JP4162624B2 - 発泡充填部材 - Google Patents

Description

本発明は、構造物の空間を発泡により充填するための発泡充填部材に関する。

従来より、自動車のピラーなどの中空構造物に、発泡材を充填するための発泡充填部材が知られている。

このような発泡充填部材として、例えば、外部加熱によって発泡する材料よりなる発泡性基材と、発泡性基材の一側面を支持する支持板を有する支持部材とを備え、発泡性基材が、支持板に対応する大きさで略環状に形成され、支持板の一側面に、発泡性基材の内周面を支持する環状のせき壁が突設されている発泡充填具が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。

この発泡充填具では、ピラーなどの中空室に配置して外部から加熱すると、支持板によって、発泡性基材の発泡が、中空室の長手方向へは抑制され、長手方向に略直交する中空室の内周壁面に向かう方向へは促進されて、発泡体となる。また、支持板の環状のせき壁によって、発泡性基材が、その開口孔の中心部に向けて発泡することを防止できる。そのため、極めて少ない量の発泡性基材の加熱発泡に基づく発泡体によって中空室が効率よく良好に遮断される。
特開２００３−１４６２４３号公報

しかし、特許文献１に記載される発泡充填具では、支持部材には、せき壁と、発泡性基材を支持板に係止させるための係止爪とが、それぞれ別々に形成されている。そのため、発泡性基材を支持板に固定するときには、発泡性基材を、せき壁の周りに配置しつつ係止爪に係止させる必要があり、固定作業が煩雑となる。

また、支持部材においても、せき壁とは別に係止爪を設ける必要があるため、支持部材を成形するための成形金型のキャビティ形状が複雑となり、コストアップの原因となる。

本発明の目的は、簡易な構成により、作業効率よく、低コストで製造することができ、しかも、発泡基材の使用量を低減しつつ、構造物の空間を隙間なく充填することのできる発泡充填部材を提供することにある。

上記の目的を達成するため、本発明は、構造物の空間を発泡により充填するための発泡充填部材であって、非発泡材料からなるホルダ部材と、発泡材料からなる発泡基材とを備え、前記ホルダ部材は、前記発泡基材を支持する支持板と、前記支持板が延びる方向と直交する方向に立設され、内側に所定空間が形成されるように環状に形成される環状壁と、前記環状壁に設けられ、前記発泡基材を係合する係合部とを備え、前記発泡基材は、前記支持板における前記環状壁の外周に支持される環状発泡部と、前記係合部に係合される被係合部とを備え、前記ホルダ部材の前記係合部は、前記環状壁の周方向において開口されるスリット状の開口部を備え、前記発泡基材の前記被係合部は、前記環状発泡部から前記開口部を介して前記環状壁の内側の所定空間内へ突出する突出部を備えていることを特徴としている。

この発泡充填部材では、環状壁に、発泡基材を係合する係合部を備えているので、ホルダ部材を成形するための金型形状を簡易に形成することができる。そのため、低コストで製造することができる。また、発泡基材をホルダ部材に固定するときには、環状発泡部を、環状壁の外周に配置すると同時に、被係合部を係合部に係止させることができる。そのため、作業効率よく製造することができる。

しかも、この発泡充填部材では、構造物の空間に配置して、発泡基材を発泡させれば、発泡基材の発泡が支持板によって遮蔽されるので、その支持板と反対方向に発泡方向を規制することができる。また、環状壁によって、環状発泡部が、その環状壁の内側の所定空間内に向けて発泡することを抑制することができる。そのため、発泡基材の使用量を低減しつつ、構造物の空間を隙間なく充填することができる。
また、突出部を備えていれば、その突出部を、環状壁の外側の環状発泡部から開口部を介して環状壁の内側の所定空間内へ挿入して、発泡基材の被係合部をホルダ部材の係合部に簡易に係合させることができる。そのため、より一層の作業効率の向上を図ることができる。また、突出部における環状壁の内側の所定空間内へ突出した遊端部は、発泡によって膨張するので、発泡時における被係合部の係合部に対する確実な係合を図ることができる。

