JP2007162749A - 自動車用制振材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ゴムおよび/または樹脂と発泡剤とを含む発泡性制振組成物を、混練物として調製した後、その混練物を圧延して、シート形状に成形する。その後、得られたシートに、穿孔により空隙を形成して、自動車用制振材1を得る。自動車用制振材1の一方の表面に拘束層2を貼着するとともに、他方の表面に離型紙3を貼着し、使用時には、離型紙3を剥がして車体鋼板4に貼着し、電着塗装時などにおいて、所定温度(例えば、160〜210℃)で加熱することにより、自動車用制振材1を、発泡、架橋および硬化させて、発泡体5を形成する。自動車用制振材1には、穿孔により空隙が形成されているので、車体鋼板4に貼着した後、発泡体5を形成すれば、十分な制振性を確保しつつ、空隙に起因する軽量化を図ることができる。
【選択図】図1
Description
例えば、ブローンアスファルト40重量%を溶融軟化させ、炭酸カルシウム45.5重量%、マイカ7重量%、生石灰3重量%、粉砕故紙4重量%、エチレンメタアクリレート樹脂0.5重量%を、オープンニーダーにて混合撹拌し、カレンダーロールにて圧延することにより、厚さ2mmの自動車用制振材料を形成して、その自動車用制振材料をフロアパネルの凹凸に追従して熱融着することにより、車室環境の静粛性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、車室環境の快適性を向上するために用いられる、上記した自動車用制振材料は、却って車体重量の増加となり、環境への対応とは相反する。
また、本発明の自動車用制振材では、前記発泡性制振組成物は、シートに成形され、前記空隙は、前記シートの厚み方向を貫通するように形成されており、前記シートにおける前記厚み方向に対する直交方向の表面において、前記空隙の面積比率が、前記表面全面に対して10〜50%であることが好適である。
本発明において、発泡性制振組成物は、ゴムおよび/または樹脂と発泡剤とを含んでいる。
ゴムは、特に制限されないが、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(例えば、スチレン・ブタジエンランダム共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体など)、スチレン・イソプレンゴム(例えば、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体など)、スチレン・イソプレン・ブタジエンゴムなどのスチレン系ゴムや、例えば、ポリブタジエンゴム(1,4−ポリブタジエンゴム、以下同じ)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、天然ゴムなどが挙げられる。
また、このようなゴムは、重量平均分子量が、30000以上、好ましくは、50000〜1000000のものが用いられる。重量平均分子量が30000未満であると、接着力、特に、鋼板への接着性が低下する場合がある。
また、ゴムの配合割合は、ゴムおよび樹脂が併用される場合には、ゴムおよび樹脂の総量100重量部に対して、例えば、30〜70重量部、好ましくは、40〜60重量部である。ゴムの配合割合がこれより少ないと、鋼板への接着性が低下する場合があり、一方、これより多いと、補強性が低下する場合がある。
エポキシ樹脂は、特に制限されないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)、ナフタレン型エポキシ樹脂などの芳香族系エポキシ樹脂、例えば、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂などの含窒素環エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流であるビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらエポキシ樹脂のなかでは、補強性を考慮すると、芳香族系エポキシ樹脂、さらには、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
また、樹脂の配合割合は、ゴムおよび樹脂が併用される場合には、ゴムおよび樹脂の総量100重量部に対して、例えば、30〜70重量部、好ましくは、40〜60重量部である。樹脂の配合割合がこれより少ないと、補強性が低下する場合があり、一方、これより多いと、鋼板への接着性が低下する場合がある。
発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤や有機系発泡剤が挙げられる。
無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
また、発泡剤の配合割合は、ゴムおよび樹脂の総量100重量部に対して、例えば、0.5〜10重量部、好ましくは、1〜5重量部である。発泡剤の配合割合がこれより少ないと、十分に発泡せず、厚み不足により補強性が低下する場合があり、一方、これより多いと、密度が低下し、補強性が低下する場合がある。
相溶化剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ変性ゴムなどが挙げられる。エポキシ変性ゴムは、例えば、上記したゴムなどの分子鎖末端や分子鎖中に、エポキシ基が変性されているゴムであって、そのエポキシ当量が、例えば、100〜10000g/eqiv.、さらには、400〜3000g/eqiv.のものが好ましく用いられる。なお、ゴムをエポキシ基で変性するには、公知の方法が用いられ、例えば、不活性溶媒中で、ゴム中の二重結合に、過酸類やハイドロパーオキサイド類などのエポキシ化剤を反応させればよい。
