積(g/cm3))が、例えば、0.125〜0.05g/cm3、好ましくは、0.10〜0.06g/cm3であり、また、発泡時の発泡倍率(体積発泡倍率)が、好ましくは、8倍以上、さらに好ましくは、10〜15倍である。このような発泡倍率であれば、中空部材の内部空間を、たとえその内部空間が複雑な形状であっても、充填用発泡体によって隙間なく充填することができる。
そのような中空部材としては、自動車のピラーを例示することができ、本発明の充填発泡用組成物により、充填発泡部材を作製して、ピラーの内部空間に取り付けた後、発泡させれば、充填用発泡体により、ピラーの補強を十分に図りつつ、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを有効に防止することができる。
この方法では、まず、図1(a)に示すように、所定形状に成形された充填発泡用組成物1をピラー2内に設置する。充填発泡用組成物1をピラー2内に設置するには、例えば、取付部材3を充填発泡用組成物1に取り付けて、充填発泡部材Pを作製し、その充填発泡部材Pの取付部材3をピラー2の内周面に取り付ければよい。取付部材3を充填発泡用組成物1に取り付けるには、例えば、取付部材3を、成形された充填発泡用組成物1に取り付ける他、充填発泡用組成物1の成形時に混練物とともにインサート成形してもよい。また、取付部材3をピラー2の内周面に取り付けるには、例えば、ピラー2の内周面に係止溝を形成して、取付部材3を差し込むことにより係止させるか、あるいは、取付部材3を吸盤または磁石などから構成して、吸着または磁力により固定するか、さらには、取付部材3を金属板から構成して、溶接により取り付ければよい。
なお、このピラー2は、断面略凹状のインナパネル4およびアウタパネル5から構成されており、まず、充填発泡用組成物1をインナパネル4に設置した後に、これらインナパネル4およびアウタパネル5の両端部を対向当接させて、溶接により接合することによって、閉断面として形成される。なお、このようなピラー2は、より具体的には、車両ボディのフロントピラー、サイドピラーあるいはリヤピラーとして用いられる。
そして、このような本発明の充填発泡用組成物は、塩基性酸化物を、発泡剤100重量部に対して0.05〜70重量部含んでいるので、発泡時の加熱により、発泡剤が分解して酸を生成しても、その酸を塩基性酸化物により中和することができる。そのため、ピラー2の内部空間が狭い場合などにおいて、充填発泡用組成物1とピラー2の内周面とが直接接触して、その接触部分に十分な防錆処理を施すことができない場合であっても、その接触部分に錆が生じることを防止することができる。
そのため、この充填発泡用組成物のように、酸化カルシウムを有効量で配合すれば、下記式(3)および(4)に示すように、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルフィン酸)およびシアン酸をそれぞれ中和することができるので、ピラー2の錆の発生を防止することができる。
そのため、この充填発泡用組成物のように、酸化カルシウムを有効量で配合すれば、式(3)および(4)に示すように、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルフィン酸)およびシアン酸に由来する酸(プロトン)を中和することができるので、ジクミルパーオキサイドのイオン分解を、有効に防止することができる。
実施例1〜4および比較例1〜2の調製
各実施例1〜4および各比較例1〜2の充填発泡用組成物を、表1に示す配合処方において、発泡性ポリマー、発泡剤、有機過酸化物および塩基性酸化物の各成分を、ミキシングロールを用いて、温度110℃、回転数20min−1にて混練した後、110℃の熱プレスにて1分間プレス成形し、厚さ3mmのシート状に成形した。これを30mm角に切り出し、オリジナル材料を得た。そのオリジナル材料を、リン酸亜鉛処理した鋼板の上に載置し、160℃で20分加熱することにより発泡させた。
なお、表1中の体積発泡倍率は、体積発泡倍率=発泡前の密度/発砲後の密度、から求めた。
実施例5〜8および比較例3〜5の調製
各実施例5〜8および各比較例3〜5の充填発泡用組成物を、表2に示す配合処方において、発泡性ポリマー、発泡剤、有機過酸化物、塩基性酸化物およびアミン類(比較例5のみ)の各成分を、1軸押出機(スクリュー径40mmφ、L/D=20、圧縮比2.6、ノズル形状3φ)を用いて、温度110℃、回転数20min−1にて1回押し出した後、110℃の熱プレスにて1分間プレス成形し、厚さ5mmのシート状に成形した。これをオリジナル材料として、160℃で20分加熱することにより発泡させ、その体積発泡倍率を測定した。その結果を表2に示す。
なお、表2中の体積発泡倍率は、体積発泡倍率=発泡前の密度/発砲後の密度、から求めた。
2 ピラー
6 充填用発泡体
P 充填発泡部材
Claims (6)
- 発泡性ポリマー、発泡剤および塩基性酸化物を含み、
前記塩基性酸化物が、前記発泡剤100重量部に対して、0.05〜70重量部配合されていることを特徴とする、充填発泡用組成物。 - さらに、有機過酸化物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の充填発泡用組成物。
- 前記発泡剤が、スルホニルヒドラジド化合物または/およびアゾ化合物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の充填発泡用組成物。
- 前記スルホニルヒドラジド化合物が、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)であり、前記アゾ化合物が、アゾジカルボンアミドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の充填発泡用組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の充填発泡用組成物と、前記充填発泡用組成物に装着され、中空部材の内部空間に取り付け可能な取付部材とを備えることを特徴とする、充填発泡部材。
- 請求項1〜4にいずれかに記載の充填発泡用組成物を発泡させることによって得られることを特徴とする、充填用発泡体。
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