また、この発泡充填部材においては、前記発泡基材は、シート状に形成されていることが好適である。

発泡基材がシート状であれば、発泡基材を、連続成形によって、生産効率よく、低コストで生産することができる。

また、この発泡充填部材においては、前記ホルダ部材の前記係合部は、前記開口部において、前記環状壁の周方向に沿う前記開口部の内方へ突出され、前記支持板との間で前記突出部を挟持する爪部を備えていることが好適である。

爪部を備えていれば、開口部において、爪部と支持板との間で、突出部を挟持することができる。そのため、係合部の被係合部に対する確実な係合を図ることができる。

また、この発泡充填部材においては、前記発泡基材の前記被係合部は、前記突出部における前記環状壁の内側の所定空間内へ突出する遊端部において、前記環状壁の周方向に沿って膨出する膨出部を備えていることが好適である。

膨出部を備えていれば、開口部において、膨出部と環状発泡部との間で、環状壁を挟持することができる。そのため、被係合部の係合部に対する確実な係合を図ることができる。

また、この発泡充填部材においては、前記環状壁の高さが、前記発泡基材の厚さよりも、大きく形成されていることが好適である。

環状壁の高さが発泡基材の厚さよりも大きく形成されていれば、発泡時において、環状発泡部が、環状壁を乗り越えて内側の所定空間に入り込むことを抑制することができる。そのため、発泡基材の使用量を低減しつつ、構造物の空間を、より確実に隙間なく充填することができる

また、この発泡充填部材においては、前記ホルダ部材は、前記構造物に装着するための装着部を備えており、前記装着部には、前記発泡基材が埋設される埋設部が設けられていることが好適である。

膨出部を設ければ、装着部においても、発泡基材をその埋設部に埋設して発泡させることができる。そのため、構造物における装着部が装着される部分においても、より確実に隙間なく充填することができる。

また、この発泡充填部材においては、前記ホルダ部材には、前記支持板の両面に、前記環状壁および前記係合部が設けられており、前記発泡基材が、前記支持板の両面において支持されていてもよい。

発泡基材が支持板の両面に支持されていれば、その支持板の両面において、発泡基材を発泡させることができ、発泡材を十分に充填することができる。また、自動車のピラーのような左右対称な中空構造物に対しては、同一の支持板を用いて、左右同じ状態で、発泡充填することができる。

本発明の発泡充填部材は、低コストで製造することができ、作業効率よく製造することができる。しかも、発泡方向を規制して、発泡基材の使用量を低減しつつ、構造物の空間を隙間なく充填することができる。

図１は、本発明の発泡充填部材の一実施形態を示す分解斜視図、図２は、図１に示す発泡充填部材の平面図である。

図１において、この発泡充填部材１は、自動車のピラーなどの中空構造物の内部空間に発泡材を充填するために用いられ、非発泡材料からなるホルダ部材２と、発泡材料からなる発泡基材３とを備えている。

ホルダ部材２を形成する材料は、後述する加熱発泡時（例えば、１２０〜２１０℃前後）に、発泡基材３を支持して、発泡基材３が自重により垂れ下がったり、垂れ落ちてしまうことを防止できるものであれば、特に制限されないが、例えば、ナイロン、ポリエステルなどの樹脂、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属などが用いられる。

このホルダ部材２は、支持板４、環状壁５、係合部６および装着部７を一体的に備えている。

支持板４は、充填すべき構造物の空間に対して、やや小さな相似形状であって、例えば、発泡基材３を支持する矩形平板状をなし、その厚みは、例えば、０．８〜３．０ｍｍ、好ましくは、１．０〜２．０ｍｍである。

環状壁５は、支持板４の外形と略相似形状である略矩形環状をなし、支持板４の一方側表面において、その一方側表面が延びる方向と直交する方向に立設されている。この環状壁５は、支持板４の外周縁と、発泡基材３の後述する環状発泡部１６が配置される一定幅を隔てて、支持板４の一方側表面に周状に設けられている。この環状壁５の高さ（すなわち、支持板４の一方側表面から環状壁５の遊端部までの長さ）Ａは、図３に示すように、発泡基材３の厚みＤよりも大きく、例えば、２．０〜１０．０ｍｍ、好ましくは、３．０〜７．０ｍｍに設定されている。なお、環状壁５の形成により、図１に示すように、支持板４における環状壁５によって囲まれる内側の所定空間が、内側閉塞部８とされ、環状壁５の外側、つまり、支持板４の外周縁と環状壁５との間の外周部分が、外側支持部９とされている。