より具体的には、例えば、エポキシ変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、エポキシ変性スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、エポキシ変性スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、あるいは、併用してもよい。また、これらエポキシ変性ゴムのなかでは、補強性、接着性の両立を考慮すると、エポキシ変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体が好ましく用いられる。
さらに、このような発泡性制振組成物は、上記成分に加えて、架橋剤および/または硬化剤を含んでいることが好ましい。架橋剤および/または硬化剤を含有させることにより、補強性の向上を図ることができる。
また、架橋剤の配合割合は、ゴムおよび樹脂の総量100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、2〜15重量部である。架橋剤の配合割合がこれより少ないと、補強性が低下する場合があり、一方、これより多いと、接着性が低下し、コスト的に不利となる場合がある。
酸無水物系化合物類としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ピロメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンディック酸無水物などが挙げられる。
ヒドラジド系化合物類としては、例えば、ジヒドラジドなどが挙げられる。
イミダゾール系化合物類としては、例えば、メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
これらは単独で使用してもよく、あるいは、併用してもよい。また、これら硬化剤のなかでは、接着性を考慮すると、ジシアンジアミドが好ましく用いられる。
また、このような発泡性制振組成物は、上記成分に加えて、発泡助剤、架橋促進剤、硬化促進剤、充填剤、粘着付与剤や、さらには必要に応じて、例えば、顔料(例えば、カーボンブラックなど)、揺変剤(例えば、モンモリロナイトなど)、滑剤(例えば、ステアリン酸など)、スコーチ防止剤、安定剤、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を適宜含有させてもよい。
架橋促進剤としては、例えば、酸化亜鉛、ジチオカルバミン酸類、チアゾール類、グアニジン類、スルフェンアミド類、チウラム類、キサントゲン酸類、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、チオウレア類などが挙げられる。これら架橋促進剤は、単独使用あるいは併用してもよく、その配合割合は、ゴムおよび樹脂の総量100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、3〜15重量部である。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、白艶華など)、タルク、マイカ、クレー、雲母粉、ベントナイト、シリカ、アルミナ、アルミニウムシリケート、酸化チタン、アセチレンブラック、アルミニウム粉などが挙げられる。これら充填剤は、単独使用あるいは併用してもよく、その配合割合は、ゴムおよび樹脂の総量100重量部に対して、例えば、50〜150重量部、好ましくは、75〜125重量部である。
なお、このようにして得られた混練物のフローテスター粘度(60℃、24kg荷重)が、例えば、1000〜5000Pa・s、さらには、1500〜4000Pa・sとなるように調製することが好ましい。
その後、得られた混練物を、特に制限されないが、発泡剤が実質的に分解しない温度条件下で、例えば、カレンダー成形、押出成形あるいはプレス成形などにより圧延して、シート形状に成形する。これによって、発泡性制振組成物がシートに成形される。
次いで、得られた発泡性制振組成物からなるシートに、穿孔により空隙を形成して、自動車用制振材を得る。
シートを穿孔するには、特に制限されないが、例えば、パンチ加工、ドリル加工などの公知の穿孔方法が用いられ、シートをパンチ加工によって打ち抜くことが好ましい。
空隙の形状は、特に制限されず、例えば、穿孔されるシートの表面と同一平面において、略円形状(平面視略円形状)や略矩形状(平面視略矩形状)など、適宜選択することができる。
そして、このようにして得られた自動車用制振材は、自動車の車体鋼板に装着して、車体の制振性を向上させる。
拘束層は、発泡後の自動車用制振材(以下、発泡体とする。)に靭性を付与するものであり、シート形状をなし、また、軽量および薄膜で、発泡体と密着一体化できる材料から形成されることが好ましく、そのような材料として、例えば、金属箔、ガラスクロス、樹脂含浸ガラスクロスなどが用いられる。
ガラスクロスは、ガラス繊維を布にしたものであって、公知のガラスクロスが用いられる。また、樹脂含浸ガラスクロスは、上記したガラスクロスに、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの合成樹脂が含浸処理されたものであって、公知のものが用いられる。
また、自動車用制振材1の一方の表面に拘束層2を貼着するには、特に制限されないが、ヒートプレスなど適宜の貼着方法が用いられる。なお、自動車用制振材1の他方の表面に離型紙3を貼着するには、離型紙3を自動車用制振材1の他方の表面に、そのまま付着させればよい。
車体鋼板は、例えば、ダッシュパネルやホイールハウスなど、自動車の車体における制振性が必要とされる部位の車体鋼板であって、自動車用制振材の他方の表面を、車体鋼板に貼着するには、例えば、拘束層が金属箔からなる場合には、拘束層と車体鋼板とを溶接したり、また、例えば、拘束層がガラスクロスや樹脂含浸ガラスクロスからなる場合には、拘束層と車体鋼板とを接着する。