係合部６は、開口部１０および爪部１１を備え、環状壁５に設けられている。

開口部１０は、環状壁５が延びる周方向において、互いに所定間隔を隔てて複数（４つ）形成されている。各開口部１０は、環状壁５の周方向に沿って部分的にスリット状に開口することにより形成されている。これによって、開口部１０は、内側閉塞部８と外側支持部９とが連通するように、図３に示すように、側面視において、環状壁５の間において略矩形状に開口形成されている。なお、各開口部１０における環状壁５の周方向に沿う開口幅Ｂは、例えば、３．０〜３０．０ｍｍ、好ましくは、５．０〜１５．０ｍｍである。

爪部１１は、各開口部１０において、１対として形成されている。すなわち、爪部１１は、開口部１０を挟んで対向する各環状壁５の側端部上方から、環状壁５の周方向に沿う開口部１０の内側方向へ、互いに近接するようにそれぞれ突出形成されている。１対の爪部１１は、その上端縁が内側方向に向かって下方に傾斜し、その下端縁が支持板４と略平行するような、側面視三角台形状をなし、環状壁５の周方向において、互いに所定間隔を隔てて対向配置されている。また、各爪部１１は、その下端縁が、支持板４の一方側表面との間の間隔が発泡基材３の厚みとほぼ同じ高さとなるように設定されている。また、各爪部１１は、弾性変形可能に形成され、その下端縁の環状壁５からの突出長さＣは、例えば、０．１〜５．０ｍｍ、好ましくは、０．５〜１．５ｍｍである。

装着部７は、図５に示すように、支持板４の外周端部から、支持板４が延びる方向に沿って、外方に向かって突出形成されている。この装着部７は、基部１２と、基部１２に設けられる内側係止部１３および外側係止部１４と、発泡基材３が埋設される埋設部１５とを一体的に備えている。

基部１２は、支持板４の外周端部に設けられ、その外周端部から、支持板４の外周縁と略直交する方向に膨出形成されている。

内側係止部１３は、可撓性の片からなり、基部１２の基端部から、基部１２の幅方向（支持板４の外周縁に沿う方向）外方に向かって、基部１２の突出方向外側に傾斜するように、突出形成されている。外側係止部１４は、基部１２の遊端部から、基部１２の突出方向外方に突出形成されている。この外側係止部１４は、基部１２の幅方向に沿って弾性変形可能な可撓性の弓状片から形成されている。

埋設部１５は、基部１２の基部において、基部１２の突出方向に直交する方向に沿って溝状に形成されている。

そして、このようなホルダ部材２は、例えば、上記した樹脂から形成する場合には、射出成形などによって、支持板４、環状壁５、係合部６および装着部７を一体成形することによって、得ることができる。

発泡基材３は、加熱（例えば、１２０〜２１０℃前後）により発泡する発泡材料から形成されている。

発泡材料としては、特に制限されず、公知の発泡性ポリマーが用いられる。発泡性ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリケトンなどの樹脂、例えば、スチレン−ブタジエン−ゴム（ＳＢＲ）、ポリブタジエンゴム（ＢＲ）などのゴムなどが挙げられる。好ましくは、エチレン・酢酸ビニル共重合体が用いられる。エチレン・酢酸ビニル共重合体を用いることにより、発泡倍率を高くすることができる。これら発泡性ポリマーは、１種または２種以上を適宜選択して用いることができる。

また、発泡材料には、発泡性ポリマーを発泡および硬化させるために、さらに、例えば、架橋剤、発泡剤、必要により発泡助剤などが適宜配合される。

架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生して分子間または分子内に架橋結合を形成させる公知のラジカル発生剤が用いられる。より具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、１，１−ジターシャリブチルパーオキシ−３，３，５−トリメチルシクロヘキサン、２，５−ジメチル−２，５−ジターシャリブチルパーオキシヘキサン、２，５−ジメチル−２，５−ジターシャリブチルパーオキシヘキシン、１, ３−ビス（ターシャリブチルパーオキシイソプロピル）ベンゼン、ターシャリブチルパーオキシケトン、ターシャリブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物などが挙げられる。

また、発泡性ポリマーが加硫可能である場合には、架橋剤として公知の加硫剤を用いることができる。そのような加硫剤としては、特に制限されないが、例えば、硫黄、硫黄化合物類、セレン、酸化マグネシウム、一酸化鉛、酸化亜鉛、ポリアミン類、オキシム類、ニトロソ化合物類、樹脂類、アンモニウム塩類などが挙げられる。

これら架橋剤は、１種または２種以上を適宜選択して用いることができる。また、架橋剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡性ポリマーに対して、０．１〜１０重量部、好ましくは、０．５〜７重量部である。

また、加硫剤を用いる場合には、加硫促進剤を併用することができる。加硫促進剤としては、例えば、ジチオカルバミン酸類、チアゾール類、グアニジン類、スルフェンアミド類、チウラム類、キサントゲン酸類、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、チオウレア類などの公知の加硫促進剤が挙げられる。このような加硫促進剤は、１種または２種以上を適宜選択して用いることができ、その配合割合は、発泡性ポリマーに対して、０．１〜５重量部である。

また、加硫促進剤とは反対に、成形性の調節などを目的として、例えば、有機酸やアミン類などの公知の加硫遅延剤などを適宜配合することもできる。

また、発泡剤としては、特に制限されないが、例えば、公知の無機系発泡剤や有機系発泡剤が用いられる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。

また、有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ系化合物、例えば、Ｎ，Ｎ’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、Ｎ，Ｎ’−ジメチル−Ｎ，Ｎ’−ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロトリメチルトリアミンなどのニトロソ系化合物、例えば、４，４’−オキシビス（ベンゼンスルホニルヒドラジド）、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−３，３’−ジスルホニルヒドラジド、アリルビス（スルホニルヒドラジド）などのヒドラジド系化合物、例えば、ｐ−トルイレンスルホニルセミカルバジド、４，４’−オキシビス（ベンゼンスルホニルセミカルバジド）などのセミカルバジド系化合物、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、例えば、５−モルホリル−１，２，３，４−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物などが挙げられる。

また、これら発泡剤のなかでも、発泡性ポリマーの軟化温度以上で分解してガスを発生し、かつ、発泡基材３の形成時において、ほとんど発泡しないものが、組成に応じて適宜選択される。好ましくは、１２０〜２１０℃前後で発泡するものが用いられる。

これら発泡剤は、１種または２種以上を適宜選択して用いることができる。また、発泡剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡性ポリマー１００重量部に対して、５〜５０重量部、好ましくは、１０〜３０重量部である。

なお、発泡剤の配合量は、発泡基材３の発泡時において、その発泡倍率が５〜２５倍程度、好ましくは、１０〜２０倍程度で、実質的に独立気泡を生じさせる範囲であることが好適である。発泡剤の配合量が少なすぎると、発泡基材３が十分に発泡せず、一方、発泡剤の配合量が多すぎると、発泡により得られる発泡材の樹脂だれによる空隙を生じ、いずれも充填性が抵下する。

発泡助剤としては、特に制限されないが、例えば、発泡剤の種類に応じて適宜公知の発泡助剤を選択することができ、より具体的には、例えば、尿素を主成分とする尿素系化合物、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物、例えば、サリチル酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩などが挙げられる。好ましくは、高級脂肪酸金属塩が用いられる。

これら発泡助剤は、１種または２種以上を適宜選択して用いることができる。また、発泡助剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡性ポリマー１００重量部に対して、１〜２０重量部、好ましくは、５〜１０重量部である。

さらに、発泡材料には、その目的および用途によって、得られる発泡材の物性に影響を与えない範囲において、例えば、安定剤、補強材、充填剤、軟化剤や、さらには必要に応じて、例えば、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。

この発泡基材３は、環状発泡部１６および被係合部１７を一体的に備え、シート状に形成されている。なお、この発泡基材３の厚みＤ（図３参照）は、例えば、０．５〜６．０ｍｍ、好ましくは、１．５〜３．５ｍｍである。