そして、上記した自動車用制振材は、発泡性制振組成物の混練物をシートに成形した後、そのシートに、穿孔により空隙を形成することにより、得られているので、車体鋼板に貼着した後、発泡体を形成すれば、十分な制振性を確保しつつ、空隙に起因する軽量化を図ることができる。そのため、制振性と軽量化とを両立して、車室環境の静粛性の向上を図りつつ、燃費を向上させて、排気ガスを低減し、環境への対応を図ることができる。
発泡性制振組成物の調製
まず、スチレン・ブタジエンランダム共重合体(重量平均分子量240000、スチレン含有量25重量%、ムーニー粘度35(ML1+4、at100℃))50重量部、半固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量250g/eqiv.)50重量部、エポキシ変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(スチレン含有量40重量%、エポキシ当量1067g/eqiv.、ダイセル化学工業社製、エポフレンドAT501)10重量部、重質炭酸カルシウム50重量部、タルク50重量部、テルペン−芳香族系液状樹脂10重量部、C5/C9系石油樹脂30重量部を、130℃にて混練した。その後、これに、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)2重量部、硫黄10重量部、ジシアンジアミド5重量部、酸化亜鉛5重量部、ジベンゾチアジルジスルフィド5重量部を配合して、20℃で混練することにより、発泡性制振組成物の混練物を調製した。
実施例1
1)試験片の作製
試験片1
シートを、250mm(長さ)×10mm(幅)の細長平板形状に切り出した後、図2に示すように、そのシートに、10mmφの平面視円形孔(空隙)を、長手方向に沿って、6mm間隔で16個穿孔した。
シートを、250mm(長さ)×10mm(幅)の細長平板形状に切り出した後、図3に示すように、そのシートに、10mmφの平面視円形孔(空隙)を、長手方向に沿って、2.5mm間隔で20個穿孔した。
試験片3
シートを、250mm(長さ)×10mm(幅)の細長平板形状に切り出した後、図4に示すように、そのシートに、7mmφの平面視円形孔(空隙)を、長手方向に沿って、13mm間隔で12個穿孔した。
シートを、250mm(長さ)×10mm(幅)の細長平板形状に切り出した後、図5に示すように、そのシートに、7mmφの平面視円形孔(空隙)を、長手方向に沿って、3mm間隔で24個穿孔した。
試験片5
シートを、250mm(長さ)×10mm(幅)の細長平板形状に切り出した後、図6に示すように、そのシートに、7mmφの平面視円形孔(空隙)を、長手方向に沿って2列の千鳥状で24個穿孔した。なお、各列における各平面視円形孔(空隙)の長手方向の間隔を、6mmとした。
シートを、250mm(長さ)×10mm(幅)の細長平板形状に切り出した後、図7に示すように、そのシートに、7mmφの平面視半円形孔(空隙)を、長手方向に沿って2列で、かつ、1対の平面視半円形孔(空隙)が、互いに幅方向に対向するように並列して24個穿孔した。なお、各平面視半円形孔(空隙)は、シートの幅方向端部を切り欠くように形成した。また、各列における各平面視半円形孔(空隙)の長手方向の間隔を、6mmとした。
2)制振性評価
上記作製した試験片1〜6について、シートの表面および裏面の両面に、250mm(長さ)×10mm(幅)×0.8mm(厚)の冷間圧延鋼板をヒートシールにより貼着した後、180℃で20分間加熱し、シートを発泡させた。
損失係数は、JIS G 0602(1993)「制振鋼板の振動減衰特性試験方法」に準拠し、中央支持定常加振法にて測定した。中央支持定常加振法では、測定温度−20〜60℃にて、電磁加振器でサンプル(試験板)の中心を加振(スイープサイン振動による加振)して、その時の加振力と応答加速度とをインピーダンスヘッドにより測定することにより、損失係数を求めた。
実施例2
1)試験板の作製
シートを、150mm(長さ)×150mm(幅)の正方形平板形状に切り出した。このシートの重量は32gであった。その後、図8(a)に示すように、そのシートに、10mmφの平面視円形孔(空隙)を、縦横方向に等間隔を隔てて144個穿孔した。穿孔後のシートの重量は16gであり、空隙の面積比率は50%であった。
2)制振性評価
上記作製した試験板について、シートの表面に、150mm(長さ)×150mm(幅)×0.6mm(厚)の拘束層(冷間圧延鋼板)をヒートシールにより貼着した後、シートの裏面を、350mm(長さ)×350mm(幅)×0.6mm(厚)の基板(鋼板)上に設置し、180℃で20分間加熱し、シートを発泡させた(図8(b)参照)。
表2に、全周波数領域(0〜1000Hz)での振動の累計であるオーバーオール値を示す。なお、表2には、平面視円形孔(空隙)を穿孔していない試験板(未穿孔)の損失係数、および、基板のみの損失係数を併せて示す。
2 拘束層
3 離型紙
4 車体鋼板
5 発泡体
Claims (3)
- ゴムおよび/または樹脂と発泡剤とを含む発泡性制振組成物からなり、穿孔により空隙が形成されていることを特徴とする、自動車用制振材。
- 前記発泡性制振組成物は、シートに成形され、
前記空隙は、前記シートの厚み方向を貫通するように形成されており、
前記シートにおける前記厚み方向に対する直交方向の表面において、前記空隙の面積比率が、前記表面全面に対して10〜50%であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用制振材。 - 前記発泡性制振組成物には、前記穿孔により前記シートから分離された穿孔部分が含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用制振材。
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