発泡基材３をシート状に形成することにより、発泡基材３を、連続成形によって、生産効率よく、低コストで生産することができる。

環状発泡部１６は、図１に示すように、支持板４の外側支持部９に対応する略矩形環状をなし、平板状に形成されている。

被係合部１７は、図４に示すように、突出部１８および膨出部１９を一体的に備える、平面視略Ｔ字形状に形成されている。

突出部１８は、発泡基材３がホルダ部材２に支持された状態において、環状壁５の各開口部１０に対応して複数設けられている。各突出部１８は、開口部１０の開口幅Ｂよりもやや幅狭の略矩形状をなし、環状発泡部１６から、環状発泡部１６の周方向に対して略直交する内側方向に突出形成されている。

膨出部１９は、突出部１８の遊端部において、環状発泡部１６の周方向両側に向かって膨出形成されている。この膨出部１９は、環状壁５の厚みを隔てて、環状発泡部１６と対向するように設けられている。

また、発泡基材３の環状発泡部１６には、図１に示すように、埋設部１５に対して突出方向と反対側に配置される基部１２に対応する位置に、埋設部１５に環状発泡部１６を埋設するための切り込み２０が、埋設部１５の長手方向に沿って形成されている。

そして、発泡基材３は、例えば、まず、上記した発泡材料において、各成分を上記した配合割合において配合した後、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダーなどを用いて混練し、その後、プレスやカレンダーロールなどを用いてシート状に連続成形するか、あるいは、発泡材料を、例えば、押出成形機を用いてシート状に連続成形し、次いで、環状発泡部１６、被係合部１７および切り込み２０が形成されるように、打ち抜くことにより、得ることができる。

そして、このようにして得られた発泡基材３は、図１および図２に示すように、環状発泡部１６を、支持板４の外周の外側支持部９に支持させると同時に、各突出部１８を、各開口部１０の上方から１対の爪部１１を弾性変形させながら、各開口部１０内に嵌め込み、また、これと同時に、切り込み２０を基部１２に挿入して、埋設部１５に環状発泡部１６を嵌め込むことにより、ホルダ部材２に取り付けられる。

これによって、発泡基材３の各突出部１８が、環状壁５の外側に配置される環状発泡部１６から、各開口部１０を介して、環状壁５の内側の内側閉塞部８へ延びるように配置され、各開口部１０において、１対の爪部１１と支持板４との間において挟持される。これによって、突出部１８の上下方向移動が規制される。また、各突出部１８の遊端部に形成される膨出部１９が、環状壁５の周方向に沿って配置され、環状壁５の各側端部（開口部１０を環状壁５の周方向に挟んで対向する環状壁５の各側端部）が、膨出部１９と環状発泡部１６との間において挟持される。これによって、突出部１８の開口部１０からの引き抜きが規制される。このような発泡基材３の被係合部１７のホルダ部材２の係合部６に対する係合によって、発泡基材３は、ホルダ部材２に、簡易かつ確実に固定される。

すなわち、この発泡充填部材１では、発泡基材３の突出部１８を、環状壁５の外側の環状発泡部１６から開口部１０を介して環状壁５の内側の内側閉塞部８へ挿入する状態として、簡易に係止することができる。そのため、発泡基材３のホルダ部材２に対する取付作業の効率の向上を図ることができる。

また、この状態では、各開口部１０において、１対の爪部１１と支持板４との間で、突出部１８を挟持して、突出部１８の上下方向移動を規制することができるので、確実な係合を図ることができる。

また、この状態では、各開口部１０において、膨出部１９と環状発泡部１６との間で、環状壁５を挟持して、突出部１８の開口部１０からの引き抜きを規制することができるので、確実な係合を図ることができる。

さらに、突出部１８における環状壁５の内側閉塞部に配置される遊端部および膨出部１９は、発泡によって膨張するので、発泡時においてより確実な係合を図ることができる。

そして、このようにして得られる発泡充填部材１は、構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に配置して、発泡温度（例えば、１２０〜２１０℃前後）に加熱すれば、発泡により、その空間を隙間なく充填することができる。そのため、このような発泡充填部材１は、特に制限されることなく、制振、防音、防塵、断熱、緩衝、水密などを目的として、構造物の空間に充填する、例えば、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材などとして、各種の産業製品の発泡充填部材として、用いることができる。

より具体的には、この発泡充填部材１を用いて、中空構造物として、例えば、自動車のピラーの内部空間を発泡により充填すれば、発泡により形成された発泡材により、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを有効に防止することができる。

次に、この発泡充填部材１を用いる一例として、自動車のピラーの内部空間を充填する方法について説明する。

この方法では、まず、図６に示すように、充填すべきピラー２１の内部空間の閉断面形状および大きさに対応して形成された支持板４を備える発泡充填部材１を、そのピラー２１内に設置する。発泡充填部材１をピラー２１内に設置するには、発泡充填部材１の装着部７を、ピラー２１の予め形成された係止孔２２に係止させる。

より具体的には、装着部７の外側係止部１４を係止孔２２に挿通する。そうすると、外側係止部１４は、係止孔２２の挿通中においては、幅方向内方に弾性変形するが、係止孔２２の通過後には、幅方向外方に弾性変形して、ピラー２１の外側面に弾性的に当接される。また、この状態においては、装着部７の内側係止部１３が、ピラー２１の内側面に弾性的に当接されるので、これら外側係止部１４と内側係止部１３とで、ピラー２１を挟み込む状態となり、これによって、発泡充填部材１がピラー２１に固定される。

なお、このピラー２１は、略断略凹状のインナパネル２３およびアウタパネル２４を備え、まず、発泡充填部材１をインナパネル２３に設置した後に、これらインナパネル２３およびアウタパネル２４の両端部を対向当接させて、溶接により接合することによって、閉断面として形成される。なお、このようなピラー２１は、より具体的には、車両ボディのフロントピラー、サイドピラーあるいはリヤピラーとして用いられる。

その後、図７に示すように、防錆処理など適宜の処理をした後に、例えば、その後の焼付塗装時の乾燥ライン工程での加熱（例えば、１２０〜２１０℃前後）によって、発泡充填部材１の発泡基材３を発泡および硬化させることにより発泡材２５を形成し、この発泡材２５によってピラー２１の内部空間を隙間なく充填する。

なお、発泡材２５は、その密度（発泡材の重量（ｇ）／発泡材の体積（ｇ／ｃｍ^３））が、例えば、０．０４〜０．２ｇ／ｃｍ^３、さらには、０．０５〜０．１ｇ／ｃｍ^３であることが好ましく、また、発泡時の発泡倍率が、５〜２５倍、さらには、１０〜２０倍であることが好ましい。

そして、このような発泡充填部材１では、このような発泡において、支持板４の内側閉塞部８によって、中央空間を閉塞しつつ、支持板４の外周縁と構造物との間の隙間を、発泡材２５によって充填することができるので、その構造物の充填すべき空間を、隙間なく充填することができる。

また、この発泡充填部材１では、環状発泡部１６を埋設部１５に埋設して発泡させることができるので、構造物における装着部７が装着される部分においても、より確実に隙間なく充填することができる。

また、この発泡充填部材１では、支持板４によって、発泡基材３の発泡が、その支持板４の他方側裏面に向かうことを、遮蔽できるので、その支持板４の他方側裏面に向かう発泡を規制することができる。

さらに、環状壁５によって、環状発泡部１６が、その環状壁５の内側閉塞部８に向けて発泡することを抑制することができる。そのため、発泡基材３の使用量を低減しつつ、構造物の空間を隙間なく充填することができる。

しかも、この発泡充填部材１では、環状壁５の高さが発泡基材３の厚さよりも大きく形成されているので、発泡時において、環状発泡部１６が、環状壁５を乗り越えて内側閉塞部８に入り込むことを、より確実に抑制することができる。そのため、発泡基材３の使用量を低減しつつ、構造物の空間を、より確実に隙間なく充填することができる。

なお、本発明の発泡充填部材では、ホルダ部材において、支持板や環状壁の形状は、上記に限らず、構造物の空間に対応して、適宜選択することができる。また、開口部の数や形状も、構造物の空間に対応して、適宜選択することができる。また、発泡基材の形状も、上記に限らず、支持板や環状壁の形状に対応して、適宜選択することができる。また、突出部の数や形状、膨出部の形状も、適宜選択することができる。

また、上記の実施形態では、支持板４の一方側表面に、環状壁５および係合部６を設けたが、例えば、図８に示すように、支持板４の両面に、環状壁５および係合部６を設けて、発泡基材３を、その支持板４の両面に支持させてもよい。

発泡基材３が支持板４の両面に支持されていれば、その支持板４の両面において、発泡基材３を発泡させることができ、発泡材２５を十分に充填することができる。また、上記したピラー２１のような、左右対称な中空構造物に対しては、同一の支持板４を用いて、左右同じ状態で、発泡充填することができる。

また、例えば、図９に示すように、支持板４における環状壁５によって囲まれる内側閉塞部８に、補強リブ３１を設けてもよい。この補強リブ３１は、特に制限されないが、例えば、内側閉塞部８に、平面視略Ｘ字状に設けられる。補強リブ３１の高さは、環状壁５よりもやや低く、例えば、０．５〜５．０ｍｍ、好ましくは、１．０〜２．０ｍｍに設定される。

本発明の発泡充填部材の一実施形態を示す分解斜視図である。 図１に示す発泡充填部材の平面図である。 図１に示す発泡充填部材のホルダ部材の要部側面図である。 図１に示す発泡充填部材の要部平面図である。 図１に示す発泡充填部材のホルダ部材の装着部の要部平面図である。 図１に示す発泡充填部材を、ピラーの内部空間に配置した状態を示す断面図である。 図６に示す状態から、発泡基材を発泡させた状態を示す断面図である。 本発明の発泡充填部材の他の実施形態（支持板の両面において、発泡基材を支持する態様）を示す側断面図である。 図１に示す発泡充填部材のホルダ部材の他の実施形態（内側閉塞部に補強リブが設けられている態様）を示す斜視図である。

符号の説明

１ 発泡充填部材
２ ホルダ部材
３ 発泡基材
４ 支持板
５ 環状壁
６ 係合部
７ 装着部
１０ 開口部
１１ 爪部
１５ 埋設部
１６ 環状発泡部
１７ 被係合部
１８ 突出部
１９ 膨出部
２１ ピラー

Claims (7)

1. 構造物の空間を発泡により充填するための発泡充填部材であって、
   非発泡材料からなるホルダ部材と、発泡材料からなる発泡基材とを備え、
   前記ホルダ部材は、前記発泡基材を支持する支持板と、前記支持板が延びる方向と直行する方向に立設され、内側に所定空間が形成されるように環状に形成される環状壁と、前記環状壁に設けられ、前記発泡基材を係合する係合部とを備え、
   前記発泡基材は、前記支持板における前記環状壁の外周に支持される環状発泡部と、前記係合部に係合される被係合部とを備え、
   前記ホルダ部材の前記係合部は、前記環状壁の周方向において開口されるスリット状の開口部を備え、
   前記発泡基材の前記被係合部は、前記環状発泡部から前記開口部を介して前記環状壁の内側の所定空間内へ突出する突出部を備えていることを特徴とする、発泡充填部材。
2. 前記発泡基材は、シート状に形成されていることを特徴とする、請求項１に記載の発泡充填部材。
3. 前記ホルダ部材の前記係合部は、前記開口部において、前記環状壁の周方向に沿う前記開口部の内方へ突出され、前記支持板との間で、前記突出部を挟支する爪部を備えていることを特徴とする、請求項１または２に記載の発泡充填部材。
4. 前記発泡基材の前記被係合部は、前記突出部における前記環状壁の内側の所定空間内へ突出する遊端部において、前記環状壁の周方向に沿って膨出する膨出部を備えていることを特徴とする、請求項１〜３のいずれかに記載の発泡充填部材。
5. 前記環状壁の高さが、前記発泡基材の厚さよりも、大きく形成されていることを特徴とする、請求項２〜４のいずれかに記載の発泡充填部材。
6. 前記ホルダ部材は、前記構造物に装着するための装着部を備えており、
   前記装着部には、前記発泡基材が埋設される埋設部が設けられていることを特徴とする、請求項１〜５のいずれかに記載の発泡充填部材。
7. 前記ホルダ部材には、前記支持板の両面に、前記環状壁および前記係合部が設けられており、
   前記発泡基材が、前記支持板の両面において支持されていることを特徴とする、請求項１〜６のいずれかに記載の発泡充填部材。

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